原子炉のエネルギー出力を向上するための方法、燃料バンドルのための天然ウランブランケット層を決定するための方法、および可変ブランケット層を有する燃料バンドル
【課題】最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)反応度限界を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルの中に1つ以上の燃料棒を含む原子炉のエネルギー発生出力を向上させるための方法を提供する。
【解決手段】燃料バンドルの頂部において評価される格子の軸方向断面における個別の燃料棒の濃縮度をランク付けし、その格子における最高ランクの棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替える。次に、MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを決定するための炉心シミュレーションを実施し、前記燃料バンドルの頂部のための所望の格子設計を達成するように、低くランク付けされた各候補棒位置について、棒位置がMSBWP反応度限界を違反しなくなるまで、上記のピン取替えおよび実施の機能を繰り返す。
【解決手段】燃料バンドルの頂部において評価される格子の軸方向断面における個別の燃料棒の濃縮度をランク付けし、その格子における最高ランクの棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替える。次に、MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを決定するための炉心シミュレーションを実施し、前記燃料バンドルの頂部のための所望の格子設計を達成するように、低くランク付けされた各候補棒位置について、棒位置がMSBWP反応度限界を違反しなくなるまで、上記のピン取替えおよび実施の機能を繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、最小臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)安全条件を満たしながら、原子炉のエネルギー出力を向上する方法、原子炉の1つ以上の燃料バンドルにおける選択可能な燃料棒のために可変天然ブランケットを使用するように、延長天然ウランブランケット層に従属させようとする燃料棒を決定する方法、および可変天ウランブランケットを有する燃料バンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の沸騰水型原子炉(BWR)を示し、図2は、原子炉容器の炉心の燃料バンドルを示し、図3は、制御ブレードの一象限の中に位置する燃料バンドル内の燃料棒とウォータロッドとの10×10配列のx−yマップ分布を示す。
【0003】
図1に示すように、ポンプ110が、導管を通じて水を(例えば、ポンプ110から原子炉格納容器114に向かう矢印の方向に)、原子炉格納容器114の内部に収納された原子炉容器112へ供給する。原子炉容器の炉心は正しく配置された多くの燃料バンドルBを含む。制御された核分裂が炉心の燃料バンドル(例えば図2の燃料バンドルB)において起こり、熱を発生させ、この熱が、供給されて燃料棒の間を流れる水(図示せず)を蒸気に変える。
【0004】
図1を参照すると、蒸気(図示せず)は、発電機120に動力を供給するために、原子炉容器112からタービン118へ供給され、発電機120は電気エネルギーを出力する。タービン118へ供給される蒸気は、復水器122において凝縮されて水に戻る。凝縮された蒸気からの水はポンプ110に戻って再利用される。上記の工程が(多サイクル)繰り返されてBWRから電気を発生する。
【0005】
原子炉容器の代表的な炉心は、概して約200個から約900個までの燃料バンドルBを含むことができる。もちろん、原子炉の安全度とエネルギー出力の要件を満たす限り、さまざまな構成とさまざまな個数の燃料バンドルを使用してもよい。図2に示すように、所定の燃料バンドルBは、上部プレートUと下部タイプレートLとの間で全体的に互いに平行に延在する複数の燃料棒100を包囲する外部チャンネルCを含む。一般に、燃料棒100は、図3に示すように概して直線行列の形で備えられている。
【0006】
燃料棒100は、複数のスペーサSによって互いに横方向に離隔され、これらのスペーサSは、チャンネルCの内部で燃料棒100の長さに沿って互いに垂直方向に分けられている。図3は、燃料チャンネルCによって包囲された10×10配列の燃料棒100を図示している。燃料棒100は、直交行列状に配置されて、1つ以上のウォータロッド130を包囲し、図3には2個のウォータロッド130が示されている。その他の構成を使用してもよい。原子炉冷却材(ウォータロッド内の水とは別)が燃料棒100の間を流れ、(1つ以上の)燃料バンドルの(1つ以上の)燃料棒の中で起こる核反応から発生する熱を収集する。
【0007】
図3では、所定の燃料バンドルBが、十字形の制御ブレード132の一象限に配置され(例えば、この例では4象限の1つだけが示されている)、十字形の制御ブレードは、BWRに関して従来から知られている制御ブレード構成である。周知のように、所定の燃料バンドルBが通常、制御ブレード132の他の3象限の各々に配置されている。バンドルB間の(1つ以上の)制御ブレード132の上(および下)移動が、バンドルBの中で起こる核反応度の量を制御する。図1〜3は、BWRの原子炉炉心のバンドル内におけるロッド100のただ1つの従来の配置を示す。当業者には明白であるように、その他の配置を使用してもよい。
【0008】
所定の燃料棒100では、燃料棒100は通常、バンドルの中のその垂直スパン内のさまざまな位置に沿って、ウラン(例えば、同位元素238Uおよび235Uを含むペレット)によって充填され、235Uの量は、原子炉における安全な運転条件を明らかにするために(望みに応じて)濃縮してもよい。同位元素235Uは通常、ウランの中に0.711(重量)%の濃度で存在し、残りのウランは同位元素238Uである。したがって、以下に使用するように、0.71は天然ウランの濃度を表す。
【0009】
濃縮工程を経た後、濃縮ウランは、約2%(すなわちわずか2重量%を超える)から約5(重量)%までの235Uを含むことができ、残りのウランは同位元素238Uである。濃縮ウランでは約5(重量)%を超える量の235Uを使用することもできようが、商用発電原子炉では従来から濃縮ウランは5%までに限られている。
【0010】
上で論述したように、燃料棒100は、そのある部分では天然ウランのペレットで、その他の部分では濃縮ウランのペレットによって、燃料棒100の垂直(軸方向)高さに沿って充填されている。ペレットの一部分は天然ウランだけを含み、その他のペレットは天然ウランと濃縮ウランの組合せを含んでもよい。さらに、ペレットの一部は濃縮ウランだけを含んでもよい(235Uの濃度が天然ウランの中に存在する濃度より高い、すなわち>0.71)。通常、ウランペレットの高さを約半インチ(約1.3mm)にしてもよい。
【0011】
代表的な燃料棒100は約200個までのペレットを含むことができる。また、ある部分では、燃料棒100はペレットを含まず、空所(後で説明するようにVで示される)を備えてもよく、または燃料棒100は打ち切られた高さ(後で説明するようにEで示される)を有してもよい。したがって、所定の(1個または複数個の)燃料棒100は、所定の燃料棒バンドルBの内部の他の燃料棒よりも短いことがある。
【0012】
図4は、所定の燃料棒100のさまざまな軸方向区画を表す図である。図2および3におけるバンドルBを参照すると、10×10配列の燃料棒100とウォータロッド130は、燃料バンドルBの(例えば、水平)断面を横切って切るx−yマップ分布(または径方向格子)によって表すことができる。図4では、代表的な燃料棒100は約150インチ(約381cm)の高さを有する。図4は、棒100の垂直高さに沿ったところの、0インチ(0cm)から150インチ(381cm)までの7つのx−y方向マップの分布を示す。燃料棒100の各6インチ(15.2cm)のセグメントをノードと呼んでもよい。したがって、150インチ(381cm)の中に25個のノードが存在し、ノード1は燃料棒100の底部6インチ(15.2cm)を表し、ノード25は燃料棒100のその底から144インチ(365.8cm)から150インチ(381cm)までの間のセグメントを表す。
【0013】
これらのx−yマップ分布は、燃料棒100の底から出発して、図4において次のように確認される。
【0014】
(a)26868(高さ=0インチ(0cm)から6インチ(15.2cm)まで延在する、ノード1)、
(b)26869(高さ=6インチ(15.2cm)から54インチ(137.2cm)まで延在する、ノード2〜9)、
(c)26870(高さ=54インチ(137.2cm)から84インチ(213.4cm)まで延在する、ノード10〜14)、
(d)26871(高さ=84インチ(213.4cm)から96インチ(243.8cm)まで延在する、ノード15〜16)、
(e)26872(高さ=96インチ(243.8cm)から138インチ(350.5cm)まで延在する、ノード17〜23)、
(f)26873(高さ=138インチ(350.5cm)から144インチ(365.8cm)まで延在する、ノード24)、および
(g)26874(高さ=144インチ(365.8cm)から150インチ(381cm)まで延在する、ノード25)。
【0015】
図5〜11は、燃料棒の高さの0〜150インチ(0〜381cm)間の、上記の7つの特定位置の各々における所定の燃料棒バンドルBの全燃料棒100に関する上記(a)から(g)までに対応するx−yマップ分布を示す。図5から図11のx−yマップ分布を図4と共に見ていただきたい。図5から図11において、「V」を付けたセル(燃料棒)は、対応するx−yマップ分布に示すセル位置において燃料棒100が全く存在しないことを示し、「E」は、燃料棒100のシェルは存在するが、(燃料棒100の)シェルは対応するx−yマップ分布に示す対応するセル位置において空であることを示す。図5〜11を、下記の論述に関して参照されたい。
【0016】
図5は、高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の位置における所定の燃料棒バンドルのすべての燃料棒に関するx−yマップ分布(例えば26868)を示す。図5において、数「0.71」は、高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の対応するセル位置(A1〜J10)における燃料棒の中に存在する235Uの量の濃度(重量パーセント)、すなわち換言すれば、天然ウランを有するその位置またはノード(ノード1)における燃料棒100を反映する。図5において、セルD6、D7、E6、およびE7は、図3において130として確認される円に対応するウォータロッド(WR)を構成し、図3の第2ウォータロッド130はセルF4、F5、G4、およびG5によって示されている。
【0017】
ノード1(底から0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間のすべての燃料棒100はこの位置において天然ウランの集積を有するので、図5のx−yマップ分布は、ノード1における所定のバンドルB全燃料棒の底部における全「天然」ブランケット層の形成を示す。燃料バンドルBの底部におけるこの6インチ天然ブランケットは、指定の安全および/または運転限界の内で安全な原子炉運転を保証する助けになるために設けられる。図6〜9は、上記の(b)〜(e)に示す位置またはノードに対応するx−yマップ分布を示し、単に比較参照のために提供した。
【0018】
図10は、高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26873)であり、図11は、高さ=144インチ(365.8cm)(すなわち>144インチ)〜150インチ(381cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26874)である。BWRでは従来、別の全「天然」ブランケット層が、図10および11(x−yマップ分布26873および26874)において反映されるように、138インチ(350.5cm)〜150インチ(381cm)間の高さにおける所定のバンドルB内における燃料棒100の頂部に設けられる。ノード24および25におけるこの12インチ天然ブランケットもまた通常、指定の安全限界内での安全な原子炉運転を保証するために備えられる。
【0019】
底部ノード1(6インチ(15.2cm)天然ウラン)および頂部ノード(ノード25(頂部)における6インチブランケットまたはノード24および25における12インチブランケットのいずれも)における天然ブランケットの使用は、プラント設計者にとっては従来からの設計上の選択肢である。これらの天然ブランケットの使用により、炉心の頂部と底部からの中性子漏洩を減らすことによって、バンドル濃縮を全体的に減少させることが可能になる。しかしそれでも、頂部におけるより大きな12インチブランケットは結果的に、効果的にはより短い燃料バンドルとなり、これは炉心の非周辺部分における熱的余裕を減少させ、したがって熱出力を低下させる可能性がある。
【0020】
さらに、MFLPD(制限出力密度の最大部分Maximum Fraction of Limiting Power Density)、MAPRAT(MAPLHGR(最大平均平面線形発熱Maximum Average Planar Linear Heat Generation)の、その限界値に対する比)、MFLCPR(制限限界出力比の最大部分(Maximum Fraction of Limiting Critical Power Ratio))、および反応度パラメータの限界(低温炉停止余裕(CSDM: cold shutdown margin)および高温過剰反応度(HOTX: hot excess reactivity))などの熱的パラメータの限界を満たすことができることに加えて、より大きな12インチブランケットの使用は、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)として知られている反応度パラメータのための限界または条件を満たすことを困難にする可能性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の実施形態は、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP: maximum subcritical banked withdrawal position)の反応度限界を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルに1つまたは燃料棒を包含する原子炉のエネルギー発生出力を向上するための方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の方法では、燃料バンドルの頂部での評価対象であるところの、格子の軸断面内にある個別燃料棒の濃縮度がランク付けされ、その格子の最高ランクの棒位置の燃料ピンは天然ウランピンに置き換えられる。次に炉心シミュレーションが実施され、MSBWP反応度限界に対して何らかの余裕があるかどうかを決定する。より低いランクの候補燃料棒位置の各々について、ピンの置換え機能と炉心シミュレーション機能が、棒の位置がMSBWP反応度限界を越えなくなるまで繰り返され、この結果、燃料バンドル頂部についての所望の格子設計を達成する。
【0023】
別の実施形態では、原子炉における燃料バンドルのための天然ウランブランケット層を決定する方法を対象とする。この方法は、バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す軸方向位置における、バンドル内のすべての燃料棒位置における棒の濃縮度を評価することを含む。天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットは、燃料棒濃縮度しきい値を超える濃縮度を有する燃料棒位置に備えられる。その他、天然ウランの12インチ(30.5cm)ブランケットが、燃料棒濃縮度しきい値より低いか等しい濃縮度を有する燃料棒位置に備えられる。
【0024】
さらに別の実施形態は、原子炉の燃料バンドルを対象とする。燃料バンドルは、その底部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット層を含む。そのバンドルは、燃料棒濃縮度しきい値を超える燃料棒濃縮度を備えたバンドル頂端部の軸断面における1つ以上の選択可能燃料棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを有する。燃料棒濃縮度しきい値より低いか等しい燃料棒濃縮度を有する軸断面における1つ以上の選択可能な燃料棒位置は、12インチ(30.5cm)天然ウランブランケットを中に有する。
【0025】
本発明の実施形態は、添付の図面/図と共に行う詳細な説明からさらに明白に理解されよう。本明細書において提供される図面/図は単なる例証的な目的のためである。その他の変形も可能である。さらに、図面/図は例証的な目的のために提供されているので、一定縮尺で画かれていないかもしれない。さらに、さまざまな図面/図が、定義によって本発明を実施するために必要とされない任意選択の設備機器を示すこともある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に詳細に説明しようとする一実施形態では、MSBWP反応度限界を満たしながら、原子炉のエネルギー発生出力を向上する方法を説明する。
【0027】
後述のあるで実施形態は、MSBWP反応度限界/制約または安全条件を満たすような235Uを含む原子炉燃料バンドルの第2最頂部6インチ(15.2cm)(例えば、高さ138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)の間)にある選択された燃料棒を識別して、または濃縮する方法を対象とする。その他の変形実施形態も、本発明の範囲内で可能である。例えば、235Uの代わりに、別の核分裂性燃料を適切なものとして使用することもできる。その他の変形実施形態も、当業者には認識されるように、本発明の範囲内にあるものとして企画される。
【0028】
本発明の一態様は、MSBWP反応度限界基準/安全度条件を満たし、さらにまた原子炉のエネルギー出力を向上させる新しい燃料バンドルの設計に関する。本発明のさまざまな態様を正しく認識するため、および各図に示すさまざまな格子設計を説明するために、図6を参照する。
【0029】
図6は、高さが6インチ(15.2cm)(すなわち>6インチ)乃至54インチ(137.2cm)にある或る位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26869)である。これは、図4に示す、燃料棒100における6インチ(15.2cm)〜54インチ(137.2cm)間のノードに対応する。図6において、この格子設計にある各々のセル(A1からJ10まで)は、各関連セル位置において記述の特定重量パーセント値で示された量(重量パーセントで示す)の235Uを含む。したがって例えば、図6のセルA1は番号1.60でマークされる。これは、高さが6インチ(15.2cm)〜54インチ(137.2cm)の間(図4におけるマップ分布の高さ即ち軸方向位置26869と一致)では、燃料棒100は1.60(重量)%の235Uを含むことを意味する。言い換えれば、(図6の)x−yマップ分布26869を図4と共に読むことは、燃料棒100において1.60重量%の235Uがある位置を正確に示すことになる。
【0030】
同様に、図6のセルD3を参照すると、235Uの量は4.40重量%である。しかし図6のセルD4では、2つの数字が記されている。上の数字は存在する235Uの量(例えば4.90重量%)を反映し、下の数字は存在するガドリニウムの量(例えば7.00重量%)を反映する。ガドリニウムは、中性子を吸収することによって核反応を減衰させる作用をする。したがって、ガドリニウムは、原子炉の局部的出力と全体的な反応度をサイクル照射線量の関数として制御する手段を提供する。しかし、ガドリニウムは運転時間と共に劣化すなわち「燃え尽きる」ことに留意しなければならない。
【0031】
上に論述したように、図6〜10(および後で論述することになる図13〜15)の各々は、10×10燃料棒集合体の新しいバンドル設計のための、ウランおよび/またはガドリニウム分布を図示する。そこには、さまざまに指定された軸方向(垂直)高さにおける径方向格子(例えばバンドルの一般的に均質の区画)が表示されている。図4および図5で注目されるように各格子は各燃料棒位置(例えばセルA1からJ10まで)の構成を示す2次元x−yマップ分布である。注にあるように、「V」として指摘される位置は、燃料棒がその位置(すなわち、ハンドルの完全な高さまで達しない部分的な燃料棒の長さ)で、消えていることを示す。また、「E」として指摘される位置は、燃料棒が空である(すなわち、例えば核分裂生成ガスを収容するための空間が棒の中に残されている)ことを示す。先に注目したように、単一数字は、天然U(0.71)または濃縮235U(>0.71濃度)に対応するが、単一セル中における2つの数字はそれぞれ、ウラン(上の数字)およびガドリニウム(下の数字)に対応する。
【0032】
新しいバンドルを設計することは、その燃料バンドルの燃料棒内における濃縮ウランおよび/またはガドリニウムなどの燃焼可能ポイズンの、軸方向(垂直方向)および径方向(水平方向)の両方向における分布を決定することである。一般的なウラン分布は、軽水炉については天然(0.711重量%)から約5重量%までの範囲にわたる。濃縮が高いほど、核分裂速度と所定の燃料棒によって生成される動力は高くなる。
【0033】
図1に示すようなBWRでは、その他の期間が適していることもあるが、一般的に1年、1年半、または2年の期間だけ運転される。原子炉炉心は、1ショートトン・ウラン当りギガワット日で測定されるある一定のエネルギー量を発生するものとして設計される。1燃料サイクルが完了すると、反応性が最低の(および一般的に最も劣化した)燃料のほぼ1/4〜1/2が除去され、新しい燃料と取り替えられる。
【0034】
露出した燃料バンドルの再配置も一般的に、燃料の保全性とプラントの安全性を保証する原子力規制委員会(NCR)によって課された制約である熱限界および反応度限界を満足させながら、炉心のエネルギー生成を最大化(または改良)するための手段として実施される。炉心装荷の設計は、露出した燃料バンドルの配置ならびに新しいバンドルの設計と配置とを必然的に含む。さらに、制御ブレード操作計略(例えば、制御ブレード配置およびノッチ位置)、および最大線出力の関数としての炉心流量も、通常は設計の一部として決定される。
<炉心シミュレーションプログラム>
炉心装荷および制御ブレード操作計略設計の決定に加えて、所定の炉心装荷のためのすべての熱的パラメータおよび反応度パラメータが、一般的に、コードTGBLAおよびコードPANACEAなどのNRC認可のコンピュータコードを利用した原子炉シミュレーションを介して決定される。これらのTGBLAおよびPANACEAコードは当技術分野ではよく知られており、これらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。TGBLAコードおよび/またはPANACEAコードの等価物を使用してもよい。
【0035】
TGBLAは、所定のバンドル格子の挙動をモデル化するが、PANACEAは、炉心装荷パターン内の(個別の格子からなる)バンドルの挙動をモデル化する。原子炉シミュレーションもまた、最大線出力の関数としての制御ブレード操作および炉心流量計略の影響を評価することを必然的に含む。
<熱的パラメータと限界>
新しいバンドル内の濃縮ウランと、(原子炉による分裂反応を制御するという面から「ポイズン」として使用される)ガドリニウムとの分布は、最大線出力の関数として炉心内の熱的限界と反応度限界を満足するように設計される。熱的パラメータの例は、MFLPD(Maximum Fraction of Limiting Power Density)(制限出力密度の最大部分)、MAPRAT(MAPLHGR(Maximum Average Planar Linear Heat Generation)すなわち最大平均平面線形発熱をその限界に対して比較した比)、およびMFLCPR(Maximum Fraction of Limiting Critical Power Ratio:制限限界出力密度の最大部分)である。反応度パラメータの例は、低温炉停止余裕(CSDM(cold shutdown margin))、高温過剰反応度(HOTX: hot excess reactivity)、および最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP:maximum subcritical banked withdrawal position)である。
【0036】
MFLPDは、所定の高さの所定のバンドルにおける局部棒出力、すなわち線量出力密度(LHGR:linear heat generation rate)(すなわち単位長さ当りキロワット)の、限界値と比較したときの比の最大として定義してもよい。MAPLHGRは、所定の高さの所定のバンドルにおける平面にわたる最大平均LHGRである。MAPRATは、MAPLHGRの限界値に対する比として理解される。
【0037】
LHGR限界は、燃料被覆管の塑性ひずみ、燃料ペレットの中心線の溶融、およびペレットの膨張を超える被覆の張出しである剥離という現象から、燃料を保護する。これは主として、核分裂生成ガスの発生によるものである。剥離は、ペレットから被覆を通って冷却材に至る熱伝達を低下させる。
【0038】
MAPRAT限界は、事故において仮定される冷却材損失中に燃料を保護し、MFLPD限界は、正常運転中に燃料を保護する。MFLCPRは、「液膜ドライアウト」現象から燃料を保護する。BWRの熱伝達において、燃料棒表面上の水の薄膜は、水が蒸気に変換されるので、燃料棒において発生する熱の適切な除去を保証する。核沸騰としても知られているこのメカニズムは、燃料棒における出力が上昇するにつれ継続し、遷移沸騰として知られるポイントまで続く。遷移沸騰中は、熱伝達は急速に低下し、薄膜が消失し、最終的には薄膜のドライアウトを引き起こし、この時点で、被覆管の表面温度は急速に上昇して、破損を引き起こす。
【0039】
バンドルの限界出力とは、所定の燃料バンドルが液膜ドライアウトを起こす出力であり、実験的試験から決定される。限界出力比(CPR)とは、限界出力の実際のバンドル出力に対する比である。MFLCPRは単に、限界値に対する各バンドルCPRの割合のあらゆるバンドルにわたる最大値である。
<反応度パラメータと限界>
CSDMは、最も反応度の高い単一の制御ブレードを除いて、すべての制御ブレードが挿入された、低温状態にある原子炉について、限界に対する反応性reactivityの余裕として定義される。CSDMは、サイクル中の各時間(照射)状態点について決定される。HOTXは、サイクル中の各露出状態点における、すべてのブレードを除去した定格出力における高温状態の原子炉の炉心反応度として定義される。MSBWPは、すべての制御ブレードに適用された、炉心が最大線出力の関数として冷間状態で原子炉のための臨界未満状態に留まる、最大ノッチ位置として定義される。
<MSBWP反応度パラメータ>
一般的に、MSBWPパラメータ条件または限界を満足するためno
業界の標準は、燃料棒高さが、例えば144(365.8cm)〜150インチ(381cm)(ノード25)間、のみならず、138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)(ノード24)間において、図11のx−yマップ分布26874を使用することとされてきた。実際、図10を参照すると、ノード24におけるx−yマップ分布は、高さが138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間にあるx−yマップ分布26873がx−yマップ分布26874に置き換えられるように、変更される。換言すれば、x−yマップ分布26874(図11を参照)は、バンドルBにおける各燃料棒100の頂部12インチ(30.5cm)にまで延ばされている。このような構成が、x−yマップ分布26868と共に燃料棒高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間で使用されると(図5のノード1を参照)、天然ウランの「ブランケット」が、x−yマップ分布26874(図11)に従って燃料棒100の頂部12インチ(30.5cm)と共に、x−yマップ分布26868(図5)に従って燃料棒100の底部6インチ(15.2cm)にも形成される。これが行われることでMSBWP限界は満たされる一方で、ノード24において(高さ=138インチ(350.5cm)から144インチ(365.8cm)間に)において全天然ウランブランケットの使用を使用することは、ピーク出力をより高める(すなわち熱的余裕が低くなる)結果になり、燃料装荷に制約を加え、これは、サイクルエネルギー要求を満足するために追加の燃料バンドル設計変更を必要とするかもしれない。
【0040】
一実施形態によれば、MSBWP限界は、NRC認可のコンピュータコードを利用する原子炉シミュレーションから決定される。この例では、この計算は、さまざまな最大線出力状態点において(例えば、0から約16000最大線出力MWd/STまで、図20を参照)、シミュレートされた低温炉停止状態(例えば68°F(20℃))の原子炉によって、同じノッチ位置に挿入されたすべての制御ブレードによってシミュレーションを実施することを必然的に含む。ノッチ位置は、全制御ブレード132の挿入(または引抜き)の一部分を示す離散値である。BWRでは、制御ブレード132は炉心の底部から挿入される。したがって例えば、ノッチ「0」は炉心への完全制御ブレード132挿入を示し、ノッチ「24」は中途引抜きを示し、ノッチ「48」は制御ブレード132を炉心の底部から完全に引き抜かれたものとして示す。これらは標準的なGeneral ElectricのBWRでは一般的である。ABB社またはGE社の改良型BWR炉設計におけるような「0」〜「100」などの、(連続制御ブレード動作を示す)その他のノッチ値も可能である。
【0041】
MSBWP限界を計算するための代表的なノッチ値は、(長さ144インチ(365.8cm)の制御棒ストロークの「0」〜「48」の範囲のためには)「2」または「4」におけるノッチ位置となり、これはプラント運転のために必要な技術仕様の基本を形成する。所定の燃料サイクル設計のために、MSBWPノッチ値の有効性が、一連の原子炉シミュレーションを実施し、十分な反応度余裕が存在して低温炉停止条件における臨界未満(MSBWP)を確証したことを確認することによって、確認されよう。
【0042】
上に述べたように、BWRでは、制御ブレード132が原子炉の底部から挿入される。したがって、完全に挿入された制御ブレード132は、反応度の制御に関しては燃料棒100の長さをバンドルBの内部に完全に覆うブレードを表すことになる。(「0」〜「48」の範囲にわたる)「2」のノッチ値のMSBWP計算は、すべての制御ブレード132を活動燃料の頂部の軸方向でわずか下方の位置に置くことになる。150インチ(381cm)長の燃料棒100のためには、これは、頂部における6インチ(15.2cm)の非制御燃料に対応する。「4」のMSBWPノッチ値は頂部12インチ(30.5cm)の活動燃料の制御などを排除する。
【0043】
従来の炉心設計は、燃料費を低減し(例えば濃縮費用または分離作業費の低減)、および/または中性子の経済性を向上する(例えば中性子漏洩を低減する)手段として、すべての燃料棒の燃料の頂部と底部における濃縮を低下させることであった。新しいバンドル内の頂部格子と底部格子とは、軸方向「ブランケット」と呼ばれ、天然(0.71重量%)から2.0重量%までにわたる濃縮分布を有する。上述したように、ブランケットは一般的に、MSBWP基準に応じて、底部において6インチ(15.2cm)、頂部において6または12インチ(30.5cm)である。MSBWP計算の定義から、頂部ブランケットの高さを増やすことは、結果的にMSBWP反応度余裕のMSBWP限界までの増加になるが、逆に望ましくないピーク出力分布(すなわち熱的余裕が少なくなる)と、追加の燃料装荷制限を引き起こすかもしれないことが理解される。一方、頂部ブランケットの高さを減少することは、結果的にMSBWP反応度余裕を減少させる(かまたは無くす)ことになる。
【0044】
従来の技術は、MSBWP反応度余裕(安全条件)要件を満たすために、頂部ブランケットの固定高さを指定している。この頂部ブランケットとは、マップ分布26868(図5)、マップ分布26874(図11)、またはマップ分布72017(図12)などに示されたセルのような、x−yマップ分布のすべてのセルにおいてすべて天然ウランからなる。しかし、燃料サイクルの設計は、燃料サイクル設計の開始前に(MSBWPを満たす)頂部ブランケットの固定長を指定することによっても、(設計自由度から見て)わずかに制約された態様で実施することもできる。頂部ブランケットの固定高さは、本来MSBWPが満たされることを確証するので、MSBWPの無視を可能にするからである。頂部ブランケットの長さを延長することは、積極的な設計制約としてのMSBWPを効果的に除去することになり、炉心の設計者がMFLCPR、MFLPD、CSDM、および/またはHOTXなどの他の熱的および反応度パラメータに集中することを可能にする。このような事例では、MSBWPシミュレーションは、最終設計(例えば、MFLCPR、MFLPD、CSDM、および/またはHOTXに関して)が設定されると、妥当性検査としてのみ実施されることになろう。しかし、MSBWP反応度パラメータは設計分析で説明すべきであり、この代わりは望ましくない。
【0045】
例えば、「2」または「4」のMSBWPノッチ値が、所定の新しいバンドル設計のために12インチ(30.5cm)の天然ウランのブランケットを必要とするかもしれない。これらの相関は、所定のプラントの設計経歴および操業経験に基づいて到達されるものであろう。上記の例では、ウラン濃縮とガドリニウムの分布からなる新しい燃料バンドル設計は、12インチ(30.5cm)の頂部天然ウランブランケットの制約内で決定されよう。12インチ(30.5cm)の頂部天然ウランブランケットを指定することによって、MSBWPを満たすことはほとんど保証される。
【0046】
本明細書に記載の代替手法は、(x−yマップ分布全体にわたって)頂部ブランケットの高さを延ばすことによるのではなく、所定のバンドル内の一定数の燃料棒または燃料棒サブセットのみの中でブランケットを延ばすことによって、MSBWP基準に取り組み、これを組み込むことである。
<MSBWPのためのバンドル設計>
提案された実施形態による手法は、設計のために(ノード24または25における)最小頂部軸方向ブランケットを想定することによって始まる。ほとんどの場合、これはノード25における頂部軸方向ブランケットの6インチ(15.2cm)に対応する。燃料サイクル設計は、照射された燃料の配置と新しい燃料の配置、(濃縮ウランとガドリニウムの分布から構成される)新しいバンドル設計、および制御ブレードと流れの運転経略の決定と共に進められよう。設計に関する制約は、MFLCPR、MFLPD、およびCSDMなどの熱的および反応度パラメータに対する限界の各々から構成されようが、設計分析はMSBWPに対する制約を含む。
【0047】
MSBWPなしでの燃料サイクル設計実施の詳細は、当技術分野では知られており、手作業による設計法ならびに自動化された最適化技法から構成されてもよい。この基本的な形では、燃料サイクル設計過程は、1)設計変数一式を指定すること、2)シミュレーションを実施すること、3)シミュレーションからの熱的および反応度パラメータ出力を限界に関して評価すること、4)1つ以上の設計変数の変化を実施して1つ以上の制約違反に取り組むこと、および5)エネルギー生産を最大化(または改善)しながら、すべての限界を満たすまでシミュレーションおよび評価過程を繰り返すこと、を必然的に含む反復過程である。
【0048】
経験から周知のように、あるいくつかの設計変数の変更は、ある一定の出力パラメータに影響する。変数の変化は局部化されるか、または全く全体的になることもある。例えば、新しいバンドルの特定の棒における濃縮度を増加させるは、棒における出力を局部的に増加し、したがってMFLPDを増加させ、同時にHOTXを増加させる。別の例では、照射した燃料を周辺に向けて移動することは、たとえ炉心内部に向かって位置するすべてのバンドルの中の出力増加の費用においても、中性子の漏洩を減らすことになり、したがってエネルギー生産を増加させる。全体的変数変化を局部的変数変化と組み合わせることによって、設計者は最高の最適化度合いを達成することができ、熱的および反応度限界を満たすことができる。
【0049】
MSBWP基準なしで燃料サイクル設計を完了すると、シミュレーションが実施されて、MSBWP計算のために存在する反応度余裕(またはその欠如)を決定する。シミュレーションに関しては、制御ブレード132が、MSBWP技術仕様限界で挿入され、原子炉は冷間状態にある。サイクル中のいくつかの照射状態点がシミュレートされる。出力結果は、例えば全くASCIIテキストまたはグラフ表示であってもよい。
【0050】
MSBWP基準に合わせるために、設計変数の変更は、新しい燃料バンドル設計に関して、選択された個別の燃料棒の頂部軸方向ゾーンを(144インチ(365.8cm)〜150インチ(381cm)における)頂部ブランケット格子の直下の格子に向けて、すなわち12インチ(30.5cm)ブランケット位置に、下向きに延ばすことによって実施される。潜在的燃料棒変更の評価を下記のように進めてもよい。
【0051】
先ず、候補棒変化のリストを、頂部ブランケット格子の直下の格子の中で、最低濃縮から最高値までの濃縮のランク付けに基づいて作る。例えば、図4の棒100の軸方向図では、格子26873(図10のx−yマップ分布としても参照)を除去し、格子26872(図9)を高さ144.0インチ(365.8cm)まで延ばす。図4および図9における格子26873を参照すると、第1ランクの濃縮(最低から最高濃縮まで)は1.6重量%の上左隅のセル「A−1」に対応し、第2および第3ランクの濃縮は、隅部セル「A−2」および「B−1」に対応し、以下同様である。
【0052】
棒の位置のランク付けリストが決定されると、次の機能を格子に関して実施することができる。すなわち、1)ランクリストに基づいて棒の位置を確認する、2)確認された位置でウラン濃縮およびガドリニウムを頂部ブランケット(例えば図11のx−yマップ分布26874)濃縮と取り替える、3)炉心シミュレーションを実施する、3)シミュレーションからMSBWP反応度余裕出力を評価する、4)ランク付けリストの次の要素に進み、MSBWP基準がすべてのセル位置について満たされるまで、シミュレーションと評価の過程を繰り返す。
【0053】
したがって上述のように、ある実施形態は、最小臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)安全条件を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルにおける1つ以上の燃料棒のエネルギー発生出力を向上させる方法を対象とする。この方法では、燃料バンドル頂部にあるバンドル格子の軸方向断面における個別の燃料棒位置での棒濃縮を、最低濃縮から最高濃縮までランク付けしてもよい。格子における最高ランクの棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替えてもよく、MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを判定するために、炉心シミュレーションを実施してもよい。
【0054】
取替え機能および実施機能を、燃料バンドル頂部のための所望の格子設計を達成するように、棒の位置がMSBWP反応度限界を違反しなくなるまで、低ランクの各候補棒位置について繰り返してもよい。次いで、所望の格子設計によって形成された(1つ以上の)燃料バンドルをその頂部に有する炉心を、来るべき運転のために装荷してもよい。
【0055】
ある実施例では、燃料バンドルは、燃料バンドルの頂部インチ部において6インチ(15.2cm)の天然ウランブランケット格子を含み、評価される燃料バンドル格子の軸方向断面は、頂部6インチ(15.2cm)の直下のバンドルの6インチ(15.2cm)格子セグメント断面である。上述のような実施例では、評価される格子は、燃料バンドルの底部から138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間にあり、すなわち24番ノードである。
上記の組織的なランク付け、取替え、および評価の方法論を、ある一定の格子設計に適用し(図12〜15を参照)、MSBWP限界ならびに燃料サイクル設計のためのその他の熱的限界と反応度限界に対する格子設計の効果を決定した。図13〜15は、図12の従来の完全天然ウランブランケット格子設計に対する比較のための、ノード24位置における3つの異なる格子設計を示す。図12は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば72017)であり、この軸方向位置(ノード24)における燃料バンドルのすべての棒は濃度0.71%の天然ウランを有する。図12〜15における燃料バンドル格子のすべては、24番ノード(棒の軸方向位置では138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間)を除いて、同じ燃料棒設計を有する。
【0056】
代替格子設計では、図13は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば70017)であり、ノード24におけるバンドルの33%は天然ウランであり、残りは濃縮ウランである。図14は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば73017)であり、このノード24におけるバンドルの24%は天然ウランであり、残りは濃縮ウランである。図15は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の他のx−yマップ分布(例えば75017)であり、この位置におけるバンドルの0%は天然ウランであり、これは完全濃縮ウランノードである。格子設計のシミュレーションから集めたデータによってわかるように、図13〜15の格子設計は、図12の従来の完全ブランケットの場合と比較して、考えられるさまざまな熱的パラメータおよび反応度パラメータに良好な影響を有する。
【0057】
図16は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計に関する高温過剰反応度のグラフである。図16は、図12〜15におけるノード24(138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm))において示す4つの異なる燃料バンドル格子設計の、ショートトン当りメガワット日(MWd/ST)で表す最大線出力に対するΔK(炉心平均高温過剰の変化、すなわちHOTX)のプロットを示す。0.001のΔKの変化は、100MWd/STの変化に対応する。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0058】
図16における曲線をプロットするために使用されたデータは、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))と「4」(138インチ(350.5cm))の間にある制御ブレード132に対応する。したがって、高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、図12(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において78本の燃料棒が天然(235U0.71重量%))、図13(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において26本の燃料棒が天然、その他はすべて濃縮)、図14(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において19本の燃料棒が天然、その他はすべて濃縮)、および図15(天然の棒はなく、これは完全に濃縮バンドル(235U 0.71重量%))に対応するΔHOTX曲線が示されている。
【0059】
サイクルエネルギーに対する影響を、図12〜15におけるさまざまな格子のHOTXの変化を比較することによって理解することができる。図16に示すように、0.03ΔKより大きなHOTXの増加は、図12の完全ブランケット延長部に関して、図13〜15の代替格子設計によって可能であり、これは選択されたバンドル設計のための数週間の追加エネルギーとして解釈してもよい。
【0060】
図17は、図12〜15に示す4つの燃料バンドルの低温炉停止余裕(CSDM)のグラフである。図17は、図12〜15に示す4つの異なる燃料バンドル(例えば、72017;70017;73017;および75017)の、ノード24に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)、すなわちノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))の間に置かれたときの、ショートトン当りメガワット日(MWd/ST)で表す最大線出力に対するΔKのプロットである。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0061】
図17から理解できるように、図13〜15のさまざまな格子のノード24における部分的濃縮または完全濃縮バンドル断面を使用することの、CSDMに対する影響は、図12のノード24における現在の場合の格子設計と比較してわずかである。CSDMの変化は、(図15のx−yマップ分布について)サイクル全体にわたって+/−0.002ΔKの最悪の場合の変化を示す。これはCSDMの対する最小の影響を表す。
【0062】
図18は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計のためのMFLCPRの炉心装荷に対する影響のグラフである。図18は、図12〜15に示す4つの異なる燃料バンドル(例えば、72017;70017;73017;および75017)の、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔMFLCPR(制限限界出力比の最大部分の変化)のプロットである。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。図18は実際に、図12に示すノード24における従来の格子設計と比較して、熱的パラメータMFLCPRに利用可能な余裕に関する改良を示す。図18は、図13〜15における格子設計のサイクルの端部において0.007〜0.015の追加余裕を示す。
【0063】
図19は、図12〜15に示す4つの燃料バンドルの炉心装荷に対するMFLPDの影響のグラフである。図19は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計(例えば、72017;70017;73017;および75017)のための、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔMFLPD(制限出力密度の最大部分の変化)のプロットである。シミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0064】
図19もまた、図12に示すように、24番ノードにおける従来の格子設計と比較して、図13〜15における格子設計のための熱的パラメータMFLCPRに利用可能な余裕に関する改良を示す。図19は、図13〜15における格子設計のサイクルの端部において約0.018〜0.029間の追加余裕を示す。
【0065】
図20は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計のMSBWPに対する影響のグラフである。図20は、図12〜15のノード24における4つの燃料バンドル格子設計(例えば、72017;70017;73017;および75017)のための、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔK(最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)の変化)のプロットである。シミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0066】
MSBWPに対する影響を、図20において、例示的設計過程のさまざまな段階について容易に理解することができる。図20では、図13〜15における格子の比較を、図12の格子設計において示されているように、全ブランケット延長部に対して行った。必要なMSBWP反応度余裕のために、例えば、全ブランケット延長部に関して−0.0325のΔKに設定すると(図20におけるMSBWPを標示する点線を参照)、ノード24および25において延長12インチ(30.5cm)ブランケットを有するすべての燃料棒に対して、延長ブランケット(12インチ(30.5cm)ブランケット)を有する炉心の頂部(138インチ(350.5cm)〜150インチ(381cm)間)において所定の格子設計のサブセットの燃料棒のみによって、MSBWPを満足する多くの可能な設計が存在する。
【0067】
例えば、ΔKをMSBWPのために−0.0325に、235Uの濃縮度を24番ノード(高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm))に設定すると、MSBWP安全条件は、図20によって示すように、x−yマップ分布70017(図13)、73017(図14)によってサイクル全体について、また全濃縮度マップ分布(図15)については約12000サイクルまで満たされる。図16〜19の他のシミュレーションにおけるように、制御ブレード132はノッチ=2((1つ以上の)燃料棒の頂部6インチ(15.2cm)を除くすべて)まで挿入される。換言すれば、138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間の頂部ブランケットの変化(例えば、図12のx−yマップ分布72017に示されるすべての天然ウランブランケットより高い濃縮度)を使用して、なおMSBWP条件を満たしながらエネルギー出力を向上させることもできる。
【0068】
MSBWP基準を満たすと、第2〜頂部格子(ノード24および25)の濃縮度分布内の多くの変化が行われ、確認されよう。従来の技術とは反対に、この変化数は、格子内のすべての燃料棒の大規模な変化(すなわち、頂部ブランケットの完全な下向き延長)に対して、ブランケット格子内の燃料棒の小さなサブセットに対応する。
<天然ウランブランケットの決定−バンドルの頂端部>
上記に照らして、棒の位置ごとにバンドルの頂端部にブランケットを決定することが可能である。ある実施例では、これを、24番および/または25番ノードにおける棒濃縮度をあるしきい値の棒濃縮度値と比較することによって行ってもよい。ある実施例では、この濃縮は天然ウランの濃縮度(0.71)と同じでもよい。一実施例として、バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す軸方向位置におけるバンドルにおけるすべての燃料棒位置での棒濃縮度を、棒濃縮濃度しきい値に対して評価してもよい。棒濃縮濃度しきい値を超える濃縮度を有する棒位置のために、天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットを備えてもよい。棒濃縮濃度しきい値未満または同じ濃縮度を有するこれらの棒位置は、その中に天然ウランの12インチ(30.5cm)セグメント、すなわち12インチ(30.5cm)ブランケットを有することになろう。
【0069】
低濃縮度燃料棒の大部分は制御ブレード132の近くに密集するので、このような変化は結果的に熱的余裕、露出能力、およびHOTX結果の比較的小さな変化となり、潜在的にMABWP限界のための計算結果に大きな影響を有する。
【0070】
続いて、実施形態はさらに、その頂端部に可変天然ウランブランケットを有するように形成された原子炉の燃料バンドルを提供する。燃料バンドルは、バンドルの頂端部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを含んでもよい。棒濃縮度のしきい値を超える燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを備えている。棒濃縮度のしきい値未満もしくはこれと等しい燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に12インチ(30.5cm)天然ウランブランケットを備えてもよい。上に論述したように、各棒位置は、MSBWP反応度限界をそのための受入れ可能な余裕内で満たすように評価される。
【0071】
次の追加の実施形態もまた、安全条件を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルの中に1つ以上の燃料棒を含む原子炉のエネルギー発生出力を向上させる方法のために提供され、この方法を対象とする。この例の方法は、(a)燃料棒と燃料棒バンドルの選択された軸方向(垂直)領域および選択された径方向(水平)領域において、核分裂性物質による、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒における濃縮度の変化をシミュレートすること、および(b)安全条件が満たされるかどうかを計算することを含むことができる。ステップ(a)および(b)を、安全条件をなお満たす、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒における核分裂性物質の最高濃縮度レベル(または実質的に最高の濃縮度レベル)が確認されるまで、繰り返すことができる。したがって、安全条件を満たす最高濃縮度レベル(または実質的に最高の濃縮度レベル)の指示を、ユーザーまたは設計者に出すことができる。
【0072】
上記の追加実施形態では、核分裂性物質は235Uまたはその等価物であってもよい。また安全条件はMSBWP安全条件であってもよい。選択された軸方向領域は、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒の約0インチ〜150インチ(0〜381cm)間にあってもよい。他の適切な軸方向領域は、1つ以上の燃料棒の底から測って0〜6インチ(0〜15.2cm)間、138〜144インチ(350.5〜365.8cm)間、および/または144〜150インチ(365.8〜381cm)間にあってもよい。別の実施形態によれば、上記の方法はまた、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒を、天然を超えて(例えば、235U約0.71重量%を超えて)、最高、または安全条件(例えば、MSBWP安全条件)を満たすステップ(c)で確認された実質的に最高の濃縮度レベルまで、および/またはこれを含めて濃縮させるステップ(e)を含んでもよい。
【0073】
こうして例示的実施形態を説明したが、これを多くの方式で変えることもできることは明らかである。このような変形は例示的実施形態から逸脱するものとは見なされず、当業者には明白であろうこのようなすべての変形は、添付の請求の範囲の中に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の沸騰水型原子炉(BWR)の概略図である。
【図2】原子炉容器の炉心における燃料バンドルを示す図である。
【図3】制御ブレードの一象限に位置する燃料バンドルにおける10×10配列の燃料棒とウォータロッドのx−yマップ分布である。
【図4】燃料棒のさまざまな軸方向区画を示す図である。
【図5】高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26868)である。
【図6】高さ=6インチ(15.2cm)(すなわち>6インチ)〜54インチ(137.2cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26869)である。
【図7】高さ=54インチ(137.2cm)(すなわち>54インチ)〜84インチ(213.4cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26870)である。
【図8】高さ=84インチ(213.4cm)(すなわち>84インチ)〜96インチ(243.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26871)である。
【図9】高さ=96インチ(243.8cm)(すなわち>96インチ)〜138インチ(350.5cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26872)である。
【図10】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26873)である。
【図11】高さ=144インチ(365.8cm)(すなわち144インチ)〜150インチ(381cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26874)である。
【図12】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、この軸方向位置(ノード24)における燃料バンドルのすべてのロッドが0.71の天然ウラン濃度を有する、x−yマップ分布(例えば72017)である。
【図13】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、このノード24におけるバンドルの33%が天然ウランであり、残りは濃縮ウランである、x−yマップ分布(例えば70017)である。
【図14】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、このノード24におけるバンドルの24%が天然ウランであり、残りは濃縮ウランである、x−yマップ分布(例えば73017)である。
【図15】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、この位置におけるバンドルの0%が天然ウランであり、すなわち全部が濃縮ウランノードである、x−yマップ分布(例えば75017)である。
【図16】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計の高温過剰反応度のグラフである。
【図17】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための低温停止余裕(CSDM)のグラフである。
【図18】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための炉心装荷に対するMFLCPRの影響のグラフである。
【図19】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための炉心装荷に対するMFLPDの影響のグラフである。
【図20】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のためのMSBWPに対する影響のグラフである。
【符号の説明】
【0075】
B 燃料バンドル
C 外部チャンネル
S スペーサ
L 下部タイプレート
U 上部プレート
100 燃料棒
110 ポンプ
112 原子炉容器
114 原子炉格納容器
116 燃料棒
118 タービン
120 発電機
122 復水器
130 ウォータロッド
132 制御ブレード
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、最小臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)安全条件を満たしながら、原子炉のエネルギー出力を向上する方法、原子炉の1つ以上の燃料バンドルにおける選択可能な燃料棒のために可変天然ブランケットを使用するように、延長天然ウランブランケット層に従属させようとする燃料棒を決定する方法、および可変天ウランブランケットを有する燃料バンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の沸騰水型原子炉(BWR)を示し、図2は、原子炉容器の炉心の燃料バンドルを示し、図3は、制御ブレードの一象限の中に位置する燃料バンドル内の燃料棒とウォータロッドとの10×10配列のx−yマップ分布を示す。
【0003】
図1に示すように、ポンプ110が、導管を通じて水を(例えば、ポンプ110から原子炉格納容器114に向かう矢印の方向に)、原子炉格納容器114の内部に収納された原子炉容器112へ供給する。原子炉容器の炉心は正しく配置された多くの燃料バンドルBを含む。制御された核分裂が炉心の燃料バンドル(例えば図2の燃料バンドルB)において起こり、熱を発生させ、この熱が、供給されて燃料棒の間を流れる水(図示せず)を蒸気に変える。
【0004】
図1を参照すると、蒸気(図示せず)は、発電機120に動力を供給するために、原子炉容器112からタービン118へ供給され、発電機120は電気エネルギーを出力する。タービン118へ供給される蒸気は、復水器122において凝縮されて水に戻る。凝縮された蒸気からの水はポンプ110に戻って再利用される。上記の工程が(多サイクル)繰り返されてBWRから電気を発生する。
【0005】
原子炉容器の代表的な炉心は、概して約200個から約900個までの燃料バンドルBを含むことができる。もちろん、原子炉の安全度とエネルギー出力の要件を満たす限り、さまざまな構成とさまざまな個数の燃料バンドルを使用してもよい。図2に示すように、所定の燃料バンドルBは、上部プレートUと下部タイプレートLとの間で全体的に互いに平行に延在する複数の燃料棒100を包囲する外部チャンネルCを含む。一般に、燃料棒100は、図3に示すように概して直線行列の形で備えられている。
【0006】
燃料棒100は、複数のスペーサSによって互いに横方向に離隔され、これらのスペーサSは、チャンネルCの内部で燃料棒100の長さに沿って互いに垂直方向に分けられている。図3は、燃料チャンネルCによって包囲された10×10配列の燃料棒100を図示している。燃料棒100は、直交行列状に配置されて、1つ以上のウォータロッド130を包囲し、図3には2個のウォータロッド130が示されている。その他の構成を使用してもよい。原子炉冷却材(ウォータロッド内の水とは別)が燃料棒100の間を流れ、(1つ以上の)燃料バンドルの(1つ以上の)燃料棒の中で起こる核反応から発生する熱を収集する。
【0007】
図3では、所定の燃料バンドルBが、十字形の制御ブレード132の一象限に配置され(例えば、この例では4象限の1つだけが示されている)、十字形の制御ブレードは、BWRに関して従来から知られている制御ブレード構成である。周知のように、所定の燃料バンドルBが通常、制御ブレード132の他の3象限の各々に配置されている。バンドルB間の(1つ以上の)制御ブレード132の上(および下)移動が、バンドルBの中で起こる核反応度の量を制御する。図1〜3は、BWRの原子炉炉心のバンドル内におけるロッド100のただ1つの従来の配置を示す。当業者には明白であるように、その他の配置を使用してもよい。
【0008】
所定の燃料棒100では、燃料棒100は通常、バンドルの中のその垂直スパン内のさまざまな位置に沿って、ウラン(例えば、同位元素238Uおよび235Uを含むペレット)によって充填され、235Uの量は、原子炉における安全な運転条件を明らかにするために(望みに応じて)濃縮してもよい。同位元素235Uは通常、ウランの中に0.711(重量)%の濃度で存在し、残りのウランは同位元素238Uである。したがって、以下に使用するように、0.71は天然ウランの濃度を表す。
【0009】
濃縮工程を経た後、濃縮ウランは、約2%(すなわちわずか2重量%を超える)から約5(重量)%までの235Uを含むことができ、残りのウランは同位元素238Uである。濃縮ウランでは約5(重量)%を超える量の235Uを使用することもできようが、商用発電原子炉では従来から濃縮ウランは5%までに限られている。
【0010】
上で論述したように、燃料棒100は、そのある部分では天然ウランのペレットで、その他の部分では濃縮ウランのペレットによって、燃料棒100の垂直(軸方向)高さに沿って充填されている。ペレットの一部分は天然ウランだけを含み、その他のペレットは天然ウランと濃縮ウランの組合せを含んでもよい。さらに、ペレットの一部は濃縮ウランだけを含んでもよい(235Uの濃度が天然ウランの中に存在する濃度より高い、すなわち>0.71)。通常、ウランペレットの高さを約半インチ(約1.3mm)にしてもよい。
【0011】
代表的な燃料棒100は約200個までのペレットを含むことができる。また、ある部分では、燃料棒100はペレットを含まず、空所(後で説明するようにVで示される)を備えてもよく、または燃料棒100は打ち切られた高さ(後で説明するようにEで示される)を有してもよい。したがって、所定の(1個または複数個の)燃料棒100は、所定の燃料棒バンドルBの内部の他の燃料棒よりも短いことがある。
【0012】
図4は、所定の燃料棒100のさまざまな軸方向区画を表す図である。図2および3におけるバンドルBを参照すると、10×10配列の燃料棒100とウォータロッド130は、燃料バンドルBの(例えば、水平)断面を横切って切るx−yマップ分布(または径方向格子)によって表すことができる。図4では、代表的な燃料棒100は約150インチ(約381cm)の高さを有する。図4は、棒100の垂直高さに沿ったところの、0インチ(0cm)から150インチ(381cm)までの7つのx−y方向マップの分布を示す。燃料棒100の各6インチ(15.2cm)のセグメントをノードと呼んでもよい。したがって、150インチ(381cm)の中に25個のノードが存在し、ノード1は燃料棒100の底部6インチ(15.2cm)を表し、ノード25は燃料棒100のその底から144インチ(365.8cm)から150インチ(381cm)までの間のセグメントを表す。
【0013】
これらのx−yマップ分布は、燃料棒100の底から出発して、図4において次のように確認される。
【0014】
(a)26868(高さ=0インチ(0cm)から6インチ(15.2cm)まで延在する、ノード1)、
(b)26869(高さ=6インチ(15.2cm)から54インチ(137.2cm)まで延在する、ノード2〜9)、
(c)26870(高さ=54インチ(137.2cm)から84インチ(213.4cm)まで延在する、ノード10〜14)、
(d)26871(高さ=84インチ(213.4cm)から96インチ(243.8cm)まで延在する、ノード15〜16)、
(e)26872(高さ=96インチ(243.8cm)から138インチ(350.5cm)まで延在する、ノード17〜23)、
(f)26873(高さ=138インチ(350.5cm)から144インチ(365.8cm)まで延在する、ノード24)、および
(g)26874(高さ=144インチ(365.8cm)から150インチ(381cm)まで延在する、ノード25)。
【0015】
図5〜11は、燃料棒の高さの0〜150インチ(0〜381cm)間の、上記の7つの特定位置の各々における所定の燃料棒バンドルBの全燃料棒100に関する上記(a)から(g)までに対応するx−yマップ分布を示す。図5から図11のx−yマップ分布を図4と共に見ていただきたい。図5から図11において、「V」を付けたセル(燃料棒)は、対応するx−yマップ分布に示すセル位置において燃料棒100が全く存在しないことを示し、「E」は、燃料棒100のシェルは存在するが、(燃料棒100の)シェルは対応するx−yマップ分布に示す対応するセル位置において空であることを示す。図5〜11を、下記の論述に関して参照されたい。
【0016】
図5は、高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の位置における所定の燃料棒バンドルのすべての燃料棒に関するx−yマップ分布(例えば26868)を示す。図5において、数「0.71」は、高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の対応するセル位置(A1〜J10)における燃料棒の中に存在する235Uの量の濃度(重量パーセント)、すなわち換言すれば、天然ウランを有するその位置またはノード(ノード1)における燃料棒100を反映する。図5において、セルD6、D7、E6、およびE7は、図3において130として確認される円に対応するウォータロッド(WR)を構成し、図3の第2ウォータロッド130はセルF4、F5、G4、およびG5によって示されている。
【0017】
ノード1(底から0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間のすべての燃料棒100はこの位置において天然ウランの集積を有するので、図5のx−yマップ分布は、ノード1における所定のバンドルB全燃料棒の底部における全「天然」ブランケット層の形成を示す。燃料バンドルBの底部におけるこの6インチ天然ブランケットは、指定の安全および/または運転限界の内で安全な原子炉運転を保証する助けになるために設けられる。図6〜9は、上記の(b)〜(e)に示す位置またはノードに対応するx−yマップ分布を示し、単に比較参照のために提供した。
【0018】
図10は、高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26873)であり、図11は、高さ=144インチ(365.8cm)(すなわち>144インチ)〜150インチ(381cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26874)である。BWRでは従来、別の全「天然」ブランケット層が、図10および11(x−yマップ分布26873および26874)において反映されるように、138インチ(350.5cm)〜150インチ(381cm)間の高さにおける所定のバンドルB内における燃料棒100の頂部に設けられる。ノード24および25におけるこの12インチ天然ブランケットもまた通常、指定の安全限界内での安全な原子炉運転を保証するために備えられる。
【0019】
底部ノード1(6インチ(15.2cm)天然ウラン)および頂部ノード(ノード25(頂部)における6インチブランケットまたはノード24および25における12インチブランケットのいずれも)における天然ブランケットの使用は、プラント設計者にとっては従来からの設計上の選択肢である。これらの天然ブランケットの使用により、炉心の頂部と底部からの中性子漏洩を減らすことによって、バンドル濃縮を全体的に減少させることが可能になる。しかしそれでも、頂部におけるより大きな12インチブランケットは結果的に、効果的にはより短い燃料バンドルとなり、これは炉心の非周辺部分における熱的余裕を減少させ、したがって熱出力を低下させる可能性がある。
【0020】
さらに、MFLPD(制限出力密度の最大部分Maximum Fraction of Limiting Power Density)、MAPRAT(MAPLHGR(最大平均平面線形発熱Maximum Average Planar Linear Heat Generation)の、その限界値に対する比)、MFLCPR(制限限界出力比の最大部分(Maximum Fraction of Limiting Critical Power Ratio))、および反応度パラメータの限界(低温炉停止余裕(CSDM: cold shutdown margin)および高温過剰反応度(HOTX: hot excess reactivity))などの熱的パラメータの限界を満たすことができることに加えて、より大きな12インチブランケットの使用は、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)として知られている反応度パラメータのための限界または条件を満たすことを困難にする可能性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の実施形態は、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP: maximum subcritical banked withdrawal position)の反応度限界を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルに1つまたは燃料棒を包含する原子炉のエネルギー発生出力を向上するための方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の方法では、燃料バンドルの頂部での評価対象であるところの、格子の軸断面内にある個別燃料棒の濃縮度がランク付けされ、その格子の最高ランクの棒位置の燃料ピンは天然ウランピンに置き換えられる。次に炉心シミュレーションが実施され、MSBWP反応度限界に対して何らかの余裕があるかどうかを決定する。より低いランクの候補燃料棒位置の各々について、ピンの置換え機能と炉心シミュレーション機能が、棒の位置がMSBWP反応度限界を越えなくなるまで繰り返され、この結果、燃料バンドル頂部についての所望の格子設計を達成する。
【0023】
別の実施形態では、原子炉における燃料バンドルのための天然ウランブランケット層を決定する方法を対象とする。この方法は、バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す軸方向位置における、バンドル内のすべての燃料棒位置における棒の濃縮度を評価することを含む。天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットは、燃料棒濃縮度しきい値を超える濃縮度を有する燃料棒位置に備えられる。その他、天然ウランの12インチ(30.5cm)ブランケットが、燃料棒濃縮度しきい値より低いか等しい濃縮度を有する燃料棒位置に備えられる。
【0024】
さらに別の実施形態は、原子炉の燃料バンドルを対象とする。燃料バンドルは、その底部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット層を含む。そのバンドルは、燃料棒濃縮度しきい値を超える燃料棒濃縮度を備えたバンドル頂端部の軸断面における1つ以上の選択可能燃料棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを有する。燃料棒濃縮度しきい値より低いか等しい燃料棒濃縮度を有する軸断面における1つ以上の選択可能な燃料棒位置は、12インチ(30.5cm)天然ウランブランケットを中に有する。
【0025】
本発明の実施形態は、添付の図面/図と共に行う詳細な説明からさらに明白に理解されよう。本明細書において提供される図面/図は単なる例証的な目的のためである。その他の変形も可能である。さらに、図面/図は例証的な目的のために提供されているので、一定縮尺で画かれていないかもしれない。さらに、さまざまな図面/図が、定義によって本発明を実施するために必要とされない任意選択の設備機器を示すこともある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に詳細に説明しようとする一実施形態では、MSBWP反応度限界を満たしながら、原子炉のエネルギー発生出力を向上する方法を説明する。
【0027】
後述のあるで実施形態は、MSBWP反応度限界/制約または安全条件を満たすような235Uを含む原子炉燃料バンドルの第2最頂部6インチ(15.2cm)(例えば、高さ138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)の間)にある選択された燃料棒を識別して、または濃縮する方法を対象とする。その他の変形実施形態も、本発明の範囲内で可能である。例えば、235Uの代わりに、別の核分裂性燃料を適切なものとして使用することもできる。その他の変形実施形態も、当業者には認識されるように、本発明の範囲内にあるものとして企画される。
【0028】
本発明の一態様は、MSBWP反応度限界基準/安全度条件を満たし、さらにまた原子炉のエネルギー出力を向上させる新しい燃料バンドルの設計に関する。本発明のさまざまな態様を正しく認識するため、および各図に示すさまざまな格子設計を説明するために、図6を参照する。
【0029】
図6は、高さが6インチ(15.2cm)(すなわち>6インチ)乃至54インチ(137.2cm)にある或る位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26869)である。これは、図4に示す、燃料棒100における6インチ(15.2cm)〜54インチ(137.2cm)間のノードに対応する。図6において、この格子設計にある各々のセル(A1からJ10まで)は、各関連セル位置において記述の特定重量パーセント値で示された量(重量パーセントで示す)の235Uを含む。したがって例えば、図6のセルA1は番号1.60でマークされる。これは、高さが6インチ(15.2cm)〜54インチ(137.2cm)の間(図4におけるマップ分布の高さ即ち軸方向位置26869と一致)では、燃料棒100は1.60(重量)%の235Uを含むことを意味する。言い換えれば、(図6の)x−yマップ分布26869を図4と共に読むことは、燃料棒100において1.60重量%の235Uがある位置を正確に示すことになる。
【0030】
同様に、図6のセルD3を参照すると、235Uの量は4.40重量%である。しかし図6のセルD4では、2つの数字が記されている。上の数字は存在する235Uの量(例えば4.90重量%)を反映し、下の数字は存在するガドリニウムの量(例えば7.00重量%)を反映する。ガドリニウムは、中性子を吸収することによって核反応を減衰させる作用をする。したがって、ガドリニウムは、原子炉の局部的出力と全体的な反応度をサイクル照射線量の関数として制御する手段を提供する。しかし、ガドリニウムは運転時間と共に劣化すなわち「燃え尽きる」ことに留意しなければならない。
【0031】
上に論述したように、図6〜10(および後で論述することになる図13〜15)の各々は、10×10燃料棒集合体の新しいバンドル設計のための、ウランおよび/またはガドリニウム分布を図示する。そこには、さまざまに指定された軸方向(垂直)高さにおける径方向格子(例えばバンドルの一般的に均質の区画)が表示されている。図4および図5で注目されるように各格子は各燃料棒位置(例えばセルA1からJ10まで)の構成を示す2次元x−yマップ分布である。注にあるように、「V」として指摘される位置は、燃料棒がその位置(すなわち、ハンドルの完全な高さまで達しない部分的な燃料棒の長さ)で、消えていることを示す。また、「E」として指摘される位置は、燃料棒が空である(すなわち、例えば核分裂生成ガスを収容するための空間が棒の中に残されている)ことを示す。先に注目したように、単一数字は、天然U(0.71)または濃縮235U(>0.71濃度)に対応するが、単一セル中における2つの数字はそれぞれ、ウラン(上の数字)およびガドリニウム(下の数字)に対応する。
【0032】
新しいバンドルを設計することは、その燃料バンドルの燃料棒内における濃縮ウランおよび/またはガドリニウムなどの燃焼可能ポイズンの、軸方向(垂直方向)および径方向(水平方向)の両方向における分布を決定することである。一般的なウラン分布は、軽水炉については天然(0.711重量%)から約5重量%までの範囲にわたる。濃縮が高いほど、核分裂速度と所定の燃料棒によって生成される動力は高くなる。
【0033】
図1に示すようなBWRでは、その他の期間が適していることもあるが、一般的に1年、1年半、または2年の期間だけ運転される。原子炉炉心は、1ショートトン・ウラン当りギガワット日で測定されるある一定のエネルギー量を発生するものとして設計される。1燃料サイクルが完了すると、反応性が最低の(および一般的に最も劣化した)燃料のほぼ1/4〜1/2が除去され、新しい燃料と取り替えられる。
【0034】
露出した燃料バンドルの再配置も一般的に、燃料の保全性とプラントの安全性を保証する原子力規制委員会(NCR)によって課された制約である熱限界および反応度限界を満足させながら、炉心のエネルギー生成を最大化(または改良)するための手段として実施される。炉心装荷の設計は、露出した燃料バンドルの配置ならびに新しいバンドルの設計と配置とを必然的に含む。さらに、制御ブレード操作計略(例えば、制御ブレード配置およびノッチ位置)、および最大線出力の関数としての炉心流量も、通常は設計の一部として決定される。
<炉心シミュレーションプログラム>
炉心装荷および制御ブレード操作計略設計の決定に加えて、所定の炉心装荷のためのすべての熱的パラメータおよび反応度パラメータが、一般的に、コードTGBLAおよびコードPANACEAなどのNRC認可のコンピュータコードを利用した原子炉シミュレーションを介して決定される。これらのTGBLAおよびPANACEAコードは当技術分野ではよく知られており、これらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。TGBLAコードおよび/またはPANACEAコードの等価物を使用してもよい。
【0035】
TGBLAは、所定のバンドル格子の挙動をモデル化するが、PANACEAは、炉心装荷パターン内の(個別の格子からなる)バンドルの挙動をモデル化する。原子炉シミュレーションもまた、最大線出力の関数としての制御ブレード操作および炉心流量計略の影響を評価することを必然的に含む。
<熱的パラメータと限界>
新しいバンドル内の濃縮ウランと、(原子炉による分裂反応を制御するという面から「ポイズン」として使用される)ガドリニウムとの分布は、最大線出力の関数として炉心内の熱的限界と反応度限界を満足するように設計される。熱的パラメータの例は、MFLPD(Maximum Fraction of Limiting Power Density)(制限出力密度の最大部分)、MAPRAT(MAPLHGR(Maximum Average Planar Linear Heat Generation)すなわち最大平均平面線形発熱をその限界に対して比較した比)、およびMFLCPR(Maximum Fraction of Limiting Critical Power Ratio:制限限界出力密度の最大部分)である。反応度パラメータの例は、低温炉停止余裕(CSDM(cold shutdown margin))、高温過剰反応度(HOTX: hot excess reactivity)、および最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP:maximum subcritical banked withdrawal position)である。
【0036】
MFLPDは、所定の高さの所定のバンドルにおける局部棒出力、すなわち線量出力密度(LHGR:linear heat generation rate)(すなわち単位長さ当りキロワット)の、限界値と比較したときの比の最大として定義してもよい。MAPLHGRは、所定の高さの所定のバンドルにおける平面にわたる最大平均LHGRである。MAPRATは、MAPLHGRの限界値に対する比として理解される。
【0037】
LHGR限界は、燃料被覆管の塑性ひずみ、燃料ペレットの中心線の溶融、およびペレットの膨張を超える被覆の張出しである剥離という現象から、燃料を保護する。これは主として、核分裂生成ガスの発生によるものである。剥離は、ペレットから被覆を通って冷却材に至る熱伝達を低下させる。
【0038】
MAPRAT限界は、事故において仮定される冷却材損失中に燃料を保護し、MFLPD限界は、正常運転中に燃料を保護する。MFLCPRは、「液膜ドライアウト」現象から燃料を保護する。BWRの熱伝達において、燃料棒表面上の水の薄膜は、水が蒸気に変換されるので、燃料棒において発生する熱の適切な除去を保証する。核沸騰としても知られているこのメカニズムは、燃料棒における出力が上昇するにつれ継続し、遷移沸騰として知られるポイントまで続く。遷移沸騰中は、熱伝達は急速に低下し、薄膜が消失し、最終的には薄膜のドライアウトを引き起こし、この時点で、被覆管の表面温度は急速に上昇して、破損を引き起こす。
【0039】
バンドルの限界出力とは、所定の燃料バンドルが液膜ドライアウトを起こす出力であり、実験的試験から決定される。限界出力比(CPR)とは、限界出力の実際のバンドル出力に対する比である。MFLCPRは単に、限界値に対する各バンドルCPRの割合のあらゆるバンドルにわたる最大値である。
<反応度パラメータと限界>
CSDMは、最も反応度の高い単一の制御ブレードを除いて、すべての制御ブレードが挿入された、低温状態にある原子炉について、限界に対する反応性reactivityの余裕として定義される。CSDMは、サイクル中の各時間(照射)状態点について決定される。HOTXは、サイクル中の各露出状態点における、すべてのブレードを除去した定格出力における高温状態の原子炉の炉心反応度として定義される。MSBWPは、すべての制御ブレードに適用された、炉心が最大線出力の関数として冷間状態で原子炉のための臨界未満状態に留まる、最大ノッチ位置として定義される。
<MSBWP反応度パラメータ>
一般的に、MSBWPパラメータ条件または限界を満足するためno
業界の標準は、燃料棒高さが、例えば144(365.8cm)〜150インチ(381cm)(ノード25)間、のみならず、138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)(ノード24)間において、図11のx−yマップ分布26874を使用することとされてきた。実際、図10を参照すると、ノード24におけるx−yマップ分布は、高さが138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間にあるx−yマップ分布26873がx−yマップ分布26874に置き換えられるように、変更される。換言すれば、x−yマップ分布26874(図11を参照)は、バンドルBにおける各燃料棒100の頂部12インチ(30.5cm)にまで延ばされている。このような構成が、x−yマップ分布26868と共に燃料棒高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間で使用されると(図5のノード1を参照)、天然ウランの「ブランケット」が、x−yマップ分布26874(図11)に従って燃料棒100の頂部12インチ(30.5cm)と共に、x−yマップ分布26868(図5)に従って燃料棒100の底部6インチ(15.2cm)にも形成される。これが行われることでMSBWP限界は満たされる一方で、ノード24において(高さ=138インチ(350.5cm)から144インチ(365.8cm)間に)において全天然ウランブランケットの使用を使用することは、ピーク出力をより高める(すなわち熱的余裕が低くなる)結果になり、燃料装荷に制約を加え、これは、サイクルエネルギー要求を満足するために追加の燃料バンドル設計変更を必要とするかもしれない。
【0040】
一実施形態によれば、MSBWP限界は、NRC認可のコンピュータコードを利用する原子炉シミュレーションから決定される。この例では、この計算は、さまざまな最大線出力状態点において(例えば、0から約16000最大線出力MWd/STまで、図20を参照)、シミュレートされた低温炉停止状態(例えば68°F(20℃))の原子炉によって、同じノッチ位置に挿入されたすべての制御ブレードによってシミュレーションを実施することを必然的に含む。ノッチ位置は、全制御ブレード132の挿入(または引抜き)の一部分を示す離散値である。BWRでは、制御ブレード132は炉心の底部から挿入される。したがって例えば、ノッチ「0」は炉心への完全制御ブレード132挿入を示し、ノッチ「24」は中途引抜きを示し、ノッチ「48」は制御ブレード132を炉心の底部から完全に引き抜かれたものとして示す。これらは標準的なGeneral ElectricのBWRでは一般的である。ABB社またはGE社の改良型BWR炉設計におけるような「0」〜「100」などの、(連続制御ブレード動作を示す)その他のノッチ値も可能である。
【0041】
MSBWP限界を計算するための代表的なノッチ値は、(長さ144インチ(365.8cm)の制御棒ストロークの「0」〜「48」の範囲のためには)「2」または「4」におけるノッチ位置となり、これはプラント運転のために必要な技術仕様の基本を形成する。所定の燃料サイクル設計のために、MSBWPノッチ値の有効性が、一連の原子炉シミュレーションを実施し、十分な反応度余裕が存在して低温炉停止条件における臨界未満(MSBWP)を確証したことを確認することによって、確認されよう。
【0042】
上に述べたように、BWRでは、制御ブレード132が原子炉の底部から挿入される。したがって、完全に挿入された制御ブレード132は、反応度の制御に関しては燃料棒100の長さをバンドルBの内部に完全に覆うブレードを表すことになる。(「0」〜「48」の範囲にわたる)「2」のノッチ値のMSBWP計算は、すべての制御ブレード132を活動燃料の頂部の軸方向でわずか下方の位置に置くことになる。150インチ(381cm)長の燃料棒100のためには、これは、頂部における6インチ(15.2cm)の非制御燃料に対応する。「4」のMSBWPノッチ値は頂部12インチ(30.5cm)の活動燃料の制御などを排除する。
【0043】
従来の炉心設計は、燃料費を低減し(例えば濃縮費用または分離作業費の低減)、および/または中性子の経済性を向上する(例えば中性子漏洩を低減する)手段として、すべての燃料棒の燃料の頂部と底部における濃縮を低下させることであった。新しいバンドル内の頂部格子と底部格子とは、軸方向「ブランケット」と呼ばれ、天然(0.71重量%)から2.0重量%までにわたる濃縮分布を有する。上述したように、ブランケットは一般的に、MSBWP基準に応じて、底部において6インチ(15.2cm)、頂部において6または12インチ(30.5cm)である。MSBWP計算の定義から、頂部ブランケットの高さを増やすことは、結果的にMSBWP反応度余裕のMSBWP限界までの増加になるが、逆に望ましくないピーク出力分布(すなわち熱的余裕が少なくなる)と、追加の燃料装荷制限を引き起こすかもしれないことが理解される。一方、頂部ブランケットの高さを減少することは、結果的にMSBWP反応度余裕を減少させる(かまたは無くす)ことになる。
【0044】
従来の技術は、MSBWP反応度余裕(安全条件)要件を満たすために、頂部ブランケットの固定高さを指定している。この頂部ブランケットとは、マップ分布26868(図5)、マップ分布26874(図11)、またはマップ分布72017(図12)などに示されたセルのような、x−yマップ分布のすべてのセルにおいてすべて天然ウランからなる。しかし、燃料サイクルの設計は、燃料サイクル設計の開始前に(MSBWPを満たす)頂部ブランケットの固定長を指定することによっても、(設計自由度から見て)わずかに制約された態様で実施することもできる。頂部ブランケットの固定高さは、本来MSBWPが満たされることを確証するので、MSBWPの無視を可能にするからである。頂部ブランケットの長さを延長することは、積極的な設計制約としてのMSBWPを効果的に除去することになり、炉心の設計者がMFLCPR、MFLPD、CSDM、および/またはHOTXなどの他の熱的および反応度パラメータに集中することを可能にする。このような事例では、MSBWPシミュレーションは、最終設計(例えば、MFLCPR、MFLPD、CSDM、および/またはHOTXに関して)が設定されると、妥当性検査としてのみ実施されることになろう。しかし、MSBWP反応度パラメータは設計分析で説明すべきであり、この代わりは望ましくない。
【0045】
例えば、「2」または「4」のMSBWPノッチ値が、所定の新しいバンドル設計のために12インチ(30.5cm)の天然ウランのブランケットを必要とするかもしれない。これらの相関は、所定のプラントの設計経歴および操業経験に基づいて到達されるものであろう。上記の例では、ウラン濃縮とガドリニウムの分布からなる新しい燃料バンドル設計は、12インチ(30.5cm)の頂部天然ウランブランケットの制約内で決定されよう。12インチ(30.5cm)の頂部天然ウランブランケットを指定することによって、MSBWPを満たすことはほとんど保証される。
【0046】
本明細書に記載の代替手法は、(x−yマップ分布全体にわたって)頂部ブランケットの高さを延ばすことによるのではなく、所定のバンドル内の一定数の燃料棒または燃料棒サブセットのみの中でブランケットを延ばすことによって、MSBWP基準に取り組み、これを組み込むことである。
<MSBWPのためのバンドル設計>
提案された実施形態による手法は、設計のために(ノード24または25における)最小頂部軸方向ブランケットを想定することによって始まる。ほとんどの場合、これはノード25における頂部軸方向ブランケットの6インチ(15.2cm)に対応する。燃料サイクル設計は、照射された燃料の配置と新しい燃料の配置、(濃縮ウランとガドリニウムの分布から構成される)新しいバンドル設計、および制御ブレードと流れの運転経略の決定と共に進められよう。設計に関する制約は、MFLCPR、MFLPD、およびCSDMなどの熱的および反応度パラメータに対する限界の各々から構成されようが、設計分析はMSBWPに対する制約を含む。
【0047】
MSBWPなしでの燃料サイクル設計実施の詳細は、当技術分野では知られており、手作業による設計法ならびに自動化された最適化技法から構成されてもよい。この基本的な形では、燃料サイクル設計過程は、1)設計変数一式を指定すること、2)シミュレーションを実施すること、3)シミュレーションからの熱的および反応度パラメータ出力を限界に関して評価すること、4)1つ以上の設計変数の変化を実施して1つ以上の制約違反に取り組むこと、および5)エネルギー生産を最大化(または改善)しながら、すべての限界を満たすまでシミュレーションおよび評価過程を繰り返すこと、を必然的に含む反復過程である。
【0048】
経験から周知のように、あるいくつかの設計変数の変更は、ある一定の出力パラメータに影響する。変数の変化は局部化されるか、または全く全体的になることもある。例えば、新しいバンドルの特定の棒における濃縮度を増加させるは、棒における出力を局部的に増加し、したがってMFLPDを増加させ、同時にHOTXを増加させる。別の例では、照射した燃料を周辺に向けて移動することは、たとえ炉心内部に向かって位置するすべてのバンドルの中の出力増加の費用においても、中性子の漏洩を減らすことになり、したがってエネルギー生産を増加させる。全体的変数変化を局部的変数変化と組み合わせることによって、設計者は最高の最適化度合いを達成することができ、熱的および反応度限界を満たすことができる。
【0049】
MSBWP基準なしで燃料サイクル設計を完了すると、シミュレーションが実施されて、MSBWP計算のために存在する反応度余裕(またはその欠如)を決定する。シミュレーションに関しては、制御ブレード132が、MSBWP技術仕様限界で挿入され、原子炉は冷間状態にある。サイクル中のいくつかの照射状態点がシミュレートされる。出力結果は、例えば全くASCIIテキストまたはグラフ表示であってもよい。
【0050】
MSBWP基準に合わせるために、設計変数の変更は、新しい燃料バンドル設計に関して、選択された個別の燃料棒の頂部軸方向ゾーンを(144インチ(365.8cm)〜150インチ(381cm)における)頂部ブランケット格子の直下の格子に向けて、すなわち12インチ(30.5cm)ブランケット位置に、下向きに延ばすことによって実施される。潜在的燃料棒変更の評価を下記のように進めてもよい。
【0051】
先ず、候補棒変化のリストを、頂部ブランケット格子の直下の格子の中で、最低濃縮から最高値までの濃縮のランク付けに基づいて作る。例えば、図4の棒100の軸方向図では、格子26873(図10のx−yマップ分布としても参照)を除去し、格子26872(図9)を高さ144.0インチ(365.8cm)まで延ばす。図4および図9における格子26873を参照すると、第1ランクの濃縮(最低から最高濃縮まで)は1.6重量%の上左隅のセル「A−1」に対応し、第2および第3ランクの濃縮は、隅部セル「A−2」および「B−1」に対応し、以下同様である。
【0052】
棒の位置のランク付けリストが決定されると、次の機能を格子に関して実施することができる。すなわち、1)ランクリストに基づいて棒の位置を確認する、2)確認された位置でウラン濃縮およびガドリニウムを頂部ブランケット(例えば図11のx−yマップ分布26874)濃縮と取り替える、3)炉心シミュレーションを実施する、3)シミュレーションからMSBWP反応度余裕出力を評価する、4)ランク付けリストの次の要素に進み、MSBWP基準がすべてのセル位置について満たされるまで、シミュレーションと評価の過程を繰り返す。
【0053】
したがって上述のように、ある実施形態は、最小臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)安全条件を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルにおける1つ以上の燃料棒のエネルギー発生出力を向上させる方法を対象とする。この方法では、燃料バンドル頂部にあるバンドル格子の軸方向断面における個別の燃料棒位置での棒濃縮を、最低濃縮から最高濃縮までランク付けしてもよい。格子における最高ランクの棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替えてもよく、MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを判定するために、炉心シミュレーションを実施してもよい。
【0054】
取替え機能および実施機能を、燃料バンドル頂部のための所望の格子設計を達成するように、棒の位置がMSBWP反応度限界を違反しなくなるまで、低ランクの各候補棒位置について繰り返してもよい。次いで、所望の格子設計によって形成された(1つ以上の)燃料バンドルをその頂部に有する炉心を、来るべき運転のために装荷してもよい。
【0055】
ある実施例では、燃料バンドルは、燃料バンドルの頂部インチ部において6インチ(15.2cm)の天然ウランブランケット格子を含み、評価される燃料バンドル格子の軸方向断面は、頂部6インチ(15.2cm)の直下のバンドルの6インチ(15.2cm)格子セグメント断面である。上述のような実施例では、評価される格子は、燃料バンドルの底部から138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間にあり、すなわち24番ノードである。
上記の組織的なランク付け、取替え、および評価の方法論を、ある一定の格子設計に適用し(図12〜15を参照)、MSBWP限界ならびに燃料サイクル設計のためのその他の熱的限界と反応度限界に対する格子設計の効果を決定した。図13〜15は、図12の従来の完全天然ウランブランケット格子設計に対する比較のための、ノード24位置における3つの異なる格子設計を示す。図12は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば72017)であり、この軸方向位置(ノード24)における燃料バンドルのすべての棒は濃度0.71%の天然ウランを有する。図12〜15における燃料バンドル格子のすべては、24番ノード(棒の軸方向位置では138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間)を除いて、同じ燃料棒設計を有する。
【0056】
代替格子設計では、図13は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば70017)であり、ノード24におけるバンドルの33%は天然ウランであり、残りは濃縮ウランである。図14は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面のx−yマップ分布(例えば73017)であり、このノード24におけるバンドルの24%は天然ウランであり、残りは濃縮ウランである。図15は、高さ=138インチ(350.5cm)(または>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の他のx−yマップ分布(例えば75017)であり、この位置におけるバンドルの0%は天然ウランであり、これは完全濃縮ウランノードである。格子設計のシミュレーションから集めたデータによってわかるように、図13〜15の格子設計は、図12の従来の完全ブランケットの場合と比較して、考えられるさまざまな熱的パラメータおよび反応度パラメータに良好な影響を有する。
【0057】
図16は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計に関する高温過剰反応度のグラフである。図16は、図12〜15におけるノード24(138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm))において示す4つの異なる燃料バンドル格子設計の、ショートトン当りメガワット日(MWd/ST)で表す最大線出力に対するΔK(炉心平均高温過剰の変化、すなわちHOTX)のプロットを示す。0.001のΔKの変化は、100MWd/STの変化に対応する。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0058】
図16における曲線をプロットするために使用されたデータは、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))と「4」(138インチ(350.5cm))の間にある制御ブレード132に対応する。したがって、高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、図12(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において78本の燃料棒が天然(235U0.71重量%))、図13(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において26本の燃料棒が天然、その他はすべて濃縮)、図14(V(空)で指定する棒とウォータロッド以外はノード24において19本の燃料棒が天然、その他はすべて濃縮)、および図15(天然の棒はなく、これは完全に濃縮バンドル(235U 0.71重量%))に対応するΔHOTX曲線が示されている。
【0059】
サイクルエネルギーに対する影響を、図12〜15におけるさまざまな格子のHOTXの変化を比較することによって理解することができる。図16に示すように、0.03ΔKより大きなHOTXの増加は、図12の完全ブランケット延長部に関して、図13〜15の代替格子設計によって可能であり、これは選択されたバンドル設計のための数週間の追加エネルギーとして解釈してもよい。
【0060】
図17は、図12〜15に示す4つの燃料バンドルの低温炉停止余裕(CSDM)のグラフである。図17は、図12〜15に示す4つの異なる燃料バンドル(例えば、72017;70017;73017;および75017)の、ノード24に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)、すなわちノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))の間に置かれたときの、ショートトン当りメガワット日(MWd/ST)で表す最大線出力に対するΔKのプロットである。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0061】
図17から理解できるように、図13〜15のさまざまな格子のノード24における部分的濃縮または完全濃縮バンドル断面を使用することの、CSDMに対する影響は、図12のノード24における現在の場合の格子設計と比較してわずかである。CSDMの変化は、(図15のx−yマップ分布について)サイクル全体にわたって+/−0.002ΔKの最悪の場合の変化を示す。これはCSDMの対する最小の影響を表す。
【0062】
図18は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計のためのMFLCPRの炉心装荷に対する影響のグラフである。図18は、図12〜15に示す4つの異なる燃料バンドル(例えば、72017;70017;73017;および75017)の、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔMFLCPR(制限限界出力比の最大部分の変化)のプロットである。使用されたシミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。図18は実際に、図12に示すノード24における従来の格子設計と比較して、熱的パラメータMFLCPRに利用可能な余裕に関する改良を示す。図18は、図13〜15における格子設計のサイクルの端部において0.007〜0.015の追加余裕を示す。
【0063】
図19は、図12〜15に示す4つの燃料バンドルの炉心装荷に対するMFLPDの影響のグラフである。図19は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計(例えば、72017;70017;73017;および75017)のための、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔMFLPD(制限出力密度の最大部分の変化)のプロットである。シミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0064】
図19もまた、図12に示すように、24番ノードにおける従来の格子設計と比較して、図13〜15における格子設計のための熱的パラメータMFLCPRに利用可能な余裕に関する改良を示す。図19は、図13〜15における格子設計のサイクルの端部において約0.018〜0.029間の追加余裕を示す。
【0065】
図20は、図12〜15に示す4つの燃料バンドル格子設計のMSBWPに対する影響のグラフである。図20は、図12〜15のノード24における4つの燃料バンドル格子設計(例えば、72017;70017;73017;および75017)のための、ノッチ「2」(144インチ(365.8cm))とノッチ「4」(138インチ(350.5cm))に対応する高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間に置かれたときの、MWd/STで表す最大線出力に対するΔK(最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)の変化)のプロットである。シミュレーションは、核断面を発生させるためのTGBLAコードに基づいて行われ、PANACEA炉心シミュレーションソフトウェアが使用された。
【0066】
MSBWPに対する影響を、図20において、例示的設計過程のさまざまな段階について容易に理解することができる。図20では、図13〜15における格子の比較を、図12の格子設計において示されているように、全ブランケット延長部に対して行った。必要なMSBWP反応度余裕のために、例えば、全ブランケット延長部に関して−0.0325のΔKに設定すると(図20におけるMSBWPを標示する点線を参照)、ノード24および25において延長12インチ(30.5cm)ブランケットを有するすべての燃料棒に対して、延長ブランケット(12インチ(30.5cm)ブランケット)を有する炉心の頂部(138インチ(350.5cm)〜150インチ(381cm)間)において所定の格子設計のサブセットの燃料棒のみによって、MSBWPを満足する多くの可能な設計が存在する。
【0067】
例えば、ΔKをMSBWPのために−0.0325に、235Uの濃縮度を24番ノード(高さ=138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm))に設定すると、MSBWP安全条件は、図20によって示すように、x−yマップ分布70017(図13)、73017(図14)によってサイクル全体について、また全濃縮度マップ分布(図15)については約12000サイクルまで満たされる。図16〜19の他のシミュレーションにおけるように、制御ブレード132はノッチ=2((1つ以上の)燃料棒の頂部6インチ(15.2cm)を除くすべて)まで挿入される。換言すれば、138インチ(350.5cm)〜144インチ(365.8cm)間の頂部ブランケットの変化(例えば、図12のx−yマップ分布72017に示されるすべての天然ウランブランケットより高い濃縮度)を使用して、なおMSBWP条件を満たしながらエネルギー出力を向上させることもできる。
【0068】
MSBWP基準を満たすと、第2〜頂部格子(ノード24および25)の濃縮度分布内の多くの変化が行われ、確認されよう。従来の技術とは反対に、この変化数は、格子内のすべての燃料棒の大規模な変化(すなわち、頂部ブランケットの完全な下向き延長)に対して、ブランケット格子内の燃料棒の小さなサブセットに対応する。
<天然ウランブランケットの決定−バンドルの頂端部>
上記に照らして、棒の位置ごとにバンドルの頂端部にブランケットを決定することが可能である。ある実施例では、これを、24番および/または25番ノードにおける棒濃縮度をあるしきい値の棒濃縮度値と比較することによって行ってもよい。ある実施例では、この濃縮は天然ウランの濃縮度(0.71)と同じでもよい。一実施例として、バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す軸方向位置におけるバンドルにおけるすべての燃料棒位置での棒濃縮度を、棒濃縮濃度しきい値に対して評価してもよい。棒濃縮濃度しきい値を超える濃縮度を有する棒位置のために、天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットを備えてもよい。棒濃縮濃度しきい値未満または同じ濃縮度を有するこれらの棒位置は、その中に天然ウランの12インチ(30.5cm)セグメント、すなわち12インチ(30.5cm)ブランケットを有することになろう。
【0069】
低濃縮度燃料棒の大部分は制御ブレード132の近くに密集するので、このような変化は結果的に熱的余裕、露出能力、およびHOTX結果の比較的小さな変化となり、潜在的にMABWP限界のための計算結果に大きな影響を有する。
【0070】
続いて、実施形態はさらに、その頂端部に可変天然ウランブランケットを有するように形成された原子炉の燃料バンドルを提供する。燃料バンドルは、バンドルの頂端部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを含んでもよい。棒濃縮度のしきい値を超える燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケットを備えている。棒濃縮度のしきい値未満もしくはこれと等しい燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に12インチ(30.5cm)天然ウランブランケットを備えてもよい。上に論述したように、各棒位置は、MSBWP反応度限界をそのための受入れ可能な余裕内で満たすように評価される。
【0071】
次の追加の実施形態もまた、安全条件を満たしながら、1つ以上の燃料棒バンドルの中に1つ以上の燃料棒を含む原子炉のエネルギー発生出力を向上させる方法のために提供され、この方法を対象とする。この例の方法は、(a)燃料棒と燃料棒バンドルの選択された軸方向(垂直)領域および選択された径方向(水平)領域において、核分裂性物質による、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒における濃縮度の変化をシミュレートすること、および(b)安全条件が満たされるかどうかを計算することを含むことができる。ステップ(a)および(b)を、安全条件をなお満たす、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒における核分裂性物質の最高濃縮度レベル(または実質的に最高の濃縮度レベル)が確認されるまで、繰り返すことができる。したがって、安全条件を満たす最高濃縮度レベル(または実質的に最高の濃縮度レベル)の指示を、ユーザーまたは設計者に出すことができる。
【0072】
上記の追加実施形態では、核分裂性物質は235Uまたはその等価物であってもよい。また安全条件はMSBWP安全条件であってもよい。選択された軸方向領域は、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒の約0インチ〜150インチ(0〜381cm)間にあってもよい。他の適切な軸方向領域は、1つ以上の燃料棒の底から測って0〜6インチ(0〜15.2cm)間、138〜144インチ(350.5〜365.8cm)間、および/または144〜150インチ(365.8〜381cm)間にあってもよい。別の実施形態によれば、上記の方法はまた、1つ以上の燃料棒バンドルの中の1つ以上の燃料棒を、天然を超えて(例えば、235U約0.71重量%を超えて)、最高、または安全条件(例えば、MSBWP安全条件)を満たすステップ(c)で確認された実質的に最高の濃縮度レベルまで、および/またはこれを含めて濃縮させるステップ(e)を含んでもよい。
【0073】
こうして例示的実施形態を説明したが、これを多くの方式で変えることもできることは明らかである。このような変形は例示的実施形態から逸脱するものとは見なされず、当業者には明白であろうこのようなすべての変形は、添付の請求の範囲の中に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の沸騰水型原子炉(BWR)の概略図である。
【図2】原子炉容器の炉心における燃料バンドルを示す図である。
【図3】制御ブレードの一象限に位置する燃料バンドルにおける10×10配列の燃料棒とウォータロッドのx−yマップ分布である。
【図4】燃料棒のさまざまな軸方向区画を示す図である。
【図5】高さ=0インチ(0cm)〜6インチ(15.2cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26868)である。
【図6】高さ=6インチ(15.2cm)(すなわち>6インチ)〜54インチ(137.2cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26869)である。
【図7】高さ=54インチ(137.2cm)(すなわち>54インチ)〜84インチ(213.4cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26870)である。
【図8】高さ=84インチ(213.4cm)(すなわち>84インチ)〜96インチ(243.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26871)である。
【図9】高さ=96インチ(243.8cm)(すなわち>96インチ)〜138インチ(350.5cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26872)である。
【図10】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26873)である。
【図11】高さ=144インチ(365.8cm)(すなわち144インチ)〜150インチ(381cm)間の位置における燃料棒バンドルの構成のx−yマップ分布(例えば26874)である。
【図12】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、この軸方向位置(ノード24)における燃料バンドルのすべてのロッドが0.71の天然ウラン濃度を有する、x−yマップ分布(例えば72017)である。
【図13】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、このノード24におけるバンドルの33%が天然ウランであり、残りは濃縮ウランである、x−yマップ分布(例えば70017)である。
【図14】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、このノード24におけるバンドルの24%が天然ウランであり、残りは濃縮ウランである、x−yマップ分布(例えば73017)である。
【図15】高さ=138インチ(350.5cm)(すなわち>138インチ)〜144インチ(365.8cm)間の位置における燃料棒バンドルの格子断面の、この位置におけるバンドルの0%が天然ウランであり、すなわち全部が濃縮ウランノードである、x−yマップ分布(例えば75017)である。
【図16】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計の高温過剰反応度のグラフである。
【図17】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための低温停止余裕(CSDM)のグラフである。
【図18】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための炉心装荷に対するMFLCPRの影響のグラフである。
【図19】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のための炉心装荷に対するMFLPDの影響のグラフである。
【図20】図12〜15に示す4個の燃料バンドル格子設計のためのMSBWPに対する影響のグラフである。
【符号の説明】
【0075】
B 燃料バンドル
C 外部チャンネル
S スペーサ
L 下部タイプレート
U 上部プレート
100 燃料棒
110 ポンプ
112 原子炉容器
114 原子炉格納容器
116 燃料棒
118 タービン
120 発電機
122 復水器
130 ウォータロッド
132 制御ブレード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の燃料棒バンドル中に1つ以上の燃料棒を含む原子炉のエネルギー発生出力を、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)反応度限界を満たしながら、向上させるエネルギー発生出力改善方法であって、
燃料バンドルの頂部において評価される格子の軸方向断面における個別の燃料棒の濃縮度をランク付けするランク付け工程と、
前記格子における最高にランク付けされた棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替える取り換え工程と、
MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを決定するための炉心シミュレーションを実施するシミュレーション実施工程と、
前記燃料バンドルの頂部のための所望の格子設計を達成するように、低くランク付けされた各候補棒位置について、どの棒位置もMSBWP反応度限界に違反しなくなるまで、前記取替えおよびシミュレーション実施とを繰り返す工程とを含むことを特徴とするエネルギー発生出力改善方法。
【請求項2】
頂端部に前記所望の格子設計によって構成された燃料バンドルを有する原子炉炉心を運転する工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項3】
前記燃料バンドルが、その頂部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット格子を含み、評価される前記燃料バンドルの軸方向断面が前記6インチ(15.2cm)ブランケットの直下の6インチ(15.2cm)格子であることを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項4】
評価される前記格子が、燃料バンドルの底部から138〜144インチ(350.5〜365.8cm)間にあることを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項5】
前記ランク付け工程は、最低濃縮度から最高濃縮度までの順序で格子内の棒位置をランク付けする工程を含む請求項1記載の改善方法。
【請求項6】
原子炉の燃料バンドルについて天然ウランブランケット層を決定する方法であって、
前記バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す1つの軸方向位置において、前記バンドル内の全ての燃料棒位置における棒濃縮度を評価する工程と、
棒濃縮濃度しきい値を超える濃縮度を有する棒位置については、天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットを設け、あるいは、棒濃縮濃度しきい値以下の濃縮度を有する棒位置については、天然ウランの12インチ(30.5cm)ブランケットを設ける工程とを含むことを特徴とする決定方法。
【請求項7】
底端部に6インチ(15.2cm)の天然ウランブランケット層を含む、原子炉の燃料バンドルであって、
棒濃縮度しきい値を超える燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット層を有し、棒濃縮度しきい値以下の燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に12インチ(30.5cm)天然ウランブランケット層を有することを特徴とする燃料バンドル。
【請求項8】
核棒位置が、MSBWP反応度限界をこれに対する容認可能な余裕内で満たす請求項7記載の燃料バンドル。
【請求項1】
1つ以上の燃料棒バンドル中に1つ以上の燃料棒を含む原子炉のエネルギー発生出力を、最大臨界未満バンク引抜き位置(MSBWP)反応度限界を満たしながら、向上させるエネルギー発生出力改善方法であって、
燃料バンドルの頂部において評価される格子の軸方向断面における個別の燃料棒の濃縮度をランク付けするランク付け工程と、
前記格子における最高にランク付けされた棒位置の燃料ピンを、天然ウランピンと取り替える取り換え工程と、
MSBWP反応度限界に余裕があるかどうかを決定するための炉心シミュレーションを実施するシミュレーション実施工程と、
前記燃料バンドルの頂部のための所望の格子設計を達成するように、低くランク付けされた各候補棒位置について、どの棒位置もMSBWP反応度限界に違反しなくなるまで、前記取替えおよびシミュレーション実施とを繰り返す工程とを含むことを特徴とするエネルギー発生出力改善方法。
【請求項2】
頂端部に前記所望の格子設計によって構成された燃料バンドルを有する原子炉炉心を運転する工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項3】
前記燃料バンドルが、その頂部に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット格子を含み、評価される前記燃料バンドルの軸方向断面が前記6インチ(15.2cm)ブランケットの直下の6インチ(15.2cm)格子であることを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項4】
評価される前記格子が、燃料バンドルの底部から138〜144インチ(350.5〜365.8cm)間にあることを特徴とする請求項1記載の改善方法。
【請求項5】
前記ランク付け工程は、最低濃縮度から最高濃縮度までの順序で格子内の棒位置をランク付けする工程を含む請求項1記載の改善方法。
【請求項6】
原子炉の燃料バンドルについて天然ウランブランケット層を決定する方法であって、
前記バンドルの頂部6インチ(15.2cm)の断面を表す1つの軸方向位置において、前記バンドル内の全ての燃料棒位置における棒濃縮度を評価する工程と、
棒濃縮濃度しきい値を超える濃縮度を有する棒位置については、天然ウランの6インチ(15.2cm)ブランケットを設け、あるいは、棒濃縮濃度しきい値以下の濃縮度を有する棒位置については、天然ウランの12インチ(30.5cm)ブランケットを設ける工程とを含むことを特徴とする決定方法。
【請求項7】
底端部に6インチ(15.2cm)の天然ウランブランケット層を含む、原子炉の燃料バンドルであって、
棒濃縮度しきい値を超える燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に6インチ(15.2cm)天然ウランブランケット層を有し、棒濃縮度しきい値以下の燃料棒濃縮度を有するバンドルの頂端部における軸方向断面での選択可能な棒位置は、その中に12インチ(30.5cm)天然ウランブランケット層を有することを特徴とする燃料バンドル。
【請求項8】
核棒位置が、MSBWP反応度限界をこれに対する容認可能な余裕内で満たす請求項7記載の燃料バンドル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−116447(P2008−116447A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274559(P2007−274559)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】
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