説明

原子炉溶融阻止冷却装置

【課題】 原子力発電プラントにおいて使用されるリスク軽減構成部品を提供すること。
【解決手段】 例示的な実施形態は、事故シナリオにおける損傷防止及びリスク軽減に使用するための空間特性及び機械特性の改善を可能にする基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)(100)を提供する。例示的な実施形態は、原子力規制委員会により要求される最小限の安全マージンを維持しながら、基盤床(62)及び/又は直径4インチ未満のクーラントチャンネル(130)から10度未満の傾きを有するBiMACを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、原子力発電プラントにおいて使用されるリスク軽減構成部品に関する。本発明は、米国エネルギー省により授与された契約番号DE−FCO7−071D14778に基づき米国政府の支援を得て行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
原子炉では、予想外の発電プラント事象の危険性及びその間の損傷を最小限に抑えるために様々な損傷防止/軽減装置及び方策が用いられている。リスク軽減の重要な側面は、環境への放射性物質の漏洩の防止である。従来、格納建造物は、この目的のために炉心を囲むように建造され、複数のリスク軽減装置を用いて、確実に格納建造物が過渡事象中に破壊されないようにされる。
【0003】
既知の損傷及びリスク軽減装置は、基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)である。BiMACは、原子炉容器の破損及び格納建造物の床又は基盤への溶融炉心構成部品の強制的な再配置を伴う、重大な原子炉事故の場合に、格納建造物の損傷を防止又は低減するように設計される。幾つかの他の層のリスク軽減構成部品及び方策と組み合わされたBiMACの最終目的は、最も発生の確率が高い重大な原子力プラント事故後に少なくとも24時間格納容器の完全性を維持し、炉心とコンクリートの相互作用を伴う既知の事故シナリオにおいて0.1%又はそれ未満に格納容器破損の可能性を低減することである。
【0004】
図1は、従来の格納建造物10の断面図である。経済的単純化沸騰水型軽水炉(ESBWR)の構成部品及び特性を有する格納容器10が図1に示されているが、本明細書で説明される構成部品は、他のプラント構成と共に使用可能であることが理解される。図1に示すように、格納容器10は、核燃料バンドルが充填された炉心55を収容する原子炉容器50を含む。幾つかの制御ブレード56及び制御ブレード駆動装置は、炉心55より下方に位置決めすることができ、炉心55内に延設して核反応を制御することができる。ESBWRにおいては、格納容器10はまた、一次クーラントの損失時に炉心55を冷却するのに使用される大型水充填タンクとすることができる重力駆動クーラントトシステム20を含むこともできる。更に、抑制プール25は、格納容器10内にあり、事故発生時に容器50から蒸気を凝縮して圧力を放出するのに用いることができる。
【0005】
鉄筋コンクリート製格納容器15は、容器50及び幾つかの原子炉構成部品を囲み、通常運転又は事故時に容器50又は他の構成部品から漏洩する恐れがあるあらゆる放射性物質を収容するようにする。下部ドライウェル60は、制御ブレード56、制御ブレード駆動装置、及び炉心計装を収納し、容器50破損又は漏洩時に炉心デブリ用の空間を提供するように容器50よりも下方に形成される。ESBWRでは、下部ドライウェル60は、主として直径約11.2メートルの円形である。ライナ61は、従来は、格納容器10における有害物質放出が生じた場合の壁部15への腐食及び損傷を低減するために、コンクリート格納容器壁部15を覆って配置される。
【0006】
基盤部62は、従来は、格納容器10の最下点であり、地面の直ぐ上に鉄筋コンクリート格納容器壁部15として類似の材料で作製される。BiMAC100は、容器50破損の場合など、溶融デブリ又は他の炉心55デブリが下部ドライウェル60に再配置された場合に、基盤部62への損傷を軽減するために基盤部62の上方に設置することができる。
【0007】
図2は、ESBWRで使用可能な従来のBiMAC100の詳細図である。BiMAC100は、Nuclear Regulatory Commission document NEDO−33201, Revision 2, “ESBWR DESIGN CERTIFICATION PROBABILISTIC RISK ASSESSMENT” (“NEDO−33201 Document”)において記載されており、当該文書は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。図2に示すように、BiMAC100は、基盤部62及び/又はライナ61の真上に設置することができる。更に、BiMAC100は、下部ドライウェル60の壁部の下側部分と一体化することができる。
【0008】
クーラント供給管路65は、BiMAC100に接続され、BiMAC100にクーラント或いは冷却媒体を供給することができる。クーラントは、水など、高い熱吸収能力を有する液体を含むことができる。クーラント供給管路65は、クーラント供給源に接続され、クーラントは、クーラント供給管路65を介してポンプ又は他の駆動機構により供給することができる。或いは、クーラントは、より良好なフェイルセーフであるように、重力単独によりクーラント供給管路65を通じてBiMAC100に送ることができる。例えば、供給管路61は、格納容器10内の重力駆動クーラントシステム25(図1)又は他のプールに接続された下部ドライウェル放出管路とすることができる。スクイブ弁などのフェイルセーフ弁又は他の制御機構は、下部容器50(図1)破損又は他の事象の場合にクーラント供給管路65を介したBiMAC100へのクーラント流動を開始することができる。
【0009】
BiMAC100は、クーラント供給管路65及び/又は他のクーラント供給源に接続することができる分配器管路120を含む。分配器管路120は、基盤部62に沿ってドライウェル60の全長に延設することができる。複数の平行クーラントチャンネル130は、垂直方向に、又は他の場合には、基盤部から10度上方角にて分配器管路120から離れて延設することができる。次いで、クーラントチャンネル130は、開放端で終端する下部ドライウェル壁部の一部に上方に延設することができる。このようにすると、クーラントは、分配器管路120に流入し、各クーラントチャンネル130に送給され、最終的には下部ドライウェル60に流入することができる。分配器管路120及びクーラントチャンネル130は、運転時及び過渡時の原子炉環境においてその物理的特性を実質的に維持する材料で作製することができる。例えば、分配器管路120及びクーラントチャンネル130は、ジルコニウ基合金、ステンレス鋼、その他から作製することができる。
【0010】
融除シールド110は、クーラントチャンネル130及び分配器管路120を覆って設置され、及び/又はコーティングすることができる。融除シールド110は、容器50破損時に溶融炉心構成部品が下部ドライウェル60に強制的に再配置されることにより生じる熱的及び化学的損傷からクーラントチャンネル130及び分配器管路120を保護することができる。融除シールド110は、セラミック又はコンクリートなど、不活性耐熱導電性材料から作製することができる。更なるシールド材140は、クーラントチャンネル130に隣接して設置され、容器破損事象中にBiMAC100の上部に再配置される炉心構成部品の重量を支持することができる。更なるシールド材140は、コンクリート、セラミック、その他など、幾つかの丈夫な材料で作製することができる。
【0011】
図3は、BiMAC100のクーラントチャンネル130の詳細な断面図である。図3に示すように、チャンネル130は、BiMAC及びその上に再配置された材料を冷却することができるチャンネル130の連続する楔形ジャケットを形成するように平行で且つ接触接することができる。各チャンネル130は、NEDO−33201文書で承認されたように、チャンネルを通じて十分なクーラント流量を実現するように内径が3.937インチである。融除シールド110は、各チャンネル130の真上に形成されてこれを覆い、全体の熱伝導及び冷却を行うことができる。融除シールド110は、融除シールド110を作製するのに使用される材料及び融除シールド110上で冷却される材料の特性に応じて、図3に示すものとは異なる厚さに形成することができる。
【0012】
図4は、事故シナリオ中にBiMAC100の動作を示すBiMAC100の上から見た斜視図である。図4に示すように、開始事象中、弁は開放され、クーラントは、クーラント供給管路65を介して分配管路120に流下することが許容される。クーラントは、分配管路120のいずれかの端部に流入し、その後、壁部15に向かって10度の角度で上向きにクーラントチャンネル130に流入する。溶融デブリ又は他の高温デブリが、融除シールド110上でクーラントチャンネル130を覆う下部ドライウェルに再配置されると、クーラントチャンネル130を通る強制クーラント流は、再配置デブリから熱を除去し、基盤部62及び格納容器壁部15の連続溶融及び/又は損傷を阻止する。クーラントは、各チャンネル130の高い開放端点にてクーラントチャンネル130から出て、最終的には下部ドライウェル60を満たし、更にそのデブリの冷却を助ける。従って、各チャンネル130の開放端点は通常、再配置デブリがチャンネル130を閉塞できないように位置付けられる。更に、BiMAC100に至るクーラント流が重力により供給される場合、クーラントの流れ及び冷却は、他の場合にBiMAC100にクーラントをポンプ送給するのに必要となる他のプラント機械システムが故障した場合でも継続することができ、その結果、連続的な自然循環式冷却が得られる。
【0013】
図1〜図4で説明するBiMAC100の構造及び機能は、ESBWR内の基盤部62が直径11.2メートルの下部ドライウェル60を有するのに対して、クーラントチャンネル130で内径3.937インチ、及びクーラントチャンネル130で10度の傾斜の寸法で広範囲に試験をし、原子力規制委員会に承認を求めて申請した。
【発明の概要】
【0014】
例示的な実施形態は、事故シナリオにおける損傷防止及びリスク軽減に使用するために空間特性及び機械特性の改善を可能にする基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)を提供する。例示的な実施形態は、原子力規制委員会により要求される最小限の安全マージンを維持しながら、基盤床及び/又は直径4インチ未満のクーラントチャンネルから10度未満の傾きを有するBiMACを含むことができる。
【0015】
例示的な実施形態は、同様の要素が同様の参照番号により表される添付図を詳細に説明することにより明らかとなるであろう。これらの図面は、例証として与えられたものに過ぎず、従って、本明細書の例示的な実施形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】原子炉の従来の格納建造物の概略図。
【図2】従来の下部ドライウェル及び基盤内部溶融阻止冷却装置の図。
【図3】従来の基盤内部溶融阻止冷却装置の詳細図。
【図4】従来の基盤内部溶融阻止冷却装置の別の図。
【図5】例示的な実施形態の基盤内部溶融阻止冷却装置の例証図。
【図6】例示的な実施形態の基盤内部溶融阻止冷却装置の詳細図。
【図7】性能基準に適合する例示的な実施形態の基盤内部溶融阻止冷却装置を示す実験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な実施形態の詳細な具体例を本明細書で開示する。しかしながら、本明細書で開示する特定の構造上及び機能上の詳細事項は、単に例示的な実施形態を表しているに過ぎない。例えば、例示的な実施形態は、経済的単純化沸騰水型軽水炉(ESBWR)に関して説明することができるが、他の形式の原子力プラント及び他の技術分野において使用可能とすることができる点は理解される。例示的な実施形態は、多くの代替形態で具現化することができ、本明細書で記載される例示的な実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。
【0018】
第1、第2、その他の用語は、本明細書で様々な要素を説明するのに用いることができるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきでないことは理解されるであろう。これらの用語は、単に、ある要素をその他と区別するのに使用される。例えば、第1の要素は、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第2の要素と呼ぶことができ、同様に第2の要素は、第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される用語「及び/又は」とは、関連する記載品目の1つ又はそれ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0019】
ある要素が別の要素に「接続」、「結合」、「嵌合」、「取り付け」、又は「固定」されていると呼ばれる場合、他方の要素に直接接続又は結合することができ、或いは介在する要素が存在できると理解される。これとは対照的に、要素が別の要素に「直接接続」されている、又は「直接結合」されていると呼ばれる場合には、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するのに使用される他の用語は、同様に解釈するべきである(例えば、「〜間」と「〜間に直接」、「隣接」と「直近」、その他)。
【0020】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含む。更に、本明細書内で使用する場合に、用語「備える」、「備えている」、「含む」、及び/又は「含んでいる」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1つ又はそれ以上の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではないことは理解されるであろう。
【0021】
発明者らは、高さが減少し、高さが低くなることにより生成される下部ドライウェル60の容積が追加されたBiMACは、再配置が迅速且つ極めて高圧力下で生じるシナリオを含む、炉心溶融及びドライウェル60への再配置の特定の場合に事故軽減を改善できることを認識した。高さが低いBiMACは、表面積及びクーラントチャンネル長がより小さくなり、場合によっては、BiMACに対する高圧容器破裂の場合に生じる粉砕力及び爆発力による損傷からの保護が大きくなる。高さが低いBiMACは、表面がより水平で「楔状」が少なくなり、場合によっては、従来のBiMAC100の端部で最大熱流束負荷を受けるクーラントチャンネル内の自然対流が低減される。更に、発明者らは、高さが低いほど、内部チャンネルをより小型にすることができ、粉砕保護が改善されることを認識した。
【0022】
更に、発明者らは、下部ドライウェル容積が大きいほど、腐食性の放射性溶融炉心及びプラント構成部品のより多くの量に良好に対応し収容し、格納容器10の他のあまり限定されない区域に材料が再配置される可能性を低減できることを認識した。発明者らは、下部ドライウェル60の容積が増えると、制御ロッド駆動装置及び下部ドライウェル60内に収納される計装を保守するために該下部ドライウェル60にアクセス可能にできることを更に認識した。
【0023】
図5は、例示的な実施形態のBiMAC200を示し、図6は、例示的な実施形態のBiMAC200の詳細な断面図である。例示的な実施形態のBiMAC200は、図1〜図4で説明した従来のBiMAC100と幾つかの特徴部を共有することができ、同様の番号は同様の特徴部を示し、その冗長な説明は省略する。図5に示すように、クーラントチャンネル130は、例示的な実施形態のBiMAC200において、約5度など10度未満で傾斜している。図6に示すように、クーラントチャンネル130は、約2インチなどの4インチ未満の小さな内径を有することができる。直径11.2メートルの下部ドライウェル60では、例示的な実施形態のBiMAC200は、10度の傾斜を有する従来のBiMAC100において約5.69メートルの最大クーラントチャンネル130長と比較すると、約5.62メートルの最大クーラントチャンネル130長を有する。従って、例示的な実施形態のBiMAC200は、表面積が小さく、従来のBiMAC100よりも発生する負荷歪みが少ない。
【0024】
また、例示的な実施形態のBiMAC200は、高さ約0.99メートルの従来のBiMAC100と比較して、最大高さが約0.49メートルである。従って、例示的な実施形態のBiMAC200では、約5度のクーラントチャンネルの傾斜に起因して、従来のBiMAC100と比べて下部ドライウェル60内の約0.5メートルの垂直スペースを解放する。床部が低く且つより水平な更なる例示的な実施形態のBiMAC200は、現場打ちコンクリートを含む、より広範囲の種類の融除シールド110材料が使用可能であり、打ち面が水平であることによる恩恵を受けることができる。
【0025】
例示的な実施形態のBiMAC200は、従来のBiMAC100に優る幾つかの空間的機械的利点を有するが、当該技術分野における従来のBiMACを試験及び証明するのに使用される同じ事故シナリオにおいて成功裏に機能することは期待していなかった。従来の10度のBiMAC100のみが、溶融炉心再配置の事故シナリオにおいて既知の機能性を有する。実際に、NEDO−33201文書では、直径が4インチを上回るクーラントチャンネルで10度を上回る傾斜を有するBiMACが、従来のESBWR商用発電プラントにおけるこのような事故シナリオに必要とされることが示されている。従って、発明者らは、冷却及びリスク軽減の機能性を確保するために、10度未満の傾斜及び4インチの直径を有する例示的な実施形態のBiMAC200に長期にわたる試験を行った。
【0026】
図5及び6に示すように、約5度の傾斜及び内径2インチのクーラントチャンネル130を有する例示的な実施形態のBiMAC200のモデルを構成し、NEDO−33201文書で論じられているのと同じシナリオで遭遇する熱負荷を受けさせた。具体的には、
中央クーラントチャンネル130に対し、局所最大負荷125kW/mで平均熱負荷100kW/mに曝し、例示的な実施形態のBiMAC200の端部近傍のクーラントチャンネル130に対しては、局所最大負荷300kW/mで平均熱負荷100kW/mに曝し、例示的な実施形態のBiMAC200において垂直方向上方に延在するクーラントチャンネル130の各部に対しては、局所最大負荷450kW/mで平均熱負荷320kW/mに曝した。加熱は、電動銅カートリッジ及びバンドヒータにより供給した。
【0027】
例示的な実施形態のBiMAC200の持続性及び故障を測定する基準としては、各クーラントチャンネル130内の瞬間流量、クーラントチャンネル130の温度、クーラントチャンネル130を介したクーラント圧力降下、及びクーラントが通過して出るクーラントチャンネル130の開放端でのクーラント排出率が含まれていた。熱負荷及びクーラント流は、10時間にわたって印加され、持続性を確認した。
【0028】
試験結果から、所要熱負荷吸収は、例示的な実施形態のBiMAC200に関する実験全体を通じて維持されたことが示された。実験では、流れ不安定性、圧力分布の変化、又は完全な排出発生は生じなかった。更に、クーラントチャンネル130内での完全な排出発生及びバーンアウトは、上記で検討した熱負荷を効果的に二倍にした場合でさえ達成できなかった。図7は、例示的な実施形態のBiMAC200のこれらの有益且つ予想外の結果を示すグラフである。図7は、例示的な実施形態のBiMAC200における全てのクーラントチャンネル130を介した流量の関数(GPM)として入口チャンネル64での入口過冷却温度(K)を示す。一連の4つの試験A〜Dを行い、約50〜60kWの範囲の点熱負荷をBiMAC面に印加した。図7に示すように、例示的な実施形態のBiMAC200は、乾燥なしを含めて性能の変動がほとんどなく全ての熱負荷が処理され、先に論じたBiMAC200の熱力学特性及び流体力学特性の改善を反映するものであった。
【0029】
以上のことから、発明者らは、10度未満及び約5度を上回る傾き、並びに4インチ未満及び約2インチを上回る内径を有するクーラントチャンネル130を有する例示的な実施形態BiMACは、従来のBiMAC100より優れた下部ドライウェル60内の空きスペースを増大させ且つ材料応力及び疲労を低減すると共に、従来のBiMAC100により取り組まれたのと同じ事故シナリオにおいて冷却及び溶融の阻止を十分に提供できると判断した。
【0030】
これまで例示的な実施形態を説明してきたが、更なる発明的活動なしで日常的な実験を介して例示的な実施形態を変更できることは、当業者には理解されるであろう。種々の変形形態は、例示的な実施形態の技術的思想及び範囲から逸脱するものとみなすべきではなく、当業者には明らかであるこのような全ての修正は、以下の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0031】
10 格納建造物
15 下部ドライウェル壁部
20 重力駆動クーラントシステム
50 原子炉容器
55 原子炉心
56 制御ブレード
60 下部ドライウェル
62 基盤
65 クーラント供給管路
100 BiMAC装置
110 融除シールド
120 分配器管路
130 クーラントチャンネル
140 追加シールド材
200 BiMAC装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラントを受けるように構成された分配器(120)と、
第1の端部において前記分配器(120)に接続され、前記分配器(120)からのクーラントを受けるように構成された複数の隣接クーラントチャンネル(130)と、
を備えた基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)(100)であって、
前記チャンネル(130)の各々が、水平方向に対して5度又はそれ以上で且つ10度未満の傾きを有し、且つ垂直部分を有する第2の端部を有し、該第2の端部が、開放されて前記クーラントの流出が許容されるよう構成されている、
を含むことを特徴とする基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)(100)。
【請求項2】
前記チャンネル(130)の各々が、約2インチ以上で4インチ未満の内径を有する、
請求項1に記載のBiMAC(100)。
【請求項3】
前記チャンネル(130)の各々が水平方向に対して約5度の傾きを有し、前記チャンネル(130)の各々が、約2インチの内径を有する、
請求項2に記載のBiMAC(100)。
【請求項4】
前記分配器(120)及び前記複数のクーラントチャンネル(130)を覆う融除シールド(110)を更に備える、
請求項1に記載のBiMAC(100)。
【請求項5】
前記融除シールド(110)が、セラミック材料及びコンクリートの少なくとも一方で作製される、
請求項4に記載のBiMAC(100)。
【請求項6】
前記複数のクーラントチャンネル(130)の下にシールド材(140)を更に備え、前記シールド材(140)が、前記複数のクーラントチャンネルを支持するように構成される、
請求項1に記載のBiMAC(100)。
【請求項7】
前記分配器(120)が、経済的単純化沸騰水型軽水炉の放出管路(61)からクーラントを受けるように構成される、
請求項1に記載のBiMAC(100)。
【請求項8】
前記BiMAC(100)が、下部ドライウェル(60)の基盤(62)及び該下部ドライウェル(60)の壁部の少なくとも一部を覆うように成形される、
請求項1に記載のBiMAC(100)。
【請求項9】
水平方向に対して5度又はそれ以上で且つ10度未満である傾きを有する複数の隣接クーラントチャンネル(130)を含む基盤内部溶融阻止冷却装置(BiMAC)(100)であって、該BiMAC(100)が、少なくとも24時間で前記BiMAC(100)上に再配置された溶融デブリから少なくとも100kW/mの熱負荷を吸収するように構成される、
BiMAC(100)。
【請求項10】
前記クーラントチャンネル(130)の各々が、24時間中に前記クーラントチャンネルを流れる冷却液を完全には放出しないように構成される、
請求項9に記載のBiMAC(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−128142(P2011−128142A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230179(P2010−230179)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】