説明

原子炉用制御棒設計方法および原子炉用制御棒評価方法

【課題】主たる中性子吸収核種をボロン10とする原子炉用制御棒を設計するに当たり、核設計専門家以外の人が容易に設計し、またその設計を容易に評価できるようにする。
【解決手段】原子炉用制御棒の形状を与えて、少なくともその軸方向に必要な反応度価値Rおよび核的寿命Lの目標値を初期値Txとして設定しておき(S1)、反応度価値Rおよび核的寿命Lを、少なくともボロン10の濃度B10と吸収材寸法Pの関数として表し、ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値を与えて、反応度価値Rの値を求める(S6)。さらに、核的寿命Lの値を求める(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉用制御棒の設計方法および評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉(BWR)に用いられている原子炉用制御棒の代表的な構成の一つは、米国ジェネラルエレクトリック社(GE社)で開発されたもので、内径3〜4mm程度のステンレス鋼管にボロンカ−バイド(B4C)粉末を充填した15〜20本程度の吸収棒を横断面が深いU字状をしたステンレス鋼製のシ−ス内に平板状に配列して翼が構成され、4枚の翼が十字状に配列されて十字型制御棒が構成されている。これは、現在も広く用いられており、ここでは仮に「GE旧形制御棒」と呼ぶ。中性子照射によりB4Cがスエリングを起こすので、核的寿命よりも機械的寿命が寿命を決定する。このためGE旧形制御棒は、現在は通常「停止用制御棒」として使用されている。
【0003】
GE社では、反応度価値と核的寿命を高めるためにシ−スを排除した新しい制御棒
も開発している(特許文献1、非特許文献2)。これを、ここでは仮に「GE新型制御棒」と呼ぶ。GE新型制御棒では、シ−スを排除した分、ボロンカ−バイドの充填量を増加できるので、反応度価値と核的寿命を高めることができる。この構成の制御棒は、Square−Tube型、あるいはMarathon型とも呼ばれている。内管挿入により反応度価値は低下するが、中性子照射によりB4Cがスエリングを起こしても内管と収納穴との間の間隙存在のため機械的破損時期が遅れ、寿命が長くなる。
【0004】
一方スエ−デンでは、「GE旧形制御棒」に対する革新的な改良案として、幅100mm程度のステンレス鋼製板に6mm程度の横穴をあけ、B4C粉末を充填して翼となし、4枚の翼を十字状に配列した十字型制御棒が開発されている。B4C充填量が多く「GE旧形制御棒」と比べて大反応度かつ長寿命が達成されている。最初の設計は「CR70」と呼ばれている。その後いくつかの改良設計があり、最新型のものは「CR99」と呼ばれており、B4Cが複数の高密度のペレットとして充填されている。
【0005】
CR99は機械的寿命を長くする点に重点が置かれて改良されており、最大にできる反応度価値はCR70型の方が一般には大きい。95%以上の高密度化したペレットでは収納穴とペレットとの間に間隙が生じるため、中性子照射に伴うスエリングがある程度進むまでは収納穴に応力がかからないなど、共存性に優れていることや、スエリング量が予測できるという優れた特性がある(非特許文献1および非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,861,544号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kerntechnik, 57(1992), No.2, Main subject "Performance of Control Rods" p. 102, G. Vesterlund, L. Hallstadius, H. Hoffmann and L. CoRsetti: "Development of ABB Control Rods and Operational Experience"
【非特許文献2】Kerntechnik, 57 (1992), No.2: Main subject "Performance of Control Rods" p. 107, K. W.Brayman and P. van Dieman: "Experience with General Electric's Control Rods for Boiling Water Reactors"
【非特許文献3】日本原子力学会「2008年秋の大会」C20,p.157,林、田嶋、B.Rebensdorff,A.Dag,B4C型長寿命制御棒の国内適用性についての検討(2)機械的特性と核的特性
【非特許文献4】日本原子力学会「2002年春の年会」G58,p.367,吉岡、安藤、三橋、桜田 モンテカルロ燃焼計算コ−ドの開発
【非特許文献5】EPRI-NP-1974 "Control Rod Materials and Burnable Poisons"1982
【非特許文献6】Nuclear Technology, vol. 60, p. 362, Mar. 1983, N. Eickelpasch, R. W. Seepolt, J. Muellauer, W. Spalthoff "Operational Experience with and Postirradiation Examinations on Boiling Water Reactor Control Rods"
【非特許文献7】EPRI, NP-1972, P. 4 - 34 (1981)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来の技術では、吸収材、特に広く用いられているB4Cは照射に伴ってスエリングを起こし、被覆管または収納穴を内部から押し、ついには破損に至らしめる。粉末は収納穴の内面に密着しているため、収納材との共存性が悪く、スエリングによって早めに破損が生じる。B4Cをペレット化するとある程度の期間内面とのきつい密着(hard−contact)が避けられるので、共存性が改良され、破損に至る時間を遅らせることができる。
【0009】
熱中性子炉の場合、炉の温度が比較的低く、吸収材収納穴内部の中性子束分布は非常に大きく、外周部で特に高いので、反応はおもに周辺で進み、したがって反応熱は放散しやすい。そこで、密度が非常に高い(たとえば95%TD以上の)ペレットでは、直径方向割れは生じ難く、周辺近傍で周方向の割れとその付近での外側に向かう割れが生じやすい。したがってペレットの外周に内管があると、割れたB4Cが収納穴に直接接することがなくなり、破損に至る時間を著しく遅らせることができる。ところが、内管を吸収材収納穴の内部に配置すると、吸収材を収納する空間が減少し、反応度価値が低下する。しかし、B4Cの場合ボロン10(B−10)の濃縮度を高めることによってそれをある程度避けることができる。
【0010】
本発明は、原子炉用制御棒を設計するに当たり、上記事情を考慮して、核設計専門家以外の人が容易に設計し、またその設計を容易に評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る原子炉用制御棒設計方法は、主たる中性子吸収核種をボロン10とする原子炉用制御棒を設計する方法において、前記原子炉用制御棒の形状を与えて、少なくともその軸方向に必要な反応度価値Rおよび核的寿命Lの目標値を初期値Txとして設定しておき、反応度価値Rおよび核的寿命Lを、少なくともボロン10の濃度B10と吸収材寸法Pの関数として表し、ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値を与えて、反応度価値Rおよび核的寿命Lの値を求めることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る原子炉用制御棒評価方法は、主たる中性子吸収核種をボロン10とする原子炉用制御棒を評価する方法において、前記原子炉用制御棒の形状を与えて、少なくともその軸方向に必要な反応度価値Rおよび核的寿命Lの目標値を初期値Txとして設定しておき、反応度価値Rおよび核的寿命Lを、少なくともボロン10の濃度B10と吸収材寸法Pの関数として表し、ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値を与えて、反応度価値Rおよび核的寿命Lの値を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原子炉用制御棒を設計するに当たり、核設計専門家以外の人が容易に設計し、またその設計を容易に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態において、必要な反応度価値と中性子照射量の軸方向分布概念を示すグラフである。
【図2】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態におけるボロンカ−バイドのスエリング特性の文献値を示すグラフである。
【図3】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における中性子吸収材収納部の構成を示す図であって、図4のIII−III線に沿う部分平断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う部分立断面図である。
【図5】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における中性子吸収材収納部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における反応度価値のB−10濃縮度依存性を示すグラフである。
【図7】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における核的寿命のB−10の濃度依存性を示すグラフである。
【図8】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における軸心部水領域幅(w)の反応度価値への影響因子(Fw)を示すグラフである。
【図9】図8で対象となる原子炉用制御棒の実施形態の翼の構成を示す部分平断面図である。
【図10】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における吸収材充填領域における非吸収材領域幅(v)の影響因子(Fv)を示すグラフである。
【図11】図10で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態の翼の構成を示す部分平断面図である。
【図12】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態の構成を示す部分立面図であって、右半分は断面で示す図である。
【図13】図12のXIII−XIII線矢視側断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線矢視部分平断面図である。
【図15】本発明に係る原子炉用制御棒設計方法の実施形態の手順を示すフロー図である。
【図16】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の一実施形態の構成を示す部分立面図である。
【図17】図16の原子炉用制御棒の右半部分の部分的立断面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線矢視側断面図である。
【図19】図17のXIX−XIX線矢視平断面図である。
【図20】図18のXX部拡大立断面図である。
【図21】図18のXXI部拡大立断面図である。
【図22】図18のXXII部拡大立断面図である。
【図23】本発明に係る原子炉用制御棒設計方法の実施形態による反応度価値と核的寿命の設計例を示すグラフであって、原子炉用制御棒の実施形態の第1の変形例を対象とする。
【図24】図23における制御棒の軸方向位置(1)T〜(4)を示す模式的立面図である。
【図25】図23の入力条件と計算結果を示す表である。
【図26】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の他の実施形態の構成を示す部分立面図である。
【図27】図26のB−B線矢視平断面図の第1の例を示す平断面図である。
【図28】図26のB−B線矢視平断面図の第2の例を示す平断面図である。
【図29】図26のB−B線矢視平断面図の第3の例を示す平断面図である。
【図30】図26のB−B線矢視平断面図の第4の例を示す平断面図である。
【図31】図26のB−B線矢視平断面図の第4の例を示す平断面図である。
【図32】本発明で対象となりうる原子炉用制御棒のさらに他の実施形態の構成を示す部分立面図である。
【図33】図32のXXXIII−XXXIII線矢視平断面図である。
【図34】図33の部分拡大平断面図である。
【図35】図32のXXXV−XXXV線矢視平断面図である。
【図36】図35の部分拡大平断面図である。
【図37】従来の制御棒の例であって比較用制御棒の部分平断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、この発明の実施形態の概要を説明する。この発明に係る原子炉用制御棒の設計方法および評価方法の実施形態で対象とする制御棒は、被覆管あるいは収納穴に直接的に中性子吸収材を収納するか、または、被覆管あるいは収納穴の中に非密封性の内管を挿入してその中に間接的に中性子吸収材を収納する構成である。
【0016】
この実施形態では、B−10などの中性子吸収材の暫定(入力)燃焼率に対応するスエリングの量を評価し、その値が収納穴内の間隙を占めた場合に機械的寿命に達するとして、中性子吸収材の直径(必要に応じて長さも含める)寸法を決定する。そしてその寸法において与えられたB−10の濃度を用いて、反応度価値を求める。その反応度価値が小さすぎるなど不満足の場合、諸入力パラメ−タのうち、実施可能な一部のものを変更して満足になるまで繰り返し計算を行う。
【0017】
中性子吸収材の寸法が小さすぎると濃縮度を上げても満足な結果が得られなくなるので、そのような制御棒では濃縮度を上げる意味がないと言える。反応度価値として一応満足な値が得られた場合には核的寿命の計算を行う。必要に応じて同様の繰り返し計算を行う。
【0018】
得られた核的寿命が入力寿命(照射量あるいは燃焼率)の値よりも大きくなった場合、入力条件におけるスエリング値より値が大きくなるため、通常は入力寿命の値を大きくして繰り返し計算を行い、計算値が小さくなるようにする。繰り返し計算を行わない場合には、核的寿命としては、計算結果の値ではなく、入力値を用いるべきである。なお、制御棒の健全性に問題がないことが従来実績としてわかっている程度の低い照射量の場合にはその限りでない。
【0019】
この発明の実施形態によれば、核設計専門家以外の人が筆算で容易に簡易設計を実施でき、概念的な構造設計を開始できる指針が得られる。特にB−10をおもな中性子吸収材とするBWR用制御棒において、スエリングに対する知見を活用し、吸収材の寸法を決定し、機械的健全性を確保しながら必要な核的寿命を達成することが、核設計専門家以外の人でも筆算で容易に実施できるので、設計の見通しが容易に得られ、具体的な構造設計をただちに開始できる。核設計専門家でなくても、容易に健全性を確保しながら反応度価値と核的寿命の値を決定することができるので、必要な制御棒の核的特性に応じて、どの位置にどのような構成で中性子吸収材を配置すれば良いかを決定することができる。
【0020】
つぎに、図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。ここで、同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0021】
図1は、BWRの制御棒の場合を例にとり、必要な反応度価値(破線a)と中性子照射量(実線b)の軸方向分布概念図を示したものである。BWRの制御棒では、停止時に炉心上部に位置する特に先端の特定の範囲(X)(通常、15cm程度以内)を除き、挿入先端側1/4区分(Y−X)に対応する部分の未臨界度が浅くなるため、高い反応度価値が期待される。この特性はおもに運転中の高いボイド率による燃焼の遅れとプルトニウムの生成によるものである。この図1に示す中性子照射量分布(実線b)は高出力運転中に炉心に挿入されている運転用制御棒の場合であるが、停止用制御棒の場合にも、挿入先端付近(X)ではこの図1が示すほどではないにしても高い値となる。それ以外の区分(Y部分)はこの図の場合より大幅に小さくなる。
【0022】
この図1から、挿入先端の少なくとも前記特定の範囲(X)では、反応度価値への要求はあまり高くなく、照射による機械的寿命の短縮を避ける構成が特に必要であることがわかる。反応度価値は上記特定範囲(X)を除く挿入先端側の半分の区分(Y−X)で高い値が要求される。運転用制御棒の場合にはさらに高い照射量のため、照射に伴う機械的寿命の低下を防止する機構が要求される。
【0023】
図2は中性子吸収材(B4C)のスエリング特性の文献値を示すグラフである。縦軸は体積スエリング率(左側:Sv)、および線スエリング率(右側:S)を%単位で示し、横軸は中性子との反応によるB−10の減損率(Bu;%)である。
【0024】
破線cはB4Cが粉末の場合の非特許文献6に示されている値であり、次式でフィットされている。すなわち、
Sv=0.851・X+0.0449・X
ここで、XはB10の減損量を単位体積当たりの中性子捕獲量(capture/cm)を示してある。値は「1×1021capture/cm」を1とする単位である。
【0025】
BWRの場合、制御棒は4体の燃料集合体に取り囲まれて1セルが構成されており、1セル平均中性子のエネルギ−および時間積算量[Tx;snvt];(1snvt=1×1021n/cm)はXの値の約1/2であり、B−10の減損率[Bu](%)が45%の時、Xの値は10、snvtの値(Tx)は約5となり、減損率(Bu)が90%の時、Xの値は20、snvtの値(Tx)は約10となることがわかっている(非特許文献1)。
【0026】
したがって、たとえば、中性子吸収材が粉末の時、B−10の減損率(Bu:%)が80%の長寿命型制御棒で9snvtの達成を狙っているとすると、体積スエリング率Svは30%程度、線スエリング率Sは10%程度であることがわかる。
【0027】
一方理論密度99%のペレットの場合の体積スエリング率Svは実線dで示される。これは非特許文献7に基づく。この例では体積スエリング率Svは直線で近似されている。B−10の減損率(%)が60%程度以下ではもともと測定値にバラツキがあるため、両曲線に大きな差異はないと言える。その代わり、スエリング曲線を利用して本実施形態を適用する場合にはスエリングマージン(G)を導入することが望ましい。
【0028】
この図に示す構成で、直径6mmの収納穴の中に内管(外径5.8mm、肉厚0.1mm)を配置し、その中にB4Cペレット(直径P)を収納した場合で、B−10の減損率Buを80%まで進められる制御棒を設計したいとする。このとき、線スエリング率Sは約8%である。スエリングマージンをG=1.0と仮定し、
+g=P×(S×G)=P×δ
として、1
H=P+g+g+2t
をPについて解くことにより、
P=(H−2t)/(1+δ)
が得られ、
P=(6.0−0.2−0.2)/(1+0.08)=5.2mm
となる。収納穴の直径6.0mmと比べてペレットはかなり小さくしなければならないため、同じB−10の濃度でも反応度価値はかなり減少する。したがって、従来の天然組成(B−10の濃度19.8atom%で20%と近似できる)よりも濃縮度(B−10の濃度)を高めて反応度価値を維持することになる。
【0029】
図3ないし図5は、中性子吸収材収納部の寸法・構造と吸収材についての簡単な数式を用いた考察を示すものである。ここで、図3は、本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における中性子吸収材収納部の構成を示す図であって、図4のIII−III線に沿う部分平断面図である。図4は図3のIV−IV線に沿う部分立断面図である。図5は、本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態における中性子吸収材収納部の構成を模式的に示す斜視図である。
【0030】
本実施形態では、直径Hの収納穴11に直接、中性子吸収材(B4Cペレット)60を若干の間隙(直径でgの大きさ)を設けて挿入する場合(以下「無内管時」という)と、収納穴11に若干の間隙(直径でgの大きさ)を設けて内管12を挿入し、内管12の中に中性子吸収材(B4Cペレット)60を若干の間隙(直径でgの大きさ)を設けて挿入する場合、または内管12の中に中性子吸収材であるB4C粉末48を充填する場合(間隙なし:g=0)(以下「有内管時」という)を対象とする。
【0031】
図3および図4に示す例では、中性子吸収材を収納する構造材は内管12である。一方、図5に示す例では、平板の幅方向に収納穴11をあけてB4C粉末48を充填する構造になっている。収納穴11は、等ピッチLで上下方向に並んでいる。収納穴11は通常円形の断面となっているので、ここでは円形断面の場合について説明する。
【0032】
図3および図4の構造において、収納穴11の直径Hは、B4Cペレット60の直径Pと内管12の肉厚tを用いると、次の式で表わされる。
【0033】
H=P+g+g+2t
吸収材の中性子照射に伴う体積スエリング率Svは、中性子吸収材の燃焼率(中性子吸収核種数に対する中性子と反応した核種数の割合)Buと直線関数(1次関数)または2次関数の関係にあることが文献で明らかにされている(図2参照)。ここでは一般的に、次の2次式で示すことにする。
【0034】
Sv=a・Bu+a・Bu
測定精度はまだ余り良いとは言えないので、現実的には誤差をマージンとして考慮するものとする。
【0035】
体積スエリング率Svを近似的に線スエリング率Sに換算するには、3で割れば良い。すなわち
=Sv/3
吸収材のスエリングマージンをGとすれば、吸収材の設計スエリング率は(S×G)となり、線スエリング量は、直径スエリング量の場合、δ=P×S×Gと表すことができる。δ=S×Gは、ここでは「直径スエリング率」と呼ぶことにする。なお、線スエリングでは長さ方向のスエリングもあり、同様に表現できるが、直径スエリング量ほど重要でない場合が多いので、ここでは簡単のため省略する。P・δの値が、無内管時にはgに、有内管時には(g+g)になった時が、機械的寿命となる。この時点で収納穴への機械的な応力は発生していないので、収納穴が破損するまでには余裕が残っていることになる。この条件を満たすスエリング前の吸収材の直径は次式で与えられる。
【0036】
P=(H−2t)/(1+δ)
図6は反応度価値をボロン10(B−10)の濃縮度B10(atom%)の値の自然対数値との関係で示したものである。幅約110mm、厚さ8mmのステンレス鋼板に直径6mmの横穴をあけ、そこにB−10濃縮度20%(天然ボロン)の化合物であるB4C粉末を理論密度の70%で充填したものを基準の制御棒として、その値に対する相対値で示している。反応度価値は炉心や計算方法によって若干変化するので、相対値として示した。基準とする制御棒は任意であるが、従来から実用されているものが望ましい。計算は本発明者らが開発した非特許文献5に示すモンテカルロ法を用いて、統計精度の確保に留意しながら行った。
【0037】
図6に示す曲線e、f、gおよびhは、ステンレス鋼製の8mm厚板に穴ピッチ8mmでそれぞれ直径4mm、5mm、6mm、および6mmの収納穴をあけ、その中に理論密度(TD)100%のB4Cペレットを直径4mm、5mm、6mmで挿入したモデルによる計算結果である。また、曲線hは、理論密度70%の粉末を充填したものの計算結果である。
【0038】
さらに、曲線iはステンレス鋼の代わりに30重量%のハフニウム(Hf)をジルコニウム(Zr)に混ぜたHf−Zr合金板に直径5mmの穴をあけ、理論密度100%のB4Cペレットを充填した場合の計算結果であり、曲線fに対応する。この合金板は比重をステンレス鋼のそれより若干小さくすることができる混合率であり、重量増加を気にすることなくバックフィットできることを狙っている。Hfの中性子吸収効果により反応度価値は10%程度向上できることがわかる。
【0039】
収納穴に充填されたB−10の量でみると曲線gとhは計算誤差と思われる範囲で重なった。このことは中性子吸収材が実質的にB−10しかないので当然のことである。したがって横軸としては、B−10の濃縮度と理論密度(TD)との積として充填B−10量を表せば良いと言える。このことは核的寿命の場合も同じである。
【0040】
反応度価値のB−10濃縮度依存性(勾配)は曲線e〜hでは有意差は見られないが、曲線iでは異なっている。反応度価値がB−10濃縮度(濃度)の対数に対して直線に近い曲線になることは推測可能であるが、数式による厳密な証明は困難である。今回数値計算により図示の範囲以外の吸収棒1本の場合など広い範囲での直線性が確認できている。
【0041】
図6の各曲線は、曲線iを除いて実質的に勾配が等しく、平行になっている。曲線iは勾配も異なっている。曲線e〜hはB−10の濃度の対数に対して直線になっており、係数と定数は吸収材の寸法(P)の1次関数あるいは2次関数として近似することができた。すなわち、反応度価値のB−10濃縮度(濃度)依存性を係数と定数を吸収材の寸法(P)の関数として統一的に取り扱う式を後述するように作成することができた。
【0042】
スエ−デンで開発された「CR70」型の制御棒は、前述の「GE旧形制御棒」と比べて相対反応度価値が10%ないしそれ以上大きくできるという優れた特徴を有しているが、健全性向上を目的として照射量分布やガスプレナムを考慮して充填する吸収材の直径をたとえば6mmから5mmへ小さくする必要があり、その特徴の大部分が失われることがわかる。
【0043】
この問題を解消する方法として、本実施形態で採用するように、B−10の濃縮度を高める方法がある。B−10を濃縮した高価なB4Cを制御棒のうち高い反応度価値が期待される区分(図1のY−Xの区分)に限定して使用すれば比較的低廉に反応度価値が高く、核的および機械的寿命の長い制御棒を設計することができると期待される。曲線hから内管を導入して曲線fへ移して同じ反応度価値を達成するにはB4Cを約100%TDとしたペレットとし、かつB−10濃縮度を20%から30%程度へ高めれば良いことがわかる。高速炉の停止用制御棒のように90%も高める必要はなく、また通常は挿入先端側からせいぜい制御棒全長の半分程度までしか必要ないため、比較的低廉な制御棒を設計できることが期待される。
【0044】
図7は、核的寿命の値をボロン10(B−10)濃縮度(atom%)の値との関係で示したもので、基準の制御棒(後出図39参照)の値に対する相対値である。基準とする制御棒は前述のように任意である。核的寿命の値も炉心や計算方法によって若干変化するので、相対値として示した。計算は前述のモンテカルロ法を用いて、統計精度の確保に留意しながら行った。
【0045】
曲線jおよびkはステンレス鋼製の8mm厚板に穴ピッチ8mmでそれぞれ直径5mmおよび6mmの収納穴をあけ、その中に理論密度100%のB4Cペレットを直径5mmおよび6mmで挿入したモデル、曲線mは理論密度70%の粉末を充填したものである。
【0046】
さらに、曲線nは、ステンレス鋼の代わりに30重量%のHfをZrに混ぜたHf−Zr合金板に直径5mmの穴をあけ、理論密度100%のB4Cペレットを充填した場合であり、曲線jに対応する。核的寿命はHfも中性子吸収材であるため伸びており、曲線nの傾きはステンレス鋼の場合と若干異なっている。
【0047】
これらの曲線では緩い飽和傾向が見られので、2次式で関数フィットできるが、軽水炉に用いる制御棒ではB−10濃縮度は高速炉の停止用制御棒の場合と比べて通常大幅に小さくすることができるので、直線で近似してもほとんど問題は生じない。もし高い濃縮度を用いる場合には、直線近似すると、核的寿命をやや過大に評価することになる。各曲線は少しずつ形が異なっているため、核的寿命のB−10濃縮度(濃度)依存性を各近似直線の係数と定数を吸収材の寸法の関数として統一的に取り扱う式を、後述のように作成することができた。
【0048】
図8および図9には、図1に示す必要な核特性を実現する例として、スエ−デンで開発されたBWR用制御棒である「CR70」型あるいは「CR99」型を想定した例を示す。図8は、本実施形態で対象とする原子炉用制御棒の実施形態における軸心部水領域幅(w)の反応度価値への影響因子(Fw)を示すグラフである。図9は、図8で対象となる原子炉用制御棒の実施形態の翼の構成を示す部分平断面図である。
【0049】
図8は、軸心部水領域(構造材部を含む)23の幅(w)を変えた場合の反応度価値への影響(Fw)をw=1cmで規格化した特性であり、図9をモデルとしてモンテカルロ法により計算した結果である。wの値が小さいと若干ずれるが、wに関する2次式で近似できる。図9で、制御棒の4枚の翼21が十字状に交差して配置されており、各翼21内に中性子吸収材22であるB4Cが充填され、交差部に軸心部水領域23が形成されている。翼21の幅(軸心から水平方向の翼縁部までの距離)Wは、たとえば12cm程度であり、翼21の厚さBは、たとえば0.8cm程度である。
【0050】
図10および図11は、吸収材充填部の内部に非吸収材領域24の幅vを、制御棒軸方向に隣接する収納穴が正確に上下に並んで隣接するように配置した場合の反応度価値への影響Fvを計算した例を示す。図10は、本実施形態で対象となる原子炉用制御棒の実施形態における吸収材充填領域における非吸収材領域24の幅vの影響因子Fvを示すグラフである。図11は、図10の計算の対象とした原子炉用制御棒の実施形態の翼の構成を示す部分平断面図である。
【0051】
図11において、非吸収材領域24が設けられている部分以外は、図9に示す構成と同様であり、重複説明は省略する。
【0052】
図10に示す特性はvに関する2次式で近似できる。vの値が大きくなると反応度価値が大幅に低下するので、通常は2cm以内に限定する必要がある。なお、隣接する収納穴間で非吸収材空間が隣接しないように配置すると反応度価値の減少割合を抑制できる。
【0053】
図12ないし図14では、図1に示す必要な核特性を実現する例として、スエ−デンで開発されたBWR用制御棒である「CR70」型あるいは「CR99」型を想定した。図12は、本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態の構成を示す部分立面図であって、右半分は断面で示す図である。図13は図12のXIII−XIII線矢視側断面図であり、図14は、図12のXIV−XIV線矢視部分平断面図である。
【0054】
中性子吸収材の構成および配置はつぎのとおりである。すなわち、軸方向に離間する複数の十字状の短尺結合部材(タイクロスとも言う)を用いて、細長い板状の4枚の翼30が十字形に結合され、その先端と末端が横断面十字形の先端構造材31と末端構造材32に結合された沸騰水型原子炉用制御棒である。
【0055】
翼30を構成する構造材はステンレス鋼(Hf−Zr合金材でも良い)の細長い矩形状の平板である。この平板に、長さ方向に垂直でかつ板厚方向にも垂直な方向(水平方向)に多数の収納穴33をあけ、制御棒有効長の内の大部分または全体にわたってB4C(ボロンカ−バイド)を収納する。先端から1/4ないし1/2の長さを30cmほど越える範囲(Y)までの収納穴に収納されたボロンカ−バイドは、挿入先端から約5cmないし約15cmまでの範囲を除き、図1から期待されるように、ペレット状として長寿命化することが期待される。
【0056】
図15は、本発明に係る原子炉用制御棒設計方法の実施形態の手順を示すフロー図である。反応度価値や核的寿命の値は計算方法によって若干異なる場合があるため、従来の制御棒の値に対するコンシステンシ−を考慮して相対値で求め、最後に従来の制御棒の値を掛けて絶対値化する方式とした。
【0057】
先ず計算条件を読み込む(READ)(ステップS1)。すなわち、入力値として、ISWEL、Tx、H、t、d、w、v、a、Enrich、TD、G、Fd、FtLt、R、Lを読み込む。
【0058】
「ISWEL」は、中性子吸収材のスエリングモデルの選択因子であって、「ISWEL=1」は粉末、「ISWEL=2」は高密度ペレットを表す。「Tx」は制御棒を照射する燃料集合体の積分中性子量であって、BWRでは、1セル平均中性子のエネルギ−および時間積算量[Tx;snvt];(1snvt=1×1021n/cm)として定義されている。
【0059】
「a」はこの値をB−10の燃焼率Buへ換算するための定数である。aの値はセルの大きさなどの条件で若干変化するが、スエリングデ−タのばらつきの程度と比べると普通は小さいので、一定として取り扱う。
【0060】
「H」は収納穴の直径、「t」は収納穴に収納される内管の肉厚、「d」は隣接する収納穴間のピッチ、「w」は軸心から吸収材までの距離、「v」は吸収材収納部に設けられる非吸収材領域空間の長さ、EnrichはB−10の濃縮度、「TD」は吸収材の理論密度、「G」はスエリングの設計裕度因子、「Fd」はピッチの反応度価値へ影響する因子、「Ft」は吸収材に設けられるテ−パの反応度価値へ影響する因子、「Lt」は吸収材に設けられるテ−パの核的寿命へ影響する因子、「R」は基準制御棒の反応度価値、「L」は基準制御棒の核的寿命である。
【0061】
つぎに、次式により、Txから燃焼率Buへの換算を行う(ステップS2)。
【0062】
Bu=a・Tx
つぎに、スエリング率δ(%)の計算を行う(ステップS3)。
【0063】
すなわち、ISWEL=1(粉末)の場合は、非特許文献6のデータ(図2の破線c)を用いて、
Sv=Bu・(S+S・Bu)・10−2
=(Sv/3)・G
とする。ここで、「Sv」は体積スエリング率、「S」は直径(または線)スエリング率である。
【0064】
また、ISWEL=2(ペレット)の場合は、非特許文献7のデータ(図2の実線d)を用いて、
Sv=S・Bu
=(Sv/3)・G
として、スエリング率δ(%)は、次の式により求める。
【0065】
δ=0.01・Sd
次に、吸収体寸法Pを次の式により計算する(ステップS4)。
【0066】
P=(H−2・t)/(1+δ)
ここで、反応度・寿命評価の要否を判定し(ステップS5)、反応度・寿命評価を行わない場合は終了する。
【0067】
反応度・寿命評価が必要な場合は、反応度計算を行う(ステップS6)。
【0068】
反応度価値(R)は次式で計算される。
【0069】
Aは絶対値、Nは基準制御棒に対する指標とする。
【0070】
=R・Rとすると、Rは基準制御棒の反応度価値として入力で与えられ、Rの値は次式で表わされる。
【0071】
R=Rs・Fw・Fv・Fd・Ft・WSP
本実施形態では、反応度価値はB−10の濃度(変数B10)の対数と直線関係にあるということを仮定しているので、次の式でRsを計算する。
【0072】
Rs=R+R・Ln(B10
ここで、「Ln」は(自然)対数記号である。定数Rおよび係数Rを吸収材の直径Pに対して定量的に検討することにより、定数Rは、次の2次関数で近似できる。
【0073】
=R00+R01・P+R02・P
係数Rはつぎの1次関数で近似できる。
【0074】
=R10+R11・P
ボロンB−10の濃度B10は、濃縮度Enrichと理論密度TDとの積として、次の式で表わすことができる。
【0075】
10=Enrich・TD
濃縮度Enrichは、ここでは原子数密度で見た濃縮度で定義しているが、重量密度で定義することもできる。
【0076】
ところで、制御棒軸心から翼の中の吸収材充填位置までの最短の距離をwとすると、GE旧形制御棒ではステンレス鋼材(タイロッド)となっているが、その後の改良型のGE新型およびスエ−デンで開発された制御棒では、距離wの内の大部分は水が占めるようになっている。水とすることにより、制御棒の軽量化のみでなく、水による中性子減速効果により熱中性子束が上昇し、制御棒軸心に近い燃料の燃焼の遅れが若干回復でき、制御棒操作に伴う燃料への過渡的な負担が軽減し、燃料の健全性にも寄与する。
【0077】
距離wの値の反応度価値への寄与は、w≦1.5cmの範囲では変化が小さいが、w≧1.5cmではほぼつぎの2次式で近似できる。
【0078】
Fw=W+W・w+W・w
通常wの値がたとえば4cm程度より大きくなると反応度価値は大幅に小さくなるので、2次式の適用範囲はおおよそ「1≦w≦4cm」程度である。wの値が小さい場合にFwの値の変化が小さくなるのは他の翼の影響(干渉効果)によるためである。
【0079】
また、制御棒による中性子束の低下を一部回復するため、あるいはガスプレナムの機能を持たせるため、吸収材充填空間で吸収材を排除した空間を設ける場合がある。この場合制御棒の反応度価値は低下するので、因子Fvを用いてその特性を評価すると、vに関するつぎの2次式で表されることがわかった。
【0080】
Fv=V+V・v+V・v
なお、隣接する収納穴で非吸収材間隔が相互に隣接しないように工夫すると、反応度価値の低下割合を抑制することができる。非吸収材空間は収納穴の端部に設けると反応度価値の低下割合が増大する。
【0081】
さらに、吸収材収納穴の隣接穴間には通常吸収材が存在しない空間が形成される。その間隔は「リガメント」とも呼ばれることがあり、その大きさは(d−P)で表される。ただし、dは隣接吸収材軸心間の距離(吸収材配列ピッチ)、Pは吸収材直径である。(d−P)の値が大きいと中性子が吸収されない空間が増加するので反応度価値は減少する。この空間の反応度価値への影響は、通常狭い範囲で考慮すれば良いため、直線近似できる。すなわち次式で表わされる。
【0082】
Fd=r+r・(d−P)
翼の制御棒挿抜方向と直角な方向(水平方向)の中性子束分布を考えると、吸収材のスエリング量にも分布が生じることがわかる。スエリング量の分布による健全性への影響を避けるため、吸収材の側端近傍では吸収材の直径を細くする(テーパにする)ことが考えられ、この影響は既にスエ−デンで開発された「CR99」に導入されている。これによる反応度価値への影響(Ftで表す)も本実施形態では考慮する。すなわち、Ftを反応度価値に影響する吸収材テ−パ効果として、別途評価して入力値として与える。
【0083】
さらに、翼の有効幅(中性子吸収材収納幅)を変更する設計も考えられる。この場合の反応度価値への影響は因子(WSP)として考慮する。すなわち、WSPを反応度価値に影響する制御棒翼幅および翼厚因子として別途評価して入力値として与える。通常は1.00である。
【0084】
Ftの値は1.00からのずれが一般に小さいので、補正因子とした。WSPの値は通常固定されるが、制御棒軸心から翼の吸収材最側端までの距離が変化する場合には変化する。
【0085】
SPの変化量は距離の変化量とほぼ比例するとして取り扱うことができる。
【0086】
反応度価値の絶対値Rを次の式で表わすものとする。
【0087】
=R・R
このとき、Rは基準制御棒の反応度価値として入力で与えられ、Rの値は次の式で表わされる。
【0088】
R=Rs・Fw・Fv・Fd・Ft・WSP
本実施形態では、反応度価値はB−10の濃度B10の対数と直線関係にあるとしているので、Rsを次の式で近似できることがわかった。
【0089】
Rs=R+R・Ln(B10
定数(R)および係数(R)を吸収材の直径(P)に対して定量的に検討することにより、定数(R)は次の2次関数で近似でき、
=R00+R01・P+R02・P
係数(R)は次の1次関数で近似できることがわかった。
【0090】
=R10+R11・P
つぎに、反応度値の計算結果が満足できるものかどうかを判定する(ステップS7)。反応度値の計算結果が満足できないものである場合は、計算条件を読み込むステップS1に戻る。
【0091】
反応度値の計算結果が満足できるものである場合は、核的寿命Lの計算を行う(ステップS8)。
【0092】
核的寿命Lは、次式で計算する。
【0093】
=P・(L+L・B10)・Ld・Lt・L
ここで、Aは絶対値、Nは基準制御棒に対する指標を表す。
【0094】
この式は、核的寿命がボロン10の濃度B10とほぼ直線関係にあり、さらに吸収材の直径Pに比例していることを示している。
【0095】
収納穴のピッチdの影響は直線近似するものとし、次の式で表わす。
【0096】
Ld=b・d+c
基準制御棒の核的寿命Lの値、および、寿命への影響が小さい吸収材テ−パ効果Ltは、別途求めて入力値とする。
【0097】
次に、核的寿命の絶対値Lと、制御棒を照射する燃料集合体の積分中性子量Txとを比較し(ステップS9)、L>Txであると判定されたときは、Tx≧LとなるようにTxを設定し(ステップS10)、計算条件を読み込むステップS1に戻る。
【0098】
また、ステップS9で、L>Txでないと判定されたときは、核的寿命が満足できるものかどうかを判定する(ステップS11)。核的寿命が不満足なものである場合は、計算条件を読み込むステップS1に戻る。核的寿命が満足できるものである場合は処理を終了する。
【0099】
なお、制御棒先端部の健全性を評価することがおもな目的の場合には、吸収材の初期の直径Pを与えて想定した照射量に対するスエリング評価に伴う核的寿命評価のみを行ったり、あるいは反応度価値と核的寿命を計算する場合には、スエリング評価は行わないなどの選択もある。
【0100】
以下、本発明に係る原子炉用制御棒設計方法の実施形態の対象となる制御棒の構成の例を具体的に説明する。
【0101】
図16ないし図22は制御棒の一実施形態を示す。これは、スエ−デンで開発された前述の制御棒「CR99」に適用した場合の運転用制御棒の実施形態である。図16は、本発明で対象となりうる原子炉用制御棒の実施形態の構成を示す部分立面図である。図17は図16の原子炉用制御棒の右半部分の部分的立断面図である。図18は図17のXVIII−XVIII線矢視側断面図であり、図19は図17のXIX−XIX線矢視平断面図である。図20は図18のXX部拡大立断面図である、図21は図18のXXI部拡大立断面図であり、図22は図18のXXII部拡大立断面図である。
【0102】
制御棒の挿入先端のX部(有効部のうち挿入先端から約5〜15cm程度の範囲で、図1のX部に対応)では、スエリングに対する健全性が特に重要であるが、反応度価値の重要性は余り高くない。したがって、この原子炉用制御棒では、制御棒の挿入先端のX部の収納穴33の中には非密封性の内管35が収納され、内管35の中に高密度のB4C細径ペレット60が、金属ウ−ル(あるいはスプリング)からなる非吸収材空間38を介して2分割されて充填されている。非吸収材空間38は、挿抜方向(上下方向)に隣接する収納穴33で隣接しないように、交互に水平方向位置を変えて配置されている。
【0103】
翼30の縁部に沿って鉛直方向に延びるガス連通部39が形成されており、これにより、B4Cがスエリングしても、内管35と収納穴33との間には必ずガスを通す空間が残り、ガス連通部39を通って、ガス圧力の低い他の収納穴33へ流れ、ガス圧の均一化が図られるようになっている。なお、ガス連通部39の縁部側には、構造的に必要なスペ−サ40が配置されている。
【0104】
図1の(Y−X)部(すなわち図18のXXI部)では、高い照射量と高い反応度価値が要求される。照射量はX部ほど高くないので、内管を排除して吸収材の直径を大きくして、B4C太径ペレット37を収納穴33内に収納している。本実施形態の設計方法を実施する最も重要な範囲である。非吸収材空間38を交互に配置することによって、隣接に伴う反応度価値の低下と分割面付近の局所的なB−10の燃焼率の増大を抑制している。B−10の濃縮度は、天然が20atom%であるのに対して30atom%程度となる。直径が細くなると濃縮度を上げても反応度価値を高めるのは容易でなくなるため、直径が細くなり過ぎないように反応度価値と核的寿命の最適化が図られる。X部では反応度価値低下抑制の重要性は高くないが、(Y−X)部ではなるべく反応度価値を高くしてB−10濃縮度の上昇を抑制するのが経済的に好ましい。
【0105】
図1のZ部(すなわち図18のXXII部)では、普通、中性子照射量は比較的低く、また反応度価値を格段に高くする必要もない場合が多い。そこで従来通り、中性子吸収材として、B4C粉末48が充填されている。内管を用いないため、吸収材の直径が大きくなり、反応度価値は高くなりやすい。そこでこの領域ではB−10を濃縮したB4Cも用いる必要がない。本実施形態では反応度価値を下げて良い場合を想定し、XXII部でもXX部およびXXI部と同様に、金属ウ−ルを用いて非吸収材空間38を設け、ガスプレナムとしている。中性子照射量が低いため、B4Cの収納穴への固着もないので、非吸収材空間および吸収材部の粉粒間もガスプレナムの機能を果たす。
【0106】
なお、照射量がやや高く、スエリングによる健全性に若干の不安がある場合には、非密封内管に粉末の吸収材を充填して収納穴に収納しても良い。
【0107】
図23ないし図25は、図15に示す方法を用いて図12および図13に示す制御棒を設計した例を示す。図23は、本発明に係る原子炉用制御棒設計方法の実施形態による反応度価値と核的寿命の設計例を示すグラフであって、図16ないし図22に示した原子炉用制御棒の実施形態の第1の変形例を対象とする。図24は図23における制御棒の軸方向位置(1)〜(4)を示す図である。図25は図23の入力条件と計算結果を示す表である。
【0108】
隣接する収納穴間では、非吸収材空間は隣接しないようにした。領域(4)[挿入末端側1/4の範囲]は天然ボロンを用いたB4Cの粉末を非吸収材領域を設けないで70%TDで充填した場合である。吸収材の配置は図16ないし図22に示す実施形態からの第1変形例となっており、図16ないし図22の場合より高い照射量に耐えられる。基準制御棒は図37に示す従来型のものであって、炉心に装荷された制御棒の大多数を占める停止用制御棒とした。B−10を30atom%に濃縮したB4Cは領域(1)と(2)で使用している。ペレットの密度は100%TDとした。実際でも99%TD以上のものが製作されている。内管は肉厚0.1mmとし、領域(1)と(1)で使用した。計算結果のL(核的寿命)の絶対値は入力値のTxの値より5%程度小さめとなるように繰り返し計算で求めた。逆にLの値の方が大きくなった場合には、スエリング条件から寿命は小さい方の入力値Txを使うべきである。
【0109】
領域(1)では天然ボロンを用いているので反応度価値は従来型と同じであるが、ペレットとしているので核的寿命は1.45倍となっている。領域(1)と(2)は核的寿命が(1)より大幅に大きいため、このままでは領域(1)が最初にスエリングで破損することになる。これを避けるためには、ペレットをさらに細くして核的寿命を大きくすることになる。その場合、反応度価値は低下する。その低下の程度が許容範囲を越える場合には濃縮度を上げることになる。領域(1)の範囲は狭いので通常は濃縮度を領域(1)と一致するようにするのがかえって製造コスト上も有利になろう。
【0110】
領域(4)は反応度価値が十分高い。
【0111】
この特性は「CR70」の特性であり、図37の場合より反応度価値と核的寿命が高いのは、同じ粉末でもおもにボロン充填量が多いためである。反応度価値を低下させたい場合には、金属ウ−ルなどを用いてガスプレナムの機能を有するように非吸収材空間を導入すれば良い。
【0112】
なお、簡易計算の結果は詳細計算の結果から若干ずれるはずであり、必要あれば簡易計算の結果を詳細計算により確認する。サーベイ的な計算は必要ない。簡易設計の結果を修正したい場合には、簡易法を用いて修正の方策と修正の程度を容易に判断できる。
【0113】
吸収材の配置を、図16ないし図22に示す実施形態から変えた第2変形例として、挿入末端までペレットを用いる例が考えられる。この場合は、図16ないし図22の場合よりも高い照射量に耐えられる。これは、図1の中性子照射量の分布において照射量曲線の高い領域が下端の方までシフトする場合に好適なものとなっている。
【0114】
上記第2の変形例とは逆に、挿入先端部の図23ないし図25における領域(1)だけに内管を挿入し、その中にペレットを収納した第3変形例が考えられる。この制御棒は他の領域では粉末のB4Cを用いるので停止用制御棒となる。領域(1)の設計方法は図23ないし図25の場合と同じである。
【0115】
図26ないし図31は米国GE社で開発された「GE新型制御棒」へ本実施形態を適用する場合の構造を示す。図26は、原子炉用制御棒の構成を示す部分立面図である。図27ないし図31は図26のB−B線矢視平断面図であって、それぞれが異なる構成例を示している。
【0116】
この制御棒では、4枚の翼30それぞれが、互いに平行に上下方向(すなわち制御棒挿抜方向)に延びる複数の金属管45を互いに溶接して平板状に仕上げて構造になっている。各金属管45は外周に4個の緩やかな突出部46を有し、互いに隣接する金属管45のそれぞれの2個の突出部46同士を突き合わせて溶接する。各金属管45内に、複数の短尺非密封内管47が上下方向に直列に配列されている。短尺非密封内管47の長さはたとえば30〜50cm程度である。各短尺非密封内管47内に、中性子吸収材であるB4C粉末48が充填されている。
【0117】
このようにB4C粉末48を短尺非密封内管47に区分けするのは、長い金属管45内にそのまま粉末のB4C粉末48を充填すると沈積を起こして所望のB4C縦方向分布を維持するのが困難だからである。短尺非密封内管47を用いることから、B4C粉末48を収納する収納穴の横断面積は「CR99」の場合より若干小さくなり、反応度価値も小さくなるが、内管導入により、自動的にスエリング対策ができている。
【0118】
この構成の制御棒でも、軸心から吸収材端部までに構造材を含む軸心部水領域23(幅w)が構成されている。非吸収材領域は収納管を空洞とすることによって形成されるが、ガスプレナムの機能を果たさせるのは構造上容易ではない。
【0119】
図27に示す構造では、すべての金属管45内に、B4C粉末48が充填された短尺非密封内管47が収容されている。
【0120】
図28に示す構造では、軸心から離れた位置の1本の金属管45が、短尺非密封内管47やB4C粉末48が収容されていない空洞収納管50となっている。
【0121】
図29に示す構造では、軸心から離れた位置で互いに隣接する2本の金属管45が、空洞収納管50となっている。
【0122】
図30に示す構造では、軸心から離れた位置で互いに隣接しない2本の金属管45が、空洞収納管50となっている。
【0123】
図31に示す構造では、図30に示す構造と同様に軸心から離れた位置で互いに隣接しない2本の金属管45が、空洞収納管50となっているほかに、軸心に最も近い位置の金属管45も空洞収納管50となっている。これにより、実質的な水領域(幅w)を広げることができる。
【0124】
図32ないし図36は、本発明で対象となりうる「GE新型制御棒」の構成例を示す。図32は、原子炉用制御棒の構成を示す部分立面図である。図33は図32のXXXIII−XXXIII線矢視平断面図である。図34は図33の部分拡大平断面図である。図35は図32のXXXV−XXXV線矢視平断面図である。図36は図35の部分拡大平断面図である。
【0125】
この種の制御棒では、原則として、短尺非密封内管47は、沈積問題や、B4C粒がペレットと内管との間に介入して局所的な応力を発生させないように、全長にわたって使用することが望ましい。この点を除けば基本的には図16ないし図22に示す実施形態に準じた思想で吸収材を構成・配置することができる。ただし、前述のように吸収材を収納しない収納管をガスプレナムとして活用するのは容易でない。挿入先端側と側端側は高い中性子照射を受けるので、細径ペレット60を用いることになる。これは図16ないし図22に示す実施形態においては挿入先端の細径と翼の側端でテ−パを設けることに対応している。挿入末端側の約半分の領域では通常高い反応度価値は要求されないので、天然ボロンを用いたB4C粉末を利用することができる。
【0126】
図37は、米国GE社で開発された「GE旧形制御棒」を示す部分平断面である。この制御棒は、現在も「停止用制御棒」として広く使用されており、通常炉心装荷制御棒の総数の70%を越えている。
【0127】
この制御棒は深いU字状の横断面を有するステンレス鋼製のシ−ス70の中に多数の吸収棒71を配列して翼72を構成し、4枚の翼72を横断面十字形のタイロッド(中央構造材)73により十字形に結合したものである。各吸収棒71は、外径5mm〜6mm程度のステンレス鋼管74の中にB4C粉末75が充填されて密封構成されている。B4C粉末75の沈積抑制は仕切り球(図示せず)とその移動を制限するディンプリング(図示せず)により確保されている。構造的に非常に無難な設計であるが、吸収材の充填量が比較的少ない点と高い照射量に対する設計が困難である。内径が比較的小さいため、高い照射を受ける場合、B−10の濃縮度を高めてスエリングに耐える細径ペレット60を用いる構成にしても反応度価値を高めることは困難である。
【符号の説明】
【0128】
11 収納穴
12 内管
21 翼
22 中性子吸収材
23 軸心部水領域
30 翼
31 先端構造材
32 末端構造材
33 収納穴
35 内管
37 ペレット
38 非吸収材空間(ガスプレナム)
39 ガス連通部
45 金属管
46 突出部
47 短尺非密封内管4
48 B4C粉末
50 空洞収納管
60 ペレット
70 シ−ス
71 吸収棒
72 翼
73 タイロッド(中央構造材)
74 ステンレス鋼管
75 B4C粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たる中性子吸収核種をボロン10とする原子炉用制御棒を設計する方法において、
前記原子炉用制御棒の形状を与えて、少なくともその軸方向に必要な反応度価値Rおよび核的寿命Lの目標値を初期値Txとして設定しておき、
反応度価値Rおよび核的寿命Lを、少なくともボロン10の濃度B10と吸収材寸法Pの関数として表し、
ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値を与えて、反応度価値Rおよび核的寿命Lの値を求める
ことを特徴とする原子炉用制御棒設計方法。
【請求項2】
得られた核的寿命Lの値が、その初期値Txより大きくならないように初期値Txを修正して、再度、反応度価値Rおよび核的寿命Lを求めることを特徴とする請求項1記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項3】
反応度価値Rをボロン10の濃度B10の対数値の1次関数で表し、当該1次関数の係数と定数を吸収材寸法Pの関数で表すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項4】
核的寿命Lをボロン10の濃度B10の1次関数で表し、当該1次関数の係数および定数を吸収材寸法Pの関数で表すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項5】
ボロン10の燃焼に伴うスエリング率Sを燃焼率Buの関数として表し、
さらに設計余裕因子Gを掛けたものを設計スエリング率とし、
想定した燃焼率Buにおける吸収材のスエリングによって寸法Hの収納穴に応力が発生する直前の値として燃焼前の吸収材寸法Pの値を決定し、
該吸収材寸法Pを用いて反応度価値Rおよび核的寿命Lを決定すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項6】
反応度価値Rを、ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値のほかに、隣接する吸収材表面間の距離の関数で表すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項7】
反応度価値Rを、制御棒軸心から吸収材表面までの距離wの関数で表すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項8】
反応度価値Rを、吸収材充填領域内部であって吸収材を排除した領域の距離vの関数で表すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項9】
吸収材充填領域におけるボロン10の濃度B10を、ボロン10濃縮度Enrichと吸収材理論密度TDとの積で表すこと、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項10】
ボロン10の濃度B10を変更することによって反応度価値Rおよび核的寿命Lの値を調整して目標値を求めることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の原子炉用制御棒設計方法。
【請求項11】
反応度価値の絶対値Rを次式で表すことを特徴とする請求項1に記載の原子炉用制御棒設計方法:
=R・R
ただし、Aは絶対値であり、Nは基準制御棒に対する指標であり、
は、基準制御棒の反応度価値を表わす入力値であり、
R=Rs・Fw・Fv・Fd・Ft・WSP
Rs=R+R・Ln(B10
ただし、Lnは自然対数記号であり、
=R00+R01・P+R02・P
=R10+R11・P
10=Enrich・TD
EnrichはB−10濃縮度であり、TDは吸収材理論密度であり、
Fw=W+W・w+W・w
wは制御棒軸心から吸収材表面までの距離であり、
Fv=V+V・v+V・v
vは制御棒翼内吸収材充填部に設けられた非吸収材間隔であり、
Fd=r+r・(d−P)
dは隣接吸収材軸心間の距離、(d−P)は隣接吸収材表面間の距離、Ft反応度に影響する吸収材テ−パ効果を表わす入力値であり、WSPは制御棒翼幅および翼厚因子を表わす入力値である。
【請求項12】
核的寿命の絶対値Lを次式で表すことを特徴とする請求項1に記載の原子炉用制御棒設計方法:
=P(L+L・B10)・Ld・Lt・L
Ld=b・d+c
ただし、Ltは、寿命に影響する吸収材テ−パ効果を表わす入力値であり、Lは、基準制御棒の核的寿命を表わす入力値である。
【請求項13】
主たる中性子吸収核種をボロン10とする原子炉用制御棒を評価する方法において、
前記原子炉用制御棒の形状を与えて、少なくともその軸方向に必要な反応度価値Rおよび核的寿命Lの目標値を初期値Txとして設定しておき、
反応度価値Rおよび核的寿命Lを、少なくともボロン10の濃度B10と吸収材寸法Pの関数として表し、
ボロン10の濃度B10および吸収材寸法Pの値を与えて、反応度価値Rおよび核的寿命Lの値を求める
ことを特徴とする原子炉用制御棒評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−220300(P2012−220300A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85313(P2011−85313)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)