説明

原料粉末調合装置

【課題】短時間で原料粉末を精度よく調合可能な原料粉末調合装置を提供する。
【解決手段】原料粉末調合装置は、原料粉末貯蔵空間1aを有する原料粉末貯蔵サイロ1と、原料粉末貯蔵サイロ1から供給される原料粉末Gの計量空間4aを有する計量サイロ4と、計量サイロ4で計量された原料粉末Gの調合空間7aを有する調合ミキサー7とを備える。そして、原料粉末貯蔵空間1aと計量空間4aとを連通する第1通気路14により、原料粉末貯蔵空間1aから計量空間4aに第1供給路3を通じて原料粉末Gを落下供給する際に、原料粉末貯蔵空間1aと計量空間4aとの圧力差を調整する。また、計量空間4aと調合空間7aとの間を連通する第2通気路15により、計量空間4aから調合空間7aに第2供給路6を通じて原料粉末Gを落下供給する際に、計量空間4aと調合空間7aとの圧力差を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料粉末を予め定められた混合割合になるように計量した後、その計量された原料粉末を混合しながら調合して、溶融ガラス原料などに利用される調合粉末を作製する技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板などの各種ガラス製品は、溶融ガラス原料を溶融炉の中で溶融した後、その溶融ガラスを所定形状に成形しながら冷却することで製作される(例えば、特許文献1を参照)。この溶融ガラス原料は、複数種(例えば、約10種)の原料粉末を予め定められた混合割合で調合した調合粉末(バッチともいう。)から構成される。
【0003】
このような調合粉末を製作する原料粉末調合装置としては、例えば、図4に示すようなものが挙げられる。この原料粉末調合装置は、原料粉末Gを貯蔵した原料粉末貯蔵サイロ101と、原料粉末貯蔵サイロ101から供給される原料粉末Gを計量する計量サイロ102と、計量サイロ102で計量された原料粉末Gを調合する調合ミキサー103とを基本的な構成として備えている。なお、図示例では、計量サイロ102は、計量装置(例えば、ロードセル等)102aを介して支持されており、計量サイロ102の重量とその内容物の重量とを合わせた総重量が計量装置によって測定される構成とされている。
【0004】
原料粉末Gは、原料粉末貯蔵サイロ101と計量サイロ102との間を連結する供給路104を通じて原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102へと供給される。その後、計量サイロ102で測定される原料粉末Gの重量が規定値を示した段階で、原料粉末Gの供給は停止される。このように計量サイロ102で原料粉末Gの計量が完了すると、調合粉末Gmを形成するために、計量サイロ102内の原料粉末Gは、計量サイロ102と調合ミキサー103との間を連結する供給路105を通じて調合ミキサー103へと供給され、調合ミキサー103内で混合されながら調合される。
【0005】
ここで、原料粉末Gは、例えば、数〜数十μm程度の微粒子である場合が多い。その結果、原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102へ原料粉末Gを供給する際や、計量サイロ102から調合ミキサー103へ原料粉末Gを供給する際に、原料粉末Gに由来する発塵が生じ易くなる。したがって、計量サイロ102及び調合ミキサー103が開口部を有する非密閉状態であると、その開口部から原料粉末Gが外部空間に飛散して、外部空間が汚染されるおそれがある。そこで、計量サイロ102及び調合ミキサー103の開口部に集塵機106,107を近接配置し、外部空間に飛散する原料粉末Gを集塵機106,107で集塵するのが一般的である。
【0006】
その一方で、このような構成を採用した場合、集塵機106,107で原料粉末Gを積極的に集塵しすぎると、計量サイロ102における計量誤差が大きくなったり、或いは、計量された原料粉末Gの一部が集塵されて調合ミキサー103の内部から取り除かれることになり、原料粉末Gの調合精度が著しく低下するおそれがある。
【0007】
そこで、図5に示す原料粉末調合装置のように、集塵機106,107を配置する代わりに、計量サイロ102と調合ミキサー103とをそれぞれ密閉し、原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102へ原料粉末Gを供給する際や、計量サイロ102から調合ミキサー103へ原料粉末Gを供給する際に、原料粉末Gが外部空間に飛散するのを防止する対策が講じられた原料粉末調合装置が開発されるに至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−145668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、計量サイロ102及び調合ミキサー103を密閉すると、原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102へ原料粉末Gを供給する際に、計量サイロ102内の気体は、逃げ場がなく圧縮される。そのため、この状態のまま計量サイロ102で原料粉末Gの計量を行うと、圧縮された気体の分だけ重量が重く測定され、計量誤差が生じる要因となる。なお、このような計量誤差の要因となる原料粉末貯蔵サイロ101と計量サイロ102との間の圧力差は、計量サイロ102に原料粉末Gを供給した時点から十分時間が経過すれば徐々に解消するが、それまで原料粉末Gの計量を待っていると作業効率が極端に悪く、実用上問題となる。
【0010】
また、計量サイロ102と調合ミキサー103とがそれぞれ密閉されていると、計量サイロ102から調合ミキサー103に原料粉末Gを供給する際に、原料粉末Gが流出する計量サイロ102内の気圧は負圧になり、原料粉末Gが流入する調合ミキサー103内の気圧は正圧になる。その結果、正圧になる調合ミキサー103から負圧になる計量サイロ102へ向けて原料粉末Gを誘導する力(気流)が作用し、原料粉末Gの円滑な移動が阻害されてしまう。すなわち、原料粉末Gの調合に要する時間が不当に長期化され、短時間での調合作業が困難になる。
【0011】
なお、原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102に原料粉末Gを供給する際に、原料粉末貯蔵サイロ101内の気圧が負圧となって且つ計量サイロ102内の気圧が正圧となれば、上記と同様の理由で、原料粉末貯蔵サイロ101から計量サイロ102に原料粉末Gを円滑に移動させることができなくなる。そのため、このような事態が生じても、結果的に原料粉末Gの調合に要する時間が不当に長期化され、短時間での調合作業が困難になるという問題が同様に生じる。
【0012】
更に、計量サイロ102から調合ミキサー103へ原料粉末Gの移動が円滑に行われなければ、計量サイロ102で原料粉末Gの重量を正確に計量したとしても、計量サイロ102に一部の原料粉末Gが残存し、予め定められた配合割合に満たずに調合精度が低下するおそれがある。
【0013】
以上の実情に鑑み、本発明は、短時間で原料粉末を精度よく調合可能な原料粉末調合装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために創案された本発明は、上流側から下流側に向かって順に、原料粉末貯蔵空間を有する原料粉末貯蔵部と、該原料粉末貯蔵部から供給される原料粉末の計量空間を有する計量部と、該計量部で計量された前記原料粉末の調合空間を有する調合部とを備え、上流側から下流側に向かって前記原料粉体を移動させる供給路で、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間の間および前記計量空間と前記混合空間の間をそれぞれ連結した原料粉末調合装置であって、前記原料粉末貯蔵空間から前記計量空間に前記供給路を通じて前記原料粉末を移動させる際に、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間との圧力差を調整する第1圧力調整部と、前記計量空間から前記調合空間に前記供給路を通じて前記原料粉末を移動させる際に、前記計量空間と前記調合空間との圧力差を調整する第2圧力調整部とを備えていることに特徴づけられる。
【0015】
このような構成によれば、供給路を通じて原料粉末貯蔵部の原料粉末貯蔵空間から計量部の計量空間に原料粉末を移動させる際に、原料粉末貯蔵空間と計量空間との間に生じる圧力差を第1圧力調整部により可及的に低減できる。また同様に、供給路を通じて計量部の計量空間から調合部の調合空間に原料粉末を移動させる際に、計量空間と調合空間との間に生じる圧力差を第2圧力調整部により可及的に低減できる。したがって、原料粉末貯蔵空間から計量空間へ原料粉末を供給している最中またはその直後に、計量部で原料粉末の重量を計量したとしても、原料粉末の重量が本来の重量よりも重く計測されるなどの不具合を解消できる。すなわち、計量空間に原料粉末を供給した時点から十分に時間を経過させなくても、原料粉末の重量を精度よく計量することが可能となる。
【0016】
更に、原料粉末貯蔵空間、計量空間および調合空間の各相互間で、原料粉末を上流側から下流側に移動させる際に、上流側空間と下流側空間との圧力差が実質的にないので、原料粉末の移動を円滑に行うこともできる。
【0017】
上記の構成において、前記第1圧力調整部が、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間とを連通し且つその圧力差に基づいて両空間の間で気体を流通させる通気路から構成されていてもよい。
【0018】
このようにすれば、原料粉末貯蔵空間と計量空間とを連通する通気路を通じて、原料粉末貯蔵空間と計量空間との間で気体を流通させることができる。そのため、原料粉末貯蔵空間から計量空間に原料粉末を移動させる際に、原料粉末貯蔵空間の気圧が負圧になって且つ計量空間の気圧が正圧になったとしても、直ちに通気路を通じて計量空間から原料粉末貯蔵空間へと気体が流入し、原料粉末貯蔵空間と計量空間との間に生じる圧力差を可及的に低減することができる。
【0019】
上記の構成において、前記第2圧力調整部が、前記計量空間と前記調合空間とを連通し且つその圧力差に基づいて両空間の間で気体を流通させる通気路から構成されていてもよい。
【0020】
このようにすれば、計量空間と調合空間とを連通する通気路を通じて、計量空間と調合空間との間で気体を流通させることができる。そのため、計量空間から調合空間に原料粉末を移動させる際に、仮に、計量空間の気圧が負圧になって且つ調合空間の気圧が正圧になったとしても、直ちに通気路を通じて調合空間から計量空間へと気体が流入する。したがって、計量空間と調合空間との間に生じる圧力差を可及的に低減することができる。
【0021】
この場合、前記原料粉末貯蔵空間が、非密閉状態で大気圧を維持し、前記第1圧力調整部が、前記第2圧力調整部を構成する前記通気路と、前記調合空間の気体を大気中に排気する排気路と、該排気路の排気口から気体とともに排出される粉塵を前記排気口から離間した位置で回収する集塵機とから構成されていてもよい。
【0022】
すなわち、非密閉状態の原料粉末貯蔵空間には、外部空間から気体が流入する状態にあるため、原料粉末貯蔵空間から計量空間に原料粉末を移動させる際も、原料粉末貯蔵空間内の気圧は負圧にならずに、大気圧を維持する。そのため、原料粉末貯蔵空間から計量空間に原料粉末を移動させ、計量空間内の気圧が正圧になった場合には、計量空間の気体を大気中に排出し、計量空間の気圧を大気圧に戻す必要がある。しかしながら、計量空間の気体を大気中に排出するために、計量空間を大気と連通させると、大気中に原料粉末に由来する粉塵が飛散してしまう。そこで、上記の構成のように、第2圧力調整部を構成する通気路を第1圧力調整部の一部として併用することで、まず、計量空間の気体を調合空間へ逃がして計量空間内の気圧を大気圧程度まで低下させる。そして、この状態では、計量空間から流入する気体によって調合空間内の気圧が正圧になるので、調合空間から排気路を通じて調合空間の気体を大気中に排出しつつ、排気路の排気口から気体とともに排出される粉塵を集塵機で集塵するようにしている。ここで、集塵機により粉塵を吸引しすぎると、調合空間(場合によっては第2圧力調整部を構成する通気路を介して計量空間)内の原料粉末が強制的に吸い出され、原料粉末の量が不当に減少するおそれがある。そのため、集塵機は排気路の排気口から離間した位置に配置し、排気路の排気口から自然に排出される粉塵のみを集塵するようにしている。
【0023】
上記の構成において、前記原料粉末貯蔵部、前記計量部および前記調合部が、上方から下方に向かって順に配置されており、前記供給路が、自重による落下を利用して前記原料粉末を移動させることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、原料粉末貯蔵空間、計量空間および調合空間の各相互間で原料粉末を重力の力を利用して効率よく移動させることができる。
【0025】
上記の構成において、前記調合粉末が、溶融ガラス原料であることが好ましい。
【0026】
すなわち、溶融ガラス原料の配合割合は、その原料から成形されるガラス製品の物理特性等にも影響するため、溶融ガラス原料として利用される調合粉末は、原料粉末の配合割合が高精度に管理されている必要がある。特に、FPD用のガラス基板では、種々の物理特性が高いレベルで要求されることから、このような必要性はより顕著になる。また、近年では、FPD用のガラス基板に代表されるように、各種ガラス製品は、単位時間当たりに大量の製品を製作されることが要求されることが多くなっている。したがって、高精度に調合された調合粉末を短時間で製作できる本願発明は、溶融ガラス原料の調合装置として好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、原料粉末貯蔵空間から計量空間に原料粉末を移動させる際や、計量空間から調合空間に原料粉末を移動させる際に、各空間の間の圧力差を可及的に低減することができる。そのため、計量部で原料粉末の重量を精度よく計量することができ、しかも、原料粉末貯蔵空間、計量空間および調合空間の各相互間で原料粉末の移動を円滑に行うこともできる。したがって、短時間で原料粉末を精度よく調合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。
【図4】従来の原料粉末調合装置の一例を示す概略図である。
【図5】従来の原料粉末調合装置の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。この原料粉末調合装置は、複数の原料粉末貯蔵サイロ1を備えている。各原料粉末貯蔵サイロ1は、ガラスの原料の1つとして用いられる珪砂などの原料粉末Gを貯蔵する原料粉末貯蔵空間1aを有している。各原料粉末貯蔵サイロ1の原料粉末貯蔵空間1aは、原料粉末Gが外部空間に飛散することがないように、密閉又は略密閉されている。なお、各原料粉末貯蔵サイロ1の原料粉末貯蔵空間1aには、それぞれ異種の原料粉末Gが貯蔵されている。
【0031】
各原料粉末貯蔵サイロ1の下部は漏斗状に縮径しており、それぞれの下端に取り付けられた原料粉末移送装置2の動作に応じて、各原料粉末貯蔵空間1aに貯蔵された原料粉末Gが取り出される。この原料粉末移送装置2は、ロータリーフィーダや電磁フィーダ等であってもよいが、この実施形態ではスクリューフィーダから構成されており、原料粉末Gを略水平方向に移送するようになっている。
【0032】
各原料粉末移送装置2には、それぞれ上下方向に延び且つフレキシブルチューブ等からなる第1供給路3が連結されており、各原料粉末貯蔵空間1aから取り出された原料粉末Gが、それぞれ第1供給路3内を自重による落下で下方に移動する。
【0033】
各第1供給路3の下端には、それぞれ計量サイロ4が連結されており、各第1供給路3から対応する計量サイロ4の計量空間4aに原料粉末Gが供給される。各計量サイロ4の計量空間4aは、原料粉末Gが外部空間に飛散することがないように、密閉又は略密閉されている。また、各計量サイロ4は、計量装置(例えば、ロードセル等)4bを介して支持されており、計量サイロ4の重量とその内容物の重量とを合わせた総重量が測定される構成とされている。なお、各計量サイロ4で原料粉末Gの計量を行う間は、各計量サイロ4の下端に設けられた開閉バルブ5を閉状態とする。また、計量装置4bは、計量サイロ4の計量空間4aが空の状態で計測値の零点調整をすれば、計量空間4aに含まれる内容物の重量を直接測定することができる。
【0034】
各計量サイロ4の下端には、それぞれ開閉バルブ5を介して上下方向に延び且つフレキシブルチューブ等からなる第2供給路6が連結されており、各計量サイロ4の開閉バルブ5を開いた状態で、各計量サイロ4で計量された原料粉末Gが、第2供給路6内を自重による落下で下方に移動する。
【0035】
各第2供給路6の下端には、共通の調合ミキサー7が連結されており、各第2供給路6を通じて供給される異種の原料粉末Gが、1つの調合ミキサー7の調合空間7aに供給される。そして、調合空間7aには撹拌装置7bが配置されており、調合空間7aに供給された異種の原料粉末Gが所定時間に亘って混合されて調合される。調合ミキサー7で原料粉末Gの調合を行う間は、調合ミキサー7の下端に設けられた開閉バルブ8を閉状態とする。
【0036】
調合ミキサー7の下方には、開閉バルブ8を介して上下方向に延びる第3供給路9が連結されており、調合ミキサー7の開閉バルブ8を開いた状態で、調合ミキサー7で原料粉末Gを調合して製作される調合粉末(バッチともいう)Gmが、第3供給路9内を自重による落下で下方に移動する。
【0037】
第3供給路9の下端には、調合粉末貯蔵サイロ10が連結されており、この調合粉末貯蔵サイロ10内の調合粉末貯蔵空間10aに原料粉末Gを調合して製作された調合粉末(バッチともいう)Gmが供給される。この調合粉末貯蔵空間10aは、原料粉末Gが外部空間に飛散することがないように、密閉又は略密閉されている。
【0038】
調合粉末貯蔵サイロ10の下部は漏斗状に縮径しており、その下端に取り付けられた調合粉末移送装置11の動作に応じて、調合粉末貯蔵空間10aに貯蔵された調合粉末Gmが取り出される。この調合粉末移送装置11は、ロータリーフィーダや電磁フィーダ等であってもよいが、この実施形態ではスクリューフィーダから構成されており、取り出した調合粉末Gmを略水平方向に移送するようになっている。
【0039】
そして、この実施形態では、調合粉末移送装置11に取り付けられた開閉バルブ12を開状態にして、調合粉末移送装置11を動作させ、開閉バルブ12の下方に配置されたビン状又は袋状の仮収容容器13内に調合粉末Gmを一時的に収容し、この仮収容容器13で溶融ガラス原料となる調合粉末Gmを図外のガラス溶融炉の炉前サイロまで搬送する。
【0040】
そして、本実施形態に係る原料粉末調合装置は、以上のような基本的な構成に加えて、次のような3つの特徴的な構成を備えている。
【0041】
第一に、原料粉末貯蔵サイロ1から計量サイロ4に原料粉末Gを落下供給する際に、原料粉末貯蔵空間1aと計量空間4aとの間に生じる圧力差を調整するために、第1圧力調整部として、両空間1a,4aの間を連通する第1通気路14が設けられている。この第1通気路14は、原料粉末貯蔵空間1aと計量空間4aとの圧力差に基づいて両空間1a,4aの間で気体(例えば、空気)を流通させるようになっている。付言すれば、第1通気路14は、原料粉末Gを避けて気体を流通させる必要があるため、原料粉末貯蔵サイロ1上部と計量サイロ4上部とを連結している。
【0042】
これにより、原料粉末Gの落下供給時に、原料粉末貯蔵空間1aの気圧が負圧になるとともに、計量空間4aの気圧が正圧になったとしても、第1通気路14を通じて直ちに計量空間4aの圧縮された気体が原料粉末貯蔵空間1aへ逃げ、両空間1a,4aの圧力差が可及的に低減される。したがって、原料粉末貯蔵空間1aから計量空間4aへ原料粉末Gを供給している最中またはその直後に、計量装置4bで原料粉末Gの重量を計量したとしても、圧縮された気体によって原料粉末Gの重量が本来の重量よりも重く計測されるなどの不具合が生じることがない。すなわち、計量空間4aに原料粉末Gを供給した時点から十分に時間を経過させなくても、原料粉末Gの重量を精度よく計量することが可能となる。
【0043】
また、原料粉末貯蔵空間1aと計量空間4aとの間の圧力差が実質的に生じないため、計量空間4aから原料粉末貯蔵空間1aへ向けて原料粉末Gを誘導する気流が形成され難い。したがって、原料粉末Gを原料粉末貯蔵空間1aから計量空間4aに円滑に移動させることができる。
【0044】
第二に、計量サイロ4から調合ミキサー7に原料粉末Gを落下供給する際に、計量空間4aと調合空間7aとの間に生じる圧力差を調整するために、第2圧力調整部として、両空間4a,7aの間を連通する第2通気路15が設けられている。この第2通気路15は、計量空間4aと調合空間7aとの圧力差に基づいて両空間4a,7aの間で気体を流通させるようになっている。なお、第2通気路15も、第1通気路14と同様の理由から、計量サイロ4上部と調合ミキサー7上部とを連結している。
【0045】
これにより、原料粉末Gの落下供給時に、計量空間4aの気圧が負圧になるとともに、調合空間7aの気圧が正圧になったとしても、第2通気路15を通じて直ちに調合空間7aの圧縮された気体が計量空間4aへ逃げ、両空間4a,7aの圧力差が可及的に低減される。したがって、原料粉末Gを計量空間4aから調合空間7aに円滑に移動させることもできる。
【0046】
第三に、本実施形態では、調合ミキサー7の下方に調合粉末貯蔵サイロ10を配置しているので、調合ミキサー7から調合粉末貯蔵サイロ10に調合粉末Gmを落下供給する際に、調合空間7aと調合粉末貯蔵空間10aとの間に生じる圧力差を調整するために、第3圧力調整部として、両空間7a,10aの間を連通する第3通気路16が設けられている。なお、第3通気路16も、第1通気路14と同様の理由から、調合ミキサー7上部と調合粉末貯蔵サイロ10上部を連結している。
【0047】
これにより、調合粉末Gmの落下供給時に、調合空間7aの気圧が負圧になるとともに、調合粉末貯蔵空間10aの気圧が正圧になったとしても、第3通気路16を通じて直ちに調合粉末貯蔵空間10aの圧縮された気体が調合空間7aへ逃げ、両空間7a,10aの圧力差が可及的に低減される。したがって、原料粉末Gを調合空間7aから調合粉末貯蔵空間10aに円滑に移動させることもできる。
【0048】
そして、上記の3つの特徴的な構成を備えることによって、計量サイロ4で原料粉末Gの重量を精度よく計量することでき、且つ、原料粉末貯蔵空間1a・計量空間4a・調合空間7a・調合粉末貯蔵空間10aの各相互間で、原料粉末G又は調合粉末Gmの移動を円滑に行うことができる。したがって、短時間で原料粉末Gを精度よく調合することが可能となる。
【0049】
なお、第1通気路14と第2通気路15は、例えば、内径が約50〜100mmの鋼管で形成される。これに対し、第3通気路16は、第1通気路14と第2通気路15よりも内径が大きく、例えば、内径が約150〜200mmの鋼管で形成される。これは、調合ミキサー7から調合粉末貯蔵サイロ10への調合粉末Gmの供給を短時間で行う関係上、調合空間7aと調合粉末貯蔵空間10aとの圧力差を迅速に低減する必要があるためである。
【0050】
図2は、本発明の第2実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。この第2実施形態に係る原料粉末調合装置が、第1実施形態に係る原料粉末調合装置と相違するところは、調合ミキサー7の調合空間7aに大気と連通する吸気路17を設けた点にある。
【0051】
すなわち、調合粉末貯蔵サイロ10から調合粉末移送装置11の動作によって、仮収容容器13に調合粉末Gmを供給する際に、調合粉末Gmとともに調合粉末貯蔵空間10a内の気体も外部に導出され、調合粉末貯蔵空間10aの気圧が負圧になる場合がある。そして、仮収容容器13の収容空間13aは大気に開放しているので、調合粉末貯蔵空間10aの気圧が負圧になれば、収容空間13aから調合粉末貯蔵空間10a側に原料粉末Gを押し戻す力が作用する。そのため、仮収容容器13に調合粉末Gmを円滑に供給できなくなるおそれがあると共に、計量空間4aや調合空間7aも負圧となって計量値に影響が生じるおそれもある。そこで、第2実施形態では、仮収容容器13に調合粉末Gmを供給する際に、吸気路17を通じて外気を調合粉末貯蔵空間10aに導入して、調合粉末貯蔵空間10aを大気圧に維持するようにしている。
【0052】
更に、第3通気路16と吸気路17には、それぞれ開閉バルブ18,19が設けられており、第3通気路16が開状態では吸気路17が閉状態となり、吸気路17が開状態では第3通気路16が閉状態となるようになっている。具体的には、調合粉末貯蔵空間10aに調合粉末Gmを供給する際には、吸気路17を開閉バルブ19で閉じた状態で開閉バルブ18により第3通気路16を開き、仮収容容器13に調合粉末Gmを供給する際には、第3通気路16を開閉バルブ18で閉じた状態で開閉バルブ19により吸気路17を開くようになっている。
【0053】
なお、この実施形態では、第3通気路16と吸気路17の一部が共通の通路で構成されており、調合粉末貯蔵空間10aから延びる通路が途中で2つに分岐して、その分岐点から一方の分岐通路が原料粉末貯蔵空間1aに連通して第3通気路16となり、他方の分岐通路が大気に連通して吸気路17となる。
【0054】
図3は、本発明の第3実施形態に係る原料粉末調合装置を示す概略図である。この第3実施形態に係る原料粉末貯蔵装置が、第1〜2実施形態に係る原料粉末貯蔵装置と相違するところは、原料粉末Gを貯蔵する原料粉末貯蔵サイロ1の一部又は全部(図示例では1つ)を、内部に原料粉末Gを収容した布製バッグ{例えば、フレキシブルコンテナバッグ(フレコン)}20に変更した点にある。
【0055】
詳細には、原料粉末Gを収容した布製バッグ20は、底部が開閉できるようになっており、原料粉末移送装置2に連結された漏斗状の受台21に底部を開いた状態で配置される。この布製バッグ20は底部が開かれて密閉されていないため、布製バッグ20の内部は大気圧に維持される。そのため、布製バッグ20から計量サイロ4に原料粉末Gを落下供給する際には、布製バッグ20の内部と計量空間4aとの圧力差を低減すべく、計量空間4aの気圧を大気圧に維持する必要がある。そこで、計量サイロ4の計量空間4aと調合ミキサー7の調合空間7aの間を第2通気路15で連通した状態で、調合ミキサー7の調合空間7aに排気路22を設け、この排気路22を通じて調合空間7aの気体を大気中に排気するようにしている。すなわち、第2圧力調整部を構成する第2通気路15を第1圧力調整部の一部として併用し、この第2通気路15により、まず計量空間4aの気体を調合空間7aへ逃がして、計量空間4a内の気圧を大気圧程度まで低下させる。そして、この状態では、計量空間4aから流入する気体によって調合空間7a内の気圧が正圧になるので、調合空間7aから排気路22を通じて調合空間7aの気体を大気中に排出しつつ、排気路22の排気口から気体とともに排出される粉塵を集塵機23で集塵するようにしている。
【0056】
また、排気路22から調合空間7aの気体を排出すると、その排出した気体とともに原料粉末Gが大気中に飛散するおそれがある。そこで、排気路22の排気口から離間した位置に集塵機23を設け、排気路22の排気口から気体とともに排出される粉塵を回収するようにしている。このように排気路22の排気口から集塵機23を離間して配置した理由は、排気路22の排気口から自然に排出される粉塵のみを集塵するためである。換言すれば、集塵機23によって、計量空間4aないし調合空間7aの原料粉末Gを積極的に吸い出して、原料粉末Gの量が不当に減少するのを防止するためである。
【0057】
なお、上記の排気路22は、計量サイロ4の計量空間4aに設けるようにしてもよい。この場合、第1圧力調整部は、排気路22と集塵機23とで構成されることになる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、原料粉末貯蔵サイロ1(フレコン20)・計量サイロ4・調合ミキサー7・調合粉末貯蔵サイロ10を上から順に上下方向に配列した場合を説明したが、原料粉末貯蔵サイロ1(フレコン20)・計量サイロ4・調合ミキサー7・調合粉末貯蔵サイロ10を水平方向に配列して、原料粉末Gを順次水平方向に搬送しながら調合するようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、調合ミキサー7で製作された調合粉末Gmを貯蔵する調合粉末貯蔵サイロ10を設けた場合を説明したが、調合粉末貯蔵サイロ10を省略して、調合ミキサー7から仮収容容器13に直接調合粉末Gmを供給するようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、作製した調合粉末Gmを仮収容容器13に一旦収容した後、ガラス溶融炉の炉前サイロに供給する場合を説明したが、調合ミキサー7又は調合粉末貯蔵サイロ10から配管などを通じてガラス溶融炉の炉前サイロに調合粉末Gmを直接供給するようにしてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、原料粉末Gとしてガラス原料を使用したが、他の粉末(例えば、小麦粉等の食料粉末原料や、化学品)を使用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 原料粉末貯蔵サイロ
1a 原料粉末貯蔵空間
2 原料粉末移送装置
3 第1供給路
4 計量サイロ
4a 計量空間
4b 計量装置
6 第2供給路
7 調合ミキサー
7a 調合空間
7b 撹拌装置
9 第3供給路
10 調合粉末貯蔵サイロ
10a 調合粉末貯蔵空間
11 調合粉末移送装置
12 開閉バルブ
13 仮収容容器
13a 収容空間
14 第1通気路
15 第2通気路
16 第3通気路
17 吸気路
20 布製バッグ(フレコン)
21 受台
22 排気路
23 集塵機
G 原料粉末
Gm 調合粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から下流側に向かって順に、原料粉末貯蔵空間を有する原料粉末貯蔵部と、該原料粉末貯蔵部から供給される原料粉末の計量空間を有する計量部と、該計量部で計量された前記原料粉末の調合空間を有する調合部とを備え、上流側から下流側に向かって前記原料粉体を移動させる供給路で、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間の間および前記計量空間と前記混合空間の間をそれぞれ連結した原料粉末調合装置であって、
前記原料粉末貯蔵空間から前記計量空間に前記供給路を通じて前記原料粉末を移動させる際に、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間との圧力差を調整する第1圧力調整部と、前記計量空間から前記調合空間に前記供給路を通じて前記原料粉末を移動させる際に、前記計量空間と前記調合空間との圧力差を調整する第2圧力調整部とを備えていることを特徴とする原料粉末調合装置。
【請求項2】
前記第1圧力調整部が、前記原料粉末貯蔵空間と前記計量空間とを連通し且つその圧力差に基づいて両空間の間で気体を流通させる通気路から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原料粉末調合装置。
【請求項3】
前記第2圧力調整部が、前記計量空間と前記調合空間とを連通し且つその圧力差に基づいて両空間の間で気体を流通させる通気路から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の原料粉末調合装置。
【請求項4】
前記原料粉末貯蔵空間が、非密閉状態で大気圧を維持し、
前記第1圧力調整部が、前記第2圧力調整部を構成する前記通気路と、前記調合空間の気体を大気中に排気する排気路と、該排気路の排気口から気体とともに排出される粉塵を前記排気口から離間した位置で回収する集塵機とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の原料粉末調合装置。
【請求項5】
前記原料粉末貯蔵部、前記計量部および前記調合部が、上方から下方に向かって順に配置されており、前記供給路が、自重による落下を利用して前記原料粉末を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の原料粉末調合装置。
【請求項6】
前記調合粉末が、溶融ガラス原料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の原料粉末調合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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