説明

厨芥処理方法

【課題】厨芥の有効利用を図ることができる処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明では、厨芥処理方法において、厨芥と生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに選別することにした。また、前記選別された消石灰を加熱して生石灰を生成し、これを前記厨芥に混合することにした。さらに、前記選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨芥処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、厨芥を含む廃棄物は、海洋投棄が禁止されたことにより、焼却処理やコンポスト化して肥料や飼料として再利用する処理などの様々な処理方法が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された処理方法では、廃棄物を厨芥ゴミと非厨芥ゴミとに分別し、非厨芥ゴミに生石灰を添加して固化し、その後、固化した非厨芥ゴミを焼却処理するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−5724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の処理方法では、処理コストを要することから円滑に実用化されておらず、また、焼却処理による二酸化炭素の排出が問題視されている。
【0006】
さらに、処理剤として使用する生石灰は、通常、炭酸カルシウムを約1000℃の高温に加熱することで二酸化炭素を放出して生成されているために、同じく二酸化炭素の排出が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、厨芥処理方法において、厨芥と生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに選別することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記選別された消石灰を加熱して生石灰を生成し、これを前記厨芥に混合することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、厨芥処理方法において、厨芥と生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに選別しているために、脱水された厨芥をコンポスト化の原料として有効利用することができるとともに、消石灰を篩選別して有効利用を図ることができる。
【0012】
特に、選別された消石灰を加熱して生石灰を生成し、これを厨芥に混合することにした場合には、処理剤としての生石灰をリサイクル利用することができ、処理剤としての生石灰の消費量を低減し、処理に要するコストを低下させることができる。
【0013】
しかも、処理剤としての生石灰を消石灰から生成した場合には、従来の炭酸カルシウムから生石灰を生成する場合に比べて約1/3のカロリーで生成することができるとともに地球温暖化の一起因とされる二酸化炭素を放出せずに生成することができる。
【0014】
また、選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱することにした場合には、消石灰から処理剤となる生石灰を低コストで生成することができ、より一層処理に要するコストを低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る厨芥処理方法は、廃棄物を厨芥と非厨芥とに分別し、非厨芥をゴミ焼却炉で焼却処理するとともに、厨芥と処理剤としての生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに篩選別し、脱水された厨芥をコンポスト化するとともに、篩選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱して生石灰を生成し、これを処理剤として厨芥に混合することにしたものである。なお、脱水された厨芥と消石灰とを風選により選別するようにしてもよい。
【0016】
厨芥の処理は、まず、容器内に厨芥を投入し、さらに、同じ容器内に同量若しくは同量以上の生石灰(酸化カルシウム)を投入し、その後、撹拌混合して粘土状にし、これを加圧して圧縮し、そのまま放置する。
【0017】
これにより、容器内において厨芥に含有される水分と生石灰とが反応し、熱を発しながら生石灰から消石灰(水酸化カルシウム)が生成され、この反応により厨芥が脱水されるとともに粉末状の消石灰が生成される。
【0018】
なお、厨芥は、固形状の厨芥と液体状の厨芥とに分別されている場合には、これらを混合して容器に投入する。また、反応を促進させるために容器を加熱してもよい。
【0019】
上記反応により容器内において脱水された厨芥と粉末状の消石灰とが混合した状態となるが、これを篩を用いて分別すると、脱水された厨芥と粉末状の消石灰とに分別することができる。
【0020】
そして、脱水された厨芥は、これを原料としてコンポスト化して肥料や飼料として有効に再利用することができる。
【0021】
一方、篩選別された消石灰は、そのままこれを原料として有効に利用することもできるが、約500℃の高温に加熱することによって生石灰を生成することができ、この生石灰は、上記厨芥処理の処理剤として有効に再利用することができる。
【0022】
このように、処理剤としての生石灰を処理後の生成物である消石灰から生成することにより、処理剤としての生石灰をリサイクル利用することができる。
【0023】
しかも、消石灰から生石灰を生成するときに要する加熱温度は約500℃であるために、非厨芥などをゴミ焼却炉で焼却する際に発生する廃熱を利用することができる。
【0024】
以上に説明したように、本発明に係る厨芥処理方法は、厨芥と生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに篩選別するものである。
【0025】
そのため、本発明では、脱水された厨芥をコンポスト化の原料として有効利用することができるとともに、消石灰を篩選別して有効利用を図ることができる。これにより、厨芥の焼却処理によって排出される二酸化炭素の量を削減することにもなる。
【0026】
また、本発明では、篩選別された消石灰を加熱して生石灰を生成し、これを厨芥に混合することにしている。
【0027】
そのため、本発明では、処理剤としての生石灰をリサイクル利用することができ、処理剤としての生石灰の消費量を低減し、処理に要するコストを低下させることができる。これにより、炭酸カルシウムから生石灰を生成せずに済み、生成時に排出される二酸化炭素の量を削減することにもなる。
【0028】
また、本発明では、篩選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱することにしている。
【0029】
そのため、本発明では、消石灰から処理剤となる生石灰を低コストで生成することができ、より一層処理に要するコストを低下させることができる。これにより、別個に加熱燃焼装置を必要とせずに済み、加熱燃焼時に排出される二酸化炭素の量を削減することにもなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥と生石灰とを撹拌混合し、厨芥に含有される水分と生石灰とを反応させて消石灰を生成し、その後、脱水された厨芥と消石灰とに選別することを特徴とする厨芥処理方法。
【請求項2】
前記選別された消石灰を加熱して生石灰を生成し、これを前記厨芥に混合することを特徴とする請求項1に記載の厨芥処理方法。
【請求項3】
前記選別された消石灰をゴミ焼却炉の廃熱を利用して加熱することを特徴とする請求項2に記載の厨芥処理方法。

【公開番号】特開2009−154089(P2009−154089A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334994(P2007−334994)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(391051197)
【出願人】(508162156)
【出願人】(507422035)コスモス産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】