説明

双方向微小環境系

in vitroで動物細胞を増殖させるための培養セルは、容積を形成する側面及び底部を有する。容積は、動物細胞をその上で培養することができるナノ繊維の層を含有する。ナノ繊維の層は、配向されていてもよく又は配向されていなくともよい。複数の層をその容積に配置することができ、層は、様々な組成及び/又は様々な多孔度を有する。ナノ繊維は、例えば、表面処理されていてもよく、又はコア−シェル構造であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年4月24日に出願された米国特許仮出願第61/172,294号及び2009年6月1日に出願された第61/182,948号の優先権を主張するものであり、これらの開示は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援研究に関する宣言
本明細書で報告されているデータは、全米科学財団の助成金EEC−0425626による支援を受けている。
【0003】
(技術分野)
本開示は、多重培養微小環境系、より詳しくは、配向及び多層化することができる電界紡糸繊維を使用した細胞培養微小環境系に関する。
【背景技術】
【0004】
組織工学及び他の生物医学に応用するための細胞培養における1つの制限は、in vivo環境の地形的豊かさとの相似性が乏しいことである。腫瘍は、正常細胞及び癌細胞が両方とも、特定の物理的、化学的、及び生物学的負荷に遭遇する複雑な3次元微小環境中で発生及び進行する。このような接触の後、幾つかの癌細胞は、多くの場合整列した生物学的構造に沿って、制御されない増殖、侵襲性、及び転移能力を示す。他の細胞は、アポトーシスを起こして消滅する。そのような負荷は、癌を有する患者の最終的な予後を規定する重大事象を構成する。細胞とそれらの微小環境中に存在する栄養成分との相互作用は動的であるため、細胞がこれら成分により影響を受ける機序の特定に対する関心は大きい。しかしながら、腫瘍細胞とそれらの周囲の物理的及び化学的負荷との動的な相互関係において、栄養分の影響が果たす役割は不明確である。その理由の一部は、in vivo系では、複雑な腫瘍由来マトリックスでさえ、再現可能で厳密な様式で、これらパラメーターを脱構築(deconstruction)することが可能ではないということである。
【0005】
平面系は、周囲の微小環境とのin vivo細胞相互作用を忠実に再現することができないため、従来の2次元培養は、腫瘍細胞活性をゆがめてしまう。細胞形態、代謝、遺伝子、及びタンパク質発現、分化パターン、及び細胞内シグナル伝達は、組織培養ポリスチレン(TCPS)上でのそれらの「正常な」in vivo状態と比較して、大きく変更される。全ての哺乳動物組織では、細胞は、直径が約0.3〜3μmの小さくて非常に柔軟性のある繊維の無作為に組織化されたメッシュで構成されるECMのネットワーク内に存在する。TCPS上で観察されることが多い挙動とは対照的に、これらECMに基づく繊維は、通常、それらが運動性細胞の細胞内張線維の形成に係留点を提供しないのに十分な程度に柔軟性である。したがって、腫瘍形成が生じる微小環境は、性質が繊維性であり、柔軟性である。加えて、癌細胞侵襲及び転移には、接着点の形成及びしたがって細胞運動性を可能にする適切な物理的耐性及び分子係留を両方とも提供する繊維性/サブミクロン繊維構造を通過することが必要である。加えて、TCPSの使用を伴う実験の大部分では、特定の細胞系を含む単一培養のみが使用される。条件細胞培地の使用は、標準化の欠如が、特に培地熟成に関して研究間比較を困難にする場合があるが、注目に値する有望性を示している(1〜4)。
【0006】
電界紡糸繊維は、細胞工学的スキャフォールドとして広く使用されている。電界紡糸繊維は、哺乳動物細胞をin vivoで取り囲む天然細胞外マトリックスに対する相似性を有していることにより、ヒト組織の再構築における応用を世界中で生み出している。標準電界紡糸繊維上での標準的細胞培養は、組織培養ポリスチレンと比べて重要な向上性を構成するが、通常は1つのタイプの細胞のみに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,629,030号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】NIHプログラム発表PAS−08−048「Understanding and Preventing Brain Tumor Dispersal」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
残念ながら、従来の電界紡糸繊維は、in vivo細胞及び細胞層を十分に模倣しておらず、in vivo細胞環境のin vitroモデルを研究者に提供していない。したがって、電界紡糸繊維を使用して、例えば種々の所望の配置で複数の細胞タイプの生存能を維持することができる生理学的に及び地形的により類似した微小環境培養系を提供することは、従来技術が未だに満たしていない利点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
in vitroで動物細胞を増殖させるための培養セルは、容積を形成する側面及び底部を有する。この容積は、その上で動物細胞を培養することができるナノ繊維の層を含有する。ナノ繊維の層は、配向されていてもよく又は配向されていなくともよい。その容積中に複数の層を配置することができ、これら層は、様々な組成又は様々な多孔度を有する。ナノ繊維は、表面処理されていてもよく、又はコアシェル構造であってもよい。
【0011】
本開示の細胞培養用ナノ繊維の用途は、様々である。そのような用途の幾つかには、特に、細胞を運動性に基づいて互いに「選別」又は分離できることが含まれる。これにより、例えば、その後遺伝子の相異を分析することが可能になり、特定の医学的治療の開発が可能になるだろう。レーザー又は任意の他のエネルギー源を使用してナノ繊維を切断することにより、細胞運動の方向を制御することが可能である。AFMチップなどの磁気的又は機械的手段によって繊維を操作又は配置することにより、有用な特性をもたらすことができる。
【0012】
例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)又は磁気捕捉アレイ又は光ピンセットなどの、更なる細胞処理又は分離ための任意の他の細胞操作デバイスと整列繊維アレイとを統合する。例えば、Transwell(登録商標)インサート又は細胞集団間の多細胞情報交換を可能にする任意の他のインサートを含む多重層同時培養系への電界紡糸繊維の応用;様々な多孔度(繊維間の間隔)の繊維により、宿主細胞が互いに多細胞情報交換することが可能になり得る多重層型の生成;白質、血管、乳管、又は整列ナノ繊維若しくはナノ線維で構成される任意の他の生物学的組織の模倣物としての整列繊維;及びこれらナノ繊維の整列型又は非整列型である。
【0013】
本開示のナノ繊維層は、近隣細胞を付加することにより生成される「シグナル伝達」を含む化学的手段によって、in vivo微小環境を生成することができる。塗布コーティング(例えば、インクジェット印刷などによる)又は超臨界若しくは未臨界CO処理により、これら繊維に紡糸後生物活性を付加することにより、有用な生物学的挙動の生成が支援される。例えば、超疎水性又は超親水性などの表面処理を繊維に加えることは、有用であることが判明する場合がある。これら繊維に走化性供給源を付加することにより、特定の方向への、通常は繊維軸と平行した細胞の誘導が支援される。この供給源は、インクジェット印刷を使用して塗布することができる。
【0014】
繊維を培地及び/又は細胞で条件付けして生物活性を加えることが、実施可能である。例えば、ヘキサフルオロイソプロポナール(hexafluoroisoproponal)(HFIP又はHFP)、アセトン、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸、酢酸、石油エーテル(petroleum either)、ジメチルホルムアミド、及び整列繊維アレイの電界紡糸を支援する他のものなどの任意の高揮発性溶媒を使用する。回転アース(rotating ground)又は「分離アース(split ground)」堆積法及び/又は静電集束法を使用した整列により、整列の向上性が生み出される。
【0015】
例えば、ポリカプロラクトン、ポリエーテルスルホン、又はポリエチレンテレフタラートなどの、生物学的挙動に影響を及ぼす場合がある様々なモジュラスポリマー繊維(moduli polymer fiber)を、上述の方法と同一の方法を使用して整列させることができる。様々な機械的特性又は生物活性を達成するために様々なポリマー混合物又はコア/シェル構造を実施し、例えば、ポリカプロラクトンとゼラチンを混合するなどして、生物活性を増加させることができる。
【0016】
繊維直径は、約5ナノメートルから約50ミクロン程度までの範囲であってもよい。表面形態(細孔状、くぼみ状、草状、又は毛状)は、例えば、コア−シェル電界紡糸、電界紡糸中の雰囲気追加/変更、及び種々の雰囲気中でのプラズマエッチングなどの技術を使用して生成することができる。
【0017】
この技術を多ウエル生産に応用することにより、単純な大型ペトリ皿から、多ウエルスライドチャンバーを含む1536ウエルプレートまでの多様な一連の製品が生産される。
【0018】
約1繊維/mm〜約200,000繊維/mmまでの範囲の多様な繊維線密度が、細胞挙動における有用な向上性をもたらすために有用であり得る。化粧用製品、種々の形態の放射線被曝、化学療法剤及び他の癌関連化学化合物、細胞発生に対する栄養の影響、細胞間情報交換、抗遊走化合物、細胞分離、酸素分圧効果のin vitro評価における使用が有用である。
【0019】
ナノ繊維層は、腫瘍の輸送用冷却保存などの細胞の保存用及び輸送用の培養基としても使用することができる。整列繊維は、神経再生及び軸索伸長の促進、又は移植用の皮膚細胞の増殖に使用することができる。繊維は、患者細胞が体内から取り出され、繊維に播種され、特定の療法、治療、又は用量がそれら患者の細胞に基づく任意の多様な個別化医療に使用することができる。ナノ繊維は、細胞増殖又は分化を刺激するために伝導性にすることができる。
【0020】
整列又は非整列繊維の3次元チューブを生成することにより、中空壁バイオリアクター技術のそれと類似した様式で、これら望ましい生物学的機能が可能になる。ホモジナイズされた全器官、器官由来の液体、又は(a)目的の器官若しくは(b)目的の疾患のいずれかに関連する特定の細胞を取り囲むマトリックスに由来するコーティングを、本電界紡糸ナノ繊維と組み合わせる。その結果生じた3次元のマトリックスは、個々の患者に相当するin vivo微小環境のより良好な目標側面の点にまで、特定の器官又は目的の微小環境をより良好に再現する。
【0021】
電界紡糸ナノ繊維を、特定の患者に由来するコーティングと組み合わせて、前記患者の治療を個別化するための診断ツールとする。その結果生じた3次元マトリックスは、いかなる既存の商業的製品より更にいっそう忠実に患者自身の器官を再現する。同じ患者に由来する細胞をこのナノ繊維マトリックスで培養し、疾患微小環境中の細胞の特徴並びに特定の治療用化合物に対するそれらの応答を評価するためにモニターすることができる。
【0022】
本電界紡糸ナノ繊維を、器官特異的及び患者特異的な幹細胞分化のための微小環境として、ホモジナイズされた全器官、器官由来の液体、又は関連する特定の細胞を取り囲むマトリックスに由来するコーティングと組み合わせる。幹細胞の分化及び条件付けは、微小環境のこれらの成分により制御され、多能性細胞の抗原性発生及び分化の両方に寄与する。合成ナノ繊維マトリックスでは、これら器官に基づく刺激は、患者自身の細胞から生成された置換物の究極の目的に関連する生化学的及び地形的化合物の多くを含有する3Dスキャフォールドを提供するだろう。
【0023】
本開示のナノ繊維層のこれらの及び更に多くの使用及び/又は変異は、当業者であれば、本明細書に示されている開示に基づき理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本デバイス、プロセス、及び方法の性質及び利点をより完全に理解するためには、添付の図面に関連してなされた以下の詳細な説明が参照されるべきである。
【図1】癌研究に関連する様々な細胞タイプの代表的な集団を含有する、完成した多重培養双方向微小環境系(IMEMS)配置の模式図である。特に、Transwell(登録商標)インサート10は、ウエル12に設置されており培地14で満たされた。インサート10は、細胞透過を可能にしない0.4μm細孔径を有する。細胞透過を可能にする大多孔度繊維の層16は、インサート10の底部に接着された。細胞透過を可能にしない小多孔度繊維の第2の層18は、インサート10の高さの中間に設置された。乳房上皮細胞の層20は、ウエル12の底部に配置された。乳房間質細胞22は、大多孔度層16に接して配置され、そのような細胞は層16を透過した。乳房脂肪細胞の層24は、小多孔度層18の上に配置された。インサート10は、インサートに細胞を注入するために繊維層間でインサートに穿孔された穴26を有していた。
【図2】伝導性炭素テープストリップ(白色の垂直な棒状体)上に電界紡糸された例示的な電界紡糸ポリカプロラクトンナノ繊維を示す図である。この実施形態では、繊維が各開放ウエルの底部を架橋することに留意されたい。
【図3A】多形膠芽腫(GBM)、最も悪性度が高く最も一般的な原発性グリア細胞腫瘍(52)の全体的形態(図3A)を示す図である。図3Aは、侵襲性で出血性の腫瘍コア、並び反対側の半球への整列白質(脳梁)に沿った神経膠腫細胞の広範囲な遊走を示す図である。
【図3B】多形膠芽腫(GBM)、最も悪性度が高く最も一般的な原発性グリア細胞腫瘍(52)のMRI画像(図3B)を示す図である。図3Bは、明確に画定された(高コントラスト、赤色矢印)辺縁及び拡散した(低コントラスト、黄色矢印)辺縁の両方の存在を開示しており、後者は、細胞分散を可能にする主要領域である。
【図4A】神経膠腫細胞が、有髄路(1)、血管(91)、及び軟膜下表面の基底層(57)などの幾つかの解剖学的構造に沿って分散することを示す図である。軸索周囲遊走は、ニューロン周囲サテリトーシスをもたらすことが多い(48)。神経膠腫細胞は、他の構造からの明白な誘導がなくとも、神経実質及びニューロパイルを移動することもできる。
【図4B】腫瘍塊内の孤立血管の反管腔側表面で検出された神経膠腫細胞を示す図である。
【図4C】腫瘍コアから剥離し、近隣白質脳梁に侵襲する神経膠腫細胞(矢印)を示す図である。
【図5】神経細胞の表面付近の神経ECMを構成する主な分子の模式的表示である。レクチカン(lectican)ファミリーのCSPGは、典型的には、各末端の球状ドメイン、及びコンドロイチン硫酸鎖で修飾された伸長中間区間を示す。左下の図は、水溶液中のこのポリサッカライドのロータリーシャドー法による(rotary−shadowed)電子顕微鏡画像に基づく、HAのメッシュ様ネットワークの模式的所見である。SGGLは、スルホ−グルクロニルグリコ−脂質(CSPGに直接結合する白質中に豊富な脂質群)である。図は、参考文献75から作成した。
【図6】実施例2(下記)で報告されているヒト乳房組織の処理を示すフローチャートである。
【図7A】2.5%のZ血清(図7A)で処理した後、電界紡糸繊維上で24時間増殖させたPHNBEを示す図である。電界紡糸PCL上でのヒト正常乳房組織のCYP19 A1発現。
【図7B】50nMのZ(図7B)で処理した後、電界紡糸繊維上で24時間増殖させたPHNBEを示す図である。電界紡糸PCL上でのヒト正常乳房組織のCYP19 A1発現。
【図7C】2.5%のZ血清(図7C)で処理した後で、CCPSで24時間増殖させたPHNBEを示す図である。電界紡糸PCL上でのヒト正常乳房組織のCYP19 A1発現。
【図7D】50nMのZ(図7D)で処理した後、CCPSで24時間増殖させたPHNBEを示す図である。電界紡糸PCL上でのヒト正常乳房組織のCYP19 A1発現。
【図8】CCPS(「PS」)対照、電界紡糸PCL(「PCL」)、及びゲルフォーム(gelfoam)上で4日間培養した後でのヒト正常乳房組織のCYP19 A1発現をグラフにプロットした図である。
【図9A】CCPS(図9A)上のPHNBEの位相差顕微鏡所見を示す図である(細胞は矢印により示されている)。
【図9B】40ミクロン厚の電界紡糸PCL(図9B)上のPHNBEの位相差顕微鏡所見を示す図である(細胞は矢印により示されている)。
【図10(A)】電界紡糸繊維に播種されたマンモスフィア(mammosphere)の48時間後のSEM画像を示す図である。
【図10(B)】CCPSに播種されたマンモスフィアの48時間後のSEM画像を示す図である。
【図10(C)】電界紡糸繊維上で48時間増殖されたマンモスフィアにおけるサイクリンD1、MMP3、Era、及びPTPRγの発現を示す図である。
【図11A】整列ナノ繊維(図11A)に播種された単離U251細胞の例を示す図である。整列ナノ繊維上の細胞は著しく伸長していることに留意されたい(画像の中心)。対照的に、無作為配向繊維上の細胞は、いかなる選択的伸長も示さなかった。
【図11B】無作為配向ナノ繊維(図11B)に播種された単離U251細胞の例を示す図である。整列ナノ繊維上の細胞は著しく伸長していることに留意されたい(画像の中心)。対照的に、無作為配向繊維上の細胞は、いかなる選択的伸長も示さなかった。
【図12A】堆積時の無作為PCLナノ繊維(図12A)のSEMを示す図である。縮尺バー:10μm。
【図12B】整列PCLナノ繊維(図12B)のSEMを示す図である。縮尺バー:10μm。
【図13A】無作為配向ナノ繊維(図13B)に播種された単離U251細胞の例を示す図である。整列ナノ繊維上の細胞は、著しく伸長していることに留意されたい(画像の中心)。対照的に、無作為配向繊維上の細胞は、いかなる選択的伸長も示さなかった。
【図13B】整列ナノ繊維(図13B)に播種された単離U251細胞の例を示す図である。整列ナノ繊維上の細胞は、著しく伸長していることに留意されたい(画像の中心)。対照的に、無作為配向繊維上の細胞は、いかなる選択的伸長も示さなかった。
【図14A】無作為PCL繊維(図14A)上での、24時間の培養期間にわたる細胞質GFP標識U251細胞及び核RFP標識U251細胞の遊走を示す図である。縮尺バー:100μm。
【図14B】整列PCL繊維(図14B)上での、24時間の培養期間にわたる細胞質GFP標識U251細胞及び核RFP標識U251細胞の遊走を示す図である。縮尺バー:100μm。
【図15A】堆積時の無作為PCLナノ繊維(図15A)上の細胞運動を追跡した図である。
【図15B】整列PCLナノ繊維(図15B)上の細胞運動を追跡した図である。
【図16A】無作為PCLナノ繊維及び整列PCLナノ繊維上の78細胞の、24時間の期間にわたる全細胞運動の追跡(挿入グラフ)及び平均運動を示す図である。
【図16B】整列及び無作為繊維上の2つの個々の細胞の追跡を示す図である。整列繊維上の細胞は、有系分裂後運動の突発を示す(M、実験者により観察された有糸分裂)。
【図17】無作為整列繊維に播種された単離神経膠腫幹細胞ニューロスフィアの一例の顕微鏡画像を示す図である。支持ナノ繊維への細胞剥離が欠如していることに留意されたい。
【図18A】整列電界紡糸ナノ繊維(図18A)に播種された神経膠腫ニューロスフィアからの細胞分散を示す代表的なフレームを示す図である。
【図18B】無作為電界紡糸ナノ繊維(図18B)に播種された神経膠腫ニューロスフィアからの細胞分散を示す代表的なフレームを示す図である。
【図18C】対応する境界楕円(図18C)は、主成分分析により評価した。
【図18D】対応する境界楕円(図18D)は、主成分分析により評価した。
【図18E】楕円軸の比率(つまり、異方性細胞拡散の直接的測定)の経時的な変動を示すグラフである。縮尺バー:100”m。
【図19】ヒアルロン酸(HA)の「シェル」により覆われたPCL「コア」繊維を示す図である。縮尺バー:1”m。
【図20】ミエリン+Dil溶液が水平縞模様に印刷されている無作為PCL「コア」+HA「シェル」ナノ繊維を示す図である。縮尺バー:100”m。
【図21A】肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種されたマウス骨髄細胞の代表的な走査型電子顕微鏡画像を示す図である。細胞は、培養の2日後にナノ繊維に付着し始めた(図21A)。マウス骨髄細胞を、ブレオマイシンで処理したマウス肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種した。細胞は、ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックス上で共に凝集し、より多くのマトリクス物質を分泌する傾向がある。
【図21B】肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種されたマウス骨髄細胞の代表的な走査型電子顕微鏡画像を示す図である。マウス骨髄細胞を、PBSで処理した肺抽出物コーティングでコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種した(8日目)。細胞は分離され、マトリクス物質を分泌しないと考えられる(図21B)。マウス骨髄細胞を、ブレオマイシンで処理したマウス肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種した。細胞は、ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックス上で共に凝集し、より多くのマトリクス物質を分泌する傾向がある。
【図22】定量的リアルタイムPCRにより、ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種された野生型マウス骨髄細胞が、PBSで処理した肺抽出物でコーティングされたナノ繊維に播種された細胞と比較して、選択された繊維性遺伝子の発現を8日後に増加させたことを示す図である。I型コラーゲン、平滑筋アクチン、結合組織増殖因子、及びテネイシンCの発現は、GAPDH、ハウスキーピング遺伝子に比べて著しく増加した(n=10及びp<.05)。
【図23A】非コーティング電界紡糸PCL(図23A)上で培養された野生型BMSCの走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
【図23B】PCL(シェル)/PES(コア)(図23B)上で培養された野生型BMSCの走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
【図23C】PES繊維(図23C)上で培養された野生型BMSCの走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
【図24A】ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされた3つの異なるモジュラスナノ繊維マトリックスに播種された野生型マウス骨髄細胞を示す図である。8日後の線維芽細胞/筋線維芽細胞遺伝子(I型コラーゲン:図24A、平滑筋アクチン:図24B、及び結合組織増殖因子:図24C)の発現増加は、PCL又はPESナノ繊維のいずれかに播種された細胞と比較して、PCL/PESコア−シェル組成物で観察された。3つの組成物上でのテネイシンC発現(データ非表示)は、統計的に区別できなかった。(n=10及びp<.05)。
【図24B】ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされた3つの異なるモジュラスナノ繊維マトリックスに播種された野生型マウス骨髄細胞を示す図である。8日後の線維芽細胞/筋線維芽細胞遺伝子(I型コラーゲン:図24A、平滑筋アクチン:図24B、及び結合組織増殖因子:図24C)の発現増加は、PCL又はPESナノ繊維のいずれかに播種された細胞と比較して、PCL/PESコア−シェル組成物で観察された。3つの組成物上でのテネイシンC発現(データ非表示)は、統計的に区別できなかった。(n=10及びp<.05)。
【図24C】ブレオマイシンで処理した肺抽出物でコーティングされた3つの異なるモジュラスナノ繊維マトリックスに播種された野生型マウス骨髄細胞を示す図である。8日後の線維芽細胞/筋線維芽細胞遺伝子(I型コラーゲン:図24A、平滑筋アクチン:図24B、及び結合組織増殖因子:図24C)の発現増加は、PCL又はPESナノ繊維のいずれかに播種された細胞と比較して、PCL/PESコア−シェル組成物で観察された。3つの組成物上でのテネイシンC発現(データ非表示)は、統計的に区別できなかった。(n=10及びp<.05)。 図面は、下記で更に詳述されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
電界紡糸繊維層を使用して、種々の実施形態は、生理学的細胞配置との地形的及び空間的相似性を示すことができるin vitro細胞培養環境を提供する。したがって、例示的な実施形態は、細胞により産生され得る生物学的に重要な物質(例えば、サイトカイン、ホルモンなど)の点で、はるかに豊富であり得る。例示的な実施形態は、既存のin vitro培養技術を、電界紡糸繊維の少なくとも2つの別々の形態と組み合わせる。例えば、種々の実施形態は、1つ又は複数の「高容量」電界紡糸繊維層(つまり、細胞透過を可能にする大多孔度繊維)を有していてもよい。更に、種々の実施形態は、1つ又は複数の「低容量」標準電界紡糸繊維層(つまり、細胞透過を可能にしない小多孔度繊維)を有していてもよい。繊維層は、整列繊維層(つまり、一般的に同じ配向性を示す繊維を含有する電界紡糸繊維層)、非整列繊維層(つまり、標準的繊維配向性を示していない繊維層)、又はそれら両方の組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
多孔度及び厚さが様々である他の層が、所望により含まれていてもよい。多孔度が様々である種々の電界紡糸繊維層を設置及び配置させて、種々の地形的及び生理学的状況を所望の通りに達成することができる。層間の間隔は、研究者らの目的に応じて、0.0から10.0cmまで変えることができる。したがって、種々の実施形態は、in vivoでの腫瘍発生及び進行を潜在的に反映する癌に基づく細胞増殖の研究に有用であり得る。例示的なデバイス及びシステムは、特定の化学療法剤の影響(局所的又は全身性のいずれでもよい)を調査するために拡張され、臨床に直ちに応用できるスクリーニングツールとしての有用性を提供することができる。
【0027】
幾つかの実施形態は、地形的及び生理学的な相似性に関するが、他の実施形態は、それに限定されない。代替的な実施形態では、電界紡糸繊維層を、種々の実験目的及び産業目的に有用であり得る非生理学的又は超生理学的な細胞培養配置を達成するために使用することができる(例えば、所望の化合物の超高度発現をもたらす細胞配置を達成するように、層を整列させることができる)。
【0028】
例示的な実施形態は、ほとんど全ての多ウエル培養プレートを用いて使用することができる。例示的な実施形態は、多孔度、形状、及び厚さが様々である電界紡糸繊維層を有していてもよい。これら層は、プレートウエル及び/又はウエルインサートの側壁に恒久的に固定されていてもよく、又は脱着可能に固定されていてもいずれでもよい。更に、所望の細胞配置に応じて、多数の異なる繊維層配置が可能である。
【0029】
例示的な実施形態は、種々の電界紡糸マトリックス内で又はその上での複数の細胞タイプの同時培養を可能にする。例示的な実施形態では、電界紡糸繊維の配置は、細胞集団が相互に化学的に情報交換することを可能にする。しかしながら、電界紡糸繊維層がサブミクロンであるという性質は、細胞の物理的接触を防止することができる。
【0030】
種々の実施形態には、高容積3次元多孔度を有する少なくとも1つの電界紡糸繊維層の「低容量」標準電界紡糸繊維の両方を使用することが含まれる。この「高容量」層を付加すると、接触阻止細胞の高レベル増殖及び対応する細胞間「シグナル伝達」の増加を達成することができる。
【0031】
種々の実施形態では、他の非繊維(例えば、プラスチック、ゼラチン質などの)層を、所与の応用に望ましい繊維層と共に使用することができる。例えば、繊維層は、ゼラチン質層(例えば、Matrigel(登録商標)BD Biosciences社製、サンホセ、カリフォルニア州)内に埋め込むことができる。例示的な実施形態では、非繊維層は、繊維層の表面に塗布されてもよく、繊維層に組み込まれてもよく、又は微小環境中の個別の層として使用されてもよい。
【0032】
好ましい実施形態は、Transwell(登録商標)インサート又は同じタイプのインサートと共に使用することができる。Transwell(登録商標)インサート(Corning Inc.社製、ローウェル、マサチューセッツ州)を使用して、サブミクロン細孔を含有するトラックエッチ膜を用いて2つの集団に分離することにより、複数の細胞タイプを既存ウエルに導入することに成功している。しかしながら、電界紡糸繊維点の利点、ヒト細胞を取り囲む細胞外マトリックスに対する地形的相似性は、失われる場合がある。Transwell(登録商標)インサートなどのウエルインサートは、種々の開示された実施形態に有用な器具を構築するのに便利なプラットフォームを提供する。これらインサートを使用して、細胞を、種々の及び/又は様々な電界紡糸繊維の層に、便利に負荷することができる。幾つかの実施形態では、種々の層への細胞配置は、インサート内に小さな穴、個々の繊維層間に設置された穴をあけることにより達成することができる。そのような穴により、特定の層(電界紡糸繊維層など)に特定の細胞タイプを注入することが可能になるだろう。
【0033】
しかしながら、実施形態によっては、そのようなインサートを必要とせず、許容される結果を達成するために、種々の繊維層(高容量及び低容量の両方)がウエルに直接固定されていてもよいことが理解されるべきである。そのような場合、細胞は、他の手段、例えばウエルの側壁に沿った一方向注入ポートを使用して負荷することができる。
【0034】
加えて、細胞層インサートは、互いの上部に積み重なるように設計することができ、研究者は、1つの繊維層に細胞を播種し、その後前述の層の上に繊維層インサートを加え、その層に細胞を播種することが可能になる。このプロセスは、任意の数の積重ね繊維層について繰り返すことができる。
【0035】
例示的な実施形態は、癌の発生、及び他の細胞の存在下でのみ「化学耐性」を発生させることができる癌細胞に対する化学療法剤の影響などの腫瘍学的研究に直接の有用性を有する場合がある。更に、種々の例示的実施形態により独特の細胞間相互作用及び増殖関連性が可能になるため、例示的実施形態は、種々の生物製剤(例えば、サイトカイン、ホルモン、他の所望の生物製剤など)の生産を増加又は増強するために、産業分野及び科学分野において有用であり得る。
【0036】
電界紡糸技術
電界紡糸は、本質的にあらゆる化学及び15nm〜10μmの範囲の任意の直径を有する無作為配向繊維又は整列繊維のいずれをも生産する用途の広い技術であり(6、7)、細胞工学において幅広い応用が達成されている(8〜22)。接着性哺乳動物細胞の挙動を制御するにはモジュラスが重要であることが知られているため、「軟質」電界紡糸PCLに関する幾つかの従来研究は、機械的特性の評価に集中している(23〜29)。文献にこの程度精通していれば、電界紡糸繊維の場合でさえ、そのような研究の大部分が、固定された細胞系からなる単一培養に基づいていることが明らかになる。複雑な微小環境によりもたらされる生物学的相互作用の制御レベルは、「シート上の細胞」を培養する標準的作業方法より複雑であり、したがって生物学的に有能なスキャフォールド設計を必要とする。図1のナノ繊維を使用することにより、TCPSより多くの本質的な利点が付与される。そのようなナノ繊維環境は、標準的2D又は細胞培養ポリスチレン表面よりin vivo様の細胞挙動を一貫して示しており(30〜32)、したがって、重要な生物学的プロセスに関するより生物学的に関係性のある研究を実施する能力を有する。
【0037】
必要に応じて、ポリエチレングリコールなどの更に柔質な(より低モジュラスの)ポリマーを使用することにより、細胞係留事象に対する更に少ない抵抗性をもたらすことができる。しかしながら、より軟質なポリマーは、典型的には、(a)細胞培養中の急速な水拡散/浸出を被り、(b)相当な分解を示す。これらは両方とも、所与の実験全体にわたって一定のモジュラス及び化学的環境を維持することに関する問題を引き起こす場合がある。実験的根拠により求められる場合のみ、ポリカプロラクトン(PCL)、in vitroでの数週間の接触中にモジュラスが著しい変化を示さない、広く使用されているFDA認可の生分解性ポリマー(39)の代替物を追求すべきである。
【0038】
ナノ繊維層の製造
例示的実施形態には、多ウエルプレート形式(これらに限定されないが、24、96、又は384ウエルプレートなど)の標準的細胞培養ウエルに便利に適合された電界紡糸繊維培養基を、従来技術に記述されている「切断及び設置」技術と比較して比較的低コストで生産する非常に高容積のプロセスが含まれる。種々の実施形態は、直ちに認識可能な、非常に大きな市場を有する非常に有用な細胞培養製品を生物医学コミュニティに提供する。例示的実施形態は、in vivoでの侵襲又は転移を潜在的に反映する癌に基づく遊走研究に使用することができる。更に、種々の実施形態は、患者特異的癌細胞に対する特定の化学療法剤の影響(局所性又は全身性のいずれでもよい)を研究するために使用することができ、この患者のその後の臨床治療用のスクリーニングツールとしての有用性を提供する。
【0039】
電界紡糸プロセスの通常の必要条件の1つは、その上に堆積が生じる培養基が、空中から落下する繊維を引きつけるために、伝導性でなければならないということである。この状況では、細胞遊走の明瞭な表示を可能にする整列繊維が生産されるはずである。好ましくは、「分離アース」堆積法を使用して、この培養基に特異的に適合されたこの配置を達成する。例示的実施形態では、これは、伝導性炭素テープのストリップをウエル間に付着させることにより達成することができる。その後、これらストリップ間に交互に繊維を堆積させ、ウエル底部に整列繊維がもたらされる。或いは、これは、空のウエル底部に付着させた炭素テープ鋳型製造物を用いて容易に達成することができる。
【0040】
ナノ繊維形成用の追加的技術には、ポリマー含有溶液又はポリマー融解物を、スプレーノズル/チューブとは異なる電位で維持されたスピン/回転ドラム/ディスクに電界紡糸して整列ナノ繊維を形成し、その後それらを取り出し、適当な長さに切断し、単一層及び/又は多重層で、随意に様々なサイズのナノ繊維を用いてウエル又は他の容器に配置することが含まれる。別の技術は、米国特許第7,629,030号に開示されている。様々な追加的技術は、文献に見出されており、様々な産業分野で現在使用されている。そのような技術は、本明細書で開示された教示に従って応用することができる。
【0041】
本開示のナノ繊維層環境から利益を得ることができる研究努力は様々であり、例示的なそのような努力は、限定としてではなく、そのような努力の例示として下記で考察されることになる。当業者であれば、本開示に基づく追加的なそのような様々な努力を理解するだろう。
【0042】
腫瘍学的応用−栄養相互作用
腫瘍は、正常細胞及び癌細胞の両方が、特定の物理的、化学的、及び生物学的負荷に遭遇する複雑な3次元微小環境中で発生及び進行する。このような接触の後、幾つかの癌細胞は、制御されない増殖、侵襲性、及び転移能力を示す。他の細胞は、アポトーシスを起こして消滅する。そのような負荷は、癌を有する患者の最終的な予後を規定する重大事象を構成する。細胞とそれらの微小環境中に存在する栄養成分との相互作用は動的であるため、細胞がこれら成分により影響を受ける機序の特定に対する関心は大きい。しかしながら、腫瘍細胞とそれらの周囲の物理的及び化学的負荷との動的な相互関係において、栄養影響が果たす役割は不明確である。その理由の一部は、in vivo系では、複雑な腫瘍由来マトリックスでさえ、再現可能で厳密な様式で、これらパラメーターの脱構築が可能ではないということである。
【0043】
IMEMSナノ繊維環境は、脱構築問題の解決策に関する実験室での実験から生成された基礎的実験データの翻訳に非常に有用であると考えられる。本発明者らの標的栄養成分の1つは、ゼラノール(Z)、米国牛肉産業で使用される同化成長促進物質としてFDAにより承認されている強力なエストロゲン作用を有する非エストロゲン剤である。米国牛肉飼養場でZを使用する有益性は、飼料効率、体重増加、及び枝肉品質の向上である。しかしながら、Zは、ヒトにおいてはマイコトキシン及び内分泌かく乱物質とみなされている。ZのFDA法定限度は、食用肉中10億分率で150(ppb)である。科学的な、データに基づく1つの仮説は、低レベルの生物学的活性Z代謝産物(BAZM)に女性が長期的に曝されることにより、乳房などのエストロゲン感受性器官に対する有害な健康リスクがもたらされる場合があるということである。
【0044】
IMEMSは、Z含有牛肉製品の食味及び霜降りに関する従来の考え方を変える革命的な考え方を提供する可能性が高い。FDA又はUSDAの政策決定過程に科学的情報を提供することも重要である。2000年の米国議会調査部によると、大規模飼養場の米国肉牛の95%超には、成長促進物質が使用された。EUは、1985年に、成長促進物質を含む米国牛肉製品の輸入禁止を制定した。EUの禁輸は不法であるというWTOによる1997年の裁定にもかかわらず、米国政府の報復的政策が、WTOにより認められ、EU農産物に100%の関税が課された。米国による課税を受けても、EUは、依然として禁輸の解除を拒否している。最近、USDA食品安全検査局は、EU市場に輸出するだけのために、米国における4つの非ホルモン処理牛プログラムを認可した。このプログラムは、政府が米国内で無ホルモン牛肉の消費機会を与えないのはなぜかという疑問を国内消費者に引き起こした。
【0045】
米国では、綿実油(CSO)は、調理、揚げ物、及び食品加工にそれを使用することによりヒトの食事に含まれる。研究目的となる別の他の食事成分である(−)−GPは、サラダドレッシング、ショートニング、マーガリン、缶詰又はスナック食品、及びチューインガム中に存在する。綿実かす(CSM)も、水生魚を含む、肉生産用家畜の食餌中の高品質タンパク質補充物として使用されている。1974年に、FDAは、綿実製品中の遊離(±)−GP含有量を、わずか450ppm(0.045%)に制限した(33)。
【0046】
有力な根拠により、乳房、卵巣、子宮頸部、子宮、副腎、膵臓、及び結腸の癌を含む、様々なヒト癌細胞系に対する(±)−GPの抗増殖効果が示されている(34〜44)。MCF−7、MCF−7Adr、及びMDA−MB−231ヒト乳癌細胞系に対する(±)−GPの抗増殖効果を実証するデータが報告されている(45及び46)。これら公表されている結果に基づくと、生物活性食品成分である(−)−GPCSOは、ヒト正常及び癌乳房細胞、ヒト正常乳房組織から単離された幹細胞/前駆細胞、並びにヒト乳癌組織(乳癌幹細胞)から単離された幹細胞/前駆細胞に対する、BAZM誘導性腫瘍形成効果を阻止可能であり得ると考えられる。
【0047】
従来の綿実に由来する油は、65%の(+)−GPエナンチオマー及び35%の(−)−GPエナンチオマーを含有するラセミ混合物である。選択的育種戦略により、65%の(−)−GPエナンチオマー及び35%の(+)−GPエナンチオマーを含有する新規の綿実品種がもたらされた。以前に公表されているデータにより(16)、(−)−GPは、ラセミ(±)−GPより10倍の抗ヒト乳癌増殖効力を有することが実証されている。
【0048】
−(−)GPは、Zに曝されたヒト乳癌細胞の癌抑制遺伝子を復活させることが可能である、強力な天然低分子脱メチル化剤であることが実証されている。「Epigenetic Effect of Gossypol in the In vitro Suppression of Head and Neck Squamous Cell Carcinoma Cells」と題する他の関連データが、2007年の第7回頭頸部癌国際会議で示された。これら新規の結果は、−(−)GPが、現在用いられている臨床治療薬(5−アザ−2’−デオキシシスチジン(deoxycystidine)及びトリコスタチンA(TSA)よりはるかに良好な脱メチル化剤であることを実証する最初のものである。これらデータは、−(−)GPが、プロモーター領域のCpG島にある癌抑制遺伝子のDNAメチル化を修飾して、ヒト乳癌及び頭頸部癌患者の治療効力を向上させることができることを実証している。
【0049】
この状況では、これら2つの化合物は、(a)ヒト乳癌の発生を低減することができる、潜在的な栄養追加((−)−GP)及び(b)潜在的な栄養欠損を表す。既に腫瘍発生の素因がある癌患者に由来する原発性細胞の供給源を手にするために物理学者がもたらすことができるツールと組み合わせることにより、本発明者らは、特定の癌関連プロセス(増殖、血管新生、侵襲、アポトーシス、及び転移)に対する栄養及び細胞間情報交換の両方に関する研究を可能にする独特の系−IMEMSを提唱することができる。栄養の影響を強調するためには、周囲の微小環境を体系的に変化させて、細胞が、互いにどのように相互作用するか、並びに細胞周囲の物理的及び化学的性質とどのように相互作用するかをより良好に理解することが伴わなければならない。本明細書に従って開発されたツールは、それらが、(1)播種された細胞に関連するナノスケール特徴を示し、(2)腫瘍微小環境の特定の物理的及び化学的成分を組み込み、(3)播種された正常細胞又は腫瘍細胞が、最終的に腫瘍重症度又は転移の増強に寄与する移行を起こすかどうかを確立するように、細胞間情報交換を組み込むことができるため、特に関連性を有する。そのようなツールを使用して、微小環境の物理的及び化学的パラメーターと、高度に関連するヒト原発性細胞の増殖に反映される細胞間情報交換との相互関係を研究することができる。
【0050】
脳腫瘍学
悪性神経膠腫は、なかでも最も侵襲性で、治療が最も成功しないタイプの癌であり、診断後1年を超えて生存する患者は少数である(48、49)。この不良な予後は、神経膠腫細胞に固有な侵襲能力に大部分が起因しており、そのため、神経膠腫細胞が腫瘍塊から剥離して、正常脳組織に浸潤し、免疫検知を回避し、通常の細胞傷害性療法に抵抗性であることを可能にする(50、51)(図3A及び3B)。分散は、完全な外科的切除を妨げ、再発及び急速な致死的転帰に寄与する。
【0051】
ほとんどの治療戦略は、主な腫瘍塊の増殖細胞を死滅させること、又は抗血管新生手法を使用して腫瘍核を飢餓させることに集中しているが、腫瘍浸潤を引き起こす無分裂の遊走細胞を標的とする少数の試みがなされている(50、52)。これら細胞を標的とする手法は、in vitroで神経膠腫細胞遊走を適切にモデル化することが難しいことにより、大きく妨げられている。幾つかの研究室は、神経膠腫遊走を分析するために伝統的に使用される2D及び3Dアッセイに相当な専門知識を有しており、in vivoでの挙動を予測する2D及び3Dアレイの能力を制限する重要な限界を見出している[下記の「in vitroでの神経膠腫細胞遊走のモデル化」を参照]。したがって、主要な研究目的は、高度の実験制御を可能にし、神経膠腫細胞挙動(複数可)を正確に再現するナノスケールのin vitroモデルを確立することである。1つの提唱モデルは、これら特定の必要性を満たす明確に規定されたin vitroアッセイである。モデルは、その後の生化学的分析、遺伝子的分析、及び顕微鏡画像分析をするための細胞接近可能度も可能にする。このようなレベルの制御及び接近可能度は、他の遊走モデルでは困難であるか又は不可能である(下述)。
【0052】
診断及び治療の時までに、これら神経膠腫細胞は、外科的に切除することができる程度を超えて周囲の脳組織に侵襲し(53〜56)、これは、治療の唯一の希望が外科的なもの以外であることを意味する。最近発表されたNIHプログラム発表PAS−08−048(「Understanding and Preventing Brain Tumor Dispersal」)によると、神経膠腫侵襲に対する新規な戦略は、1)腫瘍細胞を動員する機序を特定すること、2)腫瘍細胞と正常な脳要素との相互作用により運動性がどのように影響を受けるかを決定すること、及び3)それらパラメーターに関する理解を、細胞侵襲に対する実行可能な介入に翻訳することを目的とすべきである。したがって、本発明者らは、この提唱が、神経膠腫の侵襲機序を標的としてこれら腫瘍を死刑宣告から治療可能な疾患へと変換させるように調整された試薬の開発に直接的な関連性を有するナノスケール戦略を生成することになると考える。
【0053】
脳における神経膠腫遊走
神経膠腫の侵襲能力は、CNSに限定されており、神経細胞外マトリックス(ECM)を介する短距離非指向性侵襲、並び神経膠腫分散の「ハイウエイ」として機能する血管及び白質繊維などの伸長構造の長軸に沿った長距離侵襲に関与する(57、58)(図4A、4B、及び4C)。 神経膠腫の侵襲挙動は、低悪性度腫瘍及び高悪性度腫瘍の両方で検出することができ、侵襲能力が腫瘍形成の初期で獲得されることを示している。これは、脱分化を起こした神経若しくはグリア前駆細胞又は未熟星状細胞である可能性が高い、細胞の由来を反映するこれら細胞の固有の特性であり得る。侵襲のこれらパターンは、患者間で高度に変動し、各腫瘍、腫瘍幹細胞の由来、及び腫瘍局在化における特定の遺伝子変化に依存する可能性が高い。これら要因が侵襲プロセスにどのように影響するかを理解することは、より代表的なin vitroモデルを開発する主な理由である。
【0054】
侵襲の定型的なパターン、及びそれらが神経組織のみを侵襲するという事実(59、60)事実は、神経膠腫特異的分子機序と神経微小環境の固有な組成との組み合わせが、CNSにおける分散の根底にあることを示唆する。したがって、神経膠腫侵襲の代表的なモデルでは、これら細胞の遊走に影響を及ぼす場合がある神経微小環境の培養基の地形及び化学信号の両方に細心の注意が払われるべきである。特に、このモデルは、解剖学的構造の長軸に沿った選択的侵襲、白質/灰白質境界の存在、並びに神経膠腫細胞運動性及び増殖に影響を及ぼす場合がある細胞外分子の走触性勾配などの実際の神経膠腫で観察される主要な特徴の幾つかを再現すべきである。
【0055】
in vitroでの神経膠腫細胞遊走のモデル化
神経膠腫細胞運動性を研究するために使用される最も一般的なモデルの幾つかは、高密度培養での「創傷治癒」アッセイ及び走化性又は走触性効果を研究するためのtranswell運動性試験などの2次元アッセイに依存する。これらアッセイは、情報価値はあるものの、地形的な均質性及び高度な剛性を両方とも有するバルク(通常はプラスチック)培養基上部にある平坦な単層に整列された細胞を使用することに起因する重大な欠点を有する。この条件は、神経膠腫細胞が、3Dアッセイ並びにin vivoで見出されるものと全く異なる線維芽細胞様形態をとるように誘導する(61〜63)。細胞遊走及び増殖は両方とも、解釈及び実際の神経膠腫の挙動と比較するのが難しい様式で、この培養基により影響を受ける。
【0056】
神経膠腫細胞侵襲を研究するために使用される別の一般的な一組のアッセイは、I型コラーゲン又はこの繊維状タンパク質とラミニン及びニドジェンなどの追加的な繊維状タンパク質との組み合わせから通常は構成されるマトリックス(例えば、Matrigelマトリックス)を介する神経膠腫細胞の透過に基づく。これらアッセイは、細胞分散におけるプロテアーゼの影響などの、神経膠腫侵襲のある側面を研究するのに有用であることが判明しているが(64、65)、設計に制限がある。例えば、これらの培養基が均質であることにより、外部化学誘引物質(使用された場合)によってのみ影響を受ける全方向性遊走がもたらされる。加えて、これらマトリックスの主成分、繊維状コラーゲンは、神経実質及び白質繊維に存在しないだけでなく、わずかな量が脳血管の基底層に存在するにすぎない。これは、神経膠腫細胞が脈管基底層を分解せず、脳で血管侵入しないという事実と組み合わせると、実際の神経膠腫の浸潤挙動を解釈する際に、これらモデルの関連性を制限する。
【0057】
最後に、神経膠腫細胞分散の最も現実的なin vitroモデルの1つ(つまり、運動性及び培養基分解の複合効果)は、適切な培地で支持された脳切片上に配置された神経膠腫細胞の分析である(66〜68)。これらアッセイでは、神経膠腫細胞は、細胞運動に対するその天然障壁を含む脳細胞構造の大部分を保持する生神経組織を遊走するように負荷を受ける(69)。しかしながら、これらアッセイは複雑で手間がかかり、非常に時間がかかり、実験が進行すると共に神経膠腫細胞に影響を及ぼす場合がある徐々に死滅する培養基で移動する細胞をモニターする際の追加的な制限を示す。
【0058】
整列繊維多ウエルプレートは、これら制限を克服すると考えられ、明瞭な臨床可能性を有する多くの重要な利点を提供する。第1に、技術的見地から、電界紡糸繊維モデルは、経時的共焦点顕微鏡法を使用して3Dの神経膠腫細胞を便利にモニタリングすることと組み合わせた明確なin vitro系の利点を全て保持する。第2に、現行のナノ繊維組成物であるポリカプロラクトン(PCL)は、自立3Dスキャフォールドを形成し、人工的な細胞挙動を刺激する場合があるゲル化分子の付加を必要としない。第3に、神経組織の細胞外空間に見出される関連分子を含有し、血管の組成、有髄路、及び無作為ECM繊維を模倣するナノ繊維の周りに「シェル」を形成する可能性があるように改変することが可能である。更に、このモデルは、研究者が、これら生物コーティングされた電界紡糸繊維を、元々の繊維の上部に分子を更に印刷することと組み合わせることを可能にし、したがって明確に画定された境界を有する走触性勾配に関する研究を可能にする。最後に、これら勾配は、無作為繊維及び整列繊維と組み合わせで使用することができ、いかなる前モデルよりも高度な、地形及び化学信号の制御を可能にする。設計的見地から、電界紡糸繊維モデルは、脳自体の構造によってのみ凌駕される複雑さを可能にするが、単純な2Dアッセイに見出される制御レベルを提供する。
【0059】
脳微小環境I:神経細胞外マトリックス
神経ECMは、成人の脳容積の20%程度を構成しており、神経実質内の全構造を取り囲んでいる(70)。このマトリックスは、ポリサッカライドヒアルロン酸(HA)及び関連糖タンパク質及びプロテオグリカンにより形成されるスキャフォールドで構成されているが(図5)、細胞運動性を支援する繊維状タンパク質(コラーゲン、ラミニン)を欠いている(70、71)。実際、神経ECMは、細胞遊走を阻害する地形を形成し、主要な「障壁効果」は、負荷電ポリサッカライドコンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸プロテオグリカン又はCSPG)鎖を保持する糖タンパク質の含有量に起因する(72〜74)。
【0060】
神経ECMの組成は複雑であり、多くのタイプの糖タンパク質を含んでいるが(3、33)、HA及びCSPGは両方とも、このマトリックスの全体的な構造及び物理化学的特性を決定する重要な成分である(75〜77)。HAは、大量の水を保持することができ、したがって増殖及び遊走するために細胞により使用される水和空間を生成する非常に大型の(>106Da/分子)グリコサミノグリカン(GAG)である。このGAGは、発生中のCNSではほとんど水溶性であるが(成人の脳ではそうではない)、軸索誘導又は細胞運動のために、間質内空間を低減させ、神経ECMを許容環境から制限環境へと徐々に変化させる大型の水不溶性凝集体を形成するプロテオグリカンに結合する(77〜79)。
【0061】
レクチカンファミリーのCSPGは、成人ECM中でHAに結合し組織化する凝集性プロテオグリカンの主要群である(77)。これら大型で重度にグリコシル化されたタンパク質は、コンドロイチン硫酸、生理学的なpHにおいて負に荷電される別のGAGの鎖を保持しており、イオン性緩衝液として機能することができ、小型可溶性栄養因子の捕捉分子として機能することができる(80〜83)。幾つかの根拠により、CSPGは、in vivo及びin vitroの両方で細胞遊走に対して高度に阻害性であり、コアタンパク質ではなくコンドロイチン硫酸鎖に大部分が依存すると考えられる効果が示されている(72、74、84)。まとめると、HA及びその関連CSPGは、灰白質の神経膠腫細胞を包埋する高度に圧縮可能なメッシュを形成し、それらの運動性を制限する(又は制限するはずである)。しかしながら、神経膠腫細胞は、正常マトリックス(85、86)を分解し、それら自体のマトリックス成分を分泌する(87、88、89)能力があるため、細胞運動性に対するこの障壁を効果的に克服する。
【0062】
脳微小環境II:基底層及び有髄路
上記に示されているように、神経ECMは、運動性細胞の細胞内張線維の形成に係留点を提供しない、直径が0.5〜3μmの小さくて高度に柔軟な繊維の無作為に組織化されたメッシュを形成する。したがって、神経膠腫分散の主要経路には、灰白質通過は関与していないが、物理的な耐性、及び接着点の形成を可能にし、したがって細胞運動性を促進する係留分子の両方を提供するより大きな構造にわたる遊走が関与する。この目的のために神経膠腫細胞により選ばれた2つの主要構造は、脳毛細血管網(直径が5〜10μmの範囲)、及び白質を構成する有鞘軸索(直径がおよそ0.5〜3μm(90))の主要軸索である。これら経路に沿った分散は、それぞれ血管周囲サテリトーシス及び軸索周囲サテリトーシスとして知られている、血管及び神経線維周囲の伸長神経膠腫細胞の特徴的な「鎖」を生じさせる(51、56)。軟膜下空間を使用する分散の後期経路は、血行性分散の一種である可能性が高く、血管に沿って移動する神経膠腫細胞が、最終的には軟膜の内側表面に到達する際に観察される。
【0063】
脳血管の組成及び形状は両方とも、神経膠腫細胞運動性及び増殖に影響を及ぼすことが知られている。特に、遊走の長軸を分断するすき間及び分岐の存在は、神経膠腫細胞を遅延させ、分裂を刺激し、神経膠腫遊走の制御における培養基の地形の重要性を例示する(91)。
【0064】
脳血管ECM又は基底層の組成は、神経ECMとは全く異なっており、ラミニンなどの運動性を強力に促進することが知られている幾つかの繊維状タンパク質、及び特に大型で接着促進性及び運動促進性の糖タンパク質フィブロネクチン(FN)を含む。I型コラーゲンなどの間質コラーゲンはほとんど存在していないが、このECMには、IV型などの非繊維状コラーゲンが豊富である。基底層の様々な成分のうち、FNは、幾つかの根拠により、インテグリン依存性神経膠腫細胞遊走の主要な走触性誘引物質(haptoattractant)の1つであると特定されている(92、87、93)。
【0065】
神経ECM及び基底層の組成は比較的周知されており、これら微小環境での神経膠腫細胞の運動性挙動は以前に分析されているが、神経膠腫細胞分散の主要経路、つまり白質は、依然としてあまり研究されてない。神経膠腫は、in vivoでは任意の他の構造よりも白質繊維に沿って分散し、数か月間の経過をかけて反対側脳半球にさえ到着する(103)。白質繊維に沿った定方向性遊走は、伝統的に解剖学的な「最小抵抗性の経路」とみなされており、神経膠腫細胞は有鞘軸索の軸に沿って進むが、この培養基での神経膠腫分散を可能にする分子機序は、大部分が未知である(104、105)。更に、CNSに由来する白質は、突起伸長には非許容環境であることが知られており(106、107)、ミエリン関連糖タンパク質及びNOGOタンパク質などの最も顕著な分子阻害剤の幾つかは、神経細胞遊走を阻害することができる(108、109、110)。実際、従来のin vitro研究では、in vivoで観察された神経膠腫の挙動とは対照的に、白質成分で培養された神経膠腫細胞の遊走能力は、基底層成分での能力より低いことが報告されている(105〜106、111)。
【0066】
神経膠腫遊走に対する白質の影響に関する理解は、大部分は、CNSミエリン抽出のプロセスが困難であること、及び〜70%重量/容積が脂質である複雑な混合物に対処することが難しいことにより妨げられている。しかしながら、以前の研究に関する別の重要な欠陥は、精製されたミエリンをその上に堆積させる定方向配向培養基が入手不可能だったことである。ミエリンでコーティングされたプラスチックウエルには、均質な培養基を用いて神経膠腫細胞が負荷され、in vivoで支配的な白質での神経膠腫遊走の非無作為成分が除去される。ナノ繊維の電界紡糸中にPCLと共に同時紡糸することができる高度に精製されたミエリン懸濁液を調製することにより、本発明者らは、これら制限を克服し、天然の地形を模倣するナノ繊維培養基上にミエリン分子の整列分布を生成した。
【0067】
喘息における繊維化
喘息は、可逆的な肺閉塞、過敏性気道、及び気道炎症を初期の特徴とする症候群である。しかしながら、重症度が増大すると共に、気道繊維化が起こり、気道閉塞は不可逆的になる。およそ3400万人の患者が喘息と診察されており、それに関連する死亡は、250,000人/年である。喘息は、〜500,000件の入院件数/年、1280万日の学校欠席日数/年、及び1000万日の欠勤日数/年を占める。喘息治療の年間コストは、197億ドル/年であり、関連する年間薬剤費は、60億ドル/年を超える。喘息の基本機序に関する我々の理解は向上しているにもかかわらず、疾患進行、遺伝的感受性、及び気道繊維化を誘導するシグナルにおける特定細胞の役割に関する完全な理解は、まだ明らかではない。
【0068】
喘息性気道繊維化
喘息患者では、吸入されたアレルゲン及び微粒子は、内部気道へと進み、抗原提示細胞(APC)により取り込まれる。その後、APCは、アレルゲンの断片を他の免疫細胞に対して「提示する」。その結果生じるTH2細胞は、体液性免疫系を活性化する。体液性免疫系は、吸入されたアレルゲンに対する抗体を産生する。後に、患者が同じアレルゲンを吸入すると、これら抗体はそれを認識し、体液性応答を活性化する。炎症は、気道壁の肥厚化を引き起こす化合物を産生し、細胞が瘢痕を生成して増殖し、更なる気道リモデリングに寄与するという結果をもたらす。粘液産生細胞は、より大きく成長し、より多量でより濃厚な粘液を産生し、免疫系の細胞媒介性武装化が活性化される。炎症性気道は、より過敏性であり、気管支痙攣をより起こし易い。最終的に、気道に動員された細胞は、コラーゲンを産生し、繊維化に結び付く。したがって、潜在的な治療薬の新しい標的を発見するためには、喘息病因の細胞及び分子機序を解明することが必須である。
【0069】
気道繊維化における筋線維芽細胞の役割
過剰なコラーゲン沈着、筋線維芽細胞膨張、及び繊維化病巣の発生は、喘息の特徴的の病理学的事象である。筋線維芽細胞は、気流閉塞に関連する過剰な平滑筋質塊に結び付くコラーゲン及び他の不適当なマトリクス物質の合成及び沈着に関与するため、このプロセスにおける重要なエフェクター細胞である(112)。筋線維芽細胞動員の由来及び機序は未知であるが、繊維化の根底にある機序に関しては、最近、興味深い進歩がある。この新しい研究は、筋線維芽細胞が、線維芽細胞として知られている骨髄由来循環細胞に由来する可能性があることを示している(113〜115)。1994年に発見されたように、I型コラーゲンを発現するこれら細胞は、骨髄に由来する(116)。最近の研究では、線維細胞が、喘息性傷害中に気道を通行することが実証されている(112、117、118)。しかしながら、線維細胞が線維芽細胞及び筋線維芽細胞に分化する機序、及びこれら細胞の分化系列は、よく理解されていない。本提唱の目的は、本発明者らが気道炎症における筋線維芽細胞の供給源を決定することを可能にすることになるex vivo系を生成することである。これは、提唱された機序の各々が可能である根拠はあるものの、筋線維芽細胞前駆体の由来及びそれらの動員を媒介する因子を決定することが必要であるため重要であり、それは、有望な新しい治療標的に結び付く可能性があるためである。
【0070】
繊維化微小環境
「正常な」in vitro条件下の上皮下肺繊維化を媒介する原因である個々の細胞を研究することは重要であるが、in vivoでは、これら細胞は、はるかにより複雑な微小環境中に存在する。したがって、繊維化プロセスの促進における気道微小環境の役割を理解することは、必須である。微小環境は、構造細胞及び炎症性細胞の両方、サイトカイン、タンパク質、並びに増殖因子の複雑なネットワークである。気道は、上皮細胞、線維芽細胞、及び常在性平滑筋先駆体などの常在性構造細胞、並びに気道マクロファージ(119、120)及び好中球などの常在性食細胞で構成される。気道繊維化の病理発生中のこれら細胞と繊維化因子との相互作用は、よく理解されていない。上記で考察されているように、線維芽細胞及び筋線維芽細胞は、不可逆的瘢痕に結び付く過剰コラーゲン及びマトリクス物質を分泌するため、線維化環境の生成に重要な役割を果たす。細胞間接着分子及び細胞外マトリックスリガンドは、繊維化微小環境の重要な因子であり、幾つかの研究では、繊維化及び線維芽細胞分化の促進におけるそれらの役割が研究されている(121〜126)。最近のデータは、周囲マトリックスの剛性などの微小環境からの機械的刺激に応答して細胞分化及び遊走が生じることを示しているため、接着媒介性シグナル伝達は、重点的に研究される領域となっている(127〜132)。Engler及び同僚によりCellに発表された最近の研究では、間葉系幹細胞(MSC)が、様々な弾性(モジュラス)のマトリックスで培養された。軟質マトリックスは、ニューロン様細胞へのMSCの分化をもたらすが、剛性マトリックスは、筋原性だった(133)。これら研究は、細胞の運命及び遊走の指図における細胞外マトリックスの重要性を強調する。本発明者らの新規なex vivo系を用いると、本発明者らは、筋線維芽細胞分化に寄与する種々の因子を精査することができ、それは、標準的in vivoモデルを使用して達成することは非常に困難であろう。
【0071】
喘息繊維化研究におけるIMEMSの使用
マウス骨髄由来幹細胞の分化を誘導することが可能なマウス喘息気道ホモジネートから部分的に生成された合成ナノ繊維マトリックスが生成された。気道微小環境変化は、骨髄由来幹細胞(BMSC)の分化を引き起こすが、喘息の開始、進行、及び回復中に動的に変化するという仮説を試験するために、マウスオバルブミンモデルに由来する肺を、喘息に起因する疾患及び末端器繊維化の開始、進行に対応する時点でホモジナイズし、ホモジネートを、コーティングされたナノ繊維マトリックス上に堆積させるだろう。BM細胞をマトリックスに播種し、コラーゲンI、平滑筋アクチン(SMA)、テネイシンC(TN−C)、及び結合組織増殖因子(CTGF)発現を含む、繊維化遺伝子発現及び(筋)線維芽細胞分化について、リアルタイムPGRで評価するだろう。総コラーゲンは、Sircolアッセイにより評価され、タンパク質発現は、免疫組織化学法及びウエスタンブロットにより分析されるだろう。このハイブリッド生物−合成in vitroアッセイは、患者由来組織を用いて行い、典型的な制限を克服し、患者予後を良好に決定することができる可能性がある。
【0072】
関連ヒト由来細胞に対するこのモデル喘息微小環境の影響を確立するためには、ヒト免疫及び気道細胞(血液、気管支肺胞洗浄(BAL)からの肺、及び気道に由来する)の評価が評価されるだろう。この分析は、遺伝子及びタンパク質発現に対するコーティングされたナノマトリックスの影響を理解するために、肺上皮、内皮、及び線維芽細胞供給源に由来する原発性細胞を有する免疫細胞を共培養することにも注目するだろう。その結果生じるin vitroモデルは、単一細胞懸濁液又は気道組織外植片のいずれかから収集される情報より有効な疾患進行を理解する手段である。その後、in vitro研究で明らかにされた遺伝子及びタンパク質をin vivo肺試料で特定するために、特定の喘息タイプ(軽症、中程度、及び重症の持続性喘息)を有する患者に由来する肺試料も研究されるだろう。
【0073】
以下の例は、本開示の開発がどのように実施されたかを示している。しかしながら、そのような例は、本開示に対する制限でなく、むしろその例示である。
【0074】
実施例1
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)溶媒中5重量%のポリカプロラクトン(PCL)溶液を、室温で連続的に撹拌することにより調製して、PCLを溶解した。その後、溶液を、20ゲージの鈍端針を有する60ccの注射器に配置し、2つの高電圧直流電源を使用して電界紡糸した。1つの電源を−11kVに設定して回転ホイールに接続し、他方の電源を+14kVに設定して針に接続した。その後、銅ループを針に取り付け、繊維をホイールに向けて集中させた。針先端部とホイールとの距離を、20cmに設定した。デジタルタコメータを使用してホイールの毎分回転数を測定し、外径を測定して、ホイール表面速度を、およそ15m/sに設定して整列繊維を生成するか、又はおよそ0m/sに設定して無作為繊維を生成した。注射器ポンプを使用して、注射器から溶液を15mL/時で供給した。
【0075】
繊維を、所望の厚さが達成されるまで、ホイールの金属面上に又はホイール表面を包み込む薄いポリマー薄膜に直接堆積した。その後、堆積した繊維を有するポリマー薄膜又は繊維マットを、ホイールから取り外し、適切な寸法に切断した。その後、これら断片を、多ウエルプレートの底部に接着又は結合した。接着剤を硬化させた後、プレートを、細胞培養前に30分〜12時間70%エタノールに浸漬することにより殺菌した。
【0076】
実施例2
Transwell(登録商標)インサートを使用した多重培養実施形態
図1に示されているもののような市販のTranswell(登録商標)インサート又は同等のプレートウエルインサートを、種々の実施形態に有用な器具を構築するプラットフォームとして使用することができる。
【0077】
標準電界紡糸に固有の制限の1つは、それが典型的には細胞不透過性膜を生成するということである。種々の実施形態では、接種された細胞による完全な透過を可能にすることが示された高固体含量繊維を紡糸することにより、この限界を克服し(下記の文献を参照)、標準的「2次元」電界紡糸繊維よりはるかに高い細胞「容量」を提供する。この例示的実施形態では、ジクロロメタン(Mallinckroff Baker社製、フィリップスバーグ、ニュージャージー州)に溶解された15パーセントのポリ(カプロラクトン)(PCL、MW65,000;Sigma−Aldrich社製、セントルイス、ミズーリ州)を、15mL/時の流速及び30cmの針端−培養基距離で、アルミニウムホイルに包まれた7.6cm×7.6cmの鋼鈑上に、−20kVにて電界紡糸した。1.5時間の電界紡糸の経過にわたって、0〜+5kVの電圧を徐々にアース板に印加して、堆積物を徐々に肥厚させることにより引き起こされる絶縁効果を補償した。紡糸時の繊維メッシュを、真空オーブン(<30mmHg)で24時間45℃にて処理して、残留溶媒を除去した。その後、およそ3mm厚のメッシュを、生検穿孔器(Miltex社製、ヨーク、ペンシルベニア州)を使用して、6mm直径円筒へと切断した。
【0078】
その後、この「高容量」のTranswell(登録商標)インサートに対応する適切な大きさの切抜物(この例では、円形)を、底部膜の上のインサートに付加し、その後、図1に示されているように適所に固定(例えば、接着)することができる。
【0079】
その後、標準電界紡糸を結合させ、標準電界紡糸繊維の連続シートを形成することができる。このシートから、Transwellインサートの底部に適合する直径の繊維の円を切り抜き、その後、これら切抜物を、以前に挿入した「高容量」層の上の適所に固定する。図1では、「低容量」標準電界紡糸繊維を含む実施形態は、図1に示されている以前に挿入された「高容量」層の上の適所に接着されている。
【0080】
2つの層の間のインサートの側面に小さな穴を穿孔して、下の「高容量」層への細胞集団の播種を可能にすることができる。図1では、完成したインサートの2つの繊維層間の介在空間に針を直接挿入して、高容量繊維層に細胞を播種することができる。
【0081】
インサートが完成したら、残りの全ては、例えば、図1に示されているように、インサートを既存のインサート適合プレートに付加して、生物相互作用を達成することである。図1は、癌研究に関連する様々な細胞タイプの代表的な集団を含有する、完成した多重培養双方向微小環境系配置の模式的な例である。この例示的実施形態では、3つの細胞層が見出される:(1)プレートウエルの底部(標準的組織培養ポリスチレン、電界紡糸繊維、又は当技術分野で公知の任意の他のウエル材料のいずれであってもよい);(2)「高容量」繊維層;(3)標準的「低容量」繊維層。加えて、この状況では、脂肪球(浮遊するピンク色の球体)を添加して、癌発生におけるヒト生物学の重要な側面を更に模倣する。
【0082】
細胞播種のための組織調達及び加工
正常組織(約220グラム)及び癌組織(約0.5〜1グラム)からのヒト乳房縮小術物は、オハイオ州コロンブスのオハイオ州立大学総合がんセンターの組織調達プログラムから取得した。組織は、回転振盪器で37℃にて一晩解離させた。解離させた後、解離した組織を、50ml遠心チューブで5分間700rpmにて遠心分離し、その結果生じたペレットには上皮オルガノイドが高度に濃縮されており、それを2%ウシ胎仔血清(FBS)を有するPBSで数回洗浄し、各々の洗浄後に50ml遠心チューブで1,200rpmにて遠心分離した。1〜5mlの予め加温されたトリプシン−EDTAを、オルガノイドペレットに添加し、P1000を用いて3分間ピペットし、その後2%FBSを有する10mlの冷却FBSを添加し、1,200rpmで5分間遠心分離した。遠心分離した後、上清を除去し、2〜4mlの予め加温されたディスパーゼ、及び200〜400μlの1mg/ml DNAse1を添加し、1分間ピペットした。2%FBSを有する10mlの冷却PBSを添加し、細胞懸濁液を40μmの細胞ストレーナーでろ過して、単一細胞懸濁液を得た。細胞を、1×B27、20ng/mlのEGF、1ng/mlのヒドロコルチゾン、20mg/mlのゲタマイシン、5mg/mlのインスリン、100mMの2−メルカプトエタノール、及び1%抗生剤−抗真菌剤(100ユニット/mlのペニシリンGナトリウム、100mg/mlの硫酸ストレプトマイシン、及び0.25mg/mlのアムホテリシンB)で補完されたMEBMに懸濁して、37℃に加湿したインキュベーター(5%CO:95%空気)中で培養した。図6には、ヒト正常及び癌乳房組織に由来する、ヒト乳房上皮細胞、間質細胞、前脂肪細胞、及び脂質滴を単離するために実験室で日常的に使用された詳細なプロトコールが例示されている。本発明者らは、この提唱された研究では、2Dポリスチレンプラスチック表面上の単一細胞タイプ単層培養、又は3Dナノ繊維PCLマトリックスに付加された単一細胞タイプ単層培養のいずれかとして、これら細胞を使用することができる。ヒト正常及び癌乳房組織に由来する様々な乳房細胞タイプを提供する単離法は、本発明者らの実験室により公表されている(47、134〜136)。2Dポリスチレンプラスチック単層上で培養された様々なヒト正常及び癌乳房細胞並びに幹細胞/前駆細胞並びに乳癌幹細胞から実験データを生成し、生物模倣3Dナノ繊維PCL上で培養された単一細胞タイプ、及び新しく設計されたIMEMS(図1)モデル系の多細胞タイプ培養からもたらされた結果と比較されるだろう。
【0083】
図6では、組織100を細かく刻み、皿102に配置し、その後コラゲナーゼ消化104を行う。次に、組織100を遠心分離106し、(上から下に)脂質、前脂肪細胞、間質細胞、及びオルガノイド/上皮細胞の層を生成する。脂質及び前脂肪細胞を別々に、高Ca2+(1.05mM)及びDMEM/F12中での培養108に送る。間質細胞及びオルガノイド/上皮細胞を5回洗浄し、110にて重力沈降させる。間質細胞を、高Ca2+(1.05mM)及びDMEM/F12中の培養112に送る。オルガノイド/上皮細胞を、低Ca2+(1.05mM)及びDMEM/F12中の培養114に送る。
【0084】
本発明者らの知る限りでは、この組織容量は、本発明者らが実験的に制御された微小環境中の細胞性及び生理学的変化を生成するために、多細胞系を使用して様々な原発性ヒト乳房細胞間の相互作用の正味効果を定量化する最初の試みを行うことを可能にした。本発明者らは、ある特定のしかし未確定の因子(刺激性又は阻害性のいずれか)が、4つのタイプの細胞の1つ又は複数から培地に分泌される場合があることを十分に予想する。IMEMSから回収された条件培地は、ヒト乳癌を治療又は予防するための新規治療剤の発見に有用な潜在的に生物学的活性な因子の供給源としての役割を果たすことができる。
【0085】
電界紡糸繊維上の原発性培養ヒト正常乳房上皮(PHNBE)細胞
本発明者らの予備研究は、単層電界紡糸PCL、新規のIMEMSを構成する物質上で培養された対照及び処理されたPHNBEの興味深く明確な生物学的応答を例示する。図7A〜7Dの走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、50nMのZ及び2.5%のZ血清に24時間接触させた3D PCLナノ繊維上で培養されたPHNBEを示す。上段パネルの顕微鏡画像は、各処理群の低倍率の3D細胞形態である。下段パネルの顕微鏡画像は、TCPSから撮影されている。2.5%のZ血清上で培養されたPHNBEの形態は、TCPS上での形態とは明白に異なる。2.5%のZ血清で処理されたPHNBEで観察された伸長突起を有する細胞の顕著な分散は、細胞の類上皮形態への移行を示す。3D PCL電界紡糸繊維上で増殖されたPHNBEの細胞機能性及び分子機能性は、従来のプラスチックポリスチレンマトリックス上で増殖された同じ細胞と比較して、in vivoヒト体内の生理学的条件をより正確に表す。
【0086】
電界紡糸繊維とTCPSとの差異に関する追加試験では、アロマターゼ遺伝子、CYP19A1の発現を、3D PCLナノ繊維、TCPS対照、及びゲルフォーム(Pharmacia&Upjohn社製)上で、4日間血清中で培養されたヒト正常乳房組織にて確立した。
【0087】
図8に示されているように、2.5%の対照血清及び2.5%のZ血清との接触により、TCPS上で培養された乳房組織の同じ接触と比較して、より高いCYP19A1 mRNA発現がもたらされた。CYP19は、アロマターゼ酵素産生を制御し、アロマターゼは、乳癌発生に重要な役割を果たすと考えられているエストロゲンの生合成に重要な役割を果たす。生物模倣型3D PCLナノ繊維上でのヒト乳房組織培養によりCYP19A1に発現された機能性は、他の2つのマトリックスよりも、in vivoの正常な生理学的条件で示される機能性をより良好に模倣する。3D PCLマトリックス上の器官培養にヒト乳房組織を4日間曝すことにより、明確な差異がもたらされ、アロマターゼ遺伝子発現レベルの機能性が影響を受ける。このデータは、3D PCLマトリックスが、細胞間レベルだけでなく器官培養レベルで、TCPSと比べてより多くの生物学的な影響を及ぼすことができるという本発明者らの仮説を更に支持する。
【0088】
電界紡糸PCL上の原発性培養ヒト正常乳房上皮細胞(PHNBE)の直接観察
電界紡糸繊維上の原発性培養細胞の挙動を観察するために、位相差顕微鏡法を使用した。位相差顕微鏡法は、透明な試験片を通過する光の小さな位相変位をコントラスト変化に変換し、コンピューター化されたソフトウェアプログラムを使用して、染色せずにリアルタイムで細胞挙動(増殖、形態)の研究を可能にし、これは、原発性(未標識)ヒト細胞の観察において特に重要な利点である。
【0089】
ヒト正常乳房上皮細胞を、6ウエルTCPS(図9A)に、及び40μm厚(およそ30秒間の電界紡糸)の3D PCLナノ繊維(図9B)に48時間播種した。電界紡糸構造のこの特定の厚さは、倒立位相差顕微鏡法を使用して、播種された細胞を観察するのをより容易にするために選択した。ナノ繊維上では、ヒト乳房上皮細胞は、TCPS上に拡散された乳房上皮細胞の線維芽細胞形態とは全く異なる丸い形状を帯びる。50及び60μm厚の電界紡糸PCL上で培養されたヒト乳房上皮細胞(非表示)は、倒立位相差顕微鏡法では明確には視認されない。様々なヒト正常及び癌乳房細胞の最適な多孔度を保持しつつ、電界紡糸繊維の厚さを40μm未満へと更に減少させることが、明らかに必要である。
【0090】
4層IMEMS技術
同じヒト患者に由来する正常(非癌性)ヒト乳房上皮細胞、間質細胞、乳房前脂肪細胞、及び浮遊脂肪球全て(図1に図示)の正確に同一な4層配置を利用して、本発明者らは、4層IMEMS概念の予備評価を実施した。製造後(図1を参照)、IMEMSチャンバーを以下に従って使用した:トリプシン処理後、細胞を、5mg/mlのヒドロコルチゾン、5mg/mlのインスリン、100ng/mlのコレラ毒素、1%の抗生物質、及び10%のFBSで補完された共培養培地DMEM/F12に懸濁した。原発性培養ヒト正常乳房上皮細胞(PCHNBEC)(1.2*104細胞/cm)を下部IMEMS層に播種し、原発性培養正常乳房前脂肪細胞(PCHNBPA)(6,000の細胞/cm)を上部層に播種した。原発性培養ヒト正常乳房間質細胞(PCHNBSC)(6,000細胞/cm)を、1mlの注射器を使用した注入により中間層に播種した。細胞を、37℃で24時間インキュベートした。RNA抽出には、TRIzol試薬を使用した。
【0091】
ヒト乳房腫瘍形成の病因プロセスに関連する5つの重要な遺伝子を、リアルタイムPCRを使用して調査した。CYP7B1及びCYP19A1は、それぞれ副腎DHEA及び卵巣アンドロゲンのエストロゲンへの変換に関与するアロマターゼ酵素である。PTPγは、本発明者らの実験室で発見されたエストロゲン調節性ヒト乳癌抑制遺伝子である(137)。MMP3は、侵襲及び転移のプロセスに関連する乳房細胞運動性を制御する遺伝子である。サイクリンD1は、細胞周期制御遺伝子である。本発明者らのIMEMSモデルで24時間培養されたヒト正常乳房上皮細胞から検出された5つ全ての遺伝子、CYP7B1、CYP19A1、PTPγ、MMP3、及びサイクリンD1のmRNA発現レベルは、TCPS上で培養された乳房上皮細胞の1.2、5.1、6.1、45、及び340倍であった。本発明者らの実験データは、IMEMSモデルで培養されたヒト正常乳房上皮細胞での遺伝子発現の機能性が、TCPS上で培養された同じ乳房細胞タイプとは異なることを実証した初めてのものである。
【0092】
幹細胞/前駆細胞挙動の制御におけるIMEMS
新生物発生前の微小環境を用いて幹細胞及び前駆細胞の役割を理解する方法は、導入された栄養成分並びに物理的及び生化学的環境の両方により決定される。ヒト正常乳房組織(患者1081703A1、29歳、白人)から単離された幹細胞/前駆細胞を、以下の技術に従ってマンモスフィアの形態で培養した。ヒト乳房縮小術正常組織(約220グラム)及び癌組織(約0.5〜1グラム)は、オハイオ州立大学総合がんセンターの組織調達プログラムから取得した。組織は、回転振盪器で37℃にて一晩解離させた。解離させた後、解離した組織を、50ml遠心チューブで5分間700rpmにて遠心分離し、ペレットには上皮オルガノイドが高度に濃縮されており、それを2%ウシ胎仔血清(FBS)を有するPBSで数回洗浄し、各々の洗浄後に50ml遠心チューブで1,200rpmにて遠心分離した。1〜5mlの予め加温されたトリプシン−EDTAを、オルガノイドペレットに添加し、P1000を用いて3分間ピペットし、その後2%FBSを有する10mlの冷却FBSを添加し、1,200rpmで5分間遠心分離した。遠心分離した後、上清を除去し、2〜4mlの予め加温されたディスパーゼ、及び200〜400μlの1mg/ml DNAse1を添加し、1分間ピペットした。2%FBSを有する10mlの冷却PBSを添加し、細胞懸濁液を40μmの細胞ストレーナーでろ過して、単一細胞懸濁液を得た。細胞を、1×B27、20ng/mlのEGF、1ng/mlのヒドロコルチゾン、20mg/mlのゲタマイシン、5mg/mlのインスリン、100mMの2−メルカプトエタノール、及び1%抗生剤−抗真菌剤(100ユニット/mlのペニシリンGナトリウム、100mg/mlの硫酸ストレプトマイシン、及び0.25mg/mlのアムホテリシンB)で補完されたMEBMに懸濁して、37℃に加湿したインキュベーター(5%CO:95%空気)中で培養した。
【0093】
生物模倣3D PCLナノ繊維(図10A)及びTCPS(図10B)に48時間播種されたマンモスフィアのSEMを撮影した。リアルタイムPCR用に全RNAを培養幹細胞/前駆細胞から単離して、サイクリンD1、MMP3、ERα、及びPTPγ遺伝子を検出した。TCPS上で培養された幹細胞/前駆細胞でのサイクリンD1、ERα、及びPTPγの遺伝子発現が、生物模倣3D PCLナノ繊維上で培養された幹細胞/前駆細胞の同じ遺伝子より高いことは、図10Cに示されているデータから明らかである。MMP3、胚発生中の細胞外マトリックスの分解に関与するマトリックスメタロプロテイナーゼは、電界紡糸PCL上で培養された幹細胞/前駆細胞で著しくより高いレベルで発現された。
【0094】
実施例3
多ウエルプレートにおける整列繊維
無作為繊維調製
アセトン(Mallinckrodt Chemicals社製)中18重量%のポリ(ε−カプロラクトン)(Sigma−Aldrich社製、Mw=65,000)溶液は、アセトンを50℃に加熱し、その後連続的に撹拌してPCLを溶解することにより調製した。室温に冷却した後、20ゲージの鈍端針を有する60ccの注射器に溶液を配置し、24kVに設定された高電圧DC電源(Glassman社製)を使用して、20cmの先端−培養基距離及び16mL/時の流速で電界紡糸した。およそ100μm厚の3×3”(7.6×7.6cm)シートを、アルミニウムホイル上に2分間堆積させた。その後、PCLシートを、一晩減圧下に置き、残留アセトンの除去を保証した。高分解能ESI解析(Esquire社製)を使用して、その結果生じたアセトン含有量が、本発明者らの検出能力より少ない(10ppm未満)ことを確立した(138)。走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、堆積時の繊維が無作為アレイを形成することを示した(図11)。
【0095】
整列繊維の調製
「通常の」電界紡糸により生産された無作為構造の整列には、様々な技術(139〜142)が使用されているが、能動的に細胞遊走を調査するための必要条件には、細胞培養の統計学的必要条件と一致するのに十分な生産レベルと組み合わされた整列効率の増強が要求された。繊維堆積が2つの別々のアース板間を迅速に交互にする「分離アース」技術(143〜147)として知られている方法が、比較的効率的な整列を提供することを見出した(図12)。無作為繊維を生産するために使用した同じポリマー溶液を、10kV、20cmの水平先端−培養基距離、及び3mL/時の流速を使用して電界紡糸した。紡糸の前に、フルオレセインイソチオシナート(isothiocynate)異性体I(FITC、Fluka BioChemika社製)を、連続的に撹拌しながら10mg/mLのポリマー溶液で冷却溶液に添加した。電界紡糸中に、間隔が5mmの2つの別々のアースを有するガラス円板上に、繊維を1分間堆積させて、およそ50μmの厚さにした。これら整列電界紡糸試料を再び一晩減圧下に配置した。このプロセスは、残留アセトンの除去を保証することが判明している(138)。その後、試料をジップロックポリエチレン袋に密閉し、この袋を45℃水浴に10分間浸漬した。この熱接触は、整列繊維の応力焼きなまし(stress anneal)として機能し、細胞培養中に繊維にしわが寄るのを防止した。
【0096】
分散神経膠腫培養及び遊走の分析:
細胞培養:ヒト原発性神経膠腫細胞X12は、以前に記述されており(148)、免疫不全(ヌード)マウスの側腹で日常的に維持した。安定した蛍光標識を提供するために、100,000×12細胞の懸濁液を、核タンパク質ヒストン2Bに融合された赤色蛍光タンパク質(RFP)を保持する3.4×106p.f.uのレンチウイルスで感染させた(Yoshinaga Saeki博士、OSUの好意で提供されたベクターpLenti−H2B−RFP)。形質導入後、細胞を宿主マウスに再導入し、更なる処理まで成長させた。ヒト神経膠腫細胞系U251を、10%ウシ胎仔血清、50UI/mlのペニシリン、及び50”g/mlのストレプトマイシンを含有する、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で日常的に培養した。これら細胞を、細胞質GFFレンチウイルスベクター及び核RFPレンチウイルスベクターの両方を使用し、標準的プロトコールを使用して、安定的に形質導入した。
【0097】
初期遊走研究の場合、X12又はU251形質移入細胞を、約7.104細胞/mlの初期密度でナノ繊維培養基上に解離させて播種した(図13)。細胞を、35mm培養皿の底部に付着させた無作為又は整列ナノ繊維の直径12mm円板(図14A及び14B)上に均質に分散させ、その後、通常温度及び湿度条件を提供するために培養チャンバーが取付けられた共焦点顕微鏡(Zeiss社製LSN510型)を使用した経時的顕微鏡法を使用して、24時間にわたって追跡した。細胞は、GFP(U251)蛍光及びRFP(U251及びX12)蛍光の両方により識別され、50μm厚のZスタックを10分ごとに撮影した。
【0098】
遊走分析
経時的共焦点画像は、ImageJ画像ソフトウェアを使用して加工し、各撮影時間点での最大強度Z投影を生成する。その後、これら画像を連結し、それらの明るさを正規化して動画を生成し、それを粒子追跡分析により更に分析した。ImageJを使用して、個々の細胞を、実験期間の全体(約24時間)にわたって手作業で識別及び追跡した(図15A及び15B)。その後、全移動距離平均及び個々の細胞の速度を定量化し、経時的にプロットした(図16A及び16B)。
【0099】
本発明者らの結果は、配向性が異なるナノ繊維上の細胞遊走に著しい差異があることを実証した。特に、無作為繊維に播種された細胞は、いかなる特定方向への進行もほとんど示さず、球状のままであり、複数の繊維と接触し、繊維の交差地点付近で振動することが多かった。顕著に対照的には、整列繊維上に播種された細胞は、非常に伸長した形態を示し(図13)、突発的に運動しその後暫時停止して分裂することを特徴とする、繊維軸に沿った明確な運動を示した。整列繊維上での細胞の平均速度は、無作為繊維上の細胞より約5倍速く、興味深いことには、in vivoでの神経膠腫細胞遊走について観察された白質対灰白質の速度比率と一致した(25、149、150)。生体分子コーティングがない場合でさえ、本明細書で試験されたスキャフォールドが、脳の分子成分のミクロ及びナノスケール整列を再現した可能性があるかどうかを推測することは興味をそそる。
【0100】
これら細胞の経時的分析は、通常は2つの異なる時点間の個体群分散の平均として遊走を測定する標準的2D運動性アッセイと比較して、定量的な利点を提供した(101)。個々の細胞追跡は、実際の運動が複雑であり、細胞周期及び局所的環境に依存することを示した。本発明者らは、平均細胞速度を、整列繊維上では4.2”m/時(=3mm/月)、無作為繊維上では0.8μm/時/h(=0.6mm/月)と推定した。整列繊維での結果は、2Dアッセイで測定されているもの(12.5μm/時(134))より低いが、高悪性度神経膠腫(135)を表すin vivoの実験モデルで観察された4.8μm/時(48)と一致する。無作為繊維での結果は、白質路がほとんど存在しない深部灰白質で発生する神経膠腫についての観察と一致した(136)。したがって、これらの結果は、繊維状培養基上での神経膠腫細胞の運動性が、以前のin vitroモデルで観察されているものより、真の神経膠腫遊走をより良好に表すことができることを示唆する。
【0101】
ニューロスフィア神経膠腫培養及び遊走の分析:
細胞培養:高悪性度神経膠腫に由来する新しい生検試料を、神経膠腫幹細胞集団の単離のために以前に記述されているように解離させて培養した(151)。細胞を、50ng/mlのEGF、50ng/mlのbFGF、10ng/mlのLIF、及びB27補完剤(Invitrogen社製)で補完された神経基礎培地(Invitrogen社製)中で維持し、「ニューロスフィア」として知られている腫瘍凝集体として懸濁中で増殖させた。ニューロスフィアをトリプシン処理により解離させ、単離された細胞を、製造業者の推薦に従ってレンチウイルスベクターpCDH1−MCSEF1−coGFP(System Biosciences社製)を用いて、GFP発現用に安定的に形質移入した。GFP発現ニューロスフィアを、無作為又は整列PCL繊維の円板に播種し(図17)、その後上述のように経時的共焦点顕微鏡法を行った。
【0102】
遊走分析
経時的共焦点画像を、上述のようにImageJを使用して加工し、細胞遊走の動画を生成した。ニューロスフィア及びそれらの剥離細胞のコア塊を、主成分分析を使用して散在粒子の集団として分析した(Viapiano、未発表)。細胞遊走の長軸及び短軸を、粒子分散の共分散行列の固有ベクトルとして計算し、細胞の原分布の>95%を包含するように更に増減した。本質的に、結果は、無作為繊維に播種されたニューロスフィアは分散せず、その代りそれらの元々の形状を経時的に保持したことを示した(図18)。このようにコアニューロスフィアからの細胞剥離が存在しないことは、無作為繊維上での細胞−培養基接着が、球体を維持する細胞間接着を克服するのには十分ではなかった可能性があることを示唆した。著しく対照的には、整列繊維に播種されたニューロスフィアに由来する細胞は、コア塊から剥離し、繊維に沿って広範に移動し、直交方向より6倍を超えてこの方向に分散した。興味深いことには、これら細胞は、繊維整列に対して垂直な遊走をほとんど示さなかった。
【0103】
まとめると、これらの結果は、神経膠腫細胞挙動に対する培養基整列の影響を実証するだけでなく、様々な挙動が、様々な分子メディエーター(例えば、細胞が無作為繊維上では形成しない、整列繊維上の特異的接着複合体)により支援され得ることも示唆する。
【0104】
整列及び無作為繊維に播種された神経膠腫細胞のマイクロアレイ解析:
細胞培養
ヒトU251神経膠腫細胞を上述のように培養し、1×105細胞/mlの初期密度で無作為又は整列繊維に分散及び播種した。細胞を繊維上に堆積させ、48〜72時間遊走させ、その後、それらを下述のように、マイクロアレイにより全RNA解析するために処理及び収集した。
【0105】
マイクロアレイ解析
転写物発現を分析するために、全RNAをTrizol(Invitrogen社製)を使用して抽出し、その品質をキャピラリー電気泳動法(Bioanalyzer2100型、Agilent社製)により確認した。RNA試料を、完全なヒトゲノムを包含する、U133PIus2.0遺伝子チップ(Affimetrix社製)に対するハイブリダイゼーション用に処理した。マイクロアレイは、各実験条件ごとに重複して実施した(培養基×遊走の総回数)。RNAハイブリダイゼーション及び画像走査から、データフィルタリング及び解析までの手順は全て、OSU総合癌センターのマイクロアレイコア施設で実施した。事後解析は、無作為繊維上で遊走した細胞と比較して、整列繊維上で48及び72時間遊走した細胞において、一貫して上方及び下方制御された転写物に注目した(上方制御された転写物については、表1を参照)。
【0106】
【表1】

【0107】

表1:無作為PCL繊維に播種されたU251細胞と比べて、整列PCL繊維に播種されたU251細胞で特異的に上方制御された(>1.5倍及びp<0.005)転写物のリスト。ハイブリダイゼーションシグナル強度は、フィルタリングされ、無作為繊維上の細胞の平均値に対して正規化された。既知の及び潜在的な遊走促進性遺伝子は太字で示されている。
【0108】
生化学的に修飾されたナノ繊維:
これらナノスケールスキャフォールドのin vivo環境との相似性を増強するために、2つの技術:コアシェル電界紡糸及びインクジェット印刷を使用した。下記に例を挙げる。
【0109】
コアシェル繊維:
Dilシアニン染料(ジアルキルカルボシアニン、Invitrogen社製)を、1:100の比率で、DI水中1mg/mLのヒアルロン酸(Calbiochem社製)溶液に添加した。アセトン中18重量%のPCL溶液を、以前と同じように調製した(図19)。その後、16ゲージの皮下T字型接合部(Small Parts,Inc社製)を通して挿入された22ゲージの皮下注射針(Integrated Dispensing Solutions社製)を使用して、ナノスケールコア−シェル繊維を調製し(図19)、必要とされる2つの同心円状鈍針開口部を製作した(148)。Swagelokステンレス鋼継手を使用して、針を適所に保持し、針端が互いに同じ高さにあることを保証した。1つの注射器(BDルアーロック端部)を、「コア」用のポリマー溶液で充填し、22ゲージ針に接続し、注射器ポンプを使用して、2mL/時の流速に設定した。別の同一の注射器を、延長部を介してT字型接合部に接続し、所望の「シェル」溶液を充填し、別の注射器ポンプを使用して、1mL/時の流速に設定した。高電圧電源(Glassman High Voltage,Inc.社製)を、同心円状針構造に接続し、20cmの先端−培養基距離で、PCL+HFPポリマー溶液の場合は+28kV、又はPCL+アセトンポリマー溶液の場合は+25kVに設定した。
【0110】
同じ溶液及び電圧を使用した分離アース技術を使用して、ガラス製カバーガラス上に、5mm隔てられた2つの電極に及ぶ整列繊維を生成した。加えて、より多くの整列繊維を、18.3m/sの線速度で回転するマンドレル上に堆積させることにより生成した。高圧COを使用し、900psiで30分間の曝露を使用して、シェルをコアに注入/結合した。
【0111】
インクジェット印刷:
ラット脳ミエリンを、Norton及びPoduslo(152)の独創的な方法を使用して分画遠心法により精製し、以前に記述されているように浸透圧ショック及び追加的な等密度沈降法により更に精製した(153)。高度に精製されたミエリンを、PBSで1:9の比率で等分及び希釈された20mMのTrisHCl、pH7.4(約0.1mg/ml全タンパク質)に再懸濁した。その後、Dilシアニン染料を、1:100の染料−溶液容積比率で添加した。その後、この溶液を、50μmのオリフィス直径を有するガラス毛細管状先端を使用した工業等級インクジェットプリンター(Jetlab II、Microfab Technologies,Inc.社製、プレーノー、テキサス州)を使用して、培養基に印刷した。180Hzの液滴周波数を、5mm/秒のヘッド速度と組み合わせて使用した。特注のプログラムスクリプトを使用して、図20に見られる印字パターンを生成した。
【0112】
要約すると、これら予備結果は、以下のことを示す:a)ナノスケールの物理的構造は、神経膠腫細胞運動性に顕著な効果を及ぼすこと;b)培養基地形は、腫瘍遊走に直接関連する場合がある遺伝子発現に影響を及ぼすこと;及びc)本発明者らが、in vivo環境とのそれらの相似性を増強することになる方法でこれら培養基を最適化する様々なツールを有すること。
【0113】
実施例4
この例では、電界紡糸には、ポリカプロラクトン(PCL)、細胞が分裂及び分化すると共に細胞が付着し自由に移動するための最適なスキャフォールドとしての役割を果たすことが実証されている合成繊維を使用する[154、155〜157]。予備データでは、ブレオマイシン処理肺抽出物が繊維自体にコーティングされたPCLスキャフォールドを使用する。その後この繊維化微小環境の成分を含有するこれら繊維を、細胞培養皿に配置する。任意の目的細胞を、コーティングされたマトリックスに配置し、細胞とこのスキャフォールドとの形態的相互作用を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。細胞を、分子分析のために取り出すこともできる。この系は、繊維化微小環境が、骨髄細胞の(筋)線維芽細胞へのin vivoでの分化に関与するという本発明者らの仮説をex vivoモデルで試験することを可能にするという点で理想的である。長期的には、この系は、サイトカイン添加又は特定の増殖因子又はタンパク質の除去などのマトリックス条件を変更して、これら特定の因子のどれが、化学的に複雑な微小環境における筋線維芽細胞分化に関与するかをより現実的に決定することができるという点で特に強力である。この技術は高度に転用可能であり、例えば、患者由来の組織を使用して目的の疾患を表すマトリックス環境を生成し、その後診断手段としてマトリックスにヒト細胞を播種することができるだろう。この技術は、肺だけでなく任意の疾患又は器官に使用することもでき、種々の疾患状態を研究するための強力なプラットフォームを付与する。
【0114】
結果
PCLナノ繊維上の肺抽出物コーティングの生物学的効果
本発明者らの第1の目的の実現可能性を決定するために、ナノ繊維マトリックスを紡糸し[155、156]、TC−100型卓上回転コーティング器(MTI Corporation社製)を使用して、ブレオマイシン処理マウス肺抽出物[158]でコーティングした。電界紡糸繊維シートを、直径22mmの円板に切断し、生体適合性シリコーン接着剤(部品# 40076 Applied Silicone Corporation社製)を使用して、ガラス製カバーガラスに接着した。その後、繊維円板を、1,000RPMの回転コーティング器に配置し、75μLのエタノールで予め湿らせておき、その後75μLの抽出物でコーティングした。空気乾燥した後、別記のように抽出物を繊維に架橋した[159]。比較目的のために、他のマトリックスをPBS処理肺抽出物で回転コーティングし、12ウエル細胞培養皿に配置した。野生型FVB/Nマウスから骨髄を抽出し、白血球を単離し、2%FBSを有するDMEMに播種した。細胞を、2、4、8、及び14日後にSEMで観察した。図21A及び21Bに示されているように、ブレオマイシン処理肺抽出物でコーティングされたマトリックスに播種した骨髄細胞は、マトリクス物質を分泌して互いに凝集し始めたが、PBS処理肺抽出物でコーティングされたマトリックスに播種された骨髄細胞はそうではなかった。
【0115】
次に、PBS又はブレオマイシンのいずれかで処理されたマウスに由来する肺抽出物でコーティングされたナノ繊維マトリックスに播種した後の野生型マウス骨髄細胞からRNAを単離した。図22に示されているように、I型コラーゲン、アルファ平滑筋アクチン、及びテネイシンCの発現は、PBSで処理されたマウスに由来する肺抽出物でコーティングされたナノ繊維に播種された細胞と比較して、ブレオマイシン処理マウス肺抽出物でコーティングされたナノ繊維に播種された細胞で増加した。この実験は、適切にコーティングされたナノ繊維マトリックスが、BMSC到達の際に繊維化応答を生じさせる場合があるという重要な兆候を提供した。
【0116】
ナノ繊維モジュラスの生物学的効果
播種細胞とのマトリックス相互作用とは別に、マトリックス剛性の役割を更に確立するために、本発明者らは、次に、合成ポリマーから紡糸された様々なモジュラスを有するナノ繊維マトリックスを試験した。ポリエーテルスルホン(PES)は、以前に使用されたPCL(図21A、21B、及び22)より(13,500psi)、約28.5倍大きなモジュラス(385,000psi)を有する。これは、細胞応答に対するモジュラスの効果(もしあれば)を決定するのに適切な劇的に異なるモジュラスを提供する。最後に、本発明者らは、PESの「コア」上のPCLの薄い「シェル」で構成される「コア−シェル」繊維[160〜163]を含めた。これは、全体的な繊維モジュラスを7.1MPa(純粋なPCL)から30.6MPaに増加させ、これは4倍を超える増加であるが、PCL表面化学を保持する洗練された手段を提供する[164]。
【0117】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)(Sigma−Aldrich社製)中8重量%のポリエーテルスルホン(PES)(Goodfellow社製、ケンブリッジ、英国)溶液を、連続的に撹拌することにより調製した。その後、20ゲージの鈍端針を有する60ccの注射器に溶液を配置し、23kVに設定された高電圧DC電源(Glassman High Voltage,Inc.社製)を使用して、20cmの先端−培養基距離及び5mL/時の流速で電界紡糸した。およそ0.2mm厚の3×3”(7.6×7.6cm)シートを、アルミニウムホイル上に堆積させた。その後、PES繊維シートを減圧下に一晩配置し(残留HFIPの除去を保証するため[157])、直径22mmの円板に切断し、以前のように(図1を参照)細胞培養のためにガラス製カバーガラスに接着した。
【0118】
コア−シェル繊維は、16ゲージの皮下T字型接合部(small Parts,Inc.社製、ミラマー、フロリダ州)を通して挿入された22ゲージ皮下注射針(Integrated Dispensing Solutions社製、アグーラヒルズ、カリフォルニア州)を使用して、2つの同心円状鈍針開口部を製作することにより調製した。Swagelokステンレス鋼継手を使用して、針を適所に保持し、針端が互いに同じ高さにあることを保証した。1つの注射器(BDルアーロック端部)を、コア用のポリマー溶液、PES+HFIPで充填し、22ゲージ針に接続し、注射器ポンプを使用して、2mL/時の流速に設定した。別の同一の注射器を、延長部を介してT字型接合部に接続し、シェル材料、PCL+HFIPを充填し、別の注射器ポンプを使用して、2mL/時の流速に設定した。高電圧電源(Glassman High Voltage,Inc.社製)を、同心円状針構造に接続し、PCL+HFIPのシェルを有するPES+HFIPポリマー溶液コアの場合は+30kVに設定し、先端−培養基距離は20cmに設定した。その後、PCL/PESコアシェル繊維シートを減圧下に一晩配置し(残留HFIPの除去を保証するため[38])、直径22mmの円板に切断し、以前のように(図1を参照)細胞培養のためにガラス製カバーガラスに接着した。
【0119】
図23A、23B、及び23Cは、非コーティングPCL(コーティング研究で使用したモジュラス)、PCL/PES(PCLコーティングを有するより高モジュラス)、及びPES(コーティングを変化させたより高いモジュラス)に播種された骨髄細胞が、3つのナノ繊維組成全てで同様の細胞形態をもたらしたことを示す。しかしながら、これらナノ繊維マトリックス上で8日間培養された野生型マウス骨髄細胞から単離されたRNAは、実質的に異なる挙動を示した。図24A、24B、及び24Cに示されているように、I型コラーゲン、アルファ平滑筋アクチン、及び結合組織増殖因子は、PCL/PESコア−シェルナノ繊維に播種された細胞で増加した。このナノ繊維組成がPCLと同じ表面化学を有することを考慮すると、これら結果は、BM由来細胞の繊維化応答を条件付ける際に、ナノ繊維モジュラスが重要な役割を果たすことを示唆する。
【0120】
要約
まとめると、これら初期観察は、繊維化肺微小環境に曝されたBM細胞が、「正常な」肺微小環境に曝された細胞より多くの線維芽細胞/筋線維芽細胞表現型を発生させることを示唆する。加えて、根底にあるナノマトリックスのモジュラスは、この応答の急性度に重要な役割を果たす。このモデルの臨床可能性を確立するための更なる研究には、(a)肺抽出物コーティングの生化学的組成に関するより深い理解、(b)分化をより効果的に線維化経路に誘導する培養基特性/調製に関する知識、(c)様々な培養基及び生化学的刺激により負荷されたBMSCにおける細胞的及び分子的変化を確立すること、及び(d)繊維化応答を低減する可能性を有する薬物及び戦略を特定するための適切な薬理学的阻害剤の使用が含まれる。
【0121】
別様に定義されていない限り、本明細書で使用された技術的及び科学用語は全て、本発明が関する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有しており、方法及び例は例示にすぎず、限定を意図していない。デバイス及びプロセスが種々の実施形態を参照して記述されているが、当業者であれば、本開示の範囲及び本質から逸脱せずに、種々の変更を行うことができ、等価物を、その要素の代わりに代用することができることを理解するだろう。加えて、多くの改変を行って、その本質的な範囲から逸脱せずに、特定の状況又は物質を本開示の教示に適合させることができる。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されないが、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある全ての実施形態を含むことになることが意図される。本出願では、明示的な別様の指示がない限り、全ての単位はメートル法であり、全ての量及びパーセントは重量による。また、本明細書で言及された引用は全て、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0122】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitroで動物細胞を増殖させるための培養セルであって、容積を形成する側面及び底部を有するセルを含み、前記容積が、動物細胞をその上で培養することができる配向ナノ繊維の層を含有する培養セル。
【請求項2】
ナノ繊維の少なくとも2つの層が、前記容積に含有されており、前記層の少なくとも1つが、配向ナノ繊維である、請求項1に記載の培養セル。
【請求項3】
前記層が、様々な形態、多孔度、密度、電気伝導度、又は剛性の1つ又は複数を有するナノ繊維で形成されている、請求項2に記載の培養セル。
【請求項4】
前記層が、様々な組成を有するナノ繊維で形成される、請求項3に記載の培養セル。
【請求項5】
前記配向ナノ繊維の外側表面が、処理に供されている、請求項1に記載の培養セル。
【請求項6】
前記処理が、前記外側表面に塗布されたコーティングの1つ又は複数であり、前記外側表面が、超臨界CO処理に供されており、前記外側表面が、未臨界CO処理に供されており、前記外側表面が、走化性供給源に供されており、又は前記外側表面が、細孔状、くぼみ状、草状、又は毛状の1つ又は複数を形成する処理に供されている、請求項5に記載の培養セル。
【請求項7】
前記配向ナノ繊維が、ホモジナイズされた全器官、器官由来液体、又は(a)目的の器官又は(b)目的の疾患のいずれかと関連する特定の細胞を取り囲むマトリックスに由来する細胞又は生物学的環境の1つ又は複数でコーティングされている、請求項6に記載の培養セル。
【請求項8】
前記配向ナノ繊維が、コア/シェル構造を有する、請求項1に記載の培養セル。
【請求項9】
前記配向ナノ繊維が、約1繊維/mm〜約200,000繊維/mmの範囲の線密度を有する、請求項1に記載の培養セル。
【請求項10】
動物細胞をin vitroで培養するための方法であって、
(a)容積を形成する側面及び底部を有するセルにおいて、配向ナノ繊維の層を前記容積に配置するステップと、
(b)前記配向ナノ繊維層を動物細胞で播種するステップと、
(c)前記動物細胞を培養するために、前記セルにおいて細胞培養条件を確立するステップとを含む方法。
【請求項11】
ナノ繊維の少なくとも2つの層が、前記容積に含有されており、前記層の少なくとも1つが、配向ナノ繊維である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記層が、様々な形態、多孔度、密度、電気伝導度、又は剛性の1つ又は複数を有するナノ繊維で形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記層が、様々な組成を有するナノ繊維で形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記配向ナノ繊維の外側表面が、処理に供されている、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記処理が、前記外側表面に塗布されたコーティングの1つ又は複数であり、前記外側表面が、超臨界CO処理に供されており、前記外側表面が、未臨界CO処理に供されており、前記外側表面が、走化性供給源に供されており、又は前記外側表面が、細孔状、くぼみ状、草状、又は毛状の1つ又は複数を形成する処理に供されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記配向ナノ繊維が、ホモジナイズされた全器官、器官由来液体、又は(a)目的の器官又は(b)目的の疾患のいずれかと関連する特定の細胞を取り囲むマトリックスに由来する細胞又は生物学的環境の1つ又は複数でコーティングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記配向ナノ繊維が、コア/シェル構造を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記配向ナノ繊維が、約1繊維/mm〜約200,000繊維/mmの範囲の線密度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
1つ又は複数のタイプの細胞が播種され、少なくとも2つの遺伝子的に異なる細胞タイプが、前記配向ナノ繊維に沿った細胞運動に基づいて分離される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
化粧用製品、細胞放射線被曝、化学療法剤、細胞発生に対する栄養の影響、細胞間情報交換、抗遊走化合物、細胞分離、又は酸素分圧効果の1つ又は複数をin vitroで評価するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
動物細胞をin vitroで増殖させるための培養セルを製作する方法であって、
(a)容積を形成する側面及び底部を有する培養セルのアレイを準備し、電気アースを、前記アレイの各前記培養セル間に確立するステップと、
(b)配向ナノ繊維の層を、前記アレイに電界紡糸するステップとを含む方法。
【請求項22】
前記電界紡糸に供される材料が、ヘキサフルオロイソプロポナール(HFIP又はHFP)、アセトン、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸、酢酸、石油エーテル、又はジメチルホルムアミドの1つ又は複数に分散される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
動物細胞をin vitroで増殖させるための培養セルで使用するための配向ナノ繊維を製作する方法であって、
(a)配向ナノ繊維の層を移動表面に電界紡糸して、配向ナノ繊維を形成するステップと、
(b)前記表面から前記配向ナノ繊維を収集するステップとを含む方法。
【請求項24】
前記収集した配向ナノ繊維が、ある長さに切断される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
底部がないウエルプレートが、前記切断された配向ナノ繊維上に接着される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電界紡糸に供される材料が、ヘキサフルオロイソプロポナール(HFIP又はHFP)、アセトン、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸、酢酸、石油エーテル、又はジメチルホルムアミドの1つ又は複数に分散される、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4B】
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【図4C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図18D】
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【図22】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【公表番号】特表2012−527217(P2012−527217A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507430(P2012−507430)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032234
【国際公開番号】WO2010/124207
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(502071023)ジ・オハイオ・ステート・ユニバーシティ (12)
【Fターム(参考)】