説明

反射型光電スイッチ用センサヘッド

【課題】性能を維持しつつ小型化を実現できる反射型光電スイッチ用センサヘッドを提供する。
【解決手段】反射型光電スイッチ用センサヘッドは、発光素子12と、受光素子52とを備え、前記発光素子12が対象物に対して光を投光し、反射光を受光素子52で受光することによって対象物を検出可能な反射型の光電スイッチ用センサヘッドであって、センサヘッドを構成するヘッドケース71と、前記ヘッドケース71に内蔵される主回路基板140と、前記発光素子12と接続され、前記発光素子12を駆動するための投光回路14と、前記受光素子52と接続され、前記受光素子52を駆動するための受光回路54と、前記主回路基板140と電気的に接続され、コントローラ200と接続するための信号線及び電源供給線を含むヘッドケーブル300とを備えており、前記主回路基板140上で、前記投光回路14の少なくとも一部を構成する投光回路ブロックと、前記受光回路54の少なくとも一部を構成する受光回路ブロックとが、構造的に分離して配置されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型光電スイッチ用センサヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
光電スイッチは、非接触で検出対象を検出可能なセンサであり、工場の生産ライン等で移動する物体の有無を検出するため等に利用されている。一般には、物体の搬送経路に光を投射し、その光の反射光又は透過光を検出することにより、物体の有無を判定するものである。透過型の光電スイッチでは、投光部から投射された光が物体検出領域を通過する物体に遮られることにより受光部の受光量が変化することを利用し、この変化から物体の存在を判定することができる。透過型の光電スイッチは、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する投光部と、PD(フォトダイオード)等の受光素子を有する受光部を有する。投光部と受光部とを互いに対向するように配置し、これら投光部と受光部との間で光電センサを形成する。
【0003】
この種の光電スイッチには、透過型と拡散反射型と同軸回帰反射型とがある。このうち透過型と拡散反射型では、投光部と受光部とが別体に構成されているのに対し、同軸回帰反射型の光電スイッチは、このような別体とするタイプと、投光部と受光部とを一体化したタイプとがある。一体型では、別体型に比べて配線の取り回しが簡素化されると共に、検出物体を挟んでセンサと反射板とを対向配置することにより検出距離が拡散反射型に比べて長くなるという利点がある。
【0004】
また光電スイッチの投光部に使用する発光素子として、LEDに代わり、LD(半導体レーザ)を使用したものも開発されている。LDはLEDよりも光学特性に優れており、LDを使用する光電センサは、LEDに比較して光量が高いためスポット径の視認性がよくなり、取付作業時の作業性を向上でき、さらに光源が小さいのでスポットが絞れる等の利点が得られる。
【0005】
このような反射型光電センサのヘッドは小型化が要求されている。そのために光学系に工夫したものが多い。しかしながら、光学系の改良のみでは限界があり、その小型化も十分といえない状況であった。また小型化によって組み立て作業性が悪くなるため、生産性が悪くなるという問題もあった。さらに小型化によって位置決めが困難となり、光学特性のばらつきも問題となる。特に従来は、発光素子や受光素子、レンズ等を保持するホルダを設けて、ホルダによる位置決めを行い、このホルダをセンサヘッドに組み込んでいた。しかしながら、ホルダを用いるとホルダケースの厚み分だけケースが大きくなってしまう。例えば、特許文献1の光電センサでは、図15に示すホルダを図16に示すケースに組み込む構成であるため、センサヘッドのケース外形が大きくなってしまう。また特許文献2の光電センサの例では、図17の斜視図、図18の分解斜視図に示すようなホルダを採用しているため、図19に示すようにセンサヘッドのケース内部で無駄なスペースを専有してしまう。さらに特許文献3の光電センサの例でも、図20に示すホルダを使用しているため、同様に図21に示すようにセンサヘッドのケース内部で無駄なスペースを専有してしまう。
【特許文献1】特開2001−267594号公報
【特許文献2】特開2001−267626号公報
【特許文献3】特開2001−264608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、性能を維持しつつ小型化を実現できる反射型光電スイッチ用センサヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、発光素子と、受光素子とを備え、発光素子が対象物に対して光を投光し、反射光を受光素子で受光することによって対象物を検出可能な反射型の光電スイッチ用センサヘッドであって、センサヘッドを構成するヘッドケースと、ヘッドケースに内蔵される主回路基板と、発光素子と接続され、発光素子を駆動するための投光回路と、受光素子と接続され、受光素子を駆動するための受光回路と、主回路基板と電気的に接続され、コントローラと接続するための信号線及び電源供給線を含むヘッドケーブルとを備えており、主回路基板上で、投光回路の少なくとも一部を構成する投光回路ブロックと、受光回路の少なくとも一部を構成する受光回路ブロックとが、構造的に分離して配置されてなる。この構成によって、投光回路と受光回路のノイズ耐性を向上でき、動作を安定させて信頼性を高めると共にノイズ対策用の部材を軽減できる。特に主回路基板上で、ノイズを発生しやすい投光側から、ノイズの影響を受けやすい受光側へのノイズの伝播をし難くできる。
【0008】
また、本発明の第2の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、さらに、発光素子と主回路基板上の投光回路ブロックとを接続する発光素子基板を備えており、発光素子基板は、フレキシブル基板で構成されている。この構成によって、主回路基板が物理的な外力を受けても、フレキシブル基板を介在させることで発光素子に伝搬される力を軽減でき、光軸のずれ等を抑えることができる。光軸がずれてしまうと光電スイッチの本来の性能が維持できなくなり動作に支障を来すおそれがあるが、このような事態を回避して精度よく安定した動作を実現できる。
【0009】
さらに、本発明の第3の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、さらに、発光素子基板は、反射型光電スイッチ用センサヘッドに内蔵される電子部品のシールドを兼用している。この構成によって、さらに発光素子等、その他の様々なノイズ耐性を向上でき、またノイズ対策用の部材を低減して小型化、低コスト化に寄与できる。
【0010】
さらにまた、本発明の第4の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、主回路基板が、硬質基板で構成されている。この構成によって回路基板の機械的強度を増し外力に対する耐性を高めることができる。またフレキシブル基板に比べて安定しているため、組み立て性を向上することができる。
【0011】
さらにまた、本発明の第5の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、ヘッドケースが、下ケースと上ケースに分割して構成されており、下ケースに光学系部材を位置決めして保持するための位置決め用のリブを一体に形成している。従来は光学素子やレンズをホルダ等の保持部材に組み込んだ状態でケースに位置決めしていたが、この構成では部品点数が増えたり、精度のばらつきが累積して精度が悪くなり、またヘッド自体が大きくなってしまう。これに対して上記構成によって、リブによって光学系部材の配置作業を簡略化すると共に位置決めも同時に行うことができ、位置決め作業を省力化できる。さらに位置決め部材を一体に形成することでばらつきを抑制し、位置決め精度も高めることもできる。また下ケースに各部材を載置する構成とすることで、組み立て作業時に下ケースに対して各部材を載置後上ケースで閉塞することができ、組み立て性を容易にしている。
【0012】
さらにまた、本発明の第6の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、下ケースと上ケースとが、上下方向に形成された突出部でヘッドケーブルと固定されるよう構成されている。このようにヘッドケーブルとヘッドケースを固定する方法を、上下左右に突出部を形成して固定する構造でなく、上下方向にのみ突出部を設ける構成とすることで、ケーブルヘッドとの固定強度を維持しつつ、左右からの突出部材を省略してヘッドケースの左右方向の厚みを低減して小型化を図ることができる。ここで上下方向とは、上下ケースの分割方向を意味する。
【0013】
さらにまた、本発明の第7の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、さらに、受光素子と主回路基板上の受光回路ブロックとを接続する受光素子基板を備えており、受光素子は一対の受光素子端子を備えており、受光素子基板は、受光素子を、該一対の受光素子端子を主回路基板の主面に対して略垂直方向に配置した状態で接続し、該一対の受光素子端子と電気的に接続された端子面を、主回路基板の主面に対して略平行な面に表出させるよう構成されている。この構成によって、受光素子の受光素子端子が主回路基板の実装面に対して垂直になる向きに配置されていても、端子面を水平方向に表出させることができるので、主回路基板の実装方向と一致させることができ実装作業を容易にできる。特に、受光素子のリードフレームを折曲することなく受光素子端子の向きを実質的に変更できるので、受光素子端子破損による信頼性の低下を回避しつつ作業性を向上できる。
【0014】
さらにまた、本発明の第8の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、受光素子基板が、該一対の受光素子端子を挿入可能な一対の切り欠きを形成し、一対の切り欠き同士を結ぶ直線と略直交する方向に沿った受光素子基板の端面に、一対の端子面を形成し、各端子面は、切り欠きに形成された導電性を有する切欠導電面と各々電気的に接続されている。この構成によって、受光素子の受光素子端子が主回路基板の実装面に対して垂直になる向きに配置されていても、端子面を水平方向に表出させることができるので、主回路基板の実装方向と一致させることができ実装作業を容易にできる。
【0015】
さらにまた、本発明の第9の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、さらに、センサヘッドの動作状態を示すための表示灯を備えており、表示灯が、主回路基板の両面に実装された表面実装型のLEDである。表示灯をディスクリート部品で形成するとセンサヘッドが大きくなってしまう。そこで表面実装部品を用いて小型化を図る。ただ、表面実装型LEDは一般に光量が小さく、視認に十分な光量を片面側でしか得られない。そこで必要な光量を維持しつつ、主回路基板の上面側、下面側のいずれからでも表示灯を確認できるようにするため、上記の構成を採用した。これにより、センサヘッドの左右もしくは上下のいずれからでも表示灯の視認性を向上でき、動作状態の確認が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の反射型光電スイッチ用センサヘッドによれば、構成部品の一体化を図ることで小型化と組み立て性を両立し、かつ光学特性のばらつきを抑えることで性能を維持している。また部品点数や組み立て作業性の向上による低コスト化も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための反射型光電スイッチ用センサヘッドを例示するものであって、本発明は反射型光電スイッチ用センサヘッドを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0018】
図1に、本発明の一実施の形態に係る反射型光電スイッチ用センサヘッド100を、コントローラ200に接続した光電スイッチのブロック図を示す。この図に示す光電スイッチはセンサヘッド100とコントローラ200とがヘッドケーブル300によって接続されている。センサヘッド100は、投光部10と受光部50を備える反射型の光電スイッチを構成している。投光部10は対象物に対して光を投光し、この光が対象物で反射されて戻ってくる反射光を受光部50で受光することで対象物を検出する。コントローラ200はセンサヘッド100を駆動するために所定のパルスをセンサヘッド100に出力する。発光素子12は、制御部40によって投光電源制御回路22から発される発振パルスによって駆動されて、パルス光を外部の検出対象に向って発する。検出対象で反射された光は受光素子52にて光電変換され、受光素子増幅回路56、コントローラ増幅回路68、A/D変換器79を経て制御部40に送られる。これによって、パルス光に同期した検波が施され、検波信号は更に直流信号等に変換された後、I/O回路42から、検出結果を表わすON/OFF信号として出力される。
(投光部10)
【0019】
投光部10は、投光用の発光素子12と、発光素子12を駆動するための投光回路14とを備える。発光素子12は、LEDやLD等が利用できる。特にLDはLEDに比べて光量が多く指向性が高いので、スポット径を絞って検出の精度が向上する。また、LDから照射されるスポット径が視認できるので、設置時の作業性にも優れる。よって、本実施の形態では光学特性に優れるLDを発光素子12として利用している。さらにLDを駆動する投光回路14は、投光APC回路16と、モニタPD等のモニタ用受光素子18を備える。投光APC回路16は、LDを駆動する駆動電力をLDに供給し、LDの出力すなわち発光量が所定値となるよう制御する。
【0020】
さらにセンサヘッド100は、発光量や動作状態等を表示するための表示灯20を備える。これら投光APC回路16や表示灯20は、投光電源ラインを介してコントローラ200の投光電源制御回路22、ヘッド表示灯電源制御回路24から各々駆動電力の供給を受ける。一方モニタPDは、モニタ信号増幅回路26と接続されており、ヘッドケーブル300に含まれるモニタラインを介してコントローラ200のLD発光量モニタ回路28に受光量を送出する。モニタ信号増幅回路26は、モニタ用受光素子18のばらつきを抑えるための部材であり、トリマ等により構成されている。LD発光量モニタ回路28は、A/D変換器30でアナログ信号をデジタル信号に変換した後制御部40に対し、モニタPDで検出したLDの発光量を出力する。これによって制御部40は、モニタPDで検出した発光量に基づき、発光量が所定値となるように投光電源制御回路22を制御し、投光APC回路16の電流量を調整してLDを駆動するというフィードバック制御を行う。図1に示す例では、投光APC回路16はLD及びモニタ用受光素子18であるモニタPDと接続されており、モニタPDはLDの漏れ光等を受光できる位置に隣接されている。モニタPDは、LDパッケージに内蔵させることもできる。またモニタ信号増幅回路26や投光APC回路16を載置した主回路基板140を硬質基板とすることで、モニタ信号増幅回路用基板のトリマと、投光APC用回路のトリマを、LDを接続した状態で容易に調整できる。
(受光部50)
【0021】
一方、受光部50は受光用の受光素子52と、受光素子52を駆動するための受光回路54とを備える。受光素子52はPD等が利用できる。この受光素子52は受光素子増幅回路56と接続されており、受光素子52で受光した受光量は受光素子増幅回路56で増幅されて、ヘッドケーブル300に含まれる信号ラインを介してコントローラ200側のコントローラ増幅回路68に送出される。コントローラ増幅回路68で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器70を介してデジタル信号に変換され、制御部40に入力される。これによって、受光素子52の受光量をコントローラ200側で検出して検出の判定を行い、最終的にI/O回路42の出力から判定結果を出力する。このI/O回路42は、2系統の出力1、2と1系統の入力1を備えている。またセンサヘッド100は、センサヘッド100の駆動電力を供給するための受光部電源回路58を備えており、ヘッドケーブル300の電源ラインを介してコントローラ200のヘッド電源回路60に接続される。ヘッド電源回路60は、コントローラ200の制御部40によって制御される。
【0022】
なお、複数種のセンサヘッドをコントローラに接続可能とする場合、各センサヘッドを識別する識別機能を備えることができる。図1の例では、コントローラ200にヘッド識別回路62を設け、ヘッド識別回路62を信号ラインに接続してセンサヘッド100の識別信号を検出し、A/D変換器64を介して制御部40に送出することで、制御部40で各センサヘッド100を識別している。また、制御部が各センサヘッドとデータ通信を行い、識別番号を割り当てることもできる。
【0023】
コントローラ200は、上述のように制御部40に、投光電源制御回路22、ヘッド表示灯電源制御回路24、LD発光量モニタ回路28、コントローラ増幅回路68、ヘッド識別回路62、ヘッド電源回路60等を接続している。さらに制御部40は、各種設定値等を記憶するための記憶部44、コントローラ200側の情報を表示するための表示回路46、設定値調整を受け付けるためのユーザインタフェースである操作部を接続したスイッチ入力回路48、加えて外部との入出力を行うI/O回路42等を接続している。またコントローラ200は、これらの回路を駆動するためのコントローラ電源回路66も備えている。以上の構成のコントローラ200にヘッドケーブル300を介してセンサヘッド100を一又は複数接続して、発光素子12で投光した光を受光素子52で受光し、対象物を検出してその結果を出力する。
【0024】
次に、センサヘッドについて図2〜図14に基づいて詳述する。図2はセンサヘッドの外観(ヘッドケース71)を示す斜視図、図3は上ケース72を外した状態を示す斜視図、図4はさらに発光素子基板120を開いて主回路基板140が見えるようにした状態を示す斜視図をそれぞれ示している。また図5は、センサヘッドの分解斜視図であり、図6は、下ケース74に一体レンズ112をセットした状態を示す斜視図、図7はさらに発光素子12や光学フィルタ53をセットした状態を示す斜視図、図8はさらに発光素子基板120を接続した状態を示す斜視図、図9は受光素子52の外観を示す図、図11は受光素子52に受光素子基板130を接続し受光素子ケース150にセットした状態を示す斜視図、図12は図11の分解斜視図、図13は図11の受光素子ケース150を図8の下ケース74にセットした状態を示す斜視図、さらに図14は主回路基板140の平面図を、それぞれ示している。
(ヘッドケース71)
【0025】
センサヘッドの外形を構成するヘッドケース71は、図2に示すように直方体状の箱形としており、ヘッドケース71の長手方向の一面(図2において右側)に発光面と受光面を形成し、対向する他面からヘッドケーブル300を延長している。また、ヘッドケーブル300を設けた側の隅部に段差を設け、ここにセンサヘッドの動作状態を示す表示面76を設けている。表示面76は、透光性を有するカバー78の内部に設けられた表示灯20を点灯あるいは点滅させることで、発光素子の動作モードや点灯状態等をユーザに通知する。動作状態の区別には、例えば表示灯20の点滅の間隔変化や発光強度、あるいは色変化といった発光状態の変化を予め設定しておくことで実現できる。また後述するように、本実施の形態ではセンサヘッドの左右(図2、図5において上面と下面)に面するように、2つの表面実装型LED21を配置している。このように複数のLEDを表示灯20に使用することで、光量を増すと共にセンサヘッドの後方で後面、上面からのみならず、左右いずれの側からも表示灯を視認しやすくできる。またカバー78は、透明とする他、表示灯の光を散乱させるために散乱部材を含有させた乳白色等の半透明とすることもできる。さらに表示灯は、投光ヘッド、受光ヘッドのいずれに設ける場合においても、センサヘッドの後端側に配置することが好ましい。センサヘッドを設置して光軸合わせ等を行う際には、センサヘッドの後端側から確認することが多い。この際に正しく投受光が行われていることを表示灯で確認できるよう、表示灯はセンサヘッドの後部側、又はケーブルに近い側に設けることが好ましい。
(ヘッドケーブル300とヘッドケース71の固定)
【0026】
ヘッドケース71は、図5に示すように上下に二分割するよう、上ケース72と下ケース74で構成される。また、ヘッドケーブル300を固定するために、上ケース72と下ケース74で上下方向から狭着するようにヘッドケーブル300を嵌合している。ヘッドケーブル300は、ケーブルの端部を固定したケーブルブッシュ80を形成している。後述するように、ヘッドケーブル300に含まれる各種電源ライン、信号ライン等は主回路基板140に半田付け等により固定される。このため、ケーブルブッシュをセンサヘッドに十分に固定しないと、ヘッドケーブルを引っ張ったときに主回路基板も引っ張られ、主回路基板に接続された発光素子や受光素子等の光学系に位置ずれを引き起こすおそれがある。光電スイッチにおいては高精度の検出を図るために厳密な位置決めが求められており、光学系の位置ずれは検出精度や信頼性の低下に繋がる。このため、従来よりヘッドケーブルの固定はケーブルブッシュの上下左右の4面から行われていた。固定構造は、突起とこれを挿入する挿入穴等が利用されていた。しかしながら、この構成ではケーブルブッシュの周囲すべてに固定構造が必要になり、ヘッドケースの端面全体を大きくしてしまうという問題があった。そこで本実施の形態では、センサヘッドの小型化を図りつつヘッドケーブルとの接続強度を維持するために、上下方向からケーブルブッシュを狭持すると共に、固定構造を形成している。固定構造は、突出部82とこれを挿入する挿入穴84で構成される。図5の例では、ケーブルブッシュ80側に上下方向に各々突出する一対の突出部82を形成し、上下ケース72,74の該当する位置に突出部82の挿入穴84を形成しており、突出部82を挿入穴84に挿入して嵌合する。ただ、上下ケース側に突出部を、ケーブルブッシュ側に挿入穴を形成することもでき、また突出部や挿入穴は上下面に各々1又は3以上形成することもできることはいうまでもない。なおここで上下方向とは、上下ケース72,74の分割方向を意味している。これによって、上下ケース72,74を嵌合する際に、ヘッドケーブル300の固定構造も同時に嵌合でき、作業性が向上する。
【0027】
さらに、上下ケース72,74のヘッドケーブル300を接続する開口端に、ケーブルブッシュ80側に突出させた鍔86を形成し、一方ケーブルブッシュ80にはこの鍔86を挿入する溝88を形成しており、この狭持構造によってさらにケーブルブッシュ80とヘッドケース71との固定を強固にできる。さらにこのような狭持構造は、上下辺のみならず左右辺にも設けることができる。なお図5の例では、ヘッドケーブル300を接続するヘッドケース71の後端面の隅部に表示面76を形成しているため、この部分では鍔部を形成していない。代わりに、この部分に形成された溝部にはカバー78を端縁を鍔状に形成して挿入させることで、カバー78の固定に利用できる。
(光学系部材の位置決め)
【0028】
下ケース74には、光学系部材を位置決めして保持するための位置決め用のリブ90を一体に形成してしている。上述の通り、光電スイッチにおいては高精度の検出を行うために発光素子や受光素子等の光学系部材の位置決めが極めて重要となる。しかしながら、従来各光学系部材は素子ホルダやインナーケース等にセットする等、ユニット状に構成された後ヘッドケースに固定される方式のため、素子ホルダの寸法誤差等に起因する光学特性のばらつきが生じる。また素子ホルダを別部材とすることで、組み付けの誤差を招く要因ともなる上、部品点数の増大による組み立て工数の増加やコストアップの要因ともなる。そこで、本実施の形態においては、素子ホルダ等の別部材を使用することなく、予め光学系部材が位置決めされた所定位置に固定されるよう、下ケース74に位置決め用のリブ90を一体に形成するという、ケース自体で素子ホルダを兼用するような構成としている。これによって、光学系部材をリブ90で区画された位置に配置することで同時に位置決めも行えるので、面倒な位置決め作業を省力化できる。なお位置決め用リブ90は、光学系部材の内で最も位置決め精度を要求される発光素子について設けることが好ましい。図6、図7の例においては、発光素子12であるLDを配置するようにLD位置決め用リブ92を形成している。またこれ以外の方法として、より厳密な位置決めをしたい場合には、LDをXYZ軸方向の位置を調整した後、UV接着剤等を用いてLDを固定させても良い。LD位置決め用リブ92は、砲弾型LDの円筒状側面及びLD底面の鍔状部分を各々狭持するように、水平断面を段差状に形成している。さらに、LD位置決め用リブ92で投光スリット93と一体レンズ112の位置決めを行なっている。このように発光素子12の外形に一致するようにLD位置決め用リブ92を形成することで、発光素子12の確実な保持と正確な位置決めが実現される。またLDの発光面に面するLD位置決め用リブ94には、発光を通過させるための開口を形成している。
【0029】
また受光素子52であるPDをセットした受光素子ケース150をセットする位置にもPD位置決め用リブ96を形成している。このようなPD位置決め用リブ96によって受光素子52を正確な位置に配置し、光学特性のばらつきを抑制できる。PDの受光面が面するPD位置決め用リブ98には、受光のスポットを決定するための受光スリット110を形成している。このように受光スポットを決定する受光スリット110も別部材とすることなく、一体で形成することにより、位置決め作業を省力化し更に個体毎のばらつきを少なくして高品質なセンサヘッドを実現できる。また、これら発光素子用、受光素子用のレンズも、位置決め用リブ90によって位置決めして固定される。この例では、投受光間の相互位置のばらつきを抑えるため、投光用レンズ112a、受光用レンズ112bを一体に成形した一体レンズ112を使用しているが、個別の部材を利用することもできることはいうまでもない。
【0030】
レンズのみならず、スリットは投受光系の視野を決める光学要素である。本実施の形態では下ケース74に一体レンズ112をはめ込むことで、投光スリット93、受光スリット110と投光用レンズ112a、受光用レンズ112b等の光学部材の位置決めができるよう構成されている。具体的には、投光用レンズ112aと受光用レンズ112bの配置は、一体レンズ112とすることでばらつきを抑制している。また投光スリット93と受光スリット110の配置は、下ケース74にてこれらを一体成形することでばらつきを抑制している。さらに投光用レンズ112aと投光スリット93は、下ケース74にて位置決めしている。さらにまた、受光用レンズ112bと受光スリット110も、下ケース74にて位置決めしている。なお発光素子12は、発光位置でばらつきが大きいため、位置決め部材等により一律に位置決めすることが困難であるため、個別に調整して接着等により固定している。一方受光素子52は、検出対象とセンサヘッドとの距離に応じて変動する受光位置に広く対応するよう、より大きな受光面を持たせているため、位置決め精度はそれほど厳格に要求されない。
【0031】
以上のように、下ケース74に位置決めリブ90や仕切等を形成しており、ヘッドケース71の側壁は、図5に示すように上ケース72側に形成している。下ケース74に側壁を設けないことで、載置空間を開放して作業性を高め、作業終了後に上ケース72を閉塞して側壁を同時に構成する。上ケース72は、下ケース74と嵌合する下方向を開口した断面コ字状に形成されている。
(発光素子基板120)
【0032】
発光素子12は、発光素子基板120を介して主回路基板140と接続される。発光素子基板120は、投光回路14を構成する電子部材等を実装した基板である。この例では、LDと主回路基板を繋ぐケーブルとしての機能のみを持たせているが、LDの電源回路等を印刷により実装することもできる。発光素子基板120は、フレキシブル基板で構成することが望ましい。また発光素子基板を2枚以上のフレキシブル基板で構成してもよい。上述の通り、発光素子とレンズとの位置決めは厳格に行う必要があるため、硬質基板の場合には、使用中に発光素子が位置ずれしないよう外力の影響を抑える必要がある。発光素子が主回路基板に半田付け等で直接固定されていると、ヘッドケーブルを引っ張る等して主回路基板に物理的な外力が働いた際に、発光素子の位置がずれるおそれがある。発光素子の位置ずれはわずかであっても光学センサの検出精度に影響を及ぼし、光軸が狂うので性能が維持できない。そこで、発光素子と主回路基板との間にフレキシブル基板を介在させることで、クッション性を持たせて耐衝撃性を高め、仮に外力が働いても発光素子に力が伝搬されることを防止でき、光学的な位置ずれを回避して信頼性を高められる。図8の例では、発光素子基板120は一端にほぼ垂直に折曲する折曲片122を突出させ、折曲片122にLDのLD端子群を挿入する挿入口124を形成している。また、好ましくは発光素子12と折曲片122と間に発光素子用スペーサ126を介在させる。発光素子用スペーサ126は、発光素子12の端子を折曲片12と接合しやすいように折曲する目的等に利用される。発光素子スペーサ126は、LD半田付け時の熱保護を目的としている。
(シールド)
【0033】
さらにこの発光素子基板120を、反射型光電スイッチ用センサヘッドに内蔵される電子部品のシールドを兼用することもできる。シールドは、一体で構成しても、別体で構成しても良い。反射型光電スイッチ用センサヘッドには、動作の安定を図るために、発光素子12や受光素子52を駆動する電子部品がノイズ等外部からの外乱の影響を遮断する何らかのノイズ対策を施すことが望まれる。しかしながら、シールド部材等を別途用意するとコストがかかる上、センサヘッドのサイズ肥大にも繋がる。そこで本実施の形態では、発光素子基板を電子回路のシールドに兼用している。発光素子基板120を、主回路基板140上に折り重なるように配置することで、主回路基板140を外乱から保護できる。特に、発光素子基板120をフレキシブル基板とすることで、このような折り重ねる配置を容易にできる利点が得られる。本実施の形態では、このようなシールドを実現するために図3及び図4に示す構成を採用している。図4は、発光素子12及び受光素子52を、それぞれ発光素子基板120、受光素子基板130を介して主回路基板140に接続した状態を示しており、図3は図4から主回路基板140の上面に発光素子基板120を折曲して重ねた状態を示している。これらの図に示すように、発光素子基板120は2カ所を折曲して、発光素子12との接続と主回路基板140上への折り重なりを実現している。
【0034】
この発光素子基板120は、発光素子12との接続を得る折曲片122を一端から突出させたL字状に形成されている。折曲片122は、発光素子12の発光素子端子群を挿入できる大きさに形成される。また、全体に電子部品のGNDパターンを形成し、シールド面として兼用している。本実施の形態では、図4、図13等に示すように、折曲片122をほぼ垂直に折曲して発光素子12を接続する。なお、本明細書において折曲とは湾曲させた状態を包含する意味で使用しており、特にフレキシブル基板を使用する場合は湾曲させることが好ましい。これによって、湾曲部分が緩衝機能を果たし、主回路基板140の位置ずれと発光素子12とを分断している。
【0035】
発光素子基板120は、ヘッドケース71内部の電子部品をシールドするためには、ヘッドケース71の内壁に沿わせるように配置することが好ましい。このため本実施の形態では、発光素子基板120は、図4に示すように上ケース72の一方の側面から上面に連続するように折曲される。これによって、側面から上面にかけてヘッドケース71内部をシールドできる。このため、発光素子基板120は、図8等に示すようにLDが配置される側の下ケース74の側面にほぼ垂直に直立させた状態から、折曲片122を折曲して発光素子底面の発光素子端子群と接続させ、かつ図4に示すように主回路基板140を発光素子基板120、受光素子基板130と接続した状態で、側面の一部で折曲してシールド面を折曲する。折曲位置は、折曲片122を設けた位置、すなわちL字状のコーナー位置とすることで、折曲を容易に行える。このため折曲片122の大きさ及び位置は、発光素子12の発光素子端子の形状等に加えて、シールド面を形成する位置に応じて設計される。
(受光素子52)
【0036】
受光素子52は、PD等で構成できる。またPDの前面には、必要に応じて光学フィルタ53等を配置できる。図7の例では、受光スリット110を形成したリブ90の前面に光学フィルタ53を保持するフィルタ保持溝114を形成している。図9に、本実施の形態で使用したPDの外観を示す。図9において、図9(a)はPDの平面図、図9(b)は斜視図、図9(c)は正面図、図9(d)は側面図をそれぞれ示している。また図10は、発光素子12と受光素子52を並べたセンサヘッドを上面から見た状態で、センサヘッドと検出対象との距離に応じて、発光素子12から発した光の反射光が受光素子52で受光される位置が変化する様子を示した模式図である。図10に示すように、検出対象がセンサヘッドから離れた位置にある程、反射光は発光素子12に近付き、図10において受光素子52の上部で受光される。逆に検出対象がセンサヘッドと近い程、反射光は発光素子12から遠い位置で受光されるようになり、図10において受光素子52の下部で受光される。したがって、光電センサで検出対象を近距離から長距離まで広い範囲で検出するためには、受光素子52の受光範囲に幅を持たせ、かつこの幅が受光素子52と発光素子12との離間方向、すなわちヘッドケース71に対して水平方向となるように、図10においては縦長になるように配置する必要がある。
【0037】
一方、光電センサの小型化を図る観点からは、受光素子52も小さくすることが望ましい。受光素子52の一形態であるPDは、図9に示すように、リードフレーム等の一対の受光素子端子(PD端子116)が突出するよう設けられる。一般にPDは、PDの受光面を構成する受光チップを、PD端子116とワイヤボンディング等により接続し、受光チップをキャスティングモールドやトランスファモールド等により樹脂封止して形成される。このようなPDにおいて、図9(c)の正面図に示すように、受光面を一方向に広く取りつつ小型化を実現するためには、受光面を構成する受光チップの上下にPD端子116を配置することが望ましい。この結果、受光素子の光学特性上、図10に示すように受光面を横長にしてヘッドケース71に配置すると、一対のPD端子116がヘッドケース71内で縦置きに配置される。縦置きのPD端子群では、主回路基板140との実装作業が面倒になるという問題がある。実装し易くするためにリードフレームを折曲して方向を変えたり引き出すことも考えられるが、折曲によってPDが破損して信頼性を低下するおそれもある。そこで本実施の形態では、受光素子基板130を利用してPD端子116が垂直であっても、下ケース74上で水平となるように、具体的にはPD端子116と電気的に接続された端子面132が主回路基板140上に表出させるように変更している。これによって、PD端子116を折曲することなくその向きを変更し、かつ実装し易い位置まで引き出すことができ、汎用の受光素子を光学特性上優位な姿勢で使用しつつ、実装時の作業性を向上できる。
【0038】
また、キャスティングモールドでPDの樹脂モールドを形成したPDを利用できるので、PDのコストを安価にできるという利点も得られる。キャスティングモールドはトランスファモールドに比べて安価な金型を利用できるので、コスト面で有利となる。またセンサヘッドを小型化するためには、図9(c)のように受光面を広く取りつつPDの正面図での面積を極力小さくする必要があるが、汎用のトランスファモールドタイプのPDでは、正面図において上下もしくは左右にリードフレームが突出して大きくなる。トランスファモールドタイプをカスタマイズすることも可能であるが、この場合は高価な金型が必要となる。したがって、キャスティングモールドのPDを使用することでコスト的に安価にできるという利点が得られる。
(受光素子基板130)
【0039】
受光素子基板130は、ガラスエポキシ基板等の硬質基板で形成される。また、必要に応じて電子部品等を実装することもできる。図11に、受光素子52及び受光素子基板130を受光素子ケース150にセットした状態を示す外観斜視図を、図12に、受光素子基板130及び受光素子52、受光素子ケース150を示す分解斜視図を、それぞれ示す。これらの図に示すように受光素子基板130は、PD端子116を挿入可能な一対の切り欠き134を形成している。図12の例では、切り欠き134は受光素子基板130の対向する側面をU字状に形成して設けられており、切り欠き134の内面もしくは受光素子基板130上面で切り欠き134に沿った端縁に導電性を有する導電メッキ等の切欠導電面136が形成される。さらに、切り欠き134で電気的に接続されたPD端子116を主回路基板140と接続するための一対の端子面132を形成している。端子面132の対は、切り欠き134の対とほぼ直交するように形成される。図12の例では、一方の切り欠き134を形成した側面に、切り欠き134を挟むように端子面132を形成している。端子面132は受光素子基板130の端縁から延長される矩形状に導電メッキ等の導電面を形成している。各端子面132は、切り欠き134に形成された導電性を有する切欠導電面136と各々電気的に接続されている。この結果、PD端子116は受光素子基板130の一側面から取り出すことができ、この面を上向きにすることで主回路基板140との接続作業を容易に行うことができる。なお図12の例では、切り欠き134は受光素子基板130の中央に設けているが、端部に設けてもよい。
(受光素子ケース150)
【0040】
図12の例では、受光素子52及び受光素子基板130を保持する受光素子ケース150を使用している。受光素子ケース150は、PDと受光回路54をシールドするものであり、また図12の例では主回路基板140の支持部材も兼用している。この図に示す受光素子ケース150は、先端に受光素子52を挿入する受光素子挿入部152を形成し、さらに後方には主回路基板140を支持するためのリブ154を形成している。この受光素子ケース150は、受光素子52であるPDに受光素子基板130を接続した状態で受光素子ケース150に挿入し、さらに受光素子ケース150を図13に示すように下ケース74にセットする。受光素子ケース150は、図11に示すように受光素子52及び受光素子基板130を保持すると共に、受光素子52及び/又は受光回路54をノイズ等の外乱から保護する。受光素子ケース150は、好ましくはアルミニウム等の金属製で構成される。また金属製とすることで、ケースの肉厚を薄くしても十分な強度で主回路基板140を保持できるので、センサヘッドの小型化にも寄与し得、さらにそれ自体でシールド効果を得ると共に放熱性を高める効果も得られる。特に受光素子挿入部152は開口部に挿入された受光素子52の周囲を被覆することにより、受光素子52の位置決めのみならずシールドとしても効果的に機能する。
(主回路基板140)
【0041】
主回路基板140は、投光回路14と受光回路54を実装しており、発光素子基板120を介して発光素子12と、受光素子基板130を介して受光素子52と電気的に接続されている。主回路基板140は投光回路ブロックと受光回路ブロックとを構造的に分離して配置することで、相互の回路の干渉を低減して安定させて動作できる。図14に示す例では、右側に受光回路ブロック142、左側に投光回路ブロック144を配置し、受光回路ブロック142に受光素子基板130との接続のための受光素子基板接続端子面146、投光回路ブロック144に発光素子基板120を接続するための発光素子基板接続端子面148を、各々形成している。また主回路基板140の下部には、ヘッドケーブル300を接続するためのヘッドケーブル接続端子面149を形成しており、この例では6芯の電気信号ラインに対応して6カ所の端子面としている。実装時においては、これらの接続端子面を直接半田付けして基板同士を電気的に接続する。リード線等を介在させず直接接続することで、部品点数及び工程を減らして低コスト化を図ることができる。
【0042】
主回路基板140は、硬質基板を使用できる。硬質基板には、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、アルミニウム基板等が利用できる。フレキシブル基板は一般に価格が高く、さらに柔軟材質のため組立性が悪く、位置決めが困難となる。これに対して硬質基板は安価で位置決め等が容易であり、組み立て時の作業性がよい。また主回路基板は、1枚の硬質基板で構成することができる。これによって実装枚数が低減できるので、さらに生産性が向上する。ただ、主回路基板をフレキシブル基板で構成することも可能である。フレキシブル基板を使用することで小型化が実現できる。図14に示す例では、両面基板を使用して、基板表面((図14(c)において右側)に受光回路ブロック142の受光部電源回路58を、裏面の対応する側(図14(a)において左側)に受光回路ブロックのアンプ回路を配置している。また投光回路ブロック144についても同様に、電流調整回路を表側(図14(c)において左側)を、その他の回路を裏面(図14(a)において右側)に配置している。このように、物理的に投光回路14と受光回路54を分離することで、ノイズ耐性を改善してより安定した動作を期待できる。特に、主回路基板140の上面に発光素子基板120でシールドする構成と相まって、ノイズ耐性をさらに向上できる。また、発光素子基板120によるシールド効果を高めるために、受光素子ケース150を板金部品にて構成すると共に、これを主回路基板140に形成したシールド板金接続端子141に接続してグランドレベルとすることが好ましい。受光素子ケース150でPDと受光回路を一体でシールドする構成により、小型化を図ると共に組立時の作業性も向上する。図4に示すように、組み立て時には主回路基板140をセットした状態で、受光素子基板接続端子面146、発光素子基板接続端子面148、ヘッドケーブル接続端子面149、シールド板金接続端子141の4カ所を半田付けする。
(表示灯20)
【0043】
さらに、センサヘッドの動作状態を示すための表示灯20を実装した表示灯基板を配置するため、主回路基板140の一部に切り欠き134を形成している。表示灯20は、表面実装型LED21を表示灯基板の両面に実装している。なお、図14の例では表示灯20を主回路基板140と一体として小型化を図っているが、表示灯20を別基板に実装することもできる。
【0044】
このように、反射型光電スイッチのセンサヘッドの構成部品の一体化を図ることで小型化と組み立て性を両立し、かつ光学特性のばらつきを抑制して、性能を維持できる。特に、各回路を構成する素子部材をフレキシブル基板に実装するには工数がかかる上コストも高くなるが、素子部材を実装する基板を一枚の硬質基板とし、フレキシブル基板には回路素子は実装させず、ケーブルや配線としてのみ機能させることで、最も安価に小型化できる。また投光回路、受光回路それぞれに関係する部品を独立して配置し、ノイズ耐性を高くすることで、ノイズ対策のための余計な部品を低減することができ、省スペース化が可能となった。また下ケースにすべての部品保持部を配置することで、組み立て性を容易にしている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の反射型光電スイッチ用センサヘッドは、工場の生産ライン等で対象物の有無を検出する光電センサ等に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る反射型光電スイッチ用センサヘッドを、コントローラに接続した光電スイッチを示すブロック図である。
【図2】センサヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】図2から上ケースを外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3から発光素子基板を開いて主回路基板が見えるようにした状態を示す斜視図である。
【図5】センサヘッドを示す分解斜視図である。
【図6】下ケースに一体レンズをセットした状態を示す斜視図である。
【図7】図6の下ケースにさらに発光素子をセットした状態を示す斜視図である。
【図8】図7に発光素子基板を接続した状態を示す斜視図である。
【図9】受光素子の外観を示す図である。
【図10】センサヘッドと検出対象との距離に応じて、反射光が受光される位置が変化する様子を示す模式図である。
【図11】受光素子に受光素子基板を接続し受光素子ケースにセットした状態を示す斜視図
【図12】図11の受光素子、受光素子基板、受光素子ケースを示す分解斜視図である。
【図13】図11の受光素子ケースを図8の下ケースにセットした状態を示す斜視図である。
【図14】主回路基板を示す底面図、側面図及び平面図である。
【図15】従来の光電センサのセンサヘッドに使用されるホルダを示す斜視図である
【図16】図15のホルダを組み込んだセンサヘッドのケースを示す斜視図である。
【図17】従来の他の光電センサのホルダを示す一部切り欠き斜視図である。
【図18】図17のホルダの分解斜視図である。
【図19】図17のホルダを組み込んだセンサヘッドのケース内部の配置を示す断面図である。
【図20】従来のさらに他の光電センサのホルダを示す断面図である。
【図21】図20のホルダを組み込んだセンサヘッドのケース内部の配置を示す断面である。
【符号の説明】
【0047】
100…センサヘッド;200…コントローラ;300…ヘッドケーブル
10…投光部
12…発光素子
14…投光回路
16…投光APC回路
18…モニタ用受光素子
20…表示灯
21…表面実装型LED
22…投光電源制御回路
24…ヘッド表示灯電源制御回路
26…モニタ信号増幅回路
28…LD発光量モニタ回路
30…A/D変換器
40…制御部
42…I/O回路
44…記憶部
46…表示回路
48…スイッチ入力回路
50…受光部
52…受光素子
53…光学フィルタ
54…受光回路
56…受光素子増幅回路
58…受光部電源回路58
60…ヘッド電源回路
62…ヘッド識別回路
64、70…A/D変換器
66…コントローラ電源回路
68…コントローラ増幅回路
71…ヘッドケース
72…上ケース
74…下ケース
76…表示面
78…カバー
80…ケーブルブッシュ
82…突出部
84…挿入穴
86…鍔
88…溝
90…位置決め用リブ
92…LD位置決め用リブ
93…投光スリット
94…LD位置決め用リブ
96…PD位置決め用リブ
98…PD位置決め用リブ
110…受光スリット
112…一体レンズ
112a…投光用レンズ
112b…受光用レンズ
114…フィルタ保持溝
116…PD端子
120…発光素子基板
122…折曲片
124…挿入口
126…発光素子用スペーサ
130…受光素子基板
132…端子面
134…切り欠き
136…切欠導電面
140…主回路基板
141…シールド板金接続端子
142…受光回路ブロック
144…投光回路ブロック
146…受光素子基板接続端子面
148…発光素子基板接続端子面
149…ヘッドケーブル接続端子面
150…受光素子ケース
152…受光素子挿入部
154…リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、受光素子とを備え、前記発光素子が対象物に対して光を投光し、反射光を受光素子で受光することによって対象物を検出可能な反射型の光電スイッチ用センサヘッドであって、
センサヘッドを構成するヘッドケースと、
前記ヘッドケースに内蔵される主回路基板と、
前記発光素子と接続され、前記発光素子を駆動するための投光回路と、
前記受光素子と接続され、前記受光素子を駆動するための受光回路と、
前記主回路基板と電気的に接続され、コントローラと接続するための信号線及び電源供給線を含むヘッドケーブルと、
を備えており、
前記主回路基板上で、前記投光回路の少なくとも一部を構成する投光回路ブロックと、前記受光回路の少なくとも一部を構成する受光回路ブロックとが、構造的に分離して配置されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、さらに、
前記発光素子と前記主回路基板上の投光回路ブロックとを接続する発光素子基板を備えており、
前記発光素子基板は、フレキシブル基板で構成されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、さらに、
前記発光素子基板は、反射型光電スイッチ用センサヘッドに内蔵される電子部品のシールドを兼用してなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、
前記主回路基板は、硬質基板で構成されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、
前記ヘッドケースが、下ケースと上ケースに分割して構成されており、
前記下ケースに光学系部材を位置決めして保持するための位置決め用のリブを一体に形成してなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、
前記下ケースと上ケースとが、上下方向に形成された突出部で前記ヘッドケーブルと固定されるよう構成されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、さらに、
前記受光素子と前記主回路基板上の受光回路ブロックとを接続する受光素子基板を備えており、
前記受光素子は一対の受光素子端子を備えており、
前記受光素子基板は、前記受光素子を、該一対の受光素子端子を前記主回路基板の主面に対して略垂直方向に配置した状態で接続し、該一対の受光素子端子と電気的に接続された端子面を、前記主回路基板の主面に対して略平行な面に表出させるよう構成されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、
前記受光素子基板が、該一対の受光素子端子を挿入可能な一対の切り欠きを形成し、
前記一対の切り欠き同士を結ぶ直線と略直交する方向に沿った前記受光素子基板の端面に、一対の端子面を形成し、
各端子面は、前記切り欠きに形成された導電性を有する切欠導電面と各々電気的に接続されてなることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の反射型光電スイッチ用センサヘッドであって、さらに、
センサヘッドの動作状態を示すための表示灯を備えており、
前記表示灯が、前記主回路基板の両面に実装された表面実装型のLEDであることを特徴とする反射型光電スイッチ用センサヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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