説明

反射型表示素子

【課題】反射率の向上と写りこみ防止を両立すると共に視差を改善した反射型表示素子を提供すること。
【解決手段】上部基板、下部基板、画素を有する表示素子を含む反射型表示素子において、該表示素子の画素上の前記上部基板上にマイクロレンズアレイが設置され、かつ前記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの最大幅が50〜600μmであることを特徴とする反射型表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高反射率で、かつ写り込みの少ない反射型表示素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイやCRTディスプレイとは異なる表示方式で、紙のように持ち運びが容易で、読みやすい反射型表示を行う電子ペーパーと言われる表示素子が、各種提案されている。このような電子ペーパーとしては、高反射率な白黒表示とカラー表示が可能で、写り込みがなく視認性の良い表示素子が求められている。
【0003】
しかしこのような方式は外光を利用して画像を表示するため反射率が低く、自発光型やバックライトを用いる方式よりも視認性が悪いディスプレイとなっている。
【0004】
反射型の表示素子の多くは透明導電膜を用いることで画像を表示しているが、透明導電膜の抵抗は比較的高いため、電気抵抗を下げるためにグリッド電極を導入する場合がある。また特許文献1では透明導電膜での反射率の損失を低減するためにIn−plane型の電極を用いた表示素子も開発されている。しかしグリッド電極やIn−plane電極を用いた場合は電極部分が遮蔽層となるため開口率が低下し光の利用効率が悪く、反射率が低下する。さらにそれらの素子を積層した場合には著しく反射率が低下する。
【0005】
また反射型表示素子には写りこみ防止のために液晶などで用いられている反射防止フィルムを用いることができる。しかし反射防止フィルムを表面に取り付けるとフィルムの界面で反射率のロスが発生してしまう。
【0006】
一方液晶テレビやプロジェクターなどではブラックマトリックスやTFTによる開口率の低下を解決するためにレンズを用いて開口部に光を集光する技術が開示されている(特許文献2〜3)。しかしそれらはすべて透過型表示素子であり、反射型表示素子について具体的な記述は無い。またこのような技術を解像度の低い反射型表示素子に適用してもレンズによる作用で凸凹した画像になり、反射率は向上するが視認性の悪いディスプレイになる。
【0007】
特許文献4にはツイストボール方式の反射型ディスプレイにマイクロレンズアレイを適用した技術が記載されている。しかしマイクロレンズや画素の大きさに関しては具体的な記述がなく、写りこみについても何ら記載がない。
【0008】
以上のことから反射率の向上と写りこみ防止を両立した視認性の良い反射型表示素子が望まれていた。
【0009】
またフルカラー表示を達成するために表示素子を積層する場合は、視野角がかわると画像の色が変化する等の視差の問題もあり、上記の性能を取り崩すことなく視差を解消することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−333643号公報
【特許文献2】特開2004−70283号公報
【特許文献3】特開2005−196139号公報
【特許文献4】特許第3917189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、反射率の向上と写りこみ防止を両立すると共に視差を改善した反射型表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
1.上部基板、下部基板、画素を有する表示素子を含む反射型表示素子において、該表示素子の画素上の前記上部基板上にマイクロレンズアレイが設置され、かつ前記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの最大幅が50〜600μmであることを特徴とする反射型表示素子。
【0014】
2.前記表示素子が複数の層からなることを特徴とする前記1に記載の反射型表示素子。
【0015】
3.前記マイクロレンズが凸レンズであることを特徴とする前記1または2に記載の反射型表示素子。
【0016】
4.前記下部基板もしくは前記上部基板の少なくとも一方に、複数の電極を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の反射型表示素子。
【0017】
5.前記下部基板及び前記上部基板の少なくとも一方の電極に補助電極を設けていることを特徴とする前記4に記載の反射型表示素子。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、反射率の向上と写りこみ防止を両立すると共に視差を改善した反射型表示素子を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マイクロレンズアレイ用感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】マイクロレンズアレイの製造方法の一実施形態について説明する模式断面図である。
【図3】感光層の所定部分の硬化について説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、反射型画素を有する表示素子の画素上の上部基板上にマイクロレンズアレイが設置され、かつ前記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズにおいて、マイクロレンズの最大幅が、視認性、写り込み、反射率に大きく影響することを見出し、本発明に至った次第である。
【0022】
<マイクロレンズアレイ>
本発明に用いられるマイクロレンズとは、樹脂やガラスで作られたミクロン単位のレンズのことであり、それを大量に並べたものをマイクロレンズアレイとする。
【0023】
本発明におけるレンズの最大幅とは、レンズの最大長さのことを言う。例えば丸型のレンズであれば直径の値であり、四角型のレンズであれば対角線の長さとなる。
【0024】
本発明におけるマイクロレンズの最大幅は50〜600μmの範囲であることが必要である。70〜400μmがさらに好ましく、90〜250μmが最も好ましい。50μmよりも小さいサイズのレンズは写り込みが発生してしまい視認性が悪くなり、600μmよりも大きいサイズのレンズは凸凹した画像として見えてしまうため視認性が著しく低下する。本発明の範囲内にレンズの最大幅があるときのみ、反射率が向上して、写り込みが少なくなり、且つ、視差が改善され視認性を向上することができる。
【0025】
マイクロレンズアレーに占めるマイクロレンズの数のうちの95%以上がこの範囲に入っていることが好ましい。
【0026】
本発明において、画素面積に対するマイクロレンズが占める面積の比率は30%〜90%であることが好ましく、70〜85%であることがさらに好ましい。画素面積に対するマイクロレンズが占める面積の比率がこの範囲内にあるときに写り込みがさらに少なくなる。
【0027】
本発明に用いられるマイクロレンズの種類としては特に制限がないが、反射率の向上の観点から凸レンズが好ましい。形状としては、半球レンズ、フレネルレンズ、片面凸レンズ、両面凸レンズなどを使用でき、片面凸レンズ、半球レンズが好ましい。
【0028】
本発明に用いられるマイクロレンズの形としては、丸型、四角型、六角型等どのような形状でも良い。
【0029】
本発明に用いられるマイクロレンズの材料としてはガラスのような無機化合物もしくは樹脂でも良く、特に制限はないが、加工性の観点からは樹脂が好ましく、たとえばアクリレート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル、アクリレートモノマーとビニルモノマーの共重合体、これらの混合物等が挙げられる。
【0030】
本発明に用いられるマイクロレンズを形成する材料の屈折率としては特に制限はないが、1.40〜1.60が好ましく、1.45〜1.55がさらに好ましい。
【0031】
本発明に用いられるマイクロレンズアレイは金型による製法から、インクジェットなどの印刷技術を応用したもの、フォトリソグラフィ技術や半導体技術を用いて作製する方法など公知の技術を用いることができる。
【0032】
本発明におけるマイクロレンズアレイの製造方法の一例をさらに具体的に示す。
【0033】
(I)透明な基板上に、感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける感光層形成工程と、(II)感光層上に配した光散乱能を有するシートに特定の活性光線を通過させて散乱光を生ぜしめ、感光層とシートとの間に配した所定パターンを有するフォトマスクを介して、散乱光を感光層の所定部分に照射して所定部分を硬化する硬化工程と、(III)感光層の未硬化部分を現像により除去する現像工程とを備えている。
【0034】
まず、上記のマイクロレンズアレイの製造方法に用いるマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物の実施の形態について説明する。
【0035】
マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物は、(a)バインダポリマーと、(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物と、(c)上記活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤とを含有する。
【0036】
(a)バインダポリマーとしては、例えば、ビニル共重合体が挙げられ、具体的には、下記のビニル単量体を重合させて得られたものが挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて重合させてもよい。
【0037】
さらに、のマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物においては、(a)バインダポリマーとして、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体に、このビニル共重合体が有する官能基と反応して結合する、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等の1個の官能基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物を付加反応させて得られる側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体等を使用することもできる。
【0038】
上記カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体の製造に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて重合させてもよい。また、必要に応じて、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル単量体以外の上記ビニル単量体を共重合させることができる。
【0039】
また、(a)バインダポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン換算した値)は、耐熱性、加熱溶融性、塗布性、後述するマイクロレンズアレイ用感光性エレメントとした場合のフィルム性(フィルム状の形態を保持する特性)、溶媒への溶解性、及び、上記現像工程における現像液への溶解性等の観点から、1000〜300000とすることが好ましく、5000〜150000とすることがより好ましい。
【0040】
さらに、(a)バインダポリマーは、上記現像工程において、公知の各種現像液により現像可能となるように酸価を規定することが好ましい。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を50〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、50mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向にあり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が低下する傾向にある。また、水又はアルカリ水溶液と1種以上の界面活性剤とからなるアルカリ水溶液を用いて現像する場合には、酸価を、16〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、16mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向にあり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性が低下する傾向にある。
【0041】
(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、グリシジル基含有化合物とα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0042】
上記多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
上記2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)等が挙げられる。
【0044】
上記グリシジル基含有化合物とα,β−不飽和カルボン酸とを反応させて得られる化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。
【0045】
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、エチレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド,プロピレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
【0047】
上記の光重合性不飽和化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
(c)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン(「イルガキュア−369」、BASFジャパン(株)商品名)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(「イルガキュア−907」、BASFジャパン(株)商品名)等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。
【0049】
また、上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールに置換した置換基は同一でも相違していてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0050】
マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物においては、上記基板との密着性及び感度の観点から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が好ましい。さらに、マイクロレンズアレイが液晶スペーサーとして用いられる場合等の可視光線透過率の観点から、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オンがより好ましい。
【0051】
上記の光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物における、(a)バインダポリマーの配合割合は、(a)及び(b)成分の総量100質量部に対して、20〜90質量部とすることが好ましく、30〜85質量部とすることがより好ましく、35〜80質量部とすることが特に好ましく、40〜75質量部とすることが極めて好ましい。この配合割合が20質量部未満では、塗布性、加熱溶融性、或いは後述するマイクロレンズアレイ用感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向にあり、90質量部を超えると、光硬化性あるいは耐熱性が低下する傾向にある。
【0053】
また、マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物における、(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物の配合割合は、(a)及び(b)成分の総量100質量部に対して、10〜80質量部とすることが好ましく、15〜70質量部とすることがより好ましく、20〜65質量部とすることが特に好ましく、25〜60質量部とすることが極めて好ましい。この配合割合が10質量部未満では、光硬化性あるいは耐熱性が低下する傾向にあり、80質量部を超えると、塗布性、加熱溶融性、或いはマイクロレンズアレイ用感光性エレメントとした場合のフィルム性が低下する傾向にある。
【0054】
また、マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物における、(c)光重合開始剤の配合割合は、(a)及び(b)成分の総量100質量部に対して、0.05〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることがより好ましく、0.15〜10質量部とすることが特に好ましい。この配合割合が0.05質量部未満では、光硬化が不十分となる傾向にあり、20質量部を超えると、上記硬化工程において、感光層の活性光線照射表面での活性光線の吸収が増大して、内部の光硬化が不十分となる傾向にある。
【0055】
マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤などの密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤等を含有させることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの配合割合は、(a)及び(b)成分の総量100質量部に対して、それぞれ0.01〜20質量部とすることができる。
【0056】
次に、マイクロレンズアレイ用感光性エレメントの実施の形態について図面を用いて説明する。
【0057】
図1は、マイクロレンズアレイ用感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示されるマイクロレンズアレイ用感光性エレメント100は、支持体フィルム1上に、上記のマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物からなる感光層2を備えている。
【0058】
支持体フィルムとしては、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等からなるフィルムが挙げられる。フィルムの厚さは、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmがさらに好ましく、20〜100μmが特に好ましい。
【0059】
マイクロレンズアレイ用感光性エレメント100の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。先ず、上記のマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物の各成分を溶媒に均一に溶解又は分散した塗布液を調製する。次に、この塗布液を支持体フィルム1上に塗布して塗膜を形成する。次に、塗膜から溶媒を乾燥除去して感光層を形成することにより、マイクロレンズアレイ用感光性エレメント100が得られる。
【0060】
溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類;ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−エチル−1−ペンタノール−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−1−ヘキサノール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノi−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート;ジメチルジエチレングリコール、ジエチルジエチレングリコール、ジブチルジエチレングリコール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のトリエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテルアセテート、モノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピル等が挙げられる。
【0061】
上記塗布液を支持体フィルム1上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
【0062】
感光層2の厚さについては、露光、現像された後にマイクロレンズアレイとしての性能を示すものであれば特に限定されないが、0.1〜100μmとすることが好ましく、1.0〜50μmとすることがより好ましい。感光層2の厚さが、0.1μm未満であると、マイクロレンズアレイとしての性能を示し難くなる傾向にあり、厚さが100μmを超えると、解像度が低下し、良好な形状のマイクロレンズアレイが得られ難くなる傾向にある。
【0063】
また、感光層2の粘度については、30℃において、15〜100MPa・sであることが好ましく、20〜90MPa・sであることがより好ましく、25〜80MPa・sであることが特に好ましい。かかる粘度とすることにより、例えば、マイクロレンズアレイ用感光性エレメントをロール状に巻いて保管する場合、感光性エレメントの端面から感光性樹脂組成物がしみ出すことを1ヶ月以上防止できる。また、感光性エレメントを切断する際に、感光層の破片が基板に付着して露光不良や現像残り等が引き起こされるのを防止することができる。
【0064】
なお、上記の粘度は、直径7mm、厚さ2mmの円形の感光層試料を作製し、30℃及び80℃において、この試料の厚さ方向に1.96×10−2Nの荷重を加えた際の厚さの変化速度を測定し、この変化速度からニュートン流体を仮定して粘度に換算した値である。
【0065】
マイクロレンズアレイ用感光性エレメント100は、感光層2の上に、さらにカバーフィルムが積層されていてもよい。
【0066】
カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムが挙げられる。カバーフィルムの厚さは、5〜100μm程度が好ましい。
【0067】
このようなカバーフィルムが積層されたマイクロレンズアレイ用感光性エレメントは、ロール状に巻いて保管することや、ロール状に巻いたもので使用することができる。
【0068】
次に、本発明におけるマイクロレンズアレイの製造方法の一例について説明する。
【0069】
図2は、本発明に係るマイクロレンズアレイの製造方法の一実施形態について説明する模式断面図である。図2に示すマイクロレンズアレイの製造方法では、(I)透明な基板上に、感光性樹脂組成物からなる感光層を設ける感光層形成工程と、(II)感光層上に配した光散乱能を有するシートに特定の活性光線を通過させて散乱光を生ぜしめ、感光層とシートとの間に配した所定パターンを有するフォトマスクを介して、散乱光を感光層の所定部分に照射して所定部分を硬化する硬化工程と、(III)感光層の未硬化部分を現像により除去する現像工程と、(IV)上記(I)〜(III)を経て形成されたマイクロレンズアレイパターンをさらに加熱する加熱工程とが含まれている。
【0070】
まず、図2(a)に示すように、(I)透明な基板10の一方の面上に感光性樹脂組成物からなる感光層20を設ける感光層形成工程を行う。
【0071】
感光層20は、上記のマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物、或いは上記のマイクロレンズアレイ用感光性エレメントを用いて形成することができる。それぞれの方法について以下に説明する。
【0072】
[(I−A)マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物を用いる感光層形成工程]
上記のマイクロアレイ用感光性樹脂組成物の各成分を溶媒に均一に溶解又は分散した塗布液を調製する。次に、この塗布液を基板10上に塗布して塗膜を形成する。次に、塗膜から溶媒を乾燥除去することにより感光層20を形成する。
【0073】
溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;アリルアルコール、ベンジルアルコール、アニソール、フェネトール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素類;ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−エチル−1−ペンタノール−4−エトキシ−1−ペンタノール、5−メトキシ−1−ヘキサノール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−3−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、3−メチル−3−ヒドロキシ−2−ペンタノン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノi−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びそのアセテート;ジメチルジエチレングリコール、ジエチルジエチレングリコール、ジブチルジエチレングリコール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のトリエチレングリコールアルキルエーテル類;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノメチルエーテルアセテート、モノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート;モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、n−プロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピル等が挙げられる。
【0074】
上記塗布液を基板10上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
【0075】
塗膜から溶媒を乾燥除去するための乾燥温度は、60〜130℃が好ましい。また、乾燥時間は、1分〜1時間が好ましい。
【0076】
また、形成された感光層の厚さが0.1〜100μmとなるよう、塗膜の厚さを調節することが好ましい。さらには、感光層の厚さを、1.0〜50μmとすることがより好ましい。感光層の厚さを上記の範囲とすることにより、露光、現像された後にマイクロレンズアレイとしての性能をより確実に有することができる。塗膜の厚さの調節は、例えば、塗布液の塗布量や溶媒の量を変更することにより行うことができる。
【0077】
[(I−B)マイクロレンズアレイ用感光性エレメントを用いる感光層形成工程]
先ず、上記のマイクロレンズアレイ用感光性エレメントを準備する。次に、この感光性エレメントがカバーフィルムを備えている場合にはカバーフィルムを除去し、感光性エレメントの感光層が基板10上に接するように、圧着ロールで感光性エレメントと基板とを圧着しながら積層する。
【0078】
圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよい。加熱圧着する場合の加熱温度は、10〜180℃とすることが好ましく、20〜160℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることが特に好ましい。この加熱温度が、10℃未満では、感光層と基板との密着性が低下する傾向にあり、180℃を超えると、感光層の構成成分が熱硬化あるいは熱分解する傾向にある。
【0079】
マイクロレンズアレイ用感光性エレメントを上記のように加熱すれば、基板を予熱処理することは必要ではないが、感光層と基板との密着性をさらに向上させる点から、基板を予熱処理することが好ましい。この時の予熱温度は、30〜180℃とすることが好ましい。
【0080】
また、加熱圧着時の圧着圧力は、線圧で50N/m〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10N/m〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10N/m〜4×10N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、感光層と基板との密着性が低下する傾向にあり、1×10N/mを超えると、基板が破壊される傾向にある。
【0081】
このようにして、マイクロレンズアレイ用感光性エレメントの感光層を基板上に積層することができ、基板10上に感光層20が積層される。
【0082】
次に、上記感光層形成工程の後に、硬化工程を行う。以下、この工程について説明する。
【0083】
[(II)硬化工程]
硬化工程は、例えば図2(b)に示されるように、基板10の感光層20が設けられた面側から、光散乱能を有するシート40と、所定パターンを有するフォトマスク30を介して活性光線Lを感光層20に照射することにより、感光層の所定部分を硬化する。ここで、所定部分の硬化について図3を用いてより詳しく説明する。図3は、感光層の所定部分の硬化について説明するための模式断面図である。図3に示すように、光散乱能を有するシート40を通過した活性光線Lは散乱光となり、この散乱光は所定パターンを有するフォトマスク30によって、外側へ拡大する光Dに調整される。そして、感光層20のうち、光Dに露光されて十分に硬化する硬化部24が上記所定部分となり、十分に硬化されなかった未硬化部26は、後の現像工程で除去される。このように、フォトマスクと光散乱機能を有するシートを介して活性光線を像的に感光層に対して照射することにより、感光層の光照射される側の表面における光硬化度合を不均一にし、現像時の残膜量を異なるものにすることによって、断面が矩形ではないレンズ形状を得ることが可能となる。
【0084】
上記硬化工程で用いる活性光線としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等が挙げられ、紫外線を有効に放射するものが好ましい。
【0085】
光散乱能を有するシート40は、光を屈折及び/又は散乱させることが可能であるものであれば、いかなるものも用いることができる。具体的には、例えば、フィルム表面に凹凸があるキルティングマイラー、エンボス加工を施したフィルム、マットフィルム、サンドマットフィルム、曇りガラス、スリガラス、模様入りガラス、汎用の活性光線を透過するフィルムやガラス類をサンドペーパー等で研磨し、表面を凹凸状としたもの、汎用の活性光線を透過するフィルムやガラス類をレーザー等で研磨し、表面を凹凸状としたもの、ガラス類をフッ化水素等で処理し、表面に凹凸を付けたもの、その内部に微粒子を含み光が散乱するように施したフィルム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2枚以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
フォトマスク30は、目的とするマイクロレンズアレイ形状に応じて、シート40によって生じた散乱光の通過量及び方向を調整できるよう、開口32の形状や位置を適宜設定したパターンを有するものを用いればよい。また、凸状レンズや凹状レンズ等、あるいはフレネルレンズのようにレンズの表面形状を制御するために、さらに、シート40の光拡散性、感光層20とフォトマスク30との距離S等を調整すればよい。また、図2(b)では、シート40とフォトマスク30とが隣接して配されているが、これらはそれぞれ離して配することもできる。
【0087】
[(III)現像工程]
現像工程は、現像により感光層20の未硬化部分を除去する工程であり、この工程を経て図2(c)に示されるように基板10上に、感光層20の光硬化した部分であるマイクロレンズアレイパターンを有する硬化樹脂層22が顕在化する。
【0088】
現像方法としては、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像を行い、未露光部分を除去する方法等が挙げられ、中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いることが好ましいものとして挙げられる。
【0089】
アルカリ水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの炭酸塩若しくは重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミンなどが挙げられ、中でも、水酸化テトラメチルアンモニウム等が好ましいものとして挙げられる。
【0090】
現像温度及び時間は、上記感光性樹脂組成物からなる感光層の現像性に合わせて調整することができる。
【0091】
また、アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を添加することができる。
【0092】
また、現像後、光硬化後の感光層に残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸、無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知方法により酸処理(中和処理)することができる。
【0093】
さらに、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。
【0094】
また、本実施形態においては、感光層20を構成する感光性樹脂組成物として、解像度及び密着性に十分優れた上記本発明のマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物を用いていることから、より微細なパターンを設定した場合であっても、所望の形状を有する硬化樹脂層を形成することがより確実にできる。
【0095】
マイクロレンズアレイパターンを有する硬化樹脂層22が形成された基板10は、マイクロレンズアレイとして十分に機能するが、本実施形態においては、硬化樹脂層22をさらに加熱する加熱工程を行っている。この工程を経ることにより硬化樹脂層22が溶融されて、図2(d)に示されるように、より滑らかなレンズ形状を有する硬化樹脂層50が基板10上に形成されたマイクロレンズアレイ60を得ることができる。
【0096】
加熱する方法としては、熱風放射、赤外線照射加熱等の公知の方法が挙げられ、基板上に形成されたマイクロレンズアレイパターンが有効に加熱される方法であれば特に制限されない。
【0097】
加熱時の温度は、140〜300℃とすることが好ましく、150〜290℃とすることがより好ましく、160〜280℃とすることが特に好ましい。この加熱温度が、140℃未満では、熱硬化の効果が不十分となる傾向があり、300℃を超えると、感光性樹脂組成物層の構成成分が熱分解する傾向がある。
【0098】
また本実施形態においては、硬化樹脂層22の基板密着性を向上させること、耐薬品性を向上させること等を目的に、上記(III)現像工程後或いは上記(IV)加熱工程後、硬化樹脂層22に活性光線をさらに照射する工程を行うことができる。
【0099】
硬化樹脂層22に活性光線を照射する方法としては、活性光線が有効に照射される方法であれば特に制限されず、例えば、上記(II)硬化工程で使用できる公知の活性光源が挙げられ、紫外線等を有効に放射するものであれば特に制限されない。
【0100】
活性光線の照射量としては、1×10J/m〜1×10J/mとすることが好ましい。活性光線の照射量が、1×10J/m未満では、光硬化の効果が不十分となる傾向にあり、1×10J/mを超えると、マイクロレンズアレイパターンが変色する傾向にある。また、照射の際に加熱を伴うこともできる。
【0101】
上記マイクロレンズアレイの製造方法で得られたマイクロレンズアレイは、液晶表示装置、三次元ディスプレイ、レンチキュラーレンズ、CCD等の光学部品へ利用することができる。同様の方法で凹レンズやレンチキュラーレンズを作製することができる。
【0102】
本発明において1画素範囲内に存在するレンズの数は特に制限はないが、画素面積に対するマイクロレンズが占める面積の比率が有利になるため、1画素範囲内に1つのレンズを設置することが好ましい。
【0103】
本発明におけるマイクロレンズの焦点位置は特に制限はないが、レンズから最下層までの距離の0.1〜40倍が好ましく、1〜20倍がさらに好ましく、2〜10倍が最も好ましい。この範囲内の焦点距離であれば特に面積階調で色の濃度を制御する方式において階調制御が容易となる。
【0104】
本発明におけるマイクロレンズの設置方法としては特に制限はないが、上部基板に平行になるようにマイクロレンズアレイを設置することが好ましい。このように設置することで反射率が向上しやすくなる。特に積層素子の場合には反射率の向上幅が大きい。
【0105】
本発明に用いられるマイクロレンズアレイの上には機能膜層を設けることができる。機能膜層としては、例えば、ハードコート層、紫外線吸収層、ガスバリア膜、反射抑制膜等が挙げられる。
【0106】
機能膜層の形成方法としては特に制限はなく、蒸着、スパッタリング、塗布等公知の方法で形成することができる。
【0107】
<表示方式>
本発明における表示素子は反射型表示素子であることを特徴としている。本発明における反射型表示素子の発色方式としては特に制限はないが、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、電界析出方式、コレステリック液晶方式、MEMS方式、フォトニック結晶を用いた方式、トナー移動方式、電子粉粒体方式、エレクトロウェッティング方式等が挙げられる。本発明において用いられる方式として好ましくは、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、電界析出方式、エレクトロウェッティング方式が挙げられる。本発明においては、これらの表示方式の反射型表示素子の画素上の上部基板上にマイクロレンズアレイが設置されている。
【0108】
これらの発色方式の中でも、電極が同一基板上に2つ以上設置されるIn−plane方式、電極抵抗を下げるための補助電極(グリッド電極)を設置している電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、電界析出方式、エレクトロウェッティング方式が特に好ましい。
【0109】
本発明における反射型表示素子に用いられる発色方式についての詳細は、日本画像学会編、面谷 信 監修の「電子ペーパー」の1〜72ページ及び、シーエムシー出版、面谷 信 監修の「電子ペーパーの開発技術」の1〜152ページに記載されている。
【0110】
<基板>
本発明における上部基板及び下部基板に用いられる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912号、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号で示されているようにガラス転移温度Tg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0111】
<基板とマイクロレンズアレイの接着>
本発明においては、これらの上記表示方式の反射型表示素子上の画素の上部基板上にマイクロレンズアレイが設置されている。このマイクロレンズアレイは上部基板上に固定して設置させる事が好ましい。固定させる方法としては、公知の方法が適用できるが、接着剤を用いて接着する方法が好ましい。接着剤として、光学的に等方性の接着剤が用いられ、接着方法としては、溶媒を含んだ接着剤を使用し、保護層を貼合後に接着剤中の溶媒を乾燥除去するウェットラミネーション、接着剤を片方の基板に塗布し、乾燥後に貼合するドライラミネーション、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、感圧性接着剤を用いる方法などを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0112】
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などが挙げられる。紫外線硬化樹脂としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂などを用いることができる。熱硬化樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、O−クレゾールノボラック型樹脂、ビスフェノール型のエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などが使用できる。感圧性接着剤としては、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、ブチルゴム系樹脂、シリコーン系樹脂などのベースポリマーを用いたものが使用できる。
【0113】
<電極>
本発明で用いられる電極の配置方法としてはとくに制限はなく、対向した基板の内側に作られた2つの電極(対向電極)、同一基板上に2つの電極を作製するIn−plane電極、またこれらの電極以外に第3の電極を用いた方式でも良い。
【0114】
本発明で用いられる電極においては、対向電極もしくはIn−plane電極の少なくとも1種が透明電極であることが好ましい。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)、透明導電性ポリマー(PEDOT−PSS等)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。In−plane電極も同様の方法で作成することができる。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
【0115】
<補助電極>
本発明で用いられる電極には、抵抗を低くするために銅線などの補助電極(例えば、グリッド電極等)を導入してもよい。
【0116】
補助電極は、主となる電極部より電気抵抗が低い材料を用いることが好ましい。例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマスなどの金属およびそれらの合金等を好ましく用いることができる。
【0117】
補助電極は、主となる電極部と基板との間と、主となる電極部の基板と反対側の表面とのいずれに設置することもできる。いずれにしても、補助電極が主となる電極部と電気的に接続していればよい。
【0118】
補助電極の配置パターンには、特に制限はない。直線状、メッシュ状、円形など、求められる性能に応じて適宜形成することが可能である。主となる電極部が複数の部分に分割されている場合には、分割された電極部同士を接続する形で設けてもよい。ただし、主となる電極部が表示側の基板に設けられた透明電極の場合、補助電極は、表示素子の視認性を阻害しない形状と頻度で設けることが求められる。
【0119】
補助電極を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法、印刷法やインクジェット法、電解メッキや無電解メッキ、銀塩感光材料を用いて露光、現像処理してパターン形成する方法でも良い。
【0120】
補助電極パターンのライン幅やライン間隔は、任意の値で構わないが、導電性を高くするためにはライン幅を太くする必要がある。一方、透明電極に補助電極を付帯させる場合には、視認性の観点から、表示素子観察側から見た補助電極の面積被覆率は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
【0121】
このように透過率と導電性の点から、補助電極のライン幅は1μm以上、100μm以下が好ましく、ライン間隔は50μmから1000μmが好ましい。
【0122】
<電極の形成方法>
透明電極、金属補助電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着する方法や、全面形成した後に、フォトリソグラフィ法でパターニングする方法等が挙げられる。
【0123】
また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
【0124】
電極材料を塗布方式で形成する場合には、例えば、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
【0125】
インクジェット方式の中でも、下記の静電インクジェット方式は高粘度の液体を高精度に連続的に印字することが可能であり、本発明の透明電極や金属補助電極の形成に好ましく用いられる。インクの粘度は、好ましくは30mPa・s以上であり、更に好ましくは100mPa・s以上である。
【0126】
〈静電インクジェット方式〉
本発明の表示素子においては、複合電極の透明電極及び金属補助電極の少なくとも1方が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい態様の1つである。さらにノズル内の溶液がノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
【0127】
また、凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して、凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
【0128】
また、凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び吐出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
【0129】
この様な静電インクジェットを用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド性に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができ有利である。
【0130】
〔反射型表示素子のその他の構成要素〕
本発明の反射型表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
【0131】
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
【0132】
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
【0133】
上部基板と下部基板の間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
【0134】
本発明における反射型表示素子では最下層に白色の光散乱層を設けることが好ましい。
【0135】
本発明における白色の光散乱層に適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
【0136】
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタンが好ましく用いられ、特に無機酸化物(Al、AlO(OH)、SiO等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えてトリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンがより好ましく用いられる。
【0137】
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0138】
本発明における反射型表示素子はフルカラー表示のために複数の表示素子を積層しても良い。積層素子でTFTを用いる場合は開口率を向上するために最下層に配線するためのビアホールを各層ごとに作製しても良い。
【0139】
本発明におけるマイクロレンズを用いることで、開口率が小さくなるような電極を含む方式及びそれらの積層型表示素子については、入射光の反射率ロスを防ぐことができ、著しく反射率が向上する。例えば、画素透明電極上にグリッド電極を有する方式、In−plane電極を有する方式及び積層型表示素子等において反射率が著しく向上する。
【0140】
反射型表示パネルの解像度としては特に制限はないが、50〜600ppiが好ましく、75〜400ppiがさらに好ましい。
【0141】
〔表示素子駆動方法〕
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号公報の図5に記載されている回路を用いることができる。
【0142】
〔商品適用〕
本発明の反射型表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
【実施例】
【0143】
以下、本発明を表示方式がエレクトロクロニック方式の場合と電気泳動方式の場合を、それぞれ実施例1,2により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0144】
(実施例1)
《マイクロレンズアレイの作製》
[バインダポリマー溶液(a−1)の作製]
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)の成分を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)の成分を4時間かけて均一に滴下した。
【0145】
(2)の成分の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が約32,000のバインダポリマーの溶液(固形分35質量%)(a−1)を得た。
【0146】
【表1】

【0147】
[マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物溶液の作製]
表2に示す材料を、攪拌機を用いて15分間混合し、マイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物溶液を作製した。
【0148】
【表2】

【0149】
[マイクロレンズアレイ用感光性エレメントの作製]
支持体フィルムとして厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記で得られたマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物溶液を支持体フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、感光性樹脂組成物層を形成した。得られた感光性樹脂組成物層の厚さは50μmであった。
【0150】
次いで、得られた感光性樹脂組成物層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、マイクロレンズアレイ用感光性エレメントを作製した。
【0151】
[マイクロレンズアレイの作製]
得られたマイクロレンズアレイ用感光性エレメントのポリエチレンフィルムをはがしながら、厚さ0.3mmのガラス基板上に、感光性樹脂組成物層が接するようにラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名「HLM−1500型」)を用いて、ロール温度120℃、基板送り速度1m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Pa(厚さが0.5mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたので、この時の線圧は9.8×10N/m)の条件でラミネートして、ガラス基板上に、感光性樹脂組成物層及び支持体フィルムが積層された基板を作製した。
【0152】
次いで、支持体フィルムをはく離した後、感光性樹脂組成物層上の、感光性樹脂組成物層の表面から0.5mm離れた位置に、開口幅/遮光幅=5μm/113μmの格子状パターンを有するフォトマスクを載置し、さらにこの上に光散乱能を有するシート「キルティングマイラー」(日本ケムテック(株)製、商品名「エクスポージャーフィルムEWS−88」)を積層した。次に、平行光線露光機(オーク製作所(株)製、EXM1201)を使用して、フォトマスク及び光散乱能を有するシートを介して、感光性樹脂組成物層に露光量1.5×10J/mで(i線(波長365nm)における測定値)、紫外線を像的に照射した。
【0153】
次いで、0.5質量%の界面活性剤を含有した0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、30℃で200秒間スプレー現像して、感光性樹脂組成物層を選択的に除去してマイクロレンズアレイのパターンを形成した。
【0154】
さらに、230℃で40分間、ボックス型乾燥機で加熱してマイクロレンズアレイA−1を作成した。形成されたマイクロレンズアレイの透明性については、良好な透明性を有していることが確認された。
【0155】
同様の方法を用いて表3及び4に示したマイクロレンズアレイA−2〜9及びA−10,A−11を作製した。
【0156】
なおレンズの厚みはマイクロレンズアレイ用感光性樹脂組成物溶液の塗布厚を、及びレンズの最大幅は格子状パターンを有するフォトマスクの格子状パターンの間隔をそれぞれ変化させることにより調節した。
【0157】
《マイクロレンズアレイを設置したエレクトロクロミック表示素子の作製》
(EC電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上(上部基板)に、膜厚200nmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成し、透明電極を得た。透明電極の上に厚み5μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜を形成し、EC電極1を作成した。
【0158】
(吸着液1の調整)
トルエン2g中に、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン0.1g、トリエチルアミン0.1gを室温にて加え、吸着液1を調整した。
【0159】
(EC電極2の作成)
EC電極1を吸着液1に浸漬させ24時間置いた後、トルエンで洗浄した。更にこの電極を、化合物Aの5質量%水溶液に80℃で100時間浸漬させ、エタノール、及び、水で洗浄し、EC電極2を作成した。
【0160】
【化1】

【0161】
(対向電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上(下部基板)に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μm、ピッチ145μm、電極間隔130μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(対向電極1)を得た。
【0162】
(EC電解液1の調製)
γ−ブチロラクトン2.5g中に、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gとカルボキシTEMPO(4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル)0.05gを溶解させて、EC電解液1を得た。
【0163】
(エレクトロクロミック表示素子1の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした対向電極1の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、対向電極1とEC電極2を基板を外側にして貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルにEC電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、エレクトロクロミック表示素子1を作製した。
【0164】
〔マイクロレンズアレイを設置したエレクトロクロミック表示素子1の作製〕
エレクトロクロミック表示素子1の素子上の上部基板の上に顕微鏡を用いてレンズ番号A−1のマイクロレンズアレイを公知の方法により貼り合わせることでマイクロレンズアレイを設置したエレクトロクロミック表示素子1(以下素子番号EC1と略記する)を作製した。
【0165】
(EC電極3の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上(上部基板)に、膜厚200nmのITO(Indium Tin Oxide、インジウム錫酸化物)膜を公知の方法に従って形成し、透明電極を得た。透明電極の上に厚み5μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜を形成し、EC電極3を作成した。
【0166】
(対向電極2の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板(下部基板)上に、公知の方法を用いて、電極厚み0.1μm、ピッチ55μm、電極間隔65μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(対向電極2)を得た。
【0167】
(EC電極4の作成)
EC電極2を吸着液1に浸漬させ24時間置いた後、トルエンで洗浄した。更にこの電極を、化合物Aの5質量%水溶液に80℃で100時間浸漬させ、エタノール、及び、水で洗浄し、EC電極4を作成した。
【0168】
(エレクトロクロミック表示素子2の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした対向電極2の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、対向電極2とEC電極4を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルにEC電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、エレクトロクロミック表示素子2を作製した。
【0169】
(マイクロレンズアレイを設置したエレクトロクロミック表示素子2(素子番号EC2)の作製)
エレクトロクロミック表示素子2の上に顕微鏡を用いてレンズ番号A−1のマイクロレンズアレイを公知の方法により貼り合わせることで素子番号EC2を作製した。(以下マイクロレンズアレイを設置したエレクトロクロミック表示素子を素子番号ECで表す。)
〔素子番号EC3〜7の作製〕
対向電極2のピッチ幅をレンズの最大幅に変更すること及び、レンズ番号をA−2〜A−7に変更した以外は素子番号2と同様の方法で素子番号EC3〜7を作製した。
【0170】
〔素子番号EC8の作製〕
マイクロレンズアレイを張り合わせないこと以外はEC1と同様の方法で素子番号EC8を作製した。
【0171】
〔素子番号EC9の作製〕
対向電極2のピッチ幅を120μmに変更したこと及びマイクロレンズアレイを張り合わせないこと以外はEC2と同様の方法で素子番号EC9を作製した。
【0172】
〔素子番号EC10及び素子番号EC11の作製〕
対向電極2のピッチ幅をレンズの最大幅に変更すること及び、レンズ番号をA−8及びA−9に変更した以外は素子番号EC2と同様の方法で素子番号EC10及び素子番号EC11を作製した。
【0173】
《表示素子の評価》
<写り込みの評価>
5cm×5cmのパネルを作製し、80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき評価者がパネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さを下記のようにランクに分け、写り込みを評価した。
【0174】
◎:もっとも近い蛍光灯の写り込みから気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
○:近くの蛍光灯の写りこみはやや気になるが、遠くは気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もなんとか読める
△:遠くの蛍光灯の写りこみも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を読むのは困難である
×:蛍光灯の写りこみがかなり気になり、写り込みの部分はフォントの大きさ8以下の文字を読むことはできない。
【0175】
<反射率の評価>
反射率の測定はコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700で測定し、消色状態(白色表示状態)の反射率を波長550nmで測定した。
【0176】
また本発明のマイクロレンズアレイを具備する素子の画像はぼやけていなかったが、本発明のマイクロレンズを具備しない素子についてはわずかにぼやけた画像となっていた。これも視差による影響であると考えられる。
【0177】
【表3】

【0178】
特にEC3、EC4の素子が反射率、写り込み、解像度、視差の観点から好ましいことがわかる。
【0179】
実施例2
《マイクロレンズアレイを設置した電気泳動方式による表示素子の作製》
〔マイクロレンズアレイを設置した電気泳動方式による表示素子(素子番号EM1)の作製〕
特許第4188091号の実施例29同様に対向電極の電気泳動素子を作製し、その素子の画素の上部基板上にマイクロレンズアレイA−10を張り合わせることで素子番号EM1(以下マイクロレンズアレイを設置した電気泳動方式による表示素子を素子番号EMで表す。)を作製した。
【0180】
〔素子番号EM2の作製〕
特開2002−333643号公報の発明の実施の形態から、In−plane電極の電気泳動素子を作製して、その上にマイクロレンズアレイA−10を張り合わせることで素子番号EM2を作製した。
【0181】
〔素子番号EM4の作製〕
マイクロレンズアレイを張り合わせないこと以外は素子番号EM1と同様の方法で素子番号EM4を作製した。
【0182】
〔素子番号EM5の作製〕
マイクロレンズアレイを張り合わせないこと以外は素子番号EM2と同様の方法で素子番号EM5を作製した。
【0183】
〔素子番号EM3、及び素子番号EM6の作製〕
素子番号EM2と同様の方法で着色粒子の色がイエローの素子と、着色粒子の色がシアンの素子を作製し、イエローを上層、シアンを下層にして素子を電極位置が重なるように張り合わせ、さらにシアンの素子の下に白色散乱層を設けて反射型積層素子とした。さらにマイクロレンズアレイA−11を張り合わせて素子番号EM3の素子を作製した。
【0184】
マイクロレンズアレイA−11を張り合わせないこと以外は素子番号EM3と同様の方法で素子番号EM6の素子を作製した。
【0185】
《表示素子の評価》
得られた反射型表示素子EM1〜EM6を実施例1と同じ方法でそれぞれ反射率、写り込み、視差の評価をおこなった。
【0186】
<視差の評価>
積層素子である素子番号EM3及びEM6について視差の目視評価を行ったところ、本発明のマイクロレンズアレイを具備する素子番号EM3は0°〜120°まで視野角を変えて画像を見ても色の変化は起こらなかった。一方、本発明のマイクロレンズを具備していない素子番号EM6については0°〜120°まで視野角を変えて画像を見ることでわずかに色の変化が起こり、本来の画像と異なる色を示した。
【0187】
また本発明のマイクロレンズアレイを具備する素子の画像はぼやけていなかったが、本発明のマイクロレンズを具備しない素子についてはわずかにぼやけた画像となっていた。これも視差による影響であると考えられる。
【0188】
上記の結果を表4に示す。
【0189】
【表4】

【0190】
表4と視差の評価結果から本発明のマイクロレンズアレイを具備する素子が反射率、写り込み、解像度、視差の観点から好ましいことがわかる。
【符号の説明】
【0191】
100 マイクロレンズアレイ用感光性エレメント
1 支持体フィルム
2 感光層
10 基板
20 感光層
22 硬化樹脂層
24 硬化部
26 未硬化部
30 フォトマスク
32 開口
40 シート
50 硬化樹脂層
60 マイクロレンズアレイ
L 活性光線
D 外側へ拡大する光D
S 感光層20とフォトマスク30との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部基板、下部基板、画素を有する表示素子を含む反射型表示素子において、該表示素子の画素上の前記上部基板上にマイクロレンズアレイが設置され、かつ前記マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの最大幅が50〜600μmであることを特徴とする反射型表示素子。
【請求項2】
前記表示素子が複数の層からなることを特徴とする請求項1に記載の反射型表示素子。
【請求項3】
前記マイクロレンズが凸レンズであることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型表示素子。
【請求項4】
前記下部基板もしくは前記上部基板の少なくとも一方に、複数の電極を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射型表示素子。
【請求項5】
前記下部基板及び前記上部基板の少なくとも一方の電極に補助電極を設けていることを特徴とする請求項4に記載の反射型表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−18340(P2012−18340A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156475(P2010−156475)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】