説明

反転防止機能付き清掃具

【目的】清掃作業を行う際に手前側に引いても清掃ヘッドの反転が生ずることなく、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行うことができる反転防止機能付き清掃具を提供する。
【構成】ハンドル支持部4は、回転軸19の回りに円弧部17により回動可能である。鉛直方向の直立状態より鈍角方向には、当接部16が上面9に当接して略90°の回動範囲に規制される。従って、ハンドル部5を掴み前後方向に清掃ヘッド2を移動させて清掃する際に、当接部16によりハンドル支持部4のヘッドプレート8先端縁側への回動が規制される。このため、清掃ヘッド2を手前に引き戻したときに、清掃ヘッド2の下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止作用が働いて、清掃ヘッド2の反転が生ずることなく、ハンドル部5を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル支持部を清掃ヘッド上面に回動自在に設けた清掃具に関し、特には清掃ヘッドが裏向けに反転するのを防止した反転防止機能付き清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、フローリング床面等の清掃に使用されている清掃具においては、ハンドル部(持手体)が設置されるハンドル支持部の回動端を、清掃ヘッド上面に設けた枢支部に回動自在に軸支して、ハンドル部が自由に曲げ動かしできるようになっている。
【0003】
図10の(10A)は従来のハンドル回動自在式掃除具における清掃ヘッド50上面の枢支部51を示す。清掃ヘッド50の下面側には例えば、払拭用モップ繊維52が植設されている。清掃ヘッド50の上面側には、ハンドル支持部53の回動軸54を回動自在に軸支する枢支部51が設けられている。ハンドル支持部53の遊端には、清掃作業者が掴むハンドル部(図示せず)が連結されている。このハンドル部を掴持して床面55に沿って清掃ヘッド50を移動させて、モップ繊維52による床面の払拭清掃を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のハンドル回動自在式掃除具を用いて前後に動かして清掃作業を行う際、ハンドル支持部53の回動端が枢支部51において略180°回動するため、図10の(10B)に示すように、手前側に清掃ヘッド50を移動させるとき、清掃ヘッド50の下端部付近を中心にして回転し、同図(10C)に示すように、清掃ヘッド50の下面が裏向けに反転する問題が生じていた。清掃ヘッド50の下面が裏向けに反転すると、清掃ヘッド50を元の状態(前記(10A)参照)に手作業で戻す必要があり、その際、汚れたモップ繊維52に手指が触れて汚れが付着したりして、清掃作業を円滑に行う妨げになっていた。勿論、清掃ヘッド50の下面が裏向けに反転すると、汚れ面が露出して清掃作業者に不快感を与えることにもなる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、清掃作業を行う際に手前側に引いても清掃ヘッドの反転が生ずることなく、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行うことができる反転防止機能付き清掃具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、払拭部材が取着される清掃ヘッドと、前記清掃ヘッド上面に設けた枢支部に、回動端が回動自在に軸支されたハンドル支持部と、前記ハンドル支持部の遊端に取着されたハンドル部とからなる清掃具において、前記回動端及び/又は前記清掃ヘッド上面に前記ハンドル支持部の回動範囲を規制して前記清掃ヘッドの下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止部材を設けた反転防止機能付き清掃具である。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記反転防止部材は、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記清掃ヘッド上面に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制する当接部からなり、前記当接部を前記回動端に設けた反転防止機能付き清掃具である。
【0009】
本発明の第3の形態は、第1の形態において、前記反転防止部材は、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記回動端の一部に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制する規制部材からなり、前記規制部材を前記清掃ヘッド上面に突設した反転防止機能付き清掃具である。
【0010】
本発明の第4の形態は、第2又は第3の形態において、前記枢支部の軸中心を前記清掃ヘッドの中央から後端縁側に偏心させた反転防止機能付き清掃具である。
【0011】
本発明の第5の形態は、第1〜第4の形態のいずれかにおいて、前記清掃ヘッドは横長扁平形状を有し、前記清掃ヘッドの長辺方向に沿って前記枢支部の中心軸を配置した反転防止機能付き清掃具である。
【0012】
本発明の第6の形態は、第1〜第5の形態のいずれかにおいて、前記払拭部材は前記清掃ヘッドの下面から上面に被せて取着される清掃用シートからなる反転防止機能付き清掃具である。
【0013】
本発明の第7の形態は、第1の形態において、前記清掃用シートは前記清掃ヘッドの前記下面に対応するシート面に固着した払拭材を有する反転防止機能付き清掃具である。
【0014】
本発明の第8の形態は、第1〜第5の形態のいずれかにおいて、前記払拭部材は基材に多数のモップ繊維を植設したモップからなり、前記清掃ヘッドの下面に前記基材を取着した反転防止機能付き清掃具である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記従来の清掃ヘッドの反転現象の対策につき鋭意検討した結果、清掃作業において清掃ヘッドを前進・後退させるうえで、ハンドル支持部の回動範囲が概ね、垂直方向から水平方向の間の略90°の範囲であれば、前後方向の清掃ヘッドの移動操作を円滑に行える点に着目してなされたものである。
本発明の第1の形態によれば、前記回動端及び/又は前記清掃ヘッド上面に設けた前記反転防止部材により、前記ハンドル支持部の回動範囲を規制して前記清掃ヘッドの下面が裏向けに反転するのを防止するので、前後方向の清掃ヘッドの移動操作を行いながら清掃する際に、清掃ヘッドの反転が生ずることなく、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0016】
本発明における前記清掃ヘッドに取着される払拭部材には、クリーニングして再利用可能なモップ繊維の他に、塵埃を拭き取った後は廃棄される、紙や布製の使い捨てタイプの清掃シートを使用することができる。
【0017】
前記清掃ヘッドへの取着形態は、前記モップ繊維のようにヘッド面に固着される固着形態の他に、前記清掃シートのように脱着自在に取着される形態も含まれる。また、例えば、前記清掃ヘッドの両端部が挿入され取着される袋部を有し、前記袋部の下面を払拭面とした前記払拭部材を用いることができ、この場合には前記袋部の挿着・脱離だけで前記清掃ヘッドへの取着作業を簡単に行うことができる。更に、前記払拭面に払拭材を固着しておけば、前記袋部により挿着・脱離が簡単に行え、清掃作業の手間を削減できると共に、前記払拭材により払拭面の清掃力を向上させることもできる。
【0018】
本発明は、前記ハンドル支持部の回動中心から前記ハンドル部の先端までの長さが1m超える、所謂、長柄箒タイプの長尺状清掃具に適用できるだけでなく、柄の長さが50cm未満の短尺状のものやハンディタイプの清掃具に適用することができる。
【0019】
本発明の第2の形態によれば、前記回動端に設けた前記当接部により、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記清掃ヘッド上面に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制するので、前記当接部を前記回動端に設けるだけで、前記反転防止部材を簡易且つ安価に構成でき、清掃ヘッドの反転が生ずることなく、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0020】
本発明の第3の形態によれば、前記清掃ヘッド上面に突設した前記規制部材により、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記回動端の一部に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制するので、前記規制部材を前記清掃ヘッド上面に突設するだけで、前記反転防止部材を簡易且つ安価に構成でき、清掃ヘッドの反転が生ずることなく、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0021】
本発明の第4の形態によれば、前記枢支部の軸中心を前記清掃ヘッドの中央から後端縁側に偏心させているので、前記偏心によって、前記枢支部の軸中心と前記後端縁の距離が短くなり、清掃ヘッドを後退移動させるときに、床面から前記先端縁が浮き上がらせるモーメントの作用が弱まり、前記当接部又は前記規制部材の規制動作と協働して、前記清掃ヘッドの反転防止効果をより一層向上させることができる。
【0022】
本発明の第5の形態によれば、横長扁平形状の前記清掃ヘッドの長辺方向に沿って前記枢支部の中心軸を配置したので、短辺方向に前記中心軸を配置した場合に比べて、前記横長扁平形状による清掃範囲を横広に大きくして払拭効率を向上させ、しかも、前記ハンドル支持部の回動範囲を規制して前記清掃ヘッドの下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止機能を有し、ハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を効率的且つ円滑に行える反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0023】
本発明の第6の形態によれば、前記清掃ヘッドの下面から上面に被せて取着される清掃用シートを用いて、前記反転防止機能によりハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える、前記清掃シートの使い捨てタイプの反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0024】
前記清掃シートには全体が紙製や布製で構成されたシート材を使用することができるが、特に、本発明の第7の形態によれば、前記清掃ヘッドの前記下面に対応するシート面に固着した、厚手のフェルトや不織布等の払拭材を有する前記清掃シートを用いて、前記払拭材により払拭面の清掃力を向上させ、しかも前記反転防止機能によりハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える、前記清掃シートの使い捨てタイプの反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【0025】
本発明の第8の形態によれば、基材に多数のモップ繊維を植設したモップからなる前記払拭部材を使用し、前記清掃ヘッドの下面に前記基材を取着したので、前記反転防止機能によりハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える、前記モップ固定タイプの反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るシート状清掃具1の外観斜視図である。
【図2】清掃用シート7を清掃ヘッド2に取り付けた状態を示す平面図である。
【図3】シート状清掃具1の枢支部3及びハンドル支持部4の回動端18を示す一部切り欠き側面図である。
【図4】シート状清掃具1の枢支部3及びハンドル支持部4の回動端18を示す側面図である。
【図5】シート状清掃具1の反転防止部材16の反転防止作用を説明するための図である。
【図6】前記反転防止作用を詳細に示すと共に、反転防止部材の変形例を示す図である。
【図7】反転防止部材の別の変形例を示す図である。
【図8】反転防止部材の更に別の変形例を示す図である。
【図9】本発明に用いる払拭部材を示す図である。
【図10】従来の清掃ヘッドの反転現象を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るシート状清掃具1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は清掃用シート(払拭部材)7を取り付ける前のシート状清掃具1の外観斜視図である。図2はシート状清掃具1の清掃ヘッド2に清掃用シート7を取り付けた状態を示す平面図である。
【0028】
シート状清掃具1は、使い捨て清掃用シート7を使用する、長尺タイプの清掃具であり、清掃用シート7が取着される清掃ヘッド2と、清掃ヘッド2の上面に一体的に設けた枢支部3に、回動端が回動自在に軸支されたハンドル支持部4と、ハンドル支持部4の遊端20に取着されたハンドル部5を有する。ハンドル部5は全長約120cmの長尺状の管材からなり、その先端側にはグリップ部6が取着されている。清掃ヘッド2、ハンドル支持部4及びハンドル部5は合成樹脂の成形加工部材で構成されている。清掃用シート7はフェルト生地、紙や不織布等の矩形シート材からなる。
【0029】
清掃ヘッド2は、図1及び図2に示すように、横長扁平形状のヘッドプレート8と、ヘッドプレート8の上面9に埋設された、2個の弾性体10からなる。ヘッドプレート8は上下段に分割形成されていて、幅広の下部本体とこの下部本体に取り付けられる上部本体から構成されており、下部本体はクッション性のよいゴム等の弾性体素材で形成されている。弾性体10の両端側には、ヘッドプレート8の上面に略楕円形状の凹部12が凹設されている。弾性体10の凹部12に対応する部分には放射状に5本の切り溝11が形成されていて、この放射状の切り溝11によって5片に分割されている。
【0030】
弾性体10はヘッドプレート8の上面9に設けた凹所に挿着され、係止されて取着される。弾性体10が長期の使用で劣化したときには、ヘッドプレート8から取り外して、新しい弾性体10を係着して取り替えることにより、ヘッドプレート8を廃棄することなく繰り返し使用することができる。
【0031】
清掃用シート7の取着は、ヘッドプレート8の下面側から上面側にかけて清掃用シート7を被せて行われる。取付け方の詳細は、清掃用シート7を折り返した、ヘッドプレート8の上面側の端辺部が、弾性体10の各切り溝11部分に指で押し込まれることにより、切り溝11で分割される分割片の縁部の内部にシート端片が入り込んで係止されて着脱可能な状態で取着される。
【0032】
図3及び図4は枢支部3及びハンドル支持部4の回動端18を示す。枢支部3は、回動端18の幅だけの間隔をあけて突設された、一対の軸支部13からなる。各軸支部13には、回動端18に突設した回転軸19が嵌入されて軸支する孔部14が前記間隔に向けて穿設されている。各軸支部13の中心軸方向はヘッドプレート8の長辺方向に沿って配置されている。従って、ハンドル支持部4はヘッドプレート8の短辺方向に回動自在に軸支されているので、短辺方向に前記中心軸を配置した場合に比べて、横長扁平形状のヘッドプレート8による清掃範囲を横広に大きく利用して払拭効率を向上させている。
【0033】
回動端18の上部に溝が切り欠き形成され、その切り欠き部に貫通穴21が穿設されている。遊端20の下部25には前記溝に挿入する回動片が設けられ、その回動片には貫通穴21に嵌入する回転軸22が突設されている。即ち、回転軸22を貫通穴21に嵌着して軸支することにより、ハンドル支持部4の遊端20は回動端18に対して、ヘッドプレート8の長辺方向に回動自在に取着されているので、図3の矢印で示すように、回動端18の半円形頭部23の円弧面に沿って接触しながら、下部25の下部端縁24が周回する。従って、ハンドル支持部4は回転軸19及び回転軸22の軸支機構によって、ヘッドプレート8上面において前後左右に回動自在に支持されている。
【0034】
図4に示すように、遊端20の上部26には、ハンドル部5の管材の下端を外嵌して、内部から押圧支持する押圧部材27が設けられている。遊端20の下部25から上側は中空材で形成され、押圧部材27は、下端に突部28を形成した舌片状の形状を有し、中空材の側面にU字状に切り欠いた溝29により片持ち支持されており、樹脂弾性により外側に向けた付勢力を付与する。従って、ハンドル部5の管材の下端を上部26に外嵌することにより、突部28が管内面を強固に押圧するので、ハンドル部5が遊端20から簡単には抜けない抜止防止構造となっている。
【0035】
シート状清掃具1には、ヘッドプレート8の短辺方向の軸支部13による、ハンドル支持部4の回動範囲を規制して清掃ヘッド2の下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止部材としての当接部16が回動端18に設けられている。
【0036】
図5及び図6の(6A)は当接部16の反転防止作用を説明するための図である。図5及び図6においては、ヘッドプレート8に被着される清掃用シート7を省略している。
【0037】
回動端18は、その下端に設けた回動用円弧部17と、回転軸19を挟んで円弧部17と反対側に突出し、図5の(5A)に示すように、ハンドル支持部4を鉛直方向に起立させたとき、上面9に略並行になる底面を有した凸状当接部16とからなる。図6の(6A)に示すように、当接部16の先端部分は、回転軸19の中心軸から円弧部17の外周までの回動半径R1より長い距離R2(R2>R1)だけ回動軌跡外に突出している。
【0038】
図5の(5B)の破線に示すように、ハンドル支持部4は、回転軸19の回りに円弧部17により回動可能であるが、(5A)及び(6A)の2点鎖線に示す、鉛直方向の直立状態より鈍角方向には、当接部16が上面9に当接して略90°の回動範囲に規制される。従って、ヘッドプレート8を幅広にしてハンドル部5を掴み前後方向に清掃ヘッド2を移動させて清掃する際に、当接部16によりハンドル支持部4のヘッドプレート8先端縁側への回動が規制される。このため、清掃ヘッド2を手前に引き戻したときに、清掃ヘッド2の下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止作用が働いて、清掃ヘッド2の反転が生ずることなく、ハンドル部5を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行うことができる。本実施形態においては、当接部16を回動端18に設けるだけで反転防止部機能を簡易且つ安価に構成できる利点がある。
【0039】
本発明においては、回動端18に設ける反転防止部材として、上記当接部16に限らず、図6の(6A)に示したように、円弧部17の回動半径R1より長い距離R2(R2>R1)だけ回動軌跡外に突出させた形態であれば、同様の反転防止機能を付与することができる。
【0040】
例えば、図6の(6B)に示すように、円弧部42の反対側を直方体形状にし、ハンドル支持部4の鉛直起立状態において突出部分を持たない当接部41を具備した回動端40を使用することができる。当接部41の回動中心からの距離R3はR3>R1の関係を満たす。また、同図(6C)に示すように、円弧部45の反対側を余分に突出させて、ハンドル支持部4の鉛直起立状態において略直方体形状に突出した当接部44を具備した回動端43を使用することができる。回動中心から当接部44の先端面までの距離R4はR4>R1の関係を満たす。
【0041】
本発明においては、清掃ヘッド2の上面9に設けた反転防止部材を使用することができる。図7は上面9に設けた反転防止部材の変形例を示す。図7において、図1〜図5と同一部材については同じ符号を付している。
この変形例では、半周状に設けた回動用円弧部33からなる回動端32を有したハンドル支持部4を使用する。図7の(7A)に示すように、清掃ヘッド2の上面9には、円弧部33の回動面に対向した円弧面35を有する規制部材34が突設されている。
【0042】
ハンドル支持部4は、回転軸19の回りに円弧部33により回動可能であるが、図7の(7A)の2点鎖線に示すように、鉛直方向の直立状態より鈍角方向には、規制部材34が回動端32の側面に当接して、同図(7B)に示す略100°の回動範囲に規制される。従って、図5の場合と同様に、ハンドル部5を掴み前後方向に清掃ヘッド2を移動させて清掃する際に、規制部材34によりハンドル支持部4のヘッドプレート8先端縁側への回動が規制される。このため、清掃ヘッド2を手前に引き戻したときに、清掃ヘッド2の下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止作用が働いて、清掃ヘッド2の反転が生ずることなく、ハンドル部5を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行うことができる。規制部材34の設置は清掃ヘッド2の上面9に突設するだけの構造変形で済むため、掃除具に反転防止機能を簡易且つ安価に構成できる利点がある。
【0043】
前記実施形態においては、一対の軸支部13をヘッドプレート8中央に配置している。ここで、枢支部3の軸支部13の軸中心を清掃ヘッド2の中央から後端縁側に偏心させることにより、床面から清掃ヘッド2の先端縁が浮き上がらせるモーメントの作用を小さくして、反転防止部材による反転防止効果をより高めることができる。
【0044】
図8は前記偏心処置を施した反転防止部材の更に別の変形例を示す。この変形例は、反転防止部材としての当接部16を備えたシート状清掃具1に前記偏心処置を適用した場合である。図8においては、図1〜図5と同一部材については同じ符号を付している。
【0045】
軸支部13aは短辺方向のヘッドプレート8中央Aから距離Lだけ離れた位置Bに配置され、軸支部13aの軸中心が清掃ヘッド2の中央から後端縁C側に偏心している。この偏心によって、軸支部13aの軸中心から後端縁Cまでの長さが、軸支部を中央Aに設置した場合に比べて短くなる。従って、清掃時に清掃ヘッド2を手前に引き戻したとき、床面から清掃ヘッド2の先端縁Dが浮き上がらせるモーメントの作用が小さくなるため、清掃ヘッド2を後退移動させるときに床面から先端縁Dが浮き上がりにくくなり、当接部16の回動規制動作と協働して、反転防止効果をより一層高めることができる。勿論、図7の規制部材34に対しても、清掃ヘッド2の後端縁側への偏心処置を行うことにより、規制部材34の回動規制動作と協働して、反転防止効果をより一層高めることができる。
【0046】
シート状清掃具1においては長尺状の清掃具の場合であるが、本発明は、短尺状の清掃具やハンディタイプの清掃具に適用でき、更に、ハンドル部5を伸縮自在にして、作業内容に応じて柄の長さを調整可能にした伸縮タイプの清掃具にも適用するこができる。
【0047】
本発明は、シート状清掃具1のように、取替可能な清掃シート7を取着する清掃具や、基材に多数のモップ繊維を植設したモップからなる払拭部材を使用した清掃具の他に、種々の払拭部材が取着される清掃具に適用することができる。
図9は別の払拭部材が取着される反転防止機能付き清掃具を示す。図9においては、図1〜図5と同一部材については同じ符号を付している。
図9の(9A)は、清掃用シート7と同様に、ヘッドプレート8の下面側から上面側にかけて被せて取着される取着シート46を用い、ヘッドプレート8の下面に対応する取着シート46のシート面に厚手のフェルトや不織布等の払拭材47が固着された払拭部材を有する清掃具を示す。払拭材47が固着された取着シート46の使用により、払拭材47により払拭面の清掃力を向上させ、しかも本発明に係る反転防止機能によりハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業を円滑に行える、使い捨てシートタイプの清掃具を実現することができる。
【0048】
図9の(9B)は、ヘッドプレート8と同様の矩形状ヘッドプレート48の両端部が挿入され取着される袋部49a、49bを有し、袋部49a、49bの下面を払拭面とした払拭部材49を用いた反転防止機能付き清掃具を示す。この場合、袋部49a、49bによりヘッドプレート48に対する払拭部材49の挿着・脱離が簡単に行えて、清掃作業の手間を削減でき、しかも本発明に係る反転防止機能によりハンドル部を自由に曲げ動かして清掃作業をより円滑に行える反転防止機能付き清掃具を実現することができる。
【0049】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、家庭や事務所や工場の床材、及び店舗の床などを清掃するときに用いられ、ハンドル支持部を清掃ヘッド上面に回動自在に設け、清掃ヘッドを自在に動かして清掃作業を円滑に行うことができる反転防止機能付き清掃具を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 シート状清掃具
2 清掃ヘッド
3 枢支部
4 ハンドル支持部
5 ハンドル部
6 グリップ部
7 清掃用シート
8 ヘッドプレート
9 上面
10 弾性体
11 切り溝
12 凹部
13 軸支部
13a 軸支部
14 孔部
16 当接部
17 円弧部
18 回動端
19 回転軸
20 遊端
21 貫通穴
22 回転軸
23 頭部
24 下部端縁
25 下部
26 上部
27 押圧部材
28 突部
29 溝
32 回動端
33 円弧部
34 規制部材
35 円弧面
40 回動端
41 当接部
42 円弧部
43 回動端
44 当接部
45 円弧部
46 取着シート
47 払拭材
48 ヘッドプレート
49 払拭材
49a 袋部
49b 袋部
50 清掃ヘッド
51 枢支部
52 モップ繊維
53 ハンドル支持部
54 回動軸
55 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭部材が取着される清掃ヘッドと、前記清掃ヘッド上面に設けた枢支部に、回動端が回動自在に軸支されたハンドル支持部と、前記ハンドル支持部の遊端に取着されたハンドル部とからなる清掃具において、前記回動端及び/又は前記清掃ヘッド上面に前記ハンドル支持部の回動範囲を規制して前記清掃ヘッドの下面が裏向けに反転するのを防止する反転防止部材を設けたことを特徴とする反転防止機能付き清掃具。
【請求項2】
前記反転防止部材は、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記清掃ヘッド上面に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制する当接部からなり、前記当接部を前記回動端に設けた請求項1に記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項3】
前記反転防止部材は、前記清掃ヘッドの先端縁側に前記ハンドル支持部が回動するとき、前記回動端の一部に当接して前記ハンドル支持部の前記先端縁側への回動を規制する規制部材からなり、前記規制部材を前記清掃ヘッド上面に突設した請求項1に記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項4】
前記枢支部の軸中心を前記清掃ヘッドの中央から後端縁側に偏心させた請求項2又は3に記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項5】
前記清掃ヘッドは横長扁平形状を有し、前記清掃ヘッドの長辺方向に沿って前記枢支部の中心軸を配置した請求項1〜4のいずれかに記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項6】
前記払拭部材は前記清掃ヘッドの下面から上面に被せて取着される清掃用シートからなる請求項1〜5のいずれかに記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項7】
前記清掃用シートは前記清掃ヘッドの前記下面に対応するシート面に固着した払拭材を有する請求項6に記載の反転防止機能付き清掃具。
【請求項8】
前記払拭部材は基材に多数のモップ繊維を植設したモップからなり、前記清掃ヘッドの下面に前記基材を取着した請求項1〜5のいずれかに記載の反転防止機能付き清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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