説明

収穫葉たばこ荷上装置及びそれを搭載した葉たばこ収穫作業車

【課題】葉たばこ収穫作業車を用いて葉たばこを収穫する際に、収穫シートに束ねられて収穫された葉たばこを葉たばこ収穫作業車の上部、あるいは上部に設けられた収穫たばこ保持部へ荷上げする際に作業者が容易に作業可能な収穫葉たばこ荷上装置及びそれを搭載した葉たばこ収穫作業車を提供する。
【解決手段】葉たばこ収穫作業車2に設置され、この葉たばこ収穫作業車2の上部へ、あるいは上部に設けられた収穫葉たばこ保持部22へ葉たばこ12を束ねた収穫シート27の移送を補助可能な収穫葉たばこ荷上装置1であって、収穫シート27を載置する載貨体13と、この載貨体13の一の端部を接続して載貨体13を巻き取り及び送り出す巻回装置19と、載貨体13の他の端部を接続し巻回装置19との間に載貨体13を垂下して収穫シート27を載置可能に設けられる支持アーム19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場内で摘み取って収穫シートに束ねられた葉たばこを、葉たばこ収穫作業車の上部へ、あるいはその上部に設けられた保持棚へ荷上するための収穫葉たばこ荷上装置と、その収穫葉たばこ荷上装置を備えた葉たばこ収穫作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、たばこの原料となる葉たばこを収穫する際には、圃場に葉たばこ収穫機を入れ、これを作業者が運転しながら、栽培されたたばこの幹から葉たばこを摘み取って行なう。葉たばこは、専用の収穫シートに束ねられた後に、葉たばこ収穫機の荷台に積み上げられていく。
このような葉たばこ収穫機は、例えば特許文献1に開示されるような構成を備えている。葉たばこが栽培される圃場内に形成される畝を跨いで運転し易いように門型となっている。作業者は座席に座って機体を操縦しながら、葉たばこを摘み取り、断面U字状の梱包台に張設された梱包用シート内に載置する。梱包用シートに束ねられる葉たばこが所定量となった場合には、葉たばこを束ねて梱包した梱包用シート(以下、束ねた後の梱包用シートという。)ごと葉たばこ収穫機の荷台に持ち上げて積み重ねていくのである。
特許文献1に開示された発明においては、摘み取られた葉たばこをその場で計量しながら梱包用シートに載置可能なように、梱包台の下に計量器を備えている。収穫時には、予め風袋量を計測しておき、その後葉たばこを摘み取り、梱包用シート内に載置していき、所定の重量となった場合に梱包用シートで束ねて、荷台に積み上げることができる。
葉たばこ収穫機によって収穫された葉たばこは、乾燥させた後に加工され商品としてのたばことなる。葉たばこの乾燥は、専用の葉たばこ乾燥装置内に葉たばこを導入して行なわれるが、その際には、特許文献2に開示されるような葉編み吊込装置を用いて行なわれる。
葉編み吊込装置で用いられるのは車輪付吊具であるが、この車輪付吊具に編みこまれる葉たばこの量は20kg〜30kgとなっている。そこで、従来、梱包用シートに束ねられた葉たばこを収穫後に計量しながら、適量の葉たばこを選り分けて車輪付吊具に編みこんでいた。
【0003】
しかしながら、この計量には時間もかかり、また選り分ける作業も時間や負荷がかかるため作業者にとっては重労働となってしまうという課題があった。
【0004】
このようにして現在では、束ねた後の梱包用シート1束あたり、車輪付吊具に編みこまれる葉たばこの半分である約10kg〜15kgの重量として収穫され、束ねた後の梱包用シート2束を、収穫後に計量することなく、1個の車輪付吊具にそのまま編みこむことができるようになっている。なお、本願特許請求の範囲及び明細書における収穫シートは、特許文献1における梱包用シートと同一である。
【特許文献1】特開平11−168945号公報
【特許文献2】特開2000−83638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、梱包用シート上の収穫葉たばこが所定の重量となった場合に、梱包台から荷台へ作業者が積み上げていかなくてはならず、前述のとおり約10kg〜15kgの束ねた後の梱包用シートを持ち上げるのは女性の作業者ではもちろんのこと、男性の作業者であってもかなりの重労働となっていたという課題があった。
また、束ねた後の梱包用シートを積み上げる際には、作業者にとって手前側の方が容易であるため、積み上げられた葉たばこを束ねた後の梱包用シートの束が多くなってくると、荷台の奥へ直接積み上げるか、手前側の束ねた後の梱包用シートの束を奥へ移動させるかしなければならず、この作業も非常に重労働で手間と時間がかかる作業であるという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、収穫された葉たばこを車輪付吊具に編みこんで専用の葉たばこ乾燥装置へ吊り込むことはできるものの、収穫時における梱包台から荷台への荷上作業には全く利用できる技術ではない。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、葉たばこ収穫作業車を用いて葉たばこを収穫する際に、収穫シートに束ねられて収穫された葉たばこを葉たばこ収穫作業車の上部、あるいは上部に設けられた収穫たばこ保持部へ荷上げする際に作業者が容易に作業可能な収穫葉たばこ荷上装置及びそれを搭載した葉たばこ収穫作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、葉たばこ収穫作業車に設置され、この葉たばこ収穫作業車の上部へ、あるいは上部に設けられた収穫葉たばこ保持部へ収穫葉たばこを束ねた収穫シートの移送を補助可能な収穫葉たばこ荷上装置であって、収穫シートを載置する載貨体と、この載貨体の一の端部を接続して載貨体を巻き取り及び送り出す巻回装置と、載貨体の他の端部を接続し巻回装置との間に載貨体を垂下して収穫シートを載置可能に設けられる支持アームとを有するものである。
上記構成の収穫葉たばこ荷上装置は、収穫された葉たばこを束ねる収穫シートを載貨体に載置して巻回装置が巻き取ることで、葉たばこを束ねて梱包した後の収穫シート(以下、束ねた後の収穫シートという。)が上部に移送されるという作用を有する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、葉たばこ収穫作業車に設置され、この葉たばこ収穫作業車の上部へ、あるいは上部に設けられた収穫葉たばこ保持部へ収穫葉たばこを束ねた収穫シートの移送を補助可能な収穫葉たばこ荷上装置であって、収穫葉たばこを収穫シートに仮置きして束ねる収容部と、この収容部内に収納されて収穫葉たばこを束ねる収穫シートを載置する載貨体と、この載貨体の一の端部を接続して載貨体を巻き取り及び送り出す巻回装置と、載貨体の他の端部を接続し巻回装置との間に載貨体を垂下して収容部に収納され収穫葉たばこを束ねる収穫シートを載置可能に設けられる支持アームとを有するものである。
上記構成の収穫葉たばこ荷上装置は、収穫葉たばこを収穫シートに仮置きして束ねる収容部を備えて、この内部に載貨体を垂下させて収納させることで、収穫シートが張設され、葉たばこを摘み取って収穫シートへ載置する作業を容易にするという作用を有する。
【0010】
請求項3に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項2に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、収容部が計量機能を備えて、収穫葉たばこの重量を測定可能であるものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置は、請求項2の発明の作用に加えて収容部の計量機能によって予め収穫葉たばこ保持部に積み上げられる収穫シート上の葉たばこの重量が計量されるという作用を有する。
【0011】
請求項4に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項1乃至3に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、巻回装置は、載貨体を固定して巻回するロッドを備えて、葉たばこ収穫作業車の上面に設置され、ロッドは葉たばこ収穫作業車の側面より外側に設けられるものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置は、巻回装置のロッドを葉たばこ収穫作業車の側面より外側に配置して、葉たばこ収穫作業車の上面に広くスペースを確保するように作用する。
【0012】
請求項5に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項1乃至4に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、巻回装置は、葉たばこ収穫作業車の進行方向に平行に移動可能なスライド装置を備えるものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置においては、スライド装置は巻回装置の位置を葉たばこ収穫作業車の進行方向に移動させる作用を有する。
【0013】
請求項6に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項1乃至5に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、載貨体は、全体が帯状又は複数の紐状、あるいは帯状で支持アームに接続される他の端部近傍が紐状に形成される、又は帯状で前記巻回装置に接続される前記一の端部近傍が紐状に形成されるものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置は、巻回装置に容易に巻き取られるという作用を有する。また、帯状のものでは面で収穫シートを支えるため、巻き上げ中に束ねた後の収穫シートをより確実に保持するという作用を有し、また、支持アームに接続される他の端部近傍が複数の紐状とされる場合には巻き上げられた最終の段階で負荷がかかる部分で、例えば1本の紐状の載貨体が破損した場合でも他の紐状の載貨体で保持されるという作用を有する。さらに、巻回装置に接続される一の端部近傍が紐状に形成される場合には、帯状に形成されるものに比較して、巻き取り始めの段階でずれを生じ難く、ずれの拡大を抑制する作用を有する。
【0014】
請求項7に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項1乃至6に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、支持アームは、その支軸を中心として回動可能であり、載貨体の一部又は全部が弾性体で構成されるものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置は、支持アームが支軸を中心として回動して収穫葉たばこ保持部へ束ねた後の収穫シートを荷上する際により載せ易くすることができ、また、収穫葉たばこ保持部内の位置を選定することができるという作用を備える。さらに、載貨体の一部又は全部が弾性体であるために、支持アームが回転して載貨体にテンションがかかる際にも破損することなく伸びるという作用を有する。
【0015】
請求項8に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項1乃至7に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、収穫葉たばこ保持部に延設されスリーブを備える補助部支持体と、ガイドロッドを備えこのガイドロッドを補助部支持体のスリーブに挿通してスライド可能に支持されて収穫葉たばこを束ねた後の収穫シートを積載する収穫葉たばこ保持補助部とを有するものである。
このように構成される収穫葉たばこ荷上装置においては、収穫葉たばこ保持部の他にも収穫葉たばこ保持補助部が束ねた後の収穫シートを積載し得るという作用を有する。さらに、収穫葉たばこ保持補助部のガイドロッドと補助部支持体のスリーブは、巻回装置によって載貨体を巻き上げた際に、束ねた後の収穫シートの方向へ収穫葉たばこ保持補助部をスライドさせる作用を有する。
【0016】
請求項9に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項8に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、葉たばこ保持補助部は、回動軸廻りに回動するアームを備えて葉たばこ保持補助部に積載された収穫葉たばこを束ねた後の収穫シートが移動可能であるものである。
このように構成された収穫葉たばこ荷上装置においては、収穫葉たばこ保持補助部のアームは、回動によって束ねた後の収穫シートを押して手前から奥側へ移動させる作用を有する。
【0017】
請求項10に記載の発明である収穫葉たばこ荷上装置は、請求項8に記載の収穫葉たばこ荷上装置において、葉たばこ保持補助部が、回動軸を備えて回動し、積載された収穫葉たばこを束ねた後の収穫シートが移動可能であるものである。
このように構成された収穫葉たばこ荷上装置においては、請求項9に記載の発明のようにアームを備えなくとも、葉たばこ補助保持部自体が回動軸を中心にして回動することで束ねた後の収穫シートを移動させるという作用を有する。
【0018】
請求項11に記載の発明である葉たばこ収穫作業車は、収穫葉たばこ保持部と、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置を備えたものである。
このように構成される葉たばこ収穫作業車においては、それぞれ請求項1乃至10に開示された発明の作用を有し、作業員が負担少なく葉たばこを収穫することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、収穫シートを載貨体に載置して束ねた後の収穫シートを巻回装置で巻き取って上部に移送するため、作業者は容易に葉たばこ収穫作業車に設けられた収穫葉たばこ保持部、あるいは葉たばこ収穫作業車の上部に荷上げすることができる。
【0020】
また、請求項2に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、荷上げ作業のみならず、その前段階である葉たばこを摘み取り収穫シートへ載置する作業をも容易にすることができる。さらに請求項3に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、収穫後に葉たばこの計量を行なう必要がなく、収穫時に計量が可能となるので、特許文献2に開示されるような車輪付吊具に編みこむ際に、容易にしかも短時間に作業を行なうことができる。
【0021】
請求項4に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、葉たばこ収穫作業車の上面に広くスペースを確保することができるため、葉たばこを載置した収穫シートを荷上げした際に、作業者が葉たばこ収穫作業車の上面で収穫シートの向きを転換したり、仮置き場として利用するなど有効に活用することができる。
【0022】
請求項5に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、スライド装置を用いて巻回装置の位置を葉たばこ収穫作業車の進行方向に移動させることで、その巻回装置で巻き上げられる収穫シートの位置を移動させることができるので、葉たばこの収穫時の体勢に応じて、収穫シート位置を調整して無理なく長時間の葉たばこ摘み取り作業を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、載貨体が巻回装置に容易に巻き取られ、また、特に、帯状の載貨体では束ねた後の収穫シートの保持が容易であるという効果がある。さらに、支持アームに接続される他の端部近傍が複数の紐状とされる場合には帯状であれば裂けてしまう場合でも、複数の紐状であれば、1本の損傷でも他の紐状の載貨体によって保持することが可能であり、巻き上げられた最終の段階で負荷がかかる部分がより高い信頼性を維持して構成されるため耐久性の向上を図ることが可能である。また、巻回装置に接続される一の端部近傍が紐状に形成される場合には、巻き取り始めにまず幅の狭い紐状の載貨体が用いられ、その後幅の広い帯状の載貨体が巻き取られるので、初期の段階でずれを生じ難く、載貨体の巻き取り時に発生するずれを抑制することが可能である。
【0024】
請求項7に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、支持アームが支軸を中心として回動するので、束ねた後の収穫シートを載貨体に保持したまま、収穫葉たばこ保持部の位置あるいはその近傍まで移動させることができる。すなわち、巻回装置によって上部へ移動させた後に水平移動も可能となり、より作業者の労力と時間の負担を軽くすることができる。また、載貨体の一部又は全部が弾性体であるために、支持アームが回転して載貨体にテンションがかかる際にも伸びることで吸収し、破断や断裂を防止することができる。
【0025】
請求項8に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、束ねた後の収穫シートを積載するスペースを増やすことができると同時に、収穫葉たばこ保持補助部がスライドすることによって、巻回装置によって巻き上げられた載貨体に保持されている束ねた後の収穫シートの方向へ移動させて束ねた後の収穫シートの積み上げ作業を容易に短持間で行うことができる。請求項7の収穫葉たばこ荷上装置では巻き上げられた載貨体に保持された束ねた後の収穫シートを移動させて収穫葉たばこ保持部に近づけるものであったが、本請求項8に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、逆に収穫葉たばこ保持補助部の方を束ねた後の収穫シートへ近づけるものである。
【0026】
請求項9に記載の収穫葉たばこ荷上装置では、収穫葉たばこ保持補助部のアームを回動させて束ねた後の収穫シートを押し、その位置を手前から奥側へ移動させることができ、複数の束ねた後の収穫シートを積載する場合に、より作業者の負担を軽減することができる。請求項10に記載の収穫葉たばこ荷上装置においても効果は同様であるが、請求項10では専用のアームを備えず、収穫葉たばこ保持補助部そのものを回動させて束ねた後の収穫シートを移動させるものである。
【0027】
請求項11に記載の葉たばこ収穫作業車では、請求項1乃至10に記載の収穫葉たばこ荷上装置を搭載するものであるので、それぞれの収穫葉たばこ荷上装置が発揮する発明の効果と同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置及び葉たばこ収穫作業車について図1乃至図5に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置及びそれを搭載した葉たばこ収穫作業車の外形図である。
図1において、第1の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1は、門型の葉たばこ収穫作業車2の本体9上部に載置され、収容部10に垂らした載貨体13の上に予め載せた収穫シート27によって束ねられる葉たばこ12を、上部に設けられた収穫葉たばこ保持部22へ移送させるものである。
収穫葉たばこ荷上装置1は、葉たばこ収穫作業車2の本体9の上部に設けられた巻回装置19と、この巻回装置19によって巻き取られる帯状の載貨体13と、載貨体13を収容部10に垂下させるために葉たばこ収穫作業車2の外側方向へ延設される支持アーム16を備えている。支持アーム16は支軸18を回転中心として回動させることもできるので束ねた後の収穫シート27を垂直上方へ移動させた後に、収穫葉たばこ保持部22の方向へ水平移動させることができる。
なお、収穫葉たばこ保持部22は葉たばこ収穫作業車2の移動方向に対して前後の方向に2つ設けられており、それぞれ複数本の保持ロッド20を備えている。この保持ロッド20は略等間隔に設けられた補強板21によって強度を向上させている。また、本実施の形態においては、図1に示されるとおり収穫葉たばこ保持部22を設けた葉たばこ収穫作業車2について説明しているが、収穫葉たばこ保持部22は必ずしも常に設けられるものではなく、葉たばこ収穫作業車2によっては設けられていない場合もある。このような場合には、この葉たばこ収穫作業車の上部が収穫葉たばこを保持する場所となる。
【0029】
また、本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1においては、支持アーム16に接続される端部17近傍で、帯状の載貨体13の一部に接続部15を介して複数の紐状の載貨体14を備える構成となっている。
収容部10の下部にはデジタル指示計(図示せず)を付属した計量器11が設けられており、帯状の載貨体13及びそれに載置される収穫シート27の重量を風袋重量として差し引いて収穫される葉たばこ12のみの重量を測定することが可能となっている。
なお、巻回装置19によって載貨体13を送り出して収容部10に載置し、その上に図1に示すように収穫シート27を張設するが、計量器11による葉たばこ12重量の測定の精度を向上させるために、載貨体13を収容部10に垂らす際には、図1に示されるようにある程度弛みを持たせておくことが望ましい。また、図1においては外側の部分のみに弛みを持たせているが、内側、すなわち本体9と収容部10の隙間にも弛みを持たせることが望ましい。これは、載貨体13を収容部10の両側に弛ませておくと、葉たばこ12の重さによって載貨体13が引っ張られ葉たばこ12の重さが正確に計量できなくなるのを防ぐためである。
さらに、葉たばこ12の収穫時に収穫シート27がずれ落ちないように載貨体13に保持されるような保持手段(図示せず)を設けることが望ましい。
葉たばこ収穫作業車2は、圃場の畝3に栽培されたたばこ4を跨ぐように設置され、運転席5aに乗った作業者が操縦盤6を操作することで、駆動輪7とキャタピラ8を駆動させて前後へ移動される。一般的には、たばこ4の収穫は作業効率も考慮して2名の作業者で実施されるので、運転席5aとは別に助手席5bが畝3を挟んで反対側に設けられている。
2名の作業者によってたばこ4から葉たばこ12を摘み取る作業が効率的に実施されるように収容部10や計量器11も葉たばこ収穫作業車2の両側に設けられている。また、前述のとおり、収穫葉たばこ保持部22も前後に設けられている。2名の作業者は互いに葉たばこ12を摘み取って各自がそれぞれの側の収容部10へ収穫する。
なお、本実施の形態においては、収穫葉たばこ荷上装置1を運転席5a側と助手席5b側の両方に設けているが、いずれか一方に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0030】
次に、本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1によって収穫された葉たばこ12が移送される様子について図2を参照しながら説明する。
図2(a)は、収穫葉たばこ荷上装置によって収穫シートによって束ねられた葉たばこを巻き上げている様子を示す概念図であり、(b)は巻き上げた状態を示す概念図である。なお、(c)は載貨体が巻回装置によって巻き上げられる際に蛇行しないようにするためのガイドローラの構造を示す概念図である。
図2(a)を参照しながら、まず収穫葉たばこ荷上装置1の詳細な構成について説明する。収穫葉たばこ荷上装置1の巻回装置19は、両側に枠体32を備えてその間に駆動ロッド30a及び滑りロッド30b〜30dを配し、帯状の載貨体13の端部を駆動ロッド30aに固定する。駆動ロッド30aの端部にはスプロケット29aが設けられており、このスプロケット29aはチェーン28を介してモータ25の回転軸に設けられたスプロケット29bに接続されている。従って、モータ25の回転によって駆動ロッド30aが回転し、載貨体13を巻き上げたり、送り出したりすることができる。
【0031】
本実施の形態においては、モータ25を葉たばこ収穫作業車2の本体9の外部に設けるような構成としているが、外部に設けることによれば修理やメンテナンスが容易であるものの、凸部を形成するために作業の邪魔になり易いので、モータ25は本体9に内蔵するか、あるいは本体9内側の空間に配置するような構成としてもよい。また、スプロケット29a,29bはギアやプーリー、チェーン28もベルトのようなものであってもよく、モータ25の回転を伝達し得るものであれば特に限定しない。
また、巻回装置19は支持アーム16を両側に備えて端部17で連結されているような構成となっている。また、支持アーム16は支軸18を葉たばこ収穫作業車2の本体9に備えたブラケット31に備えており、支軸18を回動中心として予め自由に設定される所定の角度内で回動させることもできる。本実施の形態においては、ブラケット31を本体9に設けたが、巻回装置19の枠体32に設けてもよい。また、支軸18は本実施の形態のように三角形状を構成させて補強しているが、単に垂直に立設されるものでもよく、枠体32との干渉や強度を考慮しながら適宜設計されてよい。
【0032】
次に、収穫葉たばこ荷上装置1を用いて行なう収穫作業について説明する。予め設定された所定の重量の葉たばこ12が収穫されると、作業者はまず、収穫シート27を用いて葉たばこ12が作業中に散逸しないようにしっかりと束ねる。次に、モータ25を駆動させて駆動ロッド30aによって載貨体13を巻き取る。載貨体13が巻き取られることで次第に束ねた後の収穫シート27は上方へ移動し、最終的には図2(b)に示されるような状態となる。
ここで、特に付加的な構成、作用として説明するが、支持アーム16の端部17の水平位置を巻回装置19の駆動ロッド30a及び滑りロッド30b〜30dの水平位置よりも高い位置に設けることによれば、図2(b)の状態からさらに載貨体13を巻き上げることによって、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を巻回装置19の上部を越えて転がらせるようにして本体9の部分に載置させることも可能である。
このような場合には、この本体9の上面部分に新たな収穫葉たばこ保持部(図示せず)を設けておけば、葉たばこ12を束ねた後の収穫シート27の載置スペースをより多く確保することができる。
さらに、ここで、本実施の形態に係るモータ25について説明を加える。このモータ25は、ブレーキ付ギアモータであり、特に負荷保持手段を付加させているが、これは、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を上方へ移動させ、一旦停止させた後、そのまま落下させず保持状態とするためのものである。
これによって、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を収穫葉たばこ保持部22へ水平移動させる際に保持と移動が容易である。
また、本体9の前後に設けられた収穫葉たばこ保持部22が葉たばこ12を束ねた収穫シート27で満杯となった場合には、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を上方へ移動、停止させて保持状態とすることで予備の収穫葉たばこ保持部として使用することもできる。
【0033】
ところで、本実施の形態においては、門型の本体9の外側面、すなわち載貨体13が上昇する側に面した側面に突起物などがなく、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を載置した載貨体13を巻回装置19が巻き上げる場合にはそのまま上方へ移動させることができる。しかしながら、この本体9の外側面に突起物がある場合には、葉たばこ12を束ねた収穫シート27を上昇させる際に、載貨体13上で、収穫シート27の位置を左右にずらしたり、載貨体13自体を左右あるいは前後にずらしながら巻回装置19で巻き上げることで、葉たばこ12を束ねた収穫シート27の移動動線が曲線となるので、障害物である突起物を回避させながら上方へ移動させることができる。
さらに、帯状の載貨体13に屈曲作用を起こさせる部材をあてがうことによって、上昇途中の葉たばこ12を束ねた収穫シート27の移動動線を屈曲線とさせ、障害物である突起物を回避させることができる。
また、葉たばこ12を収穫シート27に載置している作業中において、収穫シート27上に載置されている葉たばこ12以外は、作業者の目前に帯状の載貨体13で形成される略U字状が見えるだけであり、葉たばこ収穫作業車2での前方の視認性は収穫葉たばこ荷上装置1を装着前の状態と変わりなく、良好な収穫作業環境を維持することができる。
帯状の載貨体13を巻き上げると、作業者の前方には帯状の載貨体13が存在しないので、収穫作業以外の通常の葉たばこ収穫作業車2の走行運転時、前方の視認性は従来と全く変わりなく、安全走行運転をすることができる。
本実施の形態においては帯状の載貨体13の端部に接続部15を介して4本の紐状の載貨体14を用いている。このように構成することで、たとえ1本の紐状の載貨体14が断裂してしまったとしても他の3本の紐状の載貨体14で束ねた後の収穫シート27を保持可能なように予め強度設計を行なうことが可能である。
また、紐状の載貨体14の4本中、両側の2本はその端部から帯状の載貨体13の端部にある接続部15にかけて、直線的ではなく斜めに形成させてもよい。すなわち、端部17側で両側の2本の載貨体14が広がるような形態としてもよい。これによって、束ねた後の収穫シート27をより安定的に保持することができる。
なお、支持アーム16の端部17に近い部分は、モータ25によって引っ張ることができる載貨体14の終端に相当することから、モータ25が過回転してしまうと大きな引張力がかかるので、強度的には中間部分や駆動ロッド30aに近い部分よりも余裕のあるように構成されることが望ましい。また、モータ25の過回転防止(非常用)のために巻き取り側、送り出し側にセンサー手段を設けてもよい。
【0034】
そこで、一旦裂け目が入ると破断しやすい帯状の載貨体13よりも紐状の載貨体14を設けて、その強度に余裕を持たせる複数の本数設置することが望ましいのである。但し、全体を複数の紐状としてもよいが、帯状である方が収穫シート27を面で保持できることから安定的に移送させることができると考えられるので、支持アーム16の端部17以外の部分では帯状としておく方が望ましいと考えられる。
巻回装置19によって載貨体13が巻き上げられる際に、蛇行することも考えられるので、図2(c)に示されるように滑りロッド30dの長さを載貨体13の幅よりも長めに構成し、テーパー形状を備えたガイドローラ33をその両側に設けることによって常に載貨体13が滑りロッド30dの中央寄りに位置するようにしてもよい。もちろん、ガイドローラ33は滑りロッド30dのみならず、他の駆動ロッド30aや滑りロッド30b,30cにおいて設けてもよいことは言うまでもない。
【0035】
次に、図3(a)、(b)を参照しながら支持アームの回動について説明を追加する。図3(a)、(b)は、収穫葉たばこ荷上装置の上方からの俯瞰図であり、(a)は支持アームが回動する直前の状態を示し、(b)は支持アームが回動した後の状態を示すものである。
図3(a)において、巻回装置19によって巻き上げが完了した帯状の載貨体13の端部に接続部15を介して設けられる載貨体14上に載置されている収穫葉たばこ26aは、垂直上方に移送されたため最終的に積み上げられるための収穫葉たばこ保持部22とは、水平レベルでは略同一となっているものの、水平レベル内で距離がある。このような状態から収穫葉たばこ26aを移動させて収穫葉たばこ保持部22に積み上げることは、垂直に持ち上げることほどではないもののやはり特に女性の作業者によっては重労働となり、作業効率が向上しないものと考えられる。なお、符号26cで示される収穫葉たばこは既に収穫葉たばこ保持部22に積み上げられているものを示している。
【0036】
そこで、まず巻回装置19によって上方に持ち上げられた収穫葉たばこ26aを紐状の載貨体14に載置したまま、支持アーム16の支軸18を回動中心として収穫葉たばこ保持部22に近い位置まで水平移動させて、収穫葉たばこ26aから収穫葉たばこ26bの位置までずらすようにして保持ロッド20上に移動させるのである。その際に、特に、紐状の載貨体14はばねやゴムなどの弾性体で構成されることが望ましい。図3(b)に示されるような状態と図3(a)の状態とを比較すれば明確であるが、載貨体14は支持アーム16の回動に伴ってより大きな張力が掛かり伸びた状態となる。そこで、弾性体であることが望ましいのである。本実施の形態においては帯状の載貨体13とは接続部15を介して構成されているため載貨体13側へは回動に伴う張力があまり及ばないようになっているが、もちろん、載貨体13も弾性体によって構成されてもよいし、全体が紐状の載貨体14によって形成された場合においても弾性体で構成されてもよい。
さらに、図3(b)を参照すれば明らかであるが、支持アーム16と収穫葉たばこ保持部22の距離を近づけ、あるいは、収穫葉たばこ保持部22上に支持アーム16を位置させることで、収穫葉たばこ26aが移動中に落下する危険性も低減させることができ、作業効率性や容易性の他にも安全性の向上を図ることも可能である。
【0037】
次に、図4(a),(b)及び図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の葉たばこ保持補助部と補助部支持体について説明する。図4(a)において、本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1は、収穫葉たばこ保持部22の端部に取付部44を介して設けられる補助部支持体41と、葉たばこ保持補助部35aを備えるものである。
補助部支持体41は、六角ボルトと六角ナットなどから構成される締結具34で、枠体42の一部を折り曲げて形成されるような取付片を収穫葉たばこ保持部22の補強板21に固定するためのものである。枠体42はコの字状に形成され、その下部には円筒状のスリーブ43a〜43cが固定されている。
一方、葉たばこ保持補助部35aは、矩形の枠体38と側板37aの間に渡される保持補助ロッド40a〜40d及び外側端部には取っ手36を備え、さらに、枠体38の下部からは補助部支持体41のスリーブ43a〜43cに挿通可能なガイドロッド39a〜39cが突設されている。
葉たばこ保持補助部35aは、スリーブ43a〜43cにガイドロッド39a〜39cを挿通させると同時に保持補助ロッド40a〜40dを収穫葉たばこ保持部22の保持ロッド20上に載せることで設置されているため、取っ手36を持つなどして図面手前方向に容易にスライドさせることが可能である。
図4(a)に示されるとおり、補助部支持体41及び葉たばこ保持補助部35aは、収穫葉たばこ保持部22の端部に設置されているため、葉たばこ保持補助部35aを収穫葉たばこ保持部22の保持ロッド20と垂直方向にスライド可能とすることによれば、巻回装置19によって上昇してきた束ねた後の収穫シートを支持アーム16の支軸18を軸として回動させなくとも、葉たばこ保持補助部35a側を近づけることが可能であり、収穫シートによって束ねられた葉たばこを容易に積み上げることが可能である。
【0038】
さらに、本実施の形態における葉たばこ保持補助部の第2実施例として図4(b)に示される葉たばこ保持補助部を説明する。本実施例の葉たばこ保持補助部35bは、取っ手36に代えて、枠体38及び側板37bに設けられたブラケット49に支持される回動軸48を中心として回動する回動アーム46と、この回動アーム46間に渡されたロッド45及びグリップ47から構成されるものである。
このように構成された本実施の形態における収穫葉たばこ荷上装置の葉たばこ保持補助部35bにおいては、収穫シートに束ねられた収穫葉たばこをロッド45によって押して収穫葉たばこ保持部22の中央部の方向へ押し出すことができる。
【0039】
この押し出しの状況を図5を参照しながら説明する。図5は、葉たばこ保持補助部に載置された収穫葉たばこを枠体側から見た概念図である。
図5において、葉たばこ保持補助部35bに収穫葉たばこ26が載置された後、作業者はグリップ47を握ってロッド45を図中矢印で示される方向へ移動させる。ロッド45は、回動軸48を中心とする回動アーム46の回動に伴って収穫葉たばこ26を図面に向かって右側、すなわち、収穫葉たばこ保持部の中央側へ移動させるように働く。
このような回動アーム46とロッド45を備えることによれば、葉たばこ保持補助部35bの端部に積み上げられた収穫葉たばこ26をより中央寄りへ移動させることができ、収穫シートで束ねられた収穫葉たばこ26を一度に収穫するような場合に少労力で効率よく作業を行なうことができる。
本実施例の葉たばこ保持補助部35a,35bは、枠体38と側板37a,37bの組合せとなっているが、いずれも枠体38としてもよい。特に、実施例2の場合にブラケット49を設ける場合には側板37bよりも枠体38とする方が強度的あるいは2つの回動アーム46のそれぞれの回動軸48の位置を合わせるという点からも好ましいものと考えられる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、葉たばこ保持補助部35bに回動アーム46とロッド45を設けたが、これらを設けることなく、例えば図4(a)に示される葉たばこ保持補助部35aにおいて、ガイドロッド39b、39cを設けることなく、ガイドロッド39aのみとし、さらに保持補助ロッド40aを設けず、保持補助ロッド40b〜40dのみとするなどすれば、取っ手36を持って、ガイドロッド39aを回動軸として葉たばこ保持補助部35a全体を回動させることも可能である。すなわち、ガイドロッド39aを本来のガイドの目的のみならず、回動軸として利用することで、葉たばこ保持補助部35a全体を回動させてその上に載置された収穫葉たばこ26を収穫葉たばこ保持部22のより中央寄りへ移動させることも可能である。その際には、特に回動時に収穫葉たばこ保持部22や補助部支持体41と干渉しないことが重要であるので、保持補助ロッド40b〜40dの位置や本数などにも留意する必要があると考えられる。現状の図4(a)では、ガイドロッド39aを回動中心とした場合には、保持補助ロッド40aが回動時には保持ロッド20や枠体42と干渉すると考えられるため、削除しなければならない。
さらに、以上のとおり図面を参照して説明した第1及び第2の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置を図1に示されるような葉たばこ収穫作業車2に搭載することによれば、いずれも少労力で女性であっても簡単に効率的な葉たばこの収穫作業を行なうことができる。
【0041】
さらに、図6及び図7を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置について説明する。第3の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1aの巻回装置19aは、両側に枠体32aを備えてその間に駆動ロッド30eを配し、帯状の載貨体13aの端部をこの駆動ロッド30eに接続固定している。この駆動ロッド30eの端部には図示しないスプロケットが設けられており、さらに図示しないチェーンを介してモータ25aの回転軸に設けられたスプロケット(図示せず)に接続されている。モータ25aの回転によって駆動ロッド30eが回転し、載貨体13aを巻き上げたり送り出したりすることができる。
枠体32aは、本体9aの側面よりも外側に張り出すように設けられているため、駆動ロッド30eも本体9aの側面よりも外側に配置されている。このように配置しながら、第1の実施の形態において設けられていた載貨体13が固定されない滑りロッド30b〜dを省略する構成とすることで、載貨体13を駆動ロッド30eから本体9aの側面に沿って、直接垂下できるので、葉たばこ12を収容した収穫シート27を載せた載貨体13aを巻き上げた後に、支持アーム16aの端部17aの水平位置を巻回装置19aの駆動ロッド30eの水平位置よりも高い位置に設けることによれば、さらに載貨体13aを巻き上げることによって、葉たばこ12を収容した収穫シート27を巻回装置19aの上部を越えて転がらせるようにして本体9aの上面部分に載置させることができる。
そして、本体9aの上面で収穫シート27の配列作業を行ったり、その後に収穫葉たばこ保持部22への移送を行なう際に、本体9aの上面を広く利用することが可能であり、作業者の労力の軽減とスペースの有効活用が可能である。
本実施の形態においては、第1の実施の形態に示されるような載貨体13aの端部に接続部15を介して設けられる載貨体14を備えていない構成となっているがこれを設けてもよい。また、逆に第1の実施の形態においても、同様に載貨体14を設けないように構成してもよい。
支持アーム16aは、巻回装置19aの両側に設けられるブラケット31aに支持される支軸18aから延設されるが、この支軸18aを回動中心として予め自由に設定される所定の角度内で回動させることもできる。
【0042】
また、本実施の形態に係る支持アーム16aは、第1の実施の形態に係る支持アーム16と異なりその端部が上方に曲折されるため、支持アーム16aの最上端の高さを極力低くすることに加え、端部17aの位置をより上側に設けることができ、その結果、巻き上げられた載貨体13aに載置される収穫シート27をより高い位置に持ってくることが可能である。従って、前述のように、巻き上げられた位置から載貨体13aを介して転がらせてあるいは滑らせて本体9aの上面に運搬することが容易となる。
なお、図6においては駆動ロッド30eに図2(c)に示されるようなガイドローラ33を示していないものの、図7に示されるように設けてもよい。
【0043】
さらに、図7に示されるように本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1aの巻回装置19aは、スライド装置を備えている。スライド装置は、本体9aにスライド可能に固定するための固定装置50と巻回装置19aを載置する支持板51から構成されている。この支持板51の前方及び後方の端部にはそれぞれ導入板53と固定板52が設けられている。
固定装置50は、設置板54上に、ボルト止め具56とガイド板55、さらに固定板57と固定具58が設けられ、巻回装置19aの導入板53がガイド板55に挿通され、固定板52がボルト止め具56の下方に配置されるように構成される。巻回装置19aは図7中の矢印で示す方向に固定装置50内をスライド可能となる。
固定装置50は、巻回装置19aの固定板52の上面にナット59に螺合する蝶ネジ60の下端面を当接させ、蝶ネジ60を締め込むことで巻回装置19aの位置を固定するものである。
ボルト止め具56の上部にはナット59が複数設けられているが、これは、巻回装置19aの導入板53をガイド板55に沿ってスライドさせた場合でも、適宜蝶ネジ60の位置を変えることが可能なように設けられるものである。
固定装置50の本体9aへの固定は、前述の固定板57と固定具58で行なうが、固定板57は本体9aの側面に穿設されたボルト孔にナット62とワッシャ63を介してボルト61を螺合させることで締結されて固定され、固定具58は、穿設されたボルト孔にワッシャ65を介してボルト64を螺合させることで、ボルト64の下端面(位置的には上端面)を本体9aの面に当接させて固定する。
【0044】
この固定装置50の使用について説明を追加する。
本固定装置50を利用することによって巻回装置19aの位置を、収穫葉たばこ荷上装置の進行方向にスライド可能に固定することが可能となるが、このようなスライドは以下のような場合に必要な機能である。
葉たばこは、地域差があり多少前後するが、一般に5月上旬頃から収穫が始まる。収穫では、まず、約1m50cmあるたばこの茎の下の方に位置する下葉(したは)を収穫し、それから上に向かって、中葉(ちゅうは)、合葉(あいは)、本葉(ほんぱ)、上葉(うわは)と収穫する。この中で、特に下葉については、図1に示されるような収穫葉たばこ荷上装置の助手席5bの位置を下げて収穫するが、収穫した後に葉たばこ12を収穫シート27上に置く際に、その移動距離が大きいと作業者の肉体的な負担を大きくするため、なるべく収穫シート27を手前に置いて移動距離を短くすることが望ましい。
手前に収穫シート27を置くことができれば、作業者の移動距離が小さくなり、下葉の摘み取りから収穫シート27上への載置、さらに体勢を下方に整えて、次の下葉の収穫という流れがスムースになり、作業負担が軽減されるのである。
【0045】
ところが、収穫シート27は、前述のとおり載貨体13aによって巻き上げられるため、収穫シート27のみを手前に置いても載貨体13a及び支持アーム16aも同時に手前に移動させなければ、巻き上げて収穫葉たばこ荷上装置の上部に収納する一連の作業の労力軽減にはならない。
そこで、本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1aにおいては、巻回装置19aをスライド可能に固定するための固定装置50を開発し、これを用いて固定することにしたものである。
なお、本実施の形態においては、巻回装置19aを支持板51に載置する構成としたが、支持板51を設けることなく、巻回装置19aに、固定装置50のガイド板55に係合する導入板53のような導入部を直接設けてもよい。その場合には、固定装置50のみでスライド装置を構成することが可能となる。
本実施の形態においては、図7では図示せず図6に図示したが、ブラケット31aを巻回装置19a側に設けることで、巻回装置19aのスライドに伴い、支持アーム16aや載貨体13aも平行にスライドされる。
第1の実施の形態においては、ブラケット31を本体9側に設けたが、本実施の形態では巻回装置19a側に設けて巻回装置19aと共にスライド可能としている。なお、支持アーム16aは支軸18aを回動中心として回動することもできるが、構造が許せば、第1の実施の形態と同様に本体9a側にブラケット31aを設けてもよい。
【0046】
下葉の収穫が終ると中葉、合葉とたばこの中上部の葉たばこを収穫するが、その際には、手前にスライドさせていた巻回装置19aを通常の位置に戻しておくとよい。但し、収穫シート27の位置は、作業者の身長などにも左右されるため、下葉の収穫以外においても、手前に位置させるようにしてもよい。すなわち、このようなスライド可能な固定装置50を備えることで、作業者に応じたカスタマイズを行なうことが可能となるため、収穫される葉たばこの種類の他、作業者独自のニーズにも応えることが可能となる。
なお、図7に示す巻回装置19aの駆動ロッド30eには図6には示されていないガイドローラ33aが示されているが、載貨体13aの巻上げや送り出しに支障がなければ必ずしも設けなければならないということではない。
また、図8に示すように、枠体32bに設けられた駆動ロッド30eにおいて、載貨体の幅を駆動ロッド30eの巻取り始め側で、帯状に細くした載貨体14aを採用し、その後、巻取り終わり側で、載貨体14aより幅広い載貨体13bを採用するようにしてもよい。しかも、図8に示すように、ガイドローラ33a,33bを2種類設けて、載貨体14aをガイドローラ33b間に巻取り、その後、載貨体13bをガイドローラ33a間に巻き取るようにするとよい。このように構成することで、駆動ロッド30eの巻取り開始時において、幅の狭い載貨体の蛇行防止ガイドローラとしてガイドローラ33bが機能し、載貨体14aを巻取り終えた後には、このガイドローラ33bに載貨体13bが乗り上げるように巻き取られるようになり、ガイドローラ33bの外径が、駆動ロッド30eよりも大きく、載貨体13bとガイドローラ33bの巻取り接触部が、ガイドローラ33bの幅となり、かつその接触部が載貨体13bの中心部となることにより、載貨体13bが蛇行することなく、より円滑に載貨体13bを巻き取ることが可能となる。
もちろん、ガイドローラ33bの径は、最初に巻き取られる載貨体14aの長さによって調整するとよい。
このように内側と外側の2段のガイドローラを設けるのは、幅の広い載貨体を巻き取る際、蛇行する度合いが高く、幅の狭い載貨体を巻き取る場合は、蛇行する可能性が低く、たとえ蛇行しても左右のガイドローラ33bで防止することが可能であるためである。よって、巻取り始めは、幅の狭い載貨体14aを駆動ロッド30eで巻取り、束ねられた収穫シートを上昇させる部分において幅の広い載貨体13bでこれを支え、巻き取るので、幅の狭い載貨体14aにおいては、蛇行を防止して、幅の広い載貨体13bにおいては、ガイドローラ33bの上に乗り上げて別個のガイドローラ33aによってガイドされるので、収穫シートを所定の位置からずれることなく上昇・移動させることができる。
なお、本実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置1aでは、載貨体を固定しない滑りロッドを省略する構成とすることで、本体9aの上面のスペースを広く利用することが可能であるが、これは運転席側及び助手席側の両方に収穫葉たばこ荷上装置を設ける場合において効果があるが、いずれか一方のみに設ける場合は尚更である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至11に記載された発明は、葉たばこの収穫を作業労働の負担を軽減しながら効率的に実施することができる収穫葉たばこ荷上装置及び葉たばこ収穫作業車を提供可能であり、収穫葉たばこ荷上装置、葉たばこ収穫作業車及びそれらの製造において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置及びそれを搭載した葉たばこ収穫作業車の外形図である。
【図2】(a)は、収穫葉たばこ荷上装置によって収穫シートによって束ねられた葉たばこを巻き上げている様子を示す概念図であり、(b)は巻き上げた状態を示す概念図である。なお、(c)は載貨体が巻回装置によって巻き上げられる際に蛇行しないようにするためのガイドローラの構造を示す概念図である。
【図3】(a)、(b)は、収穫葉たばこ荷上装置の上方からの俯瞰図であり、(a)は支持アームが回動する直前の状態を示し、(b)は支持アームが回動した後の状態を示すものである。
【図4】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の葉たばこ保持補助部と補助部支持体を示す外形図であり、(b)は第2の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の葉たばこ保持補助部の第2実施例を示す外形図である。
【図5】葉たばこ保持補助部に載置された収穫葉たばこを枠体側から見た概念図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の外形図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の巻回装置と固定装置の外形図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る収穫葉たばこ荷上装置の巻回装置の駆動ロッドに設けられるガイドローラと巻き上げられる載貨体について模式的に示す概念図である。
【符号の説明】
【0049】
1,1a…収穫葉たばこ荷上装置 2…葉たばこ収穫作業車 3…畝 4…たばこ 5a…運転席 5b…助手席 6…操縦盤 7…駆動輪 8…キャタピラ 9,9a…本体 10…収容部 11…計量器 12…葉たばこ 13,13a…載貨体 14,14a…載貨体 15…接続部 16,16a…支持アーム 17,17a…端部 18,18a…支軸 19,19a…巻回装置 20…保持ロッド 21…補強板 22…収穫葉たばこ保持部 25,25a…モータ 26…収穫葉たばこ 27…収穫シート 28…チェーン 29a,29b…スプロケット 30a,30e…駆動ロッド 30b〜30d…滑りロッド 31,31a…ブラケット 32,32a,32b…枠体 33,33a,33b…ガイドローラ 34…締結具 35a,35b…葉たばこ保持補助部 36…取っ手 37a,37b…側板 38…枠体 39a〜39c…ガイドロッド 40a〜40d…保持補助ロッド 41…補助部支持体 42…枠体 43a〜43c…スリーブ 44…取付部 45…ロッド 46…回動アーム 47…グリップ 48…回動軸 49…ブラケット 50…固定装置 51…支持板 52…固定板 53…導入板 54…設置板 55…ガイド板 56…ボルト止め具 57…固定板 58…固定具 59…ナット 60…蝶ネジ 61…ボルト 62…ナット 63…ワッシャ 64…ボルト 65…ワッシャ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉たばこ収穫作業車に設置され、この葉たばこ収穫作業車の上部へ、あるいは上部に設けられた収穫葉たばこ保持部へ収穫葉たばこを束ねた収穫シートの移送を補助可能な収穫葉たばこ荷上装置であって、前記収穫シートを載置する載貨体と、この載貨体の一の端部を接続して前記載貨体を巻き取り及び送り出す巻回装置と、前記載貨体の他の端部を接続し前記巻回装置との間に前記載貨体を垂下して前記収穫シートを載置可能に設けられる支持アームとを有することを特徴とする収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項2】
葉たばこ収穫作業車に設置され、この葉たばこ収穫作業車の上部へ、あるいは上部に設けられた収穫葉たばこ保持部へ収穫葉たばこを束ねた収穫シートの移送を補助可能な収穫葉たばこ荷上装置であって、前記収穫葉たばこを収穫シートに仮置きして束ねる収容部と、この収容部内に収納されて前記収穫葉たばこを束ねる収穫シートを載置する載貨体と、この載貨体の一の端部を接続して前記載貨体を巻き取り及び送り出す巻回装置と、前記載貨体の他の端部を接続し前記巻回装置との間に前記載貨体を垂下して前記収容部に収納され前記収穫葉たばこを束ねる収穫シートを載置可能に設けられる支持アームとを有することを特徴とする収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項3】
前記収容部は計量機能を備えて、前記収穫葉たばこの重量を測定可能であることを特徴とする請求項2記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項4】
前記巻回装置は、前記載貨体を固定して巻回するロッドを備えて、前記葉たばこ収穫作業車の上面に設置され、前記ロッドは前記葉たばこ収穫作業車の側面より外側に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項5】
前記巻回装置は、前記葉たばこ収穫作業車の進行方向に平行に移動可能なスライド装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項6】
前記載貨体は、全体が帯状又は複数の紐状、あるいは帯状で前記支持アームに接続される前記他の端部近傍が紐状に形成される、又は帯状で前記巻回装置に接続される前記一の端部近傍が紐状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項7】
前記支持アームは、その支軸を中心として回動可能であり、前記載貨体の一部又は全部が弾性体で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項8】
葉たばこ収穫作業車の上部に設置される収穫葉たばこ保持部に延設されスリーブを備える補助部支持体と、ガイドロッドを備えこのガイドロッドを前記補助部支持体のスリーブに挿通してスライド可能に支持されて前記収穫葉たばこを束ねた収穫シートを積載する収穫葉たばこ保持補助部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項9】
前記葉たばこ保持補助部は、回動軸廻りに回動するアームを備えて前記葉たばこ保持補助部に積載された収穫葉たばこを束ねた収穫シートが移動可能であることを特徴とする請求項8記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項10】
前記葉たばこ保持補助部が、回動軸を備えて回動し、積載された収穫葉たばこを束ねた収穫シートが移動可能であることを特徴とする請求項8記載の収穫葉たばこ荷上装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の収穫葉たばこ荷上装置を有することを特徴とする葉たばこ収穫作業車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−54046(P2007−54046A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158172(P2006−158172)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(594189279)株式会社木原製作所 (6)
【Fターム(参考)】