説明

収納ポケット

【課題】本発明は、便器本体枠の側面や便器本体枠の内部にスペースを確保することが困難な場合であっても、専用の掛止孔を別途設けることなく、簡易便器の便器本体枠の所定箇所に取り付けることができる収納ポケットを提供することを課題とする。
【解決手段】収納ポケット本体14の一方の上辺から断面L字形の鉤部材15を外側に向けて差し出し、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器の便器本体枠の所定箇所を挟持することによって該便器本体枠の所定箇所に取り付ける収納ポケット12であって、該鉤部材15は該収納ポケット本体14の上辺に突出および引込み可能に取り付けられており、該便器本体枠の所定箇所の厚みによって該鉤部材15を突出または引き込ませて挟持幅を調節可能とした収納ポケット12を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易便器の便器本体枠に取り付けられる収納ポケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭剤などの小物を入れるための簡易便器の収納部には、便器本体の側面に開閉自在に設けられているものがある(特許文献1参照)。
また、トイレットペーパーや蓋体や小物品の種類に応じてホルダの種類を選択し、該ホルダのフックを便器本体の側面の掛止孔に差し込んで掛止保持するものも一般に提供されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】登録意匠第899048号公報
【特許文献2】特開2002−191531号公報(第9頁、第26図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の収納部では、便器本体の側面や便器本体の内部に該収納部を設けるためのスペースを確保する必要があるが、最近の簡易便器のなかには脚部や肘掛けの高さ調節機構が設けられたものや有底の便バケツ受けが備えられたものがあり、該収納部を設けるためのスペースを確保することができない場合があるという問題があった。
また、上記従来のホルダでは、該ホルダを掛止保持するためだけに便器本体の側面に掛止孔を別途設ける必要があるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、収納ポケット本体14の一方の上辺から断面L字形の鉤部材15を外側に向けて差し出し、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器1の便器本体枠5の所定箇所を挟持することによって該便器本体枠5の所定箇所に取り付ける収納ポケット12であって、該鉤部材15は該収納ポケット本体14の上辺に突出および引込み可能に取り付けられており、該便器本体枠5の所定箇所の厚みによって該鉤部材15を突出または引き込ませて挟持幅を調節可能とした収納ポケット12を提供するものである。
該収納ポケット本体14の一方の上辺から略水平にスライド板16を差し出し、該鉤部材15の水平部20を該スライド板16に突出および引込み方向にスライド可能に取り付けたことが望ましい。
また、該スライド板16の両側縁には嵌合溝17が設けられており、該鉤部材15の水平部20の両端は該嵌合溝17にスライド可能に嵌着されていることが望ましい。
更に、該スライド板16の上面には横方向に複数個の丸角係止突起18が形成されており、該鉤部材15の水平部20の内端縁は下方に屈曲されて係止縁部23が形成され、該鉤部材15の係止縁部23が該スライド板16の丸角係止突起18のいずれかに係止されることによって該鉤部材15は所定の挟持幅に固定されることが望ましい。
また更に、該便器本体枠5は前板2と左右側板3と背板4とからなり、該収納ポケット12は該左右側板3の上縁または該背板4の上縁に該鉤部材15を介して取り付けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の収納ポケット12では、簡易便器1に脚部や肘掛けの高さ調節機構が設けられていたり、有底の便バケツ7受けが備えられていたりして、便器本体枠5の側面や便器本体枠5の内部にスペースを確保することが困難な場合であっても、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器1の便器本体枠5の所定箇所を挟持して、簡易便器1の便器本体枠5の所定箇所に取り付けることができる。
また、便器本体枠5の所定箇所の厚みが異なる場合であっても、該便器本体枠5の所定箇所の厚みに応じて該鉤部材15を突出または引き込ませて挟持幅を調節して、該便器本体枠5に安定に取り付けることができるので、取り付けた状態で収納ポケット12がぐらつくことがなく、更に、従来のように便器本体枠5に専用の掛止孔を別途設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図7に示す一実施例によって説明する。
図1に示すように、簡易便器1は、前板2と左右側板3と背板4とからなる木製の便器本体枠5と、該便器本体枠5の上面に取り付けられる木製の座枠6と、該座枠6内に挿入懸架される便バケツ7と、該座枠6の後端部に跳ね上げ可能に枢着される便座8と、該便器本体枠5の左右側板3に高さ調節可能に取り付けられる左右一対の肘掛け枠9と、該便器本体枠5の左右側板3の後端上部から立設される背もたれ枠10と、該便器本体枠5の左右側板3の下部に高さ調節可能に取り付けられる左右一対の脚枠11とからなる。そして、本実施例の収納ポケット12は、該左右側板3の上縁または該背板4の上縁に着脱自在に取り付けられている。
【0008】
図2に示すように、該収納ポケット12は、二分割された収納部13を有する合成樹脂製の収納ポケット本体14と、該収納ポケット本体14の一方の上辺に突出および引込み可能に取り付けられる合成樹脂製の断面L字形の鉤部材15とからなる。
【0009】
該収納ポケット本体14の一方の上辺の中央部は凸形状とされており、該一方の上辺の中央部からは外側に向けて略水平にスライド板16が差し出されている。該スライド板16の両側縁にはそれぞれ嵌合溝17が設けられており、また、該スライド板16の上面の中央部には横方向に2個の丸角係止突起18が凸設され、更に、該スライド板16の上面の該丸角係止突起18よりも外側には抜け止め突起19が凸設されている。
【0010】
該断面L字形の鉤部材15は水平部20と垂直部21とからなる。そして、該鉤部材15の水平部20の両端にはそれぞれ嵌合片22が設けられており、該鉤部材15の水平部20の嵌合片22を該スライド板16の嵌合溝17にスライド嵌合させることによって、該鉤部材15の水平部20は該スライド板16に突出および引込み方向にスライド可能に取り付けられている。
また、該鉤部材15の水平部20の内端縁は下方に屈曲され、該屈曲された内端縁には係止縁部23が形成されている。
【0011】
上記の収納ポケット12を便器本体枠5の背板4に取り付ける場合には、図3および図4に示すように、該背板4の厚み(本実施例では20mm)に応じて該収納ポケット12の鉤部材15を引込ませて挟持幅を調節する。本実施例では、該鉤部材15の係止縁部23を該スライド板16の内側の丸角係止突起18に係止させて、該鉤部材15を狭い挟持幅(20mm)に固定することができる。そして、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器1の便器本体枠5の背板4を挟持することによって、該便器本体枠5の背板4に該収納ポケット12を取り付ける。
このとき、該収納ポケット本体14のスライド板16の抜け止め突起19の外側面は緩やかな傾斜面に設定されているので、該鉤部材15を該スライド板16にスライドさせて嵌着するときに、該鉤部材15の係止縁部23は容易に該スライド板16の抜け止め突起19を乗り越えることができる。
また、該収納ポケット本体14のスライド板16の丸角係止突起18は丸角形状とされているので、該鉤部材15を該スライド板16にスライドさせて嵌着するときには、若干強い力で該鉤部材15を押し込めば、該鉤部材15の係止縁部23は該スライド板16の丸角係止突起18を乗り越える一方、該鉤部材15の係止縁部23を該スライド板16の内側の丸角係止突起18に係止させて挟持幅を調節した後は、多少の力では該鉤部材15の係止縁部23が該スライド板16の丸角係止突起18を乗り越えることはない。
【0012】
上記の収納ポケット12を便器本体枠5の左右側板3に取り付ける場合には、図5および図6に示すように、該左右側板3の厚み(本実施例では33mm)に応じて該収納ポケット12の鉤部材15を突出させて挟持幅を調節する。本実施例では、該鉤部材15の係止縁部23を該スライド板16の外側の丸角係止突起18に係止させて、該鉤部材15を広い挟持幅(33mm)に固定することができる。そして、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器1の便器本体枠5の左右側板3を挟持することによって、該便器本体枠5の左右側板3に該収納ポケット12を取り付ける。
このとき、該収納ポケット本体14のスライド板16の抜け止め突起19の内側面は急な傾斜面に設定されているので、該鉤部材15の係止縁部23が該スライド板16の抜け止め突起19を乗り越えることがない。
また、該収納ポケット本体14のスライド板16の丸角係止突起18は丸角形状とされているので、該鉤部材15を突出させるときには、若干強い力で該鉤部材15を引っ張れば、該鉤部材15の係止縁部23は該スライド板16の丸角係止突起18を乗り越える一方、該鉤部材15の係止縁部23を該スライド板16の外側の丸角係止突起18に係止させて挟持幅を調節した後は、多少の力では該鉤部材15の係止縁部23が該スライド板16の丸角係止突起18を乗り越えることはない。
【0013】
上記の収納ポケット12では、簡易便器1の脚枠11や肘掛け枠9に高さ調節機能が設けられていたり、座枠6に有底の便バケツ受け(図示せず)が備えられていたりして、便器本体枠5の側面や便器本体枠5の内部に十分なスペースを確保することが困難な場合であっても、該収納ポケット本体14の側面と該鉤部材15の垂直部21とで簡易便器1の便器本体枠5の所定箇所を挟持して、簡易便器1の便器本体枠5の所定箇所に取り付けることができる。
また、便器本体枠5の左右側板3や背板4の厚みが異なる場合であっても、該左右側板3や該背板4の厚みに応じて該鉤部材15を突出または引き込ませて挟持幅を調節して、該便器本体枠5に安定に取り付けることができるので、取り付け場所を自由に選択することができるとともに、取り付けた状態で収納ポケット12がぐらつくことがなく、更に、従来のように便器本体枠5に専用の掛止孔を別途設ける必要がない。
【0014】
そして、上記の収納ポケット12は便器本体枠5から着脱自在とされているため、該収納ポケット12が不要な場合には取り外すことができる。
また、上記の収納ポケット12では、収納部13が二分割されているので、一方の収納部13には消臭剤などの小物を入れるとともに、他方の収納部13には便バケツ7の蓋24を収納することができる(図7参照)。
【0015】
その上、該収納ポケット本体14の一方の上辺から略水平にスライド板16が差し出され、該鉤部材15の水平部20が該スライド板16に突出および引込み方向にスライド可能に取り付けられているので、該鉤部材15の水平部20が該収納ポケット12のスライド板16に安定に支持される。
また、該スライド板16の両側縁に嵌合溝17が設けられており、該鉤部材15の水平部20の両端が該嵌合溝17にスライド可能に嵌着されているので、該鉤部材15を突出または引き込ませて挟持幅を調節する際に、該鉤部材15のスライド動作が該スライド板16によって円滑にガイドされる。
更に、該鉤部材15を所定の挟持幅にしたときに、該鉤部材15の係止縁部23が該スライド板16の丸角係止突起18のいずれかに係止されるので、該鉤部材15が該所定の挟持幅に確実かつ安定に固定される。
【0016】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、便器本体枠の側面や便器本体枠の内部にスペースを確保することが困難な場合であっても、専用の掛止孔を別途設けることなく、簡易便器の便器本体枠の所定箇所に取り付けることができる収納ポケットとして、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】収納ポケットを簡易便器に取り付けた様子を示すの斜視図である。
【図2】収納ポケットの分解斜視図である。
【図3】挟持幅を狭くした状態の収納ポケットの斜視図である。
【図4】挟持幅を狭くした状態の収納ポケットの説明断面図である。
【図5】挟持幅を広くした状態の収納ポケットの斜視図である。
【図6】挟持幅を広くした状態の収納ポケットの説明断面図である。
【図7】収納ポケットに便バケツの蓋を収納した様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 簡易便器
2 前板
3 左右側板
4 背板
5 便器本体枠
12 収納ポケット
14 収納ポケット本体
15 鉤部材
16 スライド板
17 嵌合溝
18 丸角係止突起
20 水平部
21 垂直部
23 係止縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ポケット本体の一方の上辺から断面L字形の鉤部材を外側に向けて差し出し、該収納ポケット本体の側面と該鉤部材の垂直部とで簡易便器の便器本体枠の所定箇所を挟持することによって該便器本体枠の所定箇所に取り付ける収納ポケットであって、
該鉤部材は該収納ポケット本体の上辺に突出および引込み可能に取り付けられており、該便器本体枠の所定箇所の厚みによって該鉤部材を突出または引き込ませて挟持幅を調節可能としたことを特徴とする収納ポケット。
【請求項2】
該収納ポケット本体の一方の上辺から略水平にスライド板を差し出し、該鉤部材の水平部を該スライド板に突出および引込み方向にスライド可能に取り付けた請求項1に記載の収納ポケット。
【請求項3】
該スライド板の両側縁には嵌合溝が設けられており、該鉤部材の水平部の両端は該嵌合溝にスライド可能に嵌着されている請求項2に記載の収納ポケット。
【請求項4】
該スライド板の上面には横方向に複数個の丸角係止突起が形成されており、該鉤部材の水平部の内端縁は下方に屈曲されて係止縁部が形成され、該鉤部材の係止縁部が該スライド板の丸角係止突起のいずれかに係止されることによって該鉤部材は所定の挟持幅に固定される請求項2または請求項3に記載の収納ポケット。
【請求項5】
該便器本体枠は前板と左右側板と背板とからなり、該収納ポケットは該左右側板の上縁または該背板の上縁に該鉤部材を介して取り付けられる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の収納ポケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−87723(P2006−87723A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277816(P2004−277816)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】