説明

収納家具

【課題】使い勝手が良くかつ大容量の収納家具を提供すること。
【解決手段】本発明の収納家具1は、前面板2と、複数の棚板7a〜7bを備える。複数の棚板7a〜7bは、前面板2の裏側において所定の間隔で上下に配置された第1の棚板組7a〜7a及び第2の棚板組7b〜7bによって構成される。前面板2は、第1の棚板組7a〜7a及び第2の棚板組7b〜7bの右又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの開口部8を含む。これにより、棚板7a〜7bによって大容量の収納スペースが確保され、開口部8を介して、棚板7a〜7bに収容されている物品を使い勝手良く取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納家具に関し、より特定的には、防災用具等を収納可能な収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
消火器や懐中電灯、携帯ラジオ等の防災用具は、玄関の棚等に収容されることが多い。しかし、マンション等の玄関は狭く、防災用具を収納するスペースを確保することが困難である。上記問題を解決するために、特許文献1及び2に示すような壁面埋め込みタイプの収納箱が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296579号公報
【特許文献2】特開2008−63934号公報
【0004】
特許文献1に記載されている壁埋め込み型常設防災用収納箱は、防災用具の常備収納手段として、間仕切壁面に埋め込み型収納箱を設置するものである。上記手法により、壁を有効利用して防災用具を収納することができる。
【0005】
特許文献2に記載されている壁埋め込み収納ボックスは、正面開口部と、蓋体と、拡張ボックスとを備え、見栄えが良くかつ多くの収納スペースを確保することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に示されるような収納箱であったとしても、容量は限られたものである。たとえば、家族全員の防災用具を収容するだけのスペースを従来の収納箱で確保することは難しい。かといって、特許文献1及び2に示されるような収納箱を単純に大きくしたのでは、使い勝手が悪い。
【0007】
それゆえ、本発明は、使い勝手が良くかつ大容量の収納家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、前面板及び複数の棚板を少なくとも備える収納家具であって、複数の棚板は、前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された少なくとも一組の棚板を含み、前面板は、一組の棚板の右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの少なくとも一つの開口部を含むことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、複数の棚板は、前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された第1の棚板組と、第1の棚板組から左側に間隔を開けて所定の間隔で上下に配置された第2の棚板組とを含み、開口部は、第1の棚板組の左側端と第2の棚板組の右側端との間に上下に連なって開けられた開口であると良い。
【0010】
好ましくは、さらに、前面板と対向して配置された背面板と、前面板及び背面板の右側端部を連接する右側面板と、前面板及び背面板の左側端部を連接する左側面板と、前面板及び背面板の上側端部を連接する上側面板と、前面板及び背面板の下側端部を連接する下側面板とを備え、第1の棚板組は、前面板と背面板との間において所定の間隔で上下に配置されており、第2の棚板組は、前面板と背面板との間において第1の棚板組から右側に間隔を開けて上下に配置されていると良い。
【0011】
好ましくは、収納家具は、前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、少なくとも一組の棚板組は、外側枠体の中空内部で上下に固定されており、外側枠体の一部が壁面に埋め込まれて固定されることによって、収納家具は、壁面に固定されると良い。好ましくは、収納家具が壁面を構成する部材に固定されることによって、耐震材として機能すると良い。
【0012】
好ましくは、収納家具は、前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、少なくとも一組の棚板組は、外側枠体の中空内部で上下に固定されており、外側枠体の一部が壁面に取り付けられることによって、収納家具は、壁面に固定されると良い。
【0013】
好ましくは、収納家具は、前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、少なくとも一組の棚板組は、外側枠体の中空内部で上下に固定されており、外側枠体は、自立可能であり、収納家具は、床に自立可能に置くことが可能であると良い。
【0014】
好ましくは、外側枠体は、上面に取っ手を有すると良い。
【0015】
好ましくは、開口部から視認可能な位置に設けられた発光部材をさらに備えると良い。
【0016】
好ましくは、停電時に発光部材に電源を供給する蓄電部をさらに備えると良い。
【0017】
好ましくは、発光部材の前面の少なくとも一部に設けられた第1の蓄光部をさらに備えると良い。
【0018】
好ましくは、少なくとも一つの棚板は、開口部から視認可能な位置に第2の蓄光部を含むと良い。
【0019】
好ましくは、開口部の周囲を示すように配置された第3の蓄光部をさらに備えると良い。
【0020】
好ましくは、少なくとも一つの棚板は、防災用具を収容するために用いられると良い。
【0021】
好ましくは、防災用具は、帯状部材に取り付けられた少なくとも一つの網状袋体に収容されており、収納家具は、帯状部材を取り外し可能に固定するための固定手段をさらに備えると良い。
【0022】
好ましくは、収納家具は、前面板における開口部以外の部分に、電子機器又は鏡をさらに備えると良い。好ましくは、収納家具は、鏡の回りに発光部材をさらに備えると良い。
【0023】
好ましくは、収納家具は、前面板における開口部以外の部分に、開閉可能な扉を有すると良い。
【0024】
好ましくは、収納家具は、前面板における開口部を開閉するための扉又は蓋を有すると良い。
【0025】
好ましくは、収納家具は、内部に、コンセントを有すると良い。
【0026】
好ましくは、収納家具は、内部に、照明をさらに備え、収納家具は、外部に、照明をオンオフするためのスイッチをさらに備えると良い。
【0027】
好ましくは、収納家具は、さらに、一組の棚板における開口部側に形成された空間に立脚する柱部材と、柱部材を左右に移動可能に保持するスライド手段とを備えると良い。
【0028】
好ましくは、柱部材は、スライド部材に、磁力によって保持されていると良い。
【0029】
好ましくは、スライド手段は、柱部材に設けられた金属製又は磁石製のリング状部材と、リング状部材に磁力によって着脱可能な着脱部材とを含むと良い。
【0030】
好ましくは、一組の棚板の内、少なくとも一つの棚板は、左右にスライドすると良い。
【0031】
好ましくは、収納家具は、開口部から視認可能な位置に設けられた発光部材をさらに備え、発光部材は、樹脂板を介して間隙を設けて対向して配置された二つのELシートを備えると良い。
【0032】
好ましくは、樹脂板は、凹状であると良い。
【0033】
好ましくは、上記収納家具は、耐震性枠体によって外側面が覆われており、壁面内の柱に固定されると良い。
【0034】
また、本発明は、前面板及び複数の棚板を少なくとも備える収納家具であって、複数の棚板は、前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された少なくとも一組の棚板を含み、一組の棚板の右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの少なくとも一つの開口部を含むことを特徴とする。
【0035】
好ましくは、さらに、前面板と対向して配置された背面板と、右側面板と、左側面板と、上側面板と、下側面板とを備え、一組の棚板は、前面板と背面板との間において所定の間隔で上下に配置されており、一組の棚板の端部と右側面板又は左側面板との間には前面板を配置しないことによって、開口部が形成されていると良い。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、少なくとも一組の棚板及び開口部を備える収納家具が提供されることになる。複数の棚板によって一組の棚板が構成されるので、従来と異なり、物品を収容するためのスペースを多く確保することができる。また、従来と異なり、収容箱を単純に大きくしただけの構成ではなく、開口部から棚板に手を入れて物品を取ることができる構成となっている。よって、防災用具だけでなく日用品など様々な物品を収容することができる。防災用具は、非常時のみに利用されるものである。したがって、狭い家屋において、わざわざ防災用具のためだけの収納家具を用いることには、抵抗感がある。しかし、本発明のように壁に埋め込んだり、壁に取り付けたりすることができる程度の薄型の家具で、かつ、日用品も収容することができる家具であれば、家屋に設置されていたとしても、あまり邪魔であるとは感じない。このように、本発明は、従来のように防災に特化するだけでなく、日常での使用も考慮にいれて構成された収納家具である。よって、使い勝手が良くかつ大容量の収納家具が提供されることとなる。
【0037】
防災用具は、開口部の斜めから見た場合に視認できる程度であり、正面から見た場合は、視認されない。よって、本発明の収容家具の見栄えは、従来品から劣るものではない。
【0038】
好ましくは、第1の棚板組と第2の棚板組を用いるとよい。これにより、どちらか一方には、防災用具を収容し、他方には、日用品を収容するなどといった使用方法が可能となる。その場合、開口部は、第1の棚板組と第2の棚板組との間に形成されているので、省スペースで、物品を取り出すことが可能となる。
【0039】
壁面に埋め込んだり、壁面に固定したりする場合、たとえば、マンションなどを予め建築する際に、最初から本発明の収納家具を提供することができる。したがって、マンション建築業者と協力することによって、本発明の収納家具を供給することができる。これにより、非常時の備えを普及させることができ、社会的意義は大きい。また、収納家具を隣り合う柱に固定することによって、当該収納家具が耐震材として機能することができ、壁面に埋め込むことによって、耐震構造が劣化することが防止できる。
【0040】
本発明は、場合によっては、自立型の収容家具として使用することもできる。従来のように、防災用具だけを入れる箱体を部屋に載置しておくのは、普段邪魔になる。しかし、本発明のように、大容量の収容家具であり、日用品も収容することができる家具であれば、部屋に載置したとしても、それほど邪魔にならない。なお、自立型の収容家具にする場合、上面に取っ手を設ければ当該収容家具の移動が容易になる。
【0041】
開口部から視認可能な位置に発光部材を設けることによって、暗い状況でも物品の出し入れが容易になる。さらに、発光部材に対して停電時に電源を供給する蓄電部を設ければ、停電でも容易に物品を取り出すことが可能となる。
【0042】
第1の蓄光部を設けることによって、発光部材が光らなくなっても、開口部の位置を視認することが可能となる。第2の蓄光部を設けることによって、発光部材が光らなくなっても、棚板の位置を視認することが可能となる。第3の蓄光部を設けることによって、発光部材が光らなくなっても、開口部の位置を視認することが可能となる。
【0043】
防災用具を帯状部材に取り付けられた少なくとも一つの網状袋体に収容すれば、防災用具を容易に取り出して、肩にかけてすぐに避難することが可能となる。網状にすることによって、指が引っかかりやすくなり、防災用具の取り出しが容易になる。従来のように、リュックサックに防災用具を入れている場合に比べて、避難に要する時間が格段に早くなる。また、固定手段で、帯状部材と固定することによって、あわてていても、防災用具が収納家具の奥にしまわない。これにより、より迅速な避難が可能となる。
【0044】
前面板の開口部以外の部分に電子機器や鏡を備えることによって、日常での使用も兼ねた収容家具が提供されることになる。これにより、本発明の収容家具の購買意欲が増大する。また、電子機器として、防犯装置や非常警報装置などを用いれば、警備会社と協力して、本発明の収容家具を供給することができる。これにより、非常時の備えを普及させることができ、社会的意義は大きい。また、鏡の回りに発光部材を備えることによって、暗がりでも、姿を見ることが可能となる。
【0045】
開口部以外に扉を取り付けることによって、棚板に収容されている物品を開口部以外からも取り出すことができ、さらに、使い勝手が向上する。開口部に扉又は蓋を取り付けることによって、普段は、防災用具が完全に隠れているので、デザイン性が向上する。
【0046】
収納家具の内部にコンセントを設けることによって、携帯電話など日用品への電源の供給が可能となる。これにより、使い勝手がさらに向上する。
【0047】
また、照明を設けることによって、必要なときにだけ、収納家具の中を照らし、必要でないときは、暗くしておくことが可能となる。よって、防災用具が目立たなくなり、見栄えの良い収納家具が提供されることとなる。
【0048】
また、スライド可能な柱部材を設けることによって、棚に収容されている物品を隠すことができる。磁力を用いれば、安価でかつ簡易な方法で柱部材が保持されることとなる。リング状部材と着脱部材とを用いてスライド手段を構成すれば、簡易な構成で、柱部材をスライドさせることが可能となる。
【0049】
棚板が左右にスライドすれば、収容されている物品の取り出しが容易となる。
【0050】
樹脂板を介して対向する二つのELシートを用いれば、発光部材の前面だけでなく、側面からも光を発することが可能となる。これにより、棚板に収容されている物品の確認が容易となる。樹脂板を凹状にすれば、側面をより明るく照らすことが可能となる。
【0051】
耐震性枠体によって外側面を覆って、壁面内の柱に収納家具を固定すれば、建物の耐震性が強化される。
【0052】
開口部を棚板の右及び/又は左の端から手を入れることができるように設けることによって、使い勝手が良くかつ大容量の収納家具が提供されることとなる。たとえば、棚板の端部と右側面板又は左側面板との間には前面板を配置しないようにして、開口部を設ければ、収容物が外部からは見えにくい収納家具が提供されることとなる。
【0053】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る収納家具1の斜視図である。
【図2】図2は、収納家具1を図1とは異なる方向から見たときの斜視図である。
【図3】図3は、収納家具1の前面板2を分解したときの分解斜視図である。
【図4】図4は、第1の実施形態で用いられる防災用ネットショルダー13の構成を示す概略図である。
【図5】図5は、面ファスナー10,21を接合して、防災用ネットショルダー13を収納家具1に収納したときの様子を示す斜視図である。
【図6】図6は、発光部材11の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、収納家具1の外側枠体の一部を壁面に埋め込んで収納家具1を固定する場合の固定方法を示す図である。
【図8】図8は、収納家具1の外側枠体の一部を壁面に固定して収納家具1を固定する場合の固定方法を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施形態に係る収納家具1aの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施形態に係る収納家具1bの斜視図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施形態に係る収納家具1cの斜視図である。
【図12】図12は、本発明の第5の実施形態に係る収納家具1dの斜視図である。
【図13】図13は、本発明の第6の実施形態に係る収納家具1eの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の第7の実施形態に係る収納家具1fの斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第8の実施形態に係る収納家具1gの斜視図である。
【図16】図16は、本発明の第9の実施形態に係る収納家具1hの内部正面図である。
【図17】図17は、収納家具1hの斜視図である。
【図18】図18は、スライド部材100の構造を示す斜視図である。
【図19】図19は、スライド部材100の他の構造を示す斜視図である。
【図20】図20は、本発明の第10の実施形態に係る収納家具1iの内部正面図である。
【図21】図21は、本発明の第11の実施形態における発光部材11cの断面図である。
【図22】図22は、本発明の第12の実施形態に係る収納家具1jの斜視図である。
【図23】図23は、本発明の第13の実施形態に係る収納家具1kの分解斜視図である。
【図24】図24は、他のスライド部材100aの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る収納家具1の斜視図である。図2は、収納家具1を図1とは異なる方向から見たときの斜視図である。図3は、収納家具1の前面板2を分解したときの分解斜視図である。図1〜図3に示すように、収納家具1は、前面板2と、左側面板3aと、右側面板3bと、背面板4と、下側面板5と、上側面板6と、第1の棚板組7a〜7aと、第2の棚板組7b〜7bと、蓄光部9と、面ファスナー10と、発光部材11と、鏡12とを備える。収納家具1は、玄関やリビング、寝室などの壁に埋め込まれたり、壁に取り付けられたり、床に据え置かれたりする。収納家具1の取り付け方法については、後述する。
【0056】
背面板4は、前面板2と対向して配置されている。右側面板3bは、前面板2及び背面板4の右側端部を連接する。左側面板3aは、前面板2及び背面板4の左側端部を連接する。上側面板6は、前面板2及び背面板4の上側端部を連接する。下側面板5は、前面板2及び背面板4の下側端部を連接する。前面板2、左側面板3a、右側面板3b、背面板4、下側面板5、及び上側面板6によって、箱状の外側枠体が形成され、外筐が構成される。外筐のサイズは、特に限定されるものではないが、たとえば、横幅約800mm、高さ約1800mm、奥行き約140mmである。
【0057】
第1の棚板組7a〜7aは、前面板2の右側裏面で、かつ、前面板2と背面板4との間において、所定の間隔で上下に配置されている。第1の棚板組7a〜7aを上下に配置するための当該所定の間隔は、等間隔であっても、等間隔でなくても良い。図1〜図3に示す例では、第1の棚板組7a〜7aを約上半分において等間隔に配置している。一番下の棚板7aから下の約下半分には、棚板を配置せずに空間22(図3参照)を形成している。第1の棚板組7a〜7aによって形成された空間には、鍵や携帯電話、財布など、比較的小さい物品を収容することができる。空間22には、消火器や傘など、縦長の物品を収容することができる。
【0058】
第2の棚板組7b〜7bは、前面板2の左側裏面で、かつ、前面板2と背面板4との間において、第1の棚板組7a〜7aから右側に間隔を開けて、所定の間隔で上下に配置されている。第2の棚板組7b〜7bを上下に配置するための当該所定の間隔は、等間隔であっても、等間隔でなくても良い。図1〜図3に示す例では、第2の棚板組7b〜7bを上下に等間隔に配置している。第2の棚板組7b〜7bによって形成された空間には、後述の防災用ネットショルダー13(図4参照)など、横長の物品を収容することができる。
【0059】
前面板2は、開口部8を含む。開口部8は、第1の棚板組7a〜7aの左側端と、第2の棚板組7b〜7bの右側端との間に上下に連なって開けられた開口である。開口部8の幅は、特に限定されるものではないが、人の手が入る程度の大きさであるとよい。たとえば、上記のような外筐のサイズである場合、開口部8の幅は、約150mmである。これにより、棚板7aと前面板2と背面板4とによって形成された空間に、棚板7aの左側一方端から手を入れて、棚板7aに載せられた何らかの物品を、開口部8を介して取り出すことが可能となる。また、棚板7bと前面板2と背面板4とによって形成された空間に、棚板7bの右側一方端から手を入れて、棚板7bに載せられた何らかの物品を、開口部8を介して取り出すことが可能となる。
【0060】
発光部材11は、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL、LED、蛍光灯、白熱灯などの発光可能な部材である。発光部材11は、開口部8から視認可能な位置に設けられている。図1〜図3では、発光部材11として、有機ELを開口部8の大きさと同様に上下に配置した例を示している。発光部材11には、何らかの電源が提供されている。さらに、発光部材11には、停電時に電源を供給するための蓄電部(図示せず)が接続されている。通常、発光部材11は、発光しており、開口部8付近に形成されている空間を照らしている。玄関などの暗い箇所に収納家具1を設置した場合、開口部8付近は暗く、棚に置かれた物品を見ることができない。発光部材11によって、開口部8付近が照らされることによって、棚に置かれた物品を見ることが可能となる。仮に、災害時に、停電が発生したとしても、蓄電部(図示せず)から発光部材11に電源が供給されるので、開口部8付近が照らされることになる。なお、発光部材11は、常時光っていても良いし、光センサ(図示せず)などによって暗いときだけ光っていても良いし、人感知センサ(図示せず)などによって人が近づいたときだけ光っても良い。停電時、蓄電部(図示せず)は、当該センサに電源を供給すると良い。なお、発光部材11の形状は、図示した例に限られない。たとえば、何が収納されているか視認しやすいように背面板4の広範囲に渡って発光部材11(ELシートなど)を配置して、棚板によって形成される空間を光らせても良い。
【0061】
棚板7a,7bは、それぞれ、右又は左側一方端に、蓄光部9を含む。蓄光部9は、たとえば、蓄光テープや蓄光塗料などで形成されている。蓄光部9は、暗くなると、ほのかに光を放つ。これにより、棚板7a,7bの右又は左側一方端の位置が示される。よって、開口部8付近が暗かったとしても、物品の配置場所を確認することができる。
【0062】
図4は、第1の実施形態で用いられる防災用ネットショルダー13の構成を示す概略図である。図4において、防災用ネットショルダー13は、帯状部材14と、網状袋体15,16,17と、面ファスナー21とを含む。帯状部材14は、人の肩から胴体にかけることができる程度の長さを有する。網状袋体15,16,17は、内部に物品(消火剤20aや懐中電灯20b、防煙フード20cなど)を収容することができるように開閉可能になっている。災害時に、防災用ネットショルダー13を肩から胴体に掛けて、避難することができる。なお、網状袋体15,16,17には、上記以外に、預金通帳や現金などの貴重品、地図、緊急連絡先、救急用具など、どのような物品を入れても良い。網状袋体15,16,17を用いることによって、防災用ネットショルダー13を取り出すとき、網状部分や帯状部分のどこかに指が引っかかる。よって、防災用ネットショルダー13を容易に取り出すことができる。
【0063】
面ファスナー21は、収納家具1に設けられた面ファスナー10と接合することができる。このように、収納家具1は、帯状部材14を取り外し可能に固定するための固定手段を有している。図5は、面ファスナー10,21を接合して、防災用ネットショルダー13を収納家具1に収納したときの様子を示す斜視図である。災害時には、あわてて防災用ネットショルダー13を取り出す必要がある。しかし、開口部8から手を入れた場合、防災用ネットショルダー13を奥の方に押してしまって、防災用ネットショルダー13が取り出しにくくなるかもしれない。固定手段を設けることによって、防災用ネットショルダー13が奥に押されるのを防止することができる。よって、防災用ネットショルダー13が取り出しやすくなる。また、地震で収納家具1が揺れたとしても、防災用ネットショルダー13は、飛び出さない。なお、面ファスナー10,21以外に、周知のあらゆる手法によって、固定手段が収納家具1に設けられていて良い。
【0064】
図6は、発光部材11の構成を示す斜視図である。図6において、発光部材11は、蓄光部23を含む。なお、図1〜3,5において、図面を見やすくするために、蓄光部23の記載を省略している。蓄光部23は、暗くなるとほのかに光る。これにより、発光部11が光らなくなったとしても、開口部8の位置を確認することができる。
【0065】
なお、透明性の蓄光部23を利用する場合、蓄光部23は、発光部材11の全面に形成されていても良い。ただし、発光部材11の少なくとも一部に蓄光部23が設けられていたら所望の効果が得られる。
【0066】
図7は、収納家具1の外側枠体の一部を壁面に埋め込んで収納家具1を固定する場合の固定方法を示す図である。図7は、図1におけるA−A断面を示す。図7において、柱30及び柱31は、壁を構成するための柱である。通常、柱30及び柱31の前面に壁板が取り付けられることによって、壁が形成される。ここでは、壁板を取り付けずに、収納家具1の外側枠体の一部が壁面に埋め込まれて固定される。すなわち、固定金具32aは、左側面板3aを柱30に固定する。固定金具32bは、右側面板3bを柱31に固定する。これにより、収納家具1は、壁の一部に埋め込まれることになる。収納家具1を鉄やその他の頑強な素材によって形成することによって、収納家具1は、柱30と柱31との間の筋交として機能することとなる。これにより、収納家具1が耐震材の役割も果たすことになる。なお、柱以外に、梁や土台など、壁面を構成する部材に、収納家具1が固定されれば、収納家具1が耐震材の役割を果たすことになる。なお、図7では、収納家具1が少し出っ張っているが、柱30,31の太さによっては、収納家具1が完全に壁に埋め込まれても良い。なお、固定金具32a,32bは、収納家具1を柱に固定することができるのであれば、周知のあらゆる手段に置き換えることができる。なお、図7において、鏡12は、前面板2に埋め込まれているが、前面板2に貼り付けられていても良い。また、地震などの災害時に鏡12が割れて、被害が拡大しないようにするために、鏡12は、破砕防止鏡であることが望ましい。
【0067】
図8は、収納家具1の外側枠体の一部を壁面に固定して収納家具1を固定する場合の固定方法を示す図である。図8は、図1におけるA−A断面を示す。図8において、壁面33と左側面板3aとが、L字金具33cによって固定されている。さらに、壁面33と右側面板3bとが、L字金具33dによって固定されている。これにより、収納家具1が壁面に固定されることとなる。なお、図8において、鏡12は、前面板2に埋め込まれているが、前面板2に貼り付けられていても良い。
【0068】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、前面板2の裏側に上下に配置された第1及び第2の棚板組7a〜7a及び7b〜7bを設けることによって、防災用具や日用品などの物品を収容するスペースを大容量に確保することができる。棚を上下に設けることによって、従来の収納箱を単純に大きくした場合よりも、使い勝手が良くなる。さらに、第1及び第2の棚板組7a〜7a及び7b〜7bの右及び左の一方端から、手を入れることが可能な大きさの開口部8を設けることによって、収容されている物品を、開口部8から手を入れるだけで、簡単に出し入れすることができる。そのため、災害時などの緊急を要するときに、防災用具などを簡単に取り出すことができると共に、日常時にも、日用品を簡便に収容することができる。よって、日常時及び災害時、両方に重宝する収納家具1が提供されることとなる。また、収納家具1によれば、地震の際、従来の収納家具(たとえば、食器棚など)のように扉が開いて中の物が飛び出すということが防止される。
【0069】
また、収納家具1は、薄型であるので、壁面に埋め込むこともできるし、壁面に固定することも可能となる。これにより、収納家具1の転倒が防止される。
【0070】
開口部8から視認可能な位置に発光部材11を設けることによって、薄暗い玄関などに収納家具1を設置したとしても、開口部8の位置を確認したり、収納されている物品を確認したりすることができる。これにより、日常時及び災害時、両方での使い勝手が向上する。また、発光部材11に蓄電部を接続することによって、停電時にも、開口部8等の位置を確認することが可能となる。そのため、災害時に極めて役に立つ収納家具1が提供されることとなる。
【0071】
発光部材11に蓄光部23を設けたり、棚板7a,7bに蓄後部9を設けることによって、発光部材11の発光が停止した状況においても、物品の出し入れが可能となる。
【0072】
収納家具1によって形成される収納空間は、横長のスペースである。このような横長のスペースに防災用具を取り出し容易に置くためには、帯状部材14に少なくとも一つの網状袋体15〜17を取り付けた防災用ネットショルダー13に防災用具を収容して、当該防災用ネットショルダー13を当該収納空間に載置しておくのがよい。また、固定手段(面ファスナー10,21など)によって、防災用ネットショルダー13を収納家具1に取り外し可能に固定しておくことによって、災害時にあわてていたとしても、容易に、防災用ネットショルダー13を取り出すことが可能となる。
【0073】
以下、本発明の変形例として、他の実施形態を示す。下記の他の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。下記の他の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分は、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0074】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る収納家具1aの斜視図である。収納家具1aは、第1の実施形態と異なり、床に自立させることができる程度の大きさを有している。すなわち、収納家具1aの外側枠体は、自立可能なように、極端に高くなっていない。また、好ましくは、収納家具1aは、足板5aを底面に備える。これにより、収納家具1aを壁などに取り付けなくてもよい。収納家具1aは、移動が可能なように、取っ手40を上側面板6に有する。取っ手40は、折りたたみ可能である。ただし、取っ手40は、必須の構成ではない。このように、収納家具1aを自立可能な床置き型にしてもよい。この場合、たとえば、リビングや寝室などの隅に、収納家具1aを載置しておき、日用品や防災用具などを収容しておくとよい。また、取っ手40を備えることによって、避難時に、収納家具1aをそのまま鞄のように持って逃げることが可能となる。防災時に収納家具1aを持ち出すために、収納家具1aの内部に保存食が収納されていていると良い。また、収納家具1aは、避難所で、寝かせて机として使われても良いし、椅子として使われても良い。また、日常用途のために、収納家具1aの内部にドライヤーや化粧品が収納されていても良い。この場合、収納家具1aの前面には、鏡が取り付けられていると良い。なお、上側面板6の上に、何か物品を置いても良い。なお、収納家具1aは、電源を供給するために、家庭用のコンセントに接続されるプラグを備えていても良い。
【0075】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る収納家具1bの斜視図である。収納家具1bは、第1の実施形態における鏡12の代わりに、薄型テレビ50を備える。なお、薄型テレビ50の代わりに、収納家具1bは、ラジオやオーディオ機器、防犯装置、非常警報装置、テレビ電話など、その他の電子機器を備えていても良い。このように、収納家具1bに電子機器を備え付けることによって、スペースを有効に活用することが可能となる。
【0076】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る収納家具1cの斜視図である。収納家具1cは、開口部8に扉60を備える。なお、扉60は、完全に取り外し可能な蓋体に置き換わっても良い。蓋体を用いる場合、前面板2と当該蓋体とは、面ファスナーなどによって、取り外し可能であると良い。なお、扉60には錠が取り付けられていても良い。これにより、収納家具を金庫としても使用可能となる。このように、開口部8を開閉可能にすることによって、デザイン性が向上する。
【0077】
(第5の実施形態)
図12は、本発明の第5の実施形態に係る収納家具1dの斜視図である。収納家具1dは、開口部8の周囲を示すように、蓄光部70を備える。これにより、暗くなったとしても、開口部8の位置を視認することが可能となる。さらに、収納家具1dは、鏡12の周囲を示すように、無機ELシート71を備える。これにより、暗くても、姿を見ることができる。なお、無機ELシート71の代わりに、有機ELシートや蛍光灯、LEDなどその他の発光部材が用いられても良い。
【0078】
(第6の実施形態)
図13は、本発明の第6の実施形態に係る収納家具1eの斜視図である。収納家具1eは、第2の棚板組7b〜7bの側に、開閉可能な扉80を備える。これにより、第2の棚板組7b〜7bに収容されている物品を、扉80側からも取り出すことができ、使い勝手が向上する。なお、第1の棚板組7a〜7aの側に、扉が取り付けられていても良い。このように、前面板2の開口部8以外の場所に開閉可能な扉を取り付けても良い。
【0079】
(第7の実施形態)
図14は、本発明の第7の実施形態に係る収納家具1fの斜視図である。第7の実施形態では、第1の実施形態と異なり、第1の棚板組7a〜7aは無くなっている。このように、本発明においては、上下に配置された棚板は、少なくとも一組存在すれば良い。逆に、第2の棚板組7b〜7bを無くして、第1の棚板組7a〜7aだけの構成にしてもよい。また、開口部8は、右側に設けられているが、左側に設けられていても良い。すなわち、開口部8は、一組の棚板の右の一方端から手を入れることが可能な位置に配置されていても良いし、一組の棚板の左の一方端から手を入れることが可能な位置に配置されていても良い。玄関などに収納家具1fを設置する場合、棚板7bを片側だけに設けて、開口部を玄関ドア側から見えない方に向けておけば、来客時に、収納家具1jの内部が客に見られることを防止できる。
【0080】
(第8の実施形態)
図15は、本発明の第8の実施形態に係る収納家具1gの斜視図である。第8の実施形態では、前面板2に開口部8a及び8bが形成されている。また、開口部8a及び8bに対応するように、発光部材11a及び11bが設けられている。また、面ファスナー10は、開口部8a側及び開口部8b側の両方に設けられている。このように、第2の棚板組7b〜7bの右の一方端から開口部8aを介して手を入れることができるようになっており、かつ、第2の棚板組7b〜7bの左の一方端から開口部8bを介して手を入れることができるようになっていても良い。すなわち、本発明において、開口部は、一組の棚板の右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの開口であればよい。開口部が二つ以上あれば、緊急時に、複数の人が同時に防災用具を取り出すことができる。
【0081】
(第9の実施形態)
図16は、本発明の第9の実施形態に係る収納家具1hの内部正面図である。図16では、前面板2が分解された状態における収納家具1hの内部が示されている。図16において、開口部8に相当する位置が、想像線によって表現されている。図17は、収納家具1hの斜視図である。なお、図16及び図17では、図面を見やすくするために、発光部材11の記載が省略されている。第9の実施形態において、収納家具1hは、上下のスライド部材100,100及び柱部材200を備える。
【0082】
スライド部材100は、背面板6の上部及び下部に取り付けられている。図18は、スライド部材100の構造を示す斜視図である。なお、背面板6の下部に取り付けられたスライド部材100も、図18に示す構造と同様の構造を有する。スライド部材100は、断面がL字状となっている。スライド部材100は、右側面部103と、左側面部102と、上面部105と、背面部104とを含む。背面部104は、内側に、板状の第1の磁石部101を有する。柱部材200は、円柱状の柱である。柱部材200は、ウレタン素材や発泡スチロール素材、アルミ、スチール、ステンレス、合成樹脂などの軽量素材によって形成されている。柱部材200は、上下に、円周上に巻かれた第2の磁石部201を有する。第1の磁石部101と第2の磁石部201とは、相異なる磁極に着磁されている。第1の磁石部101と第2の磁石部201とは、磁力で結合する。これにより、柱部材200は、棚板7a,7bにおける開口部89に形成された空間に立脚するように保持される。
【0083】
このように、円柱状の柱部材200の上下を磁石によって固定することによって、柱部材200を左右に転がすことができる。なお、柱部材200が左右に転がることができるような形状であれば、柱部材200は、円柱状で無くても良い。
【0084】
柱部材200の表面には、蓄光シールや蓄光塗料などによって、蓄光処理が施されている。これにより、柱部材200は、図示を省略した発光部材11の光や室内の照明の光、太陽光などを蓄えることができる。なお、第9の実施形態において、発光部材11が設けられていなかったとしても、柱部材200は、室内の照明の光や太陽光などを蓄えることができる。したがって、発光部材11は、第9の実施形態における必須の構成要素ではない。なお、柱部材200の蓄光処理が施されていなくても、柱部材200は目隠しとなるので、蓄光処理は、第9の実施形態における必須の構成要素ではない。
【0085】
図17に示すように、柱部材200を右側に移動させておけば、棚板7a側を隠すことができる。なお、図17では、棚板7aの一部が視認できるような大きさの柱部材200を用いているが、棚板7aが完全に隠れるような大きさの柱部材200が用いられても良い。棚板7b側についても、柱部材200を左側に移動させておけば、隠すことができる。棚板7aに収容されている物品を取り出す場合、柱部材200を転がして左側に移動させれば良い。逆に、棚板7bに収容されている物品を取り出す場合、柱部材200を転がして右側に移動させれば良い。柱部材200が右端に移動した場合、柱部材200は、右側面部103に当たるので、柱部材200の動きが静止する。一方、柱部材200が左端に移動した場合、柱部材200は、左側面部102に当たるので、柱部材200の動きが静止する。
【0086】
柱部材200が円柱状である場合、開口部8の前面側が、柱部材200の前面側の曲面の大きさだけ、隙間を有することになる。よって、柱部材200が目隠しになりながらも、できる限り、開口部8の隙間を広く確保することができる。
【0087】
このように、第9の実施形態では、磁石と柱部材という簡易な構成で、棚板側を目隠しすることが可能となる。
【0088】
なお、スライド部材100は断面L字状であるので、柱部材200を前面側に容易に抜き取ることできる。よって、棚板側を目隠しする必要が無い場合、柱部材200を抜き取れば良い。
【0089】
なお、図19に示すように、スライド部材100を断面コの字状にするために、スライド部材100は、前面部106を有していても良い。これにより、柱部材200が簡単には抜き取れなくなる。
【0090】
なお、上記では、スライド部材100は、背面板6に取り付けられているとしたが、断面L字状のスライド部材100を用いる場合でも、断面コの字状のスライド部材100を用いる場合でも、スライド部材100は、前面板2側の開口部8上下内側に取り付けられても良い。
【0091】
なお、柱部材200をスライドさせる機構は、図16〜図19に示した磁石を用いる機構に限られるものではない。たとえば、スライド部材100を断面コの字状にして、柱部材200の上下に、ボールベアリングなどの摩擦を軽減する手段を設けて、柱部材200を移動させるようにしても良い。摩擦を軽減する手段としては、ボールベアリングの他、スライド部材100及び柱部材200の上下の表面にテフロン(登録商標)加工を施して、滑りやすくしても良い。なお、特別な摩擦軽減手段を設けなくても、柱部材200が移動可能であればよく、本発明において、摩擦軽減手段は設けられなくても良い。また、スライド部材100を周知のスライド金具にし、柱部材200の上下を当該スライド金具に取り付けるようにしても良い。
【0092】
図24は、他のスライド部材100aの構成を示す斜視図である。スライド部材100aは、リング状部材202と、コの字状の着脱部材203とを含む。リング状部材202は、柱部材202に取り付けられている。リング状部材202は、磁石に着脱可能な金属製である。着脱部材203は、磁石である。スライド部材100aと同様の構成が、柱部材200に上下に設けられている。たとえば、リング状部材202の直径は、スライド部材100aの奥行きと略同一である。リング部材202と着脱部材203とが接着する。柱部材200を左右に移動させれば、磁力によって、柱部材200が着脱部材203に接着した状態で、左右に移動する。このようにして、スライド部材100aを構成しても良い。なお、リング状部材202が磁石製で、着脱部材203が金属製であっても良い。
【0093】
このように、本発明において、立脚する柱部材を左右に移動可能に保持するスライド手段を設けることによって、棚板部分を目隠しすることができる。
【0094】
(第10の実施形態)
図20は、本発明の第10の実施形態に係る収納家具1iの内部正面図である。図20では、前面板2が分解された状態における収納家具1iの内部が示されている。図20において、開口部8に相当する位置が、想像線によって表現されている。収納家具1iは、第1の実施形態において、棚板7aを有していた箇所に、スライド金具7d及びスライド棚板7c、並びに、スライドボックス7eを備える。スライド金具7dは、周知のあらゆるスライド金具である。スライド棚板7cは、スライド金具7bにスライド可能に取り付けられている。スライドボックス7eは、下棚板7fと、上面板7hと、側面板7gと、背面板7iとを含む。これにより、スライド板7c及びスライドボックス7eを左右にスライドさせることができる。よって、スライド板7c又はスライドボックス7eを開口部8までスライドさせることによって、物品の取り出しが容易になる。
【0095】
なお、スライドボックス7eは、下棚板7fを含んでいるので、スライドボックス7e自体も一種の棚板と考えられる。
【0096】
(第11の実施形態)
図21は、本発明の第11の実施形態における発光部材11cの断面図である。図21は、図1におけるA−A線に相当する箇所の断面図である。発光部材11cは、(有機又は無機)ELシート301と、凹樹脂板302と、鏡面処理部303と、(有機又は無機)ELシート304と、凸樹脂板305とを含む。ELシート301、凹樹脂板302、鏡面処理部303、ELシート304、及び凸樹脂板305は、それぞれ、開口部8の大きさに対応して、上下に連続的に形成されている。ELシート301、凹樹脂板302、鏡面処理部303、ELシート304、及び凸樹脂板305は、それぞれ、貼り付けられている。凹樹脂板302は、ELシート301側が平坦で、鏡面処理部303側が凹面である。鏡面処理部303は、凹樹脂板302の凹面又はELシート304の背面に施された鏡面処理である。凸樹脂板305は、ELシート304側が凸面で、反対側が平坦である。
【0097】
ELシート301から発せられる光は、鏡面処理部303で反射して、凹樹脂板302の左右端から出力される。これにより、棚板7a,7bに光が届き、棚板7a,7bに収容されている物品を確認しやすくなる。
【0098】
ELシート304から発せられる光は、凸樹脂板305を介して、発光部材11cの前面から出力される。これにより、開口部8が照らされて、開口部8の位置が確認しやすくなる。
【0099】
このように、ELシート301,304を二重構造にして、一方のELシート301が側面を照らすために利用され、他方のELシート304が前面を照らすために利用されることにより、棚の内部及び開口部の両方が確認しやすくなる。
【0100】
なお、鏡面処理部303が設けられていなくても、ELシート304の背面である程度光は反射する。よって、鏡面処理部303は、発光部材11cに設けられていなくても良い。また、凸樹脂板305が設けられていなくても、ELシート304の光は、開口部8を照らす。よって、凸樹脂板305は、発光部材11cに設けられていなくても良い。なお、ELシート301が発する光の反射を効率的に側面に伝達するには、ELシート304が凸状に配置されていた方が良いが、ELシート301とELシート304とが平行に配置されていたとしても、ELシート301が発する光は、ある程度は側面から出力される。よって、ELシート301とELシート304との間の樹脂板は、凹状で無くても良い。
【0101】
(第12の実施形態)
図22は、本発明の第12の実施形態に係る収納家具1jの斜視図である。収納家具1jは、前面板2と、背面板4と、右側面板3bと、左側面板3aと、上側面板6と、下側面板5とを備える。一組の棚板7bは、前面板2と背面板4との間において所定の間隔で上下に配置されている。一組の棚板7bの端部と右側面板3bとの間には前面板2を設けないことによって、開口部8cが形成されている。なお、一組の棚板7bの端部と左側面板3aとの間に前面板2を設けないことによって、開口部が形成されても良い。また、一組の棚板7bの端部と右側面板3b及び左側面板3aとの間の両方に前面板2を設けないことによって、二つの開口部が形成されても良い。
【0102】
このように、第12の実施形態では、一組の棚板7bの右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの少なくとも一つの開口部8cを形成することによって、使い勝手が良くかつ大容量の収納家具1jを提供することができる。
【0103】
なお、開口部8cの部分の背面板4に、フック部400を設けても良い。フック部400は、右側面板3bに設けても良い。玄関などに収納家具1jを設置する場合、棚板7bを片側だけに設けて、開口部を玄関ドア側から見えない方に向けておけば、来客時に、収納家具1jの内部が客に見られることを防止できる。
【0104】
なお、発光部材(図示せず)が背面板4の任意の場所に設けられて、棚板7bの内容物を照らすようにしても良い。
【0105】
(第13の実施形態)
図23は、本発明の第13の実施形態に係る収納家具1kの分解斜視図である。図23において、収納家具1kは、第1の実施形態と異なり、背面板4が設けられていない。背面板の代わりに、柱板401,402,403,404が棚板7a,7bを固定するために設けられている。右側面板3b、左側面板3a、上側面板6、及び下側面板5を含む枠体は、箱状の金属又は耐震補強材料等からなる耐震性枠体405の中に収容される。収納家具1kは、壁面内の柱(図示せず)に固定される。これにより、柱に耐震性枠体405が固定されることとなるので、建物自体の耐震性能が向上する。
【0106】
なお、図23では、第1の実施形態に類似の収納家具1kを耐震性枠体405で覆って、壁面内の柱に固定することとしたが、第1の実施形態以外の収納家具についても、外側を耐震性枠体405で覆って、壁面内の柱に固定されても良い。なお、耐震性枠体405をここでは箱状であるとしたが、背面部分がない外枠だけの耐震性枠体405が用いられても良い。なお、図23では、柱板401,402,403,404によって棚板7a,7bを固定することとしたが、第1の実施形態と同様、前面板2及び/又は背面板4によって棚板7a,7bを固定しても良い。なお、図23に示すように、背面板4を用いない場合は、発光部材11を耐震枠体404に取り付けても良い。
【0107】
(その他の変形例)
上記全ての実施形態では、収納家具は外側枠体によって箱状の外筐によって構成されることとした。しかし、一組の棚板が直接壁面に取り付けられ、前面板が壁面及び/又は棚板に取り付けられ、開口部が一組の棚板の一方端に設けられていても良い。すなわち、本発明において、背面板、右側面板、左側面板、上側面板、及び下側面板は必須の構成ではない。また、前面板以外は、骨組みだけであっても良い。
【0108】
なお、本発明において、開口部からは見えない棚板が設けられていても良い。
【0109】
なお、収納家具の内部に、コンセントを設けても良い。当該コンセントを用いて、携帯電話が充電されると良い。なお、コンセントを内部に設けることによって、ほこりが入るのを防止することができる。
【0110】
なお、収納家具の内部に、発光部材11以外の照明を備えても良い。当該照明は、収納家具の外部に設けられたスイッチによってオンオフされると良い。
【0111】
なお、棚板の位置は、ダボなどによって上下に可動できるようになっていても良い。
【0112】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る収納家具は、物品を収納することができる。
【符号の説明】
【0114】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k 収納家具
2 前面板
3a 左側面板
3b 右側面板
4 背面板
5 下側面板
5a 足板
6 上側面板
7a,7b 棚板
8,8a,8b,8c 開口部
9,23,70 蓄光部
10,21 面ファスナー
11,11a,11b,11c 発光部材
12 鏡
13 防災用ネットショルダー
14 帯状部材
15,16,17 網状袋体
20a 消火剤
20b 懐中電灯
20c 防煙フード
22 空間
30,31 柱
32a,32b 固定金具
33c,33d L字金具
40 取っ手
50 薄型テレビ
60,80 扉
71 無機ELシート
100,100a スライド部材
101 第1の磁石部
102 左側面部
103 右側面部
104 背面部
105 上面部
106 前面部
200 柱部材
201 第2の磁石部
202 リング状部材
203 着脱部材
7d スライド金具
7c スライド棚板
7e スライドボックス
7f 下棚板
7h 上面板
7g 側面板
7i 背面板
301,304 ELシート
302 凹樹脂板
303 鏡面処理部
305 凸樹脂板
400 フック部
401,402,403,404 柱板
404 耐震性枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板及び複数の棚板を少なくとも備える収納家具であって、
前記複数の棚板は、前記前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された少なくとも一組の棚板を含み、
前記前面板は、前記一組の棚板の右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの少なくとも一つの開口部を含むことを特徴とする、収納家具。
【請求項2】
前記複数の棚板は、
前記前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された第1の棚板組と、
前記第1の棚板組から左側に間隔を開けて所定の間隔で上下に配置された第2の棚板組とを含み、
前記開口部は、前記第1の棚板組の左側端と前記第2の棚板組の右側端との間に上下に連なって開けられた開口であることを特徴とする、請求項1に記載の収納家具。
【請求項3】
さらに、
前記前面板と対向して配置された背面板と、
前記前面板及び前記背面板の右側端部を連接する右側面板と、
前記前面板及び前記背面板の左側端部を連接する左側面板と、
前記前面板及び前記背面板の上側端部を連接する上側面板と、
前記前面板及び前記背面板の下側端部を連接する下側面板とを備え、
前記第1の棚板組は、前記前面板と前記背面板との間において所定の間隔で上下に配置されており、
前記第2の棚板組は、前記前面板と前記背面板との間において前記第1の棚板組から右側に間隔を開けて上下に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の収納家具。
【請求項4】
前記収納家具は、前記前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、
前記少なくとも一組の棚板組は、前記外側枠体の中空内部で上下に固定されており、
前記外側枠体の一部が壁面に埋め込まれて固定されることによって、前記収納家具は、壁面に固定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収納家具。
【請求項5】
前記収納家具が壁面を構成する部材に固定されることによって、耐震材として機能することを特徴とする、請求項4に記載の収納家具。
【請求項6】
前記収納家具は、前記前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、
前記少なくとも一組の棚板組は、前記外側枠体の中空内部で上下に固定されており、
前記外側枠体の一部が壁面に取り付けられることによって、前記収納家具は、壁面に固定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収納家具。
【請求項7】
前記収納家具は、前記前面板を少なくとも含む箱状の外側枠体によって外筐が構成されており、
前記少なくとも一組の棚板組は、前記外側枠体の中空内部で上下に固定されており、
前記外側枠体は、自立可能であり、
前記収納家具は、床に自立可能に置くことが可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収納家具。
【請求項8】
前記外側枠体は、上面に取っ手を有することを特徴とする、請求項7に記載の収納家具。
【請求項9】
前記開口部から視認可能な位置に設けられた発光部材をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の収納家具。
【請求項10】
停電時に前記発光部材に電源を供給する蓄電部をさらに備える、請求項9に記載の収納家具。
【請求項11】
前記発光部材の前面の少なくとも一部に設けられた第1の蓄光部をさらに備える、請求項9又は10に記載の収納家具。
【請求項12】
少なくとも一つの前記棚板は、前記開口部から視認可能な位置に第2の蓄光部を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の収納家具。
【請求項13】
前記開口部の周囲を示すように配置された第3の蓄光部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の収納家具。
【請求項14】
少なくとも一つの前記棚板は、防災用具を収容するために用いられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の収納家具。
【請求項15】
前記防災用具は、帯状部材に取り付けられた少なくとも一つの網状袋体に収容されており、
前記収納家具は、前記帯状部材を取り外し可能に固定するための固定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載の収納家具。
【請求項16】
前記収納家具は、前記前面板における開口部以外の部分に、電子機器又は鏡をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の収納家具。
【請求項17】
前記収納家具は、前記鏡の回りに発光部材をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載の収納家具。
【請求項18】
前記収納家具は、前記前面板における開口部以外の部分に、開閉可能な扉を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の収納家具。
【請求項19】
前記収納家具は、前記前面板における開口部を開閉するための扉又は蓋を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の収納家具。
【請求項20】
前記収納家具は、内部に、コンセントを有することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の収納家具。
【請求項21】
前記収納家具は、内部に、照明をさらに備え、
前記収納家具は、外部に、前記照明をオンオフするためのスイッチをさらに備えることを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の収納家具。
【請求項22】
前記収納家具は、さらに、
前記一組の棚板における前記開口部側に形成された空間に立脚する柱部材と、
前記柱部材を左右に移動可能に保持するスライド手段とを備えることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の収納家具。
【請求項23】
前記柱部材は、前記スライド手段に、磁力によって保持されていることを特徴とする、請求項22に記載の収納家具。
【請求項24】
前記スライド手段は、
前記柱部材に設けられた金属製又は磁石製のリング状部材と、
前記リング状部材に磁力によって着脱可能な着脱部材とを含むことを特徴とする、請求項23に記載の収納家具。
【請求項25】
前記一組の棚板の内、少なくとも一つの棚板は、左右にスライドすることを特徴とする、請求項1〜24のいずれかに記載の収納家具。
【請求項26】
前記収納家具は、前記開口部から視認可能な位置に設けられた発光部材をさらに備え、
前記発光部材は、樹脂板を介して間隙を設けて対向して配置された二つのELシートを備えることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の収納家具。
【請求項27】
前記樹脂板は、凹状であることを特徴とする、請求項26に記載の収納家具。
【請求項28】
耐震性枠体によって外側面が覆われており、壁面内の柱に固定されることを特徴とする、請求項1〜27のいずれかに記載の収納家具。
【請求項29】
前面板及び複数の棚板を少なくとも備える収納家具であって、
前記複数の棚板は、前記前面板の裏側において所定の間隔で上下に配置された少なくとも一組の棚板を含み、
前記一組の棚板の右及び/又は左の一方端から手を入れることが可能な大きさの少なくとも一つの開口部を含むことを特徴とする、収納家具。
【請求項30】
さらに、前記前面板と対向して配置された背面板と、
右側面板と、
左側面板と、
上側面板と、
下側面板とを備え、
前記一組の棚板は、前記前面板と前記背面板との間において所定の間隔で上下に配置されており、
前記一組の棚板の端部と前記右側面板又は前記左側面板との間には前記前面板を配置しないことによって、前記開口部が形成されていることを特徴とする、請求項29に記載の収納家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−284494(P2010−284494A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161001(P2009−161001)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://www.tana−hartin.com/ http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/report.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/report.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/pg50.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/pg72.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/pg68.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/pg71.html http://www3.ocn.ne.jp/▲〜▼tana−h/pg70.html 掲載日 平成21年6月6日及び平成21年7月7日
【出願人】(506271393)
【出願人】(509113298)
【Fターム(参考)】