説明

収納容器の2重配管接続構造

【課題】短管を不要として構造を簡単化し、2重配管接続構造の組立て及び分解を簡単化した、収納容器の2重配管接続構造を提供する。
【解決手段】内管2を収納容器1のフランジ面と同一面もしくはその近傍で分割して、該分割の端面よりも容器内側に配置される内管の端部に本体側内管フランジ22を形成し、容器外側に配置される内管の端部に前記本体側内管フランジ22に対向して外接側内管フランジ21を形成し、容器外側に配置される外管端部には収納容器のフランジ面に締着可能に外管フランジ31を形成し、外管フランジ31を収納容器1のフランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記外管フランジ31と本体側内管フランジ22と外接側内管フランジ21とを3者共締めにて接合して内管通路5を外管通路6に対して流体密に連通させことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器、原動機のケーシング等に適用され、収納容器に、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管を接続した収納容器の2重配管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、収納容器に、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管を接続した収納容器の2重配管接続構造の従来の1例を示す配管軸心に沿う断面図である。
図5において、円筒状あるいは球状の収納容器1の接続口1bには、内管通路5が内部に形成された内管2と、該内管2の外側に円筒状の外管通路6を介して形成された外管3との、2重配管接続構造となっている。前記外管3の収納容器側部と前記接続口1bとの間の内管2の外側には、前記外管3とほぼ同径の円筒状の短管50が挿入されている。
【0003】
該短管50は、短管50の収納容器外側のフランジ50aをボルト50bで外管3のフランジ3cに連結され、収納容器側のフランジ50cをボルト4で前記接続口1bに接続されている。
一方、前記内管2はその接続部を前記短管50のフランジ50a部よりもLだけ収納容器より外側の部位に配置され、該接続部のフランジ51sは2個のフランジをボルト52で、連結している。
【0004】
尚、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管接続構造の例としては、特許文献1(実開平4−32388号公報)、特許文献2(特公平4−76876号公報)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−32388号公報
【特許文献2】特公平4−76876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示される例においては、収納容器1の接続口1bには、内管2と該内管2の外側に形成された外管3との、2重配管接続構造となっており、前記外管3の収納容器側部と前記接続口1bとの間の内管2の外側には、外管3とほぼ同径の円筒状の短管50が挿入されている。
【0007】
即ち、前記短管50を取り外し可能に挿入し、前記内管2はその接続部のフランジ51sを前記短管50のフランジ50a部よりもLだけ収納容器より外側の部位に配置し、該接続部のフランジ51sは2個のフランジをボルト52で連結していることから、前記短管50を取り外し可能に挿入することにより、該フランジ51s部の接続操作及び解除操作を可能としている。
【0008】
このため、前記短管50が必要となり、部品点数が増加し、また短管50の内部に別系統のフランジ51sを設けるため、内径Dが大きくなって2重配管構造が大型化する。
また、前記短管50をフランジ50aおよびフランジ50cにより組立て、さらに内管2を接続部のフランジ51sにより組立てるという、2度の組立てを必要とするので、2重配管の組立て及び分解に多くの工数を必要とする。
【0009】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、短管を不要として構造を簡単化し、2重配管の組立て及び分解を簡単化した、収納容器の2重配管接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる目的を達成するもので、収納容器に、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管を接続した収納容器の2重配管接続構造において、
前記内管の端面を前記収納容器のフランジ面と同一面もしくはその近傍に形成して、該端面よりも容器側に配置される内管の端部に本体側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される内管の端部に前記本体側内管フランジ部に対向して外接側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される外管端部には前記収納容器のフランジ面に締着可能に外管フランジ部を形成し、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記外管フランジ部と前記本体側内管フランジ部と前記外接側内管フランジ部とを3者共締めにて接合して前記内管通路を外管通路に対して流体密に連通させるように構成したことを特徴とする。
【0011】
かかる、本発明において、好ましくは、前記外接側内管フランジ部と前記外管フランジ部の端部同士を溶接して、該外接側内管フランジ部及び外管フランジ部を前記溶接部とともに均一面に仕上げ、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記均一面の仕上げ面を前記本体側内管フランジ部の端面に圧接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収納容器に、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管を接続した収納容器の2重配管接続構造において、前記内管の端面を前記収納容器のフランジ面と同一面もしくはその近傍に形成して、該端面よりも容器側に配置される内管の端部に本体側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される内管の端部に前記本体側内管フランジ部に対向して外接側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される外管端部には前記収納容器のフランジ面に締着可能に外管フランジ部を形成し、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記外管フランジ部と前記本体側内管フランジ部と前記外接側内管フランジ部とを3者共締めにて接合して前記内管通路を外管通路に対して流体密に連通させるように構成する。
即ち、本発明によれば、前記内管の端面を前記収納容器のフランジ面と同一面もしくはその近傍に形成して、該端面よりも容器側に配置される内管の端部に本体側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される内管の端部に前記本体側内管フランジ部に対向して外接側内管フランジ部を形成し、前記外接側内管フランジ部と本体側内管フランジ部と外管フランジ部との3つのフランジ部を共締めにて、ボルトの締め付け力により収納容器のフランジ面に締着するので、
外管フランジ部のボルトの締め付け力のみで、前記3つのフランジ部を共締めにて締着でき、これにより従来技術のような取り外し可能な短管は不要となる。これにより部品点数が減少し、また短管の内部に別系統のフランジを設ける必要がなく、内管の内径が縮小され2重配管の接続構造が小型コンパクトになる。
【0013】
また、外管フランジ部のボルトの締め付け力のみで、前記外接側内管フランジ部と本体側内管フランジ部と外管フランジ部の3つのフランジ部を共締めにて締着できるので、組立てが極めて簡単になる。これにより組立て工数を大幅に低減できる。
また、内管の外接側内管フランジ部と本体側内管フランジ部との接合部は収納容器のフランジ面に一体形成するので、外管の内部に別系統のフランジ部を設ける必要がなく、見かけ上は外接側内管フランジ部と本体側内管フランジ部と収納容器のフランジ面とが一体に形成された形態になり、内管の内径が大きくならず、また小型コンパクトになる。
【0014】
また、前記外接側内管フランジ部と前記外管フランジ部の端部同士を溶接して、該外接側内管フランジ部及び外管フランジ部を前記溶接部とともに均一面に仕上げ、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記均一面の仕上げ面を前記本体側内管フランジ部の端面に圧接するように構成したので、
外接側内管フランジ部及び外管フランジ部を前記溶接部とともに均一面に仕上げて、該均一面を前記本体側内管フランジ部の端面及び収納容器のフランジ面に圧接することにより、外接側内管フランジ部及び外管フランジ部を本体側内管フランジ部及び収納容器の上部フランジ面に固定でき、均一な漏れの少ない内管の接続構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例にかかる収納容器の2重配管接続構造であって、(A)は収納容器の軸心に直角な断面図、(B)は(A)のA−A矢視図である。
【図2】本発明の実施例にかかる図1(A)のZ部拡大図である。
【図3】本発明の実施例にかかる図2のY部拡大図である。
【図4】本発明の実施例にかかる図2のX部拡大図である。
【図5】収納容器の2重配管接続構造の従来の1例を示す配管軸心に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0017】
図1は、本発明の実施例にかかる収納容器の2重配管接続構造であって、(A)は収納容器の軸心に直角な断面図、(B)は(A)のA−A矢視図である。図2は図1(A)のZ部拡大図、図3は図2のY部拡大図、図4は図2のX部拡大図である。
【0018】
図1〜4において、円筒状あるいは球状の収納容器1の接続口1bには、内管通路5が内部に形成された内管2と、該内管2の外側に円筒状の外管通路6を介して形成された外管3とが設けられた、2重配管接続構造となっている。
前記内管2の内管通路5には、例えば、高温ガスを通過させ、前記外管通路6には、かかる内管通路5の冷却ガスとして、内管通路5のガスよりも低温のガスを流して内管2の冷却を行っている。また、前記外管3の外周に保温材を巻くことも可能である。
尚、前記内管通路5及び外管通路6を通過する流体は、前記ガスに限らず、あらゆる気体及び液体であっても良い。前記内管2及び外管3の中心は10で示している。
【0019】
前記内管2は、図2のように、前記収納容器1の接続口1bの収納容器上部フランジ面1aと同一面(もしくは若干収納容器内側でもよい)に、分割部の端面が形成されている(2sが端面)。
そして、該端面2sよりも収納容器内側の内管2に本体側内管フランジ22を形成して、該本体側内管フランジ22の外側面22c(図4参照)を、前記収納容器上部フランジ面1aに対応させている。
また、図4に示すように、該本体側内管フランジ22の収納容器内側は内管2に溶接されている(22bが溶接部)。
【0020】
即ち、図4に示すように、前記本体側内管フランジ22の上部つば部22aは、前記収納容器1の溝1tに嵌め込まれ、前記上部つば部22aの上面及び下面には、薄肉のガスケット12及び13が嵌挿されている。
前記ガスケット12及び13挿入後の前記上部つば部22aの厚さは、後述するように、前記均一面21uが圧接されるとき、前記収納容器上部フランジ面1aよりも微少量上方に突出して、上部つば部22aの締め代を保持している。
【0021】
一方、図2に示すように、前記収納容器1の接続口1bの収納容器上部フランジ面1aと同一面に形成された端面2sより収納容器外側の内管2には、前記本体側内管フランジ22に対向して外接側内管フランジ21が形成されている。該外接側内管フランジ21は溶接部2pで前記内管2に溶接されている。
また、前記外管3は、前記のように、前記内管2の外側に円筒状の外管通路6を形成して設けられており、該外管3の収納容器側部には前記収納容器1の収納容器上部フランジ面1aに締着可能に外管フランジ31が形成され、該外管フランジ31の収納容器外側は、溶接部31cで前記外管3に溶接されている。
また、図3に示すように、前記外接側内管フランジ21には、複数の通路孔11が穿孔されている。
【0022】
そして、図3に示すように、前記外接側内管フランジ21の収納容器内側端面と、前記外管フランジ31の収納容器側端面とを溶接した後(7は溶接部)、前記溶接面をS寸法だけ削り落として均一面21uに仕上げる。
しかる後に、複数のボルト4を締め付けることにより、前記外管フランジ31を収納容器上部フランジ面1aに締め付ける。このとき、図4のように、前記ガスケット12及び13挿入後の前記本体側内管フランジ22の上部つば部22aの厚さは、前記収納容器上部フランジ面1aよりも微少量上方に突出しているので、前記ボルト4の締め付けにより、前記均一面21uを前記外管フランジ31と共締めにて、上部つば部22aの上面に接合することができ、これにより前記内管通路5を外管通路6に対して流体密に連通させた構成とすることができる。
【0023】
即ち、かかる収納容器の2重配管接続構造の製造に当たっては、次の順序による。
前記内管2を、前記収納容器1の上部フランジ面1aと同一面もしくは若干収納容器内側で分割して端面が形成され、該上部フランジ面1aよりも収納容器内側の内管2に本体側内管フランジ22を形成し、該本体側内管フランジ22の外側面22cを前記上部フランジ面1aと同一面に配置する。
次いで該上部フランジ面1aよりも収納容器外側の内管2には前記本体側内管フランジ22に対向して外接側内管フランジ21を形成し、前記外管3の下部には前記収納容器1の上部フランジ面1aに締着可能な外管フランジ31を形成する。
【0024】
次いで、前記外接側内管フランジ21と前記外管フランジ31との収納容器内側部同士を溶接して、かかる溶接面を均一面21uに仕上げる。
さらに、前記外管フランジ31を収納容器1の前記上部フランジ面1aにボルト4にて締め付ける際に、ボルト4の締め付け力により前記均一面21uの仕上げ面と本体側内管フランジ22の上部つば部22aの外側面22cとを共締めにて接合して、前記内管通路5を外管通路6に対して流体密に上下に連通させる。
【0025】
従って、かかる実施例によれば、前記内管2を上部フランジ面1a近傍で分割して端面を形成して、端面2sよりも収納容器内側の内管2に本体側内管フランジ22を形成し、収納容器外側の内管2は本体側内管フランジ22に対向して外接側内管フランジ21を形成し、前記外接側内管フランジ21と本体側内管フランジ22とを合わせ、さらに外管フランジ31とともに3つのフランジ21、22、31を共締めにて、ボルト4の締め付け力により収納容器1の上部フランジ面1aに締着するので、外接側内管フランジ21と本体側内管フランジ22とを外管フランジ31のボルト4の締め付け力で締着することにより、外管フランジ31のボルト4の締め付け力のみで、前記3つのフランジ21、22、31を共締めにて締着でき、これにより従来技術のような取り外し可能な短管は不要となる。これにより部品点数が減少し、また短管の内部に別系統のフランジを設ける必要がなく、内管2の内径が縮小され2重配管接続構造が小型コンパクトになる。
【0026】
また、外管フランジ31のボルト4の締め付け力のみで、前記外接側内管フランジ21と本体側内管フランジ22と外管フランジ31の3つのフランジ21、22、31を共締めにて締着できるので、組立てが極めて簡単になる。これにより組立て工数を大幅に低減できる。
また、内管2の外接側内管フランジ21と本体側内管フランジ22との接合部は収納容器1の上部フランジ面1aに一体形成するので、外管3の内部に別系統のフランジを設ける必要がなく、見かけ上は外接側内管フランジ21と本体側内管フランジ22と収納容器1の上部フランジ面1aとが一体に形成された形態になり、内管2の内径が大きくならず、また小型コンパクトになる。
【0027】
また、前記外接側内管フランジ21を前記外管フランジ31の収納容器内側部同士を溶接して、該外接側内管フランジ21及び外管フランジ31を前記溶接部とともに均一面21uに仕上げ、前記外管フランジ31を収納容器1の上部フランジ面1aに締め付ける際に、ボルト4の締め付け力により前記均一面21uの仕上げ面を前記本体側内管フランジ22の外側面22c(図4参照)圧接するように構成したので、
外接側内管フランジ21及び外管フランジ31を前記溶接部とともに均一面21uに仕上げて、該均一面21uを前記本体側内管フランジ22の外側面22c及び収納容器1の上部フランジ面1aに圧接することにより、本体側内管フランジ22及び収納容器1の上部フランジ面1aに固定でき、均一な漏れの少ない内管2の接続構造が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、短管を不要として構造を簡単化し、2重配管接続構造の組立て及び分解を簡単化した、収納容器の2重配管接続構造を提供できる。
【符号の説明】
【0029】
1 収納容器
1a 収納容器上部フランジ面
1b 接続口
2 内管
2s 端面
2p 溶接部
3 外管
4 ボルト
5 内管通路
6 外管通路
7 溶接部
12,13 ガスケット
21 外接側内管フランジ
21u 均一面
22a 上部つば部
22c 外側面
22 本体側内管フランジ
22b 溶接部
31 外管フランジ
31c 溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納容器に、内管通路が内部に形成された内管と、該内管の外側に円筒状の外管通路を介して形成された外管との、2重配管を接続した収納容器の2重配管接続構造において、
前記内管の端面を前記収納容器のフランジ面と同一面もしくはその近傍に形成して、該端面よりも容器側に配置される内管の端部に本体側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される内管の端部に前記本体側内管フランジ部に対向して外接側内管フランジ部を形成し、容器外側に配置される外管端部には前記収納容器のフランジ面に締着可能に外管フランジ部を形成し、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記外管フランジ部と前記本体側内管フランジ部と前記外接側内管フランジ部とを3者共締めにて接合して前記内管通路を外管通路に対して流体密に連通させるように構成したことを特徴とする収納容器の2重配管接続構造。
【請求項2】
前記外接側内管フランジ部と前記外管フランジ部の端部同士を溶接して、該外接側内管フランジ部及び外管フランジ部を前記溶接部とともに均一面に仕上げ、前記外管フランジ部を収納容器の前記フランジ面に締め付ける際に、ボルトの締め付け力により前記均一面の仕上げ面を前記本体側内管フランジ部の端面に圧接することを特徴とする請求項1に記載の収納容器の2重配管接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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