説明

収納容器

【課題】底部に滞留した血液などの液体が収納容器の上部に流出するおそれのない収納容器を提供する。
【解決手段】本発明の収納容器Vは、底部に滞留した液体の流出を防止する流出防止突状体2を下部の内側面4の一部または全周にわたって有するもので、好ましい形態においては、流出防止突状体2が下面が凹とされた湾曲体状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納容器に関する。さらに詳しくは、医療用廃棄物のように血液や汚染物を含有する液体が湧出するおそれのある廃棄物を収納する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療用廃棄物のように血液や汚染液体を含有する廃棄物の廃棄は、それらが容器から漏れ出さないよう、密閉蓋付収納容器によりなされている。
【0003】
しかしながら、前記密閉蓋付収納容器は、作業の煩雑さを回避するため、通常の使用状態では、蓋が開放された状態で置かれて廃棄物の廃棄がなされている。
【0004】
そのため、廃棄作業中に誤って収納容器を転倒させた場合、底部に溜まった血液や使用済みの消毒液が収納容器から漏れ出し、床などを汚染するという事態が生ずる。
【0005】
また、蓋をして密閉状態で廃棄処理施設に搬送したとしても、搬送途中に収納容器が転倒した場合、底部に溜まった血液や使用済みの消毒液が収納容器の上部に流動して蓋内面に付着したり上部に滞留したりし、その付着や滞留した血液などが蓋の開放時に周囲に飛散して搬入先を汚染させるという事態が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、底部に滞留した血液などの汚染液体が収納容器の上部に流出するおそれのない収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納容器の第1形態は、底部に滞留した液体の流出を防止する流出防止突状体を下部の内面に有することを特徴とする。
【0008】
本発明の収納容器の第2形態は、収納容器が本体と蓋とを備え、前記本体が底部に滞留した液体の流出を防止する流出防止突状体を下部の内面に有することを特徴とする。
【0009】
本発明の収納容器においては、流出防止突状体は、少なくとも液体の流出可能性の高い側に設けられていればよい。
【0010】
また、本発明の収納容器においては、流出防止突状体が、先細形状とされてなるのが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の収納容器においては、流出防止突状体が、下面が凹とされた湾曲体状とされてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の収納容器は、前記の如く構成されているので、容器が転倒したとしても底部に滞留した汚染液体が容器外に流出することが防止されるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0014】
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る収納容器Vの本体(以下、単に本体という)1を中心線端面図で示す。なお、蓋は従来と同様とされているので、その図示説明は省略する。
【0015】
本体1は、図1に示すように、水平断面が長方形状とされ、垂直断面が逆台形状とされ、上端部が外方に折り返されて把持部が形成されたプラスチック容器とされている。
【0016】
本体1の内面には、図1に示すように、底面3から所定高さ位置に底部に滞留した血液などの汚染液体が、上部へ流出するのを防止する流出防止突状体2が一体的に形成されている。
【0017】
流出防止突状体2は先端が丸みを帯びた先細形状とされ、例えば図2に示すように、底辺2aが本体1の底面3に平行とされた三角形状の断面を呈するように形成されている。底辺2aは、必ずしも底面3に平行とされる必要はないが、底辺2aと内側面4とのなす角を水平時のおけるなす角より大きくするのは、本体1の底部に滞留した液体が底辺2aを伝って流出防止突状体2を乗り越えて本体1から外部に流出するおそれがあるので好ましくない。
【0018】
流出防止突状体2の取り付け高さは、底面3からほぼ本体1の高さの1/5〜1/20の高さ位置とされ、またその突出量は、底部に滞留する汚染液体の量が少量と推定されるところから、5mm〜10mmの範囲で本体1のサイズに応じて適宜調整される。
【0019】
ところで、流出防止突状体2の取り付け高さ位置は、流出防止突状体2が本体1に積み重ねられる本体1の上端の位置決めをなす機能も有するため、本体1を積み重ねていわゆるスタックして輸送する際の輸送コストの低減を図るため、できるだけ前記範囲内で底面3に近い位置とされるのが好ましい。
【0020】
しかして、流出防止突状体2がかかる機能を有するところから、実施形態1では、スタックされる上側本体1の上端の位置決めをなすための特別の部材を本体1に設ける必要はない。
【0021】
また、流出防止突状体2の取り付け範囲は、内側面4全周とされるのが好ましいが、水平断面が細長の長方形状を呈する場合、長手方向に転倒するおそれが少ないので、長手方向の内側面4、つまり汚染液体が流出する可能性の高い幅広の内側面4のみとされてもよい。
【0022】
このように、実施形態1の収納容器Vによれば、本体1下部の内側面4に流出防止突状体2が水平に突出させて設けられているので、本体1が転倒しても底部に滞留した血液などの汚染液体が本体1から外部に流出して周囲を汚染させるおそれがない。
【0023】
実施形態2
本発明の実施形態2に係る収納容器の要部を図3に示す。
【0024】
実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、図3に示すように、流出防止突状体2の形状を先端を尖らせるとともに、下面2bが凹とされた湾曲体状としてなるものとされる。なお、先端は丸みを帯びた形状とされてもよい。
【0025】
流出防止突状体2がかかる形状とされているので、底面3から内側面4を伝ってきた血液などの汚染液体は、底面3に自動的に返される。つまり、流出防止突状体2に返し機能を付加してなるものとされる。そのため、汚染液体の流出防止効果が高い。
【0026】
なお、実施形態2のその余の構成および作用・効果は、実施形態1と同様とされている。
【0027】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施形態では収納容器1の断面形状は長方形状とされているが、収納容器1の形状は長方形状に限定されるものではなく、任意とすることができ、例えば、円形状や楕円形状とすることもできる。
【0028】
さらに、実施形態では、医療機関で発生する廃棄物を収納する例を取り説明されているが、本発明の適用は医療機関に限定されるものではなく、含有している液体が湧出するおそれのある物を収納する収納容器に広く適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、含有している液体が湧出して収納容器の底部に滞留するおそれのある物を収納する収納容器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1に係る収納容器の本体の中心線端面図である。
【図2】同実施形態の流出防止突状体の垂直断面図である。
【図3】本発明の実施形態2の図2相当図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 流出防止突状体
2a 底辺
2b 下面
3 底面
4 内側面
V 収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に滞留した液体の流出を防止する流出防止突状体を下部の内面に有することを特徴とする収納容器。
【請求項2】
収納容器が本体と蓋とを備え、前記本体が底部に滞留した液体の流出を防止する流出防止突状体を下部の内面に有することを特徴とする収納容器。
【請求項3】
流出防止突状体が、液体が流出する可能性が高い側に設けられてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃棄物収納容器。
【請求項4】
流出防止突状体が、先細形状とされてなることを特徴とする請求項1または2記載の廃棄物収納容器。
【請求項5】
流出防止突状体が、下面が凹とされた湾曲体状とされてなること特徴とする請求項1または2記載の廃棄物収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−107661(P2009−107661A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281208(P2007−281208)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(596084073)株式会社クリーン技研 (4)
【出願人】(505104777)株式会社 エムシービー (4)
【Fターム(参考)】