説明

収納容器

【課題】 ウェットティッシュの取り付けを容易にするとともに、ウェットティッシュに含浸された水分等の蒸散を防止することができる収納容器を提供する。
【解決手段】 シート体の長手方向に所定の間隔でミシン目110が形成されたウェットティッシュ100のロール体105を収納する容器本体4と、容器本体4に形成されたウェットティッシュ100を取り出す取出口21を有する取出部5と、取出部5を開閉する蓋体6とを備え、取出部5は、取出口21を開閉するスライダ22を有し、スライダ22をスライドさせて取出口21を閉塞したときに、ウェットティッシュ100と係合しウェットティッシュ100を1枚ずつ引き出す係合孔23が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュを収納する収納容器に関し、特に、シート体の長手方向に所定の間隔でミシン目が形成されたウェットティッシュのロール体を収納する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シート体の長手方向に所定の間隔でミシン目が形成されたウェットティッシュのロール体を収納するものとしては、特許文献1のような収納容器がある。特許文献1の収納容器には、容器本体の上面にウェットティッシュを引き出すことができ、かつ、ウェットティッシュと係合され切り離す係合孔が形成され、係合孔の周囲には、十字形状等の切り込みスリットが設けられている。
【0003】
特許文献1の収納容器は、周囲に十字形状等の切り込みスリットが設けられた係合孔から収納するウェットティッシュを略上方に引き出すとき、引き出されたウェットティッシュが係合孔を通過する際に、隣接する切り込みスリットによって形成された係合孔の周囲の弾性係合片にウェットティッシュが係合され、係合された状態でさらにウェットティッシュを略上方に引き出すことで、ウェットティッシュに形成されたミシン目の位置でウェットティッシュを切り離すことができる。
【0004】
特許文献1に示すような収納容器では、使用開始時やウェットティッシュが途中で切れてしまったときに、容器本体内にあるシート体の端部を係合孔の裏面側から挿通する作業を行わなければならない。そして、係合孔は、上述のように、ウェットティッシュが1枚ずつ切り離せるようにするためにある程度穴径が小さく形成されていることから、この挿通作業に手間がかかっていた。
【0005】
そこで、特許文献2に示すように、上述の挿通作業を容易にするための取出口が設けられる収納容器も提案されている。特許文献2の収納容器は、取出口と係合孔とが連続する連続口が設けられている。
【0006】
特許文献2の収納容器は、係合孔及び取出口を閉塞する蓋体が設けられ、ウェットティッシュに含浸された水分、アルコール分等の蒸散防止を図っているが、取出口が常に開口状態にある。そして、この収納容器では、使用のたびに、蓋体を開けることで、ウェットティッシュに含浸された水分、アルコール分等が取出口から蒸散することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−104377号公報
【特許文献2】特開2007−217054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、ウェットティッシュを1枚ずつ引き出し切り離せるようにするための係合孔へのウェットティッシュの取り付けを容易にするとともに、ウェットティッシュに含浸された水分、アルコール分等の蒸散を防止することができる収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明に係る収納容器は、シート体の長手方向に所定の間隔でミシン目が形成されたウェットティッシュのロール体を収納する容器本体と、上記容器本体に形成された上記ウェットティッシュを取り出す取出口を有する取出部と、上記取出部を開閉する蓋体とを備える。そして、上記取出部は、上記取出口を開閉するスライダを有し、該スライダをスライドさせて該取出口を閉塞したときに、上記ウェットティッシュと係合し該ウェットティッシュを1枚ずつ引き出す係合孔が設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用開始時等にウェットティッシュを係合孔に簡便な操作によりセットすることができるので、使用開始時等の煩雑な作業がない。
【0011】
また、取出口が開放された状態になく、容器本体の密閉性を保つことができ、収納されるウェットティッシュに含浸された水分、アルコール分等の蒸散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した収納容器の全体斜視図である。
【図2】取出部の上蓋表面側からの斜視図である。
【図3】(A)は、取出部の上蓋裏面側からの平面図であり、(B)は、取出部の上蓋裏面側からの取出口の開放状態を示した斜視図である。
【図4】(A)は、第2の実施の形態として示す取出部の上蓋裏面側からの平面図であり、(B)は、取出部の上蓋裏面側からの取出口の開放状態を示した斜視図である。
【図5】(A)は、第3の実施の形態として示す取出部の上蓋表面側からの取出口の開放状態を示した平面図であり、(B)は、取出部の上蓋表面側からの取出口の閉塞状態を示した平面図である。
【図6】(A)は、第4の実施の形態として示す取出部の上蓋表面側からの斜視図であり、(B)は、取出部の上蓋表面側からの取出口の開放状態を示した平面図である。
【図7】(A)は、第4の実施の形態として示す取出部の取出口を閉塞した状態を示した縦断面図であり、(B)は、取出部の取出口を開放した状態を示した縦断面図である。
【図8】(A)は、第5の実施の形態として示す取出部の取出口を閉塞した状態を示した上蓋裏面側からの斜視図であり、(B)は、取出部の上蓋裏面側からの取出口の開放状態を示した斜視図であり、(C)は、スライダの断面図である。
【図9】(A)は、第6の実施の形態として示す取出部の取出口を閉塞した状態を示した上蓋表面側からの斜視図であり、(B)は、取出部の上蓋表面側からの取出口の開放状態を示した平面図であり、(C)は、取出部の上蓋表面側からの取出口の閉塞状態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した収納容器1について、図面を参照して詳細に説明をする。
【0014】
1.全体構成
本発明の収納容器1は、図1に示すように、全体が略円筒形状であり、シート体の長手方向に1回の使用分に対応した間隔でミシン目110が形成されたウェットティッシュ100のロール体105を収納する。ここで、収納容器1に収納されるウェットティッシュ100のロール体105は、紙や不織布等の基布に使用目的に応じて、水、アルコール、除菌剤、防腐剤及び香料等の液体を含浸させたものであり、ウェットティッシュ100の長手方向に1回の使用分に対応した間隔でミシン目110が形成されている。
【0015】
また、収納容器1は、ウェットティッシュ100のロール体105を収納する容器本体4を有する。この容器本体4は、ウェットティッシュ100のロール体105が収納されるケース2と、このケース2の上面に取り付けられる上蓋3とからなる。容器本体4のケース2は、上面に開口部2aを有する略円筒形状であり、ロール体105が収納できる高さに形成されている。容器本体4の上蓋3は、ケース2の開口部2aを閉塞する蓋であり、例えば、ケース2に螺着される。
【0016】
上蓋3は、その上面3aの略中央にウェットティッシュ100を取り出す取出部5と、この取出部5を開閉するように上蓋3の上面に回動可能に設けられた蓋体6とを備えている。取出部5の詳細については、後述する。
【0017】
このような構成を備える収納容器1は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の熱可塑性樹脂を用いて射出成形等により成型される。
【0018】
なお、収納容器1は、全体が略円筒形状に限定されるものではなく、円柱形状、箱形状等に設けてもよい。また、収納容器1に収納されるウェットティッシュ100は、上述のように、ロール体105からなりミシン目110において、1枚ずつ切り離される構成とすることに限らず、略矩形のシート体を多数枚重ね合わせて積層体を形成したいわゆるポップアップ式のウェットティッシュであってもよい。
【0019】
容器本体4のケース2の開口部2aに取り付けられる上蓋3には、上蓋3の上面の略中央に、蓋体6が収納される凹部7が形成されている。凹部7は、略円形形状であり、凹部7の略中央に第1の環状壁部8が立ち上がり形成されている。第1の環状壁部8には、第1の環状壁部8の内側に、ウェットティッシュ100を取り出す取出部5が形成されている。
【0020】
取出部5を開閉する蓋体6は、図1に示すように、薄板形状であり、上蓋3の上面に回動支持部9により回動可能に設けられている。回動支持部9は、熱可塑性樹脂を用いて射出成形等により上蓋3と一連一体に成型し、直線的に薄肉に形成されている。
【0021】
なお、回動支持部9は、上蓋3と一連一体に成型するものに限定されるものでなく、回動軸を用いて回動可能に支持するように設けてもよい。
【0022】
取出部5を開閉する蓋体6は、閉塞したとき、図示はしないが、凹部7との間に間隙部を有して収納される。蓋体6には、自由端側に指掛部6aが形成されている。蓋体6が取出部5を閉塞するとき指掛部6aが臨む上蓋3の上面には、指掛用凹部11が形成されている。指掛部6aが臨む指掛用凹部11は、指掛部6aを間隙部を有して収納できるような幅で上蓋3の回動支持部9の自由端側の外周壁と凹部7とを連結させ、蓋体6の指掛部6aの裏面と指掛用凹部11との間に指を引っ掛けて蓋体6を回動させて取出部5を開放できるような深さに形成されている。
【0023】
また、蓋体6が取出部5を閉塞するとき蓋体6の回動支持部9が臨む上蓋3の上面には、回動支持部用凹部12が形成されている。回動支持部9が臨む回動支持部用凹部12は、回動支持部9を間隙部を有して収納できるような幅で上蓋3の回動支持部9側の外周壁と凹部7とを連結させ、蓋体6の回動支持部9が上蓋3の上面からはみ出さないような深さに形成されている。
【0024】
また、蓋体6には、取出部5に臨む裏面に第2の環状壁部13が立ち上がり形成されている。第2の環状壁部13は、蓋体6が取出部5を閉塞したとき、収納容器1の取出部5の周囲に形成された第1の環状壁部8の外周面と嵌合する。これにより、蓋体6が取出部5を閉塞したときは、収納容器1の第1の環状壁部8の外周面と蓋体6の第2の環状壁部13の内周面とで嵌合し、密閉することができ、収納容器1に収納するウェットティッシュ100に含侵された液体が揮発するのを防ぐことができる。
【0025】
2.取出部
続いて、第1の環状壁部8の内側に設けられる取出部5の第1の実施の形態について説明をする。取出部5は、上蓋3の上面3aの略中央に設けられている。取出部5は、図2、図3(A)、図3(B)に示すように、ウェットティッシュ100を使用開始時等に挿通することができる取出口21を有し、この取出口21を開閉するスライダ22とからなる。スライダ22には、取出口21を閉塞したときに、ウェットティッシュ100と係合しウェットティッシュ100を1枚ずつ引き出すことができる係合孔23が設けられている。取出部5は、スライダ22をスライド移動させ、取出口21を開放した状態とすることで、容器本体4内のウェットティッシュ100を容易に挿通し、容器本体4内部から外部に臨ませることができる。また、取出部5は、スライダ22をスライド移動させ、取出口21を閉塞した状態とすることで、ウェットティッシュ100が係合孔23と係合する。
【0026】
取出部5の取出口21は、図3に示すように、略半円状であり、ウェットティッシュ100を通すことができる大きさである。この取出口21は、例えば親指と人指し指の指先を通すことができる程度の大きさであり、上蓋3の上面3a裏面側にあるウェットティッシュ100を摘むことができる大きさに形成されている。なお、取出口21の大きさは、上述に限らず、さらに大きいものとしてもよい。
【0027】
取出部5のスライダ22は、主面が略矩形の薄板からなり、取出口21を閉塞できる大きさに形成されている。スライダ22は、後述するガイド片27等により、上蓋3の上面3a裏面側でスライド可能に支持されている。スライダ22は、取出口21を閉塞する方向における先端側となる端辺22aに、係合孔23と、係合孔23と連続したスリット24と、閉塞状態を維持するために上蓋3と係合する係合片25とが設けられている。また、スライダ22は、スリット24と略直交する方向に延伸され、係合孔23と連続するスリット29が形成されている。スライダ22は、ケース2と対向する側の主面22b上でスリット29近傍に、ユーザにより当該スライダ22をスライド移動させるための摘み部26が立設されている。この摘み部26は、スリット29近傍に設けられることで、スライダ22を補強する。また、スライダ22には、端辺22aと直交する両端辺22c、22dに沿ってスライダ22をガイドする一対のガイド片27、27が係合されている。さらに、スライダ22は、スライダ22が取出口21を開放状態にする位置に設けられる、当該スライダ22のスライド移動を規制する規制片28と係合される。
【0028】
スライダ22のスライド移動をガイドする一対のガイド片27、27は、上蓋3の上面3a裏面側で、スライダ22の端辺22c、22dと対向する位置近傍に立ち上がり形成されている。この一対のガイド片27、27は、先端側が略直角に折り曲げられる折曲部27aを有し、断面が略L字状となっている。一対のガイド片27、27は、スライダ22の両端辺22c、22dのスライド移動方向をガイド規制するとともに、折曲部27a、27aにて、スライダ22の抜け止めをする。
【0029】
また、スライダ22のスライド量を規制する規制片28は、上蓋3の上面3a裏面側で、スライダ22が取出口21を開放状態にする位置に立ち上がり形成されている。この規制片28は、ガイド片27と同様に、先端側が略直角に折り曲げられる折曲部28aを有し、断面略L字状となっている。規制片28は、スライダ22が取出口21を開放状態とする方向にスライド移動されたときに、当該スライダ22の停止位置を規定するものであるとともに、折曲部28aによりスライダ22の抜け止めをする。
【0030】
スライダ22の係合孔23は、スライダ22の端辺22a上の略中央に設けられる。この係合孔23は、ウェットティッシュ100が挿通される孔である。係合孔23は、挿通されるウェットティッシュ100と当該係合孔23を構成する周壁とが摩擦係合する。そして、係合孔23では、この摩擦係合に抗って、さらにウェットティッシュ100を引き出すことで、ウェットティッシュ100とミシン目110を介して隣接した後段にあるウェットティッシュ100をミシン目110の位置で切り離す。
【0031】
また、係合孔23と連続するスリット24は、端辺22aに沿って端辺22aを切り欠いて形成される。また、スリット29は、スライダ22を、スリット24と略直交する方向に延伸するように切り欠いて形成される。スライダ22は、スリット24、29により係合孔23近傍が弾性変位することとなり、これにより係合孔23に挿通されるウェットティッシュ100に対して、ある程度の摩擦抵抗を付与する。したがって、スライダ22は、係合孔23により、挿通されるウェットティッシュ100を係合保持することができるとともに、ミシン目110において、ウェットティッシュ100を切り離すことができる。
【0032】
さらに、上蓋3の係合孔23と対向する位置には、スライダ22が取出口21を閉塞する位置にあるときに、係合孔23と連続する切欠部30が形成されている。また、上蓋3のスリット24、29と対向する位置には、切欠部30と同様に、切欠部31が形成されている。この切欠部30、31は、スライダ22の係合孔23とスリット24、29と同様に、弾性変位することとなり、係合孔23に挿通されるウェットティッシュ100に対して、ある程度の摩擦抵抗を付与する。
【0033】
取出部5は、このスライダ22のスリット24、29と、上蓋3の切欠部31とにより、図2に示すように、全体略十字状のスリットが形成されることとなる。そして、取出部5は、この略十字状のスリットの交差部に係合孔23、切欠部31が形成されることとなる。このように取出部5は、係合孔23及びこの係合孔23と連続する切欠部30にウェットティッシュ100が挿通され、ウェットティッシュ100を係合保持することができるとともに、ミシン目110において、ウェットティッシュ100を切り離すことができる。このとき、スリット24、29及び切欠部31により、スライダ22及び上蓋3が弾性変位することとなり、適度な摩擦抵抗をウェットティッシュ100に付与する。
【0034】
なお、スライダ22及び上蓋3は、スリット24、29及び切欠部31近傍で弾性変位できる程度の厚みであることは勿論である。また、取出部5では、スリット24、29、切欠部31により略十字状のスリットが形成されることについて述べたが、これに限らず、所定のパターンに形成するようにしてもよく、またスリットを設けず、係合孔23のみであってもよい。
【0035】
さらに、係合孔23の周面には、挿通されるウェットティッシュ100との係合を最適なものとするために、可撓性を有するシリコンゴムを接着するようにしてもよい。
【0036】
スライダ22の係合片25は、端辺22aから立設され、両端辺22c、22d近傍に一対形成される。係合片25は、先端に係合凸部25aを有する。この係合凸部25aは、上蓋3の上面3a裏面側に設けられる係合凹部32aと係合される。そして、係合凸部25aと係合凹部32aとが係合されることで、スライダ22を、取出口21を閉塞する位置に保持する。
【0037】
なお、係合片25は、上述のように、スライダ22に2箇所設けられることについて述べたが、これに限らず、1つ又は3つ以上設けるようにしてもよい。また、スライダ22の取出口21を閉塞する位置に維持する手段として、係合凸部25aと係合凹部32aとの係合について述べたが、これに限らず、周知の係合手段を備えるものであってもよい。
【0038】
また、取出部5では、スライダ22が、ウェットティッシュ100を引き出す方向と略直交する平面上を直線移動することについて述べたが、これに限らず、この平面上を回動移動する構成であってもよい。さらに、スライダ22は、ウェットティッシュ100を引き出す方向と略直交する平面内をスライド移動することに限らず、例えば、ガイド片27のガイド方向がウェットティッシュ100の引き出し方向にやや傾斜する方向としてもよい。
【0039】
さらに、取出部5は、上蓋3の上面3a裏面側にスライダ22、ガイド片27等が設けられることについて述べたが、これに限らず、上面3aの表面側に設けるようにしてもよい。このようにすることで、上蓋3を取り外すことなく、容器本体4内部のウェットティッシュ100を取出口21から引き出すことができ、さらに簡便な操作で、ウェットティッシュ100のセットを行うことができる。
【0040】
さらに、取出部5は、スライダ22の摘み部26を、ケース2と対向する側の主面22b上に設けることに限らない。すなわち、摘み部26をスライダ22の上蓋3の上面3a裏面と対向する側の主面に設けるようにし、この摘み部が上蓋3の上面3a表面側に臨まされるように、上蓋3に開口部を設けるようにしてもよい。このようにすることで、スライダ22のスライド移動操作を上蓋3の上面3a表面側から行うことができ、上蓋3を取り外すことなく、容器本体4内部のウェットティッシュ100を取出口21から引き出すことができる。
【0041】
このように構成される収納容器1は、取出部5のスライダ22を、取出口21を開放状態とする位置と、取出口21を閉塞状態とする位置とに亘ってスライド移動させることができる。すなわち、取出部5は、スライダ22を取出口21が開放状態となる位置にスライド移動させることで、ウェットティッシュ100を容易に挿通することができる。そして、取出部5は、スライダ22を取出口21が閉塞された状態となる位置にスライド移動させることで、ウェットティッシュ100を係合孔23に挿通された状態とすることができる。したがって、収納容器1では、取出口21を開放することができ、ウェットティッシュ100を容器本体4内部から外部に臨ませるという挿通作業を行うことができる。さらに、収納容器1では、簡便な操作により、取出口21を閉塞することができるので、ウェットティッシュ100に含浸された水分、アルコール分等の蒸散を防ぐことができる。また、収納容器1では、取出口21を閉塞するように操作することのみで、従来のようにウェットティッシュ100を係合孔23に挿通した状態とすることができる。
【0042】
3.ウェットティッシュの係合孔へのセット
次に、以上のように構成された収納容器1においてウェットティッシュ100を係合孔23に挿通した状態とする方法について説明をする。
【0043】
収納容器1では、まず前提として、容器本体4内のウェットティッシュ100が取出部5から外部に臨まされておらず、容器本体4内にあるものとする。
【0044】
ユーザは、まず、ケース2から上蓋3を取り外し、開口部2aが開放された状態にする。そして、上蓋3の上面3a裏面側にあるスライダ22を、取出口21が開放状態となる位置にスライド移動させる。このとき、ユーザは、スライダ22の摘み部26を摘むことで、容易にスライド移動させることができる。また、上蓋3には規制片28が設けられているので、スライダ22がガイド片27から抜け落ちることがない。
【0045】
次に、ユーザは、ケース2内のロール体105端部のウェットティッシュ100を掴み、取出口21に通す。このとき、取出口21は、十分な大きさを有するので、容易に通すことができる。
【0046】
次に、ユーザは、ウェットティッシュ100が取出口21に挿通された状態で、スライダ22を、取出口21が閉塞状態となる位置で、係合凸部25aが係合凹部32aと係合されるまでスライド移動させる。このスライド移動に伴い、挿通された状態のウェットティッシュ100は、係合孔23に係合される。また、スライダ22は、係合凸部25aが係合凹部32aと係合することで、閉塞状態を維持することができる。
【0047】
このようにして、収納容器1では、簡便な操作によりウェットティッシュ100を係合孔23に係合された状態とすることができる。また、収納容器1では、ウェットティッシュ100を取出部5に挿通するときにのみ、取出口21を開放状態とし、それ以外の通常使用時には、当該取出口21が閉塞状態にあることから、ウェットティッシュ100に含浸された水分、アルコール分等の蒸散を防止することができる。
【0048】
4.変形例
続いて、収納容器1の取出部5の他の実施の形態について説明をする。なお、以下においては、第1の実施の形態の収納容器1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
4−1 第2の実施の形態
第2の実施の形態として示す収納容器1の取出部40は、図4(A)、図4(B)に示すように、取出部5のスライダ22の、端辺22aと対向する端辺22e側に樹脂により成型される一対のバネ41が設けられる。そして、取出部40は、取出部5の規制片28の代わりに、バネ41により押圧される押圧面42aを有するカバー部材42が設けられている。バネ41は、一端41aがスライダ22と一連一体で蛇腹状に形成されている。そして、バネ41は、カバー部材42の押圧面42aを押圧して、スライダ22を、取出口21を閉塞する方向に付勢する。
【0050】
なお、バネ41は、上述のように、樹脂成型されるものであることに限らず、スライダ22を付勢することができるものであれば、いかなるものであってもよい。ただし、バネ41は、容器本体4内側に配設されることから、金属製のバネを用いる場合には、防錆処理されたものが好ましい。
【0051】
取出部40では、スライダ22にバネ41が設けられており、スライダ22を取出口21を閉塞する方向に付勢するので、ユーザによりスライダ22を、取出口21を閉塞する方向にスライド移動させる必要がなく、スライダ22を手離すだけで、取出口21を閉塞する位置にスライド移動する。したがって、取出部40では、取出口21にウェットティッシュ100を挿通し、スライダ22を手離すだけで、自動的に当該ウェットティッシュ100が係合孔23に係合された状態となる。
【0052】
4−2 第3の実施の形態
第3の実施の形態として示す収納容器1の取出部50は、図5(A)、図5(B)に示すように、取出部5のスライダ22と同様に、取出口21を開閉するようにスライド移動するスライダ51を有する。この取出部50のスライダ51及びスライダ51をガイドするガイド片27は、上蓋3の上面3a表面側に設けられている。
【0053】
取出部50の取出口21は、図5(A)に示すように、略半円形状であり、ウェットティッシュ100を通すことができる大きさである。
【0054】
取出部50のスライダ51は、主面が略矩形の薄板からなり、取出口21を閉塞できる大きさに形成されている。スライダ51は、取出口21を閉塞したときに取出口21の周面と接することがない位置(図5(B)参照)に設けられる係合孔52と、係合孔52と連続し略十字形状に形成された4本のスリット53とからなる。また、スライダ51は、取出口21を閉塞する方向における先端側となる端辺51a側に向かって延びたスリット53が、端辺51aに亘って形成されている。すなわち、この端辺51a側のスリット53は、係合孔52と端辺51aとを連結するスリットとなっている。これにより、取出部50では、開放状態にある取出口21からウェットティッシュ100を挿通した後は、スライダ51を取出口21を閉塞する位置にスライド移動させることで、挿通されたウェットティッシュ100が端辺51a側のスリット53を通って係合孔52に係合されることとなる。このとき、スライダ51のスライド移動に応じて、挿通されたウェットティッシュ100は、取出口21の係合凹部32a側にある周面54に押され、端辺51a側のスリット53を通って、係合孔52に至ることとなる。
【0055】
また、取出部50では、スライダ51が上蓋3の上面3a表面側に設けられていることから、ウェットティッシュ100を係合孔52に挿通した状態とする挿通作業の際に、上蓋3を取り外す必要がなく、さらに操作性に優れている。
【0056】
4−3 第4の実施の形態
第4の実施の形態として示す収納容器1の取出部60は、スライダ22の代わりに、図6乃至図7に示すような略扇形に形成された4つのスライダ61を有する。また、取出部60は、ガイド片27の代わりに、ボス62と一対の傾斜凸部62aとが立設され、このボス62及び一対の傾斜凸部62aにガイドされてスライダ61が放射状にスライド移動する。この取出部60のスライダ61及びスライダ61をガイドするボス62、傾斜凸部62aは、上蓋3の上面3a表面側に設けられている。また、スライダ61は、図6(A)に示すように、ウェットティッシュ100を引き出す方向に略直交する平面に対し、やや傾斜した方向にスライドする。
【0057】
取出部60の取出口21は、図6(B)に示すように、略円形状であり、ウェットティッシュ100を通すことができる大きさである。
【0058】
取出部60のスライダ61は、主面が略扇形の薄板からなり、4つのスライダ61により取出口21を閉塞できる大きさに形成されている。4つのスライダ61は、取出口21を閉塞したときに取出口21の略中心に位置する係合孔63と、係合孔63と連続し4つのスライダ61により略十字形状となるスリット64とからなる。また、各スライダ61は、略扇形の半径に沿って、ボス62が摺接するガイド溝65が形成されている。
【0059】
ボス62及び一対の傾斜凸部62aは、上蓋3の上面3a表面側に立設される。ボス62は、その断面が略矩形に形成されている。ボス62は、スライダ61のガイド溝65と係合し、スライダ61のスライド移動方向を規制する。また、一対の傾斜凸部62aは、ボス62を挟むように、スライダ61のスライド移動方向に平行に設けられている。この傾斜凸部62aは、図7(A)、図7(B)に示すように、ボス62の取出口21側の端部から取出口21に向かってその高さが増す傾斜が設けられている。スライダ61は、この傾斜凸部62aにガイドされて、上蓋3の上面3aに対して傾斜した方向にスライド移動する。また、ガイド溝65には、その側面に複数の突部65aが形成されている。そして、この突部65aは、スライダ61の、ボス62に対するスライド移動を規制する。この突部65aにより、スライダ61のスライド位置を固定することができ、係合孔63、すなわちウェットティッシュ100が挿通する孔の大きさを可変とすることができる。
【0060】
係合孔63は、各スライダ61の扇形の中心を切り欠いて形成される。また、スリット64は、係合孔63と連続して切り欠いて形成される。
【0061】
取出部60では、開放状態にある取出口21からウェットティッシュ100を挿通した後は、図7(B)に示す状態から図7(A)に示す状態に、4つのスライダ61を取出口21を閉塞する位置にスライド移動させることで、挿通されたウェットティッシュ100が係合孔63に係合されることとなる。このとき、取出部60は、傾斜凸部62aにより各スライダ61が上面3aに対して傾斜する方向にスライド移動することとなり、取出口21を閉塞する位置において、係合孔63が最上位にある全体形状が略山状となる。このような取出部60は、ウェットティッシュ100が引き出される方向に傾斜することとなり、係合孔63が最上位に位置することから、通常使用時においてウェットティッシュ100が係合孔63から外れにくく、係合された状態が維持される。
【0062】
なお、取出部60は、4つのスライダ61がスライド移動することについて述べたが、これに限らず、4つ以上設けて、取出口21を開閉するスライダであってもよい。また、傾斜凸部62aは、ボス62を挟むように一対設けられることに限らず、1つ又は3つ以上設けるようにしてもよい。
【0063】
4−4 第5の実施の形態
第5の実施の形態として示す収納容器1の取出部70は、ガイド片27によりガイドされて直線移動するスライダ22の代わりに、図8(A)乃至図8(C)に示すように、回動移動するスライダ71を有する。
【0064】
取出部70の取出口21は、図8(B)に示すように、略扇形状であり、ウェットティッシュ100を通すことができる大きさである。
【0065】
取出部70のスライダ71は、主面が略扇形の薄板からなり、回動軸72により上蓋3に回動可能に取り付けられている。このスライダ71は、取出口21を閉塞できる大きさに形成されている。スライダ71は、上蓋3の上面3a裏面側に設けられ、回動軸72を中心にウェットティッシュ100が引き出される方向に直交する平面内、すなわち上蓋3の上面3aと略平行な面内を回動しながらスライドする。また、スライダ71は、係合孔23と重なる部分に係合孔23の一部を構成する切欠部71aが形成されている。スライダ71の回動軸72は、図8(C)に示すように、上蓋3の上面3a表面側に臨まされており、この回動軸72を摘んで回動操作することで、スライダ71のスライド移動を行うことができる。
【0066】
また、取出部70は、図8(B)に示すように、係合孔23と取出口21とを連結する部位に、取出口21側に張り出す突出片73が設けられている。この突出片73は、取出口21からウェットティッシュ100を挿通し、スライダ71により取出口21を閉塞するときに、当該ウェットティッシュ100がスライダ71と取出口21周縁とに挟み込まれることを防止するものである。すなわち、突出片73は、スライダ71により取出口21を閉塞するときに、挿通されたウェットティッシュ100が確実に係合孔23に導かれて係合されるようにするためのものである。
【0067】
なお、スライダ71は、上述のように扇形に形成されることに限らず、例えば略半円状の取出口21を閉塞する略半円状とするものであってもよい。
【0068】
4−5 第6の実施の形態
第6の実施の形態として示す収納容器1の取出部80は、取出部5のスライダ22の代わりに、図9(A)乃至図9(C)に示すように、回動移動するスライダ81を有する。
【0069】
取出部80の取出口21は、図9(B)、図9(C)に示すように、長穴形状であり、ウェットティッシュ100を通すことができる大きさである。取出口21は、長穴を構成する両長辺の略中心近傍に、略円弧状の切欠部83が形成されている。この切欠部83は、ウェットティッシュ100が係合する係合孔23の一部を構成する。
【0070】
取出部80のスライダ81は、主面が略円形の薄板からなり、取出口21と略同一形状の長穴82が形成されている。スライダ81は、取出口21と同様に、長穴82を構成する両長辺の略中心近傍に略円弧状の切欠部84が形成されている。スライダ81は、略円形の中心点を中心にスライド回動できるように、上蓋3の上面3aに取り付けられている。このスライダ81は、回動することにより、係合孔23を除いて取出口21を閉塞する。スライダ81は、上蓋3の上面3a表面側に設けられ、略円形の中心点を中心にウェットティッシュ100が引き出される方向に直交する平面内、すなわち上蓋3の上面3aと略平行な面内を回動しながらスライドする。
【0071】
取出部80は、図9(B)に示すように、スライダ81の長穴82を取出口21と重なる位置とすることで、取出口21を開放した状態とする。これにより、容器本体4内のウェットティッシュ100を引き出すことができる。そして、スライダ81をスライド回動することで、図9(C)に示すように、取出口21を閉塞する。これにより、取出口21の切欠部83とスライダ81の切欠部84とで、略円形が形作られ係合孔23となる。そして、取出口21を挿通されたウェットティッシュ100は、スライダ81の回動移動により、係合孔23に係合されることとなる。
【0072】
このようにして、各取出部40、50、60、70、80では、取出部5と同様に、簡便な操作によりウェットティッシュ100が係合孔に係合された状態とすることができる。また、取出部40、50、60、70、80を有する収納容器では、ウェットティッシュ100を取出部40、50、60、70、80に挿通するときにのみ、取出口21を開放状態とし、それ以外の通常使用時には、当該取出口21が閉塞状態にあることから、ウェットティッシュ100に含浸された水分、アルコール分等の蒸散を防止することができる。
【0073】
なお、上述の取出部40、50、60、70、80は、これに限定されるものではなく、これらの取出部の構成を如何様に組み合わせるようにしてもよい。例えば、第3の実施の形態として示した取出部50に、取出部40のバネ41を設けるようにしてもよく、第5の実施の形態において示した突出片73を他の取出部に設けるようにしてもよい。また、取出部のスライダを上蓋3の上面3a裏面側に設けず、上面3a表面側に設けるようにしてもよい。このようにすると、挿通作業の際に、スライダを操作するために、上蓋3を取り外す作業を省略することができ、さらに、操作性が向上する。
【符号の説明】
【0074】
1 収納容器、2 ケース、2a 開口部、3 上蓋、3a 上面、4 容器本体、5、40、50、60、70、80 取出部、6 蓋体、6a 指掛部、7 凹部、8 第1の環状壁部、9 回動支持部、11 指掛用凹部、12 回動支持部用凹部、13 第2の環状壁部、21 取出口、22、51、61、71、81 スライダ、23 係合孔、24、29 スリット、25 係合片、25a 係合凸部、26 摘み部、27 ガイド片、28 規制片、30、31 切欠部、32a 係合凹部、73 突出片、100 ウェットティッシュ、105 ロール体、110 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体の長手方向に所定の間隔でミシン目が形成されたウェットティッシュのロール体を収納する容器本体と、
上記容器本体に形成された上記ウェットティッシュを取り出す取出口を有する取出部と、
上記取出部を開閉する蓋体とを備え、
上記取出部は、上記取出口を開閉するスライダを有し、該スライダをスライドさせて該取出口を閉塞したときに、上記ウェットティッシュと係合し該ウェットティッシュを1枚ずつ引き出す係合孔が設けられる収納容器。
【請求項2】
上記スライダは、上記取出口を閉塞するスライド方向における該スライダの先端部に、該取出口を閉塞したときの上記係合孔となる切り欠きが形成されている請求項1記載の収納容器。
【請求項3】
上記スライダは、該スライダの主面上に上記係合孔を有し、該取出口を閉塞するスライド方向における該スライダの先端部から該係合孔に亘ってスリットが形成されている請求項1記載の収納容器。
【請求項4】
上記スライダは、上記ウェットティッシュを引き出す引出し方向に対して直交する平面内を回動移動する請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項記載の収納容器。
【請求項5】
上記スライダは、上記ウェットティッシュを引き出す引出し方向に対して直交する平面に対し傾斜した平面内をスライド移動する請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項記載の収納容器。
【請求項6】
上記取出部は、上記スライダを複数有し、各スライダがスライドして近接離間する請求項1又は2記載の収納容器。
【請求項7】
上記取出部は、上記スライダがスライドして上記取出口を閉塞した位置で該スライダを係止する係止部を有する請求項1乃至6のうちのいずれか1項記載の収納容器。
【請求項8】
上記スライダは、上記取出口を閉塞するスライド方向に付勢する付勢手段が設けられる請求項1乃至7のうちのいずれか1項記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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