説明

収納装置

【課題】
簡易な構成により蓋体が不所望に閉じることを防止できる収納装置を提供する。
【解決手段】
収納装置1は、上方に開口5を有する装置本体2と、少なくとも前方側および両側方側にそれぞれ側壁16,18,18を有し、装置本体2の開口5を覆うように後方側を回転軸として開閉可能に設けられた蓋体3と、蓋体3が上方に開放された状態で、上端23aが蓋体3の内面15b側に下端23bが装置本体2の底面6側にそれぞれ当接して蓋体3の開放状態を保持する支柱23と、支柱23に固定され支柱23から装置本体2の外方側に延在するとともに蓋体3の側壁18,18および装置本体2の側面9aに対向するように設けられた規制部材24,25とを有する支持体4とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、開閉される蓋体を備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば舞台やスタジオの照明を制御する照明制御システムは、複数個の照明負荷を制御する複数個の調光器と、この調光器に対して照明負荷の制御を指示する制御信号を出力する調光操作卓(収納装置)とを備えている。この調光操作卓は、概して装置本体(筐体)および蓋体を有して形成され、ヒンジ機構により蓋体を開閉可能にしている。蓋体には、使用者によって操作されるスイッチやフェーダ等を備える操作部が配設され、装置本体内には、操作部の操作に応じた制御信号を生成して調光器に出力する制御装置などが配設されている。
【0003】
調光操作卓は、装置本体内の制御装置等に対する点検、調整や交換などのメンテナンス作業時に、蓋体が上方に開放され、この開放された状態でメンテナンス作業が行われる。この蓋体の開放を維持する手段として、通常、ステーが用いられている(例えば特許文献1参照。)。このステーは、蓋体の開放状態を保持する機能を有しており、ロックピンが手動で収納孔に差し込まれるロック機構を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−48208号公報(第2頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステーは、そのロック構造の高機能化などにより、その分、コストアップとなっている。しかし、蓋体を開放して行われるメンテナンス作業は、頻繁に行われるものではないので、コストアップを避けた簡易的なステーが望まれている。また、ステーは、装置本体の両側に設けられるので、相応の取付スペースを要し、収納装置の小型化が阻害される要因となっている。
【0006】
本発明の実施形態は、蓋体が不所望に閉じることを簡易な構成により防止できる収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の収納装置は、装置本体、蓋体および支持体を有して構成される。
【0008】
装置本体は、上方に開口を有するように形成される。
【0009】
蓋体は、少なくとも前方側および両側方側にそれぞれ側壁を有するように形成され、装置本体の開口を覆うように後方側を回転軸として開閉可能に設けられる。
【0010】
支持体は、支柱と規制部材とを有して形成される。支柱は、蓋体が上方に開放された状態で、上端が蓋体の内面側に下端が装置本体の底面側にそれぞれ当接して蓋体の開放状態を保持する。また、規制部材は、支柱に固定され支柱から装置本体の外方側に延在するように形成されて、蓋体の側壁および装置本体の側面に対向するように設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、収納装置は、蓋体の内面側および装置本体の底面側にそれぞれ当接して蓋体の開放状態を保持する支柱と、この支柱に固定されて蓋体の側壁および装置本体の側面に対向する規制部材とを有する支持体を具備するので、支持体に人や物がぶつかったときに規制部材が蓋体の側壁または装置本体の側面に当たって支柱の移動を規制することにより、支柱が蓋体の内面側および装置本体の底面側から外れなく、蓋体が不所望に閉じることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示す収納装置の概略正面図である。
【図2】同じく、収納装置の概略側面図である。
【図3】同じく、支持体の概略正面図である。
【図4】同じく、規制部材の取付状態を示す支持体の一部概略正面図である。
【図5】同じく、支持体により蓋体が開放された状態を示す収納装置の概略斜視図である。
【図6】同じく、一方の支持体側における収納装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態の収納装置1は、図1ないし図6に示すように構成されている。なお、各図において、同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0015】
図5において、収納装置1は、照明負荷を調光点灯させるための調光操作卓であり、装置本体2、蓋体3および支持体4を有して構成されている。
【0016】
装置本体2は、例えば鉄板により大型に形成されているとともに、上方に開口5を有する長方形の略箱形に形成されている。すなわち、装置本体2は、長方形の底面6を有し、この底面6の四方側端に正面側側壁7、背面側側壁8、側面側側壁9,9がそれぞれ底面6に起立するように設けられている。正面側側壁7は、その上端7aが前方側にやや傾斜するように設けられ、背面側側壁8および側面側側壁9,9は、底面6に対してほぼ直交するように設けられている。そして、背面側側壁8は、正面側側壁7よりも起立長が大きくなるように形成され、側面側側壁9,9は、正面側側壁7から背面側側壁8に向かって直線上に傾斜している。
【0017】
装置本体2の底面6には、電気装置としての電源装置10および照明負荷を制御する制御装置11等や配線などが設けられている。また、底面6には、2組が並設された一対の固定部材12,12が直線上に設けられている。一対の固定部材12,12は、支持体4を取り付けるものである。そして、図2に示すように、装置本体2の下面13には、4隅側を含む複数箇所に支持脚14が設けられている。
【0018】
蓋体3は、装置本体2の開口6を覆うように設けられたものであり、例えば鉄板により、平面状の平板部15、この平板部15の前方側、後方側および両側方側にそれぞれ側壁16,17,18,18が形成されている。前方側の側壁16は、前方側に先端が突出するような断面半円形状をなすように丸み16aを有して形成されている。
【0019】
図5に示すように、側壁16,17,18,18は、平板部15の下面15bから幾分垂下し、装置本体2の正面側側壁7、背面側側壁8、側面側側壁9,9がそれぞれ内側となるようにかつそれらよりも幾分幅広に形成されている。そして、後端側の側壁17は、複数個のヒンジ19により、装置本体2の背面側側壁8と連結されている。こうして、蓋体2は、装置本体2に対してヒンジ19を回転軸として回転可能に設けられており、閉じられたときにその平面部15が装置本体2の開口5を覆うように形成されている。蓋体3が装置本体2の開口5を覆っているとき、装置本体2の正面側側壁7および側面側側壁9,9は、蓋体3の平板部15の下面15bに当接し、蓋体3を支持している。
【0020】
そして、図1に示すように、平板部15の上面15a側には、手動操作される多数のフェーダ20やスイッチ21等からなる操作部22が配設されている。この操作部22は、図5に示すように、配線により装置本体2の底面6側に配設されている制御装置11等に接続されている。当該制御装置11は、操作部22の操作に応じて負荷を制御するものである。
【0021】
支持体4は、図3に示すように、長い直線状の支柱23と、L形に形成された一対の規制部材24,25と、この規制部材24,25をそれぞれ支柱23に取り付ける接続体26,26を有して形成されている。
【0022】
支柱23は、金属例えばステンレス(SUS)からなり、円筒に形成されている。そして、上端23a側および下端23b側には、それぞれゴムキャップ27,27が被着されている。支柱23は、その上端23aおよび下端23b間において、蓋体3の重量に十分に耐える強度を有している。
【0023】
支持体4は、蓋体3が装置本体2に対して開放された状態を維持するように、装置本体2の底面6側および蓋体3の平板部15の下面15b側に設けられる。すなわち、蓋体3が装置本体2に対して上方に開放された状態で、支柱23の上端23aがゴムキャップ27を介して蓋体3の平板部15の内面15b側に当接し、その下端23bがゴムキャップ27を介して装置本体2の底面6側に当接するように、装置本体2および蓋体3の間に設けられ、蓋体3の開放状態を保持する。ゴムキャップ27,27は、金属製の支柱23により、蓋体3の内面15b側および装置本体2の底面6側が傷付かないようにするものである。
【0024】
規制部材24,25は、所定の肉厚および幅を有する金属板例えば鉄板からなり、それぞれ1枚の平板を略直角に折曲して、水平部24a,25aおよび鉛直部24b,25bに形成している。当該肉厚は、例えば0.8〜2.0mmに設定され、当該幅は、例えば50〜150mmに設定される。水平部24a,25aは、それぞれ接続体26,26により支柱23に固定されている。垂直部24b,25bは、支柱23から外方側に延在するように水平部24a,25aに設けられている。そして、図6に示すように、支柱23が装置本体2および蓋体3の間に設けられたときに、鉛直部24bは、蓋体3の外側において、その側壁18に対向するように支柱23から蓋体3(装置本体2)の外方側に延在する大きさに形成されている。また、鉛直部25bは、装置本体2の外側において、その側方側側壁9の側面9aに対向するように支柱23から装置本体2の外方側に延在する大きさに形成されている。蓋体3の側壁18は、装置本体2の側方側側壁9よりも外方側に位置するので、鉛直部24bは、鉛直部25bよりも支柱23から大きく延在している。
【0025】
接続体26,26は、市販のケーブルクランプ(例えばオーム電機株式会社、型式OA−W1608)からなっている。図4に示すように、接続体26は、ナイロン66からなるニップル27の両側にねじ部28,29が形成されている。このねじ部28,29にそれぞれナイロン66からなる締付キャップ30およびロックナット31が螺合される。そして、中心軸方向の図示しない貫通孔に上端23a側から支柱23を挿通させて、締付キャップ30をねじ部28に締め付けることにより、接続体26は、支柱23に固定される。
【0026】
規制部材24は、前もって水平部24aにねじ部29が挿通可能な図示しない孔が形成されている。この孔にねじ部29を挿通させて、ねじ部29にロックナット31を締め付けることにより、規制部材24は、接続体26に固定される。規制部材24は、接続体26が支柱23に取り付けられる前に、接続体26に取り付けられる。そして、規制部材24は、接続体26の周方向の任意の箇所に固定可能である。接続体26が支柱23に取り付けられた後に、支柱23の上端23aにゴムキャップ27が取り付けられる。そして、規制部材25も、規制部材24と同様にして、支柱23に取り付けられる。
【0027】
接続体26,26は、その締付キャップ30を緩めることにより、支柱23の長手方向に沿って移動可能となる。したがって、支持体4の規制部材24,25は、支柱23に装着された状態で支柱23の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0028】
図5において、支持体4は、その支柱23の上端23a側および下端23b側が装置本体2の底面6側に設けられた一対の固定部材12,12に取り付けられる。固定部材12,12は、支柱23を挟み込んで固定する既存の構成により形成されている。支持体4は、蓋体3が装置本体2に閉じられたときに、装置本体2内に収納される。
【0029】
次に、本発明の実施形態の作用について述べる。
【0030】
収納装置1内のメンテナンスを行うとき、蓋体3を上方に開放し、その開放状態を維持する必要がある。このため、支持体4を装置本体2および蓋体3の間に取り付けて、蓋体3を支えるようにする。
【0031】
まず、蓋体3を上方に持ち上げて、装置本体2内に収納されている2個の支持体4を固定部材12,12から取り外す。ここで、規制部材24,25の位置調整を要するときには、接続体26の締付キャップ30を緩めて、規制部材24,25をそれぞれ支柱23の長手方向に沿って移動可能にする。この後、規制部材24の鉛直部24bを蓋体3の側方側の側壁18に対向できるように、規制部材24を支柱23の上端23a側に移動させ、接続体26の締付キャップ30を締め付けて支柱23に固定する。また、規制部材25の鉛直部25bを装置本体2の側面側側壁9の側面9aに対向できるように、規制部材25を支柱23の下端23b側に移動させ、接続体26の締付キャップ30を締め付けて支柱23に固定する。これを2個の支持体4に対して行う。
【0032】
そして、蓋体3を上方に大きく持ち上げた状態で、一方の支持体4を装置本体2および蓋体3の間に入れて、支柱23の下端23b側を装置本体2の開口5から正面側側壁7および左側面側側壁9の内側に挿入する。そして、規制部材25の鉛直部25bが左側面側側壁9の側面9aに近接または接触し、支柱23の下端23b側が正面側側壁7に近接または接触するようにして、支柱23の下端23bを装置本体2の底面6に当接させる。
【0033】
そして、他方も同様に行う。すなわち、他方の支持体4に対して、その規制部材25の鉛直部25bが装置本体2の右側面側側壁9の側面9aに近接または接触し、支柱23の下端23b側が装置本体2の正面側側壁7に近接または接触するようにして、支柱23の下端23bを装置本体2の底面6に当接させる。
【0034】
そして、蓋体3を下方に下ろし、各支持体4の支柱23の上端23aを蓋体3の平板部15の下面15bに当接させる。このとき、規制部材24の垂直部24bが蓋体3の側方側の側壁18に近接または接触するようにし、支柱23の上端23a側が蓋体3の前方側の側壁16に近接または接触するようにする。これにより、支持体4の支柱23は、その上端23aが蓋体3の内面15b側に、その下端23bが装置本体2の底面6側にそれぞれ当接して、蓋体3の開放状態を保持(維持)するようになる。
【0035】
そして、メンテナンス作業時において、支持体4の支柱23に人や物が不用意にぶつかった場合でも、規制部材24の鉛直部24bが蓋体3の側方側の側壁18に当接して移動しなく、規制部材25の鉛直部25bが装置本体2の側面側側壁9の側面9aに当接して移動しないので、規制部材24,25が固定されている支柱23も移動しなくなる。また、装置本体2の内側から側方側の外側の方向に力が作用するように、人等が支柱23にぶつかると、支柱23の上端23a側が蓋体3の側方側の側壁18に当接し、下端23b側が装置本体2の側面側側壁9に当接するので、支柱23は移動しない。
【0036】
このように、本実施形態の収納装置1は、支持体4の支柱23に人や物がぶつかっても、支柱23の移動が規制されるので、支柱23が蓋体3の内面15b側および装置本体2の底面6側から外れなくなる。これにより、蓋体3が不所望に閉じることを防止できる。
【0037】
そして、支持体4は、支柱23、一対の規制部材24,25および接続体26,26を有する簡易な構成であるので、安価にする形成することができ、これにより、収納装置1を安価にできるという効果を有する。
【0038】
また、支持体4は、その規制部材24,25が支柱23に装着された状態で接続体26,26により支柱23の長手方向に移動可能に設けられているので、寸法の異なる収納装置1や別の収納装置において、蓋体3の側方側の側壁18,18の起立長および装置本体2の側面側側壁9の起立長などに応じて、支柱23における固定位置を自由に調整できるという効果を有する。また、規制部材24,25は、接続体26,26により支柱23に着脱されるので、全長の異なる複数の支柱23に対しても取り付けることができ、汎用性が向上するという効果を有する。
【0039】
また、支持体4は、装置本体2の固定部材12,12に取り付けられて装置本体2内に収納されるので、保管場所が確保されて、メンテナンス時に直ぐに取り出すことができるとともに、紛失などを防止することができるという効果を有する。
【0040】
そして、蓋体3の上面15a側に負荷を制御するための手動操作部22が配設され、装置本体2内に負荷制御用の電気装置としての電源装置10や制御装置11等が配設される調光操作卓などの収納装置1は、蓋体開閉用のステーを用いないので、ステー分の寸法を小さくすることができて、その分の小型化を図ることができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0041】
1…収納装置、 2…装置本体、 3…蓋体、 4…支持体、 9a…側面、 10…電気装置としての電源装置、 11…電気装置としての制御装置、 12,12…固定部材、 16,18…側壁、 22…操作部、 23…支柱、 24,25…規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有する装置本体と;
少なくとも前方側および両側方側にそれぞれ側壁を有し、前記装置本体の開口を覆うように後方側を回転軸として開閉可能に設けられた蓋体と;
この蓋体が上方に開放された状態で、上端が前記蓋体の内面側に下端が前記装置本体の底面側にそれぞれ当接して前記蓋体の開放状態を保持する支柱と、この支柱に固定され前記支柱から前記装置本体の外方側に延在するとともに前記蓋体の側壁および前記装置本体の側面に対向するように設けられた規制部材とを有する支持体と;
を具備していることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記支持体の規制部材は、前記支柱に装着された状態で前記支柱の長手方向に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記装置本体は、その底面側に固定部材を有し、この固定部材に前記支柱の上端側および下端側をそれぞれ取り付けて前記支持体を収納していることを特徴とする請求項1または2記載の収納装置。
【請求項4】
前記蓋体は、その上面側に負荷を制御するための手動操作部が配設され、前記装置本体は、その内部に前記負荷制御用の電気装置が配設されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171678(P2012−171678A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38446(P2011−38446)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】