説明

取っ手付き包装用袋

【課題】 取っ手部分の強度に優れると共に、指の挿入に適した形態を維持でき、持ち運びの際などにおける取扱性及び利便性に優れた取っ手付き包装用袋を提供すること。
【解決手段】
本発明は、前後の胴フィルム1,2の側縁部に折込フィルム3をシールすることで、収容部5を形成してなる取っ手付き包装用袋10であって、前記両胴フィルム1,2の一部を収容部5より外方に延ばした帯状の延長部6を設け、当該延長部6の先端部6a同士を融着することで、折込フィルム3と延長部6とによって形成される指入空間7を備えた取っ手Hを形成し、内容物Pを収容した包装用袋の持ち運びに適するようにしたことを特徴とする取っ手付き包装用袋10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粉、固形物、それらの混合物など、様々な内容物を収容するのに適した取っ手付き包装用袋に関するものであって、より詳細には、取っ手部分の強度に優れると共に、指の挿入に適した形態を維持でき、持ち運びの際の取扱性に優れた取っ手付き包装用袋に関するものである。
また、本発明は、内容物を収容した商品としての包装用袋の店舗内における展示作業、顧客による商品の取り出し、レジ打ち作業、内容物の注出などをスムーズに行うことができる取っ手付き包装用袋であって、販売効率及び利便性にも優れた取っ手付き包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、取っ手付き包装用袋としては、図16(A)及び図16(B)に示すような可撓袋50,60が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図16(A)に示す可撓袋(軟質自立袋)50は、表裏の胴部シート51の上縁部と側縁部を互いに熱融着等により接合するとともに、両胴部シート51の下縁部に底部シートの周縁部を熱融着等により接合したものである。
【0004】
この従来の可撓袋50は、上縁接合部52の中央部に注ぎ口予定部53を備え、上縁接合部52の両端部に張出部54を備えている。
そして、両方の張出部54に丸孔状指かけ部55を備えており、これらの指かけ部55に指をかけることで、注ぎ口予定部53に設けられる注ぎ口から内容物を注出する際に両張出部54を互いに引き寄せ、注ぎ口を開いて内容物を注出し易くすることができるものである。
【0005】
しかしながら、この従来の可撓袋50に設けられた丸孔状指かけ部55は、そもそも可撓袋50を持ち運ぶために指を挿入することを意図して構成されているものではないため、可撓袋50を持ち運ぶための取っ手として好適に用いることができるものではない。
【0006】
さらに、この従来の可撓袋50のように、フィルムの表面に孔や切り込みを設ける方法によって取っ手を形成すると、孔や切り込みの周囲の強度が低下するおそれがあるという問題がある。
【0007】
また、図16(B)に示す可撓袋60は、2枚の胴部シート61を上縁接合部62の両端部から延長し、その張出部63を構成する2枚の胴部シート61の延長外端部だけを接合部64とし、他の部分を非接合部65とすることで、非接合部65の2枚の胴部シート61が挟む空洞部分を帯状指かけ部66としているものである。
【0008】
この従来の可撓袋60においては、フィルムの表面に孔や切り込みを設けて指かけ部66を形成しているものではないが、かかる指かけ部66を設けている理由は、前記可撓袋50の指かけ部55と同様に指かけ部66に指をかけることで、注ぎ口予定部67に設けられる注ぎ口から内容物を注出する際に両張出部63を互いに引き寄せ、注ぎ口を開いて内容物を注出し易くするためである。
【0009】
従って、この従来の可撓袋60においても、前記従来の可撓袋50と同様に、指かけ部66が可撓袋50を持ち運ぶために指を挿入することを意図して構成されているものではなく、内容物を入れた状態において、指かけ部66を構成する前後のフィルムは互いに密着しており、指かけ部66へ指をスムーズに挿入することはできない。
【0010】
上記のような理由により、従来の可撓袋60においても、内容物を収容した可撓袋60を持ち運ぶための取っ手として指かけ部66を好適に用いることができるものではない。
【0011】
即ち、これら従来の可撓袋50,60においては、内容物の充填された可撓袋50,60を持ち運ぶ際に丸孔状指かけ部55及び帯状指かけ部66を用いることは全く考慮されていなかった。また、1つの丸孔状指かけ部55及び指かけ部66に複数本の指をスムーズに挿入することができるようには構成されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−145288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来の取手付き包装用袋において、取っ手部分の強度が不足したり持ち運びの際の取扱性及び利便性に劣っていることであり、本発明の目的は、取っ手部分の強度に優れると共に、指の挿入に適した形態を維持でき、持ち運びの際の取扱性に優れた取っ手付き包装用袋を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、内容物を収容した商品としての包装用袋の店舗内における展示作業、顧客による商品の取り出し、レジ打ち作業、内容物の注出などをスムーズに行うことができる利便性に優れた取っ手付き包装用袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、「前後の胴フィルムの側縁部に折込フィルムをシールすることで、収容部を形成してなる取っ手付き包装用袋であって、前記両胴フィルム又は折込フィルムの一部を収容部より外方に延ばした帯状の延長部を設け、当該延長部の先端部同士を融着することで、折込フィルムと延長部とによって形成される指入空間を備えた取っ手を形成し、内容物を収容した包装用袋の持ち運びに適するようにした取っ手付き包装用袋。」を最も主要な特徴とするものである。
【0016】
前記延長部は、前記両胴フィルム及び折込フィルムの一部を収容部より外方に延ばすことで形成されており、当該延長部の先端部において胴フィルム同士を融着することで指入空間を備えた取っ手を形成するようにしてもよい。
【0017】
また、前記指入空間を構成する取っ手の内周面において、収容部より外方に延びている延長部の長さは、収容部と接する折込フィルムの長さよりも長くなるように形成されていてもよく、また、前記延長部は、その基端部が収容部に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていてもよい。
【0018】
さらに、前記包装用袋は、内容物を収容した包装用袋が自立できるような底部を備えており、前記延長部は、包装用袋の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されていてもよい。
【0019】
本発明における前記延長部は、収容部の両側に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記の構成により、本発明の取っ手付き包装用袋は、取っ手部分の強度に優れると共に、指の挿入に適した形態を維持でき、持ち運びの際などにおける取扱性及び利便性に優れた取っ手付き包装用袋として使用できる。
【0021】
即ち、上記のように本発明による取っ手付き包装用袋の取っ手は、1)折込フィルムが広げられることで指入空間の下部を常に指の挿入に適した開口状態とすることができること、2)収容部より外方に延びている延長部が包装用袋の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されていること、3)前記延長部の基端部が収容部に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、4)前記取っ手の内周面において延長部の長さが収容部と接する折込フィルムの長さよりも長くなるように形成されていることにより、指の挿入を常にスムーズに行うことができるばかりか、取っ手を持つことで内容物を注出する際に収容部が自然に傾斜するため、内容物の注出をスムーズに行うこともできる。
【0022】
しかも、前記延長部は、その基端部が収容部に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、指に沿ったヒートシールにより、取っ手の強度を高く維持することができるとともに、指にフィルムの切断面が当接することもなく、指に痛みを感じることもない。
【0023】
また、取っ手は、先端に向かうに従って徐々に細く収束する形状となっているため、取っ手の上面及び下面にホコリが蓄積しにくいという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例1のシール部分を斜線で示す正面図である。
【図3】図3は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例1の取っ手部分における断面形状の概略を示す図である。
【図4】図4は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例1に内容物を収納した状態を示す底面図である。
【図5】図5は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋を製造する際における胴フィルムと折込フィルムの配置を示す斜視図である。
【図6】図6は胴フィルムと折込フィルムにヒートシールを施して切断する前の本発明を具体化した取っ手付き包装用袋を示す正面図である。
【図7】図7は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋に注出具を取り付ける場合を示す正面図である。
【図8】図8は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の取っ手の強度を引張試験機にて測定している様子を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋を持ち運ぶ際に取っ手のシール部分に力が加えられる様子を示す斜視図である。
【図10】図10は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の各種の変形例の取っ手部分における断面形状の概略を示す図である。
【図11】図11は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の変形例のシール部分を斜線で示す正面図である。
【図12】図12は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の各種の変形例の取っ手部分における断面形状の概略を示す図である。
【図13】図13は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例2のシール部分を斜線で示す正面図である。
【図14】図14は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例3を示す斜視図である。
【図15】図15は本発明を具体化した取っ手付き包装用袋の実施例4を示し、(A)は包装用袋の斜視図、(B)はシール部分を斜線で示す正面図である。
【図16】図16は従来の包装用袋(可撓袋)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、前後の胴フィルムの側縁部に折込フィルムをシールすることで、収容部を形成した包装用袋において、前記胴フィルム又は折込フィルムの一部を収容部より外方に延ばした帯状の延長部を設け、当該延長部の先端部同士を融着することで、折込フィルムと延長部とによって形成される指入空間を備えた取っ手を形成し、内容物を収容した包装用袋の持ち運びに適した取っ手を形成した取っ手付き包装用袋である。
【0026】
本発明の取っ手付き包装用袋を製造する際に使用される胴部フィルム及び折込フィルムとしては、ヒートシールして袋とすることのできる積層フィルム又は単層フィルムを使用できる。
【0027】
積層フィルムの最内層、または、単層フィルムに用いるヒートシール可能な熱可塑性合成樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、直鎖状超低密度ポリエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、メタセロン触媒によって重合したエチレン系ポリマー等を採用できるが、これらに限られるものではない。
【0028】
また、積層フィルムにおける中間層、外層としては、前記最内層に用いる熱可塑性合成樹脂よりも融点の高い各種の素材が使用可能であって、二軸延伸ポリプロピレン、プロピレン系ポリマー、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル、不織布、紙、セロファン、アルミ箔等を例示できるが、これに限られるものではない。
【0029】
外層に用いる前記熱可塑性合成樹脂は、未延伸のものであってもよい。積層フィルムのガスバリヤー性を向上させるためには、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ等を蒸着したガスバリヤー性フィルム等を採用すればよい。また、紫外線耐性を向上させるためには、例えば、紫外線防止剤を添加したフィルムや、紫外線防止剤をコートしたフィルムを採用したり、目的に応じて各種の添加剤を添加したフィルム等を採用することができる。
アルミ箔は、ガスバリヤー性や遮光性等を得るために使用されるが、一般に、中間層として好適に使用される。
【実施例1】
【0030】
以下、本発明を具体化した取っ手付き包装用袋10の実施例1について説明する。
図1〜図4に示すように、この取っ手付き包装用袋10は、前後の胴フィルム1,2の側縁部に折込フィルム3,4をヒートシールすることで形成した収容部5を備えている。
本実施例の前記胴部フィルム1,2及び折込フィルム3,4としては、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ナイロンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(PET//NY//LLDPE)の各層の厚みが12μ−15μ−100μである積層フィルムを使用している。
【0031】
前記両胴フィルム1,2は、折込フィルム3がシールされている一側縁の一部(上部)が前記収容部5より斜め外方に延ばされることで形成された帯状の延長部6を備えている。そして、その延長部6の先端部6a同士を融着することで、折込フィルム3と延長部6とによって形成される指入空間7を備えた取っ手Hを形成している。
【0032】
この取っ手Hの下部は、収納部5に液体、粉、固形物、それらの混合物などの内容物Pが収容された状態において、折込フィルム3が広げられることで、ある程度の幅(図3中の長さL1:図1に示す形状の包装用袋に500mlの水を入れた場合において2〜5cm程度の幅であり、同一形状で4リットルの水を入れる大きさの包装用袋においては10〜15cm程度の幅)が常に存在するため、指入空間7の下部を常に指(500mlの包装用袋において1〜3本)の挿入に適した開口状態とすることができる。
【0033】
さらに、本実施例において、前記指入空間7を構成する取っ手Hの内周面において、収容部5より外方に延びている延長部6の長さL2は、収容部5と接する折込フィルム3の長さL1よりも長くなるように形成されている(図3参照)。
なお、かかる長さL1とL2の関係は、L1<L2に限られるものではなく、指入空間7が狭くなるものの、L1=L2、又は、L1>L2であっても本発明の趣旨に沿って適宜実施することができる。
【0034】
前記両胴フィルム1,2の一部を収容部5より外方に延ばした帯状の延長部6は、包装用袋10の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されており、さらに、前記延長部6は、その基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されている。
【0035】
従って、本発明による取っ手付き包装用袋10の取っ手Hは、1)折込フィルム3が広げられることで指入空間7の下部を常に指の挿入に適した開口状態とすることができること、2)収容部5より外方に延びている延長部6が包装用袋10の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されていること、3)前記延長部6の基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、4)前記取っ手Hの内周面において延長部6の長さが収容部5と接する折込フィルム3の長さよりも長くなるように形成されていることにより、指の挿入を常にスムーズに行うことができるばかりか、取っ手Hを持つことで内容物Pを注出する際に収容部5が自然に傾斜するため、包装用袋10の上部からの内容物Pの注出をスムーズに行うこともできる。
【0036】
しかも、前記延長部6は、その基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、先端部6aの指に沿うように設けられるヒートシールにより、取っ手Hの強度を高く維持することができるとともに、指にフィルムの切断面が当接することもなく、指に痛みを感じることもない。
【0037】
また、取っ手Hは、先端に向かうに従って徐々に細く収束する形状となっているため、取っ手Hの上面及び下面にホコリが蓄積し難いという効果も奏する。
【0038】
前記両胴フィルム1,2の下端部は、折込フィルム3,4と「>」字状及び「<」字状にヒートシールされることで、内容物Pを収容した包装用袋10が自立するための底部8を形成できるようになっている(図1、図2、図4参照)
【0039】
次に、本発明の取っ手付き包装用袋10を製造する方法について説明する。
本発明の取っ手付き包装用袋10を製造するには、図5に示すように上下に並べた長尺状の前後の胴フィルム1,2の間に折込フィルム3,4となる帯フィルムを折って挿入する。
【0040】
そして、図6に示す斜線部Sに熱を加えることで斜線部Sのフィルム同士を融着(ヒートシール)し、その後、図2に示すように1袋ずつになるように周囲を型抜きする。内容物Pを充填後に開口部9をシールするが、図7に示すようにキャップを備えた注出具9aを装着した取っ手付き包装用袋10として本発明を実施することも可能である。
【0041】
ここで、上記の通り製造した取っ手付き包装用袋10の取っ手Hの先端部6aにおける融着部の強度を測定するため、図8に示すように幅20ミリメートルの帯状のPET//NY//LLDPE(各層の厚さが16μ−25μ−180μ)の積層フィルムの先端部に、シール長8ミリメートルの融着部Taを設けた試験片Tについて、引張試験機90の平板状のジグ91上にその試験片Tを掛けてシール部分の強度を測定したところ、試験片Tの融着部Taは約400Nの力に耐えることができた。
【0042】
一方、上記の取っ手付き包装用袋10と同じ材料であるPET//NY//LLDPE(各層の厚さが16μ−25μ−180μ)の積層フィルムからなる包装用袋のヒートシール部分に指孔を切欠形成することで取っ手を設けた従来の取っ手が耐えられる力は約200Nであった。
【0043】
よって、本発明の構成による取っ手Hは、内容物Pを収容した包装用袋10の持ち運びに際して十分な強度を得られるものとすることができるばかりか、指先にフィルムの切断面が強く当接することもなく、幼児や高齢者であっても安心して使用できるものとすることができる(図9参照)。
【0044】
次に、前記実施例1の取っ手付き包装用袋10の各種の変形例について、以下説明するが、前記実施例1の取っ手付き包装用袋10と同様の構成については、同一の符号を用いて説明する。
【0045】
前記実施例1の取っ手付き包装用袋10を示す図3と対応する図10(A)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、前後の胴フィルム1,2の上部両側縁を斜め外方へ延長して延長部6を2つ設けることで、包装用袋10の左右に取っ手Hを形成するようにしたものである。
【0046】
図10(B)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、折込フィルム3を胴フィルム1,2からなる延長部6の内面に沿う形状にカットし、その折込フィルム3の延長した部分を胴フィルム1,2の延長部6の内面に沿って融着したものである。
即ち、胴フィルム1,2及び折込フィルム3を斜め外方へ延長することで延長部6を形成し、折込フィルム3の先端部をカットすることなどによって折込フィルム3より若干長く形成した胴フィルム1,2の先端部6aを融着するようにしたものである。
【0047】
また、図10(C)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、図11に示すように前後の胴フィルム1,2の取っ手Hが設けられていない側縁のほぼ中央部〜下部を外方に延長し、それらの先端部6c同士を融着することで底部8近傍の収容部5の強度を高め、包装用袋10の自立性を高めるようにしたものである。
【0048】
図12(A)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、折込フィルム3を収容部5より外方へ延長して延長部6を形成し、その先端部6a同士を融着することで取っ手Hを形成するようにしたものである。
【0049】
但し、かかる変形例においては、胴フィルム1,2の側縁部をヒートシールする際に折込フィルム3が一緒に融着してしまうことを防ぐために、折込フィルム3にテフロン(登録商標)シートを挟むなどの工夫をする必要がある。
また、胴フィルム1,2の切断端部が包装用袋10の表面に表れるため、包装用袋10の外観を損ねることがあるが、本発明の取っ手付き包装用袋10としての独自の作用効果については実施例1の包装用袋10と同様に発揮することができる。
【0050】
図12(B)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、前後の胴フィルム1,2の一方の側縁にのみ折込フィルム3を折り込み、その側縁に取っ手Hを形成するとともに、それらの両胴フィルム1,2の両側縁部同士を融着することで収容部5を形成するようにしたものである。
【0051】
図12(C)に示す取っ手付き包装用袋10の変形例は、一枚の胴フィルムを折り曲げることで、前後の胴フィルム1,2相当部とし、その一側にのみ折込フィルム3を折込み、その胴フィルムの両側縁部を外方へ延長して延長部6を形成し、その先端部6a同士を融着することで取っ手Hを形成するようにしたものである。
【実施例2】
【0052】
次に、本発明を具体化した図13に示す実施例2の取っ手付き包装用袋20について説明する。
なお、この実施例2の取っ手付き包装用袋20において、前記実施例1の取っ手付き包装用袋10と同様の構成については、同一の符号を付して以下説明する。
【0053】
本実施例の取っ手付き包装用袋20は、前記図7にて説明したように、注出具9aを装着した取っ手付き包装用袋において、胴フィルム1,2の折込フィルム3が融着されている側縁部の上下2カ所を外方へ延長して上下2対の延長部6を形成し、その各対の延長部6の先端部6a同士を融着することで、2つの取っ手Hを形成するようにしたものである。
【0054】
この実施例の包装用袋20においては、収容部5の底部付近に設けられた取っ手Hを持つことで内容物Pを注出具9aから注ぎ出しやすくなり、包装用袋20の取扱性が向上する。
【実施例3】
【0055】
次に、本発明を具体化した図14に示す実施例3の取っ手付き包装用袋30について説明する。
なお、この実施例3の取っ手付き包装用袋30において、前記実施例1の取っ手付き包装用袋10と同様の構成については、同一の符号を付して以下説明する。
【0056】
本実施例の取っ手付き包装用袋30は、横置きタイプの包装用袋において本発明を具体化したものであり、前後の胴フィルム1,2の上側の側縁部を収容部5より外方へ延長することで、左右2対の延長部6を形成している。
【0057】
よって、かかる取っ手付き包装用袋30においても、折込フィルム3が取っ手Hを構成する延長部6の基端部6b間に存在することにより、取っ手Hの基端部に指入空間7が形成され、取っ手Hに指をスムーズに掛けて包装用袋30を持ち運ぶことができるという前記各実施例において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【実施例4】
【0058】
次に、本発明を具体化した図15に示す実施例4の取っ手付き包装用袋40について説明する。
なお、この実施例4の取っ手付き包装用袋40において、前記実施例1の取っ手付き包装用袋10と同様の構成については、同一の符号を付して以下説明する。
【0059】
この実施例4の取っ手付き包装用袋40においても、前後の胴フィルム1,2の側縁部に折込フィルム3,4をヒートシールすることで形成した収容部5を備えている。
そして、前記両胴フィルム1,2は、折込フィルム3,4がシールされている上部一側縁の一部が前記収容部5より斜め外方に延ばされることで形成された帯状の延長部6を備えている。
さらに、この実施例4における延長部6は、前記実施例1における延長部6よりも上部が上方に向かって長く延びるように形成されており、収容部5の上方位置にて包装用袋40を持つことができるようになっている。
【0060】
そして、その延長部6の先端部6a同士を融着することで、折込フィルム3,4と延長部6とによって形成される指入空間7を備えた取っ手Hを形成している。
この取っ手Hの下部は、収納部5に内容物が収容された状態において、折込フィルム3,4が広げられることで、ある程度の幅が常に存在するため、指入空間7の下部を常に指の挿入に適した開口状態とすることができる。
【0061】
さらに、前記指入空間7を構成する取っ手Hの内周面において、収容部5より外方に延びている延長部6の長さL2は、収容部5と接する折込フィルム3,4の長さL1よりも長くなるように形成されている(前記実施例1の図3参照)。
【0062】
前記両胴フィルム1,2の一部を収容部5より外方に延ばした帯状の延長部6は、包装用袋40の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されており、さらに、前記延長部6は、その基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されている。
【0063】
上記のように構成された取っ手付き包装用袋40の取っ手Hは、前記実施例1と同様に、1)内容物によって折込フィルム3,4が広げられることで指入空間7の下部を常に指の挿入に適した開口状態とすることができること、2)収容部5より外方に延びている延長部6が包装用袋40の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されていること、3)前記延長部6の基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、4)前記取っ手Hの内周面において延長部6の長さが収容部5と接する折込フィルム3,4の長さよりも長くなるように形成されていることにより、指の挿入を常にスムーズに行うことができるばかりか、取っ手Hを持つことで内容物を注出する際に収容部5が自然に傾斜するため、内容物の注出をスムーズに行うこともできる。
【0064】
しかも、前記延長部6は、その基端部6bが収容部5に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていること、及び、先端部6aに指に沿うように設けられたヒートシールにより、取っ手Hの強度を高く維持することができるとともに、指にフィルムの切断面が当接することもなく、指に痛みを感じることもない。
【0065】
また、取っ手Hは、先端に向かうに従って徐々に細く収束する形状となっているため、取っ手Hの上面及び下面にホコリが蓄積し難いという効果も奏する。
【0066】
本発明は上記実施例1〜4に限定されるものではなく、内容物Pの性質や量に応じ、胴フィルム1,2及び折込フィルム3,4としてPET//NY//LLDPEからなる積層フィルムに代えて、NY//NY//LLDPE、PET//LLDPE、又は、NY//LLDPEなどからなる積層フィルムを用いてもよい。
また、LLDPEを使用したフィルムより強度的には劣るが、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、無延伸ポリプロピレン(PET//NY//CPP)からなる積層フィルムを使用してもよい。
【0067】
さらに、本発明の延長部6の形状(長さ、幅、大きさ、向き、傾斜角度など)を適宜変更して実施したり、取っ手Hを形成する上下位置を適宜変更して実施したり、延長部6の基端部6bの形状を適宜変更して実施したり、延長部6の基端部6bの幅を徐々に広くすることなく形成して実施してもよい。
【0068】
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で取っ手付き包装用袋を構成するフィルムの材質、厚さ、色、形状などを内容物の種類、性質又は量などに応じて適宜変更して実施してもよい。
取っ手付き包装用袋の材料としては、上記にて説明した材料の他、加工性、強度に優れた合成樹脂から適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、内容物を収容した包装用袋の持ち運の際などにおける取扱性及び利便性に優れた取っ手付き包装用袋として用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 胴フィルム(前)
2 胴フィルム(後)
3 折込フィルム(右側)
4 折込フィルム(左側)
5 収容部
6 延長部
6a 先端部
6b 基端部
6c 先端部
7 指入空間
8 底部
9 開口部
9a 注出具
10 取っ手付き包装用袋(実施例1)
20 取っ手付き包装用袋(実施例2)
30 取っ手付き包装用袋(実施例3)
40 取っ手付き包装用袋(実施例4)
50 可撓袋(従来の包装用袋)
51 胴部シート
52 上縁接合部
53 注ぎ口予定部
54 張出部
55 丸孔状指かけ部
60 可撓袋(従来の包装用袋)
61 胴部シート
62 上縁接合部
63 張出部
64 接合部
65 非接合部
66 帯状指かけ部
67 注ぎ口予定部
90 引張試験機
91 ジグ
H 取っ手
P 内容物
S 斜線部(ヒートシール位置)
T 試験片
Ta 融着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の胴フィルムの側縁部に折込フィルムをシールすることで、収容部を形成してなる取っ手付き包装用袋であって、
前記両胴フィルム又は折込フィルムの一部を収容部より外方に延ばした帯状の延長部を設け、当該延長部の先端部同士を融着することで、折込フィルムと延長部とによって形成される指入空間を備えた取っ手を形成し、内容物を収容した包装用袋の持ち運びに適するようにしたことを特徴とする取っ手付き包装用袋。
【請求項2】
前記延長部は、前記両胴フィルム及び折込フィルムの一部を収容部より外方に延ばすことで形成されており、当該延長部の先端部において胴フィルム同士を融着することで指入空間を備えた取っ手を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の取っ手付き包装用袋。
【請求項3】
前記指入空間を構成する取っ手の内周面において、収容部より外方に延びている延長部の長さは、収容部と接する折込フィルムの長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取っ手付き包装用袋。
【請求項4】
前記延長部は、その基端部が収容部に近くなるほど徐々に幅広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の取っ手付き包装用袋。
【請求項5】
前記包装用袋は、内容物を収容した包装用袋が自立できるような底部を備えており、前記延長部は、包装用袋の側部から斜め上方に向かって延びるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の取っ手付き包装用袋。
【請求項6】
前記延長部は、収容部の両側に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の取っ手付き包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−91847(P2012−91847A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242488(P2010−242488)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(393015184)カウパック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】