説明

取り外し可能な文書ガイドを有するスキャナ

スキャナ10内を通るように原稿15を移送する移送システム14と、原稿15の脇に配置されたイメージガイド11と、このイメージガイド11の配下を原稿15が通り過ぎるときにその原稿15の像を捕捉するカメラ16と、を有するスキャナ10に対して、イメージガイド11を利用した機能更新によって要素13を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキャナ、特にスキャナを構成する取り外し可能なイメージガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
大抵の原稿スキャナにはイメージガイドと通称される透明面が設けられており、カメラによる原稿の撮影(光像の取得)は、原稿表面での反射光をこのイメージガイドを介して受光し或いはイメージガイド及び原稿を透過した光を受光する等、イメージガイドを通して行われることが多い。このイメージガイドは大抵のスキャナ製造業者で消耗品として設計されており、このイメージガイドの交換は現場で顧客が行うこともあるし、現場でフィールドサービスエンジニアが行うこともある。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0090747号明細書
【特許文献2】米国特許第5959723号明細書
【特許文献3】米国特許第5214470号明細書
【特許文献4】国際公開第03/055199号パンフレット(A1)
【特許文献5】欧州特許出願公開第1313304号明細書(A2)
【特許文献6】欧州特許出願公開第810171号明細書(A2)
【特許文献7】英国特許出願公開第2069982号明細書(A)
【特許文献8】特開2001−233469号公報
【特許文献9】特開2002−300347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しばしば望まれることの一つに、現場で使用中の装置に現場で改良・更新を施せるようにする、ということがあるが、これは実現が難しい。それは、装置の構成が込み入っていてその変更が難しく、変更するにはその装置の大規模オーバホールが必要になるからである。そこで、本発明においては、保守の必要上現在でも可換とされている部品を利用することによって、その部品がプリインストールされている装置の給紙経路に改良・更新を施せるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概括的に述べると、本発明の一実施形態に係るスキャナは、そのスキャナ内を通るように原稿を移送する移送システムと、原稿の脇に配置された交換可能なイメージガイドと、イメージガイドの配下を原稿が通り過ぎるときにその原稿の像を捕捉するカメラと、を備え、イメージガイドを利用してその機能が更新されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現場で交換可能な部品であるイメージガイドをプラットフォームとして利用することとしたため、インストール済機能をベースとしてその原稿スキャナに新たな機械的機能を導入することができる。導入できる新たな機械的機能には、例えば、取り扱っている原稿を機械式ワイパにより平坦にする装置、イメージガイド領域近傍における原稿移送時冷却、給紙制御又は塵埃管理用に加圧空気や減圧空気(真空)を発生させるシステム、イメージガイド領域に進入する前に原稿を清掃する塵埃除去ワイパ、又はこうした装置の組合せ等がある(即ちこれらに限定されるものではない)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の目的、構成及び効果をより明らかにするため、その好適な実施形態について詳細に説明する。
【0008】
なお、本願においては、装置の各構成部分やそれらの間の密接な機能連携のうち、本発明に関わる部分について説明する。ご理解頂けるように、図面或いは説明中で仔細にふれていない構成部分は、本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)に周知であるところの様々な形態を採りうるものである。
【0009】
さて、図1及び図2に示すスキャナ10は、そのスキャナ10内を通るように原稿15を移送する移送システム14を備えている。更に、原稿15から見て表側には取り外し可能な下部イメージガイド11が、裏側にはまた別の上部イメージガイド12が、それぞれ配置されている。下部カメラ16は、下部イメージガイド11の配下を通過していく原稿15の表側の像を捕捉し、上部カメラ17は原稿15の裏側の像を捕捉する。
【0010】
これら、下部イメージガイド11及び上部イメージガイド12は、その一方或いは双方が、その交換によって少なくとも1個の機能を更新・改良可能な部材として、構成されている。図1に示す第1例における機能更新はワイパ13の導入であり、この例におけるワイパ13は、取り外し可能な上部イメージガイド12に取り付けられた素材片である。このワイパ13から加わえる力によって、原稿15を下部イメージガイド11に密着させることができる。こうしたワイパ13を導入することは、例えばそのスキャナ10にてモトリングが生じうるような用途においては、必須的である。モトリングとは、原稿15が揺らいで曲面が生じ、その曲面によって光が不均一に反射されて、均一たるべき最終出力画像に望ましくない乱れが生じることをいう。ワイパ13は、そうした現象を抑えるのに有用である。
【0011】
こうしたワイパ13のインストールは顧客が現場で行うこともできる。それには、単に、標準的な上部イメージガイド12を取り外し、更新によって付加する新たな機能部材即ちワイパ13を備える新たな上部イメージガイド12に、交換するだけでよい。こうした手法によるスキャナに対する機能拡張・新規機能インストールは、その機能のインストール先スキャナ製品が設計されてからかなり時間が経過した後でも、顧客等が自分の都合に応じて行うことができる。
【0012】
こうした仕組みによりスキャナ10内に組み込むことができる新規機能は多数想定できる。機能更新の第2例を図4に示す。この例における機能更新は、下部イメージガイド11を取り外してより素材厚みのある別の下部イメージガイド11へと交換することである。この機能更新によって厚手ワイパ31が導入されるため、下部イメージガイド11の向かい側にあるバッフル18の表面と原稿15との密着状態を更新前より好適に確保することが可能になり、下部カメラ16によってその像が捕捉される原稿15を更新前より平らにのばすことができる。
【0013】
機能更新の第3例を図5に示す。この例における機能更新は、バッフル18又は19上の背景色を非標準的な背景色とすること、即ち黒、白等の別色にすることである。これを実行する際には、例えば、取り外し可能な下部イメージガイド11や上部イメージガイド12の対向面の一部に着色素材片32を設けることによって、下部カメラ16や上部カメラ17が捉えるバッフル18やバッフル19の表面の色を変化させればよい。勿論、バッフル18及び19の色を同時変更してもよい。
【0014】
機能更新の第4例を図3に示す。この例における機能更新は、イメージガイド11又は12を取り外してマニホルド33を有するものに交換することである。マニホルド33は一群の孔を有しており、これらの孔は、像を捕捉するエリアの外側に位置することとなるよう、取り外し可能なイメージガイド11又は12に刻まれている。こうしたマニホルド33は、加圧又は減圧(真空化)によって原稿15から塵を除去する目的や、原稿15とイメージガイド11及び12との密着状態を確保し画像のモトリングを抑える目的等に、使用することができる。
【0015】
本発明によれば、各種原稿スキャナにて通例の如く交換可能とされているというイメージガイドの特質を有効利用し、元々の開発過程で得られたものと違う機能、特に当初は予測不可能であった機械的機能の拡張・強化を、時期を選ばずに実施することが可能になる。また、こうした機能拡張・強化は、元々その装置に備わっていた機能をベースにして行うことができるだけでなく、将来的にその装置にインストールされることとなる機能をベースにして更に将来にて行うことも、可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスキャナにおける給紙経路を示す側面模式図である。
【図2】本発明に係るスキャナにおける給紙経路の一例を示す斜視図である。
【図3】イメージガイドを有孔マニホルドに交換した状態を示す側面図である。
【図4】イメージガイドを厚手ものに交換した状態を示す側面図である。
【図5】イメージガイドの背景を着色背景に交換した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 スキャナ、11 下部イメージガイド、12 上部イメージガイド、13 ワイパ、14 移送システム、15 原稿、16 下部カメラ、17 上部カメラ、18,19 バッフル、31 厚手ワイパ、32 着色背景、33 マニホルド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本スキャナ内を通るように原稿を移送する移送システムと、
原稿の脇に配置された交換可能なイメージガイドと、
イメージガイドの配下を原稿が通り過ぎるときにその原稿の像を捕捉するカメラと、
を備え、イメージガイドが機能更新機能を具備するスキャナ。
【請求項2】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用してワイパを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項3】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、原稿と第1イメージガイドの密着状態改善に資するより厚手のイメージガイドを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項4】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、カメラの視野内にあるバッフルの色を非標準的な色に変更可能な又は変更したスキャナ。
【請求項5】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、原稿から塵を除去するためのマニホルドを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項6】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、原稿と第1イメージガイドの密着状態を確保するためのマニホルドを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項7】
請求項1記載のスキャナであって、上述のイメージガイド即ち第1イメージガイドに加え、原稿から見て当該第1イメージガイドとは別の側に配置された第2イメージガイドを備え、この第2イメージガイドが機能更新機能を具備するスキャナ。
【請求項8】
請求項7記載のスキャナであって、第1イメージガイドに係る機能のうち原稿を第1イメージガイドに密着させるワイパが、第2イメージガイドの一部分であるスキャナ。
【請求項9】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して導入する機能のうち一つが、ワイパ、更なる厚み、非標準的な色、並びにマニホルドのうち何れかであるスキャナ。
【請求項10】
請求項9記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して導入する機能のうち他の一つが、ワイパ、更なる厚み、非標準的な色、並びにマニホルドのうち何れかであるスキャナ。
【請求項11】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、カメラの視野内にあるバッフルの色を変化させる白色バンドを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項12】
請求項1記載のスキャナであって、イメージガイドの機能更新機能を利用して、黒色バンドを導入可能な又は導入したスキャナ。
【請求項13】
原稿を移送しイメージガイドを通して原稿の像を捕捉する原稿スキャン方法であって、
元々のイメージガイドを取り外し機能更新版イメージガイドに交換する原稿スキャン方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、機能更新によりワイパが導入される方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、機能更新によって当該取り外し可能なイメージガイドの厚みを加増することによって、そのイメージガイドと対向するバッフルの表面と原稿との密着状態を確保すると共に、カメラによりその像が捕捉される原稿を平らにのばす方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法であって、機能更新によって色を非標準的な色に変える方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法であって、機能更新によって、原稿から塵を除去するためのマニホルドを導入する方法。
【請求項18】
請求項13記載の方法であって、機能更新によって、原稿とイメージガイドとの密着状態を確保するためのマニホルドを導入する方法。
【請求項19】
請求項13記載の方法であって、上述のイメージガイド即ち第1イメージガイドに加え、原稿から見て当該第1イメージガイドとは別の側に配置された第2イメージガイドがあり、当該第2イメージガイドを、機能更新版イメージガイドに交換する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、第1イメージガイドに係る機能のうち原稿をイメージガイドに密着させるワイパを、第2イメージガイドに設ける方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−525116(P2007−525116A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551127(P2006−551127)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/000785
【国際公開番号】WO2005/074247
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】