説明

取付補助具、装着方法、および脱着方法

【課題】簡素な構造で架設されたケーブルに容易にケーブル保護管を装着することができ、作業能率を向上させることができる取付補助具、装着方法、および脱着方法を提供する。
【解決手段】架設されたケーブル2の周囲に、1条のスリットが形成されたケーブル保護管を装着するための取付補助具1であって、ケーブル2の周囲を取り囲むように形成された補助管6と、補助管6の外周面に立設され、ケーブル保護管をケーブル2へと案内する1対のガイド部11,12とを備え、1対のガイド部11,12は、補助管6の長手方向に沿って長くなるように、かつ、補助管6の一端側から他端側に向かって補助管6に対して傾斜するように形成されると共に、互いに補助管6の周方向で対向するように、かつ、補助管6の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電話線等のケーブルに、このケーブルを保護するためのケーブル保護管を装着するための取付補助具、装着方法、および脱着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電柱等に架設されている電話線等のケーブルに、ケーブル保護管を装着し、道路工事や家屋増築工事等を行う際のケーブルを保護したり、工事作業者にケーブルに対する注意喚起を行ったりする場合がある。電柱にケーブルを架設する場合、ケーブル単体では引っ張り強度が不十分なため、断線したり電気的特性が劣化したりする等の不具合が生じる虞がある。このため、電柱に鋼より線等から成る吊架線(吊線部)を架線しておき、この吊架線に支持具を介してケーブルを懸吊する場合が多い。支持具としては、例えば、ケーブルリングやスパイラルハンガー等がある。
【0003】
一方、ケーブル保護管は筒状に形成されたものであって、長さ方向に1条のスリットが形成されている場合が多い。そして、ケーブルが吊架線に懸吊されているので、ケーブル保護管の内径は、ケーブル、および吊架線の周囲を纏めて被覆可能な大きさに設定されている。
ここで、ケーブルにケーブル保護管を装着する場合、作業者が高所作業車や梯子等を利用してケーブルに接近し、ケーブル保護管を担ぐ等しながら1条のスリットを拡開し、ケーブル、および吊架線にケーブル保護管を嵌め込むようにして行う。このように、ケーブル保護管のケーブルへの装着作業は、作業者にとって重労働なものである。とりわけ、冬季の低温雰囲気下での作業では、夏季と比較してケーブル保護管が硬くなるので、ケーブル保護管のスリットを拡開するのに力を要する。
【0004】
このため、作業者によるケーブル保護管の装着作業を容易化するために、さまざまな技術が提案されている。
例えば、ケーブル保護管のスリットを拡開した状態で保持可能な把持体と、把持体を昇降可能に支持する操作棒とを有する取付工具を用いた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このように構成することで、作業者が高所作業車や梯子等を利用することなく、ケーブルにケーブル保護管を装着することができる。
【0005】
また、湾曲形成された1対の腕部材と、1対の腕部材の両端を、これら腕部材の間隔を可変可能に支持する支持部材とで構成したケーブル保護管の装着用装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このようにすることで、腕部材の間隔を狭くした状態で装着用装置をケーブル保護管に取り付け、その後、腕部材の間隔を拡げることでケーブル保護管のスリットを拡開した状態のままで維持することが可能になる。このため、作業者がケーブル保護管の拡開状態を維持する必要がなくなり、ケーブル保護管の装着作業を容易化することができる。ここで、装着用装置を使用する場合、拡開されたスリットにケーブルを挿入することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−332043号公報
【特許文献2】特開2006−14433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1にあっては、取付工具が大掛かりなものとなり、コストがかかる。
また、取付工具にケーブル保護管をセットしてからこのケーブル保護管をケーブルに装着するまでの作業工数が多く、作業能率が向上しにくいという課題がある。
さらに、ケーブル保護管のスリットを拡開して取付工具にセットする必要があるので、作業者のケーブル保護管の拡開作業が何ら低減されるものではないという課題がある。
【0008】
そして、特許文献2にあっては、装着用装置を定置した状態でケーブル保護管をケーブルに沿って移動させることによりケーブル保護管を装着するものであるが、架設されたケーブルに適用するには、前提となっている装着用装置の定置が困難であるという課題がある。
また、前記装着用装置は、比較的細径なケーブルを保護するケーブル保護管のスリットを拡開するには有効な手段となり得るが、吊架線にスパイラルハンガー等の支持具を介してケーブルが懸吊される形態に対応することを目的としている大型のケーブル保護管のスリットを拡開するには、作業者の労力を低減しにくいという課題がある。
【0009】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構造で架設されたケーブルに容易にケーブル保護管を装着することができ、作業能率を向上させることができる取付補助具、装着方法、および脱着方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、架設されたケーブルの周囲に、1条のスリットが形成されたケーブル保護管を装着するための取付補助具であって、前記ケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、前記補助管の外周面に立設され、前記ケーブル保護管を前記ケーブルへと案内する1対のガイド部とを備え、前記1対のガイド部は、前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって前記補助管に対して傾斜するように形成されると共に、互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、取付補助具をケーブルに取り付け、ガイド部に沿うように補助管の一端側からケーブル保護管を挿入し、このケーブル保護管を斜めに押し込むだけでケーブル保護管のスリットを拡開することができる。そして、そのままケーブル保護管をケーブルに向かってスライド移動させると、ケーブル保護管をスリットを介してケーブルに装着させることができる。
このため、取付補助具の構造を簡素化し、製造コストを低減できると共に、例えば、冬季の低温雰囲気下での作業であっても架設されたケーブルに、ケーブル保護管を容易に装着することができる。しかも、ケーブルに取付補助具を取り付けた後は、ガイド部に沿ってケーブル保護管を押し込むだけでケーブル保護管の装着作業が完了するので、作業能率を向上させることができる。とりわけ、複数のケーブル保護管を装着する場合にあっては、作業時間の短縮化を図ることが可能になる。
【0012】
本発明は、前記1対のガイド部の前記補助管とは反対側の1辺に、前記ガイド部からの前記ケーブル保護管の抜けを規制するための規制部材を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、ケーブル保護管を取付補助具のガイド部に沿って押し込む際、ガイド部からのケーブル保護管の脱落を確実に防止できる。このため、より容易にケーブル保護管の装着作業を行うことができる。
【0013】
本発明は、前記規制部材は、前記1対のガイド部の長手方向全体から周方向外側に向かって立ち上がり形成された羽根部材であって、前記羽根部材は、前記ガイド部の延在方向に沿うように、前記補助管に対して斜めに設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、簡素な構造でガイド部からのケーブル保護管の脱落を防止することができるので、さらに製造コストを低減することが可能になる。
【0014】
本発明は、前記補助管に、この補助管の前記ケーブルに対するスライド移動を規制するための固定部を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、ケーブルに補助管を確実に固定することができるので、取付補助具により容易にケーブル保護管を挿入することができる。このため、さらにケーブル保護管の装着作業性を向上させることができる。
【0015】
本発明は、前記ケーブルを懸吊するための吊架線に前記固定部を固定すると共に、前記補助管の内径を前記吊架線、および前記ケーブルの周囲を被覆可能な大きさに設定したことを特徴とする。
このように構成することで、ケーブルの損傷を確実に防止できると共に、ケーブル、および吊架線を一纏めにした状態でケーブル保護管を容易に装着することができる。
【0016】
本発明は、前記補助管の前記ガイド部の先端側に、前記補助管を延出形成して成る補助ガイド部を設け、前記補助ガイド部の長さは、この補助ガイドに前記ケーブル保護管が案内されたとき、このケーブル保護管の案内された部位を前記ケーブルの配線方向に沿うように案内可能な長さに設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、ケーブル保護管の先端側をケーブルの配線方向に沿わした状態にしながら装着することができる。このため、ケーブルに対してケーブル保護管の押し付け力を低減することが可能になる。この結果、例えば、吊架線にケーブルリングを介してケーブルが懸吊されている場合、ケーブルリングに接触することによるケーブルリングの脱落や位置ずれを防止することが可能になる。
【0017】
本発明は、架設された吊架線と、前記吊架線に懸吊されたケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、前記補助管の外周面に立設され、前記吊架線、およびケーブルの周囲を被覆するケーブル保護管を案内する1対のガイド部とを備え、前記1対のガイド部は、前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって斜め下方に向かって傾斜するように形成されると共に、互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されている取付補助具を用い、前記吊架線、および前記ケーブルに、前記ケーブル保護管を装着するための装着方法であって、前記吊架線に前記取付補助具を取り付ける取付工程と、前記ケーブル保護管の一端側を前記補助管の一端側に向けると共に、前記ケーブル保護管に形成されている1条のスリットを前記ケーブル側に向けた状態で、前記取付補助具のガイド部に、前記ケーブル保護管の一端を挿入する保護管挿入工程と、前記保護管挿入工程の後、前記ケーブル保護管が前記取付補助具から外れるまで挿入方向前方に向かってスライド移動させ、前記吊架線、および前記ケーブルの周囲に前記ケーブル保護管を装着する装着工程と、を有することを特徴とする装着方法とした。
このような装着方法とすることで、作業者の労力を低減することができると共に、装着作業の効率を向上させることができる。
【0018】
本発明は、架設された吊架線と、前記吊架線に懸吊されたケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、前記補助管の外周面に立設され、前記吊架線、およびケーブルの周囲を被覆するケーブル保護管を案内する1対のガイド部とを備え、前記1対のガイド部は、前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって斜め下方に向かって傾斜するように形成されると共に、互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されている取付補助具を用い、前記吊架線、および前記ケーブルの周囲に装着されたケーブル保護管を脱着するための脱着方法であって、前記吊架線に前記取付補助具を取り付ける取付工程と、前記補助管の他端側に位置する前記ケーブル保護管を、前記ガイド部に沿って前記補助管の一端側に向かって引っ張り込む保護管引張工程と、前記保護管引張工程の後、前記ケーブル保護管を前記取付補助具から外れるまで引張方向前方に向かってスライド移動させ、前記吊架線、および前記ケーブルから前記ケーブル保護管を取り外す取り外し工程と、を有することを特徴とする脱着方法とした。
このような脱着方法とすることで、ケーブルからケーブル保護管を脱着する際、作業者の労力を低減することができると共に、脱着作業の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、取付補助具をケーブルに取り付け、ガイド部に沿うように補助管の一端側からケーブル保護管を挿入し、このケーブル保護管を斜めに押し込むだけでケーブル保護管のスリットを拡開することができる。そして、そのままケーブル保護管をケーブルに向かってスライド移動させると、ケーブル保護管をスリットを介してケーブルに装着させることができる。
このため、取付補助具の構造を簡素化し、製造コストを低減できると共に、架設されたケーブルに、ケーブル保護管を容易に装着することができる。しかも、ケーブルに取付補助具を取り付けた後は、ガイド部に沿ってケーブル保護管を押し込むだけでケーブル保護管の装着作業が完了するので、作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態における取付補助具の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における取付補助具の側面図である。
【図3】本発明の実施形態における取付補助具の上面図である。
【図4】図2のA矢視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の側面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の挙動変化を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の挙動変化を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の挙動変化を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の挙動変化を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態におけるケーブル保護管の挙動変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(取付補助具)
次に、この発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、取付補助具1の斜視図、図2は、取付補助具1の側面図、図3は、取付補助具1の上面図、図4は、図2のA矢視図、図5は、ケーブル保護管3の側面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、重力方向下方を単に下方、重力方向上方を単に上方などと表現して説明する。
図1〜図5に示すように、取付補助具1は、例えば、通信に用いられるケーブル(光ファイバケーブルや加入電話用のメタルケーブル)2を保護するケーブル保護管3を装着するために用いられるものである。ケーブル2は、不図示の電柱に架線された鋼より線等から成る吊架線4に、スパイラルハンガー5を介して懸吊されている。
【0022】
取付補助具1は、ケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲を取り囲むように、樹脂によって筒状に形成された補助管6を有している。補助管6の内径D1は、例えば、約80mm程度に設定されている。
補助管6の下方(図1における下方)には、長手方向全体に渡って1条のスリット7が形成されている。このスリット7を画成する周方向の端縁部8a,8bには、それぞれ径方向外側に向かって立ち上がり形成された舌片部10a,10bが設けられている。
【0023】
補助管6のスリット7が形成されている部位とは周方向180°反対側には、帯状に形成された1対のガイド部11,12が立設されている。これらガイド部11,12は、ケーブル保護管3をケーブル2に向かって案内するためのものであって、補助管6の長手方向略中央から補助管6の一端(図2、図3における右側端)よりやや手前に至る範囲に延在している。
【0024】
より詳しく、図2〜図4に基づいて、ガイド部11,12について説明する。
補助管6のスリット7が形成されている部位とは周方向180°反対側には、一端からやや長手方向中央寄りに、導入部13が立設されており、ここにガイド部11,12の基端が固定されている。
【0025】
導入部13は、ケーブル保護管3をケーブル2に装着する際、ケーブル保護管3を受け入れる部位であって、縦断面略台形状となるように先細りに形成されている。すなわち、導入部13は、補助管6の周方向、つまり、厚さ方向において対向する側面13a,13aと、補助管6に当接している底面13bと、底面13bに高さ方向で対向する上面13cと、補助管6の一端側に配置され台形の斜辺に沿う斜側面13dと、斜側面13dと補助管6の長手方向で対向し、鉛直方向に沿って延在する鉛直側面13eとを有している。斜側面13dは、断面略弧状であって、補助管6の長手方向外側に向かって徐々に先細りとなるように形成されている(図3参照)。
【0026】
そして、このように形成された導入部13の側面13a,13aに、1対のガイド部11,12の基端が固定されている。すなわち、1対のガイド部11,12は、補助管6の周方向で互いに対向した状態になっている。
また、1対のガイド部11,12は、基端(導入部13側)から先端側に向かうに従って、つまり、補助管6の他端側に向かうに従って徐々に末広がりとなるように配置されている。
【0027】
さらに、1対のガイド部11,12は、基端から先端に向かって斜め下方に傾斜した状態になっている。そして、一方のガイド部11は、スリット7側の下部が補助管6の長手方向に沿って切除されており、先細り部14を有している。すなわち、ガイド部11は、補助管6に当接している下辺11aと、下辺11aにガイド部11の短手方向で対向する上辺11bと、下辺11aの長手方向略中央から上辺11bに向かって傾斜する斜辺11cとを有している。
【0028】
また、他方のガイド部12も一方のガイド部11と同様に、スリット7側の下部が補助管6の長手方向に沿って接続されており、先細り部15を有した状態になっている。すなわち、ガイド部12は、補助管6に当接している下辺12aと、下辺12aにガイド部12の短手方向で対向する上辺12bと、下辺12aの長手方向略中央から上辺12bに向かって傾斜する斜辺12cとを有している。
【0029】
さらに、1対のガイド部11,12には、それぞれ短手方向中央よりもやや上辺11b,12b寄りに、ガイド部11,12の長手方向に沿って延在する帯状の羽根部16,17が立ち上がり形成されている。各羽根部16,17は、ガイド部11,12に案内されたケーブル保護管3のガイド部11,12からの抜けを防止するためのものである。
【0030】
一方の羽根部16には、基端部に導入部13側に向かって先細りとなるように形成された先細り部16aが形成されていると共に、先端部にガイド部11の先細り部14に向かって先細りとなるように形成された先細り部16bが形成されている。
他方の羽根部17も同様に、基端部に導入部13側に向かって先細りとなるように形成された先細り部17aが形成されていると共に、先端部にガイド部12の先細り部15に向かって先細りとなるように形成された先細り部17bが形成されている。
【0031】
ここで、取付補助具1には、補助管6をケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に対するスライド移動を阻止するための固定具18が設けられている。
固定具18は、補助管6とは別体で設けられたものであり、吊架線4を把持可能な把持部19を有している。把持部19は、吊架線4を挟持可能に2分割構成されており、内側に滑り止め用のゴム20が設けられている。すなわち、把持部19は、ゴム20を介して吊架線4を把持するようになっている。
【0032】
把持部19の上方、つまり、補助管6のスリット7とは反対側には、取手部21が設けられている。この取手部21は、固定具18を持ち歩いたり、吊架線4に固定具18を取り付けたりする際に用いられる。
【0033】
一方、補助管6の導入部13よりも一端側(図2、図3における右側端)には、把持部19の取手部21を挿通可能な開口部22が形成されている。この開口部22の大きさは、固定具18の取手部21を挿通可能な大きさで、かつ把持部19を挿通不能な大きさに設定されている。
固定具18の取手部21は、補助管6の開口部22を介して補助管6の径方向外側に突出した状態になっている。取手部21が補助管6の開口部22に介在することにより、補助管6の吊架線4に対するスライド移動が阻止される。この結果、補助管6のケーブル2、およびスパイラルハンガー5に対するスライド移動も阻止される。
【0034】
また、補助管6の開口部22の大きさが把持部19を挿通不能な大きさに設定されているので、補助管6は、この補助管6の内面が固定具18の把持部19に当接することにより重力方向の位置決めが行われることになる。すなわち、固定具18の外枠の大きさは、補助管6がケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲に位置するように設定されている。
【0035】
(ケーブル保護管)
図5に示すように、このように構成されたケーブル保護管3を用いてケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲に装着されるケーブル保護管3は樹脂で形成されたものであって、保護管本体23を有している。保護管本体23の内径D2は、取付補助具1の補助管6の外径よりも一回り大きく設定されている。例えば、補助管6の内径D1が約80mm程度に設定されている場合、保護管本体23の内径D2は約100mm程度に設定されている。
【0036】
補助管6の下方(図5における下方)には、長手方向全体に渡って1条のスリット24が形成されている。このスリット24を画成する周方向の端縁部25,25には、径方向外側に向かって立ち上がり形成された舌片部26,26が設けられている。
保護管本体23は樹脂で形成されているので、スリット24を拡開させる際、各舌片部26,26を互いに離反するように弾性変形させるようになっている。また、保護管本体23に何ら外力を付与しない場合にあっては、保護管本体23は、これ自体の復元力によって各舌片部26,26がほぼ互いに重なり合った状態になる。
【0037】
保護管本体23の長手方向両端には、ケーブル保護管3を連結するための連結部27が設けられている。連結部27は、一端に設けられた第一連結部28と、他端に設けられ、他のケーブル保護管3の第一連結部28に外嵌可能な第二連結部29とで構成されている。
第一連結部28は段付筒状に形成されたものであって、保護管本体23の一端に連結されている第一筒部30と、第一筒部30の先端側に設けられ、第一筒部30よりも拡径された第二筒部31と、これら第一筒部30、および第二筒部31を連結する第三筒部32とで構成されている。
【0038】
第二筒部31の先端には、環状の嵌合部31aが一体成形されており、この嵌合部31aと第二連結部29とが係合する。また、第三筒部32は、第一筒部30から第二筒部31に向かって徐々に拡径するように末広がり状に形成されている。
また、このように構成された第一連結部28には、保護管本体23に形成されているスリット24、および舌片部26,26が延出形成されている。
【0039】
一方、第二連結部29は、保護管本体23の他端に連結されている筒部33と、筒部33の長手方向略中央に設けられ段差により拡径された拡径部34とで構成されている。この拡径部34に第一連結部28の嵌合部31aが内嵌することにより、複数のケーブル保護管3を連結することができる。また、筒部33の先端側には、末広がり状に形成されたスカート部35が一体成形されている。
【0040】
スカート部35は、他のケーブル保護管3に設けられている第一連結部28を受け入れる受入れガイドとしての役割を有している。すなわち、複数のケーブル保護管3を連結する際、他のケーブル保護管3に設けられている第一連結部28は、第二連結部29のスカート部35に案内されることにより、スムーズに筒部33に挿入される。
また、このように構成された第二連結部29には、保護管本体23に形成されているスリット24、および舌片部26,26が延出形成されている。
【0041】
ここで、取付補助具1の各部の寸法は、ケーブル保護管3の寸法に基づいて設定されている。より詳しくは、ケーブル保護管3の内径D2を約100mm程度に設定し、全長L2を約2,000mm程度に設定したとき、取付補助具1の各部の寸法は、例えば、以下のように設定される。
すなわち、取付補助具1の補助管6の内径D1は、約80mm程度に設定されている。補助管6の全長L1は、約1,660mm程度に設定されている。また、ガイド部11,12の補助管6の軸線方向の長さL3は、約750mm程度に設定されている。さらに、補助管6の軸線と、各ガイド部11,12に設けられている羽根部16,17との間の角度θ1は、約8.5°程度に設定されている。ガイド部11,12の先端から補助管6の他端に至る間の長さL4は、約640mm程度に設定されている。
【0042】
このガイド部11,12の先端から補助管6の他端に至る間の長さL4は、ケーブル保護管3を補助管6の一端から他端(図2における右から左)に向かって案内するとき、ケーブル保護管3の先端部分がケーブル2、および吊架線4の配線方向に沿った状態となるように設定されている。すなわち、取付補助具1のガイド部11,12の先端から補助管6の他端に至る間の範囲は、ケーブル保護管3の姿勢をケーブル2、および吊架線4に沿わせるための補助ガイド部36として機能している(詳細は後述する)。これにより、取付補助具1は、補助管6の他端に、補助管6が延出して成る補助ガイド部36が設けられている状態になる。補助ガイド部36の端部、つまり、補助管6の他端は、下部が斜めに切除され先細り形成された状態になっている。
【0043】
この他に、取付補助具1に立設されている導入部13の厚さT1は、ケーブル保護管3に形成されているスリット24のスリット幅と略一致、またはスリット幅よりもやや大きい程度に設定されている。
このように、取付補助具1の各部の寸法、つまり、補助管6の内径D1、補助管6の全長L1、ガイド部11,12の補助管6の軸線方向の長さL3、補助管6の軸線と、各ガイド部11,12に設けられている羽根部16,17との間の角度θ1、ガイド部11,12の先端から補助管6の他端に至る間の長さL4、および取付補助具1に立設されている導入部13の厚さT1を設定することにより、作業者のケーブル保護管3の装着作業性を向上させることができるようになっている(詳細は後述する)。
【0044】
(作用)
(ケーブル保護管装着方法)
次に、図1、図6〜図10に基づいて、取付補助具1を用いたケーブル保護管3の装着方法について説明する。
図6〜図10は、ケーブル保護管3の挙動変化を示す説明図である。
まず、取付補助具1を吊架線4に取り付ける。取付補助具1を取り付けるにあたって、吊架線4に固定具18を取り付ける。このとき、固定具18の把持部19を2分割し、これらで吊架線4を挟持して固定する。また、取手部21を上方に向けた形で固定具18を吊架線4に固定する。
【0045】
続いて、スリット7を介してケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲に補助管6を取り付ける。このとき、スリット7を画成する周方向の端縁部8a,8bに、それぞれ舌片部10a,10bが一体成形されているので、これら舌片部10a,10bがケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5を補助管6のスリット7へと導くガイドとして機能する。このため、補助管6を容易に取り付けることができる。
【0046】
また、これと同時に補助管6の開口部22に固定具18の取手部21を挿通させる。補助管6は、この自重により下方に変位しようとするが、固定具18の把持部19に当接することによって位置決めが行われる。
これにより、ケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲を覆うようにして補助管6が取り付けられ、取付補助具1の取付作業が完了する(取付工程)。
【0047】
次に、図6に示すように、ケーブル保護管3の第一連結部28側を取付補助具1の導入部13に向ける。このとき、ケーブル保護管3をガイド部11,12の羽根部16,17の延在方向に沿うように傾斜した姿勢とし、第一連結部28の先端を補助管6に接触させた状態にする。そして、この状態でケーブル保護管3をガイド部11,12に斜め下方(図6における矢印F1参照)に向かって押し込む(保護管挿入工程)。
【0048】
ここで、補助管6の吊架線4に対するスライド移動が固定具18によって阻止されるので、作業者が補助管6を手で押さえる必要がなく、ケーブル保護管3に容易に力を加えることができる。さらに、ケーブル保護管3を斜め下方に押し込むので、作業者がケーブル保護管3に力を加えやすいと共に、ケーブル保護管3の自重をもケーブル保護管3の押し込み作業に利用することができる。
なお、固定具18の把持部19による吊架線4の把持力は、約12.5kgf程度以上に設定されていることが望ましい。このように把持部19の把持力を設定することで、ケーブル保護管3を押し込む際、補助管6の吊架線4に対するスライド移動を確実に防止することができる。
【0049】
また、ガイド部11,12の基端側に設けられている導入部13は、この厚さT1(図3参照)がケーブル保護管3に形成されているスリット24のスリット幅よりも大きく設定されている。しかしながら、導入部13のケーブル保護管3の受け入れ側、つまり、導入部13における補助管6の一端側には、斜側面13dが形成されている。この導入部13の斜側面13dは、断面略弧状であって、補助管6の長手方向外側(受け入れ側)に向かって徐々に先細りとなるように形成されている。これに加え、ケーブル保護管3は樹脂で形成されており、外力を加えることにより弾性変形可能である。このため、ケーブル保護管3を導入部13に押し当てると、ケーブル保護管3のスリット24が導入部13の社側面13dに沿って押し広げられるので、導入部13にケーブル保護管3をスムーズに挿入できる。
【0050】
さらに、ガイド部11,12に設けられている羽根部16,17には、ケーブル保護管3の受け入れ側に、先細り部16a,17aが形成されているので、ケーブル保護管3を羽根部16,17を取り囲んだ状態でスムーズにスライド移動させることができる。
【0051】
図7、図8に示すように、引き続きケーブル保護管3を押し込んでいくと、ケーブル保護管3の舌片部26,26が各ガイド部11,12に押し当てられた状態で周方向外側に向かって押し広げられ、スリット24が拡開される。このとき、スリット24を画成する端縁部25,25の抜け方向への移動が各ガイド部11,12に設けられている羽根部16,17によって阻止される。このため、ケーブル保護管3をガイド部11,12に押し込むだけで羽根部16,17に沿ってスライド移動させることができる。
【0052】
続いて、図9に示すように、さらにケーブル保護管3を押し込んでいくと、ケーブル保護管3の第一連結部28側が取付補助具1の補助ガイド部36に案内される。このとき、ケーブル保護管3の第一連結部28側は、補助ガイド部36の周囲を被覆した状態になる。すなわち、ケーブル保護管3の第一連結部28側がケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲を覆った状態になる。さらに、ケーブル保護管3の第一連結部28側は、補助ガイド部36に沿って僅かに湾曲変形する。
【0053】
この状態でさらにケーブル保護管3を押し込むと、ケーブル保護管3の第一連結部28側がケーブル2、および吊架線4の配線方向に沿うようにしてスライド移動する。そして、ケーブル保護管3を取付補助具1から完全に離脱するまで押し込む。このとき、取付補助具1の羽根部16,17の先端部には、先細り部16b,17bが形成されているので、ケーブル保護管3をガイド部11,12からスムーズに離脱させることができる。これにより、ケーブル保護管3の装着作業が完了する(装着工程)。
【0054】
そして、図10に示すように、同様の手順で他のケーブル保護管3を取付補助具1を用いてケーブル2に装着する。すると、先に装着したケーブル保護管3が次のケーブル保護管3に押圧され、前方へとスライド移動する。このとき、先のケーブル保護管3の第二連結部29と次のケーブル保護管3の第一連結部28とが連結される。これを順次繰り返し行うことによって、ケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に複数のケーブル保護管3が装着される。
【0055】
ケーブル保護管3の装着作業が完了した後、取付補助具1を吊架線4から取り外す。取付補助具1の取り外し作業は、取付補助具1を取り付ける際と逆の作業手順となる。
すなわち、まず、取付補助具1の補助管6を吊架線4から取り外す。このとき、補助管6のスリット7を拡開し、この拡開されたスリット7にケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5を挿通するようにして補助管6を取り外す。そして、この後、固定具18を吊架線4から取り外す。これにより、取付補助具1の取り外し作業が完了する。
【0056】
(ケーブル保護管脱着方法)
次に、取付補助具1を用いたケーブル保護管3の脱着方法について説明する。
ここで、ケーブル保護管3をケーブル2から脱着させるにあたって、取付補助具1を再び吊架線4に取り付けるが、この取付補助具1の取り付け作業は、前述のケーブル保護管3を装着する際の取り付け手順と同様であるので、説明を省略する。
吊架線4に取付補助具1を取り付けた後、取付補助具1の他端側、つまり、補助ガイド部36側に位置しているケーブル保護管3を取付補助具1側へと引っ張り込む(保護管引張工程)。
【0057】
すると、図9に示すように、ケーブル保護管3の第二連結部29側が取付補助具1の補助ガイド部36に乗り上げる。続いて、ガイド部11,12の羽根部16,17を取り囲むような状態、つまり、ケーブル保護管3のスリット24が拡開された状態でガイド部11,12に沿ってスライド移動する。このとき、ケーブル保護管3の受け入れ側となる羽根部16,17の先端部には、ケーブル保護管3の受け入れ側に、先細り部16b,17bが形成されているので、ケーブル保護管3を羽根部16,17を取り囲んだ状態でスムーズにスライド移動させることができる。
【0058】
続いて、この状態でさらにケーブル保護管3を取付補助具1の一端側(図9における紙面手前側)に向かって引張すると、ケーブル保護管3がガイド部11,12に沿ってスライド移動する。そして、取付補助具1の導入部13を介してケーブル保護管3が取付補助具1から離脱する(取り外し工程)。
これにより、ケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5からのケーブル保護管3の取り外し作業が完了する。
【0059】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、ケーブル2を懸吊する吊架線4に取付補助具1を取り付け、取付補助具1のガイド部11,12に沿うように補助管6の一端側からケーブル保護管3を挿入し、このケーブル保護管3を斜めに押し込むだけでケーブル保護管3のスリット24を拡開することができる。そして、そのままケーブル保護管3をケーブル2に向かってスライド移動させると、ケーブル保護管3をスリット24を介してケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に装着させることができる。
このため、取付補助具1の構造を簡素化し、製造コストを低減できると共に、例えば、冬季の低温雰囲気下での作業であっても架設されたケーブル2に、ケーブル保護管3を容易に装着することができる。しかも、ケーブル2に取付補助具1を取り付けた後は、ガイド部11,12に沿ってケーブル保護管3を押し込むだけでケーブル保護管3の装着作業が完了するので、作業能率を向上させることができる。
【0060】
また、1対のガイド部11,12には、それぞれ短手方向中央よりもやや上辺11b,12b寄りに、ガイド部11,12の長手方向に沿って延在する帯状の羽根部16,17が立ち上がり形成されている。このため、ガイド部11,12に沿うように補助管6の一端側からケーブル保護管3を挿入し、このケーブル保護管3を斜めに押し込む際、ガイド部11,12からのケーブル保護管3の脱落を確実に防止できる。このため、取付補助具1を簡素な構造とすることができ、製造コストを低減できると共に、より容易にケーブル保護管3の装着作業を行うことができる。
【0061】
さらに、取付補助具1には、補助管6をケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に対するスライド移動を阻止するための固定具18が設けられているので、補助管6を確実に固定することができる。このため、作業者が補助管6を手で押さえる必要がなく、ケーブル保護管3に容易に力を加えることができ、さらにケーブル保護管3の装着作業性を向上させることができる。
【0062】
そして、取付補助具1を取り付けるにあたって、固定具18をケーブル2を懸吊する吊架線4に固定するように構成し、補助管6の内径D1をケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5の周囲を囲繞可能な大きさに設定している。このため、取付補助具1を取り付けることによるケーブル2の損傷を確実に防止できると共に、ケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5を一纏めにした状態でケーブル保護管3を容易に装着することができる。
【0063】
また、取付補助具1のガイド部11,12の先端から補助管6の他端に至る間の範囲をケーブル保護管3の姿勢をケーブル2、および吊架線4に沿わせるための補助ガイド部36として機能させている。このため、ケーブル保護管3の先端側をケーブル2、および吊架線4の配線方向に沿わした状態にしながら装着することができる。この結果、スパイラルハンガー5に対してケーブル保護管3の押し付け力を低減することが可能となり、ケーブル保護管3のスムーズな装着が可能となる。
【0064】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
また、上述の実施形態では、吊架線4にスパイラルハンガー5を介してケーブル2を懸吊した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、スパイラルハンガー5に代えてケーブルリングを用いる等、ケーブル2を吊架線4に懸吊可能な構造のものであればよい。この場合においても取付補助具1に補助ガイド部36が設けられているので、ケーブル保護管3の装着時にケーブルリングの脱落や位置ずれを防止することができる。
【0065】
さらに、上述の実施形態では、ケーブル2は例えば、通信に用いられるものであって、吊架線4に懸吊されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、ケーブルとして電力線ケーブル、音楽放送線、ケーブルテレビ等の通信用に用いられる線等であってもよい。ここで、電力線ケーブルにあっては、それ自体の引っ張り強度が十分であるため、吊架線4などを用いることなく架線されるが、この場合、電力線ケーブルに直接取付補助具1を取り付ける構造としてもよい。
【0066】
そして、上述の実施形態では、取付補助具1のガイド部11,12からのケーブル保護管3の抜け止め用として、ガイド部11,12にそれぞれ羽根部16,17を立設した場合について説明した。しかしながら、ガイド部11,12からのケーブル保護管3の抜けを防止できる構造であればよく、羽根部16,17に限られるものではない。
【0067】
また、上述の実施形態では、取付補助具1に設けられている固定具18の取手部21を上方に向けて吊架線4に取り付け、ガイド部11,12を補助管6の上半分に位置させた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、固定具18の取手部21を下方に向けて吊架線4に取り付け、ガイド部11,12が補助管6の下半分に位置させるようにしてもよい。
この場合であっても、ガイド部11,12に沿ってケーブル保護管3を斜め上方に向かって押し込むだけでケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に装着することができる。このため、ケーブル保護管3のスリット24を作業者が直接拡開する場合と比較して作業効率を向上させることができる。
【0068】
さらに、上述の実施形態では、固定具18を補助管6とは別体で設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、補助管6と固定具18とを一体成形としてもよいし、自体にケーブル2、吊架線4、およびスパイラルハンガー5に対するスライド移動を阻止するための機能を設けてもよい。また、補助管6を吊架線4等に固定せず、電柱等に固定するようにしてもよい。
【0069】
そして、上述の実施形態では、補助管6の一端からやや長手方向中央寄りに、導入部13が立設されており、ここにガイド部11,12の基端が固定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ガイド部11とガイド部12との間隙全体に、例えば、介挿部材を設け、この介装部材とガイド部11,12とを一体化させた構造としてもよい。このように構成することで、各ガイド部11,12の剛性を高めることができ、例えば、ガイド部11,12の経年劣化等による損傷を防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0070】
1 取付補助具
2 ケーブル
3 ケーブル保護管
4 吊架線
6 補助管
7,24 スリット
11,12 ガイド部
16,17 羽根部(羽根部材)
18 固定具(固定部)
36 補助ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架設されたケーブルの周囲に、1条のスリットが形成されたケーブル保護管を装着するための取付補助具であって、
前記ケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、
前記補助管の外周面に立設され、前記ケーブル保護管を前記ケーブルへと案内する1対のガイド部とを備え、
前記1対のガイド部は、
前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって前記補助管に対して傾斜するように形成されると共に、
互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されていることを特徴とする取付補助具。
【請求項2】
前記1対のガイド部に、それぞれ前記ガイド部からの前記ケーブル保護管の抜けを規制するための規制部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の取付補助具。
【請求項3】
前記規制部材は、前記1対のガイド部の長手方向全体から周方向外側に向かって立ち上がり形成された羽根部材であって、
前記羽根部材は、前記ガイド部の延在方向に沿うように、前記補助管に対して斜めに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の取付補助具。
【請求項4】
前記補助管に、この補助管の前記ケーブルに対するスライド移動を規制するための固定部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の取付補助具。
【請求項5】
前記ケーブルを懸吊するための吊架線に前記固定部を固定すると共に、
前記補助管の内径を前記吊架線、および前記ケーブルの周囲を被覆可能な大きさに設定したことを特徴とする請求項4に記載の取付補助具。
【請求項6】
前記補助管の前記ガイド部の先端側に、前記補助管を延出形成して成る補助ガイド部を設け、
前記補助ガイド部の長さは、
この補助ガイドに前記ケーブル保護管が案内されたとき、このケーブル保護管の案内された部位を前記ケーブルの配線方向に沿うように案内可能な長さに設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の取付補助具。
【請求項7】
架設された吊架線と、前記吊架線に懸吊されたケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、
前記補助管の外周面に立設され、前記吊架線、およびケーブルの周囲を被覆するケーブル保護管を案内する1対のガイド部とを備え、
前記1対のガイド部は、
前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって斜め下方に向かって傾斜するように形成されると共に、
互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されている取付補助具を用い、
前記吊架線、および前記ケーブルに、前記ケーブル保護管を装着するための装着方法であって、
前記吊架線に前記取付補助具を取り付ける取付工程と、
前記ケーブル保護管の一端側を前記補助管の一端側に向けると共に、前記ケーブル保護管に形成されている1条のスリットを前記ケーブル側に向けた状態で、前記取付補助具のガイド部に、前記ケーブル保護管の一端を挿入する保護管挿入工程と、
前記保護管挿入工程の後、前記ケーブル保護管が前記取付補助具から外れるまで挿入方向前方に向かってスライド移動させ、前記吊架線、および前記ケーブルの周囲に前記ケーブル保護管を装着する装着工程と、
を有することを特徴とする装着方法。
【請求項8】
架設された吊架線と、前記吊架線に懸吊されたケーブルの周囲を取り囲むように形成された補助管と、
前記補助管の外周面に立設され、前記吊架線、およびケーブルの周囲を被覆するケーブル保護管を案内する1対のガイド部とを備え、
前記1対のガイド部は、
前記補助管の長手方向に沿って長くなるように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって斜め下方に向かって傾斜するように形成されると共に、
互いに前記補助管の周方向で対向するように、かつ、前記補助管の一端側から他端側に向かって徐々に末広がりとなるように配置されている取付補助具を用い、
前記吊架線、および前記ケーブルの周囲に装着されたケーブル保護管を脱着するための脱着方法であって、
前記吊架線に前記取付補助具を取り付ける取付工程と、
前記補助管の他端側に位置する前記ケーブル保護管を、前記ガイド部に沿って前記補助管の一端側に向かって引っ張り込む保護管引張工程と、
前記保護管引張工程の後、前記ケーブル保護管を前記取付補助具から外れるまで引張方向前方に向かってスライド移動させ、前記吊架線、および前記ケーブルから前記ケーブル保護管を取り外す取り外し工程と、
を有することを特徴とする脱着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−30337(P2011−30337A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172517(P2009−172517)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【出願人】(500109641)株式会社NTT西日本−中国 (2)