取付部材の被取付部材への取付構造
【課題】電子部品用の取付部材を、電子部品用の被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付ける場合に、その取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる取付部材の被取付部材への取付構造を提供する。
【解決手段】電子部品用の成形樹脂製の取付部材100から突出する突出部111が、電子部品用の被取付部材250に設けた開口部251に、突出部111の突出方向に対して被取付部材250の面が垂直な位置から所定角度θ1傾斜した状態で挿入され、被取付部材250を貫通して突出する突出部111の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材100の被取付部材250への取付構造である。突出部111が突出する開口部251の周囲に、突出部111の突出方向に略垂直な平面からなる熱カシメ用受け面257を設ける。
【解決手段】電子部品用の成形樹脂製の取付部材100から突出する突出部111が、電子部品用の被取付部材250に設けた開口部251に、突出部111の突出方向に対して被取付部材250の面が垂直な位置から所定角度θ1傾斜した状態で挿入され、被取付部材250を貫通して突出する突出部111の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材100の被取付部材250への取付構造である。突出部111が突出する開口部251の周囲に、突出部111の突出方向に略垂直な平面からなる熱カシメ用受け面257を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用のケース等の取付部材を、被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付けるのに用いて好適な取付部材の被取付部材への取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シャーシ等の取付板に各種電子部品を取り付けたものを外装ケースの内側に取り付けてなる電子機器がある。そしてこの種の電子機器の中には、前記取付板に対して所定の傾斜角度を持った状態で各種電子部品を取り付ける場合があった。一方一般に、取付板への各種電子部品の取り付けは、各種電子部品に設けた突起を取付板に設けた開口部に挿入してその先端を熱によって潰すことで行われていた。
【0003】
図10(a)〜(d)は取付板へ各種電子部品のケースを所定の傾斜角度を持った状態で取り付ける従来の方法を示す図である。図10(a)に示すように取付板510の面に対して斜めに傾斜した方向を向くようにケース530を取り付ける場合、合成樹脂製のケース530の取付板510側を向く面から突出する突出部531を取付板510に設けた小孔からなる開口部511に挿入し、挿入した突出部531の先端に加熱したポンチを押し付けて潰すこと(熱カシメ)でその取り付けが行われる。
【0004】
しかしながら上記従来の方法では、突出部531が取付板510の表面に対して斜めに傾斜した状態で突出しているので、必ずしも良好な熱カシメを行うことができなかった。即ち図10(a)の矢印a1で示すように突出部531の突出方向の真上から熱カシメを行った場合は図10(b)に示すように、また図10(a)の矢印a2で示すように取付板510の表面に垂直な方向から熱カシメを行った場合は図10(c)に示すように、何れの場合も熱カシメで潰れた突出部531の先端形状が取付板510の表面に対していびつな形状、即ち突出部531の潰れた部分が取付板510の表面に沿って不均一に広がり、又は取付板510と隙間を持って係合してしまい、ケース530の取付板510への固定が確実に行われずその固定強度が弱くなってしまう。この問題は図10(d)に示すように、ケース530を取付板510を介して別の部材550に取り付けるような場合でも同様に生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、電子部品用の取付部材を、電子部品用の被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付ける場合に、その取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる取付部材の被取付部材への取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、電子部品用の成形樹脂製の取付部材から突出する突出部が、電子部品用の開口部を有する被取付部材の前記開口部に、被取付部材の前記取付部材側の面が前記突出部の突出方向に対して垂直な位置から所定角度傾斜した状態で挿入され、被取付部材を貫通して突出する前記突出部の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材の被取付部材への取付構造において、前記突出部が突出する前記開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたことを特徴とする取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記熱潰し用受け面は、前記突出部の突出方向に略垂直な平面からなることを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、前記取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置し、前記取付部材と被取付部材とを前記挟持部材を挟持した状態で一体に固定したことを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0009】
本願請求項4に記載の発明は、前記被取付部材は成形樹脂からなり、前記挟持部材は金属板からなることを特徴とする請求項3に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0010】
本願請求項5に記載の発明は、前記被取付部材はワッシャ部材であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2に記載の発明によれば、被取付部材の開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたので、この熱潰し用受け面の形状を突出部を熱で潰すのに好適な形状とすることができ、取付部材を被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付ける場合でも、その取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0012】
請求項3,4に記載の発明によれば、取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置した場合でも、これら各部材を容易且つ確実且つ強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、被取付部材をワッシャ部材として汎用的に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかる取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。そして図1(a)には、成形樹脂製で電子部品用の取付部材(以下「第1ケース」という)100から突出する突出部111(熱カシメ前は点線で示す状態)を、金属板製の挟持部材(以下「支持板」という)400に設けた開口部409と、成型樹脂製で電子部品用の被取付部材(以下「第2ケース」という)250に設けた開口部251とに、前記突出部111の突出方向に対して第2ケース250の面が垂直な位置から所定の角度θ1だけ傾斜した状態で挿入され、第2ケース250を貫通して突出する前記突出部111の先端を熱によって潰すことで固定するとともに、前記突出部111が突出する前記開口部251の周囲に熱潰し用受け面(以下各実施形態では「熱カシメ用受け面」という)257を設けた構成が開示されている。ここで前記熱カシメ用受け面257は、前記突出部111の突出方向に垂直(略垂直でも良い)な平面からなっている。また第1ケース100と第2ケース250の間には支持板400が配置され、支持板400は第1ケース100と第2ケース250とによって挟持されて一体に固定されている。このとき支持板400には開口部409が設けられ、第1ケース100の突出部111がこれを貫通している。そして図1(a)に示すように第1ケース100の突出部111を支持板400の開口部409と第2ケース250の開口部251に挿入し、その先端を熱カシメによって潰し、これによってこれら各部材を一体に固定する。この熱カシメは、加熱したポンチを矢印で示すように突出部111の真上から突出部111の先端に押し付けることによって行うが、その際突出部111が突出する熱カシメ用受け面257は、突出部111の突出方向に対して垂直な面なので、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、つまり突出部111の潰れた部分が熱カシメ用受け面257の表面に沿って均一に広がり、且つ熱カシメ用受け面257と密着して係合し、この熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0015】
ところで上記基本構成では第1ケース100と第2ケース250の間に支持板400を挟持したが、これは支持板400に第1ケース100と第2ケース250とを同時に固定するためである。従って場合によっては支持板400は省略して、図1(b)に示すように、直接第1ケース100と第2ケース250間を固定しても良い。この場合も図1(a)の場合と同様に、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0016】
なお図1(a),(b)において、第2ケース250に設けた開口部251の形状は、第1ケース100側に向かって末広がりに広がって突出部111との間(開口部251の熱カシメ用受け面257に面する以外の部分)に大きな隙間が生じる形状となっている。さらに具体的にいえば、図1(a),(b)に示す断面において、一方の側辺は突出部111の突出方向に平行な直線で、他方の側辺は第2ケース250の面に垂直な直線となっている。開口部251がこのような形状になるのは、以下の理由による。即ち第2ケース250を成形樹脂で構成した場合、この第2ケース250を成形するための一対の金型を第2ケース250の面に対して垂直な方向に接合し、引き離す必要が生じる場合がある(下記する図2に示す第2ケース250には収納部253が設けられていてその内周側面が第2ケース250の面に対して垂直な方向を向くので、一対の金型は第2ケース250の面に対して垂直な方向に接合し、引き離す必要がある)。従ってこの場合、開口部251を金型の移動方向を考慮して形成しようとすると、前記末広がりの形状になる(開口部251の内周面形状を突出部111の突出方向に平行な円柱形状とする金型を用いると、成形後に金型が上下に引き離せなくなる。)。
【0017】
図2は前記図1(a)に示す取付部材の被取付部材への取付構造を用いて構成される電子部品(以下「多機能型電子部品」という)1−1の分解斜視図である。この多機能型電子部品1−1は、第1電子部品10と、第2電子部品200とを支持板400の両面に取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0018】
支持板400は金属板を矩形状に形成し、且つその所定部分(屈曲辺405)を屈曲することで2つの平面状の電子部品取付部401,403を設けている。両電子部品取付部401,403間の屈曲する角度はθ1である。電子部品取付部401の両面はそれぞれ下記する第1,第2電子部品10,200を取り付ける取付面となっている。一方電子部品取付部403にも図示はしないが各種電子部品が取り付けられる。屈曲辺405の部分にはスリット状の基板挿通部407が設けられている。また電子部品取付部401の4隅には、貫通孔又は切り欠きからなる開口部409が設けられている。また電子部品取付部401の所定位置には4つの貫通孔からなる係止部411が設けられている。
【0019】
図3,図4は第1電子部品10をそれぞれ別の角度から見た分解斜視図である。両図に示すように第1電子部品10は押釦スイッチ付き回転式電子部品であり、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20と第1ケース100とを具備して構成されている。押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20は、回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60とを、下記する取付台40のスリット42を通して帯状の連結部71によって連結している。回転式電子部品部30は、取付台40の一方の面に回転体50を回転自在に取り付け、回転体50の取付台40側に取り付けた図示しない摺動子300(図8参照)を、取付台40の回転体50に対向する面側に取り付けた摺動用基板57(図8参照)の図示しないスイッチパターンや抵抗体パターン等の摺動用パターンに摺接させて構成されている。取付台40の下部には取付台40をL字状に屈曲してなる押圧用基部41を設け、この押圧用基部41の下面中央に柱状に突出する押圧部43を設けている。押圧用基部41の根元部分には貫通するスリット42が設けられている。取付台40の回転体50を取り付けた反対側の面にはその略中央に爪状の係合部45を設け、係合部45の両側にL字状に突出するガイド部47を設け、また係合部45の上部にT字状に突出するガイド係合部49を設けている。一方押釦スイッチ部60は、合成樹脂板製の矩形状の設置台61上にスイッチ63を設けたスイッチ基板65を取り付けて構成されている。スイッチ基板65は設置台61から突出する小突起67をスイッチ基板65に設けた小孔に挿通してその先端を熱カシメすることで設置台61上に固定されている。スイッチ63はスイッチ基板65上に形成した一対のスイッチパターン上に金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)66を取り付けて構成されている。このスイッチ基板65と前記摺動用基板57とは前記連結部71を介して一体に連結されたフレキシブル回路基板であり、スイッチ基板65の外周辺には回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60の出力を取り出す帯状の引出部69が一体に取り付けられている。
【0020】
第1ケース100は合成樹脂製であり、その上部と、前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側の側面部分とを開放した箱型に形成され、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20の取付台40を上下動自在に取り付ける取付面100aには前記取付台40の係合部45を係止して取付台40が上方向に外れるのを防止する上方向に突出する弾性爪状の係止部101と、前記ガイド部47が上下動自在となるように係合する上下に延びる平板状のガイド受け部103と、前記ガイド係合部49が上下動自在となるように係合する切り欠き溝状のガイド係合受け部105とが設けられている。また第1ケース100の下部は前記押釦スイッチ部60を挿入する押釦スイッチ部挿入部107となっている。そして第1ケース100の前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側を向く両側辺109は下方向に向かって斜め前方に突出していく傾斜面となっている。そして両側辺109の上下には、それぞれ水平方向(図2に示す支持板400方向)に向かって突出する柱状の突出部111が設けられている。なお両側辺109の傾斜角度はθ1であり、前記支持板400の両電子部品取付部401,403間の屈曲する角度と同じである。
【0021】
そして第1ケース100内にその開放された側面側から押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入してゆき、取付台40の面を第1ケース100の取付面100aに当接し、その際取付台40の係合部45を係止部101の上部に、ガイド部47をガイド受け部103の上部に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105の上部に位置し、第1ケース100に対して取付台40を下降することで係合部45を係止部101に、ガイド部47をガイド受け部103に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105に係合する。これによって回転式電子部品部30が第1ケース100内で上下動自在に保持される。同時にこのとき押釦スイッチ部60も第1ケース100の下部の押釦スイッチ部挿入部107内に収納され、図2に示す状態になり、第1電子部品10が完成する。
【0022】
第2電子部品200は図2に示すように、電子部品本体部(以下「2段押釦スイッチ本体部」という)210と、第2ケース250とを具備して構成されている。図5は2段押釦スイッチ本体部210の組立方法説明図である。同図に示すように2段押釦スイッチ本体部210はスイッチ基板211と基板取付体240とを具備して構成されている。スイッチ基板211は可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム)を矩形状に形成してなる第1基板部215と、一対の円形の第2基板部217とを連結部219,221で連結し、第1基板部215上に一対のスイッチパターン223,225を設け、一対の第2基板部217上にそれぞれスイッチパターン227,229を設け、図示しない回路パターンによってこれら各スイッチパターン223,225,227,229の出力を第1基板部215に接続した引出部216から外部に引き出すように構成している。なおスイッチパターン227,229の周囲にはスイッチパターン227,229よりも厚くリング状の絶縁層からなるスペーサ層231が印刷されている。また第1基板部215の4隅の前記支持板400の各係止部411に対向する位置にはそれぞれ円形の小孔からなる挿通部239が設けられている。一方基板取付体240は合成樹脂を円形に成形して構成されており、図5に示すその一方の面に前記一対の第2基板部217を収納・載置する基板取付面241を設け、その他方の面の中央に小突起状の押圧部243を設けて構成されている。そして第1基板部215の一対のスイッチパターン223,225上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(以下「可動接点板」という)233を取り付けることでスイッチ235を構成し、一対の第2基板部217をスイッチパターン227,229が対向するように重ね合わせたものを基板取付体240の基板取付面241に取り付けることでスイッチ237を構成し、さらにこの第2基板部217を取り付けた基板取付体240を第1基板部215上に載置して基板取付体240の押圧部243を可動接点板233の上面中央に設置することで、図2に示す2段押釦スイッチ本体部210としている。
【0023】
次に第2ケース250は図2に示すように、合成樹脂を略矩形状に成形して構成されており、その外形形状寸法は前記支持板400の電子部品取付部401の外形寸法形状と略同一に形成されており、またその4隅の前記支持板400の各開口部409に対向する位置にはそれぞれ貫通孔又は切り欠きからなる開口部251が設けられ、またその中央の前記2段押釦スイッチ本体部210側を向く面には前記2段押釦スイッチ本体部210の基板取付体240を上下動自在に収納する円形凹状の収納部253が設けられている。収納部253の底面には図示しないキートップに設けた棒状のスイッチ押圧部を挿入する押圧部挿入部255が設けられている。なお第2ケース250の前記2段押釦スイッチ本体部210側を向く面の収納部253の周囲の前記2段押釦スイッチ本体部210の各挿通部239に対向する位置には図示はしないがそれぞれ位置決め突起が突設されている。
【0024】
そして前記第2ケース250の前記第1ケース100を取り付ける反対側の面の開口部251の周囲、言い換えれば第1ケース100の突出部111が突出する開口部251の周囲には熱カシメ用受け面257が設けられている。この熱カシメ用受け面257は、第2ケース250の他の表面部分に対してその面の傾斜角度がθ1だけ傾斜した傾斜面となっている。言い換えればこの熱カシメ用受け面257は、この開口部251に挿入される突出部111の突出方向に略垂直な平面になっている。
【0025】
多機能型電子部品1−1を組み立てるには、図2において、支持板400の電子部品取付部401の一方の取付面に第1電子部品10の第1ケース100の側辺109を当接し、その際第1ケース100の各突出部111を支持板400の各開口部409に挿入し、また引出部69を支持板400の基板挿通部407に挿通する。次に第2ケース250の収納部253を設けた側の面に2段押釦スイッチ本体部210を設置し、その際収納部253内に2段押釦スイッチ本体部210の基板取付体240を収納すると同時に、収納部253の周囲に設けた図示しない位置決め突起を2段押釦スイッチ本体部210の各挿通部239に挿入して第2電子部品200を組み立てる。そしてこの第2電子部品200を前記支持板400の電子部品取付部401の他方の取付面に載置し、その際支持板400から突出している前記第1ケース100の突出部111を第2ケース250の各開口部251に挿入し、図6,図7に示す状態とする。このとき同時に第2ケース250に設けた図示しない位置決め突起が電子部品取付部401の係止部411に挿入される。なお図7において、46は取付台40の面から突出して回転体50を回動自在に軸支する軸であり、51は回転体50の摺動子300を取り付けた面の裏面に設けたリング状の凹凸からなるクリック係合部であり、53はクリック係合部51に弾接する弾性金属板からなるクリック板であり、55はクリック板53及び回転体50の軸46からの抜けを防止する押え板である。そして図8に示すように、各開口部251から突出する各突出部111の先端を熱カシメする。この熱カシメは前記図1(a)を用いて説明したように、加熱したポンチを突出部111の真上から突出部111の先端に押し付けることによって行うが、その際突出部111が突出する熱カシメ用受け面257は、突出部111の突出方向に対して略垂直な平面なので、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、この熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。これによって多機能型電子部品1−1が完成する。
【0026】
そして多機能型電子部品1−1の回転体50を回転すると、摺動子300が摺動用基板57上に設けた図示しない摺動用パターン上を摺動し、その出力を変化する。一方回転体50をその回転軸に向かって真上から真下に押圧すると、回転式電子部品部30全体が下降してその押圧部43がスイッチ63を押圧して反転板66を反転し、これをオンする。回転体50への押圧を解除すれば、反転板66の弾性復帰力によって回転式電子部品部30全体が元の位置に自動復帰し、スイッチ63はオフする。一方第2ケース250に設けた押圧部挿入部255(図2参照)に図示しないキートップのスイッチ押圧部を挿入して2段押釦スイッチ本体部210の第2基板部217の中央を押圧すれば、まず図5に示す一対の第2基板部217のスイッチパターン227,229からなるスイッチ237がオンし、さらに第2基板部217を押圧すれば、第2基板部217を載置している基板取付体240が下降してその押圧部243が第1基板部215の可動接点板233を反転しそのスイッチ235をオンする。前記押圧を解除すれば、スイッチ235、スイッチ237がこの順でオフする。
【0027】
図9は本発明の他の実施形態に係る電子部品1−2の分解斜視図(図2に相当する図)である。同図に示す電子部品1−2において、前記図1〜図8に示す多機能型電子部品1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図8に示す実施形態と同じである。この実施形態において前記多機能型電子部品1−1と相違する点は、支持板400に第2電子部品200を取り付ける代りに、電子部品用の成型樹脂製の被取付部材(以下「取付板」という)500を取り付けた点のみである。即ち取付板500は前記第2ケース250から収納部253と押圧部挿入部255を省略してその部分を平面状としたものである。この実施形態のように、第2電子部品200が不要な場合でも、支持板400への第1電子部品10の取り付けのために、本発明の熱カシメ用受け面257を有する取付板500を用いることができる。また図1(b)で説明したように、前記支持板400を省略して第1電子部品10を直接取付板500に取り付けても良い。この場合、取付板500の形状を支持板400と同じように構成し、取付板500に支持板400の機能を持たせても良い。
【0028】
図11は本発明のさらに他の実施形態にかかる取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。この実施形態において、前記図1(a),(b)に示す取付部材の被取付部材への取付構造と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1(a),(b)に示す実施形態と同じである。この実施形態において前記取付部材の被取付部材への取付構造と相違する点は、被取付部材をワッシャ部材600で構成した点と、第2ケース250を被取付部材ではなく、支持板400と同じ挟持部材とし、第2ケース250から熱カシメ用受け面257をなくした点である。即ちこの実施形態におけるワッシャ部材600は、中央に開口部601を有する円柱の下面(取付部材である第1ケース100側の面)を円柱の中心軸に垂直な面に対して所定の角度θ1だけ傾斜した面とし、またこの円柱の上面、即ち第1ケース100の突出部111が突出する開口部601の周囲の面を、熱カシメ用受け面603としている。即ちこの実施形態にかかる取付部材の被取付部材への取付構造は、図11に示すように、電子部品用の成形樹脂製の取付部材である第1ケース100から突出する突出部111が、挟持部材である支持板400と第2ケース250を介して、電子部品用の開口部601を有する被取付部材であるワッシャ部材600の前記開口部601に、ワッシャ部材600の前記第1ケース100側の面が前記突出部111の突出方向に対して垂直な位置から所定角度θだけ傾斜した状態で挿入され、その際ワッシャ部材600の前記突出部111が突出する前記開口部601の周囲に突出部111の突出方向に略垂直な平面からなる熱カシメ用受け面603を設けておき、ワッシャ部材600を貫通して突出する前記突出部111の先端を熱によって潰すことで固定された構造となっている。
【0029】
このように第2ケース250とは別部品としてワッシャ部材600を用いれば、第2ケース250に熱カシメ用受け面257を設けなくても良くなる。即ち被取付部材であるワッシャ部材600を汎用的な部品として利用でき、挟持部材である第2ケース250や支持板400に特別に熱カシメ用受け面を設けなくても、これら部材を取付部材である第1ケース100に対して斜めに傾斜した状態で容易に取り付けることが可能となる。なおこの実施形態において、第2ケース250や支持板400を省略しても良いことは、前記各実施形態と同様である。
【0030】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では取付部材として第1ケース100を用いたが、電子部品用の成形樹脂製の取付部材であれば、他の各種用途、機能、構造を有する取付部材を用いても良い。また上記実施形態では挟持部材として支持板400を用いたが、板状以外の各種形状・構造の挟持部材であっても良い。挟持部材は金属板でなく、合成樹脂板製などであっても良い。また被取付部材として第2ケース250や取付板500やワッシャ部材600を用いたが、電子部品用の被取付部材であれば、他の各種用途、機能、構造の被取付部材であっても良い。被取付部材は成型樹脂製でなく、金属製などであっても良い。また上記実施形態では被取付部材を貫通して突出する突出部の先端を加熱した部材(ポンチ)を押し付けることで潰して熱カシメしたが、その代りに前記突出部の先端を超音波振動による熱によって溶かして潰してもよい。またさらにその他の方法で潰しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。
【図2】多機能型電子部品1−1の分解斜視図である。
【図3】第1電子部品10の分解斜視図である。
【図4】第1電子部品10の分解斜視図である。
【図5】2段押釦スイッチ本体部210の組立方法説明図である。
【図6】多機能型電子部品1−1の組立方法説明図である。
【図7】多機能型電子部品1−1の組立方法説明図である。
【図8】多機能型電子部品1−1の断面図である。
【図9】電子部品1−2の分解斜視図である。
【図10】取付板510へケース530を取り付ける従来の方法を示す図である。
【図11】取付部材の被取付部材への取付構造の他の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1−1 多機能型電子部品
10 第1電子部品
100 第1ケース(取付部材)
111 突出部
200 第2電子部品
210 2段押釦スイッチ本体部
250 第2ケース(被取付部材)
251 開口部
257 熱カシメ用受け面(熱潰し用受け面)
400 支持板(挟持部材)
409 開口部
1−2 電子部品
500 取付板(被取付部材)
600 ワッシャ部材(被取付部材)
601 開口部
603 熱カシメ用受け面(熱潰し用受け面)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用のケース等の取付部材を、被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付けるのに用いて好適な取付部材の被取付部材への取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シャーシ等の取付板に各種電子部品を取り付けたものを外装ケースの内側に取り付けてなる電子機器がある。そしてこの種の電子機器の中には、前記取付板に対して所定の傾斜角度を持った状態で各種電子部品を取り付ける場合があった。一方一般に、取付板への各種電子部品の取り付けは、各種電子部品に設けた突起を取付板に設けた開口部に挿入してその先端を熱によって潰すことで行われていた。
【0003】
図10(a)〜(d)は取付板へ各種電子部品のケースを所定の傾斜角度を持った状態で取り付ける従来の方法を示す図である。図10(a)に示すように取付板510の面に対して斜めに傾斜した方向を向くようにケース530を取り付ける場合、合成樹脂製のケース530の取付板510側を向く面から突出する突出部531を取付板510に設けた小孔からなる開口部511に挿入し、挿入した突出部531の先端に加熱したポンチを押し付けて潰すこと(熱カシメ)でその取り付けが行われる。
【0004】
しかしながら上記従来の方法では、突出部531が取付板510の表面に対して斜めに傾斜した状態で突出しているので、必ずしも良好な熱カシメを行うことができなかった。即ち図10(a)の矢印a1で示すように突出部531の突出方向の真上から熱カシメを行った場合は図10(b)に示すように、また図10(a)の矢印a2で示すように取付板510の表面に垂直な方向から熱カシメを行った場合は図10(c)に示すように、何れの場合も熱カシメで潰れた突出部531の先端形状が取付板510の表面に対していびつな形状、即ち突出部531の潰れた部分が取付板510の表面に沿って不均一に広がり、又は取付板510と隙間を持って係合してしまい、ケース530の取付板510への固定が確実に行われずその固定強度が弱くなってしまう。この問題は図10(d)に示すように、ケース530を取付板510を介して別の部材550に取り付けるような場合でも同様に生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、電子部品用の取付部材を、電子部品用の被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付ける場合に、その取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる取付部材の被取付部材への取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、電子部品用の成形樹脂製の取付部材から突出する突出部が、電子部品用の開口部を有する被取付部材の前記開口部に、被取付部材の前記取付部材側の面が前記突出部の突出方向に対して垂直な位置から所定角度傾斜した状態で挿入され、被取付部材を貫通して突出する前記突出部の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材の被取付部材への取付構造において、前記突出部が突出する前記開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたことを特徴とする取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記熱潰し用受け面は、前記突出部の突出方向に略垂直な平面からなることを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、前記取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置し、前記取付部材と被取付部材とを前記挟持部材を挟持した状態で一体に固定したことを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0009】
本願請求項4に記載の発明は、前記被取付部材は成形樹脂からなり、前記挟持部材は金属板からなることを特徴とする請求項3に記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【0010】
本願請求項5に記載の発明は、前記被取付部材はワッシャ部材であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の取付部材の被取付部材への取付構造にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2に記載の発明によれば、被取付部材の開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたので、この熱潰し用受け面の形状を突出部を熱で潰すのに好適な形状とすることができ、取付部材を被取付部材に対して斜めに傾斜した状態で取り付ける場合でも、その取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0012】
請求項3,4に記載の発明によれば、取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置した場合でも、これら各部材を容易且つ確実且つ強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、被取付部材をワッシャ部材として汎用的に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかる取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。そして図1(a)には、成形樹脂製で電子部品用の取付部材(以下「第1ケース」という)100から突出する突出部111(熱カシメ前は点線で示す状態)を、金属板製の挟持部材(以下「支持板」という)400に設けた開口部409と、成型樹脂製で電子部品用の被取付部材(以下「第2ケース」という)250に設けた開口部251とに、前記突出部111の突出方向に対して第2ケース250の面が垂直な位置から所定の角度θ1だけ傾斜した状態で挿入され、第2ケース250を貫通して突出する前記突出部111の先端を熱によって潰すことで固定するとともに、前記突出部111が突出する前記開口部251の周囲に熱潰し用受け面(以下各実施形態では「熱カシメ用受け面」という)257を設けた構成が開示されている。ここで前記熱カシメ用受け面257は、前記突出部111の突出方向に垂直(略垂直でも良い)な平面からなっている。また第1ケース100と第2ケース250の間には支持板400が配置され、支持板400は第1ケース100と第2ケース250とによって挟持されて一体に固定されている。このとき支持板400には開口部409が設けられ、第1ケース100の突出部111がこれを貫通している。そして図1(a)に示すように第1ケース100の突出部111を支持板400の開口部409と第2ケース250の開口部251に挿入し、その先端を熱カシメによって潰し、これによってこれら各部材を一体に固定する。この熱カシメは、加熱したポンチを矢印で示すように突出部111の真上から突出部111の先端に押し付けることによって行うが、その際突出部111が突出する熱カシメ用受け面257は、突出部111の突出方向に対して垂直な面なので、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、つまり突出部111の潰れた部分が熱カシメ用受け面257の表面に沿って均一に広がり、且つ熱カシメ用受け面257と密着して係合し、この熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0015】
ところで上記基本構成では第1ケース100と第2ケース250の間に支持板400を挟持したが、これは支持板400に第1ケース100と第2ケース250とを同時に固定するためである。従って場合によっては支持板400は省略して、図1(b)に示すように、直接第1ケース100と第2ケース250間を固定しても良い。この場合も図1(a)の場合と同様に、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。
【0016】
なお図1(a),(b)において、第2ケース250に設けた開口部251の形状は、第1ケース100側に向かって末広がりに広がって突出部111との間(開口部251の熱カシメ用受け面257に面する以外の部分)に大きな隙間が生じる形状となっている。さらに具体的にいえば、図1(a),(b)に示す断面において、一方の側辺は突出部111の突出方向に平行な直線で、他方の側辺は第2ケース250の面に垂直な直線となっている。開口部251がこのような形状になるのは、以下の理由による。即ち第2ケース250を成形樹脂で構成した場合、この第2ケース250を成形するための一対の金型を第2ケース250の面に対して垂直な方向に接合し、引き離す必要が生じる場合がある(下記する図2に示す第2ケース250には収納部253が設けられていてその内周側面が第2ケース250の面に対して垂直な方向を向くので、一対の金型は第2ケース250の面に対して垂直な方向に接合し、引き離す必要がある)。従ってこの場合、開口部251を金型の移動方向を考慮して形成しようとすると、前記末広がりの形状になる(開口部251の内周面形状を突出部111の突出方向に平行な円柱形状とする金型を用いると、成形後に金型が上下に引き離せなくなる。)。
【0017】
図2は前記図1(a)に示す取付部材の被取付部材への取付構造を用いて構成される電子部品(以下「多機能型電子部品」という)1−1の分解斜視図である。この多機能型電子部品1−1は、第1電子部品10と、第2電子部品200とを支持板400の両面に取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0018】
支持板400は金属板を矩形状に形成し、且つその所定部分(屈曲辺405)を屈曲することで2つの平面状の電子部品取付部401,403を設けている。両電子部品取付部401,403間の屈曲する角度はθ1である。電子部品取付部401の両面はそれぞれ下記する第1,第2電子部品10,200を取り付ける取付面となっている。一方電子部品取付部403にも図示はしないが各種電子部品が取り付けられる。屈曲辺405の部分にはスリット状の基板挿通部407が設けられている。また電子部品取付部401の4隅には、貫通孔又は切り欠きからなる開口部409が設けられている。また電子部品取付部401の所定位置には4つの貫通孔からなる係止部411が設けられている。
【0019】
図3,図4は第1電子部品10をそれぞれ別の角度から見た分解斜視図である。両図に示すように第1電子部品10は押釦スイッチ付き回転式電子部品であり、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20と第1ケース100とを具備して構成されている。押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20は、回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60とを、下記する取付台40のスリット42を通して帯状の連結部71によって連結している。回転式電子部品部30は、取付台40の一方の面に回転体50を回転自在に取り付け、回転体50の取付台40側に取り付けた図示しない摺動子300(図8参照)を、取付台40の回転体50に対向する面側に取り付けた摺動用基板57(図8参照)の図示しないスイッチパターンや抵抗体パターン等の摺動用パターンに摺接させて構成されている。取付台40の下部には取付台40をL字状に屈曲してなる押圧用基部41を設け、この押圧用基部41の下面中央に柱状に突出する押圧部43を設けている。押圧用基部41の根元部分には貫通するスリット42が設けられている。取付台40の回転体50を取り付けた反対側の面にはその略中央に爪状の係合部45を設け、係合部45の両側にL字状に突出するガイド部47を設け、また係合部45の上部にT字状に突出するガイド係合部49を設けている。一方押釦スイッチ部60は、合成樹脂板製の矩形状の設置台61上にスイッチ63を設けたスイッチ基板65を取り付けて構成されている。スイッチ基板65は設置台61から突出する小突起67をスイッチ基板65に設けた小孔に挿通してその先端を熱カシメすることで設置台61上に固定されている。スイッチ63はスイッチ基板65上に形成した一対のスイッチパターン上に金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)66を取り付けて構成されている。このスイッチ基板65と前記摺動用基板57とは前記連結部71を介して一体に連結されたフレキシブル回路基板であり、スイッチ基板65の外周辺には回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60の出力を取り出す帯状の引出部69が一体に取り付けられている。
【0020】
第1ケース100は合成樹脂製であり、その上部と、前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側の側面部分とを開放した箱型に形成され、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20の取付台40を上下動自在に取り付ける取付面100aには前記取付台40の係合部45を係止して取付台40が上方向に外れるのを防止する上方向に突出する弾性爪状の係止部101と、前記ガイド部47が上下動自在となるように係合する上下に延びる平板状のガイド受け部103と、前記ガイド係合部49が上下動自在となるように係合する切り欠き溝状のガイド係合受け部105とが設けられている。また第1ケース100の下部は前記押釦スイッチ部60を挿入する押釦スイッチ部挿入部107となっている。そして第1ケース100の前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側を向く両側辺109は下方向に向かって斜め前方に突出していく傾斜面となっている。そして両側辺109の上下には、それぞれ水平方向(図2に示す支持板400方向)に向かって突出する柱状の突出部111が設けられている。なお両側辺109の傾斜角度はθ1であり、前記支持板400の両電子部品取付部401,403間の屈曲する角度と同じである。
【0021】
そして第1ケース100内にその開放された側面側から押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入してゆき、取付台40の面を第1ケース100の取付面100aに当接し、その際取付台40の係合部45を係止部101の上部に、ガイド部47をガイド受け部103の上部に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105の上部に位置し、第1ケース100に対して取付台40を下降することで係合部45を係止部101に、ガイド部47をガイド受け部103に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105に係合する。これによって回転式電子部品部30が第1ケース100内で上下動自在に保持される。同時にこのとき押釦スイッチ部60も第1ケース100の下部の押釦スイッチ部挿入部107内に収納され、図2に示す状態になり、第1電子部品10が完成する。
【0022】
第2電子部品200は図2に示すように、電子部品本体部(以下「2段押釦スイッチ本体部」という)210と、第2ケース250とを具備して構成されている。図5は2段押釦スイッチ本体部210の組立方法説明図である。同図に示すように2段押釦スイッチ本体部210はスイッチ基板211と基板取付体240とを具備して構成されている。スイッチ基板211は可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム)を矩形状に形成してなる第1基板部215と、一対の円形の第2基板部217とを連結部219,221で連結し、第1基板部215上に一対のスイッチパターン223,225を設け、一対の第2基板部217上にそれぞれスイッチパターン227,229を設け、図示しない回路パターンによってこれら各スイッチパターン223,225,227,229の出力を第1基板部215に接続した引出部216から外部に引き出すように構成している。なおスイッチパターン227,229の周囲にはスイッチパターン227,229よりも厚くリング状の絶縁層からなるスペーサ層231が印刷されている。また第1基板部215の4隅の前記支持板400の各係止部411に対向する位置にはそれぞれ円形の小孔からなる挿通部239が設けられている。一方基板取付体240は合成樹脂を円形に成形して構成されており、図5に示すその一方の面に前記一対の第2基板部217を収納・載置する基板取付面241を設け、その他方の面の中央に小突起状の押圧部243を設けて構成されている。そして第1基板部215の一対のスイッチパターン223,225上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(以下「可動接点板」という)233を取り付けることでスイッチ235を構成し、一対の第2基板部217をスイッチパターン227,229が対向するように重ね合わせたものを基板取付体240の基板取付面241に取り付けることでスイッチ237を構成し、さらにこの第2基板部217を取り付けた基板取付体240を第1基板部215上に載置して基板取付体240の押圧部243を可動接点板233の上面中央に設置することで、図2に示す2段押釦スイッチ本体部210としている。
【0023】
次に第2ケース250は図2に示すように、合成樹脂を略矩形状に成形して構成されており、その外形形状寸法は前記支持板400の電子部品取付部401の外形寸法形状と略同一に形成されており、またその4隅の前記支持板400の各開口部409に対向する位置にはそれぞれ貫通孔又は切り欠きからなる開口部251が設けられ、またその中央の前記2段押釦スイッチ本体部210側を向く面には前記2段押釦スイッチ本体部210の基板取付体240を上下動自在に収納する円形凹状の収納部253が設けられている。収納部253の底面には図示しないキートップに設けた棒状のスイッチ押圧部を挿入する押圧部挿入部255が設けられている。なお第2ケース250の前記2段押釦スイッチ本体部210側を向く面の収納部253の周囲の前記2段押釦スイッチ本体部210の各挿通部239に対向する位置には図示はしないがそれぞれ位置決め突起が突設されている。
【0024】
そして前記第2ケース250の前記第1ケース100を取り付ける反対側の面の開口部251の周囲、言い換えれば第1ケース100の突出部111が突出する開口部251の周囲には熱カシメ用受け面257が設けられている。この熱カシメ用受け面257は、第2ケース250の他の表面部分に対してその面の傾斜角度がθ1だけ傾斜した傾斜面となっている。言い換えればこの熱カシメ用受け面257は、この開口部251に挿入される突出部111の突出方向に略垂直な平面になっている。
【0025】
多機能型電子部品1−1を組み立てるには、図2において、支持板400の電子部品取付部401の一方の取付面に第1電子部品10の第1ケース100の側辺109を当接し、その際第1ケース100の各突出部111を支持板400の各開口部409に挿入し、また引出部69を支持板400の基板挿通部407に挿通する。次に第2ケース250の収納部253を設けた側の面に2段押釦スイッチ本体部210を設置し、その際収納部253内に2段押釦スイッチ本体部210の基板取付体240を収納すると同時に、収納部253の周囲に設けた図示しない位置決め突起を2段押釦スイッチ本体部210の各挿通部239に挿入して第2電子部品200を組み立てる。そしてこの第2電子部品200を前記支持板400の電子部品取付部401の他方の取付面に載置し、その際支持板400から突出している前記第1ケース100の突出部111を第2ケース250の各開口部251に挿入し、図6,図7に示す状態とする。このとき同時に第2ケース250に設けた図示しない位置決め突起が電子部品取付部401の係止部411に挿入される。なお図7において、46は取付台40の面から突出して回転体50を回動自在に軸支する軸であり、51は回転体50の摺動子300を取り付けた面の裏面に設けたリング状の凹凸からなるクリック係合部であり、53はクリック係合部51に弾接する弾性金属板からなるクリック板であり、55はクリック板53及び回転体50の軸46からの抜けを防止する押え板である。そして図8に示すように、各開口部251から突出する各突出部111の先端を熱カシメする。この熱カシメは前記図1(a)を用いて説明したように、加熱したポンチを突出部111の真上から突出部111の先端に押し付けることによって行うが、その際突出部111が突出する熱カシメ用受け面257は、突出部111の突出方向に対して略垂直な平面なので、潰した突出部111の先端がいびつになることはなく、この熱カシメによる取り付けを容易且つ確実且つ強固に行うことができる。これによって多機能型電子部品1−1が完成する。
【0026】
そして多機能型電子部品1−1の回転体50を回転すると、摺動子300が摺動用基板57上に設けた図示しない摺動用パターン上を摺動し、その出力を変化する。一方回転体50をその回転軸に向かって真上から真下に押圧すると、回転式電子部品部30全体が下降してその押圧部43がスイッチ63を押圧して反転板66を反転し、これをオンする。回転体50への押圧を解除すれば、反転板66の弾性復帰力によって回転式電子部品部30全体が元の位置に自動復帰し、スイッチ63はオフする。一方第2ケース250に設けた押圧部挿入部255(図2参照)に図示しないキートップのスイッチ押圧部を挿入して2段押釦スイッチ本体部210の第2基板部217の中央を押圧すれば、まず図5に示す一対の第2基板部217のスイッチパターン227,229からなるスイッチ237がオンし、さらに第2基板部217を押圧すれば、第2基板部217を載置している基板取付体240が下降してその押圧部243が第1基板部215の可動接点板233を反転しそのスイッチ235をオンする。前記押圧を解除すれば、スイッチ235、スイッチ237がこの順でオフする。
【0027】
図9は本発明の他の実施形態に係る電子部品1−2の分解斜視図(図2に相当する図)である。同図に示す電子部品1−2において、前記図1〜図8に示す多機能型電子部品1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図8に示す実施形態と同じである。この実施形態において前記多機能型電子部品1−1と相違する点は、支持板400に第2電子部品200を取り付ける代りに、電子部品用の成型樹脂製の被取付部材(以下「取付板」という)500を取り付けた点のみである。即ち取付板500は前記第2ケース250から収納部253と押圧部挿入部255を省略してその部分を平面状としたものである。この実施形態のように、第2電子部品200が不要な場合でも、支持板400への第1電子部品10の取り付けのために、本発明の熱カシメ用受け面257を有する取付板500を用いることができる。また図1(b)で説明したように、前記支持板400を省略して第1電子部品10を直接取付板500に取り付けても良い。この場合、取付板500の形状を支持板400と同じように構成し、取付板500に支持板400の機能を持たせても良い。
【0028】
図11は本発明のさらに他の実施形態にかかる取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。この実施形態において、前記図1(a),(b)に示す取付部材の被取付部材への取付構造と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1(a),(b)に示す実施形態と同じである。この実施形態において前記取付部材の被取付部材への取付構造と相違する点は、被取付部材をワッシャ部材600で構成した点と、第2ケース250を被取付部材ではなく、支持板400と同じ挟持部材とし、第2ケース250から熱カシメ用受け面257をなくした点である。即ちこの実施形態におけるワッシャ部材600は、中央に開口部601を有する円柱の下面(取付部材である第1ケース100側の面)を円柱の中心軸に垂直な面に対して所定の角度θ1だけ傾斜した面とし、またこの円柱の上面、即ち第1ケース100の突出部111が突出する開口部601の周囲の面を、熱カシメ用受け面603としている。即ちこの実施形態にかかる取付部材の被取付部材への取付構造は、図11に示すように、電子部品用の成形樹脂製の取付部材である第1ケース100から突出する突出部111が、挟持部材である支持板400と第2ケース250を介して、電子部品用の開口部601を有する被取付部材であるワッシャ部材600の前記開口部601に、ワッシャ部材600の前記第1ケース100側の面が前記突出部111の突出方向に対して垂直な位置から所定角度θだけ傾斜した状態で挿入され、その際ワッシャ部材600の前記突出部111が突出する前記開口部601の周囲に突出部111の突出方向に略垂直な平面からなる熱カシメ用受け面603を設けておき、ワッシャ部材600を貫通して突出する前記突出部111の先端を熱によって潰すことで固定された構造となっている。
【0029】
このように第2ケース250とは別部品としてワッシャ部材600を用いれば、第2ケース250に熱カシメ用受け面257を設けなくても良くなる。即ち被取付部材であるワッシャ部材600を汎用的な部品として利用でき、挟持部材である第2ケース250や支持板400に特別に熱カシメ用受け面を設けなくても、これら部材を取付部材である第1ケース100に対して斜めに傾斜した状態で容易に取り付けることが可能となる。なおこの実施形態において、第2ケース250や支持板400を省略しても良いことは、前記各実施形態と同様である。
【0030】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では取付部材として第1ケース100を用いたが、電子部品用の成形樹脂製の取付部材であれば、他の各種用途、機能、構造を有する取付部材を用いても良い。また上記実施形態では挟持部材として支持板400を用いたが、板状以外の各種形状・構造の挟持部材であっても良い。挟持部材は金属板でなく、合成樹脂板製などであっても良い。また被取付部材として第2ケース250や取付板500やワッシャ部材600を用いたが、電子部品用の被取付部材であれば、他の各種用途、機能、構造の被取付部材であっても良い。被取付部材は成型樹脂製でなく、金属製などであっても良い。また上記実施形態では被取付部材を貫通して突出する突出部の先端を加熱した部材(ポンチ)を押し付けることで潰して熱カシメしたが、その代りに前記突出部の先端を超音波振動による熱によって溶かして潰してもよい。またさらにその他の方法で潰しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】取付部材の被取付部材への取付構造の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。
【図2】多機能型電子部品1−1の分解斜視図である。
【図3】第1電子部品10の分解斜視図である。
【図4】第1電子部品10の分解斜視図である。
【図5】2段押釦スイッチ本体部210の組立方法説明図である。
【図6】多機能型電子部品1−1の組立方法説明図である。
【図7】多機能型電子部品1−1の組立方法説明図である。
【図8】多機能型電子部品1−1の断面図である。
【図9】電子部品1−2の分解斜視図である。
【図10】取付板510へケース530を取り付ける従来の方法を示す図である。
【図11】取付部材の被取付部材への取付構造の他の基本構成を示す要部拡大概略断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1−1 多機能型電子部品
10 第1電子部品
100 第1ケース(取付部材)
111 突出部
200 第2電子部品
210 2段押釦スイッチ本体部
250 第2ケース(被取付部材)
251 開口部
257 熱カシメ用受け面(熱潰し用受け面)
400 支持板(挟持部材)
409 開口部
1−2 電子部品
500 取付板(被取付部材)
600 ワッシャ部材(被取付部材)
601 開口部
603 熱カシメ用受け面(熱潰し用受け面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品用の成形樹脂製の取付部材から突出する突出部が、電子部品用の開口部を有する被取付部材の前記開口部に、被取付部材の前記取付部材側の面が前記突出部の突出方向に対して垂直な位置から所定角度傾斜した状態で挿入され、被取付部材を貫通して突出する前記突出部の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材の被取付部材への取付構造において、
前記突出部が突出する前記開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたことを特徴とする取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項2】
前記熱潰し用受け面は、前記突出部の突出方向に略垂直な平面からなることを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項3】
前記取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置し、
前記取付部材と被取付部材とを前記挟持部材を挟持した状態で一体に固定したことを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項4】
前記被取付部材は成形樹脂からなり、前記挟持部材は金属板からなることを特徴とする請求項3に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項5】
前記被取付部材はワッシャ部材であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項1】
電子部品用の成形樹脂製の取付部材から突出する突出部が、電子部品用の開口部を有する被取付部材の前記開口部に、被取付部材の前記取付部材側の面が前記突出部の突出方向に対して垂直な位置から所定角度傾斜した状態で挿入され、被取付部材を貫通して突出する前記突出部の先端を熱によって潰すことで固定される取付部材の被取付部材への取付構造において、
前記突出部が突出する前記開口部の周囲に熱潰し用受け面を設けたことを特徴とする取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項2】
前記熱潰し用受け面は、前記突出部の突出方向に略垂直な平面からなることを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項3】
前記取付部材と被取付部材の間に挟持部材を配置し、
前記取付部材と被取付部材とを前記挟持部材を挟持した状態で一体に固定したことを特徴とする請求項1に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項4】
前記被取付部材は成形樹脂からなり、前記挟持部材は金属板からなることを特徴とする請求項3に記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【請求項5】
前記被取付部材はワッシャ部材であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の取付部材の被取付部材への取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−46749(P2007−46749A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233756(P2005−233756)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
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