説明

取出具を組み立てられる容器

【課題】 従来の容器は、容器を廃棄する際に容器だけでなくスプーンも廃棄することとなり、廃棄物の量が増えて地球環境に悪影響を与えてしまう。
【解決手段】 容器1に、取出具11に組み立てられる取出具展開面材として蓋4を備える。このため、容器1の一部である蓋4から取出具11を組み立て、組み立てた取出具11を用いて収納物を容器1内から取り出すことができる。従って、取出具11は、従来、単に捨てられていた、容器1から剥がされた摘み4a付きの蓋4から組み立てられるため、容器1内から収納物を取り出し尽くすなどして容器1を廃棄する際には、容器1にスプーンが付属されていない分、廃棄物の量を減らすことができる。この結果、廃棄物が増えることにより生じる経済的な損失を抑制できると共に、地球環境にもよく、地震発生時などの緊急事態にも容易に対応できる、使い勝手のよい容器1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状部材で囲んで収納物を収納する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような容器としては、例えば、特許文献1に開示されているスプーン付き容器がある。このスプーン付き容器は、胴部及び底部を有するパルプモールド製の中空成形体からなる容器本体に、粉状洗剤を収納している。容器本体はその上端開口部が開閉蓋によって開閉され、開閉蓋は、その上面が矩形状に陥没してスプーン収容凹部が形成されている。スプーン収容凹部には、把持部と掬い部とからなるスプーンが取り外し可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−309363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のスプーン付き容器は、粉状洗剤を収納する容器とは別にスプーンが設けられている。このため、容器内に収納されている粉状洗剤が無くなって容器を廃棄する際には、容器だけでなくスプーンも廃棄することとなり、廃棄物の量が増えて地球環境に悪影響を与えてしまう。また、スプーンや箸を探すことが困難な地震発生時などの緊急事態に不便を来すことが予想される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
面状部材で囲んで収納物を収納する容器において、
面状部材が、所定形状に折られることで収納物を容器内から取り出す取出具に組み立てられる折り曲げ自在な取出具展開面材を備えることを特徴とする。
【0006】
本構成によれば、容器を形成する面状部材が、所定形状に折られることで収納物を容器内から取り出す取出具に組み立てられる取出具展開面材を備えているため、容器の一部から取出具を組み立て、組み立てた取出具を用いて収納物を容器内から取り出すことができる。このため、収納物を容器内から取り出すために取出具を別途用意する必要がなくなり、容器の使い勝手が向上する。また、従来のスプーン付き容器のように、容器に別部品としてスプーンを添付せずに済むようになる。従って、容器内から収納物を取り出し尽くすなどして容器を廃棄する際に、容器にスプーンが付属されていない分、廃棄物の量を減らすことができる。この結果、廃棄物が増えることにより生じる経済的な損失を抑制できると共に、地球環境にもよく、地震発生時などの緊急事態にも容易に対応できる、使い勝手のよい容器を提供することができる。
【0007】
また、本発明は、取出具展開面材が、所定形状に折る折線が付されていることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、取出具展開面材に付された折線に沿って取出具展開面材を折ることにより、所定形状をした取出具を容易に組み立てることができる。
【0009】
また、本発明は、取出具が、収納物を捕捉する捕捉部と、捕捉部から延出した把持部とから構成されることを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、取出具は、把持部が把持されて収納物を捕捉する捕捉部が所望の態様に動かされる。このため、容器内に収納された収納物は、取出具の把持部が操作されて捕捉部によって捕捉されることで、容器内から取り出される。
【0011】
また、本発明は、捕捉部が、容器の開口部を塞ぐ蓋を構成する面状部材から形成され、把持部が、蓋を容器から剥がす際に摘まれる、蓋を構成する面状部材が展延した摘みから形成されることを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、取出具は、従来単に捨てられていた、容器から剥がされた摘み付きの蓋から組み立てられる。
【0013】
また、本発明は、摘みが遊動端に粘着部材、熱シール材、物理的にかみ合うことのできる機能(以下シール機能と言う)を備えることを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、蓋の一部が摘みから剥がされて容器の一部が開封されても、摘みの遊動端に備えられたシール機能により摘みを容器に粘着させることで、再度、容器を蓋で塞いだ状態に保つことができる。また、取出具展開面材に付された折線に沿って取出具展開面材を折ることによって取出具が組み立てられた際には、捕捉部に延出する方向に沿って二ツ折りなどに折られた摘みを粘着部材で粘着させることで、把持部の断面形状が強度を持った三角形状等に保たれる。このため、粘着部材により、剥がした蓋で容器を塞ぐことができると共に、強度を持った形状に保つことによって把持部が持ち易くなる。
【0015】
また、本発明は、取出具展開面材が、面状部材の外表面に引き剥がし自在に貼付されていることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、容器を形成する面状部材の外表面に貼付された取出具展開面材を引き剥がし、引き剥がした取出具展開面材から取出具が組み立てられる。このため、容器の形状などに応じて、容器の側面や底面などの面状部材の外表面に取出具展開面材を備えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、廃棄物が増えることにより生じる経済的な損失を抑制できると共に、地球環境にもよく、地震発生時などの緊急事態にも容易に対応できる、使い勝手のよい容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による容器の外観を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す容器の開口部を塞ぐ蓋の表面側を示す展開図、(b)は裏面側を示す展開図である。
【図3】図2に示す蓋から組み立てられる取出具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明による取出具を組み立てられる容器をカップ麺の容器に適用した一実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、この一実施の形態によるカップ麺の容器1の外観を示す斜視図である。
【0021】
容器1は、胴部2および底部3から構成される底を有する筒状の容器本体と、この容器本体の上端開口部を塞ぐ蓋4とから形成される。容器1は、面状部材を構成するこれら胴部2と底部3と蓋4で囲んで、図示しない麺や具材などの収納物を収納する。胴部2および底部3は、発泡ポリスチレンの射出成型やシート成型によって形成されたり、紙が成型されて形成される。蓋4は、紙を主体として形成され、一部剥がされてカールした状態や元のフラットな状態を維持するために紙の蓋材中にアルミニウム箔がラミネートされる。また、蓋4は、胴部2の開口周縁に超音波溶着法によって接着されている。この接着は、直接食品と接触しても無害な熱可塑性ポリウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂といった熱可塑性樹脂が、微細な超音波振動と加圧力によって瞬時に溶融して行われる。蓋4は、蓋4を構成する面状部材が展延した摘み4aを有し、この摘み4aが摘まれて容器1の上方に引っ張られることにより、胴部2の開口上縁から剥がされる。
【0022】
図2(a)は容器1の開口部を塞ぐ蓋4の表面側を示した展開図であり、同図(b)は裏面側を示した展開図である。
【0023】
蓋4の表面側には、同図(a)に示されるように、摘み4aの延出方向に沿って摘み4aを2分する破線の山折線5と、摘み4aの根元にVの字状に描かれた実線の谷折線6とが付されている。山折線5に沿って摘み4aを山折りすると共に、谷折線6に沿って摘み4aの根元部分を谷折りすると、蓋4から、図3の斜視図に示すような所定のスプーン形状をした取出具11が組み立てられる。蓋4は、所定形状に折られることで収納物を容器1内から取り出す取出具11に組み立てられる、折り曲げ自在な取出具展開面材を構成している。取出具11は、容器1内の麺や具材などを捕捉する捕捉部11aと、捕捉部11aから延出した把持部11bとから構成される。捕捉部11aは、容器1の開口部を塞ぐ部分の蓋4を構成する面状部材から形成され、把持部11bは、蓋4を容器1から剥がす際に摘まれる摘み4aから形成される。
【0024】
また、摘み4aの裏面側の遊動端には、図2(b)に示されるように、粘着部材を構成する粘着テープ7が貼られている。粘着テープ7は、容器1内に熱湯を注ぐために蓋4の一部が摘み4aから剥がされて容器1の一部が開封されても、麺を所定時間蒸らす際に粘着テープ7を胴部2の外周囲に粘着させることで、再度、容器1を蓋4で塞いだ状態に保たせる。また、蓋4に付された山折線5と谷折線6に沿って蓋4を折ることによって取出具11が組み立てられた際には、捕捉部11aに延出する方向に沿って二ツ折りに折られた摘み4aの端部裏側を粘着テープ7で粘着させることで、粘着テープ7は、把持部11bを強度を持った三角形状の断面形状に保たせる。
【0025】
このような本実施形態によるカップ麺の容器1によれば、容器1を形成する蓋4が取出具11に組み立てられる取出具展開面材を構成しているため、容器1の一部である蓋4から取出具11を組み立て、組み立てた取出具11を用いて収納物を容器1内から取り出すことができる。本実施形態では、取出具11の把持部11bが把持されて捕捉部11aが所望の態様に動かされることにより、容器1内に収納された麺や具材、スープなどの収納物が捕捉部11aによって捕捉され、容器1内から取り出される。このため、収納物を容器1内から取り出すためにスプーンを別途用意する必要がなくなり、容器1の使い勝手が向上する。また、従来のスプーン付き容器のように、容器1に別部品としてスプーンを添付せずに済むようになる。従って、取出具11は、従来、単に捨てられていた、容器1から剥がされた摘み4a付きの蓋4から組み立てられるため、容器1内の麺や具材、スープなどを食べ尽くすなどして容器1を廃棄する際には、容器1にスプーンが付属されていない分、廃棄物の量を減らすことができる。この結果、廃棄物が増えることにより生じる経済的な損失を抑制できると共に、地球環境にもよく、地震発生時などの緊急事態にも容易に対応できる、使い勝手のよい容器1を提供することができる。
【0026】
また、本実施形態による容器1によれば、容器1の開口部を塞ぐ蓋4の表面側に付された山折線5および谷折線6に沿って蓋4を折ることにより、所定のスプーン形状をした取出具11を容易に組み立てることができる。
【0027】
また、本実施形態による容器1によれば、摘み4aの遊動端に粘着テープ7を備えるため、粘着テープ7により、剥がした蓋4で容器1を塞ぐことができると共に、把持部11bを強度を持った形状に保つことによって把持部11bが持ち易くなる。
【0028】
なお、上記実施形態においては、取出具11に組み立てられる取出具展開面材が、容器1の開口部を塞ぐ蓋4から構成される場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、取出具展開面材が、胴部2や底部3の面状部材の外表面に引き剥がし自在に貼付されている、例えば、裏面に粘着材などが塗布されて引き剥がし自在に構成された上質紙やコート紙などからなるシール紙などで構成してもよい。この構成によれば、容器1を形成する面状部材の外表面に貼付されたシール紙などを引き剥がし、引き剥がしたシール紙などから取出具11が組み立てられる。このため、容器1の形状などに応じて、容器1の胴部2や底部3などの面状部材の外表面に取出具展開面材を備えることができる。例えば、本実施形態のように蓋4で塞がれる開口部の面積よりも底部3の面積の方が小さい形状の容器1の場合には、その形状に応じて、容器1の底部3を捕捉部11aとし、胴部2の一部を把持部11bとすることで、捕捉部11aの大きさが小さくて容器1の内部に挿入しやすい取出具11が組み立てられる。
【0029】
また、上記実施形態においては、取出具11の形状をスプーン形状とした場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、捕捉部11aを、フォーク形状にしてもよいし、スプーン形状の先端の一部を櫛状にした先割れスプーン形状などにしてもよい。
【0030】
また、上記実施形態においては、蓋4などの面状部材を単に折ることによって取出具11を組み立てる構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、蓋4や上記のシール紙などから成る取出具展開面材を所定形状に切り出して、取出具11を組み立てる構成にしてもよい。また、この際、取出具展開面材を所定形状に切り出せるように、切れ目や切り取り線を取出具展開面材に設けるようにしてもよい。
【0031】
また、上記実施形態においては、容器1が底部3を有する筒状の形状である場合について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、容器は、直方体状であってもよいし、樽のように胴部が膨らんだ中空円筒形状であってもよく、その形状は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上記実施形態においては、本発明の容器を麺を収納する容器に適用した場合について説明したが、プリンやアイスクリーム、スープ、ゼリーなどのその他の食料品を収納する容器や、食料品以外の粉末状の洗濯洗剤などを収容する容器などに適用しても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0033】
1…容器
2…胴部
3…底部
4…蓋
4a…摘み
5…山折線
6…谷折線
7…粘着テープ
11…取出具
11a…捕捉部
11b…把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状部材で囲んで収納物を収納する容器において、
前記面状部材は、所定形状に折られることで前記収納物を容器内から取り出す取出具に組み立てられる折り曲げ自在な取出具展開面材を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記取出具展開面材は、前記所定形状に折る折線が付されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記取出具は、前記収納物を捕捉する捕捉部と、前記捕捉部から延出した把持部とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記捕捉部は、容器の開口部を塞ぐ蓋を構成する前記面状部材から形成され、前記把持部は、前記蓋を容器から剥がす際に摘まれる、前記蓋を構成する前記面状部材が展延した摘みから形成されることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記摘みは遊動端に粘着部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記取出具展開面材は、前記面状部材の外表面に引き剥がし自在に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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