説明

受光装置およびその製造方法

【課題】受光素子の暗電流をより正確に測定することができる受光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】受光装置の製造方法は、半導体基板10と、半導体基板上に設けられp側電極23およびn側電極24を備える第1受光素子20aと、半導体基板上に設けられp側電極およびn側電極を備える第2受光素子20bと、半導体基板上に設けられた電極接続部と、電極接続部上に設けられ第1受光素子のp側電極と電気的に接続された第1電極と、電極接続部上に設けられ、第1電極と電気的に分離され、第2受光素子のn側電極と電気的に接続された第2電極とを備える受光装置を準備する工程と、第1電極と第1受光素子のn側電極との間の特性を試験する第1試験工程と、第2電極と第2受光素子のp側電極との間の特性を試験する第2試験工程と、第1電極と第2電極とを電気的に接続するパターンを備えたキャリアに受光素子を実装する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ型のメサ状半導体受光素子を半導体基板上に備える半導体受光装置が開発されている。例えば、半導体基板上にメサ構造の受光部が設けられ、受光部上に形成された電極と電気的に接続する電極パッドが、受光部のメサとは別のダミーメサ部上に形成される構造の半導体受光素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−290477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造に対して、2つの半導体受光素子を縦続接続させたバランスタイプの半導体受光装置を検討した。この半導体受光装置においては、一方の半導体受光素子のn側電極と他方の半導体受光素子のp側電極とを、配線により接続させることができる。このような半導体受光装置を製造するにあたって、受光素子の暗電流をより正確に測定できることが望まれている。しかしながら、バランスタイプの半導体受光装置では、各受光素子の暗電流を正確に測定することが困難である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、受光素子の暗電流をより正確に測定することができる受光装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る受光装置の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられp側電極およびn側電極を備える第1受光素子と、前記半導体基板上に設けられp側電極およびn側電極を備える第2受光素子と、前記半導体基板上に設けられた電極接続部と、前記電極接続部上に設けられ前記第1受光素子のp側電極と電気的に接続された第1電極と、前記電極接続部上に設けられ、前記第1電極と電気的に分離され、前記第2受光素子のn側電極と電気的に接続された第2電極とを備える受光装置を準備する工程と、前記第1電極と前記第1受光素子のn側電極との間の特性を試験する第1試験工程と、前記第2電極と前記第2受光素子のp側電極との間の特性を試験する第2試験工程と、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続するパターンを備えたキャリアに前記受光素子を実装する工程と、を有することを特徴とするものである。本発明に係る受光装置の製造方法によれば、受光素子の暗電流をより正確に測定することができる。
【0007】
前記第1受光素子、前記第2受光素子および前記電極接続部のそれぞれは、前記半導体基板上にそれぞれ離間して設けられたメサ状の半導体領域に設けられていてもよい。前記第1受光素子および前記第2受光素子は、n型半導体、p型半導体およびそれらの間に設けられたi型半導体を有していてもよい。前記半導体基板は、半絶縁性InPからなるものであってもよい。前記第1試験工程は、前記第1受光素子の暗電流を評価する試験であり、前記第2試験工程は、前記第2受光素子の暗電流を評価する試験であってもよい。
【0008】
本発明に係る受光装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられp側電極とn側電極を備える第1受光素子と、前記半導体基板上に設けられp側電極とn側電極を備える第2受光素子と、前記半導体基板上に設けられた電極接続部と、前記電極接続部上に設けられ前記第1受光素子のp側電極と電気的に接続された第1電極と、前記電極接続部上に設けられ、前記第1電極と電気的に分離され、前記第2受光素子のn側電極と電気的に接続された第2電極とを備える受光装置と、前記受光素子を搭載し、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続するパターンを備えたキャリアと、を有することを特徴とするものである。本発明に係る受光装置によれば、受光素子の暗電流をより正確に測定することができる。
【0009】
前記第1受光素子、前記第2受光素子および前記電極接続部のそれぞれは、前記半導体基板上にそれぞれ離間して設けられたメサ状の半導体領域に設けられていてもよい。前記第1受光素子および前記第2受光素子は、n型半導体、p型半導体およびそれらの間に設けられたi型半導体を有していてもよい。前記半導体基板は、半絶縁性InPからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受光素子の暗電流をより正確に測定することができる、半導体受光装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】比較例に係る半導体受光装置の平面図である。
【図2】(a)はキャリアの配線を表した図であり、(b)は半導体受光装置の回路図である。
【図3】(a)は半導体受光装置の断面図であり、(b)は受光素子の拡大断面図であり、(c)はダミーメサの拡大断面図である。
【図4】(a)および(b)は暗電流を説明するための図である。
【図5】実施例に係る半導体受光装置の平面図である。
【図6】(a)はキャリアの配線を表した図であり、(b)は半導体受光装置の回路図である。
【図7】(a)は半導体受光装置の断面図であり、(b)は半導体受光装置において測定される暗電流を説明するための回路図である。
【図8】キャリアの配置を示す図である。
【図9】暗電流の測定結果を示す図である。
【図10】半導体受光装置の製造フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明の前に、図1〜図4を参照しつつ、比較例について説明する。
【比較例】
【0013】
図1は、比較例に係る半導体受光デバイス200の平面図である。図2(a)は、キャリア50と半導体受光デバイス200とが接続する半導体受光装置200bを表した図である。図2(b)は、半導体受光装置200bの回路図である。図3(a)は、半導体受光デバイス200の断面図であり、図1のA−A´線に沿った断面図である。図3(b)は、後述する受光素子20aの拡大断面図である。図3(c)は、後述するダミーメサ30bの拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、半導体受光デバイス200は、半導体基板10上に、受光素子20a,20bおよびダミーメサ30a〜30cが設けられた構成を有する。受光素子20a,20bおよびおよびダミーメサ30a〜30cは、メサ状に形成されている。なお、半導体受光デバイス200には、チップ領域とその周辺部にスクライブ領域が形成されており、チップ領域の角には、アライメントマーク80が形成されている。
【0015】
受光素子20a,20bは、下部メサ21上に上部メサ22および上部電極23がこの順に配置された構造を有する。例えば、下部メサ21は、略円柱形状を有している。上部メサ22は、下部メサ21よりも小さい径を有する略円柱形状を有し、下部メサ21の略中央に配置されている。上部メサ22は、受光領域として機能する。上部電極23は、上部メサ22よりも小さい径を有する略円柱形状を有し、上部メサ22の略中央に配置されている。すなわち、受光素子20a,20bは、下部ほど径が大きく上部ほど径が小さいメサ形状を有する。さらに、受光素子20a,20bは、下部メサ21の上部メサ22以外の領域に下部電極24を備える。比較例においては、上部電極23がp側電極として機能し、下部電極24がn側電極として機能する。
【0016】
ダミーメサ30a〜30cは、下部メサ31上に、上部メサ32および上部電極33がこの順に配置された構造を有する。例えば、下部メサ31は、略円柱形状を有している。上部メサ32は、下部メサ31よりも小さい径を有する略円柱形状を有し、下部メサ31の略中央に配置されている。上部電極33は、上部メサ32よりも小さい径を有する略円柱形状を有し、上部メサ32の略中央に配置されている。すなわち、ダミーメサ30a〜30cは、下部ほど径が大きく上部ほど径が小さいメサ形状を有する。
【0017】
ダミーメサ30aの上部電極33と受光素子20aの下部電極24とは、ダミーメサ30aの表面、半導体基板10上、および受光素子20aの表面を通る配線40aによって接続されている。受光素子20aの上部電極23とダミーメサ30bの上部電極33とは、受光素子20aの表面、半導体基板10上、およびダミーメサ30bの表面を通る配線40bによって接続されている。
【0018】
ダミーメサ30bの上部電極33と受光素子20bの下部電極24とは、ダミーメサ30bの表面、半導体基板10上、および受光素子20bの表面を通る配線40cによって接続されている。受光素子20bの上部電極23とダミーメサ30cの上部電極33とは、受光素子20bの表面、半導体基板10上、およびダミーメサ30cの表面を通る配線40dによって接続されている。
【0019】
次に、図2(a)に示すように、ダミーメサ30aの上部電極33に、キャリア配線50aが接続されている。また、ダミーメサ30bの上部電極33に、キャリア配線50bが接続されている。さらに、ダミーメサ30cの上部電極33に、キャリア配線50cが接続されている。
【0020】
以上のことから、図2(b)に示すように、半導体受光装置200bにおいては、半導体受光デバイス200は、受光素子20aと受光素子20bとが同じ方向に縦続接続されているバランスタイプの受光素子である。比較例においては、受光素子20aのp側電極と受光素子20bのn側電極とが接続されている。また、キャリア配線50aは、受光素子20aのn側電極に接続されたn端子として機能する。キャリア配線50bは、受光素子20aと受光素子20bとの間に接続された共通端子として機能する。キャリア配線50cは、受光素子20bのp側電極に接続されたp端子として機能する。共通端子からは出力信号が取り出される。図2(b)の例では、p端子およびn端子には、それぞれ逆バイアスが印加される。これにより、バランスタイプの半導体受光装置200bは、信号振幅を拡大して出力することができる。
【0021】
図3(a)および図3(b)に示すように、受光素子20aは、半導体基板10上において、n型InP層25、i型InGaAs層26、p型InP層27、およびコンタクト層28がこの順に積層された構造を有する。p型InP層27の側面には、n型InP層29が配置されている。半導体基板10は、半絶縁性半導体からなり、例えば、2.2〜6.6×10Ωcmの抵抗率を有する。コンタクト層28は、例えば、p型InGaAsからなる。図1の下部メサ21は、n型InP層25を含む。図1の上部メサ22は、n型InP層25の一部、i型InGaAs層26、p型InP層27、コンタクト層28、およびn型InP層29を含む。受光素子20bは、受光素子20aと同様の構造を有する。また、半導体基板10の裏面において半導体受光素子20a,20bに対応する位置に、レンズ11が設けられている。それにより、半導体基板10の裏面から入射した光を受光素子20a,20bに対して集光することができる。なお、レンズ11を含む半導体基板10の裏面には、窒化シリコン(SiN)からなる低反射膜が形成されている。
【0022】
図3(a)および図3(c)に示すように、ダミーメサ30bは、半導体基板10上において、n型InP層34、i型InP層35、およびn型InP層36がこの順に積層された構造を有する。図1の下部メサ31は、n型InP層34を含む。図1の上部メサ32は、n型InP層34の一部、i型InP層35、およびp型InP層36を含む。ダミーメサ30a,30cは、ダミーメサ30aと同様の構造を有する。
【0023】
受光素子20a,20bの表面、ダミーメサ30a〜30cの表面、および半導体基板10の表面は、窒化シリコン(SiN)などからなる絶縁膜60によって覆われている。配線40a〜40dは、絶縁膜60上に配置されている。それにより、各配線と受光素子20a,20b、ダミーメサ30a〜30cおよび半導体基板10との間が絶縁されている。ただし、絶縁膜60は、コンタクト層28上において開口を有し、下部メサ21の上部メサ22が設けられていない領域において開口を有する。それにより、受光素子20aのn型InP層25は、配線40aと接触する。受光素子20aのコンタクト層28は、配線40bと接触する。受光素子20bのn型InP層25は、配線40cと接触する。受光素子20bのコンタクト層28は、配線40dと接触する。また、絶縁膜60は、ダミーメサ30a〜30cの表面を覆うとともに、受光素子とダミーメサとの間の半導体基板10上を覆っている。
【0024】
図4(a)および図4(b)に示すように、受光素子20aの下部メサ21上の配線40aが、受光素子20aの下部電極24として機能する。受光素子20aのコンタクト層28上の配線40bが、受光素子20aの上部電極23として機能する。受光素子20bの下部メサ21上の配線40cが、受光素子20bの下部電極24として機能する。受光素子20bのコンタクト層28上の配線dが、受光素子20bの上部電極23として機能する。配線40a〜40dは、Auなどからなる。
【0025】
以上の構成において、受光素子20aに逆バイアス電圧を印加することによって受光素子20aの暗電流を測定する場合について考察する。受光素子20aの暗電流は、受光素子20aのn型InP層25からp型InP層27に向けて流れる電流である。したがって、ダミーメサ30bの上部電極33に対して、ダミーメサ30aの上部電極33にプラスの電圧を印加する。
【0026】
しかしながら、比較例の構成では、図4(a)および図4(b)に示すように、ダミーメサ30bの上部電極33は、受光素子20aの上部電極23に接続されるとともに、受光素子20bの下部電極24に接続される。半導体基板10は半絶縁性半導体から構成されかつpn接合部は一例として数テラΩの抵抗を有することから、受光素子20aよりも半導体基板10において電流が流れやすくなる。したがって、受光素子20aの下部電極24と受光素子20bの下部電極24との間で基板リークが発生する。したがって、受光素子20aの暗電流を正確に測定することが困難である。そこで、以下の実施例においては、受光素子の暗電流をより正確に測定することができる半導体受光装置について説明する。
【実施例】
【0027】
図5〜図8に示すように、実施例に係る半導体受光デバイス100について説明する。図5は、半導体受光デバイス100の平面図である。図6(a)は、キャリア50と半導体受光デバイス100とが接続する半導体受光装置100bを表した図である。図6(b)は、半導体受光装置100bの回路図である。図7(a)は、半導体受光デバイス100の断面図であり、図4のB−B´線に沿った断面図である。図7(b)は、半導体受光デバイス100において測定される暗電流を説明するための回路図である。
【0028】
図5に示すように、半導体受光デバイス100が図1の半導体受光デバイス200と異なる点は、ダミーメサ30bの代わりに、ダミーメサ30dが設けられている点である。ダミーメサ30dは、上面に上部電極33aと上部電極33bとが設けられる電極接続部である。上部電極33aは、配線40bに接続されている。上部電極33bは、配線40cに接続されている。図7(a)に示すように、上部電極33aおよび上部電極33bは、絶縁膜60上に配置され、互いに離間している。したがって、上部電極33aと上部電極33bとは、電気的に絶縁されている。
【0029】
また、ダミーメサ30dの表面には、絶縁膜60が形成されており、上面に設けられた上部電極33aおよび上部電極33bとダミーメサとの間は電気的に絶縁されている。なお、半導体基板10の裏面に設けられているレンズ11は、レンズおよびその周辺のみ半導体基板10の基板面よりも深く削られている。それにより、組立工程において、レンズに傷が付くことを抑制することができる。また、半導体受光デバイス100の周辺の両側に位置合わせ用の窪み90が形成されている。この位置合わせ用の窪み90は、レンズの形成と同じ工程で形成することができる。なお、レンズ11を含む半導体基板10の裏面には、窒化シリコン(SiN)からなる低反射膜が形成されている。
【0030】
図6(a)に示すように、キャリア50が配置されると、ダミーメサ30aの上部電極33に、キャリア配線50aが接続される。また、ダミーメサ30dの上部電極33aと上部電極33bとにまたがってキャリア配線50bが接続される。さらに、ダミーメサ30cの上部電極33に、キャリア配線50cが接続される。したがって、キャリア50が配置されることによって、図6(b)に示すように、半導体受光デバイス100は、受光素子20aと受光素子20bとが同じ方向に縦続接続されるバランスタイプの受光素子である。
【0031】
以上のことから、半導体受光装置100bは、キャリア50が接続されていない状態でバランスタイプの半導体受光デバイス100の受光素子20aと受光素子20bとが電気的に絶縁され、キャリア50が接続された状態で受光素子20aと受光素子20bとが同じ方向に縦続接続されるバランスタイプの受光装置である。
【0032】
本実施例における受光素子の特性試験について説明する。この特性試験は、受光素子のp側電極とn側電極の間の特性を試験するものである。受光素子20aに逆バイアス電圧を印加することによって受光素子20aの暗電流を測定する場合について考察する。本実施例においては、キャリア50が配置されていない状態で、ダミーメサ30dの上部電極33aに対して、ダミーメサ30aの上部電極33にプラスの電圧を印加する。ダミーメサ30dの上部電極33aと上部電極33bとが電気的に絶縁されていることから、ダミーメサ30dの上部電極33aと受光素子20bの下部電極24とが絶縁される。したがって、図7(a)および図7(b)に示すように、受光素子20aの下部電極24と受光素子20bの下部電極24との間の基板リークが抑制される。したがって、受光素子20aの暗電流をより正確に測定することができる。なお、ダミーメサ30dの上部電極33bと受光素子20bの下部電極24との間は絶縁されていることから、ダミーメサ30dの上部電極33bとダミーメサ30cの上部電極33との間に逆バイアスを印加することによって、受光素子20bの暗電流を正確に測定することができる。
【0033】
以上のことから、本実施例における受光素子の特性試験では、受光素子20aおよび受光素子20bを個別に測定することができ、受光素子20aおよび受光素子20bの特性を正確に測定することができる。また、本実施例のようなバランスタイプの半導体受光デバイス100では、受光素子20aおよび受光素子20bの特性が同程度であることが求められるため、本実施例の特性試験を行うことは、バランスタイプの半導体受光装置の製造方法には特に有用である。
【0034】
図8は、受光素子20a,20bの試験後にキャリア50を配置した構造を示す断面図である。図8に示すように、ダミーメサ30aの上部電極33に、キャリア配線50aが接続されている。ダミーメサ30cの上部電極33に、キャリア配線50cが接続されている。本実施例においては、キャリア配線50bは、ダミーメサ30dの上部電極33aおよび上部電極33bの両方に接続されている。キャリア50が半導体受光デバイス100に接続された状態で、キャリア配線50aはn端子として機能し、キャリア配線50bは共通端子として機能し、キャリア配線50cはp端子として機能する。共通端子からは出力信号が取り出される。図8の例では、p端子およびn端子には、それぞれ逆バイアスが印加される。これにより、バランスタイプの受光素子は、信号振幅を拡大して出力することができる。
【0035】
図9は、暗電流の測定結果を示す図である。図9において、横軸は逆方向電圧を示し、縦軸は逆方向電流を示す。図9は、実施例における受光素子20aの測定結果と、比較例における受光素子20aの測定結果とを示す。図9に示すように、比較例においては基板リークに起因して暗電流を正確に測定することができなかった。一方、実施例においては基板リークを抑制して、暗電流を正確に測定することができた。
【0036】
図10は、半導体受光装置100bの製造フローを示す図である。図10に示すように、半導体受光デバイス100を準備する工程を以下の工程にしたがい準備する。まず、半導体基板10上に、受光素子20a(第1受光素子)、受光素子20b(第2受光素子)、ダミーメサ30a,30cおよびダミーメサ30d(電極接続部)を形成する。半導体基板10上に形成された受光素子20a,20bおよびダミーメサ30a,30c,30d上に絶縁膜60を形成する。配線40a〜40dおよびダミーメサ30aの上部電極33、ダミーメサ30dの上部電極33aと上部電極33b、ダミーメサ30cの上部電極33を形成する。以上の工程により、半導体受光デバイス100が完成する。次に、ダミーメサ30aの上部電極33とダミーメサ30dの上部電極33a(第1電極)とに通電することによって、受光素子20aの試験(第1特性試験)を行う。また、ダミーメサ30dの上部電極33b(第2電極)とダミーメサ30cの上部電極33とに通電することによって、受光素子20bの特性試験(第2特性試験)を行う。その後、キャリア50と各上部電極33とを接続する。以上の工程により、半導体受光装置100bが完成する。図10の製造方法によれば、各受光素子の暗電流を正確に測定した後にキャリアを接続することができる。
【0037】
なお、上記実施例において受光素子20a,20bの各半導体層および半導体基板10はInPによって構成されていたが、他の半導体材料によって構成されていてもよい。
【0038】
上記実施例において、ダミーメサ30dの上部電極33aは第1電極として機能し、上部電極33bが第2電極として機能し、配線40bが第1配線として機能し、配線40cが第2配線として機能する。
【0039】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 半導体基板
20a,20b 受光素子
21 下部メサ
22 上部メサ
23 上部電極
24 下部電極
25 n型InP層
26 i型InGaAs層
27 p型InP層
28 コンタクト層
30a〜30d ダミーメサ
31 下部メサ
32 上部メサ
33 上部電極
34 n型InP層
35 i型InP層
36 n型InP層
40a〜40d 配線
50 キャリア
50a〜50c キャリア配線
100 半導体受光デバイス
100b 半導体受光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板上に設けられp側電極およびn側電極を備える第1受光素子と、前記半導体基板上に設けられp側電極およびn側電極を備える第2受光素子と、前記半導体基板上に設けられた電極接続部と、前記電極接続部上に設けられ前記第1受光素子のp側電極と電気的に接続された第1電極と、前記電極接続部上に設けられ、前記第1電極と電気的に分離され、前記第2受光素子のn側電極と電気的に接続された第2電極とを備える受光装置を準備する工程と、
前記第1電極と前記第1受光素子のn側電極との間の特性を試験する第1試験工程と、
前記第2電極と前記第2受光素子のp側電極との間の特性を試験する第2試験工程と、
前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続するパターンを備えたキャリアに前記受光素子を実装する工程と、を有することを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1受光素子、前記第2受光素子および前記電極接続部のそれぞれは、前記半導体基板上にそれぞれ離間して設けられたメサ状の半導体領域に設けられてなることを特徴とする請求項1記載の受光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1受光素子および前記第2受光素子は、n型半導体、p型半導体およびそれらの間に設けられたi型半導体を有することを特徴とする請求項2記載の受光装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体基板は、半絶縁性InPからなることを特徴とする請求項2または3記載の受光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1試験工程は、前記第1受光素子の暗電流を評価する試験であり、
前記第2試験工程は、前記第2受光素子の暗電流を評価する試験であることを特徴とする請求項1記載の受光装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板と、前記半導体基板上に設けられp側電極とn側電極を備える第1受光素子と、前記半導体基板上に設けられp側電極とn側電極を備える第2受光素子と、前記半導体基板上に設けられた電極接続部と、前記電極接続部上に設けられ前記第1受光素子のp側電極と電気的に接続された第1電極と、前記電極接続部上に設けられ、前記第1電極と電気的に分離され、前記第2受光素子のn側電極と電気的に接続された第2電極とを備える受光装置と、
前記受光素子を搭載し、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続するパターンを備えたキャリアと、を有することを特徴とする受光装置。
【請求項7】
前記第1受光素子、前記第2受光素子および前記電極接続部のそれぞれは、前記半導体基板上にそれぞれ離間して設けられたメサ状の半導体領域に設けられてなることを特徴とする請求項6記載の受光装置。
【請求項8】
前記第1受光素子および前記第2受光素子は、n型半導体、p型半導体およびそれらの間に設けられたi型半導体を有することを特徴とする請求項7記載の受光装置。
【請求項9】
前記半導体基板は、半絶縁性InPからなることを特徴とする請求項7または8記載の受光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−234957(P2012−234957A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102259(P2011−102259)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】