説明

受動的空気注入により原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法

【課題】原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法を提供する。
【解決手段】水素水化学システムを介してオフガスシステムの既存のオフガス管路に周囲空気を受動的に注入するステップを含む。オフガス管路は、水素を含む非凝縮性ガスを復水器102から再結合器104に送るように構成される。受動的空気注入の結果、水素と酸素の混合流が再結合器104内で反応して水蒸気が発生し、これに伴って、再結合器104から流出するオフガスの水素濃度が低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉(例えば沸騰水型原子炉(BWR))は、一般に、水の放射線分解により生じる酸素に起因する腐食をきたす。例えば、再循環管及び原子炉内部は、粒界型応力腐食割れ(IGSCC)をきたすことがある。そこで、水素水化学(HWC)システムで、復水/給水システムに水素を注入して、再循環管及び原子炉内部の溶存酸素量を低下させる。
【0003】
しかし、復水/給水に水素を注入すると、オフガス中の水素対酸素の正常比率2:1から水素の比率が増大する可能性がある。この増加の結果、水素の添加量と復水器の空気漏れ込み量とによっては、再結合器出口のオフガスが水素過多になる可能性がある。このような危険を伴う状況を阻止するために、追加の酸素がオフガスシステム内に注入される。従来、追加の酸素は、圧縮空気又は純圧縮酸素を適当な供給源から流すことにより供給される。追加の酸素の適正量は、水素注入量と空気漏れ込み量を基に判断され、水素水化学(HWC)システムにより制御される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
水素水化学システム注入により原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法は、水素水化学システムを介してオフガスシステムの既存のオフガス管路に周囲空気を受動的に注入するステップを含む。オフガス管路は、水素、酸素及びその他の非凝縮性ガスを含有するガスを復水器から再結合器に送るように構成される。再結合器は、水素を酸素と反応させて水蒸気を発生させるように構成される。
【0005】
本発明の非限定的な実施例に従った原子炉の水素水化学システムの空気をオフガスシステムに受動的に注入する方法は、空気注入管路をオフガスシステムの既存のオフガス管路に動作的に結合させるステップを含む。オフガス管路は、水素、酸素及びその他の非凝縮性ガスを含有するオフガスを復水器から再結合器に送るように構成される。空気注入管路は、再結合器よりも上流のポイントでオフガス管路に周囲空気を受動的に導入して混合流を形成するように構成される。この方法は、更に、再結合器から流出するオフガス流中の水素及び酸素の少なくとも一方の濃度を測定するステップを含む。主空気源として用いる場合、この方法は更に、水素水化学システムが動作中ときは常に注入信号を発するステップを含む。予備酸素源として用いる場合、この方法は更に、測定酸素濃度が所定の酸素値よりも低い限り、又は測定水素濃度が所定の水素値を超える限りは、注入信号を発するステップを含む。この方法は、更に、注入信号に応答して弁を自動的に開くことにより、周囲空気を酸素源としてオフガス管路に受動的に導入するステップを含む。周囲空気は、オフガスシステムがもたらす真空によってオフガス管路に引き込まれる。混合流中の酸素及び水素は、再結合器内で反応して水蒸気を発生させる。
【0006】
添付図面に関連した詳細な説明の検討により、本明細書に記載の非限定的な実施形態の多様な特徴及び利点の理解が深まるであろう。添付図面は、あくまでも例示目的において提供されたものであって、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付図面は、特に明記しない限り、縮尺通りに描画されていると解釈されるべきではない。説明の便宜上、図面において様々な寸法が実際のものよりも拡大されていることがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例による、受動的空気注入を予備酸素源として用いる水素水化学システムの概略図である。
【図2】本発明の実施例による、受動的空気注入を主酸素源として用いる水素水化学システムの概略図である。
【図3】本発明の実施例による受動的空気注入モジュールの線図である。
【図4】本発明の実施例による受動的空気注入モジュールのレイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
その他の要素又は層が「〜の上に」「〜に結合された」「〜に接続された」又は「〜を覆う」のように記載されている場合、直接的に当該要素又は層「の上に」「に結合された」「に接続された」又は「を覆う」こともあれば、当該要素又は層との間に要素又は層が介在する場合もあることを理解されたい。一方、その他の要素又は層「の上に直接」「に直接結合された」「に直接接続された」又は「を直接覆う」のように記載されている場合、当該要素又は層との間に要素又は層は全く介在していない。本明細書を通じて、対応する要素を同様の符号で示す。ここで使用する「及び/又は」という表現は、関連する列挙事項のうち1つ以上のいずれをも、また、全ての組み合わせをも含むことを意味する。
【0009】
ここで使用する「第1」「第2」「第3」などの表現は、多様な要素、部品、領域、層、及び/又は区画を説明するためのものであり、これらの要素、部品、領域、層、及び/又は区画をこれらの表現により限定するものではないことを理解されたい。これらの表現は、あくまでも要素、部品、領域、層、又は区画どうしを区別するために用いられている。したがって、以下で検討する第1の要素、部品、領域、層、又は区画を、実施例の教示内容から逸脱することなく、第2の要素、部品、領域、層、又は区画として説明することもできる。
【0010】
ここでは、空間的な関係を示す表現(「直下」「下方」「よりも低い」「上方」「よりも高い」など)を、図示されている或る要素又は特徴とその他の要素又は特徴との関係をわかり易く説明するために使用することがある。このような空間的な関係を示す表現は、図示の装置が、図示されている方向に加え、使用又は操作時に異なる方向を向いている場合も包含することを意図している。例えば、図示の装置が回転すると、その他の要素又は特徴の「下方」又は「直下」に示されている要素は、その他の要素又は特徴の「上方」になる。したがって、「下方」という表現には、上方及び下方の両方の意味が含まれる。この装置の向きはその他の方向(90度回転又はその他の方向)であってもよく、ここでの空間的な関係を示す表現はそのように解釈される。
【0011】
ここで使用する用語は、あくまでも多様な実施形態を説明する目的によるものであって、実施例を限定することを意図したものではない。ここで使用する単数名詞にも同様に、文脈上特に明示しない限り、複数名詞の意味も含むことを意図している。更に、本明細書で使用する「有する」及び/又は「含む」等の表現は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は部品が存在することを明示するものであって、その他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品、及び/又はこれらの組み合わせが存在すること又はこれらを1つ以上追加する可能性を除外するものではない。
【0012】
ここでは、その中でも理想的な実施形態(及び中間構造)を概略的に示す断面図を参照しながら、実施例を説明する。これによって、図示の形状に対して、例えば製造技術及び/又は許容誤差等の改変形態が想到可能である。実施例は、ここで図示する領域の形状に限定されることなく、例えば製造の結果生じる形状の誤差等も含むものと理解されたい。したがって、添付図面に示す領域は、あくまでも概略的なものなので、装置の或る領域の実際の形状を示すものではないと同時に、実施例の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【0013】
特に明記しない限り、ここでの全ての表現は(技術的及び科学的な表現も含めて)、実施例が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般的に解釈する意味と同様の意味を有している。更に、これらの表現は、一般的に使用される辞書での定義も含めて、関連技術分野における意味と同様に解釈されるべきであって、特に明記しない限り、理想的又は過剰に形式的な意味に解釈されるべきではない。
【0014】
本発明の実施例は、水素水化学システム注入により原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法に関する。この方法は、水素水化学システムを介してオフガスシステムの既存のオフガス管路に周囲空気を受動的に注入するステップを含む。オフガス管路は、水素、酸素及びその他の非凝縮性ガスを含有するガスを復水器から再結合器に送るように構成される。再結合器は、水素を酸素と反応させて水蒸気を発生させるように構成される。
【0015】
周囲空気は、再結合器よりも上流のポイントにおいてオフガス管路に受動的に注入される。周囲空気は、オフガス管路への注入前に濾過される。周囲空気は、自動弁を開き、オフガスシステムがもたらす真空によって周囲空気がオフガス管路に引き込まれることによって受動的に注入される。自動弁は、ソレノイド弁を介して制御される空気式隔離弁である。代替的に、自動弁は単なるソレノイド弁であってよい。更に、非限定的な実施例において、オフガスシステムがもたらす真空は、蒸気式空気抽出器(SJAE)により生成される。
【0016】
周囲空気は、臨界流オリフィスを用いてオフガス管路に所望の流量で受動的に注入される。代替的に、周囲空気は、流量計と流量制御弁とを用いてオフガス管路に所望の流量で受動的に注入される。非限定的な実施例において、周囲空気は、水素水化学システムの予備酸素源として受動的に注入される。別の非限定的な実施例では、周囲空気は、水素水化学システムの主酸素源として受動的に注入される。
【0017】
本発明の非限定的な実施例に従った、原子炉のオフガスシステムに水素水化学システムの空気を受動的に注入する方法は、空気注入管路をオフガスシステムの既存のオフガス管路に動作的に結合させるステップを含む。オフガス管路は、水素、酸素及びその他の非凝縮性ガスを含有するオフガスを凝縮器から再結合器に送るように構成される。空気注入管路は、再結合器よりも上流のポイントにおいてオフガス管路に周囲空気を受動的に導入して混合流を形成するように構成される。この方法は、更に、再結合器から流出するオフガス流中の水素及び酸素の少なくとも一方の濃度を測定するステップを含む。主空気源として用いる場合、この方法は、更に、水素水化学システムの動作時は常に注入信号を発するステップを含む。予備酸素源として用いる場合、この方法は更に、測定酸素濃度が所定の酸素値よりも低い限り、又は測定水素濃度が所定の水素値を超える限り、注入信号を発するステップを含む。この方法は、更に、注入信号に応答して弁を自動的に開いて、周囲空気を酸素源としてオフガス管路に受動的に導入するステップを含む。周囲空気は、オフガスシステムがもたらす真空によりオフガス管路に引き込まれる。混合流中の酸素及び水素は、再結合器内で反応して水蒸気を発生させる。
【0018】
予備酸素源として用いる場合、この方法は、測定酸素濃度が所定の酸素値を超える限り停止信号を発するステップを更に含んでよい。弁は、停止信号に応答して自動的に閉じられる。弁は、自動隔離弁であってよい。非限定的な実施例において、自動隔離弁は、ソレノイド弁を介して制御される空気動作弁である。代替的に、自動隔離弁は単なるソレノイド弁であってよい。周囲空気は、オフガス管路への導入前に濾過される。周囲空気は、更に、約21%の酸素を含有する。周囲空気は、臨界流オリフィスを用いてオフガス管路に所望の流量で受動的に注入される。臨界流オリフィスは、周囲空気及びオフガスの圧力に基づいて寸法決めされる。
【0019】
本発明の実施例に従った原子炉のオフガスシステムの水素濃度の制御は、受動的空気注入モジュールの使用を伴う。受動的空気注入モジュールは、水素水化学(HWC)システムの酸素源として周囲空気を用いる。その結果、周囲空気がオフガスシステムに酸素を供給し、これを水素水化学システムにおいて給水に添加される水素と再結合させる。弁トリムと臨界流オリフィスとを適切に寸法決めすることにより、受動的空気注入モジュールで、所望の一定量の空気流をオフガスシステムに供給できる。こうして、受動的空気注入モジュールは、水素水化学システムにおいて主酸素源又は予備酸素源として機能する。
【0020】
図1は、本発明の実施例による、受動的空気注入を予備酸素源として用いる水素水化学システムの概略図である。図1を参照すると、原子炉容器100からの蒸気は、タービン/復水器102に供給される。このとき、蒸気を用いてタービンが駆動され、発電が行われる。タービンを通過した後に、蒸気は復水器内で復水される。復水は、給水として原子炉容器100に戻され、非凝縮性ガスは、オフガス管路を経て再結合器104に送られる。
【0021】
原子炉は、一般に、水の放射線分解によって生じる酸素に起因する腐食をきたす。再循環管内、原子炉内部、及び主蒸気中の溶存酸素量を減少させるために、水素注入装置106を用いて水素が復水/給水に注入される。しかし、復水/給水中への水素注入により、再結合器104から流出するオフガスが水素過多になる可能性がある。この危険を伴う状況を阻止するために、酸素注入装置108を用いて酸素がオフガス管路に注入される。ガス供給源110は、水素及び酸素をそれぞれ、水素注入装置106と酸素注入装置108とに供給する。更に、受動的空気注入モジュール114が、空気注入管路を経てオフガス管路に動作的に結合される。受動的空気注入モジュール114は、酸素注入装置108又はガス供給源110が万が一故障又はその他誤動作を起こした場合に、予備酸素源として機能する。
【0022】
再結合器104から流出するオフガス流の水素濃度及び/又は酸素濃度は、モニタ112を用いて測定される。主制御装置116は、モニタ112、並びに、水素注入装置106、酸素注入装置108、ガス供給源110、及び受動的空気注入モジュール114に接続される。様々な場合において、酸素濃度が低下して所定の酸素値を下回ること、或いは、水素濃度が上昇して所定の水素値を上回ることがある。このような酸素及び/又は水素濃度の変化は、1つ以上の装置(例えば酸素注入装置108)の誤動作によって生じ得る。このため、測定酸素濃度が所定の酸素値を下回る限り、且つ/又は測定水素濃度が所定の水素値を上回る限り、或いは、所定の誤動作が起こる限り、注入信号が発せられる。受動的空気注入モジュール114の弁が注入信号に応答して自動的に開くことにより、周囲空気が酸素源としてオフガス管路に受動的に導入される。周囲空気は、オフガスシステムがもたらす真空によってオフガス管路に引き込まれることにより、非凝縮性ガスと共に混合流を形成する。混合流中の酸素及び水素は、再結合器104で反応して水蒸気を発生させる。
【0023】
図2は、本発明の実施例による、受動的空気注入を主酸素源として用いる水素水化学システムの概略図である。図2の原子炉容器200、タービン/復水器202、再結合器204、水素注入装置206、ガス供給源210、モニタ212、受動的空気注入モジュール214、及び主制御装置216は、図1の原子炉容器100、タービン/復水器102、再結合器104、水素注入装置106、ガス供給源110、モニタ112、受動的空気注入モジュール114、及び主制御装置116に対応する。このため、説明を簡潔にする目的で、既に説明した構成要素に対応する構成要素の説明を以下で繰り返すことはない。図2は、主に、受動的空気注入モジュール214を主酸素源として用いるという点で、図1とは異なる。したがって、図1の酸素注入装置108に対応する装置は、図2には存在しない。受動的空気注入モジュール214を主酸素源として用いるので、受動的空気注入モジュール214を、オフガス管路に一定の受動的空気流を供給することによりオフガスシステムの水素濃度を制御するように構成できる。
【0024】
図3は、本発明の実施例による受動的空気注入モジュールの線図である。図3を参照すると、受動的空気注入モジュール300は、オフガスシステムへと繋がる注入管路に、冗長弁(リダンダント弁:redundant valves)を介して周囲空気を導くように構成される。周囲空気の注入ポイントは、再結合器よりも上流にある。受動的空気注入モジュール300は、例えば、1つ以上の空気フィルタ301、自動隔離弁(AOV)302、弁位置スイッチ303、ソレノイド弁(SOV)304、手動隔離弁305、圧力送信器306、臨界流オリフィス(CFO)307、局所圧力計308、導管、コントロールパネル310を含む。圧力送信器306及び弁位置スイッチ303は、コントロールパネル310に信号を送る。
【0025】
1つ以上の空気フィルタ301(例えば、図4に401として示す各々の冗長空気供給部に1つずつ、の2つ)で、オフガス清浄度に関する発電所規定を満たすように、周囲空気を濾過できる。自動隔離弁302は、オフガスへの空気注入が必要なときに開弁する。自動隔離弁302は、遠隔操作式、エアツゥクローズ式、及び/又はスプリングツゥオープン式であってよい。弁位置スイッチ303は、開弁位置又は閉弁位置を示すために、弁アセンブリのそれぞれに取り付けられている。弁位置は、コントロールパネル310に表示される。自動隔離弁302は、停止、リセット、及び起動ロジックにより、ソレノイド弁304を介して自動的に制御される。代替的に、自動隔離弁302を、コントロールパネル310から手動で操作してもよい。
【0026】
手動隔離弁305は、隔離及び保修のために受動的空気注入モジュール300用に設けられる。圧力送信器306は、管路空気圧を示す信号をコントロールパネル310に供給する。圧力送信器306は、通常、臨界流オリフィス307を介して復水器の真空に暴露される。圧力送信器306における圧力上昇は、少なくとも1つの自動隔離弁302が開弁し、流れが生じたことを示す。
【0027】
臨界流オリフィス307は、空気注入にあたり所望の空気流を得るために、周囲圧力、インライン構成要素、及びオフガス注入ポイント圧力に基づいて寸法決めされる。万が一圧力送信器306が動作不能の場合には、局所圧力計308が代わりに空気流情報を示す圧力指示器として機能する。
【0028】
自動隔離弁302の操作にあたり、コントロールパネル310の遠隔弁制御スイッチを用いて、閉弁又は許容開弁(自動)設定を選択できる。閉弁位置では、ソレノイド弁304は付勢状態に、自動隔離弁302は閉弁状態に維持される。自動位置では、自動隔離弁302は、ロジックが自動隔離弁302を開弁させる信号を送るまで、閉じたままになる。受動的空気注入モジュール300が複数の遠隔弁302を含み、これらの弁の制御スイッチをコントロールパネル310に含む場合は、装置を起動させるにあたり、少なくとも1つの弁制御スイッチが「AUTO」になっている必要がある。例えば、受動的空気注入モジュール300を予備酸素源として用いる場合、システムの動作時に全ての弁制御スイッチが「CLOSE」位置にあるとき、警報が作動する。その一方、受動的空気注入モジュール300を主酸素源として用いる場合は、開弁している自動隔離弁302が皆無であれば装置は停止する。
【0029】
受動的空気注入モジュール300は、万が一、水素注入中に酸素注入装置が故障して適正に酸素を注入できない場合に、予備酸素源として酸素注入を引き継ぐように意図されている。モジュール300からの受動的空気流は、再結合器の下流においてオフガス水素濃度が高くなること、オフガス酸素濃度が高くなることの両方を阻止するように設計される。様々な非限定的状況を上述したが、発電所に特有の様々な条件に基づいて、モジュール300からの受動的空気流が自動的に生じるように設計できることを理解されたい。
【0030】
図4は、本発明の実施例による受動的空気注入モジュールのレイアウト図である。図4の空気フィルタ401、自動隔離弁(AOV)402、弁位置スイッチ403、ソレノイド弁(SOV)404、手動隔離弁405、圧力送信器406、臨界流オリフィス(CFO)407、及び圧力計408は、図3の空気フィルタ301、自動隔離弁(AOV)302、弁位置スイッチ303、ソレノイド弁(SOV)304、手動隔離弁305、圧力送信器306、臨界流オリフィス(CFO)307、及び圧力計308に対応する。したがって、説明を簡潔にする目的で、既に説明した構成要素に対応する構成要素の説明を以下で繰り返すことはない。
【0031】
本発明の非限定的な実施例によると、受動的空気注入により原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御することにより、結果的に、従来の圧縮空気システム又は圧縮酸素供給源を酸素源として選択する場合よりも、部品及び保守要件が少なくなる。部品が少なく、保守が削減されるので、信頼性と有用性が高まる。加えて、受動的空気注入を用いることにより、水素水化学システム(使用する場合)の専用/特別の空気供給システム又は酸素供給源が不要になるので、余分な設備システムインターフェースをなくすことができる。本発明の非限定的な実施例による空気注入モジュールは、既存の主復水器真空を動力として利用する受動的なシステムなので、エネルギーを殆ど又は全く必要としない。受動的空気注入モジュールは、主空気源として、或いは、既存の酸素源が万が一動作不能となった場合の予備空気源として利用可能である。
【0032】
本明細書では多数の実施例を開示したが、それ以外の改変形態も可能であることを理解されたい。このような改変形態は、本開示の技術的範囲から逸脱しておらず、当業者に想到可能なこのような改変形態は全て、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0033】
100、200 原子炉容器
102、202 タービン/復水器
104、204 再結合器
106、206 水素注入装置
108 酸素注入装置
110、210 ガス供給源
112、212 モニタ
114、214 受動的空気注入モジュール
116、216 主制御装置
300 受動的空気注入モジュール
301、401 空気フィルタ
302、402 自動隔離弁
303、403 弁位置スイッチ
304、404 ソレノイド弁
305、405 手動隔離弁
306、406 圧力送信器
307、407 臨界流オリフィス
308、408 圧力計
310 コントロールパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素水化学システム注入により原子炉のオフガスシステムの水素濃度を制御する方法であって:
水素水化学システムを介して、オフガスシステムの既存のオフガス管路に周囲空気を受動的に注入するステップを含み、
前記オフガス管路は、水素と酸素とその他の非凝縮性ガスとを含有するガスを復水器(102)から再結合器(104)に送るように構成され、
前記再結合器(104)は、水素を酸素と反応させて水蒸気を発生させるように構成されている
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記周囲空気は、前記再結合器(104)よりも上流のポイントで前記オフガス管路に受動的に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周囲空気は、自動弁を開弁し、前記オフガスシステムがもたらす真空によって前記周囲空気が前記オフガス管路に引き込まれることにより、受動的に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記自動弁は、ソレノイド弁(304)を介して制御される空気動作式遮断弁(302)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記自動弁は、ソレノイド弁(304)である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記周囲空気は、臨界流オリフィス(307)を用いて前記オフガス管路に所望の流量で受動的に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記周囲空気は、流量計と流量制御弁を用いて前記オフガス管路に所望の流量で受動的に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記オフガス管路への注入前に前記周囲空気を濾過するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記周囲空気は、前記水素水化学システムの予備酸素源として受動的に注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記周囲空気は、前記水素水化学システムの主酸素源として受動的に注入される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137815(P2011−137815A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282652(P2010−282652)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC