説明

受動電圧固定を有する電流給電プッシュプルコンバータ

【課題】電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)出力を有する電気外科手術システムを提供すること。
【解決手段】電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、発電機は、電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、センサ回路から該測定されたパラメータを受信し、測定されたパラメータに基づいて電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラとを備えている、発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、電気外科手術システムに関し、より詳細には電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)出力を有する電気外科手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
患者の組織に電気エネルギーを送達するために、外科手術処置において電気外科手術発電機が用いられる。電極が発電機に接続された場合、電極は、高周波数電気エネルギーを用いて患者の組織を切断するか、凝固させるかまたは密閉するために用いられ得る。通常の動作中、発電機からの交流電流は、患者の組織および体液を通過することによって、アクティブ電極とリターン電極との間に流れる。
【0003】
電気エネルギーは、通常、組織を切断するか、凝固させるかまたは密閉する、電気エネルギーの能力を高めるように形成された波形を有する。異なる波形は発電機の動作の異なるモードに対応し、各モードは様々な手術上の利点を外科医に与える。モードは、切断、凝固、それらの混合、乾燥、または噴霧を含み得る。外科手術処置が進行するにつれ、外科医は手術の異なるモードを容易に選択し変更し得る。
【0004】
手術の各モードにおいて、患者に送達される電気外科手術電力は、所望の外科手術効果を達成するために調節される。必要以上の電気外科手術電力を適用することは、結果として組織の破壊をもたらし、治癒を長引かせる。所望の量以下の電気外科手術電力を適用することは外科手術処置を妨げる。従って、治療中の組織のタイプに関して電気外科手術発電機からの出力エネルギーを制御することが望ましい。
【0005】
外科手術処置が進行するにつれ、異なる種類の組織に遭遇し、各固有の組織は、頻繁に変化する組織インピーダンスの関数として多いかまたは少ない電力を必要とする。異なる種類の組織および体液と遭遇すると、インピーダンスは変化し、出力電力の外科手術制御の応答時間は、外科医が絶え間なく組織を治療することを可能にするほど十分に速くなければならない。さらに、同じ組織タイプが外科手術治療中に乾燥させられ得、従って組織インピーダンスが非常に短い時間間隔で劇的に変化する。外科手術の出力電力制御は、効果的に組織を治療するためにインピーダンスの急速な変化に応答する必要がある。
【0006】
電気外科発電機は、概して、電圧源タイプの出力挙動を有する。電圧源タイプの出力挙動において、送達された出力電流は、負荷(例えば、組織)インピーダンスに反比例する。電気外科発電機はまた、送達された電流が負荷インピーダンスとは無関係であるという電流源タイプの挙動を有するRF出力を有し得る。電流源タイプの挙動を有する電気外科発電機の例は、電流給電プッシュプルコンバータであり得る。電流源タイプの発電機は、組織のインピーダンスが増加するにつれて、開路電圧が容認できない高いレベルに達し得るという不都合を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本開示は、電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機を提供する。発電機は、電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータ(buck converter)を含む。発電機はまた、RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、RFエネルギーの1つ以上のパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、センサ回路から測定されたパラメータを受信し、その測定されたパラメータに基づいて電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラとを含む。
【0008】
RFステージは、1つ以上の一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を含む。電気外科手術発電機はまた、電圧源と一次巻線のセンタータップとの間に連結されるアクティブ素子を含み得る。アクティブ素子は、ダイオード、ツェナーダイオードまたは電界効果トランジスタであり得る。
【0009】
別の実施形態において、電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機が提供され、その電気外科手術発電機は、電圧源と、1つ以上のスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、電圧源とRFステージとの間に連結されるアクティブ素子とを含む。
【0010】
RFステージは、1つ以上の一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を含む。アクティブ素子は、電圧源と一次巻線のセンタータップとの間に連結され得る。アクティブ素子は、ダイオード、ツェナーダイオードまたは電界効果トランジスタであり得る。電気外科手術発電機はまた、RFエネルギーの1つ以上のパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、センサ回路から測定されたパラメータを受信し、その測定されたパラメータに基づいて電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラとを含み得る。
【0011】
さらに別の実施形態において、電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機が提供され、その電気外科手術発電機は、電圧源と、1つ以上のスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータを含む。電気外科手術発電機はまた、少なくとも1つの一次巻線と、1つの二次巻線と、少なくとも1つの三次巻線とを有する変圧器を含む。
【0012】
電気外科手術発電機はまた、RFエネルギーの1つ以上のパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、測定されたパラメータをセンサ回路から受信し、測定されたパラメータに基づいて電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラとを含み得る。
【0013】
本開示の上記および他の局面、特徴および利点は、添付の図面と共に解されるとき、以下の詳細な説明を考慮に入れてより明らかとなる。
【0014】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
該RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、
該RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該センサ回路から該測定されたパラメータを受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。
(項目2)
上記RFステージは、少なくとも1つの一次巻線と1つの二次巻線とを有する変圧器をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目3)
上記電圧源と上記一次巻線のセンタータップとの間に連結されるアクティブ素子をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目4)
上記アクティブ素子は、ダイオードである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目5)
上記アクティブ素子は、ツェナーダイオードである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目6)
上記アクティブ素子は、電界効果トランジスタである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目7)
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
該RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、
該電圧源と該RFステージとの間に連結されるアクティブ素子と
を備えている、電気外科手術発電機。
(項目8)
上記RFステージは、少なくとも1つの一次巻線と1つの二次巻線とを有する変圧器をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目9)
上記アクティブ素子は、上記電圧源と上記一次巻線のセンタータップとの間に連結される、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目10)
上記アクティブ素子は、ダイオードである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目11)
上記アクティブ素子は、ツェナーダイオードである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目12)
上記アクティブ素子は、電界効果トランジスタである、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目13)
上記RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該センサ回路から該測定されたパラメータを受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
(項目14)
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
少なくとも1つの一次巻線と、1つの二次巻線と、少なくとも1つの三次巻線とを有する変圧器と、
該RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該測定されたパラメータを該センサ回路から受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。
【0015】
(摘要)
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機が提供される。発電機は、電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータを有する。発電機はまた、RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージを有する。RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、センサ回路から測定されたパラメータを受信し、測定されたパラメータに基づいて電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラとが、また、電気外科手術発電機に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1A〜図1Bは、様々なタイプの器具と共に用いる、本開示の一実施形態に従う電気外科手術システムの概略的ブロック図である。
【図1B】図1A〜図1Bは、様々なタイプの器具と共に用いる、本開示の一実施形態に従う電気外科手術システムの概略的ブロック図である。
【図2】図2は、電流給電プッシュプルコンバータの概略図である。
【図3】図3は、本開示の一実施形態に従う電流給電プッシュプルコンバータの概略図である。
【図4】図4は、本開示の別の実施形態に従う電流給電プッシュプルコンバータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態は、本明細書において添付の図面を参照して以下に説明される。しかしながら、開示される実施形態は、本開示の単なる例示であり、本開示は様々な形式で実施され得ることは理解されるべきである。不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の機能または構造は詳細に説明されない。従って、本明細書において開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定することとして解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲のためのベースとして、そして事実上任意の適切な詳細の構造で本開示を様々に用いるように当業者に教示する代表的なベースとして解釈されるべきである。同様な参照数字は、図の説明全体を通して類似または同一の要素をいい得る。
【0018】
本開示に従う発電機は、切除と、脈管密閉処置を含む単極および双極の電気外科手術処置とを行い得る。発電機は、(例えば、単極アクティブ電極、リターン電極、双極電気外科手術鉗子、フットスイッチなどの)様々な電気外科器具とインタフェースする複数の出力部を含み得る。さらに、発電機は、様々な(例えば、切断、混合、分割などの)電気外科手術モードおよび(例えば、単極、双極、脈管密閉などの)処置に特に適している無線周波数電力を生成するように構成される電子回路を含む。
【0019】
図1Aは、本開示の一実施形態に従う単極電気外科システム1の概略図である。システム1は、患者Pの組織を治療する1つ以上の電極を有する電気外科器具2を含む。器具2は、(例えば、電気外科切断プローブ、切除電極などの)1つ以上のアクティブ電極を含む単極タイプの器具である。電気外科RFエネルギーは、発電機20のアクティブ端子(図示されていない)に接続された供給ライン4を経由して発電機20によって器具2に供給され、器具2が組織を凝固させ、切除し、そして/または他の方法で治療することを可能にする。エネルギーは、リターン電極6を介してリターンライン8を経由して発電機20のリターン端子(図示されていない)において発電機20に戻る。アクティブ端子およびリターン端子は、器具2およびリターン電極6のプラグ(明白には図示されていない)とインタフェースするように構成されるコネクタであり、器具2およびリターン電極6のプラグは、供給ライン4およびリターンライン8の端部にそれぞれ配置される。
【0020】
システム1は、患者Pとの全接触面積を最大にすることによって、組織損傷の機会を最小にするように配置される複数の電極6を含み得る。さらに、発電機20およびリターン電極6は、組織損傷の機会をさらに最小にするために電極と患者との間に十分な接触が存在することを確実にするために、いわゆる「組織と患者との(tissue−to−patient)」接触を監視するように構成され得る。1つの実施形態において、アクティブ電極6は、組織が電解液の中に入れられるという液体環境において動作するように用いられ得る。
【0021】
発電機20は、発電機20を制御するための(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)適切な入力制御器を含む。さらに、発電機20は、(例えば、強度設定、治療完了インジケータなどの)様々な出力情報をユーザに提供する1つ以上の表示画面を含み得る。制御器は、RFエネルギーの電力、波形、ならびに所望の組織効果および(例えば、凝固、組織密閉、強度設定などの)特定のタスクに適した所望の波形を達成するための他のパラメータに従って変動する許容される最大のアークエネルギーのレベルをユーザが調整することを可能にする。器具2はまた、発電機20の特定の入力制御器に対して冗長であり得る複数の入力制御器を含み得る。器具2に入力制御器を配置することは、発電機20と相互作用する必要なく、外科手術中にRFエネルギーのパラメータをより容易にかつより速やかに修正することを可能にする。
【0022】
図1Bは、本開示に従う双極電気外科手術システム3の概略図である。システム3は、患者Pの組織を治療するための1つ以上の電極を有する双極電気外科手術鉗子10を含む。電気外科手術鉗子10は、向かい合うジョー部材を含み、向かい合うジョー部材は、そこに配置されるアクティブ電極14と、リターン電極16とを有する。アクティブ電極14およびリターン電極16は、ケーブル18を介して発電機20に接続され、ケーブル18は、アクティブ端子に連結される供給ライン4と、リターン端子に連結されるリターンライン8とを含む。電気外科手術鉗子10は、ケーブル18の端部に配置されるプラグを経由して、(例えば、ピンなどの)アクティブ端子およびリターン端子との接続を有するコネクタ21において発電機20に連結され、この場合、プラグは供給ライン4およびリターンライン8からの接触を含む。
【0023】
図2は、本開示の一実施形態に従う電流源タイプの挙動を有するRFエネルギーを出力し得る発電機100の概略図である。図2に示されるように、発電機100は、バックコンバータ110と、RFステージ120とを有する。バックコンバータ110は、(例えば、トランジスタおよびダイオードなどの)2つのスイッチを用い得る切り替えモード電源である。バックコンバータ110は、電源またはバッテリであり得る電圧源112と、電界効果トランジスタ(FET)114と、ダイオード116と、インダクタ118とを有する。バックコンバータは、インダクタ118にエネルギーを蓄えるためにFET114およびダイオード116を用いて電圧源112にインダクタ118を接続することとインダクタ118から負荷にエネルギーを放出することとを交互に行う。
【0024】
RFステージ120は、一次巻線124aおよび124bと、二次巻線126とを有する変圧器122を含む。一次巻線124aはFET121aに連結され、一次巻線124bはFET121bに連結される。変圧器122の二次巻線126は、(例えば、組織などの)負荷150にRFエネルギーを出力する。変圧器122の巻数比は、二次巻線126の最大電圧出力を制限するために変えられ得る。制御器140はメモリに動作可能に接続されるマイクロプロセッサを含み、メモリは(例えば、RAMなどの)揮発性タイプメモリおよび/または(例えば、フラッシュメディア、ディスクメディアなどの)不揮発性タイプメモリであり得る。コントローラ140は出力ポートを含み、出力ポートは、FET114、121aおよび121bに動作可能に接続され、開制御ループスキームおよび/または閉制御ループスキームのいずれかに従って、コントローラ140が発電機100の出力を制御することを可能にする。当業者は、マイクロプロセッサが本明細書において考察される計算を行うように適合した(例えば、制御回路などの)任意の論理プロセッサまたはアナログ回路によって代用され得ることを理解する。
【0025】
発電機100はセンサ回路130を含む閉ループ制御スキームおよび/または開ループ制御スキームを実装し得、センサ回路130は、(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電流および/または出力電圧などの)様々な組織特性およびエネルギー特性を測定する複数のセンサを有し、コントローラ140にフィードバックを提供する。電流センサはアクティブ電流経路またはリターン電流経路のいずれかにまたはその両方に配置され得、電圧は(1つまたは複数の)アクティブ電極において感知され得る。コントローラ140は、次いで発電機100の出力を制御するために適切な信号を送信する。コントローラ140はまた、発電機または器具の入力制御器から入力信号を受信する。コントローラ140は、入力信号を利用して発電機100による電力出力を調整し、そして/または発電機の他の制御機能を行う。
【0026】
センサ回路130は、変圧器122によって供給される電流(I)および電圧(V)をリアルタイムで測定し、所定のサンプリング期間に対する整合するシヌソイド継続時間および非シヌソイド継続時間の両方の継続時間中における電気外科手術プロセスを特徴づけ、前者は(例えば、1/2サイクルなどの)短い継続時間であり、後者は(例えば、約15サイクルなどの)長い継続時間である。このことは、測定された電気的特性がフィードバック制御を達成するために動的入力制御変数として用いられることを可能にする。電流値および電圧値はまた、電力(P=V*I)およびインピーダンス(Z=V/I)などの他の電気的パラメータを引き出すために用いられ得る。センサ回路130はまた、電流波形および電圧波形の特性を測定し、電流波形および電圧波形の形状を決定する。
【0027】
図2に関して上記に説明されるように、電流源タイプの挙動を有する発電機を用いることは、電圧源タイプの挙動を用いる発電機より多くの利点を有する。例えば、電圧源タイプの挙動を有する発電機は、電気外科手術処置中に組織に定電圧を印加する。電圧が組織に印加されると、組織インピーダンスは変化し、それによって、組織電流密度を変化させる。所与の断面における組織は異なるインピーダンスを有するので、異なる組織において異なる電流密度が存在し、その結果、組織において異なる加熱パターンをもたらす。このことは、不均一の加熱および組織外傷を引き起こし得る。電流源タイプの挙動を有する発電機を用いて定電流を提供することによって、組織の加熱パターンは一定に保たれ得、それによって、不均一の加熱および組織外傷のリスクを減少させ得る。
【0028】
図3は、本開示の別の実施形態に従う電流源タイプの挙動を有するRFエネルギーを出力し得る発電機200の概略図である。発電機200は、図2の発電機100に類似しており、そのようなものとして、発電機200の動作は、上記に説明される発電機100の動作に類似している。発電機200は、変圧器122のセンタータップ204と電圧源112との間に連結されたアクティブ素子202をさらに含む。アクティブ素子202は、変圧器122の一次巻線を横切って見られる最大電圧を制限し、それによって、変圧器122の二次巻線において反射電圧を制限する。
【0029】
アクティブ素子202は、ダイオード、ツェナーダイオードまたはFETであり得る。アクティブ素子202がダイオードである場合、ダイオードの陽極は変圧器202のセンタータップ204に連結され、陰極は電圧源112に連結され、その結果、ダイオードは逆バイアス構成である。逆バイアスのダイオードは、拡張された空乏領域のために電流がダイオードを通って流れることを妨げる。任意の絶縁体の場合のように、逆バイアスに耐えるダイードの能力は制限される。印加される逆バイアス電圧があまりに大きくなると、ダイオードは、通常、破壊となるブレークダウンとして公知の状態を経験する。
【0030】
ツェナーダイオードは、通常のダイオードのように前方方向への電流を可能にするが、電圧がブレークダウン電圧より大きい場合、逆方向への電流も可能にする。異なるツェナーダイオードは、ツェナーダイオードを横切って異なる電圧降下を達成するために用いられ得、それによって、変圧器122の一次巻線を横切って見られる最大電圧を調整する。
【0031】
発電機200は、図2に関して上記に説明されるような利点と類似する利点を有する。さらに、発電機200は、一次巻線を横切って見られる最大電圧を制限するためにアクティブ素子を用いる。一次巻線を横切って見られる最大電圧を制限することはまた、二次巻線によって出力される最大電圧を制限する。発電機200はまた、一次巻線を横切って見られる電圧および二次巻線によって出力される電圧を制限し特定の電圧降下を達成するために異なるアクティブ素子を用いることによってユーザによって発電機200がカスタム化され得るという点で追加の利点を有する。
【0032】
図4は、本開示の別の実施形態に従う電流源タイプの挙動を有するRFエネルギーを出力し得る発電機300の概略図である。発電機300は、バックコンバータ310と、RFステージ320とを有する。RFステージ320は、FET325と直列の一次巻線324を有する変圧器322を含む。二次巻線326は、負荷350にRFエネルギーを出力する。変圧器322は1つ以上の三次巻線328を含み得、1つ以上の三次巻線328は、ダイオード、ツェナーダイオードまたはFETなどの1つ以上のアクティブ要素329を経由してバックコンバータ310の電圧源312にクランプ留めされる。変圧器322の巻数比は、二次巻線326からの、変圧器322の最大出力電圧を制限するために変えられ得る。
【0033】
上記に説明されるように、変圧器322によって供給される電流(I)および電圧(V)をリアルタイムで測定するセンサ回路330が提供され得る。このことは、測定された電気的特性がフィードバック制御を達成するために動的入力制御変数として用いられることを可能にする。電流値および電圧値はまた、電力(P=V*I)およびインピーダンス(Z=V/I)などの他の電気的パラメータを引き出すために用いられ得る。センサ回路はまた、電流波形および電圧波形の特性を測定し、電流波形および電圧波形の形状を決定する。
【0034】
発電機300はまた、上記に説明されるコントローラ140に類似するコントローラ340を含み得る。コントローラ340は、発電機300のRFエネルギー出力を制御するためにFET314および325の動作を制御する。コントローラ340はまた、センサ回路330から信号を受信し得、受信された信号に基づいて発電機300の出力を調整し得る。
【0035】
発電機300は、二次巻線の最大電圧出力を制限するために、図3に関して上記に説明されるように、アクティブ素子の代わりに変圧器322の三次巻線を利用する。アクティブ素子は、熱によって電力を失う傾向があり、それによって、結果として低電力効率をもたらす。変圧器に三次巻線を提供することはまた、より高い電力効率を維持しながら、二次巻線によって出力される電圧を制限する。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態は、図面に示され、かつ/または本明細書において考察されたが、本開示がそれらに限定されることは意図されない。なぜなら、本開示は当該技術が許容する限り広い範囲であることおよび本明細書はそれと同様に読まれるべきであることが意図されるからである。従って、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきでなく、特定の実施形態の単なる実例として解釈されるべきである。特許請求の範囲は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおける実施形態を含み得る。
当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および精神内の他の修正を想定する。
【符号の説明】
【0037】
1 単極電気外科手術システム
2 電気外科手術器具
3 双極電気外科手術システム
4 供給ライン
6 リターン電極
8 リターンライン
10 双極電気外科手術鉗子
14 アクティブ電極
16 リターン電極
18 ケーブル
20、100 発電機
110 バックコンバータ
112 電圧源
114 電界効果トランジスタ(FET)
116 ダイオード
118 インダクタ
120 RFステージ
122 変圧器
124a、124b 一次巻線
126 二次巻線
130 センサ回路
140 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
該RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、
該RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該センサ回路から該測定されたパラメータを受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。
【請求項2】
前記RFステージは、少なくとも1つの一次巻線と1つの二次巻線とを有する変圧器をさらに含む、請求項1に記載の電気外科手術発電機。
【請求項3】
前記電圧源と前記一次巻線のセンタータップとの間に連結されるアクティブ素子をさらに備えている、請求項2に記載の電気外科手術発電機。
【請求項4】
前記アクティブ素子は、ダイオードである、請求項3に記載の電気外科手術発電機。
【請求項5】
前記アクティブ素子は、ツェナーダイオードである、請求項3に記載の電気外科手術発電機。
【請求項6】
前記アクティブ素子は、電界効果トランジスタである、請求項3に記載の電気外科手術発電機。
【請求項7】
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
該RFエネルギーを出力するように構成されるRFステージと、
該電圧源と該RFステージとの間に連結されるアクティブ素子と
を備えている、電気外科手術発電機。
【請求項8】
前記RFステージは、少なくとも1つの一次巻線と1つの二次巻線とを有する変圧器をさらに備えている、請求項7に記載の電気外科手術発電機。
【請求項9】
前記アクティブ素子は、前記電圧源と前記一次巻線のセンタータップとの間に連結される、請求項8に記載の電気外科手術発電機。
【請求項10】
前記アクティブ素子は、ダイオードである、請求項7に記載の電気外科手術発電機。
【請求項11】
前記アクティブ素子は、ツェナーダイオードである、請求項7に記載の電気外科手術発電機。
【請求項12】
前記アクティブ素子は、電界効果トランジスタである、請求項7に記載の電気外科手術発電機。
【請求項13】
前記RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該センサ回路から該測定されたパラメータを受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
をさらに備えている、請求項7に記載の電気外科手術発電機。
【請求項14】
電流源タイプの挙動を有する無線周波数(RF)エネルギーを出力するように構成される電気外科手術発電機であって、該発電機は、
電圧源と、少なくとも1つのスイッチと、インダクタとを有するバックコンバータと、
少なくとも1つの一次巻線と、1つの二次巻線と、少なくとも1つの三次巻線とを有する変圧器と、
該RFエネルギーの少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されるセンサ回路と、
該測定されたパラメータを該センサ回路から受信し、該測定されたパラメータに基づいて該電気外科手術発電機の出力を制御するように構成されるコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5840(P2012−5840A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140951(P2011−140951)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(510011673)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (57)
【Fターム(参考)】