説明

受粉用ミツバチ巣箱と温室をつなぐ筒状通路

【課題】 温室の中で農作物を栽培するために受粉用にミツバチを使う場合、従来はミツバチ巣箱を温室の中に入れて使ってきた。ところが温室の中では食料が十分でないために給餌をしなければならないが、それだけでは栄養が偏り、ミツバチの消耗は避けられなかった。また、その給餌には費用と手間がかかった。
また、温室の中には、温室の中に用事のないミツバチも入って行き、出られず、その多くが死んでいた。
【解決手段】 これを解決するためには、巣箱を温室の外に取り付け、ミツバチは自然界と温室の両方に行けるようにし、温室に花蜜と花粉を採る目的のあるミツバチだけが温室に入り、温室に用事のないミツバチは入らないようにすればよいのである。
本発明は、温室と巣箱をつなぐ通路であり、温室内に用事のあるミツバチだけが歩いて行くように設計した通路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温室栽培に必要な受粉用ミツバチに関わる装置である。
【背景技術】
【0002】
イチゴやメロンなどを温室栽培する場合、受粉用にミツバチを導入する必要がある。従来、温室内にミツバチの巣箱を置き、受粉に役立ててきた。
【発明の開示】
【0003】
普通、1つの温室内には10匹のミツバチがいれば十分であると言われている。
【0004】
ところが1箱内にいるミツバチの数は5千ないし2万匹であり、1つの温室の受粉用にはそれほどの数のミツバチは必要としないし、また、それほどのミツバチが1つの温室内にいては食料不足をきたす。
【0005】
食料不足を防ぐために、温室内では砂糖水による給餌が行われるが、その砂糖の購入費用、それを作る手間と時間はかなりのものである。
【0006】
ミツバチは砂糖水だけでは栄養が偏り、繁殖は困難である。それを避けるためにミツバチは温室の外に花蜜を求めて飛び出そうとするが、温室のビニールの天井にさえぎられるため多くが死亡し、蜂群は果実の収穫後までには消滅する場合が多い。
【0007】
そのため、温室で働かせるミツバチからは全くハチミツを収穫することはできない。
【発明が解決しようとする課題】
これを解決するためには、ミツバチを必要な数だけ温室の中で働かせ、他の大部分のミツバチは温室の外、すなわち自然界で集蜜できるようにすればよいのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのためには、巣箱を温室の外に置き、一部のミツバチが温室の中に入れるようにし、他の大部分のミツバチは自然の中で働けるようにすればよい。
【0009】
図1は、本発明を取り付けた巣箱を温室の側面に置いたときの位置を示す略図の平面図である。
【0010】
(1)は温室、(2)はミツバチ巣箱、(3)は本発明の本体であるミツバチの通る筒状通路である。
【0011】
巣箱(2)の巣門(出入り口)(4)を前面とすると、巣箱は温室(1)の壁に対して90度横向きにして、温室の壁から10センチほど離して設置し、本発明の筒状通路(3)を巣門から横方向に取り付け、その端は温室の中に入るようにする。
【0012】
図2は図1の正面図である。ただし、巣箱(2)は側面から見ていることになる。
【0013】
図3は本発明(3)を巣箱に取り付けた状態を示す正面図である。本発明の右端は温室の中に、ビニールの壁に開けられた穴を抜けて入っている。
【0014】
ミツバチが温室内に行くには、本発明の、この筒状通路の中を30センチないし40センチ歩かなければならないように、その長さを設定する。
【0015】
さらに、この筒状通路は巣門に接する部分は切り欠き、巣門をふさがないようにする。
【0016】
図4は図3の側面図である。(5)は筒状通路の切り欠き部分である。筒状通路(3)の全長は40センチほどである。
【0017】
ミツバチが温室の中の花蜜や花粉を採る目的を持って入って行く場合は、仕事が終わると必ず巣箱に戻ってくるが、中には、温室を越えた先にある花蜜を採るために、温室を通り抜けようとして温室に入るのがいる。これらのハチはビニールの壁や天井にさえぎられ、そのまま体力を消耗して死ぬ場合が多い。
【0018】
それを防ぐためには、温室に入るためには一定の距離を歩かせるようにすれば、ミツバチは歩くより飛ぶほうが楽なので、温室の中に用事のないハチは巣箱を出たらすぐ空中に飛び出し、温室に迷い込むことはなくなる。
【0019】
同じ効果を実現するために別の方法を試してみたが、うまくゆかなかった。
【0020】
例えば、巣箱の前後に巣門を設け、後ろの巣門を温室の中に導いたが、そうすると、1日の日照の変化で温室内の温度が変わり、その度に温室内の空気の膨張、収縮で、空気が巣箱の中を通り抜けるので、巣箱内の空気を掻き乱し、幼虫を育てるのに必要な一定の温度を保つことができなくなる。
【0021】
また、巣箱を温室内に設置してみたこともあるが、温室内の温度変化が自然界より激しいため、ミツバチは巣内の温度調整に苦労する。また温室内での農薬散布に際しては、いちいち巣箱を温室の外に出さなければならない。
【発明の効果】
【0022】
この、巣箱の外置き方式だと、温室内でのミツバチの消耗がほとんどないので、巣箱からハチミツが収穫できるし、繁殖も期待できる。
【0023】
給餌の必要がないので、砂糖の購入費用、砂糖水を作る手間と時間が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図3、図4に示すような、ミツバチが一定の歩く距離を持った筒状通路を図1、図2のように設置、取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の設置位置を示す略図の平面図
【図2】 図1の正面図。
【図3】 図2の側面拡大図。巣箱は前面の巣門側で、本発明の巣箱への取り付け位置を示す。
【図4】 図3の側面図で、本発明である筒状通路の切り欠きの位置を示す。図2の拡大図でもある。
【符号の説明】
1 温室
2 ミツバチ巣箱
3 本発明の筒状通路
4 巣門(巣箱の出入り口)
5 筒状通路の切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室栽培のイチゴやメロンなどの受粉用ミツバチの巣箱を温室の外に置き、ミツバチを温室内に通わせるのに、巣門から温室内まで一定の距離を歩かせるようにした筒状通路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200741(P2010−200741A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90504(P2009−90504)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(396021715)
【Fターム(参考)】