説明

口座管理システムおよび口座管理処理方法、並びにプログラム

【課題】税金の支払いのための資金を計画的に確保することができる口座管理システムおよび口座管理処理方法を提供する。
【解決手段】口座管理システム10では、顧客により入力されたロック期間および税率を設定情報DB30に記憶しておき、この税率および取引履歴DB31に記憶された取引履歴データを用いて、納税予定額算出処理手段23により納税予定額を算出して設定情報DB30に記憶しておき、ロック期間中に出金要求があったときに、ロック実行処理手段24により、口座残高DB32に記憶された顧客の口座の残高が、設定情報DB30に記憶された納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には出金を制限するロック処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関に開設された顧客の口座の残高を管理する処理を実行するコンピュータにより構成された口座管理システムおよび口座管理処理方法、並びにプログラムに係り、例えば、外国為替証拠金取引(FX)、差金決済取引(CFD:Contract for Difference)、債券の償還差益等の総合課税対象の取引で利益が発生した場合の処理に利用できる。
【背景技術】
【0002】
一般に、外国為替証拠金取引(FX)のうち店頭での取引、差金決済取引(CFD:Contract for Difference)、債券の償還差益等のように、総合課税対象の取引で一定以上の利益が発生した場合には、1月1日から12月31日までの会計期間中に発生した利益に基づき所得税等の税額を計算し、翌年の2月15日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税等の税金を納付する必要がある。この総合課税対象の取引で得られた利益については、1年間を通算した利益を計算し、その通算の利益が雑所得として取り扱われ、給与所得等の他の所得と合わせて所得の一部とみなされる。
【0003】
従って、この総合課税対象の取引の場合は、株式や投資信託等の金融商品の取引、あるいは取引所での外国為替証拠金取引(FX)等のように、他の所得と全く分離して、利益に対して金融商品毎に定められた一定の税率による課税が行われる源泉分離課税対象の取引の場合とは、課税方法が全く異なっている。つまり、源泉分離課税対象の取引の場合は、利益の発生毎の源泉徴収による課税であり、それだけで納税が完結するが、総合課税対象の取引の場合は、1年間を通算した利益への課税であり、給与所得等の他の所得と合わせて納税を行うことになる。
【0004】
なお、口座を管理するシステムとしては、顧客の預金口座の残高を資金前受制取引の商品買付余力に反映させる資金前受制取引専用預金口座運用システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−53878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した総合課税対象の取引を行った場合、税金を計算する会計期間(例えば、1月1日〜12月31日)と、確定申告の期間(例えば、2月15日〜3月15日)と、振替納税を選択した場合の指定口座からの税金の引き落とし日(例えば、4月22日)とが、ずれているため、納税を行う際に、納税用の資金が不足するという事態が生じるおそれがある。例えば、12月31日の時点では、利益が上がっており、口座に納税用の資金が確保されていたが、その後、所得税の申告・納税の期限である3月15日までの期間内、あるいは振替納税を選択している場合の税金の引き落とし日である4月22日までの期間内に、利益分の全てを喪失してしまった顧客等のように、確定申告時や振替納税の引き落とし日に、手許に現金が残っておらず、納税することが困難になる場合もあり得る。
【0007】
本発明の目的は、税金の支払いのための資金を計画的に確保することができる口座管理システムおよび口座管理処理方法、並びにプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金融機関に開設された顧客の口座の残高を管理する処理を実行するコンピュータにより構成された口座管理システムであって、顧客の口座の残高を、顧客識別情報と関連付けて記憶する口座残高データべースと、顧客により入力された少なくとも1種類の税金の税率、顧客により入力された前記少なくとも1種類の税金の支払用の資金確保のためのロック期間、および少なくとも1種類の税金の支払用の資金として確保しておくことが必要な納税予定額を、顧客識別情報と関連付けて記憶する設定情報データべースと、顧客の金融商品に関する取引についての損益を含む取引履歴データを、顧客識別情報と関連付けて記憶する取引履歴データベースと、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベースに記憶された取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された税率を用いて、各顧客の納税予定額を算出し、算出した納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させる処理を実行する納税予定額算出処理手段と、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置、または金融商品の売買取引システムを含む他のシステムから、顧客の口座からの出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された納税予定額およびロック期間を取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべースに記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時がロック期間中である場合には、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行するロック実行処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
このような本発明の口座管理システムにおいては、設定情報データべースにロック期間を記憶しておき、このロック期間中に出金要求があったときに、ロック実行処理手段により、顧客の口座の残高が納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には出金を制限するロック処理(資金の拘束処理)が行われるので、ロック期間中は、納税予定額が確保されるため、納税する際に、税金の支払いのための現金が無いという事態を未然に防止することが可能となる。
【0010】
また、設定情報データべースに顧客により入力された税率を記憶しておき、この顧客により入力された税率を用いて、納税予定額算出処理手段により納税予定額が算出されるので、顧客の所得金額の大きさに応じた納税予定額を算出することが可能となる。
【0011】
さらに、設定情報データべースに記憶させるロック期間や税率は、顧客が入力するので、顧客は、ロック期間や税率を自由に設定することができ、自己の特殊な事情を加味した設定を行うことも可能となり、顧客にとっての利便性が向上し、これらにより前記目的が達成される。
【0012】
また、前述した口座管理システムにおいて、設定情報データべースは、税率、ロック期間、および納税予定額に加え、顧客の口座からの出金を制限するロックが有効であるか否かを示すロックフラグも、顧客識別情報と関連付けて記憶する構成とされ、ロック実行処理手段は、出金要求信号を受信したときに、設定情報データべースに記憶されたロックフラグを参照し、ロックフラグがロック有効を示す状態である場合にのみロック処理を実行する構成とされ、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置からの顧客によるロック解除の要求信号を受信した場合に、ロック解除要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶されたロックフラグを、ロック解除を示す状態に変更する処理を実行するロック解除処理手段を備えた構成とすることが望ましい。
【0013】
このようにロック解除処理手段を備えた構成とした場合には、設定したロック期間が終了する前に、早めに税金を納付したくなったときや、その他の事情により、その口座から現金を引き出す必要が生じたとき等に、顧客が自らの意思でロック解除を行うことが可能となるので、顧客の選択の自由度が向上する。
【0014】
さらに、前述した口座管理システムにおいて、納税予定額算出処理手段は、税務上の会計期間の終了後に納税予定額を算出する処理に加え、会計期間の期中の少なくとも1時点でも、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベースに記憶された当該時点までの取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された税率を用いて、当該時点での各顧客の納税予定額を仮算出し、仮算出した納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させる処理を実行する構成とされ、ロック実行処理手段は、会計期間の期中に、出金要求信号を受信したときにも、ロック処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0015】
このように期中においてもロック処理を行う構成とした場合には、期中の各時点で、その時点までの利益額に応じたロック処理を行うことが可能となり、より計画的な資金管理を行うことが可能となる。従って、例えば、年初に大きな利益を得ているが、その後、その利益分を使ってしまった場合等のように、会計期間が終了してロックしようとしたときには、既に納税用の資金が無くなっていたという事態を未然に防止することが可能となる。
【0016】
そして、前述した口座管理システムにおいて、設定情報データべースは、分割納税が可能な税金について分割納税をする顧客により入力された当該税金の各期の支払用の資金確保のための各分割払い用ロック期間、および各期の支払用の資金として確保しておくことが必要な各納税予定額残額を、顧客識別情報と関連付けて記憶する構成とされ、納税予定額算出処理手段は、分割納税が可能な税金について、納税予定額を均等または略均等に段階的に減らしていくことにより各納税予定額残額を算出し、算出した各納税予定額残額を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させる構成とされ、ロック実行処理手段は、出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された各納税予定額残額および各分割払い用ロック期間を取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべースに記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時が分割払い用ロック期間中である場合には、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額残額未満になるか否かを判断し、納税予定額残額未満になる場合には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額残額への浸食相当分について出金を制限するロック処理も実行する構成とされていることが望ましい。
【0017】
このように税金の分割納付に対応してロック処理を行う構成とした場合には、顧客が分割納付をするときにも、各期の納付額および納期限に対応させて各納税予定額残額および各分割払い用ロック期間を設定しておくことで、各期において納付を行うための資金を確保することができるので、より一層計画的で、かつ、柔軟な資金管理を行うことが可能となる。
【0018】
また、前述した口座管理システムにおいて、口座残高データべースに残高が記憶されている顧客の口座が、税金の引き落とし用の口座でない場合には、設定情報データべースに記憶されたロック期間の終了時点で、設定情報データべースに記憶された納税予定額を、管理対象の顧客の口座から税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を実行する振込処理手段を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
このように振込処理手段を設け、ロック期間の終了時点で、納税予定額を税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を行う構成とした場合には、顧客の振込みの手間が省かれ、税務手続における顧客の負担軽減が図られるうえ、顧客が振込みを忘れて税金の引き落とし日になっても引き落とし用の口座に引き落とし用の資金が無いという事態を未然に防止することが可能となる。
【0020】
さらに、前述した税金の分割納付に対応してロック処理を行う構成とした場合において、口座残高データべースに残高が記憶されている顧客の口座が、税金の引き落とし用の口座でない場合には、設定情報データべースに記憶された各分割払い用ロック期間の終了時点で、設定情報データべースに記憶された納税予定額から算出した各分割納税予定額、または設定情報データべースに記憶された各分割納税予定額を、顧客の口座から税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を実行する振込処理手段を備えた構成とすることが望ましい。
【0021】
このように振込処理手段を設け、各分割払い用ロック期間の終了時点で、各期の分割納税予定額を税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を行う構成とした場合には、分割納付をするときでも、顧客の振込みの手間が省かれ、税務手続における顧客の負担軽減が図られるうえ、顧客が振込みを忘れて税金の引き落とし日になっても引き落とし用の口座に引き落とし用の資金が無いという事態を未然に防止することが可能となる。特に分割納付では、時間間隔をあけて複数回の納付を行うので、一括納付の場合に比べ、振込みの手間や、支払いの期限管理の手間が大きいため、その効果が顕著になる。
【0022】
そして、前述した口座管理システムにおいて、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された納税予定額を取得するとともに、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべースに記憶された各顧客の口座の残高を取得し、各顧客の口座の残高が納税予定額よりも少ない場合には、納税用の資金が不足している旨を通知するアラート通知用データを、ネットワークを介して各顧客またはその入力代行者の操作する端末装置へ送信する処理を実行するアラート通知処理手段を備えた構成とすることが望ましい。
【0023】
このようにアラート通知処理手段を備えた構成とした場合には、顧客の口座の残高の不足を知らせ、注意を促すことが可能となる。例えば、ロック期間外、あるいは、ロック期間中であるが、顧客がロックを解除して出金することにより、納税予定額を確保することができなくなっていた場合等に、残高の不足を知らせることが可能となり、この結果、顧客は、口座の残高を増やす、あるいはそれ以上の出金を控える等の適切な対応をとることができるようになる。
【0024】
また、以上に述べた本発明の口座管理システムにより実現される口座管理処理方法として、以下のような本発明の口座管理処理方法が挙げられる。
【0025】
すなわち、本発明は、金融機関に開設された顧客の口座の残高を管理する処理を実行するコンピュータにより構成された口座管理システムで実行される口座管理処理方法であって、顧客の口座の残高を、顧客識別情報と関連付けて口座残高データべースに記憶させ、顧客により入力された少なくとも1種類の税金の税率、顧客により入力された少なくとも1種類の税金の支払用の資金確保のためのロック期間、および少なくとも1種類の税金の支払用の資金として確保しておくことが必要な納税予定額を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させ、顧客の金融商品に関する取引についての損益を含む取引履歴データを、顧客識別情報と関連付けて取引履歴データベースに記憶させ、納税予定額算出処理手段が、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベースに記憶された取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された税率を用いて、各顧客の納税予定額を算出し、算出した納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させる処理を実行し、ロック実行処理手段が、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置、または金融商品の売買取引システムを含む他のシステムから、顧客の口座からの出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべースに記憶された納税予定額およびロック期間を取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべースに記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時がロック期間中である場合には、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行することを特徴とするものである。
【0026】
このような本発明の口座管理処理方法においては、前述した本発明の口座管理システムで得られる作用・効果がそのまま得られ、これにより前記目的が達成される。
【0027】
さらに、本発明のプログラムは、前述した口座管理システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0028】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモリ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上に述べたように本発明によれば、納税予定額算出処理手段により、顧客により入力された税率を用いて納税予定額を算出し、設定情報データべースにロック期間および納税予定額を記憶しておき、ロック期間中に出金要求があったときに、ロック実行処理手段により、顧客の口座の残高が納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合に出金を制限するロック処理を実行するので、ロック期間中は、顧客の口座に納税予定額を確保しておくことができるため、納税する際に、税金の支払いのための現金が無いという事態を未然に防止することができ、税金の支払いのための資金を計画的に確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の口座管理システムの全体構成図。
【図2】前記実施形態の設定情報データベースのレコード構成図。
【図3】前記実施形態の取引履歴データベースの構成図。
【図4】前記実施形態の口座残高データベースの構成図。
【図5】前記実施形態の分割納付対応処理の説明図。
【図6】前記実施形態の設定情報入力画面の一例を示す図。
【図7】前記実施形態のロック処理の流れを示すフローチャートの図。
【図8】前記実施形態の振替納税対応処理の流れを示すフローチャートの図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の口座管理システム10の全体構成が示されている。図2には、設定情報データベース30のレコード構成の一例が示され、図3には、取引履歴データベース31の構成の一例が示され、図4には、口座残高データベース32の構成の一例が示されている。また、図5は、分割納付対応処理の説明図であり、図6には、設定情報入力画面100の一例が示されている。さらに、図7には、ロック処理の流れがフローチャートで示され、図8には、振替納税対応処理の流れがフローチャートで示されている。
【0032】
図1において、口座管理システム10は、顧客の口座の残高を管理する処理を実行する証券会社等の金融機関のシステムであり、1台または複数台のコンピュータにより構成されている。この口座管理システム10による管理対象の顧客の口座は、例えば、証券会社に設けられたいわゆる証券総合口座であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド:Money
Reserve Fund)等である。この口座管理システム10には、ネットワーク1を介して顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40が接続されている。また、口座管理システム10には、通信回線2を介して口座管理システム10の運用・管理を行う証券会社等の金融機関の他のシステムである売買取引システム50が接続されるとともに、通信回線3を介して他の金融機関システム60が接続されている。
【0033】
ここで、ネットワーク1は、インターネット、イントラネット、エクストラネット、LAN、MAN、WAN、あるいはこれらの組合せ等、様々な形態のものが含まれ、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。
【0034】
また、口座管理システム10と売買取引システム50とを接続する通信回線2は、専用線でも、ネットワーク1でもよい。さらに、口座管理システム10と他の金融機関システム60とを接続する通信回線3も、専用線でも、ネットワーク1でもよい。
【0035】
口座管理システム10は、顧客の口座の残高を管理する処理を実行する処理手段20と、この処理手段20に接続された設定情報データベース30、取引履歴データベース31、および口座残高データベース32とを備えている。
【0036】
処理手段20は、設定情報入力受付処理手段21と、ロック解除処理手段22と、納税予定額算出処理手段23と、ロック実行処理手段24と、入出金処理手段25と、取引データ取得処理手段26と、振込処理手段27と、アラート通知処理手段28とを含んで構成されている。
【0037】
設定情報入力受付処理手段21は、端末装置40を操作する顧客またはその入力代行者(証券会社の営業員やオペレータ等)によるID(顧客識別情報である口座番号等)およびパスワードの入力を受け付け、設定情報入力画面100(図6参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置40へ送信するとともに、端末装置40からネットワーク1を介して送信されてくる設定情報(ロックの有無、所得税の税率、所得税のロック期間、住民税の税率、住民税のロック期間(一括払いの場合)、住民税の分割納付の有無、ロック期間の自動設定・手動設定の選択情報、第1の分割払い用ロック期間、第2の分割払い用ロック期間、第3の分割払い用ロック期間、第4の分割払い用ロック期間、所得税の引き落とし用の口座への振込みの要否、所得税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、支店番号、口座番号等)、住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否、住民税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、支店番号、口座番号等)を含む。)を受信し、受信した設定情報を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データベース30(図2参照)に記憶させる処理を実行するものである。
【0038】
また、設定情報入力受付処理手段21は、顧客による設定情報の変更要求に応じ、設定情報入力画面100(図6参照)と同様な設定情報の変更用の入力画面(設定情報入力画面100と全く同様でもよい。)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置40へ送信するとともに、端末装置40からネットワーク1を介して送信されてくる変更後の設定情報を受信し、受信した変更後の設定情報を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データベース30(図2参照)に記憶させる処理も実行する。例えば、当初は、住民税を一括納付することを想定してロック期間を入力していたが、その後、住民税を分割納付することにして、第1期〜第4期の納期限に合わせて各分割払い用ロック期間を入力する場合、あるいは、当初、所得税の税率を20%と入力していたが、予想よりも所得が増えそうなので、税率を30%に変更する場合等である。
【0039】
ロック解除処理手段22は、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置40からの顧客による所得税または住民税のロック解除の要求信号(設定情報入力画面100(図6参照)の「所得税のロック解除」ボタン160や「住民税のロック解除」ボタン162の押下操作による要求信号)を、ネットワーク1を介して受信した場合に、ロック解除要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税または住民税のロックフラグを、ロック解除を示す状態に変更する処理を実行するものである。なお、ロック解除とは、設定したロック期間中に、ロック実行処理手段24によるロック処理(資金を拘束する処理)を実行しないようにする操作である。本実施形態では、ロックを解除した後でも、下記のロック回復の要求に備え、ロック期間等の設定情報は消去せずに、保存しておく構成とされているが、ロックを解除したら、ロック期間を含めて設定情報を全て消去する構成としてもよい。
【0040】
また、ロック解除処理手段22は、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置40からの顧客による所得税または住民税のロック回復の要求信号(設定情報入力画面100(図6参照)の「所得税のロック回復」ボタン161や「住民税のロック回復」ボタン163の押下操作による要求信号)を、ネットワーク1を介して受信した場合に、ロック回復要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税または住民税のロックフラグを、ロック有効を示す状態に変更する処理も実行する。なお、ロック回復とは、一旦、ロック(資金の拘束)を解除した後に、再び、ロックするための操作である。
【0041】
納税予定額算出処理手段23は、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税の税率を用いて、各顧客の所得税および住民税の納税予定額を算出し、算出した所得税および住民税の納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべース30に記憶させる処理を実行するものである。なお、本実施形態において、納税予定額というときは、ある顧客についての給与所得を含めた全ての所得に対して定まる納税予定額ではなく、あくまでも取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された取引履歴データから把握することができる利益額、つまり口座管理システム10を運用・管理する証券会社等の金融機関が関与した取引で得られた利益額に対する納税予定額である。つまり、納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理で用いられる所得税の税率は、給与所得を含めた全ての所得に基づき定まる税率を想定して顧客により入力されるものであるが、その税率は、証券会社等の金融機関が関与した取引で得られた利益額にも及ぶものであるため、その税率を用いて、所得税の税額全体のうちの証券会社等の金融機関が関与した取引で得られた利益額に係る部分を算出したものである。
【0042】
この納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理は、税務上の会計期間の終了時点(通常は12月31日が経過した時点)で設定情報データべース30(図2参照)に所得税および住民税の税率を含む設定情報が記憶されていれば、会計期間の終了時点で行われる他、次の時点で行われる。先ず、会計期間の終了後に、設定情報入力受付処理手段21による所得税および住民税の税率を含む設定情報の入力受付を行った場合には、入力受付を行った時点で、納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理が行われる。次に、会計期間の期中において、設定情報入力受付処理手段21による所得税および住民税の税率を含む設定情報の入力受付を行った場合には、入力受付を行った時点で、納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理が行われる。さらに、取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された取引履歴データの状況は、取引を行う都度に変化するので、会計期間の期中の所定の時点(例えば、毎月の月末を経過した時点等)でも、定期的に納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理が行われる。また、会計期間の終了後であるか、会計期間の期中であるかを問わず、設定情報入力受付処理手段21により、設定情報の変更入力を受け付けた場合(例えば、所得税の税率の変更等)には、変更入力を受け付けた時点で、納税予定額算出処理手段23による納税予定額の算出処理が行われる。
【0043】
この際、納税予定額算出処理手段23は、会計期間の期中の時点で納税予定額の算出処理を行う場合には、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された当該時点までの取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30に記憶された所得税および住民税の税率を用いて、当該時点での各顧客の所得税および住民税の納税予定額を仮算出し、仮算出した納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべース30(図2参照)に記憶させる処理を実行する。
【0044】
より具体的には、納税予定額算出処理手段23は、取引履歴データベース31(図3参照)から取得した総合課税対象の取引に関する取引履歴データの損益データを会計期間の1年間分について通算する。なお、会計期間の期中の場合には、その時点までの取引履歴データの損益データを通算する。この際、例えば、店頭でのFXの通算の利益額と、債券の償還差益の通算の利益額とがある場合のように、複数の商品取引に跨って通算の利益額がある場合には、それらの通算の利益額を合計する。そして、得られた通算の利益額の合計額から、雑所得の控除金額を差し引いた金額に、所得税または住民税の税率を乗じることにより、所得税または住民税の納税予定額を算出する。
【0045】
また、納税予定額算出処理手段23は、設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶されている場合には、上記のようにして1年間の通算の利益額の合計額から算出した納税予定額を均等または略均等に段階的に減らしていくことにより、顧客が分割納税する場合における各期の支払用の資金として確保しておくことが必要な各納税予定額残額、および各期分の分割納税予定額を算出し、算出した各納税予定額残額および各期分の分割納税予定額を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データべース30(図2参照)に記憶させる処理を実行する(図5参照)。例えば、第1期〜第4期で分割納税をする場合は、納税予定額と同額を、第1期納期限までの納税予定額残額とし、納税予定額に3/4を乗じた金額を、第2期納期限までの納税予定額残額とし、納税予定額に2/4を乗じた金額を、第3期納期限までの納税予定額残額とし、納税予定額に1/4を乗じた金額を、第4期納期限までの納税予定額残額とするとともに、納税予定額を4で除することにより、各期分の分割納税予定額を算出する。
【0046】
ロック実行処理手段24は、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置40、または売買取引システム50から、顧客の口座からの出金要求信号を受信したとき(本実施形態では、一例として、入出金処理手段25から転送されてきた出金要求信号を受信したときとなる。)に、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税の納税予定額、所得税および住民税のロック期間、並びに、所得税および住民税の各ロックフラグの状態を示すデータを取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時がロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態である場合(所得税のロック期間中であり、かつ、所得税のロックフラグがロック有効の状態である場合、および/または、住民税のロック期間中であり、かつ、住民税のロックフラグがロック有効の状態である場合)には、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行するものである。
【0047】
なお、所得税および住民税のロックフラグの双方がロック有効の状態である場合には、所得税の納税予定額および住民税の納税予定額を合計した納税予定額により納税予定額未満になるか否かを判断し、いずれか一方のロックフラグがロック有効で、他方のロックフラグがロック解除の状態である場合には、ロック有効の方のみの納税予定額により納税予定額未満になるか否かを判断し、所得税および住民税のロックフラグの双方がロック解除の状態である場合には、ロック処理を実行しない。また、ロック期間についても同様であり、所得税のロック期間および住民税のロック期間の双方のロック期間中である場合には、所得税の納税予定額および住民税の納税予定額を合計した納税予定額により納税予定額未満になるか否かを判断し、いずれか一方のロック期間中であり、他方のロック期間外であれば、ロック期間中である方の法律だけの納税予定額により納税予定額未満になるか否かを判断し、いずれについてもロック期間外であれば、ロック処理を実行しない。
【0048】
このロック実行処理手段24によるロック処理は、会計期間の終了後であるか、会計期間の期中であるかを問わず、端末装置40または売買取引システム50からの出金要求信号を受信したとき(本実施形態では、一例として、入出金処理手段25から転送されてきた出金要求信号を受信したときとなる。)に行われる。
【0049】
ここで、「出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額への浸食相当分について出金を制限する」という意味は、出金要求に係る金額の全額について出金を制限してもよく、あるいは出金要求に係る金額のうち納税予定額への浸食相当分(口座の残高から出金要求に係る金額を減じた金額と、納税予定額との差額)だけについて出金を制限してもよく、また、これらの中間的な額の出金を制限してもよく、要するに、出金後の口座の残高が納税予定額以上になるように出金を制限すればよい趣旨である。従って、出金要求の内容に応じ、出金要求に係る金額の全額の出金を制限するか、一部の額の出金を制限するか、一部の額の出金を制限する場合にはどれ位の額の出金を制限するのかを決定することができ、例えば、売買取引を行うことができる最小単位の取引量についての出金要求の場合には、それよりも小さい額の出金を容認しても意味がないため、全額の出金を制限すればよく、出金要求に係る取引量を減らすことにより出金要求に係る金額を減らすことができる場合には、一部の額の出金を制限して取引量を減らしてもよい。また、顧客が口座からの現金の引き出しを行う出金要求の場合には、出金要求に係る金額のうちの一部の額の引き出しを制限し、残りの一部の額の引き出しを容認することができる。下記の「出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額残額への浸食相当分(口座の残高から出金要求に係る金額を減じた金額と、納税予定額残額との差額)について出金を制限する」という意味も同様である。
【0050】
また、ロック実行処理手段24は、出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶されている場合には、設定情報データべース30に記憶された各納税予定額残額および各分割払い用ロック期間を取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時が分割払い用ロック期間中である場合には、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額残額未満になるか否かを判断し、納税予定額残額未満になる場合には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額残額への浸食相当分(口座の残高から出金要求に係る金額を減じた金額と、納税予定額残額との差額)について出金を制限するロック処理も実行する。
【0051】
本実施形態では、ロック実行処理手段24による具体的なロック処理は、入出金処理手段25から転送されてくる出金要求信号を受信したときに、出金を制限するか、出金を容認するかを判断し、その判断結果を、入出金処理手段25に返送する処理である。
【0052】
入出金処理手段25は、顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40、または売買取引システム50から入出金要求信号(入金要求または出金要求に係る金額を含む。)を受信し、受信した入出金要求信号のうちの出金要求信号(出金要求に係る金額を含む。)をロック実行処理手段24に転送し、ロック実行処理手段24から返送されてきた出金の制限・容認の判断結果を示すデータ(出金の制限の場合には、出金要求に係る金額のうちの幾らの額の出金を制限するのかという情報も含む。)を受信し、受信した判断結果に従って、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された入出金要求に係る顧客の口座の残高を増減させる処理を実行するものである。
【0053】
より詳細には、入出金処理手段25は、端末装置40または売買取引システム50からネットワーク1や通信回線2を介して入金要求信号(入金要求に係る金額を含む。)を受信したときには、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された入金要求に係る顧客の口座の残高に、入金要求に係る金額を加算する入金処理を実行する。
【0054】
また、入出金処理手段25は、端末装置40または売買取引システム50からネットワーク1や通信回線2を介して出金要求信号(出金要求に係る金額を含む。)を受信し、かつ、ロック実行処理手段24から、出金を容認するという判断結果を示すデータを受信した場合には、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高から、出金要求に係る金額を減算する出金処理を実行する。
【0055】
さらに、入出金処理手段25は、端末装置40または売買取引システム50からネットワーク1や通信回線2を介して出金要求信号(出金要求に係る金額を含む。)を受信し、かつ、ロック実行処理手段24から、出金要求に係る金額の全額について出金を制限するという判断結果を示すデータを受信した場合には、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高からの出金処理を実行しない。
【0056】
そして、入出金処理手段25は、端末装置40または売買取引システム50からネットワーク1や通信回線2を介して出金要求信号(出金要求に係る金額を含む。)を受信し、かつ、ロック実行処理手段24から、出金要求に係る金額の一部の額(口座の残高から出金要求に係る金額を減じた金額と、納税予定額または納税予定額残額との差額)について出金を制限するという判断結果を示すデータを受信した場合には、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高から、出金要求に係る金額のうちの納税予定額または納税予定額残額への浸食相当分以外の分(口座の残高から、納税予定額または納税予定額残額を減じた金額)を減算する出金処理を実行する。従って、この場合は、出金処理後には、口座の残高は、納税予定額または納税予定額残額となる。
【0057】
取引データ取得処理手段26は、売買取引システム50から通信回線2を介して総合課税対象の各種の取引に関する取引データ(損益データや日付データを含む。)を取得し、取得した取引データを、顧客識別情報と関連付けて取引履歴データベース31(図3参照)に記憶させる処理を実行するものである。この取引データの取得処理は、取引が行われる都度に、リアルタイムで行われることが好ましいが、例えば、毎日の夜間バッチ処理で行う等、定期的に行ってもよい。
【0058】
振込処理手段27は、設定情報データべース30(図2参照)の所得税や住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否カラムに「要」が記憶されている場合には、設定情報データべース30に記憶されたロック期間の終了時点で、設定情報データべース30に記憶された所得税や住民税の引き落とし用の口座61(例えば、銀行の口座)の情報を参照し、設定情報データべース30に記憶された納税予定額を、口座残高データべース32(図4参照)に残高が記憶されている管理対象の顧客の口座(例えば、MRFのような証券総合口座等)から、当該顧客により他の金融機関システム60(例えば、銀行システム)に開設された所得税や住民税の引き落とし用の口座61へ自動的に振り込む処理を実行するものである。なお、本実施形態では、口座残高データべース32(図4参照)に残高が記憶されている顧客の口座は、税金の引き落とし用の口座ではない。
【0059】
より詳細には、振込処理手段27は、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された顧客の口座の残高から、納税予定額を減じる出金処理を実行するとともに、送金データとして、送金先である所得税や住民税の引き落とし用の口座61の情報(金融機関コード、店番号、口座番号等)、および送金額である納税予定額を、通信回線3を介して他の金融機関システム60へ送信する処理を実行する。
【0060】
また、振込処理手段27は、設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶され、かつ、住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否カラムに「要」が記憶されている場合には、設定情報データべース30に記憶された各分割払い用ロック期間の終了時点で、設定情報データべース30に記憶された住民税の引き落とし用の口座61(例えば、銀行の口座)の情報を参照し、設定情報データべース30に記憶された各分割納税予定額(設定情報データべース30に記憶された住民税の納税予定額から各分割納税予定額を算出してもよい。)を、口座残高データべース32(図4参照)に残高が記憶されている管理対象の顧客の口座(例えば、MRFのような証券総合口座等)から、当該顧客により他の金融機関システム60(例えば、銀行システム)に開設された住民税の引き落とし用の口座61へ自動的に振り込む処理を実行する。
【0061】
アラート通知処理手段28は、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税の納税予定額を取得するとともに、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された各顧客の口座の残高を取得し、各顧客の口座の残高が納税予定額(所得税の納税予定額および住民税の納税予定額の合計額)よりも少ない場合には、納税用の資金が不足している旨を通知するアラート通知用データを、ネットワーク1を介して各顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40へ送信する処理を実行するものである。
【0062】
また、アラート通知処理手段28は、設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶されている場合には、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された各納税予定額残額を取得するとともに、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された各顧客の口座の残高を取得し、各顧客の口座の残高が各納税予定額残額よりも少ない場合には、納税用の資金が不足している旨を通知するアラート通知用データを、ネットワーク1を介して各顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40へ送信する処理を実行する。
【0063】
さらに、アラート通知処理手段28は、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税のロック期間や各分割払い用ロック期間を取得し、これらのロック期間や各分割払い用ロック期間の開始直前および終了直前の各時点で、ロック期間や各分割払い用ロック期間が開始される旨および終了する旨を予告通知するアラート通知用データを、ネットワーク1を介して各顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40へ送信する処理も実行する。例えば、ロック期間が2月15日〜4月21日であれば、2月14日(開始前日)にロック期間の開始を通知するアラート通知を行い、4月21日(終了当日)にロック期間の終了を通知するアラート通知を行う。
【0064】
設定情報データべース30は、図2に示すように、ロックの有無を示すデータと、所得税の税率と、所得税のロック期間と、所得税の納税予定額と、住民税の税率と、住民税のロック期間と、住民税の納税予定額と、住民税の分割納付の有無を示すデータと、第1期分の分割納税予定額と、第1期納期限までの納税予定額残額と、第1の分割払い用ロック期間と、第2期分の分割納税予定額と、第2期納期限までの納税予定額残額と、第2の分割払い用ロック期間と、第3期分の分割納税予定額と、第3期納期限までの納税予定額残額と、第3の分割払い用ロック期間と、第4期分の分割納税予定額と、第4期納期限までの納税予定額残額と、第4の分割払い用ロック期間と、所得税の引き落とし用の口座への振込みの要否を示すデータと、所得税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、店番号、口座番号等)と、住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否を示すデータと、住民税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、店番号、口座番号等)と、所得税のロックフラグ(ロック有効・ロック解除の別)と、住民税のロックフラグ(ロック有効・ロック解除の別)とを、顧客識別情報(例えば、MRFのような証券総合口座の口座番号等)と関連付けて記憶するものである。
【0065】
取引履歴データベース31は、図3に示すように、例えば、外国為替証拠金取引(FX)のうち店頭での取引、差金決済取引(CFD:Contract for Difference)、債券の償還差益等のような総合課税対象の各種取引毎に、損益データおよび日付データを含む取引データを、顧客識別情報と関連付けて記憶するものである。なお、取引履歴データベース31は、総合課税対象の各種取引毎の取引履歴データベースの総称であり、各種取引毎の取引履歴データベースのレコード構成は、それぞれ異なっていてもよい。
【0066】
口座残高データべース32は、図4に示すように、顧客の口座の残高を、顧客識別情報と関連付けて記憶するものである。
【0067】
そして、以上において、口座管理システム10を構成する処理手段20に含まれる各処理手段21〜28は、口座管理システム10を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0068】
また、口座管理システム10を構成する各データベース30〜32は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
【0069】
さらに、口座管理システム10は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータあるいは複数のCPUで分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
【0070】
端末装置40は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示装置と、印刷装置とを備えている。なお、端末装置40は、例えば携帯電話機(PHSも含む。)や携帯情報端末(PDA)等の携帯機器でもよい。
【0071】
売買取引システム50は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、口座管理システム10を運用・管理する証券会社等の金融機関に設けられた他のシステムであり、総合課税対象の各種取引に関する処理を実行し、それらの取引データを、顧客識別情報と関連付けて保存するシステムである。この売買取引システム50は、口座管理システム10の取引データ取得処理手段26からの要求に応じ、保存している取引データを、通信回線2を介して口座管理システム10へ送信する処理を実行し、また、買い取引に関する出金要求信号(出金要求に係る金額を含む。)や、売り取引に関する入金要求信号(入金要求に係る金額を含む。)を、通信回線2を介して口座管理システム10へ送信する処理を実行する。なお、売買取引システム50は、総合課税対象の各種取引毎に設けられたシステムの総称であり、実際には、例えば、店頭での外国為替証拠金取引(FX)を取り扱う売買取引システムと、債券取引を取り扱う売買取引システムとが独立して設けられていてもよい。
【0072】
他の金融機関システム60は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、他の金融機関(例えば、銀行等)に設けられたシステムであり、顧客が他の金融機関に開設した税金の引き落とし用の口座61の残高を管理するシステムである。
【0073】
このような本実施形態においては、以下のようにして口座管理システム10により、顧客の口座の残高を管理する処理として、税金の支払い用の資金を確保するためのロック処理を実行する。
【0074】
図7において、口座管理システム10による処理を開始した後(ステップS1)、設定情報入力受付処理手段21により、端末装置40を操作する顧客またはその入力代行者によるID(顧客識別情報)およびパスワードの入力を受け付けると、設定情報入力画面100(図6参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置40へ送信する(ステップS2)。すると、端末装置40の画面上には、図6に示すような設定情報入力画面100が表示される。
【0075】
図6において、設定情報入力画面100には、自己の口座の残高について税金の支払い用の資金を確保するためのロック(口座からの出金を制限して税金の支払い用の資金を拘束すること。)を行うことを選択するロック有り選択部101と、ロックを行わないことを選択するロック無し選択部102とが設けられている。
【0076】
また、設定情報入力画面100には、ロック期間設定部110が設けられ、このロック期間設定部110には、住民税の分割納付をすることを選択する分割納付適用選択部111と、住民税の分割納付をしないことを選択する分割納付不適用選択部112と、ロック期間としてシステムで定められた期間を採用することを選択するシステム提供期間選択部113と、ロック期間を手動で入力することを選択する手動入力選択部114と、所得税のロック期間を入力する所得税ロック期間入力部115と、住民税のロック期間(一括納付する場合)を入力する住民税ロック期間入力部116と、住民税を分割納付する場合における第1期納期限までのロックを行うための第1の分割払い用ロック期間を入力する第1分割払い用ロック期間入力部117と、第2の分割払い用ロック期間を入力する第2分割払い用ロック期間入力部118と、第3の分割払い用ロック期間を入力する第3分割払い用ロック期間入力部119と、第4の分割払い用ロック期間を入力する第4分割払い用ロック期間入力部120とが設けられている。なお、システム提供期間選択部113を選択すると、図示されないロック期間記憶手段に記憶されるか、または設定情報入力受付処理手段21を構成するプログラム内に記述された所得税のロック期間、住民税のロック期間(一括納付する場合)、あるいは各分割払い用ロック期間が設定される。
【0077】
さらに、設定情報入力画面100には、税率入力部130が設けられ、この税率入力部130には、所得税の税率を入力する所得税税率入力部131と、住民税の税率を入力する住民税税率入力部132とが設けられている。なお、所得税税率入力部131および住民税税率入力部132への入力は、プルダウンメニューからの選択入力等でもよい。
【0078】
また、設定情報入力画面100には、振替納税関連事項入力部140が設けられ、この振替納税関連事項入力部140には、所得税の引き落とし用の口座への振込みが必要であることを選択する「要」選択部141と、所得税の引き落とし用の口座への振込みが不要であることを選択する「不要」選択部142と、所得税の引き落とし用の口座の情報(金融機関、支店、口座番号等)を入力する所得税引き落とし用口座情報入力部143と、住民税の引き落とし用の口座への振込みが必要であることを選択する「要」選択部144と、住民税の引き落とし用の口座への振込みが不要であることを選択する「不要」選択部145と、住民税の引き落とし用の口座の情報(金融機関、支店、口座番号等)を入力する住民税引き落とし用口座情報入力部146とが設けられている。なお、所得税引き落とし用口座情報入力部143および住民税引き落とし用口座情報入力部146への入力は、プルダウンメニューからの選択入力等でもよい。
【0079】
さらに、設定情報入力画面100には、入力した設定情報を口座管理システム10へ送信するための「設定」ボタン150と、所得税の支払い用の資金確保のためのロックを解除する(無効にする)ための「所得税のロック解除」ボタン160と、この「所得税のロック解除」ボタン160を押下操作して一旦解除したロックを回復させる(有効にする)ための「所得税のロック回復」ボタン161と、住民税の支払い用の資金確保のためのロックを解除する(無効にする)ための「住民税のロック解除」ボタン162と、この「住民税のロック解除」ボタン162を押下操作して一旦解除したロックを回復させる(有効にする)ための「住民税のロック回復」ボタン163とが設けられている。
【0080】
図6の設定情報入力画面100において、顧客が、各設定情報を入力し、「設定」ボタン150を押下操作すると、各設定情報がネットワーク1を介して口座管理システム10へ送信される。口座管理システム10では、設定情報入力受付処理手段21により、端末装置40から送信されてくる各設定情報(ロックの有無、所得税の税率、所得税のロック期間、住民税の税率、住民税のロック期間(一括払いの場合)、住民税の分割納付の有無、ロック期間の自動設定・手動設定の選択情報、第1の分割払い用ロック期間、第2の分割払い用ロック期間、第3の分割払い用ロック期間、第4の分割払い用ロック期間、所得税の引き落とし用の口座への振込みの要否、所得税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、支店番号、口座番号等)、住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否、住民税の引き落とし用の口座の情報(金融機関コード、支店番号、口座番号等)を含む。)を受信し、受信した各設定情報を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データベース30(図2参照)に記憶させる(ステップS2)。
【0081】
また、図6の設定情報入力画面100において、顧客が、変更したい設定情報を再入力し、「設定」ボタン150を押下操作すると、変更後の設定情報がネットワーク1を介して口座管理システム10へ送信され、設定情報入力受付処理手段21により、設定情報データベース30(図2参照)に記憶された設定情報の変更処理が実行される。
【0082】
例えば、図6に示すように、当初、分割納付不適用選択部112にチェックを入れて住民税の分割納付をしないことを選択し、住民税ロック期間入力部116に住民税のロック期間(一括納付する場合)を入力していた顧客が、その後、分割納付適用選択部111にチェックを入れて住民税の分割納付をすることを選択し、第1分割払い用ロック期間入力部117、第2分割払い用ロック期間入力部118、第3分割払い用ロック期間入力部119、および第4分割払い用ロック期間入力部120に各分割払い用ロック期間を入力し、「設定」ボタン150を押下操作すると、設定情報入力受付処理手段21による設定情報の変更処理が実行される。このような設定変更は、例えば、当初は、住民税を分割納付する際の各期の納期限がわからなかったので、住民税ロック期間入力部116に住民税のロック期間(一括納付する場合)を暫定的に入力し、その後、各期の納期限を把握した段階で、各分割払い用ロック期間を入力するような場合にも行うことができる。
【0083】
続いて、納税予定額算出処理手段23により、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された取引履歴データ、および各顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税の税率を用いて、各顧客の所得税および住民税の納税予定額を算出し、算出した所得税および住民税の納税予定額を、各顧客の顧客識別情報と関連付けて設定情報データべース30に記憶させる(ステップS3)。
【0084】
例えば、図2に示す設定情報データべース30のように、大和太郎(顧客識別情報=K0001)について、所得税の税率=30%、および住民税の税率=10%が記憶されていたとし、取引履歴データベース31(図3参照)に記憶された取引履歴データから得られた店頭でのFXの通算損益が100万円であったとし、雑所得の控除を20万円とすると、所得税の納税予定額は、(100万円−20万円)×30%=24万円となり、住民税の納税予定額は、(100万円−20万円)×10%=8万円となる。なお、取引履歴データから得られた店頭でのFXの通算損益の100万円は、現在(納税予定額の算出時点)が会計期間の終了後であれば、会計期間の1年間(1月1日〜12月31日)の通算損益であり、会計期間の期中であれば、会計期間における現在(納税予定額の算出時点)までの通算損益である。
【0085】
また、設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶されている場合には、納税予定額算出処理手段23により、上記のようにして算出した納税予定額を均等または略均等に段階的に減らしていくことにより、顧客が分割納税する場合における各期の支払用の資金として確保しておくことが必要な各納税予定額残額、および各期分の分割納税予定額を算出し、算出した各納税予定額残額および各期分の分割納税予定額を、顧客識別情報と関連付けて設定情報データべース30(図2参照)に記憶させる(ステップS3)。
【0086】
例えば、図2および図5に示すように、住民税の納税予定額(一括納付する場合)が上記のようにして8万円と算出されたとすると、第1期納期限までの納税予定額残額は、納税予定額と同額の8万円となり、第2期納期限までの納税予定額残額は、納税予定額に3/4を乗じて6万円となり、第3期納期限までの納税予定額残額は、納税予定額に2/4を乗じて4万円となり、第4期納期限までの納税予定額残額は、納税予定額に1/4を乗じて2万円となり、各期分の分割納税予定額は、納税予定額を4で除することにより2万円となる。
【0087】
それから、入出金処理手段25により、顧客またはその入力代行者の操作する端末装置40からネットワーク1を介して送信されてくるか、または売買取引システム50から通信回線2を介して送信されてくる入出金要求信号(顧客識別情報、並びに入金要求または出金要求に係る金額を含む。)を受信すると、受信した入出金要求信号のうちの出金要求信号(出金要求に係る顧客の顧客識別情報および出金要求に係る金額を含む。)をロック実行処理手段24に転送する(ステップS4)。
【0088】
続いて、ロック実行処理手段24により、入出金処理手段25から転送されてきた出金要求信号(出金要求に係る顧客の顧客識別情報および出金要求に係る金額を含む。)を受信すると、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)に記憶された所得税および住民税の納税予定額、所得税および住民税のロック期間、並びに、所得税および住民税の各ロックフラグの状態を示すデータを取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時がロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態であるか否かを判断する(ステップS5)。
【0089】
ここで、ロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態であると判断された場合(所得税のロック期間中であり、かつ、所得税のロックフラグがロック有効の状態である場合、および/または、住民税のロック期間中であり、かつ、住民税のロックフラグがロック有効の状態である場合)には、ロック実行処理手段24により、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額未満になるか否かを判断し(ステップS6)、納税予定額未満になる場合(つまり納税予定額を確保できない場合)には、出金要求に係る金額のうち少なくとも納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行し(ステップS7)、一方、納税予定額未満にはならない場合(つまり納税予定額以上になり、納税予定額を確保できる場合)には、出金を容認し、ロック処理は実行しない(ステップS8)。
【0090】
また、ステップS5で、「ロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態」ではない場合(ロック期間外であるか、またはロックフラグがロック解除の状態である場合)にも、出金を容認し、ロック処理は実行しない(ステップS9)。
【0091】
この際、ステップS7のロック処理を実行する場合には、ロック実行処理手段24により、出金を制限するという判断結果を示すデータを入出金処理手段25に返送し、一方、ステップS8,S9のロック処理を実行しない場合には、ロック実行処理手段24により、出金を容認するという判断結果を示すデータを入出金処理手段25に返送する。そして、入出金処理手段25により、ロック実行処理手段24から返送されてきた出金の制限・容認の判断結果を示すデータを受信し、受信した判断結果に従って、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された入出金要求に係る顧客の口座の残高を増減させる。
【0092】
例えば、図2に示す設定情報データべース30のように、所得税の納税予定額=24万円、および住民税の納税予定額=8万円が記憶されるとともに、所得税のロック期間=2月15日〜4月21日、および住民税のロック期間=2月15日〜6月29日(但し、この住民税のロック期間は、分割納付に設定変更する前の一括納付の場合のロック期間)が記憶され、図4に示す口座残高データベース32のように、口座の残高=52万円が記憶されていたとする。この状態で、大和太郎(顧客識別情報=K0001)の口座からの出金要求信号(出金要求に係る金額=30万円)を4月1日に受信し、その受信時に、所得税および住民税のロックフラグが共に「1(有効)」であったとすると、所得税のロック期間中であり、かつ、所得税のロックフラグがロック有効を示す状態であり、さらに、住民税のロック期間中であり、かつ、住民税のロックフラグがロック有効を示す状態でもあるので、口座の残高の52万円から出金要求に係る金額の30万円を減じた金額である22万円と、所得税の納税予定額の24万円と住民税の納税予定額の8万円とを合計した納税予定額の32万円とを比較し、出金要求に従った場合の金額の22万円が、納税予定額の32万円未満となることから、出金を制限する。この際、出金要求に係る金額の30万円の全額について出金を制限してもよく、あるいは出金要求に係る金額の30万円のうち、納税予定額の32万円と出金要求に従った場合の金額の22万円との差額の10万円について出金を制限し、残りの20万円の出金は容認してもよい。
【0093】
また、前述したステップS4で、ロック実行処理手段24により、入出金処理手段25から転送されてきた出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶されている場合には、前述したステップS5では、設定情報データべース30に記憶された所得税の納税予定額および住民税の各納税予定額残額、所得税のロック期間および住民税の各分割払い用ロック期間、並びに、所得税および住民税の各ロックフラグの状態を示すデータを取得するとともに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて口座残高データべース32(図4参照)に記憶された出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、出金要求信号の受信時がロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態であるか否かを判断する。
【0094】
さらに、上記のように分割納付が選択されている場合に、前述したステップS5で、ロック期間中であり、かつ、ロックフラグがロック有効の状態であると判断された場合(所得税のロック期間中であり、かつ、所得税のロックフラグがロック有効の状態である場合、および/または、住民税のいずれかの分割払い用ロック期間中であり、かつ、住民税のロックフラグがロック有効の状態である場合)には、ステップS6では、ロック実行処理手段24により、出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、納税予定額(所得税の納税予定額と住民税の納税予定額残額との合計額)未満になるか否かを判断する。なお、本実施形態では、所得税のロック期間と、住民税の分割払い用ロック期間とが重なる場合は、所得税のロック期間と、この所得税のロック期間の終了前における住民税の第1の分割払い用ロック期間とが重なる場合のみであるから、この場合にだけ、所得税の納税予定額と住民税の第1納期限までの納税予定額残額とを合計した納税予定額により納税予定額未満になるか否かを判断し、所得税のロック期間の終了後における第1の分割払い用ロック期間、および、第2〜第4の分割払い用ロック期間については、住民税の各期の納税予定額残額だけにより納税予定額未満(つまり納税予定額残額未満)になるか否かを判断する。
【0095】
そして、ステップS4〜S9の処理を、端末装置40または売買取引システム50から出金要求信号が送信されてくる都度に行い、全てのロック期間や分割払い用ロック期間が経過したら、ロック処理を終了する(ステップS10)。
【0096】
また、以上に述べた図7に示すロック処理と並行して、口座管理システム10により、顧客の口座の残高を管理する処理として、図8に示すような振替納税対応処理を、毎日繰り返し実行する。
【0097】
図8において、口座管理システム10により振替納税対応処理を開始し(ステップS21)、振込処理手段27により、設定情報データべース30(図2参照)の所得税や住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否カラムに「要」が記憶されているか否かを判断し(ステップS22)、「要」が記憶されている場合には、設定情報データべース30に記憶された所得税または住民税のロック期間の終了日か否かを判断する(ステップS23)。なお、設定情報データべース30(図2参照)の住民税の分割納付の有無カラムに「有」が記憶され、かつ、住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否カラムに「要」が記憶されている場合には、ステップS23では、振込処理手段27により、設定情報データべース30に記憶された住民税の各分割払い用ロック期間の終了日か否かを判断する。
【0098】
ここで、所得税のロック期間の終了日、住民税のロック期間(一括納付の場合)の終了日、または住民税の各分割払い用ロック期間の終了日である場合には、振込処理手段27により、設定情報データべース30に記憶された所得税や住民税の引き落とし用の口座61(例えば、銀行の口座)の情報を参照し、設定情報データべース30に記憶された所得税の納税予定額、住民税の納税予定額(一括納付の場合)、または住民税の各期分の分割納税予定額を、口座残高データべース32(図4参照)に残高が記憶されている管理対象の顧客の口座(例えば、MRFのような証券総合口座等)から、当該顧客により他の金融機関システム60(例えば、銀行システム)に開設された所得税や住民税の引き落とし用の口座61へ自動的に振り込む処理を実行する(ステップS24)。より詳細には、振込処理手段27により、口座残高データべース32(図4参照)に記憶された顧客の口座の残高から、納税予定額や分割納税予定額を減じる出金処理を実行するとともに、送金データとして、送金先である所得税や住民税の引き落とし用の口座61の情報(金融機関コード、店番号、口座番号等)、および送金額である納税予定額や分割納税予定額を、通信回線3を介して他の金融機関システム60へ送信し(ステップS24)、その日の振替納税対応処理を終了する(ステップS25)。
【0099】
例えば、所得税の振替納税の引き落とし日が4月22日である場合には、所得税のロック期間をその前日の4月21日までと設定しておけば、所得税のロック期間の終了日である4月21日、つまり引き落とし日の前日に、引き落とし用の口座61への自動振込みが行われる。
【0100】
一方、ステップS22で、設定情報データべース30(図2参照)の所得税や住民税の引き落とし用の口座への振込みの要否カラムに「不要」が記憶されていると判断された場合、および、ステップS23で、ロック期間や分割払い用ロック期間の終了日ではないと判断された場合には、自動振込みを行うことなく、そのまま、その日の振替納税対応処理を終了する(ステップS25)。
【0101】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、設定情報データべース30(図2参照)にロック期間を記憶しておき、このロック期間中に出金要求があったときに、ロック実行処理手段24により、顧客の口座の残高が納税予定額未満になるか否かを判断し、納税予定額未満になる場合には出金を制限するロック処理(資金の拘束処理)を行うので、ロック期間中は、納税予定額を確保することができるため、納税する際に、税金の支払いのための現金が無いという事態を未然に防止することができる。
【0102】
また、設定情報データべース30(図2参照)に顧客により入力された税率を記憶しておき、この顧客により入力された税率を用いて、納税予定額算出処理手段23により納税予定額を算出するので、顧客の所得金額の大きさに応じた納税予定額を算出することができる。
【0103】
さらに、設定情報データべース30(図2参照)に記憶させるロック期間や税率は、顧客が入力するので、顧客は、ロック期間や税率を自由に設定することができ、自己の特殊な事情を加味した設定を行うこともできることから、顧客にとっての利便性を向上させることができる。
【0104】
また、口座管理システム10は、ロック解除処理手段22を備えているので、設定したロック期間が終了する前に、早めに税金を納付したくなったときや、その他の事情により、その口座から現金を引き出す必要が生じたとき等に、顧客が自らの意思でロック解除を行うことができるため、顧客の選択の自由度を向上させることができる。
【0105】
さらに、納税予定額算出処理手段23は、会計期間の期中の時点での納税予定額を仮算出することができ、ロック実行処理手段24は、会計期間の期中に出金要求信号を受信したときにも、ロック処理を実行する構成とされているので、期中の各時点で、その時点までの利益額に応じたロック処理を行うことができ、より計画的な資金管理を行うことができる。従って、例えば、年初に大きな利益を得ているが、その後、その利益分を使ってしまった場合等のように、会計期間が終了してロックしようとしたときには、既に納税用の資金が無くなっていたという事態を未然に防止することができる。
【0106】
そして、口座管理システム10は、税金(本実施形態では住民税)の分割納付に対応してロック処理を行う構成とされているので、顧客が分割納付をするときにも、各期の納付額および納期限に対応させて設定情報データべース30(図2参照)に各納税予定額残額および各分割払い用ロック期間を設定しておくことで、各期において納付を行うための資金を確保することができ、より一層計画的で、かつ、柔軟な資金管理を行うことができる。
【0107】
また、口座管理システム10は、振込処理手段27を備えているので、ロック期間や各分割払い用ロック期間の終了時点で、納税予定額や分割納税予定額を、税金の引き落とし用の口座61へ自動振込みすることができる。このため、顧客の振込みの手間を省くことができ、税務手続における顧客の負担軽減を図ることができるうえ、顧客が振込みを忘れて税金の引き落とし日になっても引き落とし用の口座61に引き落とし用の資金が無いという事態を未然に防止することができる。特に分割納付では、時間間隔をあけて複数回の納付を行うので、一括納付の場合に比べ、振込みの手間や、支払いの期限管理の手間が大きいため、顕著な効果を得ることができる。
【0108】
そして、口座管理システム10は、アラート通知処理手段28を備えているので、顧客の口座の残高の不足を知らせ、注意を促すことができる。例えば、ロック期間外、あるいは、ロック期間中であるが、顧客がロックを解除して出金することにより、納税予定額を確保することができなくなっていた場合等に、残高の不足を知らせることができ、この結果、顧客は、口座の残高を増やす、あるいはそれ以上の出金を控える等の適切な対応をとることができる。
【0109】
また、口座管理システム10は、アラート通知処理手段28を備えているので、ロック期間や各分割払い用ロック期間の開始直前および終了直前の各時点で、ロック期間や各分割払い用ロック期間が開始される旨および終了する旨を予告通知することができる。このため、顧客は、出金の制限が始まることや、資金の拘束が行われなくなることを把握することができるので、適切な対応をとることができる。
【0110】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0111】
例えば、前記実施形態では、税金として、所得税および住民税の税金が例示されていたが、税法の改正等もあり得るので、本発明は、他の税法に適用してもよく、要するに、いずれの税法であっても、総合課税対象の取引であれば本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明の口座管理システムおよび口座管理処理方法、並びにプログラムは、例えば、外国為替証拠金取引(FX)、差金決済取引(CFD:Contract for Difference)、債券の償還差益等の総合課税対象の取引で利益が発生した場合の処理に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0113】
1 ネットワーク
10 口座管理システム
22 ロック解除処理手段
23 納税予定額算出処理手段
24 ロック実行処理手段
27 振込処理手段
28 アラート通知処理手段
30 設定情報データベース
31 取引履歴データベース
32 口座残高データベース
50 売買取引システム
61 税金の引き落とし用の口座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関に開設された顧客の口座の残高を管理する処理を実行するコンピュータにより構成された口座管理システムであって、
顧客の口座の残高を、顧客識別情報と関連付けて記憶する口座残高データべースと、
顧客により入力された少なくとも1種類の税金の税率、顧客により入力された前記少なくとも1種類の税金の支払用の資金確保のためのロック期間、および前記少なくとも1種類の税金の支払用の資金として確保しておくことが必要な納税予定額を、前記顧客識別情報と関連付けて記憶する設定情報データべースと、
顧客の金融商品に関する取引についての損益を含む取引履歴データを、前記顧客識別情報と関連付けて記憶する取引履歴データベースと、
各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記取引履歴データベースに記憶された前記取引履歴データ、および前記各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記税率を用いて、前記各顧客の納税予定額を算出し、算出した前記納税予定額を、前記各顧客の顧客識別情報と関連付けて前記設定情報データべースに記憶させる処理を実行する納税予定額算出処理手段と、
顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置、または金融商品の売買取引システムを含む他のシステムから、顧客の口座からの出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記納税予定額および前記ロック期間を取得するとともに、前記出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記口座残高データべースに記憶された前記出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、前記出金要求信号の受信時が前記ロック期間中である場合には、前記出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、前記納税予定額未満になるか否かを判断し、前記納税予定額未満になる場合には、前記出金要求に係る金額のうち少なくとも前記納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行するロック実行処理手段と
を備えたことを特徴とする口座管理システム。
【請求項2】
前記設定情報データべースは、
前記税率、前記ロック期間、および前記納税予定額に加え、顧客の口座からの出金を制限するロックが有効であるか否かを示すロックフラグも、前記顧客識別情報と関連付けて記憶する構成とされ、
前記ロック実行処理手段は、
前記出金要求信号を受信したときに、前記設定情報データべースに記憶された前記ロックフラグを参照し、前記ロックフラグがロック有効を示す状態である場合にのみ前記ロック処理を実行する構成とされ、
顧客若しくはその入力代行者の操作する前記端末装置からの顧客によるロック解除の要求信号を受信した場合に、ロック解除要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記ロックフラグを、ロック解除を示す状態に変更する処理を実行するロック解除処理手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の口座管理システム。
【請求項3】
前記納税予定額算出処理手段は、
税務上の会計期間の終了後に前記納税予定額を算出する処理に加え、会計期間の期中の少なくとも1時点でも、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記取引履歴データベースに記憶された当該時点までの前記取引履歴データ、および前記各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記税率を用いて、当該時点での前記各顧客の納税予定額を仮算出し、仮算出した前記納税予定額を、前記各顧客の顧客識別情報と関連付けて前記設定情報データべースに記憶させる処理を実行する構成とされ、
前記ロック実行処理手段は、
会計期間の期中に、前記出金要求信号を受信したときにも、前記ロック処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の口座管理システム。
【請求項4】
前記設定情報データべースは、
分割納税が可能な税金について分割納税をする顧客により入力された当該税金の各期の支払用の資金確保のための各分割払い用ロック期間、および各期の支払用の資金として確保しておくことが必要な各納税予定額残額を、前記顧客識別情報と関連付けて記憶する構成とされ、
前記納税予定額算出処理手段は、
前記分割納税が可能な税金について、前記納税予定額を均等または略均等に段階的に減らしていくことにより前記各納税予定額残額を算出し、算出した前記各納税予定額残額を、前記顧客識別情報と関連付けて前記設定情報データべースに記憶させる構成とされ、
前記ロック実行処理手段は、
前記出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記各納税予定額残額および前記各分割払い用ロック期間を取得するとともに、前記出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記口座残高データべースに記憶された前記出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、前記出金要求信号の受信時が前記分割払い用ロック期間中である場合には、前記出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、前記納税予定額残額未満になるか否かを判断し、前記納税予定額残額未満になる場合には、前記出金要求に係る金額のうち少なくとも前記納税予定額残額への浸食相当分について出金を制限するロック処理も実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の口座管理システム。
【請求項5】
前記口座残高データべースに残高が記憶されている前記顧客の口座が、税金の引き落とし用の口座でない場合には、前記設定情報データべースに記憶された前記ロック期間の終了時点で、前記設定情報データべースに記憶された前記納税予定額を、管理対象の前記顧客の口座から税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を実行する振込処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の口座管理システム。
【請求項6】
前記口座残高データべースに残高が記憶されている前記顧客の口座が、税金の引き落とし用の口座でない場合には、前記設定情報データべースに記憶された前記各分割払い用ロック期間の終了時点で、前記設定情報データべースに記憶された前記納税予定額から算出した各分割納税予定額、または前記設定情報データべースに記憶された各分割納税予定額を、前記顧客の口座から税金の引き落とし用の口座へ振り込む処理を実行する振込処理手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の口座管理システム。
【請求項7】
各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記納税予定額を取得するとともに、前記各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記口座残高データべースに記憶された前記各顧客の口座の残高を取得し、前記各顧客の口座の残高が前記納税予定額よりも少ない場合には、納税用の資金が不足している旨を通知するアラート通知用データを、ネットワークを介して前記各顧客またはその入力代行者の操作する端末装置へ送信する処理を実行するアラート通知処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の口座管理システム。
【請求項8】
金融機関に開設された顧客の口座の残高を管理する処理を実行するコンピュータにより構成された口座管理システムで実行される口座管理処理方法であって、
顧客の口座の残高を、顧客識別情報と関連付けて口座残高データべースに記憶させ、
顧客により入力された少なくとも1種類の税金の税率、顧客により入力された前記少なくとも1種類の税金の支払用の資金確保のためのロック期間、および前記少なくとも1種類の税金の支払用の資金として確保しておくことが必要な納税予定額を、前記顧客識別情報と関連付けて設定情報データべースに記憶させ、
顧客の金融商品に関する取引についての損益を含む取引履歴データを、前記顧客識別情報と関連付けて取引履歴データベースに記憶させ、
納税予定額算出処理手段が、各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記取引履歴データベースに記憶された前記取引履歴データ、および前記各顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記税率を用いて、前記各顧客の納税予定額を算出し、算出した前記納税予定額を、前記各顧客の顧客識別情報と関連付けて前記設定情報データべースに記憶させる処理を実行し、
ロック実行処理手段が、顧客若しくはその入力代行者の操作する端末装置、または金融商品の売買取引システムを含む他のシステムから、顧客の口座からの出金要求信号を受信したときに、出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記設定情報データべースに記憶された前記納税予定額および前記ロック期間を取得するとともに、前記出金要求に係る顧客の顧客識別情報に関連付けられて前記口座残高データべースに記憶された前記出金要求に係る顧客の口座の残高を取得し、前記出金要求信号の受信時が前記ロック期間中である場合には、前記出金要求に係る顧客の口座の残高から出金要求に係る金額を減じて得られる金額が、前記納税予定額未満になるか否かを判断し、前記納税予定額未満になる場合には、前記出金要求に係る金額のうち少なくとも前記納税予定額への浸食相当分について出金を制限するロック処理を実行する
ことを特徴とする口座管理処理方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の口座管理システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−215730(P2011−215730A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81333(P2010−81333)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(399100673)株式会社大和証券グループ本社 (139)