口腔衛生用具
手動若しくは電動歯ブラシ又はリフィルなどの口腔衛生用具は、基部と、基部から延びてエラストマー剛毛領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む。その領域は、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第1のエラストマー要素とは異なる、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含むことができる。基部から延びるエラストマー要素は、磨耗が軽減された改善された清掃のための、約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有するものなど、「鋭い」、しかしコンプライアントな、多くのエッジを画定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エラストマー要素を含む口腔衛生用具に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの人が、口内の細菌によって引き起こされる虫歯及び/若しくは歯肉炎を患っているか、又は患ったことがある。その結果、口内の細菌性歯垢の量を低減することが、長い間、口腔ケア分野で働く人々の目標となってきた。口内の歯垢を最小限に抑える一般的な方法は、歯を定期的にブラッシング及びフロッシングすることである。口内洗浄剤が、しばしば、フロッシング及びブラッシングを補強するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
頻繁なブラッシングの恩恵は、場合によっては、炎症、軟組織及び硬組織の磨耗や、更には歯肉の退縮など、有害な副次的影響を伴うおそれがある。これらの副次的影響は、1つには、ユーザーが歯ブラシによって自身の歯肉に過剰な力を加える結果として起こる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、エラストマー要素を含む口腔衛生用具、及びそれらの製造方法に関する。
【0005】
本明細書に記載の口腔衛生用具は、炎症及び/又は磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントなエラストマー材料から形成される、多数の「鋭い」エッジ(小さな先端半径を有するエッジ)を含む多くのエラストマー要素を含むことができる。用具は、数個から多数個の異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる形状の要素を含むことができる。各要素は、同一の材料から形成することもでき、又は、各要素は、要素の領域全体が数個から多数個の異なる材料、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、若しくは更に10個以上もの異なる材料を含むように、異なる材料から形成することもできる。そのような構造によって提供される多くの異なるテクスチャは、従来の植毛用具を思わせる感触を提供することができ、新規の用具が容易に消費者の日常に受け入れられるようにしている。
【0006】
一態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む、歯ブラシ又は歯ブラシリフィルなどの口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、それぞれが1つ又はそれより多くのエッジを画定する複数のエラストマー要素とを含む。約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数は、約250を超える。
【0007】
他の態様では、本開示は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む、口腔衛生用具を特徴とする。領域は、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第1のエラストマー要素とは異なる、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含む。所望により、約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数は、約250を超える。
【0008】
他の態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む。領域は、第1のエラストマー材料と、第1のエラストマー材料を取り囲む第2のエラストマー材料とを含む、第1のエラストマー要素を含む。例えば、比較的軟質のエラストマー材料とすることのできる第2のエラストマー材料が、より硬質のエラストマー材料とすることのできる第1のエラストマー材料を完全に取り囲むことができる。
【0009】
他の態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む。領域は、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含む。第1のエラストマー要素は、第1の摩擦係数を有しており、第2のエラストマー要素は、第1の摩擦係数とは異なる第2の摩擦係数を有する。例えば、第1のエラストマー要素は、ヒトの唾液及び原子間力顕微鏡を使用して測定したときに、第2のエラストマー要素よりも低い湿潤摩擦係数を有することができる。より低い摩擦係数は、歯の間で摺動するのに有利であり得、より高い摩擦係数は、歯を摺擦するのに有利であり得る。
【0010】
一部の実装形態では、エッジの総数は、約300よりも多く、例えば、約400よりも多く、500よりも多く、600よりも多く、700よりも多く、800よりも多く、900よりも多く、1000よりも多く、1250よりも多く、1500よりも多く、又はそれ以上、例えば、約2000若しくは3000よりも多い。鋭いエッジは、用具の清掃能力を高めることができるが、エッジはエラストマー材料から形成されるので、それらはまた一般に組織に優しい。
【0011】
一部の実装形態では、例えば、エッジの露出を最大にするために、あるエッジの、その最近隣までの要素内及び/又は要素間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)以上、例えば、0.038cm(0.015インチ)よりも大きい、0.051cm(0.020インチ)よりも大きい、0.064cm(0.025インチ)よりも大きい、0.076cm(0.030インチ)よりも大きい、0.102cm(0.040インチ)よりも大きい、若しくは0.127cm(0.050インチ)以上、例えば、約0.152cm(0.060インチ)よりも大きい、0.191cm(0.075インチ)よりも大きい、0.216cm(0.085インチ)よりも大きい、0.254cm(0.10インチ)よりも大きい、0.318cm(0.125インチ)よりも大きい、0.381cm(0.150インチ)よりも大きい、0.445cm(0.175インチ)よりも大きい、又は更に0.508cm(0.20インチ)よりも大きい。
【0012】
一部の実施形態では、1つ又はそれより多くのエラストマー要素は、延在方向に走る長軸を有しており、エッジは、延在方向に沿って画定される。他の実施形態では、1つ又はそれより多くのエラストマー要素は、延在方向に走る長軸を有しており、エッジは、延在方向に対して垂直な方向に画定される。更に他の実施形態では、エッジは、延在方向に走る長軸に沿って、及びその長軸に対して垂直に画定される。
【0013】
一般に、エラストマー要素は、口腔の外傷を最小限に抑えながら、清掃及び/又は歯肉マッサージを最大にするように構成される。
【0014】
複数のエラストマー要素には、例えば、形状、サイズ、長さ/高さ、及び/又は材料が異なる、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は更に10個もの異なるエラストマー要素を含めることができる。
【0015】
例えば、一部の実装形態では、すべての要素は、同一の形状を有することができるが、それぞれ、異なる材料及び/又は異なる材料硬度から形成することもできる。
【0016】
一部の実装形態では、複数のエラストマー要素には、例えば、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含めることができる。複数のエラストマー要素には、例えば、更に、第3のエラストマー材料を含む第3のエラストマー要素、第4のエラストマー材料を含む第4のエラストマー要素、第5のエラストマー材料を含む第5のエラストマー要素、又は更に、第6のエラストマー材料を含む第6のエラストマー要素をも含めることができる。
【0017】
本明細書に記載のエラストマー要素のうちのいずれか1つ又はそれより多くは、例えば、約8ショアA〜約95ショアA、例えば、約35ショアA〜約92ショアAなどのショアA硬度を有することができる。
【0018】
本明細書に記載のいずれのエラストマー要素も、熱可塑性又は架橋材料(熱硬化性材料)から形成することができる。例えば、エラストマーは、1つ又はそれより多くのスチレン系コポリマー、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン、ポリエーテル−アミド、ポリエーテル−ポリエステル、又はこれらのエラストマー及び他のエラストマーの混合物とすることができる。
【0019】
本明細書に記載のいずれのエラストマー材料も、1つ又はそれより多くの充填剤を含むことができる。例えば、充填剤は、油、例えば、鉱油、研磨剤、粘着付与剤、可塑剤、若しくはこれら及び更に他のものの混合物とすることもでき、又はこれらを含むこともできる。
【0020】
例えば、いずれのエラストマー要素も、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の第1の最大横断面厚さを有することができる。一部の実装形態では、要素はまた、約0.008cm(0.003インチ)〜0.254cm(0.10インチ)の、第1の寸法に垂直な第2の最大横方向寸法を含む。
【0021】
要素の形状は、限定されない。例えば、いずれの要素も、リング、突起、フィン、ラダー、カップ、又はカーテンの形態とすることができる。
【0022】
例えば、いずれのエラストマー要素も、全体的に又は実質的に円形、三角形、長方形、正方形、又は正弦波の形態の横断面(延在方向に垂直に得られる)を有することができる。
【0023】
本明細書に記載のいずれの口腔用具もまた、基部から延びる、1つ又はそれより多くの束になった剛毛など、1つ又はそれより多くの剛毛を更に含むことができる。
【0024】
本明細書に記載のいずれの口腔用具も、手動又は電動歯ブラシの形態とすることができる。例えば、一部の有利な実装形態では、用具は、ヘッド部分及び/又は基部部分と通信する電気駆動式モータなどによってヘッド部分及び/又は基部部分が振動(vibrated)及び/又は周期的振動(oscillated)するように構成される、電動製品である。
【0025】
本明細書で使用するとき、「エッジ」は、2つの表面が交わる線、又は表面が終わる境界である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」は、破断点伸びが約50パーセントを超え、ショアA硬度が約97未満の材料である。
【0027】
諸態様及び/又は諸実装形態は、以下の利点のうちのいずれか1つ又はそれより多くを有することがある。本明細書に記載の口腔衛生用具は、磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントな材料から形成される、多数の「鋭い」エッジ(小さな先端半径を有するエッジ)を含むエラストマー要素を含むことができる。エッジは、先端上でエラストマー要素に沿って画定することができ、その先端において及びその側部に沿って清掃する清掃構造を提供する。用具は、いくつかの異なる材料、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる材料から所望により形成される、いくつかの異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる形状の要素を含むことができる。そのような構造は、ユーザーの口内で多くの異なるテクスチャを提供することができる。提供される多くの異なるテクスチャは、従来の植毛用具を思わせるものとなり、新規用具が容易に消費者の日常に受け入れられるようにしている。各要素の幾何学構造及びテクスチャは、ブラッシング領域内の場所について最適化することができ、それがマッサージ及び/又は清掃の改善をもたらすことができる。口腔衛生用具は、研磨及び清掃の改善のために、練り歯磨きなど、清掃及び研磨材料とともに相乗的に作用することができる。例えば、カップの形状のエラストマー要素は、研磨剤を歯の表面に保持することによって研磨及び/又はホワイトニングを改善することができる。本明細書に記載の用具は、比較的容易に成形できる、例えば、注型若しくは射出成形、又は押出成形できる、エラストマー要素のみを有することができる。エラストマー要素は、コンプライアントな性質であるので、清掃部位に加わる応力を自己調節する傾向にあり、それが、例えば歯肉退縮をまねくおそれのある、過剰なブラッシング力によるダメージを最小限に抑えることができる。口腔衛生用具、例えば歯ブラシが、それらのヘッド内にエラストマー要素のみを含むときには、それらの口腔衛生用具は、完全植毛された(fully bristled)ブラシと比較して、同等の(又は更に良好な)歯垢除去をもたらすことができ、しかも、歯肉マッサージが改善され、軟組織及び硬組織磨耗が少ない。
【0028】
いくつかの実施形態の詳細について、添付図面及び以下の説明で述べる。本開示の他の特徴及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】ブラシリフィルの斜視図。
【図1B】図1Aのリフィルのヘッド部分の拡大斜視図。
【図1C】図1Aのリフィルのヘッド部分の拡大側面図。
【図2】図1Aに示される円形横断面を有する細長い突起の領域の拡大斜視図。
【図3】図1Aに示されるリング構造の拡大斜視図。
【図4】図1Aに示される三角形横断面を有する細長い突起の領域の拡大斜視図。
【図5】図1Aに示されるカーテンの領域の拡大斜視図。
【図6A】図1Aに示されるラダーフィンの拡大斜視図。
【図6B】図1Aのレフィルのヘッドへのラダーフィンの取り付けを示す斜視図。
【図7】代替的なヘッドの斜視図。
【図8】代替的なヘッドの斜視図。
【図9】プロフィカップエラストマー要素の斜視図。
【図10】揺動するエラストマーのテクスチャ付きフィン要素の斜視図。
【図11】図9及び図10の要素を用いるブラシヘッドの最上部から得られる写真(photograph)。
【図12】図9及び図10の要素を用いる別のブラシヘッドの斜視図。
【図13】スリットカーテン要素を形成するための切り分けを示す、エラストマーカーテン要素の斜視図。
【図14】図13のスプリットカーテン要素を含むブラシヘッドの斜視図。
【図15】代替的なフィン/チューブ要素の斜視図。
【図16】代替的なエラストマー要素の斜視図。
【図17】2材料エラストマー要素の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
多くのエラストマー要素を含む、歯ブラシなどの口腔衛生用具について記載する。用具は、磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントなエラストマー材料から形成される、多数の「鋭い」エッジを含むことができる。用具は、ユーザーの口内で多くの異なるテクスチャを提供でき、従来の植毛用具を思わせるものとなり、新規用具が容易に消費者の日課に受け入れられるようにしている。
【0031】
一例として、図1A〜1Cを参照すると、電気エネルギーによって駆動されるような電動歯ブラシ用のリフィル10は、基部14と、基部から延びてエラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分12を含む。リフィル全体そのもの及び/又はヘッド部分12は、ユーザーの口腔に強力な清掃及び/又はマッサージ作用を提供するために、周期的振動(oscillated)、例えば、回転方向に周期的振動、及び/又は振動(vibrated)するように構成することができる。図1A〜1Cに示される特定の実装形態では、エラストマー要素領域は、(1)それぞれの横断面が実質的に円形であり、それらの長さに沿ってそれぞれの末端部18へとテーパする、棒状突起の形態をした複数の第1のエラストマー要素16を含む、部分11と;(2)同心円状リングの形態をした第2のエラストマー要素20と;(3)それぞれ横断面が実質的に三角形の突起の形態をした複数の第3のエラストマー要素22をそれぞれが含む、2つの部分21及び23と;(4)カーテン又は波状壁の形態をした複数の第4のエラストマー要素24をそれぞれが含む、2つの部分25及び26と;(5)それらの側部の長さに沿ってラダー状の外観及びテクスチャを有するフィン30の形態をした第5のエラストマー要素をそれぞれが含む、4つの部分27、29、31、及び33(この場合、各部分が3つの要素を含む)と、を含む。
【0032】
図2〜6は、リフィル10のエラストマー要素をより詳細に示す。
【0033】
図2を参照すると、部分11(リフィル10から分解された状態で示されている)は、突起16がそこから延びる基部部分31を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起16は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、多数の「鋭い」エッジ32を歯の表面に提供するように構成される。突起16は、図2では実質的に円形の横断面を有するものとして示されているが、三角形、正方形、五角形、六角形、又は八角形など、様々な断面で形成することもできる。
【0034】
図3を参照すると、同心円状エラストマーリング20は、歯及び歯肉に2つのエッジ34及び34’しか提供せず、したがって、一般に、特に歯間などの到達困難な場所では、歯垢除去要素ほど効率的ではない(要素16と比べたとき)。それでも、リング20は、ブラシヘッド内の他の要素に適切な構造的支持及び安定性をもたらし、かつ、良好な頬側面清掃に加えて強力なマッサージ効果をもたらす。更に、エラストマー要素20は、歯磨き粉及び練り歯磨きなどの歯清掃製剤とともに、歯の表面に対して様々な製剤を保持又は収容する働きをすることによって相乗的に作用することができる。この作用は、特定の製剤の研磨及び/又はホワイトニング効果を改善することができる。
【0035】
図4を参照すると、部分21(リフィル10から分解された状態で示されている)は、エラストマー突起22がそこから延びる基部部分38を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、(望むなら)中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起22(突起16とほぼ同様)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、エッジ36、36’、及び36”などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。
【0036】
図5を参照すると、部分26(リフィル10から分解された状態で示されている)は、エラストマー突起24がそこから延びる基部部分42を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、(望むなら)中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起24(突起16及び22とほぼ同様)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、エッジ50、50’、及び50”などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。
【0037】
図6Aを参照すると、エラストマー要素30(リフィル10から分解された状態で示されている)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、各要素30の末端部において画定されるエッジ52、並びに要素30の側面58及び60に沿って楔形機構によって画定されるエッジ53〜57などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。エラストマーフィン要素30は、少なくとも2つの機能を果たす。第1に、それらは、それらの多数の「鋭い」エッジによって優れた清掃力を提供する。第2に、それらは、清掃及び感覚的な手掛かりの両方に関して、歯の間における位置決め機能を果たす。
【0038】
ここで、より一般的に、使用される形状、「鋭い」エッジの総数、各要素を形成するために使用される材料、各要素を形成するために使用されるエラストマーの硬度、各要素の基部からの延びの長さ、及びエラストマー要素の寸法は、歯肉上の軟組織など、口の組織の外傷を最小限に抑えながら、口腔衛生用具の清掃及びマッサージ作用を最大にするように選択される。
【0039】
各エラストマー要素は、独自の3次元形状を有することができるのみでなく、異なるエラストマー材料から形成することもできる。例えば、各エラストマー要素は、熱可塑性エラストマー又は架橋エラストマーから形成することができる。
【0040】
エラストマーの例としては、スチレン系ブロックコポリマー、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリウレタン、例えば、商品名ペレタン(PELLETHANE(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテル又はポリエステル系ポリウレタン、シリコーン、商品名ペバックス(PEBAX(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテルアミド、商品名ハイトレル(HYTREL(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテルポリエステル、又はこれらのエラストマー若しくは他のエラストマーのうちのいずれかの混合物が挙げられる。一部の実装形態では、エラストマーを非エラストマーと見なされる様々な熱可塑性物質とブレンドして、エラストマーブレンドを提供することができる。例えば、ポリプロピレンをSEBSなどのスチレン系エラストマーと混合して、エラストマーブレンドを提供することができる。
【0041】
例えば、本明細書に記載のエラストマー要素を形成するために使用されるエラストマー材料は、約6ショアA〜約95ショアA、例えば、約10ショアA〜約93ショアA、又は約35ショアA〜約92ショアAのショアA硬度を有することができる。一部の実装形態では、要素を形成するために使用されるエラストマー材料は、約95ショアA未満、例えば、85ショアA未満、75ショアA未満、65ショアA未満、55ショアA未満、45ショアA未満、35ショアA未満、25ショアA未満、15ショアA未満、又は更に10ショアA未満のショアA硬度を有する。
【0042】
エラストマー要素を形成するために使用されるいずれのエラストマー材料も、1つ又はそれより多くの充填剤で充填することができる。充填剤の例としては、油、例えば鉱油、研磨剤、例えば、アルミナ、シリカ、若しくはカオリン、粘着付与剤、例えば、ロジン、可塑剤、又はこれらの充填剤若しくは他の充填剤のいずれかの混合物が挙げられる。
【0043】
図1Aのリフィルヘッドは異なる5つの3次元形状のエラストマー要素を含むが、他の多くの構成が可能である。例えば、より一般的には、歯ブラシ(手動若しくは電動)又はリフィルなどの口腔衛生用具は、数個から多数個の異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる3次元形状の要素を含むことができる。望むなら、各エラストマー要素は、同一又は異なる材料で作製することができる。一部の実装形態では、各エラストマー要素は、異なる材料から形成される。一部の実装形態では、エラストマー要素領域内のエラストマー要素は、いくつかの異なる材料から、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる材料から形成することができる。異なる形状及び材料の組み合わせは、例えば、ユーザーの口内に従来の植毛用具を思わせるものとなり得る多くの異なるテクスチャを提供し、新規用具が容易に消費者の日課に受け入れられるようにしている。
【0044】
一般に、口腔衛生用具のエラストマー要素領域内のエラストマー要素は、約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する合計250個を超えるエッジを画定する。「鋭い」エッジの数は、光学コンパレータを用い、この条件を満たすエッジの数を手作業で数えることによって決定することもでき、あるいは、エッジの数は、写真を撮影し、オプティマス(OPTIMAS)などの画像解析ソフトウェアを用いてこの条件を満たすエッジの数を数えることによって、決定することもできる。更に他の手順では、用具を3次元スキャンして3次元データベースを作成することができ、次いで、データベース、例えばIGESファイルを、この条件を満たすエッジについて解析することができる。一部の実装形態では、更に多くの合計エッジが存在する。例えば、エッジの総数は、約300よりも多い、例えば、約400よりも多い、約500よりも多い、約600よりも多い、約700よりも多い、約800よりも多い、約900よりも多い、約1000よりも多い、約1250よりも多い、約1500よりも多い、又はそれ以上、例えば、約2000若しくは3000よりも多いものとすることができる。一般に、エラストマーエッジは、それらがコンプライアントな性質であるので、比較的硬質のプラスチック剛毛エッジ(剛毛先端)と1対1基準で比較したときには、歯垢除去効果が低い。それでも、本明細書に記載のエラストマー要素から作られる口腔衛生用具は、一般に、清掃エッジの数、特に、離間された清掃エッジの数ゆえに、及び、硬質剛毛エッジとは異なりエラストマー要素がそれらの側部に加えてそれらの先端から清掃できるので、硬質剛毛の歯ブラシと同程度に、又は硬質剛毛の歯ブラシよりも効果的である。
【0045】
一部の実装形態では、1つ又はそれより多くのエッジは、それらが口腔の表面に接触できるように、実質的に露出している。エッジの露出を制御するための一方法は、要素内又は要素間のエッジ間隔を制御することである。一部の実施形態では、エッジの、その最近隣までの要素内及び/又は要素間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)以上、例えば、0.038cm(0.015インチ)よりも大きい、0.051cm(0.020インチ)よりも大きい、0.064cm(0.025インチ)よりも大きい、0.076cm(0.030インチ)よりも大きい、0.102cm(0.040インチ)よりも大きい、若しくは0.127cm(0.050インチ)以上、例えば、約0.152cm(0.060インチ)よりも大きい、0.191cm(0.075インチ)よりも大きい、0.216cm(0.085インチ)よりも大きい、0.254cm(0.10インチ)よりも大きい、0.318cm(0.125インチ)よりも大きい、0.381cm(0.150インチ)よりも大きい、0.445cm(0.175インチ)よりも大きい、又は更に0.508cm(0.20インチ)よりも大きいものとすることができる。
【0046】
要素のアグレッシブ性を制御するための一方法は、それらの横断面を制御することである。一部の実装形態では、本明細書に記載のいずれのエラストマー要素も、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の第1の最大横断面厚さを有することができる。一部の実装形態では、エラストマー要素はまた、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の、第1の方向に垂直な第2の最大横方向寸法を有する。
【0047】
可撓性を制御する、したがって要素のアグレッシブ性を制御する一方法は、要素がそこから延びる基部の最上面からの、それらの要素の延びの最大長さを制御することである。例えば、延びの最大長さは、約0.508cm(0.20インチ)〜約1.91cm(0.75インチ)、例えば、約0.64cm(0.250インチ)〜約1.27cm(0.50インチ)とすることができる。
【0048】
ここで図1A〜1Cに戻って参照すると、ここに示される特定の実施形態では、0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有するエッジの数は、約756個であり、要素の端部の表面積は、ほぼ同じ公称基部面積を有する植毛ヘッドの場合の約5〜15倍である。リフィル10の各要素は、油充填SEBS(oil-filled SEBS)、熱可塑性ポリエーテル−ポリウレタン、又はシリコーンから形成される。第1、第2、第3、第4、及び第5の要素16、20、22、24、及び30のエラストマーの硬度は、それぞれ、65ショアA、50ショアA、90ショアA、40ショアA、及び82ショアAである。特に図1Cを参照すると、第1、第2、第3、第4、及び第5の要素16、20、22、24、及び30は、基部14の最上面14’から、それぞれ距離23.5cm(9.250インチ)、0.632cm(0.249インチ)(H2)、0.714cm(0.281インチ)(H3)、0.599cm(0.236インチ)(H4)、及び0.732cm(0.288)(H5)だけ延びる。
【0049】
ここで図2及び図4に戻って参照すると、一部の実施形態では、要素16又は22の円又は内接円の直径は、0.051cm(0.020インチ)、0.076cm(0.030インチ)、又は更に0.102cm(0.040インチ)ほどの大きさとすることができる。一部の実装形態では、直径は、0.051cm(0.020インチ)以下である。一部の実施形態では、要素間の中心間間隔は、約0.064cm(0.025インチ)〜約0.102cm(0.040インチ)にわたる。一部の実施形態では、エッジ半径は、清掃を最大にするために0.008cm(0.003インチ)未満で維持され、一方、材料硬度は、優しさを維持するために約40ショアA〜約90ショアAで維持される。一部の実装形態では、要素16又は22は、中実又は中空の支持構造から延びる。
【0050】
ここで図3に戻って参照すると、一部の実施形態では、リング要素20は、約0.038cm(0.015インチ)〜約0.127cm(0.050インチ)、例えば、約0.051cm(0.020インチ)〜約0.102cm(0.040インチ)の壁厚を有する。一部の実装形態では、要素20を形成するために使用される材料の硬度は、約15ショアA〜約60ショアAである。一部の実施形態では、リングは、(図示されるように)開口しているが、他の実施形態では、リングは、閉じたエラストマー表面が組織及び歯の表面に向くように、その開口端を下にして構成することができる。
【0051】
ここで図5に戻って参照すると、一部の実施形態では、波状壁要素24は、約0.013cm(0.005インチ)〜約0.076cm(0.030インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.051cm(0.020インチ)の振幅を有することができる。一部の実装形態では、ピーク間距離は、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)、例えば、約0.038cm(0.015インチ)〜約0.152cm(0.060インチ)であってよい。例えば、壁要素は、約10ショアA〜約80ショアA、例えば、約20〜約60ショアAの硬度を有するエラストマーから形成することができる。
【0052】
ここで図6Aに戻って参照すると、一部の実施形態では、エラストマーのテクスチャ付きフィン要素30は、例えば、3/1アスペクト比をもつ、長方形断面を有することができる。例えば、小さい方の寸法は、0.076cm(0.030インチ)以下とすることができる。例えば、楔形要素間の中心間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)とすることができ、楔形要素間の最大深さは、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)とすることができる。例えば、要素を形成するために使用される材料の硬度は、約50ショアA〜約95ショアAとすることができる。
【0053】
本明細書に記載のエラストマー要素は、様々な技術を使用して形成することができる。例えば、要素は、押出成形し、射出成形し、及び/又は注型することができる。押出成形は、一部の実施形態では、その速度が速く、要素に分子配向を付与することができ、それが耐磨耗性を高めることができるので、有利であり得る。他方、射出成形は、多くの異なる形状及び構成を提供する多用途性があるので、他の実施形態で有利であり得る。
【0054】
本明細書に記載のエラストマー要素は、様々な技術を使用して用具へと組み立てることができる。例えば、それらは、基部などの基材上にオーバーモールドすることもでき、又は接着剤若しくは溶媒結合を用いて組み立てることもできる。要素はまた、それらをプラットフォームに圧入できるように形成することもできる。オーバーモールドは、その速度が速く、大規模製造プロセスへの一般的適用性があるので、一部の実装形態では有利であり得る。
【0055】
図2、図4、及び図5からわかるように、要素群は、平らな上面14’を形成するように相補的なヘッド部分に例えば接着剤又は溶媒を用いて結合できる基部から延びることができる。図6Bからわかるように、要素は、それらの要素をブラシヘッドの相補的な部分59に圧入できるように形成することができる。圧入などは、所望により、接着剤を適用することによって永久的にすることもできる。これらの種類の技術は、有利には、実験室内で消費者によって試験できるプロトタイプを迅速に作製するために用いることができる。
【0056】
他の多くのブラシヘッド構成及び/又はエラストマー要素が可能である。
【0057】
例えば、図7は、5つの異なる形状のエラストマー要素72、74、76、78、及び80を含む、代替的なブラシヘッド70を示す。図1Aのブラシヘッドとほぼ同様に、ブラシヘッド70は、環状リング74によって取り囲まれた、円形横断面を有する細長い突起を含む内側領域を含む。また、図1Aに示されるヘッドとほぼ同様に、外側領域は、三角形状の細長い突起76と、波状カーテン又は壁要素78と、テクスチャ付きフィン要素80とを含む。図1Aのヘッドと比較して、図7のヘッドは、より多くのカーテン要素(8個に対して12個)と、より少ないテクスチャ付きフィン要素(12個に対して8個)とを含む。
【0058】
図8は、5つの異なる形状のエラストマー要素92、94、96、98、及び100を含む、他の代替的なブラシヘッド80を示す。図1A及び図7のブラシヘッドとほぼ同様に、ブラシヘッド90は、環状リング94によって取り囲まれた、円形横断面を有する細長い突起を含む内側領域を含む。また、図1A及び図7に示されるヘッドとほぼ同様に、外側領域は、三角形状の細長い突起96と、波状カーテン又は壁要素98と、テクスチャ付きフィン要素100とを含む。図1Aのヘッドと比較して、図8のヘッドは、より多くのカーテン要素(8個に対して12個)と、より少ない三角形断面の細長い突起(44個に対して26個)とを含む。
【0059】
図9及び図10は、いくつかの代替的なエラストマー要素を示しており、図11及び図12は、図9及び図10の要素を含むヘッドの実施形態を示す。具体的には、図9は、清掃及び研磨のために歯を受け入れるように構成された開口端104を有するエラストマープロフィカップ要素102を示す。要素102は、いくつもの清掃機構104及び106と、及び更に、いくつものエッジとを含む。図10は、基部部分114から延びて薄い末端部116へとテーパする本体部分112を含む、エラストマーのテクスチャ付き枢動フィン要素110を示す。本体部分は、複数のテクスチャリッジ120を含むテクスチャ付き要素118を備える。基部部分114は、要素を歯ブラシなどの口腔衛生用具に固定できるようにするスナップ122に連結される。揺動又は枢動する束及び要素については、ブラウン(Braun)らの米国特許第6,993,804号及び同第6,553,604号、並びにチェンバイヌ(Chenvainu)の公開米国特許出願第2005/0060822号公報に記載されており、それらそれぞれの開示の全体を参考として引用し、本明細書に組み込む。図11は、エラストマーカーテン要素132及びエラストマーロッド要素134とともに、図9のプロフィ要素104及び図10の枢動要素110を組み込んだ、電動リフィル130を示す。図12は、ロッド要素134、丸み付けされた三角形断面を有するエラストマー突起141、及びエラストマーカーテン又は壁要素142とともに、図9のプロフィ要素104及び図10の揺動要素を組み込んだ、ブラシヘッド140を示す。
【0060】
本明細書に記載されている要素のいずれも、いくつもの「鋭い」エッジとともにいくつもの独立した要素を作り出すように、スリットを入れることができる。ここで図13を参照すると、波状カーテンは、6個の独立した要素154、155、156、156、158、及び160を含むエラストマースリットカーテン要素152を作り出すように示された線に沿ってスリットを入れることができる。図14は、そのようなスピットカーテン(spit curtain)を備えたブラシヘッド170を示す。
【0061】
ここで図15を参照すると、使用できる他の種類のエラストマー要素は、管状フィン要素172である。要素は、中空の内部174と、管状体176と、管状体の閉じた最上面182から延びて、薄くなった末端部184へとテーパする、フィン180とを含む。
【0062】
ここで図16を参照すると、使用できる更に他の種類のエラストマー要素は、中央のシャフト192と、シャフトから外側に延びる複数の突起194とを含む、ツリー型要素190である。ここに示される実施形態では、各突起の長軸は、シャフトの長軸に概ね垂直である。他の実施形態では、1つ又はそれより多くの突起の長軸は、シャフトの長軸に対して90度以外の角度を成す。
【0063】
その他の実施形態
多数の実施形態が説明された。しかし、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更が行われてもよいと理解されるであろう。
【0064】
例えば、いずれの口腔衛生用具も、例えば一端が開口した、中空のエラストマー管状構造を含むことができる。例えば、管状構造は、円形横断面を有することができる。例えば、中空の管状構造は、約0.013cm(0.005インチ)〜約0.051cm(0.020インチ)、例えば、0.020cm(0.008インチ)〜約0.038cm(0.015インチ)の壁厚を有することができる。チューブの材料硬度は、例えば、約30ショアA〜約85ショアA、例えば約40ショアA〜約80ショアAとすることができる。
【0065】
電動歯ブラシの形態の諸実施形態について記載したが、口腔衛生用具には他の形態も可能である。例えば、用具は、手動歯ブラシの形態とすることができる。
【0066】
エラストマー要素のみを含む諸実施形態について記載したが、エラストマー剛毛に加えて、ナイロン、例えばナイロン6、12、又はポリエステルから形成されるような剛毛を含む諸実施形態も可能である。
【0067】
要素がその断面全体にわたって単一の材料から形成される諸実施形態について記載したが、一部の実施形態では、諸要素は、単一の材料よりも多い、例えば、2つ、3つ、又は更に4つもの異なる材料、例えば、要素の層など、不連続部分に配置された異なる材料から形成される。例えば、要素の中央部分は、第1の硬度を有する第1の材料から形成することができ、口腔組織及び/又は歯に接触する部分など、要素の外側部分は、第1の硬度よりも高い又は低い第2の硬度を有する第2の材料から形成することができる。より軟質の材料210がより硬質の材料212を取り囲む実装形態が、図17に示されている。例えば、第1の材料は、約75ショアAの硬度を有することができ、第2の材料は、約30ショアAの硬度を有することができる。
【0068】
要素のうちのいくつかは、ヒトの唾液で濡れた状態で原子間力顕微鏡を使用して測定したときに、異なる摩擦係数を有することができる。例えば、要素のうちのいくつかは、濡れたときに例えば0.5〜約0.9の比較的高い摩擦係数を有するエラストマーから形成することができ、他のものは、例えば0.05〜約0.3の比較的低い摩擦係数を有することができる。高い摩擦係数は、例えば、要素がそれから形成されるエラストマーにロジンを加えることによって得ることができ、低い摩擦係数は、例えば、要素がそれから形成されるエラストマーに油を加えることによって得ることができる。低い係数は、歯の間で滑動するのに有利であり得、高い摩擦係数は、歯を摺擦するのに有利であり得る。
【0069】
更に他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。
【技術分野】
【0001】
本開示は、エラストマー要素を含む口腔衛生用具に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの人が、口内の細菌によって引き起こされる虫歯及び/若しくは歯肉炎を患っているか、又は患ったことがある。その結果、口内の細菌性歯垢の量を低減することが、長い間、口腔ケア分野で働く人々の目標となってきた。口内の歯垢を最小限に抑える一般的な方法は、歯を定期的にブラッシング及びフロッシングすることである。口内洗浄剤が、しばしば、フロッシング及びブラッシングを補強するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
頻繁なブラッシングの恩恵は、場合によっては、炎症、軟組織及び硬組織の磨耗や、更には歯肉の退縮など、有害な副次的影響を伴うおそれがある。これらの副次的影響は、1つには、ユーザーが歯ブラシによって自身の歯肉に過剰な力を加える結果として起こる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、エラストマー要素を含む口腔衛生用具、及びそれらの製造方法に関する。
【0005】
本明細書に記載の口腔衛生用具は、炎症及び/又は磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントなエラストマー材料から形成される、多数の「鋭い」エッジ(小さな先端半径を有するエッジ)を含む多くのエラストマー要素を含むことができる。用具は、数個から多数個の異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる形状の要素を含むことができる。各要素は、同一の材料から形成することもでき、又は、各要素は、要素の領域全体が数個から多数個の異なる材料、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、若しくは更に10個以上もの異なる材料を含むように、異なる材料から形成することもできる。そのような構造によって提供される多くの異なるテクスチャは、従来の植毛用具を思わせる感触を提供することができ、新規の用具が容易に消費者の日常に受け入れられるようにしている。
【0006】
一態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む、歯ブラシ又は歯ブラシリフィルなどの口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、それぞれが1つ又はそれより多くのエッジを画定する複数のエラストマー要素とを含む。約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数は、約250を超える。
【0007】
他の態様では、本開示は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む、口腔衛生用具を特徴とする。領域は、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第1のエラストマー要素とは異なる、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含む。所望により、約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数は、約250を超える。
【0008】
他の態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む。領域は、第1のエラストマー材料と、第1のエラストマー材料を取り囲む第2のエラストマー材料とを含む、第1のエラストマー要素を含む。例えば、比較的軟質のエラストマー材料とすることのできる第2のエラストマー材料が、より硬質のエラストマー材料とすることのできる第1のエラストマー材料を完全に取り囲むことができる。
【0009】
他の態様では、本開示は、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分を含む口腔衛生用具を特徴とする。ヘッド部分は、基部と、基部から延びる、エラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む。領域は、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含む。第1のエラストマー要素は、第1の摩擦係数を有しており、第2のエラストマー要素は、第1の摩擦係数とは異なる第2の摩擦係数を有する。例えば、第1のエラストマー要素は、ヒトの唾液及び原子間力顕微鏡を使用して測定したときに、第2のエラストマー要素よりも低い湿潤摩擦係数を有することができる。より低い摩擦係数は、歯の間で摺動するのに有利であり得、より高い摩擦係数は、歯を摺擦するのに有利であり得る。
【0010】
一部の実装形態では、エッジの総数は、約300よりも多く、例えば、約400よりも多く、500よりも多く、600よりも多く、700よりも多く、800よりも多く、900よりも多く、1000よりも多く、1250よりも多く、1500よりも多く、又はそれ以上、例えば、約2000若しくは3000よりも多い。鋭いエッジは、用具の清掃能力を高めることができるが、エッジはエラストマー材料から形成されるので、それらはまた一般に組織に優しい。
【0011】
一部の実装形態では、例えば、エッジの露出を最大にするために、あるエッジの、その最近隣までの要素内及び/又は要素間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)以上、例えば、0.038cm(0.015インチ)よりも大きい、0.051cm(0.020インチ)よりも大きい、0.064cm(0.025インチ)よりも大きい、0.076cm(0.030インチ)よりも大きい、0.102cm(0.040インチ)よりも大きい、若しくは0.127cm(0.050インチ)以上、例えば、約0.152cm(0.060インチ)よりも大きい、0.191cm(0.075インチ)よりも大きい、0.216cm(0.085インチ)よりも大きい、0.254cm(0.10インチ)よりも大きい、0.318cm(0.125インチ)よりも大きい、0.381cm(0.150インチ)よりも大きい、0.445cm(0.175インチ)よりも大きい、又は更に0.508cm(0.20インチ)よりも大きい。
【0012】
一部の実施形態では、1つ又はそれより多くのエラストマー要素は、延在方向に走る長軸を有しており、エッジは、延在方向に沿って画定される。他の実施形態では、1つ又はそれより多くのエラストマー要素は、延在方向に走る長軸を有しており、エッジは、延在方向に対して垂直な方向に画定される。更に他の実施形態では、エッジは、延在方向に走る長軸に沿って、及びその長軸に対して垂直に画定される。
【0013】
一般に、エラストマー要素は、口腔の外傷を最小限に抑えながら、清掃及び/又は歯肉マッサージを最大にするように構成される。
【0014】
複数のエラストマー要素には、例えば、形状、サイズ、長さ/高さ、及び/又は材料が異なる、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は更に10個もの異なるエラストマー要素を含めることができる。
【0015】
例えば、一部の実装形態では、すべての要素は、同一の形状を有することができるが、それぞれ、異なる材料及び/又は異なる材料硬度から形成することもできる。
【0016】
一部の実装形態では、複数のエラストマー要素には、例えば、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含めることができる。複数のエラストマー要素には、例えば、更に、第3のエラストマー材料を含む第3のエラストマー要素、第4のエラストマー材料を含む第4のエラストマー要素、第5のエラストマー材料を含む第5のエラストマー要素、又は更に、第6のエラストマー材料を含む第6のエラストマー要素をも含めることができる。
【0017】
本明細書に記載のエラストマー要素のうちのいずれか1つ又はそれより多くは、例えば、約8ショアA〜約95ショアA、例えば、約35ショアA〜約92ショアAなどのショアA硬度を有することができる。
【0018】
本明細書に記載のいずれのエラストマー要素も、熱可塑性又は架橋材料(熱硬化性材料)から形成することができる。例えば、エラストマーは、1つ又はそれより多くのスチレン系コポリマー、熱可塑性ポリウレタン、シリコーン、ポリエーテル−アミド、ポリエーテル−ポリエステル、又はこれらのエラストマー及び他のエラストマーの混合物とすることができる。
【0019】
本明細書に記載のいずれのエラストマー材料も、1つ又はそれより多くの充填剤を含むことができる。例えば、充填剤は、油、例えば、鉱油、研磨剤、粘着付与剤、可塑剤、若しくはこれら及び更に他のものの混合物とすることもでき、又はこれらを含むこともできる。
【0020】
例えば、いずれのエラストマー要素も、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の第1の最大横断面厚さを有することができる。一部の実装形態では、要素はまた、約0.008cm(0.003インチ)〜0.254cm(0.10インチ)の、第1の寸法に垂直な第2の最大横方向寸法を含む。
【0021】
要素の形状は、限定されない。例えば、いずれの要素も、リング、突起、フィン、ラダー、カップ、又はカーテンの形態とすることができる。
【0022】
例えば、いずれのエラストマー要素も、全体的に又は実質的に円形、三角形、長方形、正方形、又は正弦波の形態の横断面(延在方向に垂直に得られる)を有することができる。
【0023】
本明細書に記載のいずれの口腔用具もまた、基部から延びる、1つ又はそれより多くの束になった剛毛など、1つ又はそれより多くの剛毛を更に含むことができる。
【0024】
本明細書に記載のいずれの口腔用具も、手動又は電動歯ブラシの形態とすることができる。例えば、一部の有利な実装形態では、用具は、ヘッド部分及び/又は基部部分と通信する電気駆動式モータなどによってヘッド部分及び/又は基部部分が振動(vibrated)及び/又は周期的振動(oscillated)するように構成される、電動製品である。
【0025】
本明細書で使用するとき、「エッジ」は、2つの表面が交わる線、又は表面が終わる境界である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」は、破断点伸びが約50パーセントを超え、ショアA硬度が約97未満の材料である。
【0027】
諸態様及び/又は諸実装形態は、以下の利点のうちのいずれか1つ又はそれより多くを有することがある。本明細書に記載の口腔衛生用具は、磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントな材料から形成される、多数の「鋭い」エッジ(小さな先端半径を有するエッジ)を含むエラストマー要素を含むことができる。エッジは、先端上でエラストマー要素に沿って画定することができ、その先端において及びその側部に沿って清掃する清掃構造を提供する。用具は、いくつかの異なる材料、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる材料から所望により形成される、いくつかの異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる形状の要素を含むことができる。そのような構造は、ユーザーの口内で多くの異なるテクスチャを提供することができる。提供される多くの異なるテクスチャは、従来の植毛用具を思わせるものとなり、新規用具が容易に消費者の日常に受け入れられるようにしている。各要素の幾何学構造及びテクスチャは、ブラッシング領域内の場所について最適化することができ、それがマッサージ及び/又は清掃の改善をもたらすことができる。口腔衛生用具は、研磨及び清掃の改善のために、練り歯磨きなど、清掃及び研磨材料とともに相乗的に作用することができる。例えば、カップの形状のエラストマー要素は、研磨剤を歯の表面に保持することによって研磨及び/又はホワイトニングを改善することができる。本明細書に記載の用具は、比較的容易に成形できる、例えば、注型若しくは射出成形、又は押出成形できる、エラストマー要素のみを有することができる。エラストマー要素は、コンプライアントな性質であるので、清掃部位に加わる応力を自己調節する傾向にあり、それが、例えば歯肉退縮をまねくおそれのある、過剰なブラッシング力によるダメージを最小限に抑えることができる。口腔衛生用具、例えば歯ブラシが、それらのヘッド内にエラストマー要素のみを含むときには、それらの口腔衛生用具は、完全植毛された(fully bristled)ブラシと比較して、同等の(又は更に良好な)歯垢除去をもたらすことができ、しかも、歯肉マッサージが改善され、軟組織及び硬組織磨耗が少ない。
【0028】
いくつかの実施形態の詳細について、添付図面及び以下の説明で述べる。本開示の他の特徴及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】ブラシリフィルの斜視図。
【図1B】図1Aのリフィルのヘッド部分の拡大斜視図。
【図1C】図1Aのリフィルのヘッド部分の拡大側面図。
【図2】図1Aに示される円形横断面を有する細長い突起の領域の拡大斜視図。
【図3】図1Aに示されるリング構造の拡大斜視図。
【図4】図1Aに示される三角形横断面を有する細長い突起の領域の拡大斜視図。
【図5】図1Aに示されるカーテンの領域の拡大斜視図。
【図6A】図1Aに示されるラダーフィンの拡大斜視図。
【図6B】図1Aのレフィルのヘッドへのラダーフィンの取り付けを示す斜視図。
【図7】代替的なヘッドの斜視図。
【図8】代替的なヘッドの斜視図。
【図9】プロフィカップエラストマー要素の斜視図。
【図10】揺動するエラストマーのテクスチャ付きフィン要素の斜視図。
【図11】図9及び図10の要素を用いるブラシヘッドの最上部から得られる写真(photograph)。
【図12】図9及び図10の要素を用いる別のブラシヘッドの斜視図。
【図13】スリットカーテン要素を形成するための切り分けを示す、エラストマーカーテン要素の斜視図。
【図14】図13のスプリットカーテン要素を含むブラシヘッドの斜視図。
【図15】代替的なフィン/チューブ要素の斜視図。
【図16】代替的なエラストマー要素の斜視図。
【図17】2材料エラストマー要素の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
多くのエラストマー要素を含む、歯ブラシなどの口腔衛生用具について記載する。用具は、磨耗が軽減された改善された清掃のためのコンプライアントなエラストマー材料から形成される、多数の「鋭い」エッジを含むことができる。用具は、ユーザーの口内で多くの異なるテクスチャを提供でき、従来の植毛用具を思わせるものとなり、新規用具が容易に消費者の日課に受け入れられるようにしている。
【0031】
一例として、図1A〜1Cを参照すると、電気エネルギーによって駆動されるような電動歯ブラシ用のリフィル10は、基部14と、基部から延びてエラストマー要素領域を画定する複数のエラストマー要素とを含む、人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分12を含む。リフィル全体そのもの及び/又はヘッド部分12は、ユーザーの口腔に強力な清掃及び/又はマッサージ作用を提供するために、周期的振動(oscillated)、例えば、回転方向に周期的振動、及び/又は振動(vibrated)するように構成することができる。図1A〜1Cに示される特定の実装形態では、エラストマー要素領域は、(1)それぞれの横断面が実質的に円形であり、それらの長さに沿ってそれぞれの末端部18へとテーパする、棒状突起の形態をした複数の第1のエラストマー要素16を含む、部分11と;(2)同心円状リングの形態をした第2のエラストマー要素20と;(3)それぞれ横断面が実質的に三角形の突起の形態をした複数の第3のエラストマー要素22をそれぞれが含む、2つの部分21及び23と;(4)カーテン又は波状壁の形態をした複数の第4のエラストマー要素24をそれぞれが含む、2つの部分25及び26と;(5)それらの側部の長さに沿ってラダー状の外観及びテクスチャを有するフィン30の形態をした第5のエラストマー要素をそれぞれが含む、4つの部分27、29、31、及び33(この場合、各部分が3つの要素を含む)と、を含む。
【0032】
図2〜6は、リフィル10のエラストマー要素をより詳細に示す。
【0033】
図2を参照すると、部分11(リフィル10から分解された状態で示されている)は、突起16がそこから延びる基部部分31を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起16は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、多数の「鋭い」エッジ32を歯の表面に提供するように構成される。突起16は、図2では実質的に円形の横断面を有するものとして示されているが、三角形、正方形、五角形、六角形、又は八角形など、様々な断面で形成することもできる。
【0034】
図3を参照すると、同心円状エラストマーリング20は、歯及び歯肉に2つのエッジ34及び34’しか提供せず、したがって、一般に、特に歯間などの到達困難な場所では、歯垢除去要素ほど効率的ではない(要素16と比べたとき)。それでも、リング20は、ブラシヘッド内の他の要素に適切な構造的支持及び安定性をもたらし、かつ、良好な頬側面清掃に加えて強力なマッサージ効果をもたらす。更に、エラストマー要素20は、歯磨き粉及び練り歯磨きなどの歯清掃製剤とともに、歯の表面に対して様々な製剤を保持又は収容する働きをすることによって相乗的に作用することができる。この作用は、特定の製剤の研磨及び/又はホワイトニング効果を改善することができる。
【0035】
図4を参照すると、部分21(リフィル10から分解された状態で示されている)は、エラストマー突起22がそこから延びる基部部分38を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、(望むなら)中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起22(突起16とほぼ同様)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、エッジ36、36’、及び36”などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。
【0036】
図5を参照すると、部分26(リフィル10から分解された状態で示されている)は、エラストマー突起24がそこから延びる基部部分42を含む。基部部分は、突起と同一の材料から形成することができ(同一ではない材料から形成することもでき)、(望むなら)中実とすることができる。特にユーザーの歯の方向に垂直に、より高いコンプライアンスが望まれる場合、より可撓性の高い基部を提供するために基部を中空にすることができる。一般に、突起24(突起16及び22とほぼ同様)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、エッジ50、50’、及び50”などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。
【0037】
図6Aを参照すると、エラストマー要素30(リフィル10から分解された状態で示されている)は、歯の表面への歯垢の付着を抑えるために、各要素30の末端部において画定されるエッジ52、並びに要素30の側面58及び60に沿って楔形機構によって画定されるエッジ53〜57などの多数の「鋭い」エッジを歯の表面に提供するように構成される。エラストマーフィン要素30は、少なくとも2つの機能を果たす。第1に、それらは、それらの多数の「鋭い」エッジによって優れた清掃力を提供する。第2に、それらは、清掃及び感覚的な手掛かりの両方に関して、歯の間における位置決め機能を果たす。
【0038】
ここで、より一般的に、使用される形状、「鋭い」エッジの総数、各要素を形成するために使用される材料、各要素を形成するために使用されるエラストマーの硬度、各要素の基部からの延びの長さ、及びエラストマー要素の寸法は、歯肉上の軟組織など、口の組織の外傷を最小限に抑えながら、口腔衛生用具の清掃及びマッサージ作用を最大にするように選択される。
【0039】
各エラストマー要素は、独自の3次元形状を有することができるのみでなく、異なるエラストマー材料から形成することもできる。例えば、各エラストマー要素は、熱可塑性エラストマー又は架橋エラストマーから形成することができる。
【0040】
エラストマーの例としては、スチレン系ブロックコポリマー、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリウレタン、例えば、商品名ペレタン(PELLETHANE(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテル又はポリエステル系ポリウレタン、シリコーン、商品名ペバックス(PEBAX(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテルアミド、商品名ハイトレル(HYTREL(登録商標))として入手可能なものなど、ポリエーテルポリエステル、又はこれらのエラストマー若しくは他のエラストマーのうちのいずれかの混合物が挙げられる。一部の実装形態では、エラストマーを非エラストマーと見なされる様々な熱可塑性物質とブレンドして、エラストマーブレンドを提供することができる。例えば、ポリプロピレンをSEBSなどのスチレン系エラストマーと混合して、エラストマーブレンドを提供することができる。
【0041】
例えば、本明細書に記載のエラストマー要素を形成するために使用されるエラストマー材料は、約6ショアA〜約95ショアA、例えば、約10ショアA〜約93ショアA、又は約35ショアA〜約92ショアAのショアA硬度を有することができる。一部の実装形態では、要素を形成するために使用されるエラストマー材料は、約95ショアA未満、例えば、85ショアA未満、75ショアA未満、65ショアA未満、55ショアA未満、45ショアA未満、35ショアA未満、25ショアA未満、15ショアA未満、又は更に10ショアA未満のショアA硬度を有する。
【0042】
エラストマー要素を形成するために使用されるいずれのエラストマー材料も、1つ又はそれより多くの充填剤で充填することができる。充填剤の例としては、油、例えば鉱油、研磨剤、例えば、アルミナ、シリカ、若しくはカオリン、粘着付与剤、例えば、ロジン、可塑剤、又はこれらの充填剤若しくは他の充填剤のいずれかの混合物が挙げられる。
【0043】
図1Aのリフィルヘッドは異なる5つの3次元形状のエラストマー要素を含むが、他の多くの構成が可能である。例えば、より一般的には、歯ブラシ(手動若しくは電動)又はリフィルなどの口腔衛生用具は、数個から多数個の異なる形状のエラストマー要素、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる3次元形状の要素を含むことができる。望むなら、各エラストマー要素は、同一又は異なる材料で作製することができる。一部の実装形態では、各エラストマー要素は、異なる材料から形成される。一部の実装形態では、エラストマー要素領域内のエラストマー要素は、いくつかの異なる材料から、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、又は更に10個以上もの異なる材料から形成することができる。異なる形状及び材料の組み合わせは、例えば、ユーザーの口内に従来の植毛用具を思わせるものとなり得る多くの異なるテクスチャを提供し、新規用具が容易に消費者の日課に受け入れられるようにしている。
【0044】
一般に、口腔衛生用具のエラストマー要素領域内のエラストマー要素は、約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する合計250個を超えるエッジを画定する。「鋭い」エッジの数は、光学コンパレータを用い、この条件を満たすエッジの数を手作業で数えることによって決定することもでき、あるいは、エッジの数は、写真を撮影し、オプティマス(OPTIMAS)などの画像解析ソフトウェアを用いてこの条件を満たすエッジの数を数えることによって、決定することもできる。更に他の手順では、用具を3次元スキャンして3次元データベースを作成することができ、次いで、データベース、例えばIGESファイルを、この条件を満たすエッジについて解析することができる。一部の実装形態では、更に多くの合計エッジが存在する。例えば、エッジの総数は、約300よりも多い、例えば、約400よりも多い、約500よりも多い、約600よりも多い、約700よりも多い、約800よりも多い、約900よりも多い、約1000よりも多い、約1250よりも多い、約1500よりも多い、又はそれ以上、例えば、約2000若しくは3000よりも多いものとすることができる。一般に、エラストマーエッジは、それらがコンプライアントな性質であるので、比較的硬質のプラスチック剛毛エッジ(剛毛先端)と1対1基準で比較したときには、歯垢除去効果が低い。それでも、本明細書に記載のエラストマー要素から作られる口腔衛生用具は、一般に、清掃エッジの数、特に、離間された清掃エッジの数ゆえに、及び、硬質剛毛エッジとは異なりエラストマー要素がそれらの側部に加えてそれらの先端から清掃できるので、硬質剛毛の歯ブラシと同程度に、又は硬質剛毛の歯ブラシよりも効果的である。
【0045】
一部の実装形態では、1つ又はそれより多くのエッジは、それらが口腔の表面に接触できるように、実質的に露出している。エッジの露出を制御するための一方法は、要素内又は要素間のエッジ間隔を制御することである。一部の実施形態では、エッジの、その最近隣までの要素内及び/又は要素間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)以上、例えば、0.038cm(0.015インチ)よりも大きい、0.051cm(0.020インチ)よりも大きい、0.064cm(0.025インチ)よりも大きい、0.076cm(0.030インチ)よりも大きい、0.102cm(0.040インチ)よりも大きい、若しくは0.127cm(0.050インチ)以上、例えば、約0.152cm(0.060インチ)よりも大きい、0.191cm(0.075インチ)よりも大きい、0.216cm(0.085インチ)よりも大きい、0.254cm(0.10インチ)よりも大きい、0.318cm(0.125インチ)よりも大きい、0.381cm(0.150インチ)よりも大きい、0.445cm(0.175インチ)よりも大きい、又は更に0.508cm(0.20インチ)よりも大きいものとすることができる。
【0046】
要素のアグレッシブ性を制御するための一方法は、それらの横断面を制御することである。一部の実装形態では、本明細書に記載のいずれのエラストマー要素も、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の第1の最大横断面厚さを有することができる。一部の実装形態では、エラストマー要素はまた、約0.008cm(0.003インチ)〜約0.635cm(0.250インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.254cm(0.10インチ)の、第1の方向に垂直な第2の最大横方向寸法を有する。
【0047】
可撓性を制御する、したがって要素のアグレッシブ性を制御する一方法は、要素がそこから延びる基部の最上面からの、それらの要素の延びの最大長さを制御することである。例えば、延びの最大長さは、約0.508cm(0.20インチ)〜約1.91cm(0.75インチ)、例えば、約0.64cm(0.250インチ)〜約1.27cm(0.50インチ)とすることができる。
【0048】
ここで図1A〜1Cに戻って参照すると、ここに示される特定の実施形態では、0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有するエッジの数は、約756個であり、要素の端部の表面積は、ほぼ同じ公称基部面積を有する植毛ヘッドの場合の約5〜15倍である。リフィル10の各要素は、油充填SEBS(oil-filled SEBS)、熱可塑性ポリエーテル−ポリウレタン、又はシリコーンから形成される。第1、第2、第3、第4、及び第5の要素16、20、22、24、及び30のエラストマーの硬度は、それぞれ、65ショアA、50ショアA、90ショアA、40ショアA、及び82ショアAである。特に図1Cを参照すると、第1、第2、第3、第4、及び第5の要素16、20、22、24、及び30は、基部14の最上面14’から、それぞれ距離23.5cm(9.250インチ)、0.632cm(0.249インチ)(H2)、0.714cm(0.281インチ)(H3)、0.599cm(0.236インチ)(H4)、及び0.732cm(0.288)(H5)だけ延びる。
【0049】
ここで図2及び図4に戻って参照すると、一部の実施形態では、要素16又は22の円又は内接円の直径は、0.051cm(0.020インチ)、0.076cm(0.030インチ)、又は更に0.102cm(0.040インチ)ほどの大きさとすることができる。一部の実装形態では、直径は、0.051cm(0.020インチ)以下である。一部の実施形態では、要素間の中心間間隔は、約0.064cm(0.025インチ)〜約0.102cm(0.040インチ)にわたる。一部の実施形態では、エッジ半径は、清掃を最大にするために0.008cm(0.003インチ)未満で維持され、一方、材料硬度は、優しさを維持するために約40ショアA〜約90ショアAで維持される。一部の実装形態では、要素16又は22は、中実又は中空の支持構造から延びる。
【0050】
ここで図3に戻って参照すると、一部の実施形態では、リング要素20は、約0.038cm(0.015インチ)〜約0.127cm(0.050インチ)、例えば、約0.051cm(0.020インチ)〜約0.102cm(0.040インチ)の壁厚を有する。一部の実装形態では、要素20を形成するために使用される材料の硬度は、約15ショアA〜約60ショアAである。一部の実施形態では、リングは、(図示されるように)開口しているが、他の実施形態では、リングは、閉じたエラストマー表面が組織及び歯の表面に向くように、その開口端を下にして構成することができる。
【0051】
ここで図5に戻って参照すると、一部の実施形態では、波状壁要素24は、約0.013cm(0.005インチ)〜約0.076cm(0.030インチ)、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.051cm(0.020インチ)の振幅を有することができる。一部の実装形態では、ピーク間距離は、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)、例えば、約0.038cm(0.015インチ)〜約0.152cm(0.060インチ)であってよい。例えば、壁要素は、約10ショアA〜約80ショアA、例えば、約20〜約60ショアAの硬度を有するエラストマーから形成することができる。
【0052】
ここで図6Aに戻って参照すると、一部の実施形態では、エラストマーのテクスチャ付きフィン要素30は、例えば、3/1アスペクト比をもつ、長方形断面を有することができる。例えば、小さい方の寸法は、0.076cm(0.030インチ)以下とすることができる。例えば、楔形要素間の中心間間隔は、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)とすることができ、楔形要素間の最大深さは、例えば、約0.025cm(0.010インチ)〜約0.191cm(0.075インチ)とすることができる。例えば、要素を形成するために使用される材料の硬度は、約50ショアA〜約95ショアAとすることができる。
【0053】
本明細書に記載のエラストマー要素は、様々な技術を使用して形成することができる。例えば、要素は、押出成形し、射出成形し、及び/又は注型することができる。押出成形は、一部の実施形態では、その速度が速く、要素に分子配向を付与することができ、それが耐磨耗性を高めることができるので、有利であり得る。他方、射出成形は、多くの異なる形状及び構成を提供する多用途性があるので、他の実施形態で有利であり得る。
【0054】
本明細書に記載のエラストマー要素は、様々な技術を使用して用具へと組み立てることができる。例えば、それらは、基部などの基材上にオーバーモールドすることもでき、又は接着剤若しくは溶媒結合を用いて組み立てることもできる。要素はまた、それらをプラットフォームに圧入できるように形成することもできる。オーバーモールドは、その速度が速く、大規模製造プロセスへの一般的適用性があるので、一部の実装形態では有利であり得る。
【0055】
図2、図4、及び図5からわかるように、要素群は、平らな上面14’を形成するように相補的なヘッド部分に例えば接着剤又は溶媒を用いて結合できる基部から延びることができる。図6Bからわかるように、要素は、それらの要素をブラシヘッドの相補的な部分59に圧入できるように形成することができる。圧入などは、所望により、接着剤を適用することによって永久的にすることもできる。これらの種類の技術は、有利には、実験室内で消費者によって試験できるプロトタイプを迅速に作製するために用いることができる。
【0056】
他の多くのブラシヘッド構成及び/又はエラストマー要素が可能である。
【0057】
例えば、図7は、5つの異なる形状のエラストマー要素72、74、76、78、及び80を含む、代替的なブラシヘッド70を示す。図1Aのブラシヘッドとほぼ同様に、ブラシヘッド70は、環状リング74によって取り囲まれた、円形横断面を有する細長い突起を含む内側領域を含む。また、図1Aに示されるヘッドとほぼ同様に、外側領域は、三角形状の細長い突起76と、波状カーテン又は壁要素78と、テクスチャ付きフィン要素80とを含む。図1Aのヘッドと比較して、図7のヘッドは、より多くのカーテン要素(8個に対して12個)と、より少ないテクスチャ付きフィン要素(12個に対して8個)とを含む。
【0058】
図8は、5つの異なる形状のエラストマー要素92、94、96、98、及び100を含む、他の代替的なブラシヘッド80を示す。図1A及び図7のブラシヘッドとほぼ同様に、ブラシヘッド90は、環状リング94によって取り囲まれた、円形横断面を有する細長い突起を含む内側領域を含む。また、図1A及び図7に示されるヘッドとほぼ同様に、外側領域は、三角形状の細長い突起96と、波状カーテン又は壁要素98と、テクスチャ付きフィン要素100とを含む。図1Aのヘッドと比較して、図8のヘッドは、より多くのカーテン要素(8個に対して12個)と、より少ない三角形断面の細長い突起(44個に対して26個)とを含む。
【0059】
図9及び図10は、いくつかの代替的なエラストマー要素を示しており、図11及び図12は、図9及び図10の要素を含むヘッドの実施形態を示す。具体的には、図9は、清掃及び研磨のために歯を受け入れるように構成された開口端104を有するエラストマープロフィカップ要素102を示す。要素102は、いくつもの清掃機構104及び106と、及び更に、いくつものエッジとを含む。図10は、基部部分114から延びて薄い末端部116へとテーパする本体部分112を含む、エラストマーのテクスチャ付き枢動フィン要素110を示す。本体部分は、複数のテクスチャリッジ120を含むテクスチャ付き要素118を備える。基部部分114は、要素を歯ブラシなどの口腔衛生用具に固定できるようにするスナップ122に連結される。揺動又は枢動する束及び要素については、ブラウン(Braun)らの米国特許第6,993,804号及び同第6,553,604号、並びにチェンバイヌ(Chenvainu)の公開米国特許出願第2005/0060822号公報に記載されており、それらそれぞれの開示の全体を参考として引用し、本明細書に組み込む。図11は、エラストマーカーテン要素132及びエラストマーロッド要素134とともに、図9のプロフィ要素104及び図10の枢動要素110を組み込んだ、電動リフィル130を示す。図12は、ロッド要素134、丸み付けされた三角形断面を有するエラストマー突起141、及びエラストマーカーテン又は壁要素142とともに、図9のプロフィ要素104及び図10の揺動要素を組み込んだ、ブラシヘッド140を示す。
【0060】
本明細書に記載されている要素のいずれも、いくつもの「鋭い」エッジとともにいくつもの独立した要素を作り出すように、スリットを入れることができる。ここで図13を参照すると、波状カーテンは、6個の独立した要素154、155、156、156、158、及び160を含むエラストマースリットカーテン要素152を作り出すように示された線に沿ってスリットを入れることができる。図14は、そのようなスピットカーテン(spit curtain)を備えたブラシヘッド170を示す。
【0061】
ここで図15を参照すると、使用できる他の種類のエラストマー要素は、管状フィン要素172である。要素は、中空の内部174と、管状体176と、管状体の閉じた最上面182から延びて、薄くなった末端部184へとテーパする、フィン180とを含む。
【0062】
ここで図16を参照すると、使用できる更に他の種類のエラストマー要素は、中央のシャフト192と、シャフトから外側に延びる複数の突起194とを含む、ツリー型要素190である。ここに示される実施形態では、各突起の長軸は、シャフトの長軸に概ね垂直である。他の実施形態では、1つ又はそれより多くの突起の長軸は、シャフトの長軸に対して90度以外の角度を成す。
【0063】
その他の実施形態
多数の実施形態が説明された。しかし、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更が行われてもよいと理解されるであろう。
【0064】
例えば、いずれの口腔衛生用具も、例えば一端が開口した、中空のエラストマー管状構造を含むことができる。例えば、管状構造は、円形横断面を有することができる。例えば、中空の管状構造は、約0.013cm(0.005インチ)〜約0.051cm(0.020インチ)、例えば、0.020cm(0.008インチ)〜約0.038cm(0.015インチ)の壁厚を有することができる。チューブの材料硬度は、例えば、約30ショアA〜約85ショアA、例えば約40ショアA〜約80ショアAとすることができる。
【0065】
電動歯ブラシの形態の諸実施形態について記載したが、口腔衛生用具には他の形態も可能である。例えば、用具は、手動歯ブラシの形態とすることができる。
【0066】
エラストマー要素のみを含む諸実施形態について記載したが、エラストマー剛毛に加えて、ナイロン、例えばナイロン6、12、又はポリエステルから形成されるような剛毛を含む諸実施形態も可能である。
【0067】
要素がその断面全体にわたって単一の材料から形成される諸実施形態について記載したが、一部の実施形態では、諸要素は、単一の材料よりも多い、例えば、2つ、3つ、又は更に4つもの異なる材料、例えば、要素の層など、不連続部分に配置された異なる材料から形成される。例えば、要素の中央部分は、第1の硬度を有する第1の材料から形成することができ、口腔組織及び/又は歯に接触する部分など、要素の外側部分は、第1の硬度よりも高い又は低い第2の硬度を有する第2の材料から形成することができる。より軟質の材料210がより硬質の材料212を取り囲む実装形態が、図17に示されている。例えば、第1の材料は、約75ショアAの硬度を有することができ、第2の材料は、約30ショアAの硬度を有することができる。
【0068】
要素のうちのいくつかは、ヒトの唾液で濡れた状態で原子間力顕微鏡を使用して測定したときに、異なる摩擦係数を有することができる。例えば、要素のうちのいくつかは、濡れたときに例えば0.5〜約0.9の比較的高い摩擦係数を有するエラストマーから形成することができ、他のものは、例えば0.05〜約0.3の比較的低い摩擦係数を有することができる。高い摩擦係数は、例えば、要素がそれから形成されるエラストマーにロジンを加えることによって得ることができ、低い摩擦係数は、例えば、要素がそれから形成されるエラストマーに油を加えることによって得ることができる。低い係数は、歯の間で滑動するのに有利であり得、高い摩擦係数は、歯を摺擦するのに有利であり得る。
【0069】
更に他の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分(12)を有する口腔衛生用具であって、前記ヘッド部分は、
基部(14、114)と、
前記基部から延びており、それぞれが1つ又はそれより多くのエッジを画定する、複数のエラストマー要素(16、20、22、24、30)とを含み、
約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する前記複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数が約250を超えることを特徴とする、口腔衛生用具。
【請求項2】
1つ又はそれより多くのエラストマー要素が延在方向に走る長軸を有し、前記エッジが延在方向に沿って画定されることを特徴とする、請求項1に記載の口腔衛生用具。
【請求項3】
1つ又はそれより多くのエラストマー要素が延在方向に走る長軸を有し、前記エッジが延在方向に垂直な方向に画定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の用具。
【請求項4】
前記複数のエラストマー要素が、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の用具。
【請求項5】
前記複数のエラストマー要素が、第3のエラストマー材料を含む第3のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の用具。
【請求項6】
前記複数のエラストマー要素が、第4のエラストマー材料を含む第4のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の用具。
【請求項7】
前記複数のエラストマー要素が、第5のエラストマー材料を含む第5のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項6に記載の用具。
【請求項8】
前記複数のエラストマー要素が、第6のエラストマー材料を含む第6のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の用具。
【請求項9】
前記複数のエラストマー要素のうちの1つ又はそれより多くが充填剤を含み、該充填剤が、油、研磨剤、粘着付与剤、可塑剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の用具。
【請求項10】
前記基部が、該基部から延びる、1つ又はそれより多くの束になった剛毛など、1つ又はそれより多くの剛毛を更に含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の用具。
【請求項1】
人の口に挿入するようにサイズ設定されたヘッド部分(12)を有する口腔衛生用具であって、前記ヘッド部分は、
基部(14、114)と、
前記基部から延びており、それぞれが1つ又はそれより多くのエッジを画定する、複数のエラストマー要素(16、20、22、24、30)とを含み、
約0.015cm(0.006インチ)未満の先端半径を有する前記複数のエラストマー要素によって画定されるエッジの総数が約250を超えることを特徴とする、口腔衛生用具。
【請求項2】
1つ又はそれより多くのエラストマー要素が延在方向に走る長軸を有し、前記エッジが延在方向に沿って画定されることを特徴とする、請求項1に記載の口腔衛生用具。
【請求項3】
1つ又はそれより多くのエラストマー要素が延在方向に走る長軸を有し、前記エッジが延在方向に垂直な方向に画定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の用具。
【請求項4】
前記複数のエラストマー要素が、第1のエラストマー材料を含む第1のエラストマー要素と、第2のエラストマー材料を含む第2のエラストマー要素とを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の用具。
【請求項5】
前記複数のエラストマー要素が、第3のエラストマー材料を含む第3のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の用具。
【請求項6】
前記複数のエラストマー要素が、第4のエラストマー材料を含む第4のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の用具。
【請求項7】
前記複数のエラストマー要素が、第5のエラストマー材料を含む第5のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項6に記載の用具。
【請求項8】
前記複数のエラストマー要素が、第6のエラストマー材料を含む第6のエラストマー要素を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の用具。
【請求項9】
前記複数のエラストマー要素のうちの1つ又はそれより多くが充填剤を含み、該充填剤が、油、研磨剤、粘着付与剤、可塑剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の用具。
【請求項10】
前記基部が、該基部から延びる、1つ又はそれより多くの束になった剛毛など、1つ又はそれより多くの剛毛を更に含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の用具。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2010−524625(P2010−524625A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504990(P2010−504990)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051793
【国際公開番号】WO2008/135953
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051793
【国際公開番号】WO2008/135953
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]