説明

口金付ランプおよび照明器具

【課題】構成部品を所定の位置に確実に搬送させることが可能な口金付ランプおよび照明器具を提供する。
【解決手段】口金付ランプ10は、発光部12、本体13、口金部材14および樹脂リング15を具備し、発光部12は、固体発光素子11を有する。本体13は、一端部側に発光部が設置される金属製の筒状をなす。口金部材14は、本体の他端部側に設けられる金属製のキャップ状をなす。樹脂リング15は、本体と口金部材との間に介在し、表面側若しくは裏面側の少なくとも一方にリングの中心からずれた位置に形成される略直線状の位置規制部材15bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード等の固体発光素子を光源とした口金付ランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体発光素子、例えば発光ダイオード(以下「LED」と称する)は、その発光効率の向上により、一般照明用の光源として採用したLEDランプ等の口金付ランプが商品化されている。
【0003】
この種の口金付ランプは、LEDを有する発光部と、一端部側に発光部が設置される金属製の本体と、本体の他端部側に設けられる金属製のキャップ状をなす口金と、本体と口金との間に介在し、本体と口金との電気絶縁を図る樹脂リングが設けられて構成され、これら構成部品は、量産化するために自動機械でも組み立てられる構造となっていることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−56059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これら構成部品は、自動機械による組み立てにおいては、それぞれの位置関係が設計で決められ、決められた位置に確実に組み立てられるように、構成部品を自動的に搬送させることが要望される。
【0006】
本発明は、上記要望に鑑みてなされたもので、構成部品を所定の位置に確実に搬送させることが可能な口金付ランプおよび口金付ランプを用いた照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の口金付ランプは、発光部、本体、口金部材および樹脂リングを具備し、発光部は、固体発光素子を有する。本体は、一端部側に発光部が設置される金属製の筒状をなす。口金部材は、本体の他端部側に設けられる金属製のキャップ状をなす。樹脂リングは、本体と口金部材との間に介在し、表面側若しくは裏面側の少なくとも一方にリングの中心からずれた位置に形成される略直線状の位置規制部材を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構成部品を所定の位置に確実に搬送させることが可能な口金付ランプおよび口金付ランプを用いた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る口金付ランプを示し、(a)は口金部材を取り外した状態を下方から見た示す斜視図、(b)は樹脂リングを上方から見た斜視図。
【図2】同じく口金付ランプを示す縦断面図。
【図3】同じく口金付ランプを示し、樹脂リングを口金支持部に嵌合する状態を示す斜視図。
【図4】同じく口金付ランプを組み立てる自動機械を示し、(a)は部品搬送装置を概略的に示す上面図、(b)は部品搬送装置で搬送される樹脂リングの上面図、(c)は部品搬送装置の直進フィーダを示す上面図、(d)は直進フィーダを部品排出口側から見た側面図。
【図5】同じく口金付ランプを用いた照明器具を概略的に示す縦断面図。
【図6】同じく口金付ランプの変形例を示し、(a)は第1の変形例における直進フィーダを部品排出口側から見た側面図、(b)は第2の変形例における樹脂リングを上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、口金付ランプおよび照明器具の実施形態につき、図に従い説明する。本実施形態は、既存の一般白熱電球に代替が可能なLEDを光源とした口金付ランプを構成するもので、図1〜図3に示すように、口金付ランプ10は、固体発光素子11を有する発光部12と、一端部側に発光部が設置される金属製の本体13と、本体の他端部側に設けられる金属製の口金部材14と、本体と口金部材との間に介在した樹脂リング15で構成する。
【0011】
固体発光素子11は、図2に示すように、本実施形態では発光ダイオード(以下「LED」と称す)で構成し、同一性能を有する青色LEDチップからなる高輝度・高出力の複数個のLEDからなる。発光部12は、上記構成のLED11を面状に配設した発光モジュール12aと、発光モジュールを配設する基板12bからなる。基板12bは、放熱部材を兼ねるもので、熱伝導性の良好な部材、本実施形態では、比較的肉厚の略円形の板状をなすアルミニウムで構成され、各LED11から発生する熱が基板12bに伝達されるように構成する。発光部12は、上述した青色LEDチップから放射される青色光を透過させるとともに、青色光を黄色蛍光体によって黄色光に変換する。透過した青色光と黄色光が混光して白色の光を放射する。上記に構成された発光部12は、本体13の一端部側に収容されて設置される。
【0012】
本体13は、熱伝導性の良好な金属、本実施形態ではアルミニウムで構成され、横断面形状が略円形で、一端部側に径の大きな開口部13aを、他端部側には径の小さな開口部13bを有する中空の円筒をなす筒状に構成される。本体13の一端部側の開口部13aには、環状の段部からなる基板支持部13cを一体に形成する。基板支持部13cにおける段部の表面は平滑な平面状をなすように形成し、この基板支持部に対して発光部12が載置され配設される。また、本体13の他端部側の開口部13bの内面には、後述する絶縁ケース16を支持するための環状の支持溝13dを一体に形成する。
【0013】
そして、本体13の外周面には、一端部から他端部に向かい本体13の中心軸線x−xを中心として放射状に突出する多数の放熱フィン13eを一体に形成し、外周面が一端部から他端部に向かい順次直径が小さくなる略円錐状のテーパー面をなすようにして、外観が一般白熱電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成する。本体13の外周面にはアクリル焼付け塗装がなされ、メタリックシルバー色、または、白色等の外観を有するように構成される。これら構成の本体13は、例えば、鋳造、鍛造または切削等で加工されアルミニウム製の所定の熱容量をもったケース状をなす外郭部材として構成される。
【0014】
上記に構成された本体13の一端部側の開口部13aには、発光部12が支持されて、発光部12が本体13内に収容され設置される。すなわち、基板12bの裏面側を平滑な段部からなる基板支持部13cに対して密着させてネジにより支持し、LED11から発生した熱を、本体13に伝達させて外部に放熱させる。これにより、図2に示すように、発光部12の光軸に対して本体13の中心軸線x−xが略合致し、全体として平面視で略円形の発光面を有する光源体が構成される。
【0015】
また、上記に構成された本体13内には、絶縁ケース16が収容され、この絶縁ケースの内部に点灯装置17が収容される。すなわち、絶縁ケース16は、電気絶縁性を有する合成樹脂、本実施形態ではPBT樹脂からなる両端部を開口した円筒状をなす筒体に構成される。筒体の一端部側の開口部16aは、発光部12の基板12bの裏面側に対向するように配設され、点灯装置17の出力端子に接続された電線cが挿通される。
【0016】
筒体の他端部側の開口部16bには、口金支持部16cが一体に形成され、口金支持部の外周面に、後述する口金部材14をねじ込むことができるようにネジ部16c1を一体に形成する。筒体の内周面には、点灯装置17を支持するための一対の縦溝からなる支持溝16dが一体に縦方向に形成され、筒体の外周部には、絶縁ケース16を本体13の環状の支持溝13dに支持するための環状の凸条部16eを一体に形成する。
【0017】
上記に構成された絶縁ケース16には、内部に点灯装置17が収容され、点灯装置を収容した絶縁ケース16が本体13内に収容されて支持される。同時に、絶縁ケース16は、他端部側に一体に形成された口金支持部16cを、本体13の他端部側の開口部13bに挿通させて本体13の他端部側から突出させ、突出した口金支持部16cに対して、樹脂リング15が装着され、さらに口金部材14が装着される。
【0018】
先ず、点灯装置につき説明する。点灯装置17は、図2に示すように、各LED11の点灯回路を構成する回路部品17aと、回路部品を実装した回路基板17bからなる。点灯回路は、交流電圧100Vを24V程度の直流電圧に変換して各LED11に定電流の直流電流を供給するように構成される。回路基板17bは短冊状をなすガラスエポキシ材からなり、片面または両面に電子部品からなる回路部品17aが実装され、この回路基板17bを縦方向にし、絶縁ケース16の内面に形成した一対の支持溝16dに挿入し嵌め込むことによって、点灯装置17が絶縁ケース16の内部に縦方向に収容されて支持される。なお、絶縁ケース16の一対の支持溝16dは、片方に広い空間を形成するために、本体の軸線x−xから片方に片寄って形成され、回路基板17bの回路部品17aが収容される。また、回路基板17bの出力端子には電線cが接続され、入力端子には口金部材14に接続される入力線(図示せず)が接続されている。
【0019】
上記により、点灯装置17を収容した絶縁ケース16は、他端部側に形成された口金支持部16cを下にして、口金支持部16cを本体13の一端部側の開口部13aから挿入し、さらに、他端部側の開口部13bに挿通させて押し込み、本体13の他端部側から突出させる。これにより、絶縁ケース16の凸条部16eが本体13の支持溝13dに樹脂の弾性を利用して嵌合し支持される。シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる接着剤でさらに固定してもよい。
【0020】
そして、回路基板17bの出力端子に接続された電線cが、絶縁ケース16の一端部側の開口部16aから導出されて発光部12を構成する基板12bのLED11にコネクタを介して接続される。
【0021】
また、上記のように、本体13の他端部側の開口部13bから突出された絶縁ケース16の他端部側、すなわち、口金支持部16cに対して樹脂リング15が装着される。先ず、樹脂リング15につき説明する。図1に示すように、樹脂リング15は、電気絶縁性を有する合成樹脂、本実施形態では白色のPBT樹脂からなるリングに構成される。リングの内径は、絶縁ケース16の口金支持部16cに嵌合できる寸法に構成し、外形は、本体13の他端部側の開口部13bの外面に連続して外径が順次縮小される形状に形成する。
【0022】
そして、リングの表面側15a、本実施形態では、径の小さなリング外表面を有し、後述する口金部材14が設けられる側に、リングの中心oから寸法t1だけずれた位置で、かつ直線a−aに沿う略直線状をなす位置に、位置規制部材15bとしての一対の凹溝を一体に形成する。そして、凹溝15bの一方に、本体位置決め孔15b1を形成する。本体位置決め孔15b1は、樹脂リング15を本体13に組み込んだ後、本体13に発光部12、絶縁ケース16、点灯装置17を自動機械によって組み込む際における本体13の軸心x−xを中心とする回転方向の向きの位置決めを行うための孔である。なお、位置決め孔15b1は、樹脂リング15を貫通する孔でも、貫通しない孔でもよい。貫通する孔の場合には、ランプにおける内圧を抜くための孔を兼用してもよい。
【0023】
また、図3に示すように、樹脂リング15の裏面側15c、本実施形態では、径の大きなリング外表面を有し、本体13の他端部側の開口部13bに接続される側に、3個のリング位置決め凹部15c1を切り欠いて形成する。リング位置決め凹部15c1は、本体13に樹脂リング15を自動機械によって組み込む際の、樹脂リングの中心oを中心とする回転方向の向きの位置決めを行うための凹部であり、本体13の他端部側の開口部13bの開口端面に一体に形成された3個の凸部13b1(2個のみ図示)に嵌合されて、本体13に対する樹脂リング15の位置決めがなされる。同時に、樹脂リング15が装着状態において、回動することを防止する。
【0024】
なお、絶縁ケース16の口金支持部16cに対して樹脂リング15が嵌合された後、シリコーン樹脂等からなる接着剤で固定するようにしてもよい。また、接着剤でなく、樹脂リング15の内周面と口金支持部16cの外周面にネジ部を形成し、樹脂リング15を口金支持部16cにねじ込んで固定するようにしてもよい。これによれば、樹脂リング15のねじ込みによって絶縁ケース16を本体13に引き寄せることができ、接着剤を用いずに絶縁ケース16の本体13への固定と、樹脂リング15の絶縁ケース16への固定を同時に行うことができる。
【0025】
上記のように、絶縁ケース16の口金支持部16cに対して樹脂リング15が嵌合された状態で、口金支持部16cの先端部に対して口金部材14が装着される。先ず、口金部材につき説明する。図2に示すように、口金部材14は、エジソンタイプの口金で、本実施形態では、既存の一般白熱電球と同様のE26形で構成し、ねじ山を備えた導電性を有する金属、本実施形態では銅板からなる筒状のシェル部14aと、このシェル部の下端の頂部に絶縁部14bを介して設けられたアイレット部14cを備えている。
【0026】
そして、本体13の他端部側から突出された口金支持部16cのネジ部16c1に対し、シェル部14aの開口部を嵌め込み、ねじ山をねじ込むことによって支持する。このねじ込みによってシェル部14aの開口端面で樹脂リング15の下面側(表面側15a)を押圧して、樹脂リング15の上面側(裏面側15c)を、本体13の開口部13bの開口端部に押え付けることができる。これにより、口金部材14が絶縁ケース16の他端部側に装着されて口金部材14が本体13の他端部側に設けられるとともに、アルミニウム製の本体13と銅板製の口金部材14との電気絶縁が図られる。この際、予め回路基板17bの入力端子から導出された入力線が、口金部材14に接続される。
【0027】
図中、18はランプのグローブを構成するカバー部材で、例えば、厚さが薄いガラスや合成樹脂などの材質で構成され、透明または光拡散性を有する乳白色などの半透明、本実施形態では乳白色のポリカーボネート製で、一端部に開口18aを有する一般白熱電球のボウル部分のシルエットに近似させた滑らかな略半球体をなす面に形成する。そして、発光部12を覆うようにして本体13の基板支持部13cの段部内に開口18aが嵌め込まれてシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等からなる接着剤で固定される。これにより、本体13の傾斜する外周部が、カバー部材18の曲面状の外周面に一体的に略連続した外観形状になり、ランプ全体が一般白熱電球のシルエットに近似させた外観形状をなす電球形の口金付ランプ10が構成される。
【0028】
次に、上記に構成される口金付ランプ10の組み立て手順につき説明する。なお、下記に示す各組み立て工程は、量産化のための自動機械によってなされる。先ず、本体13に絶縁ケース16が組み込まれる。すなわち、絶縁ケース16の口金支持部16cを、本体13の一端部側の開口部13aから挿入し、他端部側の開口部13bに挿通させて押し込み絶縁ケース16の口金支持部16cを本体13の他端部側から突出させる。
【0029】
次に、樹脂リング15を本体13の他端部側の開口部13bに対して嵌合する(図3)。この際、樹脂リング15は、本体13に対して、決められた位置、すなわち、本体13の開口部13bの開口端面に一体に形成された3個の凸部13b1に対して、樹脂リング15の3個のリング位置決め凹部15c1が嵌合するように自動機械によって組み立てる必要がある。そのために、図3に示すように、樹脂リング15の中心oを回転中心とする向きの位置決めを行って、本体13に向けて自動搬送する必要がある。
【0030】
この自動搬送は、次のようにして行われる。図4に示す自動機械は、小型で比較的安価な部品搬送装置(パーツフィーダ)20で、円筒のボウル21、樋状をなす直進フィーダ22からなり、直進フィーダ22は、一端部が円筒のボウル21に連続して配置されることによって部品入口部22aが構成され、他端部は直線をなすように構成され、その端部には選別された部品を排出するための部品排出口22bが形成される。また、直進フィーダ22の直線状をなす部分には、部品の表裏を選別する第1選別部22cと、搬送方向に対する前後の向きを選別する第2選別部22dが配置されている。部品の表裏を選別する第1選別部22cは、樹脂リング15におけるウエイトバランス等の手段によって選別する。図中22c1は、第1選別部で、はじかれた樹脂リングを排出させるための排出トレイである。
【0031】
また、前後の向きを選別する第2選別部22dは、次のように構成される。すなわち、図4(b)(c)(d)に示すように、直線フィーダ22の底面に直線状のガイドレール22eが突出して設けられる。そして樋状の直進フィーダ22の幅寸法w1は、樹脂リング15の外径寸法Φ1より若干大きく形成し(w1>φ1)、樹脂リングが1個ずつガイドレール22eに沿って移動できるようにする。また、ガイドレール22eは、直進フィーダ22の底面の長手方向の中心線z−zから一方にずらした位置に形成する。ずらす寸法t2は、樹脂リング15の位置規制部材を構成する一対の凹溝15bを樹脂リング15の中心oからずらした寸法t1と略同一となる寸法を有して構成する(t1≒t2)。また、ガイドレール22eの高さ寸法および幅寸法は、樹脂リング15の一対の位置規制部材である凹溝15bが緩く嵌合する寸法に形成する。
【0032】
これにより、直進フィーダ22には、樹脂リング15が1個ずつ搬送され、樹脂リングの搬送方向に対する前後の向き、すなわち、片側にずらした凹溝15bが、片側にずらしたガイドレール22eに合致したものが、ガイドレールに嵌まり込み、嵌合した状態でガイドレール上を部品排出口22bに向かって搬送される。図中22d1は、第2選別部で、はじかれた樹脂リングを排出させるための排出トレイである。
【0033】
そして、ボウル21には、表裏および向きに関係なく多数の部品、本実施形態では、多数の樹脂リング15が収容され、これらボウル21および直進フィーダ22には、バイブレータによって振動が与えられる。この振動によって多数の樹脂リング15が振動してボウル21内を移動し、ボウル21から直進フィーダ22の部品入口部22aに対して、樹脂リング15が1個ずつ、その表裏および前後の向きに関係なく搬送される。搬送された樹脂リングは、先ず、第1選別部22cによってリングの表裏が選別される。表裏の選別は、樹脂リング15の径の大きなリング表面を有する裏面側15cが上面となるように、換言すれば、樹脂リング15の位置規制部材を構成する一対の凹溝15bが下面となるように選別され、次の第2選別部22dに搬送される。
【0034】
第2選別部22dでは、樹脂リング15の一対の凹溝15bが下面となり、前後の向きが不揃いの状態で搬送された1個ずつの樹脂リング15の内、直線状のガイドレール22eに対して、樹脂リング15の直線状の凹溝15bの向きが一致して、凹溝がガイドレール22eに嵌合した樹脂リングのみがガイドレールに沿って部品排出口22bに搬送される。直線状の凹溝15bの向きが一致せず、凹溝がガイドレールに嵌合しない樹脂リングは排出トレイ22d1から排出される。この際、略直線状の位置規制部材である凹溝15bは、樹脂リング15の中心oからずれた位置に形成されているので、本体位置決め孔15b1が、所定の向き、本実施形態では、本体位置決め孔15b1が搬送方向の後ろになるようにして選別される。
【0035】
これにより、樹脂リング15の一対の凹溝15bが下面となり、本体位置決め孔15b1が搬送方向の後ろになり、前後方向の向きも決定された樹脂リング15が、部品排出口22bに搬送される。部品排出口に搬送され、回転方向の位置が決められた樹脂リング15は、図3に示すように、掴みアーム(図示せず)によって次の工程に搬送され、本体13の開口部13bから突出された口金支持部16cに自動的に嵌合される(図3中の矢印参照)。なお、本体13は、予めチャックによって自動的に決められた位置にセットされており、樹脂リング15の3個のリング位置決め凹部15c1は、本体13の開口部13bに形成された3個の凸部13b1に対して確実に嵌合される。
【0036】
次に、上記のように、本体13に絶縁ケース16が嵌め込まれ、樹脂リング15が口金支持部16cに嵌合された状態で、絶縁ケース16内に点灯装置17の回路基板17bが収容される。この際、絶縁ケース16の一対の支持溝16dは、軸線x−xから片方に片寄って形成されているので、絶縁ケース16、すなわち、本体13の支持溝16dと回路基板17bの向きを合わせることが行われる。
【0037】
すなわち、上記により、樹脂リング15の搬送方向の後ろに位置するように位置決めされた本体位置決め孔15b1を、チャックが自動的に感知し、本体13の軸心x−xを中心とする回転方向の向きの位置決めを行う。これにより、回路基板17bの向きを支持溝16dに合わせることができ、自動機械によって組み込むことができる。この工程の際に、回路基板17bの出力端子に接続された電線cを絶縁ケース16の一端部側の開口部16aから導出し、入力線を他端部側の開口部16bから導出させておく。
【0038】
次に、発光部12の基板12bに電線cを接続し、基板12bの裏面側を、本体13の平滑な段部からなる基板支持部13cに対して密着させネジによって固定する。次に、絶縁ケース16の他端部側の開口部16bから導出された入力線を口金部材14のシェル部14aおよびアイレット部14cに接続する。
【0039】
次に、本体13の他端部側から突出した口金支持部16cに口金部材14のシェル部14aをねじ込んで口金部材14を口金支持部16cに固定する。次に、カバー部材18の開口18aを、発光部12を覆うようにして本体13の基板支持部13c内に嵌め込み接着剤で固定する。
【0040】
上記により、LED11を光源とし、口金をE26形で構成した既存の一般白熱電球に代替が可能な電球形の口金付ランプ10が構成される。この口金付ランプは、本体13と口金部材14との間に介在して電気絶縁を図る樹脂リング15に対し、リングの中心oからずれた位置に略直線状の位置規制部材である凹溝15bを形成する簡単な手段によって、口金付ランプを自動機械によって組み立てる際に、樹脂リング15を所定の位置に確実に搬送させることが可能な口金付ランプとして構成される。特に、小型で比較的安価な部品搬送装置を使用して自動化を達成することが可能となり、コスト的に有利な口金付ランプおよび照明器具を提供することが可能になる。
【0041】
また、樹脂リング15の略直線状の位置規制部材である凹溝15bを、リングの中心oからずれた位置に形成したので、図4(b)に示すように、一対の凹溝15bを片方にずらして位置させることができ、口金付ランプのカタログ等の写真撮影時において、図中、A方向から撮影することによって、一対の凹溝15bを除外した状態で撮影することができる利点も奏する。
【0042】
次に、上記のように構成された電球形の口金付ランプ10を光源とした照明器具の構成を説明する。図5に示すように、30は店舗等の天井面Xに埋め込み設置され、E26形の口金を有する一般白熱電球を光源としたダウンライト式の既存の照明器具で、下面に開口部31aを有する金属製の箱状をなした器具本体31と、開口部に嵌合される金属製の反射体32と、一般白熱電球のE26形の口金をねじ込むことが可能なソケット33で構成されている。反射体32は、例えばステンレス等の金属板で構成し、反射体32の上面板の中央部にソケット33が設置される。
【0043】
上記に構成された一般白熱電球用の既存の照明器具30において、省エネや長寿命化などのために白熱電球に替えて、上述したLEDを光源とする電球形の口金付ランプ10を装着する。すなわち、電球形の口金付ランプ10は口金部材14をE26形に構成してあるので、上記照明器具30の一般白熱電球用のソケット33にそのまま差し込むことができる。
【0044】
また、口金付ランプ10は、本体13が略円錐状のテーパー面をなすようにして、外観が一般白熱電球におけるネック部のシルエットに近似させた形状に構成されているので、ネック部がソケット周辺の反射体32等に当たることなくスムーズに差し込むことができ、電球形の口金付ランプ10における既存照明器具への適合率が向上する。これにより、既存のダウンライトを、LEDを光源とした電球形の口金付ランプ10が設置された省エネ形のダウンライトに簡単に変えることができる。勿論、既存器具のみでなく、新規構成の照明器具も同様にして構成することができる。
【0045】
上記に構成されたダウンライトに電源を投入すると、ソケット33から口金付ランプ10に対し、口金部材14を介して商用電源が供給され、点灯装置17が動作して24Vの直流電圧が出力される。この直流電圧は点灯装置17から各LED11に印加され、定電流の直流電流が供給されて、全てのLEDが同時に点灯して白色の光が放射され所定の照明を行うことができる。
【0046】
以上、本実施形態において、樹脂リング15の位置規制部材を一対の凹溝15b、すなわち凹部で形成し、ガイドレール22eを直進フィーダ22の底面に突出させることによって凸部に形成し、凹部と凸部とが嵌合するように構成したが、図6(a)に示すように、逆に、樹脂リング15の位置規制部材を一対の凸部15b´で形成し、ガイドレールを直進フィーダ22の底面に凹溝22e´となるように形成し、凸部と凹部とが嵌合するように構成してもよい。この場合、樹脂リング15の表面側15aに一対の凸部15b´が突出するので、口金部材14におけるシェル部14aの開口端面に、凸部15b´が嵌め込まれる切欠を形成し、樹脂リング15に対してシェル部14aの開口端面が面一に嵌め込まれるようにするとよい。
【0047】
また、樹脂リング15の位置規制部材を一対の凹溝15bで構成したが、図6(b)に示すように、1本の直線状をなす凹溝15bで構成してもよい。また、樹脂リング15の位置規制部材15bを表面側15aに形成したが、組み立てるための設計仕様に対応して裏面側15cに形成してもよい。さらには、表面側15aおよび裏面側15cの両面に形成したものであってもよい。要は、表面側若しくは裏面側の少なくとも一方に樹脂リング15の中心からずれた位置に略直線状の位置規制部材15bが形成されたものであればよい。
【0048】
さらに、本実施形態において、口金付ランプ10は、既存の一般白熱電球の形状に近似させて構成したが、ボウル形(G形)、円筒形(T形)、反射形(R形)などに構成してもよい。また既存の白熱電球の形状に近似させた口金付ランプに限らず、その他各種の外観形状、用途をなす口金付ランプに適用することができる。
【0049】
また、固体発光素子11は、LEDに限らず、有機ELまたは半導体レーザなどを発光源とした固体発光素子が許容される。固体発光素子は、白色で発光するように構成することが好ましいが、使用される照明器具の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。発光部12の形状は、点または面モジュールを構成するために円形、四角形、六角形などの多角形状、さらには楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
【0050】
本体13は、熱伝導性の良好なアルミニウムで構成したが、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)の少なくとも一種を含む金属で形成してもよい。また、本体13は、上記実施形態のように放熱フィン13eを一体に有する場合には、アルミダイキャスト製とすることが好適であるが、必ずしも放熱フィンを有していなくてもよい。この場合には、アルミニウム等の金属板を絞り成形等することにより本体を形成することができる。
【0051】
口金部材14は、絶縁ケース16の口金支持部16cにねじ込むことによって支持したが、口金支持部16cのネジ部16c1を形成せずに、単にシェル部14aを嵌めこむことによって支持するようにしてもよい。さらに、口金部材14は固定をより強固にするために、カシメや接着剤等によって支持するようにしてもよい。口金部材14は、一般的に最も普及しているエジソンタイプのE26形やE17形等の口金が好適である。また、材質は口金全体が金属で構成されたものでも、電気的接続部分を銅板等の金属で構成し、それ以外の部分を合成樹脂で構成した樹脂製の口金であってもよい。さらに、ピン形の端子を有する口金部材でも、L字形の端子を有する口金部材でもよく、特定の口金部材には限定されない。
【0052】
点灯装置17は絶縁ケース16内に全てが収容され配設されたものでも、口金部材14に一部が収容されるものであってもよい。また、点灯装置17は、上記のように、電球内に内蔵させて、既存の一般白熱電球とそのまま代替ができるように構成することが好適であるが、コンパクト形蛍光ランプのように点灯装置はランプを装着する器具側に別置きにして設け、電球側には内蔵させないように構成してもよい。点灯装置17は、固体発光素子11を調光するための調光機能や調色機能を有するものであってもよい。
【0053】
また、本実施形態において、照明器具は、天井直付形、吊下形、壁面取付形、さらには天井埋込形等が許容され、器具本体に制光体としてグローブ、セード、反射体などが取付けられるものであっても、光源となる口金付ランプが露出するものであってもよい。また、器具本体に1個の口金付ランプを取付けたものに限らず、複数個が配設されるものであってもよい。さらに、オフィス等、施設・業務用の大型の照明器具などを構成してもよい。
【0054】
なお、本実施形態の変形例を示す図6において、図1〜図5と同一部分に同一の符合を付し、詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、例えば、GX53形の口金部材を備えた口金付ランプを構成するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
10 口金付ランプ
11 固体発光素子
12 発光部
13 本体
14 口金部材
15 樹脂リング
15a 表面側
15c 裏面側
15b 位置規制部材
30 照明器具
31 器具本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子を有する発光部と;
一端部側に発光部が設置される金属製の筒状をなす本体と;
本体の他端部側に設けられる金属製のキャップ状をなす口金部材と;
本体と口金部材との間に介在し、表面側若しくは裏面側の少なくとも一方にリングの中心からずれた位置に形成される略直線状の位置規制部材を有する樹脂リングと;
を具備していることを特徴とする口金付ランプ。
【請求項2】
ソケットが設けられる器具本体と;
器具本体のソケットに装着される請求項1に記載の口金付ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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