古紙パルプ製造装置および古紙再生処理装置および古紙パルプ製造装置の運転方法
【課題】古紙の離解処理を行っている際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から下流側へ漏洩するのを確実に防止することが可能な古紙パルプ製造装置を提供する。
【解決手段】古紙と水とを攪拌する攪拌槽32と、攪拌槽32内に生成された再生パルプ含有液37を槽外部へ取り出す流通配管41とが備えられ、流通配管41の途中に、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段43が設けられ、移送停止状態において、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止し、且つ、切換手段43の上流側の流通配管41内と下流側の流通配管41内との間が切換手段43によって遮断される。
【解決手段】古紙と水とを攪拌する攪拌槽32と、攪拌槽32内に生成された再生パルプ含有液37を槽外部へ取り出す流通配管41とが備えられ、流通配管41の途中に、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段43が設けられ、移送停止状態において、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止し、且つ、切換手段43の上流側の流通配管41内と下流側の流通配管41内との間が切換手段43によって遮断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙を離解させた再生パルプから紙を製造する技術に関するものであり、古紙パルプ製造装置、および、古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置、および、古紙パルプ製造装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置としては、例えば、図13,図14に示すように、ケーシング121内に攪拌槽122が設けられ、攪拌槽122内に攪拌羽根123が設けられ、攪拌槽122の底部に排出口124が形成されているものがある。排出口124には、排出口124を開閉する栓125が嵌め込まれている。尚、栓125は、リンク部材126とソレノイド127とにより上下移動自在である。攪拌槽122の下方にはスクリーン128が設けられ、スクリーン128の下流側(下段側)には紙抄装置と乾燥装置が設けられている。
【0003】
これによると、古紙の離解処理を行なう際、図13の実線および図14(a)に示すように、栓125を下降させて排出口124を栓125で閉じた状態で、攪拌槽122内に古紙と水とを投入し、攪拌羽根123を回転させて所定時間攪拌することにより、攪拌槽122内に再生パルプ含有液が生成される。その後、リンク部材126を作動して、図13の仮想線および図14(b)に示すように、栓125を上昇させ、排出口124を開くことにより、攪拌槽122内の再生パルプ含有液が排出口124を通ってスクリーン128へ流れ落ち、スクリーン128を通過した液は、抄紙装置で抄紙された後に乾燥装置で乾燥され、再生紙として再生される。尚、上記のような古紙再生処理装置については、例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−60570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来形式では、攪拌槽122内の再生パルプ含有液を排出口124から排出するため、図14(b)に示すように、栓125を上昇させて排出口124を開くと、栓125の表面に再生パルプ含有液中の繊維が付着する。排出後、図14(a)に示すように、栓125を下降させて排出口124を栓125で閉じると、栓125の下部は、攪拌槽122の下方の外部空間129に常に露出するため、外気に晒されて乾燥し易い。これにより、栓125の周囲に付着した再生パルプ含有液中の繊維が乾燥して固まり易く、栓125の周囲に乾燥した繊維がこびり付いて繊維の層を形成し、このような繊維の層によって、栓125と排出口124との間に隙間が形成され、排出口124を栓125で確実に閉じることができないといった不具合がある。これにより、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽122内の再生パルプ含有液が排出口124から栓125の下流側へ漏洩するといった問題がある。このような漏洩が発生すると、離解工程での繊維濃度が変動し、得られる再生紙の厚さ等の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
本発明は、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から下流側へ漏洩するのを確実に防止することが可能であり、これにより攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能な古紙パルプ製造装置および古紙再生処理装置および古紙パルプ製造装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明は、古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置であって、
古紙と水とを攪拌する攪拌槽と、攪拌槽内の再生パルプ含有液を攪拌槽の外部へ取り出す流通配管とが備えられ、
流通配管の途中に、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段が設けられ、
移送状態において、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、
移送停止状態において、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止し、且つ、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が切換手段によって遮断されるものである。
【0008】
これによると、古紙の離解処理を行う際、攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌し、攪拌槽内に再生パルプ含有液を生成する。このとき、切換手段によって流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換えておき、流通配管内の再生パルプ含有液の移送を停止するとともに、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断しておく。これにより、攪拌槽内の再生パルプ含有液は、流通配管から攪拌槽の外部へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0009】
また、切換手段は流通配管の途中に設けられているため、切換手段の下流側にも再生パルプ含有液が存在し、これにより、再生パルプ含有液中の繊維が切換手段に付着しても、切換手段に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、切換手段に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥して切換手段にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができ、また、メンテナンスも容易に行える。
【0010】
これにより、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断した際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から切換手段の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができ、これにより攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能である。
【0011】
その後、切換手段によって流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態から移送状態に切換えることにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0012】
本第2発明における古紙パルプ製造装置は、切換手段は流通配管内の再生パルプ含有液を強制的に移送する移送装置であり、
移送装置を駆動することによって移送状態に切換えられ、
移送装置を駆動停止することによって移送停止状態に切換えられ、
移送装置は、駆動時、流通配管内の再生パルプ含有液を、上流側と下流側とに分断した状態で、移送装置の上流側から下流側へ移送するものである。
【0013】
これによると、古紙の離解処理を行う際、攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌し、攪拌槽内に再生パルプ含有液を生成する。このとき、移送装置を駆動停止して流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換えておくことにより、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止され、移送装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が移送装置によって遮断される。このため、攪拌槽内の再生パルプ含有液は、移送装置の下流側へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0014】
また、移送装置は流通配管の途中に設けられているため、移送装置の下流側にも再生パルプ含有液が存在し、これにより、再生パルプ含有液中の繊維が移送装置に付着しても、移送装置に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、繊維が乾燥して移送装置にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができ、移送装置を駆動停止して、移送装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を移送装置によって遮断した際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が移送装置の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができる。
【0015】
その後、移送装置を駆動して流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態から移送状態に切換えることにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0016】
この際、流通配管内の再生パルプ含有液は移送装置によって上流側と下流側とに分断された状態で上流側から下流側へ移送されるため、分断されずに連続的に移送される場合に比べて、再生パルプ含有液中の繊維と液分(水分)とが分離し難く、再生パルプ含有液の繊維濃度が安定する。
【0017】
また、再生パルプ含有液中の繊維が移送装置の構成部材に絡み付き難いといったメリットもある。
本第3発明における古紙パルプ製造装置は、移送装置は、逆駆動することにより、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることが可能であるものである。
【0018】
これによると、移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液が流通配管内から攪拌槽内へ逆流する。このため、攪拌槽と移送装置との間における流通配管内に滞留した離解途中の古紙や再生パルプ等は、上記逆流によって攪拌槽内に返送され、攪拌槽内でさらに離解される。これにより、離解が十分に促進され、流通配管内に未離解の紙片が残存し難く、再生紙の品質向上が図れる。
【0019】
本第4発明における古紙パルプ製造装置は、流通配管は上流側端部が開口した状態で攪拌槽の下部に接続されているものである。
これによると、移送装置を駆動して攪拌槽内の再生パルプ含有液を流通配管から攪拌槽の外部へ取り出す際、再生パルプ含有液が攪拌槽内の下部に残留するのを防止することができ、攪拌槽内の全ての再生パルプ含有液を取り出すことができる。
【0020】
また、攪拌槽内の離解途中の古紙や再生パルプ等が流通配管の上流側端部から流通配管内に侵入して滞留した場合、移送装置を逆駆動することによって、流通配管内に滞留した離解途中の古紙や再生パルプ等が容易に流通配管の上流側端部から攪拌槽内に返送される。
【0021】
本第5発明における古紙パルプ製造装置は、切換手段は流路開閉装置であり、
流路開閉装置は、流通配管の少なくとも一部を形成するチューブと、チューブの外部に設けられた開閉部材とを有し、
チューブは径方向に弾性変形自在であり、
開閉部材はチューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉し、
チューブ内の流路を開くことによって移送状態に切換えられ、
チューブ内の流路を閉じることによって移送停止状態に切換えられるものである。
【0022】
これによると、古紙の離解処理を行う際、流路開閉装置の開閉部材でチューブ内の流路を閉じることにより、流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換え、この状態で攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌する。これにより、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止され、流路開閉装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が流路開閉装置によって遮断されるため、攪拌槽内に生成された再生パルプ含有液は、流通配管から攪拌槽の外部へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0023】
また、流路開閉装置は流通配管の途中に設けられているため、再生パルプ含有液中の繊維が流路開閉装置のチューブ内に付着しても、チューブ内に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、チューブ内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。
【0024】
その後、チューブ内の流路を開くことにより、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態に切換え、これにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0025】
また、開閉部材は、チューブの外部に設けられ、チューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉するため、チューブ内の再生パルプ含有液に直接接触することはない。これにより、チューブ内の再生パルプ含有液中の繊維が開閉部材に付着するのを防止することができ、さらには、再生パルプ含有液中の繊維は、チューブの内壁に付着した場合でも、容易に剥がれ落ちる。
【0026】
本第6発明における古紙再生処理装置は、少なくとも、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載の古紙パルプ製造装置と、古紙パルプ製造装置で得られた再生パルプ含有液を抄紙する抄紙装置とが備えられたものである。
【0027】
これによると、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から切換手段の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができ、攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能であり、再生紙の品質向上が図れる。
【0028】
また、再生パルプ含有液を古紙パルプ製造装置から後工程の抄紙装置へ移送した後、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断することにより、古紙パルプ製造装置の空になった攪拌槽を洗浄することができる。
【0029】
本第7発明は、古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置の運転方法であって、
攪拌槽内で古紙と水とを攪拌して再生パルプ含有液を生成し、
攪拌槽に接続された流通配管の途中に設けられた移送装置を正駆動することによって、攪拌槽内の再生パルプ含有液を、流通配管の上流側から下流側へ流し、攪拌槽の外部へ取り出して後工程の処理を実行し、
移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させるものである。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から下流側へ漏洩するのを防止することができ、これにより、攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態における古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】同、古紙パルプ製造装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】同、古紙パルプ製造装置の動作を示す概略断面図である。
【図4】同、古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図5】同、古紙パルプ製造装置のチューブポンプの拡大図である。
【図6】同、古紙再生処理装置に備えられた抄紙装置の構成を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図11】同、古紙パルプ製造装置の流路開閉装置の構成を示す概略拡大図であり、チューブ内の流路を閉じた状態を示す。
【図12】同、古紙パルプ製造装置の流路開閉装置の構成を示す概略拡大図であり、チューブ内の流路を開いた状態を示す。
【図13】従来の古紙パルプ製造装置の攪拌槽の断面図である。
【図14】同、攪拌槽の底部の拡大断面図であり、(a)は排出口を閉じた状態、(b)は排出口を開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は古紙再生処理装置1の構成を示す概略図であり、古紙再生処理装置1は古紙パルプ製造装置2と脱墨装置3と抄紙装置4と仕上げ装置5と排液処理装置6とを一体的に備える小型のものである。
【0033】
古紙パルプ製造装置2は、古紙7を離解して再生パルプを製造するものであり、脱墨装置3は、古紙パルプ製造装置2において製造された再生パルプを脱墨するものであり、抄紙装置4は、脱墨装置3において得られた脱墨パルプを抄紙し、抄紙により得られた湿紙を乾燥するものであり、仕上げ装置5は、抄紙装置4において湿紙を乾燥したものを裁断等することにより仕上げを行って再生紙8を得るものであり、排液処理装置6は、古紙パルプ製造装置2と脱墨装置3と抄紙装置4においてそれぞれ生じた排液を処理するものである。
(古紙パルプ製造装置2)
先ず、古紙パルプ製造装置2の構成を説明する。図2,図3は古紙パルプ製造装置2の内部構造を示す概略図である。古紙パルプ製造装置2は、古紙7を離解して再生パルプを製造するものであり、古紙投入部11とシュレッダー12と金属片除去部13と押圧部14とシュレッダータンク15と裁断紙量調整部16とパルパー17と貯蔵タンク18とを備えている。
【0034】
古紙投入部11は、処理を行なう古紙7を古紙パルプ製造装置2のホッパー19内に投入するための開口部である。シュレッダー12は、古紙投入部11から投入された古紙7を裁断して再生パルプの製造に適した所定の大きさの裁断紙片20にするものであり、古紙投入部11の下方に配置されている。金属片除去部13は、ステープラーの針等の金属類を取り除くものであり、マグネット等で構成され、シュレッダー12の下方に配置されている。
【0035】
押圧部14は、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を下向きに押圧して裁断紙片20の嵩高さを低減させる押圧部材22と、押圧部材22を昇降させる昇降手段23とを備えている。シュレッダータンク15は、裁断紙片20を一時的に貯留するものであり、底面25が排出口26に向けて傾斜する傾斜面を成す。排出口26には、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を排出する排出装置27が設けられている。排出装置27は、例えば、複数の羽根を回転軸の周りに放射状に配置した構成を有している。
【0036】
裁断紙量調整部16は、排出口26の下方に配置され、排出口26から排出される裁断紙片20を受け止める受け皿29と、受け皿29に受け止められた裁断紙片20の重量を計測する計測部30を備えている。受け皿29は図2に示した水平姿勢と図3に示したパルパー17へ向けて傾斜する傾斜姿勢とにわたって傾動自在であり、受け皿29を傾動させるモータ等の駆動手段(図示省略)が設けられている。また、受け皿29のパルパー17に隣接する側壁部29aは、図2に示す立ち姿勢の通常位置と、図3に示すパルパー17に向けて傾倒する傾倒位置とにわたって開閉可能に設けられ、受け皿29の傾動に伴って傾倒し、受け皿29の復動に伴って立ち姿勢に復帰するように構成されている。
【0037】
パルパー17は、古紙7の裁断紙片20を、水および離解促進剤の液体と攪拌し離解を行って再生パルプを製造するものである。パルパー17は、裁断紙片20が投入される攪拌槽32と、攪拌槽32に給水する給水部33と、攪拌槽32に離解促進剤を供給する離解促進剤供給部34とを備えている。尚、離解促進剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ類が用いられる。
【0038】
攪拌槽32の底部には、裁断紙片20を給水部33から給水された水とともに攪拌して離解するための攪拌羽根35と、攪拌羽根35を回転駆動させるモータ等の駆動手段36が設けられている。
【0039】
貯蔵タンク18(貯蔵部の一例)は、攪拌槽32内において生成された再生パルプ含有液37を攪拌しながら一時的に貯蔵するものであり、攪拌槽32の下流側(後段側)に配置されている。図4に示すように、貯蔵タンク18の底部には、再生パルプ含有液37を攪拌する攪拌羽根39と、攪拌羽根39を回転駆動させるモータ等の駆動手段40が設けられている。尚、再生パルプ含有液37とは、攪拌槽32内で裁断紙片20を離解することにより得られた再生パルプを含む液体のことであり、この再生パルプの他に、離解途中の古紙7と水と水中に取り出されたインク成分やトナー成分等の印刷成分と離解促進剤等を含む液体である。
【0040】
図4,図5に示すように、攪拌槽32の底部には、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を排出する排出口42と、再生パルプ含有液37を排出口42から外部へ取り出して貯蔵タンク18へ供給する流通配管41とが設けられている。流通配管41の上流側の一端は攪拌槽32の排出口42に接続されて攪拌槽32内に連通し、下流側の他端は貯蔵タンク18の底部に接続されて貯蔵タンク18内に連通している。
【0041】
流通配管41の途中には、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を貯蔵タンク18内に強制的に移送するチューブポンプ43(切換手段および移送装置の一例)が設けられている。チューブポンプ43は、ケーシング44内に回転自在に設けられたロータ45と、ロータ45の周囲にU形状に配設された弾性変形自在なチューブ46と、ロータ45に設けられたローラー47と、ロータ45を回転させるモータ等の駆動手段(図示省略)を有している。チューブ46の一端は吸込口48に接続され、他端は吐出口49に接続されている。
【0042】
流通配管41は、チューブポンプ43によって、第1流通配管41aと第2流通配管41bとに分割されている。第1流通配管41aの下流側端部がチューブポンプ43の吸込口48に接続され、第2流通配管41bの上流側端部がチューブポンプ43の吐出口49に接続されている。
【0043】
チューブポンプ43を正回転駆動することにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37を上流側から下流側へ移送する移送状態に切換えられる。すなわち、移送状態では、駆動手段によりロータ45が正方向Aへ回転駆動して、ローラー47がチューブ46を押し潰しながら正方向Aへ移動し、第1流通配管41a内の再生パルプ含有液37が、吸込口48からチューブ46に吸い込まれ、吐出口49から第2流通配管41b内に吐出される。このとき、チューブポンプ43は、チューブ46内の再生パルプ含有液37を、ローラー47で上流側と下流側とに分断した状態で、吸込口48側から吐出口49側へ移送する。
【0044】
また、チューブポンプ43を駆動停止することにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送を停止する移送停止状態に切換えられる。すなわち、移送停止状態では、駆動手段が停止してロータ45の回転が停止し、ローラー47が停止して、チューブ46内の再生パルプ含有液37の移送が停止される。この際、第1流通配管41a(すなわち切換手段の上流側の流通配管)内と第2流通配管41b(すなわち切換手段の下流側の流通配管41)内との間がチューブ46を押し潰しているローラー47によって遮断される。
【0045】
さらに、チューブポンプ43は、逆回転駆動することにより、流通配管41を通じて、下流側の貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37を上流側の攪拌槽32へ逆流させることができる。この際、駆動手段によりロータ45が逆方向Bへ回転駆動して、ローラー47がチューブ46を押し潰しながら逆方向Bへ移動し、第2流通配管41b内の再生パルプ含有液37が、吐出口49からチューブ46に吸い込まれ、吸込口48から第1流通配管41a内に吐出される。
(脱墨装置3)
次に、脱墨装置3の構成を説明する。図1に示すように、脱墨装置3は、古紙パルプ製造装置2の下流側(後段側)に設けられており、脱墨前希釈部60と脱墨部61とすすぎ部62を備え、各部間には配管およびポンプ等からなる移送部(図示省略)を設けている。
【0046】
図4に示すように、脱墨前希釈部60は、古紙パルプ製造装置2の貯蔵タンク18から送られた再生パルプ含有液37を脱墨に適した繊維濃度にまで希釈するものであり、希釈槽63と、希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤等を投入する希釈液供給部(図示省略)とを備えている。
【0047】
貯蔵タンク18と希釈槽63との間には配管64が接続され、貯蔵タンク18内と希釈槽63内とは配管64を介して連通している。配管64の途中には、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37を希釈槽63内に強制的に移送するチューブポンプ65が設けられている。尚、このチューブポンプ65は上記古紙パルプ製造装置2のチューブポンプ43と同一の構成を有している。
【0048】
図1に示すように、脱墨部61は、フローテーターと呼ばれ、インク成分やトナー成分等の印刷成分を再生パルプ含有液37から分離して脱墨パルプを製造するためのものである。
【0049】
すすぎ部62は、脱墨部61において得られた脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液中の脱墨剤を洗浄して除去するものである。
(抄紙装置4)
次に、抄紙装置4の構成を説明する。抄紙装置4は、脱墨装置3の下流側(後段側)に設けられており、すすぎ部62によるすすぎの終了した脱墨パルプ含有液を抄紙するものであり、図6に示すように、ヘッドボックス68とワイヤー部69と脱水部70とドライヤー部71を備えている。
【0050】
ヘッドボックス68は、すすぎ部62によるすすぎの終了した脱墨パルプ含有液をワイヤー部69に均一に供給するためのものである。また、ワイヤー部69は、無端状のメッシュベルト72を備えており、メッシュベルト72の網目によって脱墨パルプ含有液を濾過して脱水し、水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙75を形成するためのものである。
【0051】
脱水部70は、無端状の吸水ベルト73と圧搾ローラ74とを備えており、湿紙75に含まれる水分を吸水ベルト73に吸水させ、さらに、圧搾ローラ74で圧搾して湿紙75を脱水するためのものである。ドライヤー部71は、回転ローラ76と、ヒータを内蔵した乾燥ローラ77と、これらローラ76,77間に掛け渡された搬送ベルト78を備えており、乾燥ローラ77で湿紙75を乾燥させて仕上げ前の再生紙79を得るためのものである。
(仕上げ装置5)
次に、仕上げ装置5の構成を説明する。図1に示すように、仕上げ装置5は、抄紙装置4の下流側(後段側)に設けられており、カレンダー部80とカット部81を備えている。図6に示すように、カレンダー部80は、再生紙の平坦度を上げるためのプレスローラ82を備え、カット部81は再生紙を所定のサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(排液処理装置6)
次に、排液処理装置6の構成を説明する。図1に示すように、排液処理装置6は脱墨排水タンク85とすすぎ排水タンク86と抄紙排水タンク87の各槽体を有している。汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排水タンク85内の排水は、必要に応じて所定の廃液処理を行なって無毒化した後、古紙再生処理装置1の外部に排出するように構成されている。また、汚染の程度が低く再利用が可能なすすぎ排水タンク86と抄紙排水タンク87内の排水は、フィルターを通してインクおよびトナー等を除去し、必要に応じて薬剤を添加し中和する等の処理を施した後、再度パルパー17又は脱墨前希釈部60等へ供給し再利用可能に構成されている。
(第1の実施の形態の作用)
以下、上記構成における作用を説明する。
【0052】
先ず、図2に示すように、古紙7を古紙パルプ製造装置2の古紙投入部11からホッパー19内に投入すると、シュレッダー12が投入された古紙7を所定の大きさの裁断紙片20に裁断し、金属片除去部13が金属類を除去し、裁断紙片20がシュレッダータンク15内に一時的に貯留される。この際、図2の仮想線で示すように、昇降手段23によって押圧部材22を降下させ、押圧部材22で裁断紙片20を下向きに押圧して、裁断紙片20の嵩高さを低減することも可能である。
【0053】
次に、排出装置27を作動して、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を、排出口26から排出し、受け皿29に徐々に投下し、受け皿29内の裁断紙片20の重量を計測部30で計測する。計測部30による計測値が設定値に達した時点で排出装置27を停止し、図3に示すように、駆動手段を駆動して受け皿29を傾斜姿勢に傾動し、側壁部29aを傾倒して裁断紙片20をパルパー17の攪拌槽32へ投入する。
【0054】
パルパー17では、上記裁断紙片20の投入に先立って、予め投入される裁断紙片20の量に応じた量の水を給水部33から攪拌槽32に供給しておき、駆動手段36を作動して攪拌羽根35を回転し、攪拌槽32内の水を攪拌しておく。
【0055】
このような状態で、上記のようにして裁断紙片20を投入することにより、攪拌槽32内で裁断紙片20と水とを容易に混合することができる。そして、離解促進剤供給部34より離解促進剤を攪拌槽32に投入する。これにより、攪拌槽32内において裁断紙片20が水および離解促進剤と攪拌されて再生パルプ含有液が形成される。
【0056】
上記のように攪拌槽32内で裁断紙片20を攪拌して離解処理を行なうとき、図4に示すように、チューブポンプ43を駆動停止して、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態に切換えておく。これにより、チューブ46内の再生パルプ含有液37の移送が停止されるとともに、図5に示すように、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間がチューブ46を押し潰しているローラー47によって遮断されるため、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止され、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間がチューブポンプ43によって遮断される。これにより、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37は、流通配管41から貯蔵タンク18(攪拌槽の外部)へ流れ出すことなく、攪拌槽32内に留まる。
【0057】
また、チューブポンプ43は流通配管41の途中に設けられているため、チューブポンプ43の下流側にも再生パルプ含有液37が存在する。これにより、チューブポンプ43のチューブ46内に付着した繊維は、常に流通配管41の内部に閉じ込められており、流通配管41の外部空間55に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、チューブ46内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ46内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。これにより、チューブポンプ43を駆動停止して、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間をチューブポンプ43によって遮断した際、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41からチューブポンプ43の下流側(貯蔵タンク18側)に漏洩するのを確実に防止することができる。
【0058】
攪拌羽根35を所定時間回転して、攪拌槽32内に再生パルプ含有液37が生成された後、攪拌羽根35の回転を停止し、チューブポンプ43を正駆動して流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態から移送状態に切換える。これにより、図5に示すようにロータ45が正方向Aへ回転し、チューブポンプ43は、チューブ46内の再生パルプ含有液37を、ローラー47で上流側と下流側とに分断した状態で、吸込口48側から吐出口49側へ移送する。このため、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41を通って貯蔵タンク18内へ移送される。
【0059】
尚、上記のような離解処理を行っていると、離解途中の裁断紙片20や再生パルプ等が第1流通配管41a内に次第に滞留する。この場合、チューブポンプ43を逆駆動することにより、ロータ45が逆方向Bへ回転し、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が流通配管41を通って攪拌槽32内へ逆流する。このため、第1流通配管41a内に滞留した離解途中の裁断紙片20や再生パルプは、上記再生パルプ含有液37の逆流Cによって攪拌槽32内に返送され、攪拌槽32内でさらに離解される。これにより、離解が十分に促進される。
【0060】
尚、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が不足して、十分な量の再生パルプ含有液37を貯蔵タンク18から攪拌槽32へ逆流させることができない場合は、予め貯蔵タンク18内に水を貯留しておいてもよい。
【0061】
また、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を全て貯蔵タンク18内へ移送して、攪拌槽32内を空にすることにより、攪拌槽32内を洗浄することができる。また、図4に示すように、貯蔵タンク18内へ移送された再生パルプ含有液37は、駆動手段40で回転駆動される攪拌羽根39により攪拌されながら、貯蔵タンク18内で一時貯留される。その後、離解処理の後工程の処理として、チューブポンプ65を駆動することにより、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が配管64内を通って脱墨前希釈部60の希釈槽63に移送され、希釈用水および界面活性剤等が希釈液供給部から希釈槽63内の再生パルプ含有液37に投入され、希釈槽63内の再生パルプ含有液37が脱墨に適した繊維濃度に希釈される。
【0062】
その後、図1に示すように、再生パルプ含有液37は希釈槽63(脱墨前希釈部60)から脱墨部61へ供給され、脱墨部61において、インク成分やトナー成分等の印刷成分が再生パルプ含有液37から分離され、脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液が生成される。この脱墨パルプ含有液は脱墨部61からすすぎ部62へ供給され、すすぎ部62において、脱墨パルプ含有液中の脱墨剤が洗浄され除去される。
【0063】
すすぎ部62によるすすぎを終了した脱墨パルプ含有液は、図1,図6に示すように、すすぎ部62から抄紙装置4のヘッドボックス68に供給され、ヘッドボックス68からワイヤー部69に均一に供給される。ワイヤー部69に供給された脱墨パルプ含有液がメッシュベルト72によって脱水濾過されることで、湿紙75が形成され、湿紙75の水分が脱水部70の吸水ベルト73に吸収され、さらに、湿紙75は、圧搾ローラ74で圧搾されて脱水され、その後、ドライヤー部71の乾燥ローラ77で乾燥される。これにより、仕上げ前の再生紙79が得られる。
【0064】
その後、仕上げ前の再生紙79は、ドライヤー部71から仕上げ装置5のカレンダー部80へ搬送され、プレスローラ82でプレスされて平坦度を上げられた後、カット部81において所定のサイズにカットされる。これにより、図1に示すように、所定のサイズの再生紙8が製造される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では図7に示すように、攪拌槽32の底部に排出口42(図5参照)は形成されておらず、流通配管41の上流側端部が攪拌槽32の上部開口から攪拌槽32内の底部に向って垂下されている。これによると、上記第1の実施の形態において攪拌槽32の底部に形成した排出口42を不要にし得る。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では図8に示すように、第2流通配管41b内の再生パルプ含有液37を攪拌槽32へ戻す循環用配管51が第2流通配管41bから分岐して設けられている。この循環用配管51には開閉弁52が設けられている。
【0065】
これによると、チューブポンプ43を正駆動した状態で、開閉弁52を開くことにより、第2流通配管41b内を流れる再生パルプ含有液37の一部又は全部が循環用配管51を通って攪拌槽32へ戻される。これにより、第1流通配管41a内に滞留した離解途中の裁断紙片20や再生パルプは、チューブポンプ43を経て、第2流通配管41bから循環用配管51を流れ、攪拌槽32に返送され攪拌槽32内でさらに攪拌され離解されるため、離解が十分に促進される。
【0066】
また、開閉弁52を閉じることにより、第2流通配管41b内を流れる再生パルプ含有液37は全て貯蔵タンク18に供給される。
(第4の実施の形態)
上記第1〜第3の実施の形態では、切換手段および移送手段の一例としてチューブポンプ43を挙げたが、チューブポンプ43に限定されるものではなく、例えば、第4の実施の形態として図9に示すように、再生パルプ含有液37の下流側への流出を阻止可能な密閉性の高い且つ吸引力の大きなモーノポンプ53を用いてもよい。
【0067】
尚、同様に、第1〜第3の実施の形態で示したチューブポンプ65(図4参照)の代わりに、図9に示すように、モーノポンプ88を用いてもよい。
上記第1〜第4の実施の形態では、移送手段の一例としてチューブポンプ43又はモーノポンプ53を用いたが、その他のポンプ、例えば、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、混流ポンプ等のターボ形ポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ベーンポンプ、ねじポンプ、カスケードポンプ等を用いてもよい。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では図10に示すように、貯蔵タンク18が攪拌槽32の下方に配置され、流通配管41の上端が攪拌槽32の底部に接続され、流通配管41の下端が貯蔵タンク18の上部に接続され、攪拌槽32内と貯蔵タンク18内とが上下方向の流通配管41を介して連通している。
【0068】
切換手段の一例として流路開閉装置90が流通配管41に設けられている。図11,図12に示すように、流路開閉装置90は、流通配管41の途中の一部分を形成するチューブ91と、チューブ91の径方向における外部に設けられた一対の開閉部材92a,92bと、開閉部材92a,92bをチューブ91の径方向へ移動させるシリンダー等から成る駆動装置93とを有している。チューブ91は、可撓性を有するとともに径方向に弾性変形自在であり、両開閉部材92a,92b間に上下方向に配置されている。
【0069】
流通配管41は、流路開閉装置90によって、第1流通配管41aと第2流通配管41bとに分割されている。第1流通配管41aの下流側端部がチューブ91の一端に接続され、第2流通配管41bの上流側端部がチューブ91の他端に接続されている。
【0070】
両開閉部材92a,92bは、チューブ91の径方向において互いに接近離間移動することで、チューブ91を外部から径方向に変形させてチューブ91内の流路94を開閉するものである。すなわち、図11に示すように、駆動装置93の駆動により、両開閉部材92a,92bが閉位置まで互いに接近すると、チューブ91が両開閉部材92a,92bに挟まれて径方向に圧縮され、チューブ91内の流路94が閉じられて、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送停止状態に切換えられる。また、図12に示すように、両開閉部材92a,92bが開位置まで互いに離間すると、チューブ91が復元力により元の形状に復元し、チューブ91内の流路94が開かれ、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送状態に切換えられる。
【0071】
以下、上記構成における作用を説明する。
攪拌槽32内で裁断紙片20を水および離解促進剤と攪拌して離解処理を行なうとき、図11に示すように、両開閉部材92a,92bを閉位置に移動して、チューブ91内の流路94を閉じ、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態に切換えておく。これにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止され、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間が流路開閉装置90によって遮断されるため、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37は、流通配管41から貯蔵タンク18へ流れ出すことなく、攪拌槽32内に留まる。
【0072】
また、流路開閉装置90は流通配管41の途中に設けられているため、チューブ91内に付着した繊維は、常に流通配管41の内部に閉じ込められており、流通配管41の外部空間95に露出して外気に晒されることはないので、乾燥しない。したがって、チューブ91内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ91内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。これにより、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間を流路開閉装置90によって遮断した際、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41から流路開閉装置90の下流側(貯蔵タンク18側)に漏洩するのを確実に防止することができる。
【0073】
攪拌羽根35を所定時間回転して、攪拌槽32内に再生パルプ含有液37が生成された後、攪拌羽根35の回転を停止し、図12に示すように、両開閉部材92a,92bを開位置に移動させることにより、チューブ91内の流路94が開かれ、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送停止状態から移送状態に切換えられる。これにより、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41内を流れ落ちて貯蔵タンク18内へ移送される。
【0074】
また、開閉部材92a,92bはチューブ91内の再生パルプ含有液37に直接接触することはなく、このため、チューブ91内の再生パルプ含有液37中の繊維が開閉部材92a,92bに付着するのを防止することができる。
【0075】
上記実施の形態では、図11,図12に示すように、両開閉部材92a,92bをそれぞれ、開位置と閉位置とに移動しているが、いずれか一方の開閉部材を固定し、固定した開閉部材に対して他方の開閉部材を移動させてもよい。また、二個の開閉部材92a,92bを設けたが、三個以上の複数個設けてもよい。
【0076】
上記各実施の形態では、一般会社向けの小型の古紙再生処理装置1を挙げたが、製紙工場に設置される大型の古紙再生処理装置であっても適用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 古紙再生処理装置
2 古紙パルプ製造装置
4 抄紙装置
7 古紙
32 攪拌槽
37 再生パルプ含有液
41 流通配管
43 チューブポンプ(切換手段,移送装置)
53 モーノポンプ(切換手段,移送装置)
90 流路開閉装置(切換手段)
91 チューブ
92a,92b 開閉部材
94 流路
C 逆流
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙を離解させた再生パルプから紙を製造する技術に関するものであり、古紙パルプ製造装置、および、古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置、および、古紙パルプ製造装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置としては、例えば、図13,図14に示すように、ケーシング121内に攪拌槽122が設けられ、攪拌槽122内に攪拌羽根123が設けられ、攪拌槽122の底部に排出口124が形成されているものがある。排出口124には、排出口124を開閉する栓125が嵌め込まれている。尚、栓125は、リンク部材126とソレノイド127とにより上下移動自在である。攪拌槽122の下方にはスクリーン128が設けられ、スクリーン128の下流側(下段側)には紙抄装置と乾燥装置が設けられている。
【0003】
これによると、古紙の離解処理を行なう際、図13の実線および図14(a)に示すように、栓125を下降させて排出口124を栓125で閉じた状態で、攪拌槽122内に古紙と水とを投入し、攪拌羽根123を回転させて所定時間攪拌することにより、攪拌槽122内に再生パルプ含有液が生成される。その後、リンク部材126を作動して、図13の仮想線および図14(b)に示すように、栓125を上昇させ、排出口124を開くことにより、攪拌槽122内の再生パルプ含有液が排出口124を通ってスクリーン128へ流れ落ち、スクリーン128を通過した液は、抄紙装置で抄紙された後に乾燥装置で乾燥され、再生紙として再生される。尚、上記のような古紙再生処理装置については、例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−60570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来形式では、攪拌槽122内の再生パルプ含有液を排出口124から排出するため、図14(b)に示すように、栓125を上昇させて排出口124を開くと、栓125の表面に再生パルプ含有液中の繊維が付着する。排出後、図14(a)に示すように、栓125を下降させて排出口124を栓125で閉じると、栓125の下部は、攪拌槽122の下方の外部空間129に常に露出するため、外気に晒されて乾燥し易い。これにより、栓125の周囲に付着した再生パルプ含有液中の繊維が乾燥して固まり易く、栓125の周囲に乾燥した繊維がこびり付いて繊維の層を形成し、このような繊維の層によって、栓125と排出口124との間に隙間が形成され、排出口124を栓125で確実に閉じることができないといった不具合がある。これにより、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽122内の再生パルプ含有液が排出口124から栓125の下流側へ漏洩するといった問題がある。このような漏洩が発生すると、離解工程での繊維濃度が変動し、得られる再生紙の厚さ等の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
本発明は、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から下流側へ漏洩するのを確実に防止することが可能であり、これにより攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能な古紙パルプ製造装置および古紙再生処理装置および古紙パルプ製造装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明は、古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置であって、
古紙と水とを攪拌する攪拌槽と、攪拌槽内の再生パルプ含有液を攪拌槽の外部へ取り出す流通配管とが備えられ、
流通配管の途中に、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段が設けられ、
移送状態において、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、
移送停止状態において、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止し、且つ、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が切換手段によって遮断されるものである。
【0008】
これによると、古紙の離解処理を行う際、攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌し、攪拌槽内に再生パルプ含有液を生成する。このとき、切換手段によって流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換えておき、流通配管内の再生パルプ含有液の移送を停止するとともに、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断しておく。これにより、攪拌槽内の再生パルプ含有液は、流通配管から攪拌槽の外部へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0009】
また、切換手段は流通配管の途中に設けられているため、切換手段の下流側にも再生パルプ含有液が存在し、これにより、再生パルプ含有液中の繊維が切換手段に付着しても、切換手段に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、切換手段に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥して切換手段にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができ、また、メンテナンスも容易に行える。
【0010】
これにより、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断した際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から切換手段の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができ、これにより攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能である。
【0011】
その後、切換手段によって流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態から移送状態に切換えることにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0012】
本第2発明における古紙パルプ製造装置は、切換手段は流通配管内の再生パルプ含有液を強制的に移送する移送装置であり、
移送装置を駆動することによって移送状態に切換えられ、
移送装置を駆動停止することによって移送停止状態に切換えられ、
移送装置は、駆動時、流通配管内の再生パルプ含有液を、上流側と下流側とに分断した状態で、移送装置の上流側から下流側へ移送するものである。
【0013】
これによると、古紙の離解処理を行う際、攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌し、攪拌槽内に再生パルプ含有液を生成する。このとき、移送装置を駆動停止して流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換えておくことにより、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止され、移送装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が移送装置によって遮断される。このため、攪拌槽内の再生パルプ含有液は、移送装置の下流側へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0014】
また、移送装置は流通配管の途中に設けられているため、移送装置の下流側にも再生パルプ含有液が存在し、これにより、再生パルプ含有液中の繊維が移送装置に付着しても、移送装置に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、繊維が乾燥して移送装置にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができ、移送装置を駆動停止して、移送装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を移送装置によって遮断した際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が移送装置の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができる。
【0015】
その後、移送装置を駆動して流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態から移送状態に切換えることにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0016】
この際、流通配管内の再生パルプ含有液は移送装置によって上流側と下流側とに分断された状態で上流側から下流側へ移送されるため、分断されずに連続的に移送される場合に比べて、再生パルプ含有液中の繊維と液分(水分)とが分離し難く、再生パルプ含有液の繊維濃度が安定する。
【0017】
また、再生パルプ含有液中の繊維が移送装置の構成部材に絡み付き難いといったメリットもある。
本第3発明における古紙パルプ製造装置は、移送装置は、逆駆動することにより、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることが可能であるものである。
【0018】
これによると、移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液が流通配管内から攪拌槽内へ逆流する。このため、攪拌槽と移送装置との間における流通配管内に滞留した離解途中の古紙や再生パルプ等は、上記逆流によって攪拌槽内に返送され、攪拌槽内でさらに離解される。これにより、離解が十分に促進され、流通配管内に未離解の紙片が残存し難く、再生紙の品質向上が図れる。
【0019】
本第4発明における古紙パルプ製造装置は、流通配管は上流側端部が開口した状態で攪拌槽の下部に接続されているものである。
これによると、移送装置を駆動して攪拌槽内の再生パルプ含有液を流通配管から攪拌槽の外部へ取り出す際、再生パルプ含有液が攪拌槽内の下部に残留するのを防止することができ、攪拌槽内の全ての再生パルプ含有液を取り出すことができる。
【0020】
また、攪拌槽内の離解途中の古紙や再生パルプ等が流通配管の上流側端部から流通配管内に侵入して滞留した場合、移送装置を逆駆動することによって、流通配管内に滞留した離解途中の古紙や再生パルプ等が容易に流通配管の上流側端部から攪拌槽内に返送される。
【0021】
本第5発明における古紙パルプ製造装置は、切換手段は流路開閉装置であり、
流路開閉装置は、流通配管の少なくとも一部を形成するチューブと、チューブの外部に設けられた開閉部材とを有し、
チューブは径方向に弾性変形自在であり、
開閉部材はチューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉し、
チューブ内の流路を開くことによって移送状態に切換えられ、
チューブ内の流路を閉じることによって移送停止状態に切換えられるものである。
【0022】
これによると、古紙の離解処理を行う際、流路開閉装置の開閉部材でチューブ内の流路を閉じることにより、流通配管内の再生パルプ含有液を移送停止状態に切換え、この状態で攪拌槽に古紙と水とを投入して攪拌する。これにより、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止され、流路開閉装置の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が流路開閉装置によって遮断されるため、攪拌槽内に生成された再生パルプ含有液は、流通配管から攪拌槽の外部へ流れ出すことなく、攪拌槽内に留まる。
【0023】
また、流路開閉装置は流通配管の途中に設けられているため、再生パルプ含有液中の繊維が流路開閉装置のチューブ内に付着しても、チューブ内に付着した繊維は、常に流通配管の内部に閉じ込められており、流通配管の外部空間に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、チューブ内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。
【0024】
その後、チューブ内の流路を開くことにより、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態に切換え、これにより、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管を流れて攪拌槽の外部へ取り出される。
【0025】
また、開閉部材は、チューブの外部に設けられ、チューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉するため、チューブ内の再生パルプ含有液に直接接触することはない。これにより、チューブ内の再生パルプ含有液中の繊維が開閉部材に付着するのを防止することができ、さらには、再生パルプ含有液中の繊維は、チューブの内壁に付着した場合でも、容易に剥がれ落ちる。
【0026】
本第6発明における古紙再生処理装置は、少なくとも、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載の古紙パルプ製造装置と、古紙パルプ製造装置で得られた再生パルプ含有液を抄紙する抄紙装置とが備えられたものである。
【0027】
これによると、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から切換手段の下流側へ漏洩するのを確実に防止することができ、攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能であり、再生紙の品質向上が図れる。
【0028】
また、再生パルプ含有液を古紙パルプ製造装置から後工程の抄紙装置へ移送した後、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間を切換手段によって遮断することにより、古紙パルプ製造装置の空になった攪拌槽を洗浄することができる。
【0029】
本第7発明は、古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置の運転方法であって、
攪拌槽内で古紙と水とを攪拌して再生パルプ含有液を生成し、
攪拌槽に接続された流通配管の途中に設けられた移送装置を正駆動することによって、攪拌槽内の再生パルプ含有液を、流通配管の上流側から下流側へ流し、攪拌槽の外部へ取り出して後工程の処理を実行し、
移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させるものである。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、古紙の離解処理を行なっている際、攪拌槽内の再生パルプ含有液が流通配管から下流側へ漏洩するのを防止することができ、これにより、攪拌槽内の繊維濃度を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態における古紙パルプ製造装置を備えた古紙再生処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】同、古紙パルプ製造装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】同、古紙パルプ製造装置の動作を示す概略断面図である。
【図4】同、古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図5】同、古紙パルプ製造装置のチューブポンプの拡大図である。
【図6】同、古紙再生処理装置に備えられた抄紙装置の構成を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態における古紙パルプ製造装置のパルパーと貯蔵タンクの箇所の拡大図である。
【図11】同、古紙パルプ製造装置の流路開閉装置の構成を示す概略拡大図であり、チューブ内の流路を閉じた状態を示す。
【図12】同、古紙パルプ製造装置の流路開閉装置の構成を示す概略拡大図であり、チューブ内の流路を開いた状態を示す。
【図13】従来の古紙パルプ製造装置の攪拌槽の断面図である。
【図14】同、攪拌槽の底部の拡大断面図であり、(a)は排出口を閉じた状態、(b)は排出口を開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は古紙再生処理装置1の構成を示す概略図であり、古紙再生処理装置1は古紙パルプ製造装置2と脱墨装置3と抄紙装置4と仕上げ装置5と排液処理装置6とを一体的に備える小型のものである。
【0033】
古紙パルプ製造装置2は、古紙7を離解して再生パルプを製造するものであり、脱墨装置3は、古紙パルプ製造装置2において製造された再生パルプを脱墨するものであり、抄紙装置4は、脱墨装置3において得られた脱墨パルプを抄紙し、抄紙により得られた湿紙を乾燥するものであり、仕上げ装置5は、抄紙装置4において湿紙を乾燥したものを裁断等することにより仕上げを行って再生紙8を得るものであり、排液処理装置6は、古紙パルプ製造装置2と脱墨装置3と抄紙装置4においてそれぞれ生じた排液を処理するものである。
(古紙パルプ製造装置2)
先ず、古紙パルプ製造装置2の構成を説明する。図2,図3は古紙パルプ製造装置2の内部構造を示す概略図である。古紙パルプ製造装置2は、古紙7を離解して再生パルプを製造するものであり、古紙投入部11とシュレッダー12と金属片除去部13と押圧部14とシュレッダータンク15と裁断紙量調整部16とパルパー17と貯蔵タンク18とを備えている。
【0034】
古紙投入部11は、処理を行なう古紙7を古紙パルプ製造装置2のホッパー19内に投入するための開口部である。シュレッダー12は、古紙投入部11から投入された古紙7を裁断して再生パルプの製造に適した所定の大きさの裁断紙片20にするものであり、古紙投入部11の下方に配置されている。金属片除去部13は、ステープラーの針等の金属類を取り除くものであり、マグネット等で構成され、シュレッダー12の下方に配置されている。
【0035】
押圧部14は、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を下向きに押圧して裁断紙片20の嵩高さを低減させる押圧部材22と、押圧部材22を昇降させる昇降手段23とを備えている。シュレッダータンク15は、裁断紙片20を一時的に貯留するものであり、底面25が排出口26に向けて傾斜する傾斜面を成す。排出口26には、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を排出する排出装置27が設けられている。排出装置27は、例えば、複数の羽根を回転軸の周りに放射状に配置した構成を有している。
【0036】
裁断紙量調整部16は、排出口26の下方に配置され、排出口26から排出される裁断紙片20を受け止める受け皿29と、受け皿29に受け止められた裁断紙片20の重量を計測する計測部30を備えている。受け皿29は図2に示した水平姿勢と図3に示したパルパー17へ向けて傾斜する傾斜姿勢とにわたって傾動自在であり、受け皿29を傾動させるモータ等の駆動手段(図示省略)が設けられている。また、受け皿29のパルパー17に隣接する側壁部29aは、図2に示す立ち姿勢の通常位置と、図3に示すパルパー17に向けて傾倒する傾倒位置とにわたって開閉可能に設けられ、受け皿29の傾動に伴って傾倒し、受け皿29の復動に伴って立ち姿勢に復帰するように構成されている。
【0037】
パルパー17は、古紙7の裁断紙片20を、水および離解促進剤の液体と攪拌し離解を行って再生パルプを製造するものである。パルパー17は、裁断紙片20が投入される攪拌槽32と、攪拌槽32に給水する給水部33と、攪拌槽32に離解促進剤を供給する離解促進剤供給部34とを備えている。尚、離解促進剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ類が用いられる。
【0038】
攪拌槽32の底部には、裁断紙片20を給水部33から給水された水とともに攪拌して離解するための攪拌羽根35と、攪拌羽根35を回転駆動させるモータ等の駆動手段36が設けられている。
【0039】
貯蔵タンク18(貯蔵部の一例)は、攪拌槽32内において生成された再生パルプ含有液37を攪拌しながら一時的に貯蔵するものであり、攪拌槽32の下流側(後段側)に配置されている。図4に示すように、貯蔵タンク18の底部には、再生パルプ含有液37を攪拌する攪拌羽根39と、攪拌羽根39を回転駆動させるモータ等の駆動手段40が設けられている。尚、再生パルプ含有液37とは、攪拌槽32内で裁断紙片20を離解することにより得られた再生パルプを含む液体のことであり、この再生パルプの他に、離解途中の古紙7と水と水中に取り出されたインク成分やトナー成分等の印刷成分と離解促進剤等を含む液体である。
【0040】
図4,図5に示すように、攪拌槽32の底部には、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を排出する排出口42と、再生パルプ含有液37を排出口42から外部へ取り出して貯蔵タンク18へ供給する流通配管41とが設けられている。流通配管41の上流側の一端は攪拌槽32の排出口42に接続されて攪拌槽32内に連通し、下流側の他端は貯蔵タンク18の底部に接続されて貯蔵タンク18内に連通している。
【0041】
流通配管41の途中には、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を貯蔵タンク18内に強制的に移送するチューブポンプ43(切換手段および移送装置の一例)が設けられている。チューブポンプ43は、ケーシング44内に回転自在に設けられたロータ45と、ロータ45の周囲にU形状に配設された弾性変形自在なチューブ46と、ロータ45に設けられたローラー47と、ロータ45を回転させるモータ等の駆動手段(図示省略)を有している。チューブ46の一端は吸込口48に接続され、他端は吐出口49に接続されている。
【0042】
流通配管41は、チューブポンプ43によって、第1流通配管41aと第2流通配管41bとに分割されている。第1流通配管41aの下流側端部がチューブポンプ43の吸込口48に接続され、第2流通配管41bの上流側端部がチューブポンプ43の吐出口49に接続されている。
【0043】
チューブポンプ43を正回転駆動することにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37を上流側から下流側へ移送する移送状態に切換えられる。すなわち、移送状態では、駆動手段によりロータ45が正方向Aへ回転駆動して、ローラー47がチューブ46を押し潰しながら正方向Aへ移動し、第1流通配管41a内の再生パルプ含有液37が、吸込口48からチューブ46に吸い込まれ、吐出口49から第2流通配管41b内に吐出される。このとき、チューブポンプ43は、チューブ46内の再生パルプ含有液37を、ローラー47で上流側と下流側とに分断した状態で、吸込口48側から吐出口49側へ移送する。
【0044】
また、チューブポンプ43を駆動停止することにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送を停止する移送停止状態に切換えられる。すなわち、移送停止状態では、駆動手段が停止してロータ45の回転が停止し、ローラー47が停止して、チューブ46内の再生パルプ含有液37の移送が停止される。この際、第1流通配管41a(すなわち切換手段の上流側の流通配管)内と第2流通配管41b(すなわち切換手段の下流側の流通配管41)内との間がチューブ46を押し潰しているローラー47によって遮断される。
【0045】
さらに、チューブポンプ43は、逆回転駆動することにより、流通配管41を通じて、下流側の貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37を上流側の攪拌槽32へ逆流させることができる。この際、駆動手段によりロータ45が逆方向Bへ回転駆動して、ローラー47がチューブ46を押し潰しながら逆方向Bへ移動し、第2流通配管41b内の再生パルプ含有液37が、吐出口49からチューブ46に吸い込まれ、吸込口48から第1流通配管41a内に吐出される。
(脱墨装置3)
次に、脱墨装置3の構成を説明する。図1に示すように、脱墨装置3は、古紙パルプ製造装置2の下流側(後段側)に設けられており、脱墨前希釈部60と脱墨部61とすすぎ部62を備え、各部間には配管およびポンプ等からなる移送部(図示省略)を設けている。
【0046】
図4に示すように、脱墨前希釈部60は、古紙パルプ製造装置2の貯蔵タンク18から送られた再生パルプ含有液37を脱墨に適した繊維濃度にまで希釈するものであり、希釈槽63と、希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤等を投入する希釈液供給部(図示省略)とを備えている。
【0047】
貯蔵タンク18と希釈槽63との間には配管64が接続され、貯蔵タンク18内と希釈槽63内とは配管64を介して連通している。配管64の途中には、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37を希釈槽63内に強制的に移送するチューブポンプ65が設けられている。尚、このチューブポンプ65は上記古紙パルプ製造装置2のチューブポンプ43と同一の構成を有している。
【0048】
図1に示すように、脱墨部61は、フローテーターと呼ばれ、インク成分やトナー成分等の印刷成分を再生パルプ含有液37から分離して脱墨パルプを製造するためのものである。
【0049】
すすぎ部62は、脱墨部61において得られた脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液中の脱墨剤を洗浄して除去するものである。
(抄紙装置4)
次に、抄紙装置4の構成を説明する。抄紙装置4は、脱墨装置3の下流側(後段側)に設けられており、すすぎ部62によるすすぎの終了した脱墨パルプ含有液を抄紙するものであり、図6に示すように、ヘッドボックス68とワイヤー部69と脱水部70とドライヤー部71を備えている。
【0050】
ヘッドボックス68は、すすぎ部62によるすすぎの終了した脱墨パルプ含有液をワイヤー部69に均一に供給するためのものである。また、ワイヤー部69は、無端状のメッシュベルト72を備えており、メッシュベルト72の網目によって脱墨パルプ含有液を濾過して脱水し、水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙75を形成するためのものである。
【0051】
脱水部70は、無端状の吸水ベルト73と圧搾ローラ74とを備えており、湿紙75に含まれる水分を吸水ベルト73に吸水させ、さらに、圧搾ローラ74で圧搾して湿紙75を脱水するためのものである。ドライヤー部71は、回転ローラ76と、ヒータを内蔵した乾燥ローラ77と、これらローラ76,77間に掛け渡された搬送ベルト78を備えており、乾燥ローラ77で湿紙75を乾燥させて仕上げ前の再生紙79を得るためのものである。
(仕上げ装置5)
次に、仕上げ装置5の構成を説明する。図1に示すように、仕上げ装置5は、抄紙装置4の下流側(後段側)に設けられており、カレンダー部80とカット部81を備えている。図6に示すように、カレンダー部80は、再生紙の平坦度を上げるためのプレスローラ82を備え、カット部81は再生紙を所定のサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(排液処理装置6)
次に、排液処理装置6の構成を説明する。図1に示すように、排液処理装置6は脱墨排水タンク85とすすぎ排水タンク86と抄紙排水タンク87の各槽体を有している。汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排水タンク85内の排水は、必要に応じて所定の廃液処理を行なって無毒化した後、古紙再生処理装置1の外部に排出するように構成されている。また、汚染の程度が低く再利用が可能なすすぎ排水タンク86と抄紙排水タンク87内の排水は、フィルターを通してインクおよびトナー等を除去し、必要に応じて薬剤を添加し中和する等の処理を施した後、再度パルパー17又は脱墨前希釈部60等へ供給し再利用可能に構成されている。
(第1の実施の形態の作用)
以下、上記構成における作用を説明する。
【0052】
先ず、図2に示すように、古紙7を古紙パルプ製造装置2の古紙投入部11からホッパー19内に投入すると、シュレッダー12が投入された古紙7を所定の大きさの裁断紙片20に裁断し、金属片除去部13が金属類を除去し、裁断紙片20がシュレッダータンク15内に一時的に貯留される。この際、図2の仮想線で示すように、昇降手段23によって押圧部材22を降下させ、押圧部材22で裁断紙片20を下向きに押圧して、裁断紙片20の嵩高さを低減することも可能である。
【0053】
次に、排出装置27を作動して、シュレッダータンク15内の裁断紙片20を、排出口26から排出し、受け皿29に徐々に投下し、受け皿29内の裁断紙片20の重量を計測部30で計測する。計測部30による計測値が設定値に達した時点で排出装置27を停止し、図3に示すように、駆動手段を駆動して受け皿29を傾斜姿勢に傾動し、側壁部29aを傾倒して裁断紙片20をパルパー17の攪拌槽32へ投入する。
【0054】
パルパー17では、上記裁断紙片20の投入に先立って、予め投入される裁断紙片20の量に応じた量の水を給水部33から攪拌槽32に供給しておき、駆動手段36を作動して攪拌羽根35を回転し、攪拌槽32内の水を攪拌しておく。
【0055】
このような状態で、上記のようにして裁断紙片20を投入することにより、攪拌槽32内で裁断紙片20と水とを容易に混合することができる。そして、離解促進剤供給部34より離解促進剤を攪拌槽32に投入する。これにより、攪拌槽32内において裁断紙片20が水および離解促進剤と攪拌されて再生パルプ含有液が形成される。
【0056】
上記のように攪拌槽32内で裁断紙片20を攪拌して離解処理を行なうとき、図4に示すように、チューブポンプ43を駆動停止して、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態に切換えておく。これにより、チューブ46内の再生パルプ含有液37の移送が停止されるとともに、図5に示すように、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間がチューブ46を押し潰しているローラー47によって遮断されるため、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止され、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間がチューブポンプ43によって遮断される。これにより、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37は、流通配管41から貯蔵タンク18(攪拌槽の外部)へ流れ出すことなく、攪拌槽32内に留まる。
【0057】
また、チューブポンプ43は流通配管41の途中に設けられているため、チューブポンプ43の下流側にも再生パルプ含有液37が存在する。これにより、チューブポンプ43のチューブ46内に付着した繊維は、常に流通配管41の内部に閉じ込められており、流通配管41の外部空間55に露出して外気に晒されることはないので、乾燥し難い。したがって、チューブ46内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ46内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。これにより、チューブポンプ43を駆動停止して、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間をチューブポンプ43によって遮断した際、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41からチューブポンプ43の下流側(貯蔵タンク18側)に漏洩するのを確実に防止することができる。
【0058】
攪拌羽根35を所定時間回転して、攪拌槽32内に再生パルプ含有液37が生成された後、攪拌羽根35の回転を停止し、チューブポンプ43を正駆動して流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態から移送状態に切換える。これにより、図5に示すようにロータ45が正方向Aへ回転し、チューブポンプ43は、チューブ46内の再生パルプ含有液37を、ローラー47で上流側と下流側とに分断した状態で、吸込口48側から吐出口49側へ移送する。このため、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41を通って貯蔵タンク18内へ移送される。
【0059】
尚、上記のような離解処理を行っていると、離解途中の裁断紙片20や再生パルプ等が第1流通配管41a内に次第に滞留する。この場合、チューブポンプ43を逆駆動することにより、ロータ45が逆方向Bへ回転し、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が流通配管41を通って攪拌槽32内へ逆流する。このため、第1流通配管41a内に滞留した離解途中の裁断紙片20や再生パルプは、上記再生パルプ含有液37の逆流Cによって攪拌槽32内に返送され、攪拌槽32内でさらに離解される。これにより、離解が十分に促進される。
【0060】
尚、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が不足して、十分な量の再生パルプ含有液37を貯蔵タンク18から攪拌槽32へ逆流させることができない場合は、予め貯蔵タンク18内に水を貯留しておいてもよい。
【0061】
また、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37を全て貯蔵タンク18内へ移送して、攪拌槽32内を空にすることにより、攪拌槽32内を洗浄することができる。また、図4に示すように、貯蔵タンク18内へ移送された再生パルプ含有液37は、駆動手段40で回転駆動される攪拌羽根39により攪拌されながら、貯蔵タンク18内で一時貯留される。その後、離解処理の後工程の処理として、チューブポンプ65を駆動することにより、貯蔵タンク18内の再生パルプ含有液37が配管64内を通って脱墨前希釈部60の希釈槽63に移送され、希釈用水および界面活性剤等が希釈液供給部から希釈槽63内の再生パルプ含有液37に投入され、希釈槽63内の再生パルプ含有液37が脱墨に適した繊維濃度に希釈される。
【0062】
その後、図1に示すように、再生パルプ含有液37は希釈槽63(脱墨前希釈部60)から脱墨部61へ供給され、脱墨部61において、インク成分やトナー成分等の印刷成分が再生パルプ含有液37から分離され、脱墨パルプを含む脱墨パルプ含有液が生成される。この脱墨パルプ含有液は脱墨部61からすすぎ部62へ供給され、すすぎ部62において、脱墨パルプ含有液中の脱墨剤が洗浄され除去される。
【0063】
すすぎ部62によるすすぎを終了した脱墨パルプ含有液は、図1,図6に示すように、すすぎ部62から抄紙装置4のヘッドボックス68に供給され、ヘッドボックス68からワイヤー部69に均一に供給される。ワイヤー部69に供給された脱墨パルプ含有液がメッシュベルト72によって脱水濾過されることで、湿紙75が形成され、湿紙75の水分が脱水部70の吸水ベルト73に吸収され、さらに、湿紙75は、圧搾ローラ74で圧搾されて脱水され、その後、ドライヤー部71の乾燥ローラ77で乾燥される。これにより、仕上げ前の再生紙79が得られる。
【0064】
その後、仕上げ前の再生紙79は、ドライヤー部71から仕上げ装置5のカレンダー部80へ搬送され、プレスローラ82でプレスされて平坦度を上げられた後、カット部81において所定のサイズにカットされる。これにより、図1に示すように、所定のサイズの再生紙8が製造される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では図7に示すように、攪拌槽32の底部に排出口42(図5参照)は形成されておらず、流通配管41の上流側端部が攪拌槽32の上部開口から攪拌槽32内の底部に向って垂下されている。これによると、上記第1の実施の形態において攪拌槽32の底部に形成した排出口42を不要にし得る。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では図8に示すように、第2流通配管41b内の再生パルプ含有液37を攪拌槽32へ戻す循環用配管51が第2流通配管41bから分岐して設けられている。この循環用配管51には開閉弁52が設けられている。
【0065】
これによると、チューブポンプ43を正駆動した状態で、開閉弁52を開くことにより、第2流通配管41b内を流れる再生パルプ含有液37の一部又は全部が循環用配管51を通って攪拌槽32へ戻される。これにより、第1流通配管41a内に滞留した離解途中の裁断紙片20や再生パルプは、チューブポンプ43を経て、第2流通配管41bから循環用配管51を流れ、攪拌槽32に返送され攪拌槽32内でさらに攪拌され離解されるため、離解が十分に促進される。
【0066】
また、開閉弁52を閉じることにより、第2流通配管41b内を流れる再生パルプ含有液37は全て貯蔵タンク18に供給される。
(第4の実施の形態)
上記第1〜第3の実施の形態では、切換手段および移送手段の一例としてチューブポンプ43を挙げたが、チューブポンプ43に限定されるものではなく、例えば、第4の実施の形態として図9に示すように、再生パルプ含有液37の下流側への流出を阻止可能な密閉性の高い且つ吸引力の大きなモーノポンプ53を用いてもよい。
【0067】
尚、同様に、第1〜第3の実施の形態で示したチューブポンプ65(図4参照)の代わりに、図9に示すように、モーノポンプ88を用いてもよい。
上記第1〜第4の実施の形態では、移送手段の一例としてチューブポンプ43又はモーノポンプ53を用いたが、その他のポンプ、例えば、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、混流ポンプ等のターボ形ポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ベーンポンプ、ねじポンプ、カスケードポンプ等を用いてもよい。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では図10に示すように、貯蔵タンク18が攪拌槽32の下方に配置され、流通配管41の上端が攪拌槽32の底部に接続され、流通配管41の下端が貯蔵タンク18の上部に接続され、攪拌槽32内と貯蔵タンク18内とが上下方向の流通配管41を介して連通している。
【0068】
切換手段の一例として流路開閉装置90が流通配管41に設けられている。図11,図12に示すように、流路開閉装置90は、流通配管41の途中の一部分を形成するチューブ91と、チューブ91の径方向における外部に設けられた一対の開閉部材92a,92bと、開閉部材92a,92bをチューブ91の径方向へ移動させるシリンダー等から成る駆動装置93とを有している。チューブ91は、可撓性を有するとともに径方向に弾性変形自在であり、両開閉部材92a,92b間に上下方向に配置されている。
【0069】
流通配管41は、流路開閉装置90によって、第1流通配管41aと第2流通配管41bとに分割されている。第1流通配管41aの下流側端部がチューブ91の一端に接続され、第2流通配管41bの上流側端部がチューブ91の他端に接続されている。
【0070】
両開閉部材92a,92bは、チューブ91の径方向において互いに接近離間移動することで、チューブ91を外部から径方向に変形させてチューブ91内の流路94を開閉するものである。すなわち、図11に示すように、駆動装置93の駆動により、両開閉部材92a,92bが閉位置まで互いに接近すると、チューブ91が両開閉部材92a,92bに挟まれて径方向に圧縮され、チューブ91内の流路94が閉じられて、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送停止状態に切換えられる。また、図12に示すように、両開閉部材92a,92bが開位置まで互いに離間すると、チューブ91が復元力により元の形状に復元し、チューブ91内の流路94が開かれ、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送状態に切換えられる。
【0071】
以下、上記構成における作用を説明する。
攪拌槽32内で裁断紙片20を水および離解促進剤と攪拌して離解処理を行なうとき、図11に示すように、両開閉部材92a,92bを閉位置に移動して、チューブ91内の流路94を閉じ、流通配管41内の再生パルプ含有液37を移送停止状態に切換えておく。これにより、流通配管41内の再生パルプ含有液37の移送が停止され、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間が流路開閉装置90によって遮断されるため、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37は、流通配管41から貯蔵タンク18へ流れ出すことなく、攪拌槽32内に留まる。
【0072】
また、流路開閉装置90は流通配管41の途中に設けられているため、チューブ91内に付着した繊維は、常に流通配管41の内部に閉じ込められており、流通配管41の外部空間95に露出して外気に晒されることはないので、乾燥しない。したがって、チューブ91内に付着した繊維は容易に剥がれ落ち、繊維が乾燥してチューブ91内にこびり付き繊維の層を形成するのを防止することができる。これにより、第1流通配管41a内と第2流通配管41b内との間を流路開閉装置90によって遮断した際、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41から流路開閉装置90の下流側(貯蔵タンク18側)に漏洩するのを確実に防止することができる。
【0073】
攪拌羽根35を所定時間回転して、攪拌槽32内に再生パルプ含有液37が生成された後、攪拌羽根35の回転を停止し、図12に示すように、両開閉部材92a,92bを開位置に移動させることにより、チューブ91内の流路94が開かれ、流通配管41内の再生パルプ含有液37が移送停止状態から移送状態に切換えられる。これにより、攪拌槽32内の再生パルプ含有液37が流通配管41内を流れ落ちて貯蔵タンク18内へ移送される。
【0074】
また、開閉部材92a,92bはチューブ91内の再生パルプ含有液37に直接接触することはなく、このため、チューブ91内の再生パルプ含有液37中の繊維が開閉部材92a,92bに付着するのを防止することができる。
【0075】
上記実施の形態では、図11,図12に示すように、両開閉部材92a,92bをそれぞれ、開位置と閉位置とに移動しているが、いずれか一方の開閉部材を固定し、固定した開閉部材に対して他方の開閉部材を移動させてもよい。また、二個の開閉部材92a,92bを設けたが、三個以上の複数個設けてもよい。
【0076】
上記各実施の形態では、一般会社向けの小型の古紙再生処理装置1を挙げたが、製紙工場に設置される大型の古紙再生処理装置であっても適用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 古紙再生処理装置
2 古紙パルプ製造装置
4 抄紙装置
7 古紙
32 攪拌槽
37 再生パルプ含有液
41 流通配管
43 チューブポンプ(切換手段,移送装置)
53 モーノポンプ(切換手段,移送装置)
90 流路開閉装置(切換手段)
91 チューブ
92a,92b 開閉部材
94 流路
C 逆流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置であって、
古紙と水とを攪拌する攪拌槽と、攪拌槽内の再生パルプ含有液を攪拌槽の外部へ取り出す流通配管とが備えられ、
流通配管の途中に、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段が設けられ、
移送状態において、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、
移送停止状態において、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止し、且つ、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が切換手段によって遮断されることを特徴とする古紙パルプ製造装置。
【請求項2】
切換手段は流通配管内の再生パルプ含有液を強制的に移送する移送装置であり、
移送装置を駆動することによって移送状態に切換えられ、
移送装置を駆動停止することによって移送停止状態に切換えられ、
移送装置は、駆動時、流通配管内の再生パルプ含有液を、上流側と下流側とに分断した状態で、移送装置の上流側から下流側へ移送することを特徴とする請求項1記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項3】
移送装置は、逆駆動することにより、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることが可能であることを特徴とする請求項2記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項4】
流通配管は上流側端部が開口した状態で攪拌槽の下部に接続されていることを特徴とする請求項3記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項5】
切換手段は流路開閉装置であり、
流路開閉装置は、流通配管の少なくとも一部を形成するチューブと、チューブの外部に設けられた開閉部材とを有し、
チューブは径方向に弾性変形自在であり、
開閉部材はチューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉し、
チューブ内の流路を開くことによって移送状態に切換えられ、
チューブ内の流路を閉じることによって移送停止状態に切換えられることを特徴とする請求項1記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項6】
少なくとも、上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の古紙パルプ製造装置と、古紙パルプ製造装置で得られた再生パルプ含有液を抄紙する抄紙装置とが備えられたことを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項7】
古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置の運転方法であって、
攪拌槽内で古紙と水とを攪拌して再生パルプ含有液を生成し、
攪拌槽に接続された流通配管の途中に設けられた移送装置を正駆動することによって、攪拌槽内の再生パルプ含有液を、流通配管の上流側から下流側へ流し、攪拌槽の外部へ取り出して後工程の処理を実行し、
移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることを特徴とする古紙パルプ製造装置の運転方法。
【請求項1】
古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置であって、
古紙と水とを攪拌する攪拌槽と、攪拌槽内の再生パルプ含有液を攪拌槽の外部へ取り出す流通配管とが備えられ、
流通配管の途中に、流通配管内の再生パルプ含有液を移送状態と移送停止状態とに切換え可能な切換手段が設けられ、
移送状態において、流通配管内の再生パルプ含有液が上流側から下流側へ移送され、
移送停止状態において、流通配管内の再生パルプ含有液の移送が停止し、且つ、切換手段の上流側の流通配管内と下流側の流通配管内との間が切換手段によって遮断されることを特徴とする古紙パルプ製造装置。
【請求項2】
切換手段は流通配管内の再生パルプ含有液を強制的に移送する移送装置であり、
移送装置を駆動することによって移送状態に切換えられ、
移送装置を駆動停止することによって移送停止状態に切換えられ、
移送装置は、駆動時、流通配管内の再生パルプ含有液を、上流側と下流側とに分断した状態で、移送装置の上流側から下流側へ移送することを特徴とする請求項1記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項3】
移送装置は、逆駆動することにより、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることが可能であることを特徴とする請求項2記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項4】
流通配管は上流側端部が開口した状態で攪拌槽の下部に接続されていることを特徴とする請求項3記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項5】
切換手段は流路開閉装置であり、
流路開閉装置は、流通配管の少なくとも一部を形成するチューブと、チューブの外部に設けられた開閉部材とを有し、
チューブは径方向に弾性変形自在であり、
開閉部材はチューブを外部から径方向に変形させることでチューブ内の流路を開閉し、
チューブ内の流路を開くことによって移送状態に切換えられ、
チューブ内の流路を閉じることによって移送停止状態に切換えられることを特徴とする請求項1記載の古紙パルプ製造装置。
【請求項6】
少なくとも、上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の古紙パルプ製造装置と、古紙パルプ製造装置で得られた再生パルプ含有液を抄紙する抄紙装置とが備えられたことを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項7】
古紙を水と攪拌し離解を行って再生パルプを製造する古紙パルプ製造装置の運転方法であって、
攪拌槽内で古紙と水とを攪拌して再生パルプ含有液を生成し、
攪拌槽に接続された流通配管の途中に設けられた移送装置を正駆動することによって、攪拌槽内の再生パルプ含有液を、流通配管の上流側から下流側へ流し、攪拌槽の外部へ取り出して後工程の処理を実行し、
移送装置を逆駆動することによって、再生パルプ含有液を流通配管内から攪拌槽内へ逆流させることを特徴とする古紙パルプ製造装置の運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−32614(P2011−32614A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181986(P2009−181986)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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