説明

可動式ショルダーパッド

【課題】従来には検討されることがなかったパッド部材の構成、即ち、撮影者の肩の稜線に対し交差する方向に分割させる構成を採り、パッド部材が取り付けられる基板に対して摺動可能とすることによって、撮影者のより広範囲な体格にフィットし、安定させることができる可動式ショルダーパッドを提供すること。
【解決手段】肩載せ型のビデオカメラ本体に装着される可動式ショルダーパッド10を、ビデオカメラ本体に当接する基板12と、撮影者の肩に当接するパッド部材14とを有し、パッド部材14は、底面形状が撮影者の肩形状に沿うように肩幅方向へ半円筒凹部状に形成され、かつ、肩の稜線に対し交差する方向に分割形成されており、基板12に取り付けられた際に、分割された少なくとも一方が、基板12に対して摺動可能な構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩載せ型ビデオカメラ本体に装着される可動式ショルダーパッドに関し、撮影時のフィット感や安定性を高め、特に、撮影者のより広範囲な体格にも対応可能な可動式ショルダーパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、放送用・業務用のビデオカメラ装置は、その本体を撮影者(カメラマン)の肩に担いで撮影するスタイルが多くとられており、撮影者の肩にかかる負担を軽減するため、ビデオカメラ装置底面の肩に当たる部分にショルダーパッドが設けられている。
【0003】
従来のショルダーパッドは、凹部の底面形状と材質で撮影者の肩形状にフィットするように設計されているが、基本的な形状が決められているため、体格の小さい撮影者(特に、女性)から大きい撮影者にまで幅広く対応することは困難であり、また、ショルダーパッドの形状や寸法が撮影者の体格に合わない場合、ビデオカメラ装置の重量がうまく分散せず、撮影者の肩の一部に集中してしまい、体への負担がかかってしまうという問題が指摘されている。
【0004】
このような問題を解決するために、様々な技術が開発されてきている。例えば、特許文献1には、ショルダーパッドが、肩の曲面に沿うようにテーパー状に延長する断面略円弧形状の曲面により底面が形成され、さらに、テーパー状に延長する方向と略一致する方向に複数の部材により分割して形成されており、その部材の少なくとも1つは、ビデオカメラ装置の光軸方向に取り付け位置を調整できるようにしたビデオカメラ装置が開示されている。
【0005】
このビデオカメラ装置によると、ショルダーパッドを左右に分割し、前後(光軸方向)にずらしてショルダーパッドの曲面形状を調整することができるため、撮影者の肩形状に対応して曲面形状を調整し、肩にかかる装置の重量を分散し、違和感等を解消することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−23362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の技術は、撮影者の肩の稜線(L2)と円弧形状の曲面の頂点を結ぶ直線(L1)とを一致させることにより、肩にかかる装置の重量を分散させ、均一になるように工夫されているものではあるが、撮影者の肩の厚みに対応する寸法(円弧形状の広がり具合)は固定されており、例え、ショルダーパッドを左右方向(肩幅方向)に分割して、一方のパッド部を前後(光軸方向)にずらしたとしても、対応可能な撮影者の体格は、パッド部の肩の厚み方向の寸法が固定されているのであるから、ある程度限られてしまうといった問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上述の問題を解決するためのもので、従来には検討されることがなかったパッド部材の構成、即ち、撮影者の肩の稜線に対し交差する方向に分割させる構成を採り、パッド部材が取り付けられる基板に対して摺動可能(ビデオカメラ本体の光軸方向に摺動)とすることによって、より広範囲の撮影者の体格(特に、肩の厚みを重視)にフィットし、安定させることができる可動式ショルダーパッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、肩載せ型のビデオカメラ本体に装着される可動式ショルダーパッドであって、前記可動式ショルダーパッドは、前記ビデオカメラ本体に当接する基板と、撮影者の肩に当接するパッド部材とを有し、前記パッド部材は、底面形状が前記撮影者の肩形状に沿うように肩幅方向へ半円筒凹部状に形成され、かつ、肩の稜線に対し交差する方向に分割形成されており、前記基板に取り付けられた際に、分割された少なくとも一方が、前記基板に対して摺動可能に構成されていることを特徴とする可動式ショルダーパッドである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の可動式ショルダーパッドであって、前記摺動可能な構成は、前記パッド部材に形成された長孔と、前記基板に形成されたネジ孔と、前記長孔と前記ネジ孔を貫通して前記基板に対し前記パッド部材を摺動可能に一体保持するネジ部材と、前記ネジ部材に嵌挿され前記長孔を被うように前記パッド部材に当接するスペーサーと、前記基板と前記パッド部材との摺動状態をオン・オフ操作する操作手段とを備えた摺動機構からなることを特徴としている。
【0011】
そして、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の可動式ショルダーパッドであって、前記パッド部材の各部の設計値及び前記基板に対する摺動域をエルゴノミクスデータにより決定し、前記エルゴノミクスデータのうち、腕付け根の最大前後径の平均値をμ、前記エルゴノミクスデータのうち、腕付け根の最大前後径の標準偏差値をσとし、かつ、前記摺動域の中央値をμとしたときに、前記摺動域をμ±3σの範囲に設定したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、パッド部材を撮影者の肩の稜線に対し交差する方向へ分割形成させ、基板に対して摺動可能(基板が当接するビデオカメラ本体の光軸方向に摺動)としているため、従来品と比べ、より広範囲の体格にも対応することが可能となる。また、分割されたパッド部材の両方を基板に対して摺動させることによって、撮影者の肩の中心位置を変更することができるため、ビデオカメラ装置の重心位置に合わせて、より負担の少ない状態でビデオカメラ装置を担ぐことができる。さらに、パッド部材の構造上、撮影者の肩に当接する底面形状が半円筒凹部状になっているため、その部分に手をかける等することができ、ビデオカメラ装置を肩に担ぐ以外の多様な撮影姿勢にも柔軟に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る可動式ショルダーパッドの実施形態を示した図で、(a)は分解した状態、(b)は組立後の状態を示したもので、可動パッド部材を基板に対して摺動させない場合の動作、(c)は、組立後の状態を示したもので、可動パッド部材を基板に対して摺動させる場合の動作を示したものである。
【図2】本発明に係る可動式ショルダーパッドのうち、パッド部材を示したもので、(a)は、パッド部材の側面図で、(b)は底面図、(c)はZ−Z断面図を示している。
【図3】本発明に係る可動式ショルダーパッドのうち、パッド部材の摺動状態について示したもので、(a)は中央値(エルゴノミクスデータに基づく腕付根の最大前後径の平均値μ)の状態を示した側面図及び底面図、(b)は、中央値からエルゴノミクス人間工学データに基づく腕付根の最大前後径の標準偏差値σ分だけ摺動させた状態(μ−σ)を示した側面図及び底面図、(c)は、中央値からエルゴノミクスデータに基づく腕付根の最大前後径の標準偏差値σ分だけ摺動させた状態(μ+σ)を示した側面図及び底面図である。
【図4】本発明に係る可動式ショルダーパッドをビデオカメラ装置に装着し、このビデオカメラ装置を撮影者が肩に担いで撮影する際の通常の撮影姿勢を示した一例図である。
【図5】本発明に係る可動式ショルダーパッドを装着したビデオカメラ装置の他の撮影姿勢を示した一例図で、(a)はビデオカメラ装置を脇に抱えた撮影姿勢、(b)は超ローアングルの撮影姿勢を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る可動式ショルダーパッドの実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る可動式ショルダーパッドの一例で、(a)は、分解した状態を示したもの、(b)は、組立後の状態を示したもので、可動パッド部材を基板に対して摺動させない(固定させる)場合の動作を示したもの、(c)は、組立後の状態を示したもので、可動パッド部材を基板に対して摺動させる場合の動作を示したものである。
【0015】
なお、10は可動式ショルダーパッド、12は基板、14はパッド部材、16は固定パッド部材、18は可動パッド部材、20は突部、22は切り欠け部、24は摺動機構、26はネジ孔、28は長孔、30はネジ部材、32はスペーサー、34はナット、36はノブ、38は摺動板を表している。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施形態における可動式ショルダーパッド10は、まず、ビデオカメラ本体の底面に取り付ける基板12と、撮影者の肩の稜線に対して交差する方向に分割可能な固定パッド部材16と可動パッド部材18からなるパッド部材14を備えている。
【0017】
パッド部材14は、固定パッド部材16に形成されている突部20を可動パッド部材18に形成されている切り欠け部22に重ねるような形で合わさってなる。また、分割可能となっている2つのパッド部材14は、少なくとも一方が(一方又は両方が)基板12に対して、摺動可能とされるが、本実施形態は、一方(可動パッド部材18)のみ摺動可能な構成としている。
【0018】
可動パッド部材18は、基板12に取り付けられており、摺動機構24によって、基板12に対して摺動可能となっている。本実施形態では、図1(a)に示すように、摺動機構24は、まず、可動パッド部材18に形成された長孔28と、基板12に形成されているネジ孔26と、長孔28及びネジ孔26を貫通し、基板12に対し可動パッド部材18を摺動可能に一体保持するネジ部材30と、ネジ部材30に嵌挿され、長孔28を被うように可動パッド部材18に当接するスペーサー32を含む構成とされている。
【0019】
また、基板12のネジ孔26を貫通するネジ部材30は、ナット34によって基板12に固定されている。また、ネジ部材30をナット34に貫通させた状態で、そのままビデオカメラ本体の底面に形成されているネジ孔に貫通させることで、ビデオカメラ本体に可動式ショルダーパッド10を取り付けることが可能となっている。
【0020】
またさらに、摺動機構24は、図1(a)に示すように、基板12と可動パッド部材18との摺動状態をオン・オフ操作するための操作手段であるノブ36と摺動板38を含む構成となっている。摺動板38に形成されたネジ孔にノブ36のネジ部を貫通させた状態で摺動板38を可動パッド部材18に固定する(摺動板38に形成されたネジ孔と可動パッド部材18に形成されたネジ孔を用いてネジで固定する)。
【0021】
そして、摺動板38に形成されているネジ孔を貫通したノブ36のネジ部は、基板12に形成された長孔を貫通しており、ナット34が、ノブ36のネジに嵌挿され、長孔に当接している。このような構成により、ノブ36を所定の方向に回転させて、摺動板38と基板12との間を詰め、摺動板38に基板12を押さえ付けることが可能となり、また、ノブ36を逆の方向に回転させることで、摺動板38と基板12を離間させ、可動パッド部材18を基板12に対して摺動可能(基板が取り付けられるビデオカメラ本体の光軸方向に摺動)とすることができるわけである。
【0022】
つまり、図1(b)に示すように、摺動機構24のノブ36を押さえ付ける側(本実施形態では、右回転)に回転させると、摺動板(図示省略)が可動パッド部材18を伴って、基板12を押さえ付け、可動パッド部材18が、基板12に対して摺動できなくなり(摺動オフ)、逆に、図1(c)に示すように、摺動機構24のノブ36を緩める側(本実施形態では、左回転)に回転させると、摺動板(図示省略)が可動パッド部材18を伴って、基板12から一定の間隙をもって離れるため、可動パッド部材18を基板12に対して摺動させることが出来る(摺動オン)ようになっているわけである。
【0023】
可動パッド部材18を基板12に対して摺動(基板が取り付けられるビデオカメラ本体の光軸方向に摺動)させる場合は、図1(c)に示すように、ノブ36を緩める側に回転させ、可動パッド部材18と基板12を離間させる(摺動オン)。そして、図1(a)に示すように、ネジ部材30に嵌挿されているスペーサー32を摺動軸として、可動パッド部材18を基板12に対して摺動させることになる。可動パッド部材18を所望の範囲摺動させた後は、再びノブ36を締める側に回転させて、摺動板38に基板12を押さえ付けさせることで、可動パッド部材18を基板12に対して固定させるようにする(摺動オフ)。
【0024】
なお、本実施形態では、一方のパッド部材のみが基板12に対して摺動可能となっているが、これを他方のパッド部材(本実施例では、固定パッド部材16に相当)も基板12に対して摺動可能とする場合には、他方のパッド部材にも摺動機構を設けることになる。
【0025】
続いて、本発明に係る可動式ショルダーパッドのうち、パッド部材の設計値及び基板に対する可動域(摺動域)について図面を参照しながら説明する。図2(a)は、パッド部材の側面図で、(b)は底面図、(c)はZ−Z断面図を示している。そして、図中、Aは、パッド部材のうち、撮影者の腕付根側の設計値を示したもので、可動域(摺動域)は、中央値をエルゴノミクス(人間工学)データに基づく腕付根の最大前後径の平均値(μ)とし、さらに、腕付根の最大前後径の標準偏差値をσとしたときに、μ±σの範囲となるものである。
【0026】
また、Bはパッド部材のうち、底面部分の頂点位置を示したもので、ビデオカメラ本体のビューファインダーの高さ位置(眼の高さ位置)から、エルゴノミクス(人間工学)データに基づく頚椎高(肩の高さ位置)の平均値を引いた位置となるものである。続いて、Cは、パッド部材のうち、腕付根側の中心点と肩側の中心点との長さを示したもので、エルゴノミクス(人間工学)データに基づく肩幅の平均値となるものである。
【0027】
そして、Dは、ビデオカメラ本体を肩に担いだ際の肩角度を示したもので、エルゴノミクス(人間工学)データに基づいたものである。また、Eは、パッド部材のうち、腕付根側から肩側の傾斜(肩傾斜)を示したもので、エルゴノミクス(人間工学)データに基づく肩の傾斜角の平均値となるものである。そして、Fは、パッド部材のうち、肩側の設計値を示したもので、Aの数値をCの数値とEの数値だけ移動させることによって得られるものである。なお、AとFの中心点のズレは、Dの数値に依存するものである。
【0028】
なお、エルゴノミクス(人間工学)とは、人体寸法・動作・生理的な反応等の人体に関する学問と定義されているもので、本実施形態におけるパッド部材の設計値は、独立行政法人産業技術総合研究所による人体寸法・形状データベース2003のデータに基づいたものではあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
また、上記では、図中のAの可動域(摺動域)をμ±σとしているが、これは、統計学(正規分布)の考え方より、全ての人間の体格の約68%をカバーできる(フィットし、安定する)もので、これを例えば、μ±2σにすると、全ての人間の体格の約95%、また、μ±3σにすると、約99%をカバーできるものとなる。
【0030】
続いて、本発明に係る可動式ショルダーパッドのうち、パッド部材の可動域(摺動域)について図面を参照しながら説明する。図3(a)は、パッド部材が、基板に対して摺動させていない状態を示している。つまり、側面図にあるように、腕付根側が、エルゴノミクス(人間工学)データに基づく腕付根の最大前後径の平均値μ(中央値)の状態に位置している。この場合、底面図にあるように、パッド部材は所定の間隙をもって分割されている。
【0031】
次に、(b)は、上記のように、腕付根側が、平均値μの状態では、例えば、小柄な撮影者の肩に合わない場合に、その値をμ(平均値)からσ(標準偏差)を引いた位置に摺動した状態を示している(側面図参照)。この場合、底面図にあるように、パッド部材は間隙なく合わさっている。また、(c)は、腕付根側が、平均値μの状態では、例えば、大柄な撮影者の肩に合わない場合に、その値をμ(平均値)にσ(標準偏差)を足した位置に摺動した状態を示している(側面図参照)。この場合、底面図にあるように、パッド部材は、(a)の底面図の状態よりも、大きく離間している。なお、本図では、μ(平均値)から引いたり足したりする値をσ(標準偏差)としているが、これを2σや3σにすることによって、上述のように、あらゆる体格の肩にもフィットすることが可能となる。
【0032】
図4は、本発明に係る可動式ショルダーパッドをビデオカメラ本体に装着し、このビデオカメラ本体を撮影者が肩に担いで撮影する際の通常の撮影姿勢を示している。なお、40はビデオカメラ本体、10は可動式ショルダーパッド、12は基板、14はパッド部材、18は可動パッド部材を表している。
【0033】
図に示すように、撮影者がビデオカメラ本体40を肩に担ぐ際には、ビデオカメラ本体40に装着されている可動式ショルダーパッド10のパッド部材14を撮影者の肩に当てる形をとる。そして、可動パッド部材18を基板12に対して摺動(ビデオカメラ本体40の光軸方向に摺動)させることによって、パッド部材14を撮影者の肩にフィットし安定する位置に調整することが可能となっている。なお、本実施例では、パッド部材14の一方である可動パッド部材18のみ基板12に対して摺動可能としているが、他方のパッド部材についても摺動可能としても良い。
【0034】
図5は、本発明に係る可動式ショルダーパッドを装着したビデオカメラ本体の他の撮影姿勢を示したもので、(a)はビデオカメラ本体を脇に抱えた撮影姿勢で、(b)は超ローアングルの撮影姿勢を表している。なお、40はビデオカメラ本体、10は可動式ショルダーパッド、14はパッド部材を意味している。
【0035】
図5(a)に示す撮影姿勢では、撮影者がビデオカメラ本体40を脇に抱え、左手を撮像レンズに添えて支持し、右手を可動式ショルダーパッド10のうち、パッド部材14の底面部分を押さえることで、ビデオカメラ本体40を強固に支持することができる。このようにすることで、ビデオカメラ本体40の支持が安定し、この安定した撮影姿勢で撮像レンズの仰角或いは俯角を調整して撮影することができる。
【0036】
続いて、図5(b)に示す撮影姿勢では、撮影者が、左手で撮像レンズを保持し、右手を可動式ショルダーパッド10のうち、パッド部材14の底面部分を押さえながら抱えてビデオカメラ本体40を支持し、撮影する。この撮影姿勢では、ビデオカメラ本体40の撮像レンズを略真上に向けて撮影することが可能となっている。このように、本発明に係る可動式ショルダーパッドは、パッド部材を撮影者の肩に当てるだけではなく、多種多様な撮影姿勢にも対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る可動式ショルダーパッドは、パッド部材を基板に対して(基板が取り付けられるビデオカメラ本体の光軸方向に)摺動可能な構成となっているため、撮影者のより広範囲な体格に対応させる必要がある場合に、好適に用いることができる。また、撮影者の肩の中心位置を変更し、ビデオカメラ本体の重心位置に合わせることもできるため、より負担の少ない状態でビデオカメラ本体を担ぐ必要がある場合に効果的に用いられる。
【符号の説明】
【0038】
10 可動式ショルダーパッド
12 基板
14 パッド部材
16 固定パッド部材
18 可動パッド部材
20 突部
22 切り欠け部
24 摺動機構
26 ネジ孔
28 長孔
30 ネジ部材
32 スペーサー
34 ナット
36 ノブ
38 摺動板
40 ビデオカメラ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩載せ型のビデオカメラ本体に装着される可動式ショルダーパッドであって、
前記可動式ショルダーパッドは、前記ビデオカメラ本体に当接する基板と、
撮影者の肩に当接するパッド部材と、
を有し、
前記パッド部材は、底面形状が前記撮影者の肩形状に沿うように肩幅方向へ半円筒凹部状に形成され、かつ、肩の稜線に対し交差する方向に分割形成されており、前記基板に取り付けられた際に、分割された少なくとも一方が、前記基板に対して摺動可能に構成されていることを特徴とする可動式ショルダーパッド。
【請求項2】
前記摺動可能な構成は、前記パッド部材に形成された長孔と、前記基板に形成されたネジ孔と、前記長孔と前記ネジ孔を貫通して前記基板に対し前記パッド部材を摺動可能に一体保持するネジ部材と、前記ネジ部材に嵌挿され前記長孔を被うように前記パッド部材に当接するスペーサーと、前記基板と前記パッド部材との摺動状態をオン・オフ操作する操作手段とを備えた摺動機構からなることを特徴とする請求項1記載の可動式ショルダーパッド。
【請求項3】
前記パッド部材の各部の設計値及び前記基板に対する摺動域をエルゴノミクスデータにより決定し、
前記エルゴノミクスデータのうち、腕付け根の最大前後径の平均値をμ、
前記エルゴノミクスデータのうち、腕付け根の最大前後径の標準偏差値をσとし、
かつ、前記摺動域の中央値をμとしたときに、
前記摺動域をμ±3σの範囲に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の可動式ショルダーパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−244125(P2011−244125A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113034(P2010−113034)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】