説明

可動毛、断続可動毛および固定毛を有する電動歯ブラシ

電動歯ブラシは、柄部、頭部、および柄部と頭部の間に延伸する首部を具備する。電動歯ブラシは、長手軸を有する。柄部は、中空の内側領域を有し、かつその中空領域内に配置されたモータを有する。可動毛ホルダは、頭部の上に配置され、かつ、その上に配置された複数の可動毛を有する。駆動軸は、モータを可動毛ホルダに機能的に接続させ、可動毛ホルダおよび可動毛ホルダ上に配置された毛を移動させる。頭部は、その上に配置された毛を有する。1以上の毛は、歯ブラシ頭部の静止部分の上に配置される。駆動軸および/または可動毛ホルダの運動により、歯ブラシ頭部の静止部分の上に配置された1以上の毛の少なくとも一部分を動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシの分野に関し、より詳細には、本発明は電動式歯ブラシの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、従来から、歯ブラシの頭部または端部に固定されるか、さもなければ取り付けられる1以上の毛の群を利用してきた。機械的または電気的に動力が供給される可動毛を利用する歯ブラシも既知である。典型的には、電動モータおよび駆動機構が歯ブラシ本体内に保持され、可動毛に連結されている。モータおよび駆動機構が始動すると、毛はさまざまな異なる種類の運動を行うことができる。
【0003】
各種の歯ブラシはいくつかの利点を提供し、特定の特性を呈するが、そのうちのいくつかは、他の種類のものが付与しないものである。従って、固定毛の特性および態様と、可動毛または動力毛の特性および態様とを組み合わせることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動毛または動力毛を固定毛と組み合わせて利用する歯ブラシは、従来技術において既知であるが、洗浄効果および製造可能性の更なる改良も達成可能であると考えられている。従って、活発な洗浄効果を付与し、経済的で、大量生産によく適した1以上の可動毛および/または1以上の動力毛と1以上の固定毛とを併せ有する歯ブラシに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電動歯ブラシは、柄部、頭部、および柄部と頭部との間に延伸する首部を具備する。柄部は、中空の内側領域を有し、かつその中空領域内に配置されたモータを有する。可動毛ホルダは、頭部の上に配置され、かつ、その上に配置された複数の可動毛を有し得る。モータは、駆動軸によって可動毛ホルダに機能的に接続され得る。1以上の毛は、頭部の静止部分の上に配置され得る。駆動軸および/または可動毛ホルダの動きにより、歯ブラシの頭部の静止部分の上に配置された1以上の毛の少なくとも一部分を動かすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、さまざまな構成要素および構成要素の配置、並びにさまざまな技法、方法、または工程の手順および配列の形態をとることができる。参照図面は、好ましい実施形態を図示する目的だけのものであり、必ずしも縮尺には従っておらず、また本発明を限定するものと解すべきではない。
【0007】
本発明は、以下の説明に添付図面を参照することで、より良く理解されると考えられる。
【0008】
本発明は、固定毛、可動毛および断続可動毛の組み合わせを利用する歯ブラシから著しい洗浄効果が得られるという発見に基づいている。この歯ブラシは、もとからある歯および/または代替の歯を含むあらゆる歯を洗浄するのに使用され得る。更に、この歯ブラシは、人間および/または動物の口を含むあらゆる口腔内で使用され得る。本発明は、断続可動毛と駆動軸および/または可動毛ホルダとの間の独特の構成についての発見に基づいている。頭部の静止部分に配置された毛は、歯ブラシの駆動軸および/または可動毛ホルダの動きの結果としての動きを受けることができる。本発明はまた、特に可動毛および動力毛の組並びに断続可動毛と併せて使用される時の、1以上の固定毛についての特定のパターンまたは構成の発見に基づいている。更に、往復運動し、一連の固定毛によって少なくとも部分的に包囲される可動毛ホルダを特徴とする本発明の歯ブラシは、大量生産に特によく適している。すなわち、本明細書で説明するさまざまな好ましい実施形態の歯ブラシは、その注目すべき単純性および新規な構造の結果として、製造が比較的低コストである。これらおよび他の態様は本明細書で説明する。
【0009】
従来の毛は一般に円筒形であって、伸長しており、歯ブラシの頭部の毛を支持している表面から上に向かって延伸している。これらの毛は、典型的にはナイロンからなり、歯ブラシの頭部の上に毛の房および/または群をなして配置され得る。毛という用語は、本明細書で使用する時、洗浄および/またはマッサージ要素として一般的な意味で使用されることを意図しており、これには従来の毛、エラストマー毛、エラストマー指状体および/またはエラストマー壁が含まれるが、これらに限定されない。本発明と共に使用するのに適するエラストマーの毛、指状体および壁の例は、米国特許第5,628,082号、米国特許第5,335,389号、並びに英国特許出願G.B.2,371,217、並びに米国特許出願2003/0196283、米国特許出願2003/0033682および米国特許出願2003/0033680に記載されており、これら全てを本明細書に参照として組み込む。
【0010】
さまざまな好ましい実施形態について説明する前に、可動毛および可動毛ホルダが受け得るさまざまな種類の運動を定義するのが参考になる。本明細書で使用する用語「角運動」は、任意の角度変位を指す。「直線運動」は、直線または実質的にまっすぐな線もしくは方向に沿う動作である。「主に直線運動」は、以下で説明する。「曲線運動」は、完全に直線状でも完全に角度を成すでもなく、その2つの組み合わせ(例えば、曲線状)の動作である。これらの運動は、一定にもまたは周期的にもすることができる。一定運動は、方向または経路を変化させない(すなわち、単一方向の)運動を指す。周期的運動は、方向または経路を逆転させる運動を指す。実質的に円の形態である一定の角運動(すなわち、360度以上を通して広がる運動)は、回転運動と呼ばれる。周期的角運動は、360度未満を通じて延びる運動であり、揺動運動と呼ばれる。曲線運動もまた、一定(すなわち単一方向)または周期(すなわち方向逆転)のいずれかにすることができる。周期的直線運動は、「往復運動」と呼ばれる。上述の運動はまた、毛ホルダの1以上の軸に沿って生じ得る。
【0011】
更に、用語「固定毛」、「可動毛」および「断続可動毛」を定義するのが有用である。用語「固定毛」は、歯ブラシのブラシ頭部もしくは本体、または歯ブラシの他の構成要素に固定もしくは固着され、それにより毛、具体的には毛の根元が歯ブラシの長手軸に関して移動しない毛を指す。再び述べると、固定毛は、歯ブラシに固着され、これにより、それらの根元または取付点が歯ブラシに対して動かず、根元および/または根元から離れた毛の領域が本発明の歯ブラシの駆動軸または可動毛ホルダの動きの結果としてブラシに関して移動しない毛を指す。先端、または毛もしくは毛の群の根元から離れた領域は、駆動軸および/または可動毛ホルダの動きによるのではなく、撓みの結果として動き得ることが認識される。
【0012】
用語「可動毛」は、モータによって駆動され、歯ブラシに関して、好ましくはブラシの長手軸に沿って移動する毛ホルダ上に配置された毛を指す。可動毛は、可動毛ホルダ上に配置され、それによって支持されているので、駆動される。可動毛は、好ましくは、駆動される時に往復運動し、最も好ましくは、歯ブラシの長手軸に概ね平行な方向に往復運動する。可動毛は、長手軸に概ね直角な方向に往復運動してもよいことも考慮の内である。往復運動は、可動毛ホルダについての好ましい種類の運動であるが、本発明は可動毛ホルダについてのあらゆる他の種類の運動も包含する。
【0013】
用語「断続可動」毛は、歯ブラシの頭部の静止部分の中に、その上に、かつ/またはそれを通って配置され、本発明の歯ブラシの駆動軸および/または可動毛ホルダの動きの結果としての動きを受ける毛を指す。頭部の一部分は、その部分が動かない場合に静止的であり、特にその部分は歯ブラシの駆動軸および/またはモータへの機能的な接続によって動きを生じない。1つの実施形態において、歯ブラシの頭部の静止部分の上に配置された毛は、これらの毛と可動毛ホルダとの接触の結果として移動する。可動毛ホルダは、歯ブラシの駆動軸との機能的な接触の結果として移動する。別の実施形態において、駆動軸の動きは、1以上の断続可動毛の少なくとも一部分に接触する歯ブラシ頭部の上に配置された別の要素を動かし、それにより1以上の断続可動毛の少なくとも一部分を動かす。更に別の実施形態において、駆動軸それ自体は1以上の断続可動毛と接触し、1以上の断続可動毛の少なくとも一部分を動かす。
【0014】
本明細書に記載されるように、断続可動毛は、一般には毛を変位させる毛の配向に対して横断方向に力を加えた結果としての動きを受ける。断続可動毛の変位の振幅および周波数は、可動毛ホルダおよび/または駆動軸の動き、並びに可動毛ホルダおよび/または駆動軸と断続可動毛との間の接触の種類および/または場所に応じて変化し得る。毛は、頂部、側部、前縁、後縁、毛の球および/もしくは根元並びに/またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない毛の長さまたは周辺のどこででも衝突され得る。毛の球および/または根元は、典型的には歯ブラシ頭部の内側に毛の末端部を含む。毛の球および/または根元は、毛の房の融着された末端部である。これらの毛の末端部は、溶融を含むがこれに限定されない従来のいずれかの手段により共に融着される。結果として生じる動きには、回転、揺動、振動、並びに断続可動毛を上下および/または左右に移動させる動き、並びにこれらの動きのいずれかの組み合わせが包含される。更に、断続可動毛の周期的な動きまたは変位は、可動毛ホルダおよび/または駆動軸と1以上の断続可動毛の球または根元との衝突により生じ得る。断続可動毛の動きの振幅は、可動毛ホルダと断続可動毛との衝突および/または接触の種類により特化され得る。例えば、毛の動きの振幅は、可動毛ホルダおよび/または駆動軸が毛のどの部分または領域と接触するかに応じて変化し得る。更に、この振幅はまた、可動毛ホルダおよび/または駆動軸のストローク長に応じて変化し、ストローク長が増加すると、振幅も増加し得る。一般に、断続可動要素の運動の周波数は、可動毛ホルダおよび/または駆動軸の運動の周波数に左右される。
【0015】
断続可動毛の長さまたは高さの大部分は、ある程度の動きまたは変位を受けることが多い。更に、本明細書に記載されるように、断続可動毛の変位を引き起こす力の印加は、好ましくは、歯ブラシの駆動機構の構成要素と毛を衝突または接触させることにより達成される。これを達成するのに好ましい方法は、ホルダのストローク経路に沿って1以上の場所で断続可動毛の群と衝突または接触させるように、往復運動する毛ホルダを構成することである。断続可動毛という用語はまた、動く毛ホルダおよび/または駆動軸が毛の群または房と周期的に接触または衝突し、それにより、群内または房内の毛の少なくとも一部分、好ましくは大部分、また最も好ましくは全てが断続的な動きを受ける毛構成を包含する。毛の房は、歯ブラシ頭部の周辺に沿って他の房と密接に配置され、それにより毛の単一ユニットおよび/または壁の様相を呈していてもよい。しかしながら、房は、個々の房として見えるように分離して配置されていてもよい。本発明のこの態様において、毛の房は、動く毛ホルダおよび/または駆動軸に近接して配置され、それにより、歯ブラシが作動すると、毛ホルダおよび/または駆動軸が、房の周辺または外側領域に沿って配置された毛の一部分と周期的に接触または衝突する。動く毛ホルダおよび/または駆動軸によって直接的に接触される毛は、断続可動毛である。これらの断続可動毛は、次いで房内の他の毛と接触する。断続可動毛により接触された毛も、それらの動きが可動毛キャリアおよび/または駆動軸と、歯ブラシ頭部の静止部分に配置された毛との接触の結果であるので、断続可動毛である。房内の毛が比較的近接しているので、房の周辺に沿って毛に付与される断続的な動きも、房内の他の毛の少なくとも一部分、好ましくは大部分、また最も好ましくは全てに付与される。かかる群または房が、ナイロンの毛、エラストマー毛、エラストマー指状体、エラストマー壁および/または歯ブラシ頭部の毛を支持している表面から上に向かって延伸する他の要素のような要素を包含してもよいことは考慮の内である。
【0016】
図1および図1aを参照すると、本発明による好ましい実施形態の歯ブラシ10が例証される。歯ブラシ10は、柄部30、頭部20、および柄部30と頭部20との間に延伸する首部40を有する本体またはハウジングを具備する。頭部20は、最遠位端部22を画定する。頭部20および首部40は通常、図1で軸Lとして示す長手軸に沿って延びる。頭部20に沿って配置されるのは、複数の固定毛60、複数の断続可動毛70、および本明細書に記載されるように可動である内側に配置された毛50の集まりである。毛50は、可動毛ホルダ(図1には示さず)の上に支持されているか、またはそれによって保持されている。可動毛ホルダは、駆動軸25との機能的な接触の結果として、本明細書に記載されるような広範な動きを受けてもよい。歯ブラシ10は、更に、モータ23、バッテリまたは他の電源(図示せず)および駆動機構21を具備し、これらは全て、好ましくは本体またはハウジング内に画定された中空の内側領域の中に、具体的には柄部30および首部40の中に配置される。モータおよび駆動機構を選択的に作動させるために、1以上のスイッチ35が設けられる。
【0017】
図2〜図6は、固定毛、断続可動毛および可動毛の配置に関するさまざまな好ましい実施形態の構成を例証している。図2は、図1に示した歯ブラシ10およびその頭部20の詳細図である。図2から分かるように、固定毛60は、通常、可動毛50の集まりの大部分の周りに全体的に延伸する。可動毛50は、可動毛ホルダ(図示せず)の上に配置されて位置する。毛ホルダは、好ましくは2つの位置の間で動くことができる。好ましくは、毛ホルダは、毛ホルダがブラシ頭部20の最遠位端部22に近接している第1の位置と、毛ホルダが頭部20の遠位端部22から最大の距離にある第2の位置との間で前後に動いてもよい。最も好ましくは、毛ホルダがこれら2つの位置の間で往復運動する際のその運動方向は、図1に軸Lとして示されるように、頭部20および首部(図2では図示せず)の長手軸に概ね平行である。頭部20の遠位端部22に隣接して配置されるのは、複数の断続可動毛70である。理解されるように、断続可動毛70は、毛ホルダおよび可動毛50の往復運動の際に、断続可動毛70の少なくとも一部分がホルダによって、また所望により可動毛50の一部分によって周期的に接触され、それにより毛70が周期的に変位するように、ブラシ頭部20の上に配置される。
【0018】
図3は、図1および図2に示した好ましい実施形態における歯ブラシ10の頭部20の側面図である。図3は、可動毛50の内側の集まりを除去した頭部20を例証している。図3は、固定毛60の群および断続可動毛70に関する特に好ましい毛の先端の構成を例証している。この好ましい態様において、複数の固定毛60の端または先端は、波形のブラッシング表面62を形成する。具体的には、図3を参照すると、波形のブラッシング表面62は複数の谷部分または凹部分62aおよび複数の頂点62bを有していることを特徴とすることが分かる。同様に、断続可動毛もブラッシング表面72を画定する。好ましくは、ブラッシング表面72は、歯ブラシ10の長手軸に対して鋭角に沿って延伸する。このブラッシング表面72に関する好ましい態様は、本明細書においては傾斜したブラッシング表面と呼ばれる。
【0019】
図4は、好ましい実施形態の歯ブラシ10の頭部20の同様の側面図を例証している。しかしながら、図4は、図3には示していない可動毛50も包含するものとして歯ブラシ頭部を示している。図2および図4に最良に示すように、この実施形態において、可動毛50の内側の群により提供されたブラッシング表面52は、静止毛60のそれと同様であることが好ましい。ブラッシング表面52は、複数の谷部分または凹部分52aと、複数の頂点52bとを包含する。固定毛60のブラッシング表面62に関して先に述べたように、可動毛60のブラッシング表面52は波形であるのが好ましい。具体的には、固定毛60の毛の高さまたは先端のさまざまな頂点と谷部分との間隔は、本質的には、可動毛50の内側群のそれに対応する。この特徴は、図2に最良に示されており、頭部20に沿った毛ホルダおよび可動毛50のある位置で、可動毛50の波形ブラッシング表面52により画定されたさまざまな頂点および谷部分と、固定毛60の波形ブラッシング表面62により画定された頂点および谷部分とは互いに整合している。図2を参照すると、ブラッシング表面52の凹部分52aは、線B、C、DおよびEに沿ってブラッシング表面62の凹部分62aと概ね整合していることが分かる。そして、更に図2を参照すると、ブラッシング表面52の頂点52bは、線F、GおよびHに沿ってブラッシング表面62の頂点62bと概ね整合していることが分かる。
【0020】
図5は、本発明による歯ブラシの第2の好ましい実施形態の頭部の詳細な斜視図である。歯ブラシ110は、可動毛150の内側に配置された群を概ね囲むか、または部分的に包囲する複数の静止毛および/または固定毛160を包含する。ブラシ頭部120の遠位端部122の上に配置されるのは、複数の断続可動毛170である。好ましい実施形態の歯ブラシ110は、前述の図に示した前述の歯ブラシ10に概ね対応する。しかしながら、可動毛150の毛先端の構成、即ち、ブラッシング表面152は、図2に示した可動毛50のブラッシング表面52とは異なる。本質的には、図5に示した実施形態は、可動毛150の毛構成を利用しており、毛150は同様の、または均一な高さを有する。これにより、比較的平坦状または平面状のブラッシング表面152が得られる。断続可動毛170は、傾斜したブラッシング表面を画定することが好ましい。そして、静止毛160は、波形のブラッシング表面を画定することが好ましい。
【0021】
図6は、この好ましい構成を例証している。具体的には、図6は、好ましい実施形態の歯ブラシ110のブラシ頭部120の側面図を例証している。可動毛150の比較的平坦なブラッシング表面152が見られる。
【0022】
図7〜図10は、本発明による別の好ましい実施形態の歯ブラシ210を示す。歯ブラシ210は、複数の静止毛および/または固定毛(図示せず)と、可動毛ホルダ255の上に配置された毛(図示せず)を含む可動毛と、ブラシ頭部220の遠位端部222に配置された複数の断続可動毛270とを有するブラシ頭部220を包含する。毛ホルダ255は、連結具214により往復運動する駆動軸212に係合されている。駆動軸212は、歯ブラシ210の首部および頭部に画定された中空領域内で延伸し、ホルダ255をモータおよび駆動機構(図示せず)に係合させる。当業者に理解されるように、ホルダ255は、ブラシ頭部220に対してホルダの運動を支援または案内するための支持手段を包含してもよい。ホルダ255の遠位端部に沿って配置または画定されるのは拡張領域256である。この領域はまた、本明細書においては毛ホルダの接触する縁部と呼ばれる。この接触する縁部は、側部、前部/前縁、および/または後部/後縁、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない毛ホルダのいずれかの領域の上に配置されてもよい。この接触する縁部はまた突出部を含んでいてもよい。突出部は、断続可動毛と接触するべく、可動毛ホルダの接触する縁部から延伸する隆起部または突起である。接触する縁部は、1以上の突出部を含んでいてもよい。複数の突出部が存在する場合、突出部の間には間隔または空隙が存在してもよい。これらの間隔および/または空隙が存在する場合、これらの間隔および/または空隙に対応する毛は、可動毛ホルダによって動かされず、故に、これらの毛は静止した固定毛であり得る。複数の突出部を有する実施形態において、静止した固定毛は、断続可動毛の隣に配置され得る。静止した固定毛および断続可動毛のパターンは、突出部の数、大きさおよび場所を含むがこれらに限定されない突出部の特性によって決定することができる。図8は、断続可動毛と接触する前縁/後縁を例証している。縁部256の長さ寸法は、毛ホルダ255が前方、即ちブラシ頭部220の遠位端部222に向かって延伸することにより、断続可動毛270がある角度で接触され、変位されるようなものである。故に、ホルダ255の運動により、断続可動毛270は、歯ブラシの作動中のホルダ255のそれと対応する周波数で変位される。断続可動毛270の変位の程度は、図10に示されており、角度Aとして示されている。ストローク長Sによって規定されるようなホルダ255の運動により、断続可動毛270がある角度Aで変位されることが理解される。本明細書に記載される好ましい実施形態における歯ブラシの往復運動する毛ホルダのストローク長Sは、約0.1mm〜約10mm、より好ましくは約0.5mm〜約5mm、また最も好ましくは約1mm〜約3mmの範囲であってもよい。本明細書に記載されるような好ましい実施形態における歯ブラシの断続可動毛の変位角Aは、約5°〜約45°、より好ましくは約10°〜約35°、また最も好ましくは約15°〜約30°の範囲であってもよい。この変位角Aは、一般には、ブラシ頭部の遠位端部の最も近くに配置される断続可動毛の群の毛の角変位である。角度Aは、図10に点線で示す変位前のこれらの毛の配向と、最大に変位したときの毛の配向との差として解釈される。
【0023】
理解されるように、本発明の好ましい態様において、毛ホルダそして特にホルダの前縁は、歯ブラシの作動(または所望のブラッシングモードの始動)により断続可動毛と接触または衝突する。一般に、毛ホルダと、そのホルダとの接触を受ける断続可動毛との接触または衝突の場所は、そこから断続可動毛が延伸するブラシ頭部の面または露出表面から、断続可動毛の遠位端部までを測定した時における毛の高さ全体の百分率として表してもよい。一般に、接触の場所は、毛の長さの50%未満に沿って、好ましくは40%未満に沿って、より好ましくは30%未満に沿って、より好ましくは20%未満に沿って、また最も好ましくは10%未満に沿って画定された領域の内部に生じる。更に、接触は、毛の根元または球となされ得る。
【0024】
図11〜図13は、毛ホルダと断続可動毛との動きの関係を更に別の様式で例証する。具体的には、これらの図は、頭部320を有する好ましい実施形態の歯ブラシ310を例証している。頭部320上に配置されるのは、複数の可動毛350を概ね囲むか、または部分的に包囲する複数の静止毛360である。可動毛350は、可動毛ホルダ(図示せず)上に配置される。頭部320の遠位端部322に沿って配置されるのは、複数の断続可動毛370である。歯ブラシ310の作動および歯ブラシ310の長手軸と概ね平行な方向での毛ホルダの往復運動中、ホルダは、ブラシ頭部320の端部322から最大距離にある場所に達する。この位置は、図11では位置Tとして示されている。毛ホルダがブラシ頭部320の端部322に向かってストロークを始めると、ホルダは、その前縁356が断続可動毛370の少なくとも一部分と接触する場所に達する。この場所は、図12に示す場所Tから離れた距離Uのところにある。好ましくは、距離Uはホルダの最大ストローク長の百分率として表すと、約90%〜約98%である。そのストロークの末端、即ち、その縁部356が頭部の遠位端322に最も近いホルダの場所に達すると、縁部356は、断続可動毛370の少なくとも一部分と接触し、これにより、それらの毛を最大角変位まで変位させる。この場所において、図13に示す距離Vは、毛ホルダのストローク長に相当する。一般に、本明細書に記載されるような往復運動する毛ホルダのストローク長は、図10に示したSについて先に述べた値に相当する。そして、断続可動毛370の角変位量は、図10に示したAについて先に述べた値に相当する。
【0025】
図14〜図16は、本発明の別の実施形態を例証している。これらの図は、可動毛ホルダと断続可動毛との関係を例証しており、可動毛ホルダの前縁は突出部を備えている。これらの突出部は、歯ブラシの遠位端部に位置する断続可動毛と接触する。突出部の大きさは、断続可動毛に所望される運動の種類および量に応じて変更することができる。より大きな突出部を有すると、断続可動毛はより長い距離上をより大きい運動量で移動することができる。また、突出部は、さまざまな角度から断続可動毛と衝突するか、またはさまざまな位置でそれらの毛と接触し、それにより異なる種類の毛の運動を起こすように形成され得る。頭部321上に配置されるのは、複数の可動毛350を概ね囲むか、または部分的に包囲する複数の静止毛360である。可動毛350は、可動毛ホルダ(図示せず)の上に配置される。本発明のこの実施形態において、断続可動毛370は、歯ブラシ311の頭部321の遠位端部322の上に位置する。歯ブラシ311の作動および歯ブラシ311の長手軸と概ね平行な方向での毛ホルダの往復運動中、ホルダは、ブラシ頭部321の遠位端部322から最大距離にある場所に達する。この位置は、図14では位置Tとして示されている。毛ホルダがブラシ頭部321の遠位端部322に向かってストロークを始めると、ホルダは、その前縁356が断続可動毛370の少なくとも一部分と接触する場所に達する。この場所は、図15に示す位置Tから離れた距離Uのところにある。好ましくは、ホルダの最大ストローク長の百分率として表される距離Uは、約90%〜約98%である。そのストロークの末端、即ち、突出部357を備えるその縁部が頭部の遠位端部322に最も近いホルダの場所に達すると、突出部357は、断続可動毛370の少なくとも一部分と接触し、それによりそれらの毛を最大角変位まで変位させる。この場所において、図16に示す距離Vは、毛ホルダのストローク長に相当する。一般に、本明細書に記載されるように往復運動する毛ホルダのストローク長は、図10に示したSについて先に述べた値に相当する。そして、断続可動毛370の角変位量は、図10に示したAについて先に述べた値に相当する。
【0026】
図17〜図19は、本発明の更に別の実施形態について例証している。頭部323の上に配置されるのは、複数の可動毛350を概ね囲むか、または部分的に包囲する複数の静止毛360である。可動毛350は、可動毛ホルダ(図示せず)の上に配置される。本発明のこの実施形態において、断続可動毛371は、歯ブラシ313の頭部323の毛を支持している表面の側部に位置する。歯ブラシ313の作動および歯ブラシ313の長手軸と概ね平行な方向での毛ホルダの往復運動中、毛ホルダは、ブラシ頭部323の遠位端部322から最大距離にある場所に達する。毛ホルダがブラシ頭部323のそのストロークに沿って遠位端部322に向かって移動すると、突出部361を備え、可動毛ホルダの側部に位置するホルダは、歯ブラシ313の頭部323の側部に沿って配置された断続可動毛371と接触し、それにより可動毛ホルダが歯ブラシ313の頭部の遠位端部322に向かって移動するときにそれらの毛を変位させる。
【0027】
図20〜図22は、本発明の歯ブラシの別の実施形態を例証している。頭部325の上に配置されるのは、複数の可動毛350を概ね囲むか、または部分的に包囲する複数の静止毛360である。可動毛350は、可動毛ホルダ(図20〜図22には示さず)の上に配置される。この実施形態において、断続可動毛373は、歯ブラシ315の首部に近接する歯ブラシ頭部325の部分の上に位置する。歯ブラシ315の作動および歯ブラシ315の長手軸に概ね平行な方向への毛ホルダの往復運動の際である。毛ホルダが遠位端部322から歯ブラシ頭部325の底部または近位端部に向かってそのストロークに沿って移動すると、突出部363を備え、可動毛ホルダの底部/後縁に位置するホルダは、歯ブラシ頭部325の底部または近位端部に沿って配置された断続可動毛373と接触する。突出部と接触することにより、断続可動毛373が変位する。
【0028】
図23〜図24は、本発明の歯ブラシの別の実施形態を例証している。断続可動毛(単数または複数)390は、歯ブラシ頭部の静止部分391を通して配置されている。可動毛ホルダ397は突出部393を備えており、これらの突出部393は、頭部の静止部分の下に延伸し、断続可動毛(単数または複数)の球および/または根元395と接触する。毛ホルダがブラシ頭部の遠位端部399に向かってそのストロークを始めると、ホルダは、その前縁393が断続可動毛(単数または複数)390の根元および/または球395と接触する場所に達する。前縁393が根元および/または球395と接触すると、毛390は上方へ移動される。次いで、可動毛ホルダ397は、歯ブラシ頭部の遠位端部399から遠ざかることによりそのストローク周期を完了し、毛ホルダ397の縁部393は、断続可動毛390の根元および/または球395から遠ざかり、その結果として毛は下方へ移動する。
【0029】
本発明の他の実施形態において、断続可動毛は、可撓性プラットフォームおよび/またはプレートの上に配置される。このプラットフォームは、歯ブラシ頭部の上に配置されるか、またはそれにより支持される。可動毛が断続可動毛および/または可撓性プラットフォームのいずれかに接触すると、プラットフォーム内に配置された全ての毛が断続的に動く。更に、プラットフォームは他の毛と接触し、それによりこれらの毛に運動を与えることができる。
【0030】
往復運動する毛ホルダを利用するブラシ頭部の構成において、一般的には、ホルダの周波数は毎分約250〜約5,000ストローク周期であるのが好ましい。より好ましくは、この周波数は、毎分約750〜約2,000ストローク周期の範囲であり、典型的には毎分約1,250ストローク周期の付近である。これらの動作速度は、毛ホルダ上にブラッシング負荷がかかっていない場合に与えられる。本発明は、本明細書に記載されたものよりも小さいかまたは大きい周波数で運動を受ける断続可動毛と接触する駆動構成要素または毛ホルダを使用してもよいことが考慮される。更に、周波数範囲は、可動毛ホルダの運動を減少させることにより変更することができる。
【0031】
断続可動毛と周期的に接触する往復運動する毛ホルダを利用するブラシ頭部の構成について、魅力的な性能と製造可能特性の組み合わせを付与するために、特定の頭部設計が見出された。本発明のこの態様において、ブラシ頭部は、歯ブラシの長手軸に概ね平行な軸に沿って往復運動する毛ホルダを包含する。毛ホルダは、ブラシ頭部の遠位端部に沿って、またはその近くに配置された断続可動毛の組と周期的に接触する前縁を画定する。この前縁は、ホルダの基部の最前領域から外側に向かって、約0.1mm〜約5mm、より好ましくは約0.5mm〜約4mm、また最も好ましくは約2mmの距離で延伸する。図8を参照すると、この距離は、ホルダ255の下側平面の最前領域から、断続可動毛270と接触するものとして図8に示される縁部256の遠位端までを(毛ホルダの長さ寸法に沿って)測定したときの距離である。検討中の毛ホルダのストローク長は前述のとおりであるが、好ましくは約1.0mm〜約2.5mm、より好ましくは約1.5mm〜約2.0mm、そして最も好ましくは約1.7mmである。前縁はまた、断続可動毛および/または毛と衝突する突出部を有するように成形されてもよい。
【0032】
好ましい毛の構成が、ブラシ頭部の概ね中間領域または内側に位置する可動毛に基づくこと、並びに、静止毛もしくは固定毛、および/または断続可動毛が中間に配置された可動毛を少なくとも部分的に包囲することに留意すべきである。このことについては、本明細書で更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これらの好ましい構成に限定されない。
【0033】
いくつかの応用について、静止毛または固定毛と断続可動毛との組み合わせは、可動毛の集まりの周辺または周囲の100%を包囲することが好ましい。他の応用において、固定毛と断続可動毛との組み合わせは、可動毛の周辺の約75%〜約100%を包囲する、かまたはそれに沿って延伸することが好ましい。更に別の応用において、固定毛および断続可動毛の組み合わせは、可動毛の周囲の約50%〜約75%に沿って延伸することが好ましい。更なる応用において、固定毛と断続可動毛の組み合わせは、可動毛の周辺の約25%〜約50%に沿って延伸することが好ましい。他の応用において、固定毛と断続可動毛の組み合わせは、可動毛の周辺の約25%未満に延伸することが好ましい場合もある。記述したように、固定毛は、可動毛の集合の外側周辺の少なくとも一部分に沿って広がることが好ましい。固定毛が、可動毛の組の周辺を連続的に広がる必要はない。すなわち、本発明は、固定毛が可動毛の集合の外側周辺に沿ってまたはその周りに部分的に延伸する毛構成を包含する。
【0034】
そして、本明細書に記載された好ましい実施形態の歯ブラシは全て、ブラシ頭部の遠位端部近くに配置された複数の断続可動毛を使用するが、本発明は、広範な他の配置および構成を包含する。例えば、本発明による歯ブラシは、断続可動毛の1、2またはそれ以上の群または組を包含することができ、ブラシ頭部のさまざまな領域に沿ってこのような群を提供することができる。即ち、本発明は、遠位端部に近接して配置される断続可動毛に限定されない。それらの毛は、毛ホルダの運動の種類に応じて、首部に近接して、または頭部の片側もしくは両側に沿って配置され得る。本発明は、断続可動毛がブラシ頭部の上のいずれかの領域近くに配置されるブラシ頭部の構成を包含する。1つの実施形態において、歯ブラシ頭部の周辺は、歯ブラシ頭部の遠位端部に断続可動毛を約5%〜約25%備え、歯ブラシ頭部の周辺の残余部分は、頭部の側部および近位端部をほぼU字型に占める固定毛を約95%〜約75%備える。歯ブラシの別の実施形態において、歯ブラシ頭部の周囲は、実質的に、断続可動毛を備える。更に別の実施形態において、歯ブラシ頭部の周囲は、歯ブラシ頭部の遠位端部に約5%〜約25%の断続可動毛と、歯ブラシ頭部の近位端部に約5%〜約25%の断続可動毛とを備え、歯ブラシ頭部の周囲の残余部分は固定毛を備える。更に別の実施形態において、歯ブラシ頭部の周囲は、歯ブラシ頭部の周囲の側部上に配置された断続可動毛を約50%〜約75%備え、歯ブラシ頭部の周囲の残余部分は固定毛を備える。
【0035】
分かるように、可動毛ホルダは、多種多様な運動を受けてもよい。例えば、可動毛ホルダは、角運動、直線状運動、または曲線状運動を受けてもよい。毛ホルダの動きは、一定でも周期的でもよい。あるいは、ホルダは、旋回的または振動的なものとして最も良く特徴付けられる運動を含む広範な運動を受けてもよいと考慮される。しかしながら、一般に、可動毛ホルダの好ましい運動は、周期的な直線状運動か、または往復運動である。
本明細書に記載されたさまざまな往復運動を行う毛ホルダはまた、回転する軸を備える駆動機構を利用してもよい。更に、他のモータおよび往復運動または回転する軸配置は置き換えられ得ることがわかる。例えば、米国特許第5,226,206号、同第5,524,312号、同第5,383,242号、同第5,465,444号、同第5,504,959号、同第5,836,030号、同第4,845,795号、同第5,404,608号、同第5,359,747号、および同第5,617,601号は、好適であり得る他のモータおよび往復運動軸配置を開示しており、それらの要旨を参照として本明細書に組み込む。更に、歯ブラシは、取替え可能な頭部を具備することができる。本発明に適合可能である好適な配置が、米国特許出願09/850,662(2001年5月7日出願)に開示されており、その要旨を参照として本明細書に組み込む。同様に、米国特許出願10/114,780(2002年4月3日出願)および10/128,018(2002年4月22日出願)に開示される駆動機構を、本発明と組み合わせて使用することも考えられており、両方とも参照として本明細書に組み込む。
【0036】
本発明のブラシ頭部の実施形態は、簡略化のために、それらが延伸する頭部の長手軸に実質的に垂直な方向に延伸する毛の房と共に示したが、これらの毛は、固定毛もしくは断続可動毛、または可動毛の運動もしくは断続可動毛の運動を補完するかまたは更に強化するべく異なる配置にしてもよいと考えられている。毛の一部または全部は、毛ホルダの上面と鋭角を形成する方向に延伸してもよいし、前または後ろ方向に延伸してもよい。別の実施形態において、毛の一部分は、頭部から別の方向に外側に離れるように延伸し、更に毛ホルダの上面に対して鋭角を形成してもよい。本発明の更に別の実施形態において、歯ブラシ頭部の前縁または最遠位端部に位置する固定および/または断続可動毛および/または毛の房は、それらが延伸する歯ブラシ頭部の長手軸に対して角度を形成する。毛および/または房と、そこから毛が延伸する頭部との間に形成される角度は、好ましいいずれかの大きさであり得る。その内容が本明細書に参照により組み込まれる米国意匠特許第330,286号および米国意匠特許第434,563号に記載されているような、マッサージ毛または高さの異なる毛を使用することもでき、これらの要旨を参照により本明細書に組み入れる。使用するのに好適な他の好ましい毛の配置には、米国特許第6,006,394号、同第4,081,876号、同第5,046,213号、同第5,335,389号、同第5,392,483号、同第5,446,940号、同第4,894,880号、およびPCT国際公開特許WO99/23910に全部または一部として記載される配置が挙げられ、その要旨を参照として本明細書に組み込む。本発明と共に使用するのに適し得るブラシ頭部および毛の特性、材料、寸法、配置および態様に関する更なる態様は、米国特許第6,574,820号、同第6,564,416号、同第6,553,604号、同第6,453,497号および同第6,308,367号(これらの要旨は参照により本明細書に組み込まれる)の1以上に記載される。更に、歯ブラシの頭部および/または毛ホルダ上に配置されたいずれの毛も、熱可塑性エラストマー(TPE)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン(SEBS)、ナイロン、非エラストマー材およびエラストマー材、並びに/またはこれらのいずれかの組み合わせを含むが、これらに限定されないいずれかの材料から構成され得る。
【0037】
本発明の電動歯ブラシは、毛またはマッサージ先端部のタイプ、寸法、組み合わせ、角度、および配置のいかなる組み合わせでもなされることができる。毛の房は、高さが交互であってもよい。1つの実施形態では、複数の高い房と複数のより低い房がある。高い房とより低い房との長さの差は、一実施形態では約0.5mm〜約2.5mm、別の実施形態では約1mm〜約2mmである。毛の高い房と低い房は、異なる特性を備えることができる。例えば、高い毛の房は、ユーザーの歯肉を優しく洗浄およびマッサージするために比較的柔軟にし、一方、より短い毛の房は、歯間の洗浄のためにややより固くしてもよい(またはその逆)。この配置によって、より短い(かつ通常はより固い)毛が、ユーザーの歯および歯肉に接触する前に、より長い(かつ通常はより柔軟な)毛が、ユーザーの歯肉に対して押し付けられ、曲がって、撓むことが可能になる。したがって、例えば、柔軟な毛が、より大きな力で当てられ、一方、より固い(かつおそらくは快適さがより少ない)毛が、より小さな力で当てられることが可能になる。
【0038】
特に好ましい実施形態において、本発明が提供する毛構成では、可動毛すなわち可動毛ホルダにより支持されこれに固定された毛は、可動毛ホルダおよびこれに固定された毛を少なくとも部分的に取り囲むかまたはそれに沿って広がる、静止毛の長さよりも短い全長を有する。この好ましい毛構成の更なる変形形態は、可動毛の遠位端部が、頭部の外側表面から延びている、より長い静止毛とほぼ同じ高さになるように、頭部の外側表面より上にわずかに隆起された可動毛ホルダを特徴とする。一般に、比較的短い長さの可動毛を使用することによって、(往復運動を受ける時の)可動毛キャリアの距離またはストロークが、より長い毛を使用する場合より短くなる。より短いストロークは、一般に、必要動力の低減につながる。このことは、次に電池需要を減少させ、これが得られた歯ブラシの製造可能性および販売可能性を更に促進することができるので、有益である。その上、比較的短い長さの毛を可動毛に、およびより長い毛を静止毛に使用すると、ブラッシング負荷のより大きな割合が、静止毛によって担われる。これが、一般に、歯ブラシのモータおよび駆動機構への動力需要を更に減少させる。
【0039】
1つの実施形態において、可動毛ホルダが動いていない時、可動毛ホルダ上に配置された可動毛の正弦曲線状の頂点は、固定毛および/または可動毛ホルダを実質的に包囲しかつ/またはそれを囲む断続可動毛の正弦曲線状の頂点間の谷部分に置かれる。別の実施形態において、可動毛の正弦曲線状の頂点は、可動毛ホルダが動いていない時、可動毛と、固定毛および/または断続可動毛との正弦曲線状の頂点が互いに対応するように置かれる。
【0040】
特に好ましい態様において、本発明の歯ブラシにおいて使用される可動毛ホルダは、特定の毛受容構成を特徴とする。最も好ましくは、毛ホルダは、複数の開口を画定し、その各々は毛、即ち可動毛の房を保持するように適合される。好ましい開口の数は、約16〜約25の範囲であり、また最も好ましくは約22である。開口の数はこれらの数よりも小さくてもまたは大きくてもよいことが理解されるであろう。各開口は、好ましくは円形であり、約1.0mm〜約2.0mm、また最も好ましくは約1.60mmの直径を有する。開口は、ホルダの表面にわたって均一に分配されている。
【0041】
更に、いくつかの実施形態においては、その上に毛が配置された毛ホルダに傾斜したブラッシング面を持たせることが好ましい場合もある。即ち、ブラシ頭部において、毛が配置された毛ホルダを組み込みかつ組み立てることにより、毛の遠位端部に向けられたホルダの表面は、好ましくは、歯ブラシの長手軸に対してある角度で配向される。好ましくは、この角度は、約1°〜約8°の範囲、より好ましくは約2°〜約6°の範囲、また最も好ましくは約4°である。この傾斜は、ブラシの首部からブラシ頭部の遠位端部に向かうにつれて、ブラッシング表面が歯ブラシの長手軸から段々と離れて配置されるようなものである。
【0042】
本発明は、1以上の断続可動毛と周期的に接触するかまたは衝突する可動毛ホルダに関して説明してきたが、本発明は、毛ホルダの他に、またはそれに加えて、1以上の駆動機構の構成要素が断続可動毛と接触するかまたは衝突する構成を包含する。
【0043】
特定の好ましい実施形態を参照して、本発明を記載した。この明細書を読んで理解する際に、他の人々も、変形および変更を思いつくであろう。更に、固定毛、断続可動毛および可動毛についていくつかの特定の配置を示し説明したが、本発明は、さまざまな他の構成を包含する。全てのそのような変形および変更は、添付の特許請求の範囲またはそれに等しい範囲の内部にある限り包含される、ということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による好ましい実施形態の歯ブラシの斜視図である。
【図1a】本発明に従う歯ブラシの実施形態の一部を切り取った詳細な斜視図である。
【図2】図1に示した電動歯ブラシの頭部の詳細な斜視図である。
【図3】図2に示した歯ブラシ頭部の詳細な側面図であり、明確にするために毛の一部分が除去されている。
【図4】図2に示した電動歯ブラシの頭部の詳細な側面図であり、全ての毛が存在している。
【図5】本発明による歯ブラシの第2の好ましい実施形態の頭部の詳細な斜視図である。
【図6】図5に示した歯ブラシの頭部の詳細な側面図である。
【図7】本発明による別の好ましい実施形態における歯ブラシの頭部の詳細な概略的部分断面図である。
【図8】図7に示された好ましい実施形態における歯ブラシの頭部の領域の詳細図である。
【図9】図7に示された好ましい実施形態における歯ブラシの頭部の詳細な側面図である。
【図10】図7に示した好ましい実施形態における歯ブラシの頭部の別の詳細な側面図であり、歯ブラシの作動中における毛の群の変位を例証している。
【図11】本発明による別の好ましい実施形態における頭部の前面の詳細図である。
【図12】図11に示した歯ブラシの頭部の別の詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を例証している。
【図13】図11に示した歯ブラシの頭部の更に別の図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を更に例証している。
【図14】本発明による歯ブラシの別の好ましい実施形態の頭部の詳細図である。
【図15】図14に示した歯ブラシの頭部の別の詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を例証している。
【図16】図14に示した歯ブラシの頭部の更に別の図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を更に例証している。
【図17】本発明による歯ブラシの別の好ましい実施形態の頭部の詳細図である。
【図18】図17に示した歯ブラシの頭部の別の詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を例証している。
【図19】図17に示した歯ブラシの頭部の更に別の図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を更に例証している。
【図20】本発明による歯ブラシの別の好ましい実施形態の頭部の詳細図である。
【図21】図20に示した歯ブラシの頭部の別の詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を例証している。
【図22】図20に示した歯ブラシの頭部の更に別の図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を更に例証している。
【図23】歯ブラシの頭部の一部を切り取った詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの運動を例証している。
【図24】歯ブラシの頭部の一部を切り取った詳細図であり、頭部に沿った毛ホルダの更なる運動を例証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシ(10,110,210,310,311,313,315)であって、
(a) 柄部(30)、頭部(20,120,220,320,321,323,325)、および前記柄部と前記頭部との間に延伸する首部(40)を具備し、前記柄部は中空の内側領域を有し、前記頭部はその上に配置された毛を有し、前記電動歯ブラシは長手軸(L)を有し、
(b) 前記頭部の上に配置された可動毛ホルダ(255,397)を具備し、前記可動毛ホルダはその上に複数の可動毛(50,150,350)を有し、
(c) 前記中空の内側領域の中に配置されたモータ(23)を具備し、前記モータは駆動軸(25,212)によって前記可動毛ホルダに機能的に接続され、
(d) 前記頭部の静止部分に配置された1以上の毛を具備し、前記駆動軸の動きにより、前記頭部の前記静止部分の上に配置された前記毛が動く
電動歯ブラシ。
【請求項2】
電動歯ブラシ(10,110,210,310,311,313,315)であって、
(a) 柄部(30)、頭部(20,120,220,320,321,323,325)、および前記柄部と前記頭部との間に延伸する首部(40)を具備し、前記柄部は中空の内側領域を有し、前記頭部はその上に配置された毛を有し、前記電動歯ブラシは長手軸(L)を有し、
(b) 前記頭部の上に配置された可動毛ホルダ(255,397)を具備し、前記可動毛ホルダはその上に複数の可動毛を有し、
(c) 前記中空の内側領域の中に配置され、前記可動毛ホルダを動かすべく前記可動毛ホルダに機能的に接続されたモータ(23)、および、
(d) 前記頭部の静止部分に配置された1以上の毛を具備し、前記可動毛ホルダの動きにより、前記頭部の前記静止部分の上に配置された前記1以上の毛の少なくとも一部分が動く
電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記可動毛ホルダは、前記頭部の前記静止部分の上に配置された前記1以上の毛の少なくとも一部分と接触する請求項1または2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記可動毛ホルダは、前記歯ブラシの前記長手軸に沿って毎分750〜2000ストロークで往復運動する請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記頭部の上に配置された前記毛は、前記頭部の前記静止部分に配置され、前記駆動軸(60,160,360)の動きの結果としての動きを受けない毛と、前記頭部の前記静止部分に配置され、前記駆動軸(70,170,270,370,371,373)の動きの結果としての動きを受ける毛と、前記可動毛ホルダ(50,150,350)の上に配置された毛とを含み、前記頭部の前記静止部分の上に配置された前記毛は、5°〜45°の角度で変位されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記毛は、更に単一のエラストマー円筒体を備えている請求項1〜5のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記可動毛ホルダは、前記歯ブラシの前記長手軸に沿って0.1mm〜10mmのストローク長で往復運動する請求項1〜6のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
毛の長さの50%未満、好ましくは30%未満が前記可動毛ホルダによって接触される請求項1〜7のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記可動毛ホルダは、更に1以上の突出部(357,361,363,393)を備えている請求項1〜8のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記可動毛ホルダは、前縁突出部、後縁突出部、側縁突出部またはこれらの組み合わせから成る群から選択された1以上の突出部を備えている請求項1〜9のいずれか1つに記載の電動歯ブラシ。

【図1】
image rotate

image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公表番号】特表2007−523688(P2007−523688A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520324(P2006−520324)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022701
【国際公開番号】WO2005/009274
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504244210)チャーチ・アンド・ドゥワイト・カンパニー・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】