説明

可動間仕切りパネル

【課題】1台のAV機器を二つの部屋で共用可能とし、区切った空間を連結して一部屋として使用するときは、パネル本体を壁面に沿う収納位置に容易に移動できる可動間仕切りパネルを提供する。
【解決手段】レールに支持され室内を移動可能とされ、パネル本体1は間仕切り位置に配設される間仕切りレールと、該間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される延設レールとにガイド手段を介してスライド自在に保持され、該パネル本体1は本体自体が間仕切りレールに対して回動自在とされるとともに、上記パネル本体1に設けられた開口窓部11にはAV機器9が回動自在に内設され、室内空間の間仕切り位置と壁面に沿う収納位置とを移動自在とされた可動間仕切りパネルA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切りパネルに関する。さらに詳しくは、室内空間の間仕切りを行うとともに、区切った空間を連結して一部屋として使用するときは、壁面の収納位置に移動可能とされた可動間仕切りパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住居様式の多様化、家族構成の変化等に対応するため、室内空間を臨機応変に変えて居住者のライフスタイルやライフステージに柔軟に対応できる内装システムが求められている。そして、そのような内装システムの構築に際して、室内空間を使用状況に応じて間仕切り壁によって仕切ることができる可動間仕切り装置が利用されている。
【0003】
例えば、特開2007−255118号公報には、間仕切り壁の移動や回転を円滑に安定して行うことができる可動間仕切り装置が提案されている。
【0004】
一方、最近のオーディオビジュアル機器(AV機器)の薄型化にともなって、部屋を区切るために取り付けられた引き戸や開き戸などの戸とAV機器とを融合させることが可能となり、例えば、特開2001−146883号公報には水平移動または回転運動を行うことにより部屋の出入り口の開閉を行う戸とAV機器とを融合させることにより多機能化させた戸が開示されている。
【特許文献1】特開2007−255118号公報
【特許文献2】特開2001−146883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したいずれの技術も部屋を分離して使用するという機能しかなく、区切った部屋をひとつの部屋として用いるときの機能性、特にAV機器の利用の利便性を向上させるという点については言及されていない。本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、間仕切りパネル本体を移動可能とし、あるいはパネル本体自体を回動できるようにして、分離された各部屋に必要に応じてAV機器を配設した面を向け、1台のAV機器を二つの部屋で共用できるとともに、区切った空間を連結して一部屋として使用するときは、上記パネル本体を壁面に沿う収納位置に容易に移動できる可動間仕切りパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る可動間仕切りパネルは、レールに支持され室内を移動可能とされた可動間仕切りパネルであって、パネル本体は間仕切り位置に配設される間仕切りレールと、該間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される延設レールとにガイド手段を介してスライド自在に保持され、該パネル本体は本体自体が間仕切りレールに対して回動自在とされるとともに、上記パネル本体に設けられた開口窓部にはAV機器が回動自在に内設され、室内空間の間仕切り位置と壁面に沿う収納位置とを移動自在としたことを特徴としている。
【0007】
上記AV機器としては、薄型液晶テレビや、CD兼用DVDドライブ、カセットデッキやチューナ、MDデッキ、あるいは小型ステレオ、さらには、インターネットに接続可能に構成したマイコン等、いわゆるAV機器と呼ばれる電器製品であれば特に限定されることなく用いられる。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の可動間仕切りパネルにおいて、上記レールが間仕切り位置に配設される上間仕切りレールと、該上間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される上延設レールとからなり、上ガイド手段を介してスライド自在に保持されてなることを特徴としている。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の可動間仕切りパネルにおいて、上記上間仕切りレールと上延設レールとが天井面に配設されたリップ付き溝形鋼から構成され、上ガイド手段が上記リップ付き溝形鋼に保持されるスライドランナーとされたことを特徴としている。
【0010】
該スライドランナーは通常、円盤状のローラーガイドとこのローラーガイドに垂設された円筒状のガイドピンとからなり、上記ローラーガイドがリップ付き溝形鋼のリップとリップの間に保持され、ガイドピンはパネル本体上部に内設されたスリーブに摺動自在に嵌挿されている。
【0011】
本願請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の可動間仕切りパネルにおいて、上記上間仕切りレールと上延設レールとに対をなすよう床面に下間仕切りレールと下延設レールとを配設し、パネル本体をスライド自在に支持する下ガイド手段を断面略円形のスライドピンとしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本願請求項1記載の発明に係る可動間仕切りパネルにおいては、パネル本体は、間仕切りレールと該間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される延設レールとからなるレールにガイド手段を介してスライド自在に、かつ、パネル本体自体が間仕切りレールに対して回動自在に保持されているため、間仕切り位置において、壁面と略平行となるようにパネル本体を略直角に回動し、そのまま壁面までスライド移動した後、略直角の屈曲部を曲がって延設レールに沿ってスライド移動することにより、室内空間の間仕切り位置と壁面に沿う収納位置に容易に移動することができる。
【0013】
また、上記パネル本体に設けられた開口窓部にはAV機器が回動自在に内設されているため、間仕切り位置において、AV機器を回動し、反転させることにより、間仕切りされた各部屋に必要に応じてAV機器を配設した面を向けることが可能となり、1台のAV機器を二つの部屋で共用することができる。
【0014】
本願請求項2記載の発明に係る可動間仕切りパネルにおいては、特に、上記レールが間仕切り位置に配設される上間仕切りレールと、該上間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される上延設レールとからなり、上ガイド手段を介してスライド自在に保持することにより、床面にレールを設けることなく、見映えよく、間仕切りパネル本体を室内空間の間仕切り位置と壁面に沿う収納位置とに移動することができる。
【0015】
本願請求項3記載の発明に係る可動間仕切りパネルにおいては、特に、上記上間仕切りレールと上延設レールとからなる上レールが天井面に配設されたリップ付き溝形鋼から構成されているため、いわゆるCチャンネルと呼ばれる市販品を容易に利用することができる。
【0016】
また、上ガイド手段を円盤状のローラーガイドとこのローラーガイドに垂設された円筒状のガイドピンとからなるスライドランナーとすることにより、上記ローラーガイドがリップとリップとの間に挟持するように保持され、スライド自在とされるとともに、円筒状のガイドピンが略直角の屈曲部をスムースに曲がることができるため、間仕切りパネル本体を室内空間の間仕切り位置から壁面に沿う収納位置に移動することができる。また、逆に、壁面に沿う収納位置から室内空間の間仕切り位置に移動することができる。
【0017】
本願請求項4記載の発明に係る可動間仕切りパネルにおいては、特に、上記上間仕切りレールと上延設レールとに対をなすよう床面に下間仕切りレールと下延設レールとを配設し、パネル本体をスライド自在に支持する下ガイド手段が断面略円形のスライドピン、例えば、円筒体とされているため、この下ガイドピンが下間仕切りレールと下延設レールとの間の略直角の屈曲部をスムースに曲がり、パネル本体を自由にスライド移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態においては、パネル本体が天井面に配設される上間仕切りレールとこの上間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される上延設レールとに上ガイド手段を介してスライド自在に保持されるとともに、上記上間仕切りレールと上延設レールとに対をなして床面に下間仕切りレールと下延設レールとを配設し、上、下ガイド手段を介してパネル本体がスライド自在に支持される形態について説明する。
【0019】
図1は、本願発明にかかる可動間仕切りパネルAを示す外観斜視図である。図1に示すように、上記可動間仕切りパネルAにおいて、パネル本体1は、図外天井面に配設されたリップ付き溝形鋼からなる上間仕切りレール2にリップ21間の隙間を通ってスライド自在に移動するスライドランナー4を介して保持され、図外床面に上記上間仕切りレール2と対をなして配設された下間仕切りレール3との間にスライド自在に支持され、室内を移動可能とされている。また、図1に示されるように、上記パネル本体1には開口窓部11が設けられ、この開口窓部11にAV機器9が円筒状突起81、82によって回動自在に内設されている。
【0020】
図2は、上記スライドランナー4を示す部分断面側面図である。図2に示すように、上記スライドランナー4は、天井面Sに配設された上間仕切りレール2のリップ21間の隙間に保持されるガイドローラ41とこのガイドローラ41に連設される円筒状のガイドピン42とから構成されている。上記ガイドピン42は、パネル本体1に内設されたスリーブ6に摺動自在に嵌挿され、パネル本体1の上面と上間仕切りレール2の下面との間の距離dは自由空間とされている。
【0021】
図3は、上記パネル本体1の下部を示す部分断面側面図である。図3に示すように、上記パネル本体1の下部には、上記スリーブ6と同軸線上に円筒体の下ガイドピン5が設けられ、この下ガイドピン5によってパネル本体1は、床面Fに設けられた下間仕切りレール3上で回動自在かつ、スライド自在に支持されている。通常、この下ガイドピン5はパネル本体1の下端部略中央に設けられ、下ガイドピン5を挟んだ両側にはスプリングの付いたボールキャスター71、72が設けられている。
【0022】
図4は、上記した可動間仕切りパネルAを室内空間の間仕切り位置に配設した状態を示す説明図である。図4には、上記開口窓部11を有するパネル本体1と開口窓部11を有しない通常のパネル本体1aによって間仕切りされた状態が示されている。図4に示す状態においては、パネル本体1は上間仕切りレール2と下間仕切りレール3との間にパネル本体1の上部に設けられたスライドランナー4および下ガイドピン5を介してスライド可能に保持されている。また、上記上間仕切りレール2から略直角に屈曲し壁面に沿う上延設レール2aが天井面Sに配設されるとともに、上記下間仕切りレール3から略直角に屈曲し壁面に沿う下延設レール3aが床面Fに配設されている。
【0023】
図4、図5に示す状態において、パネル本体1に設けられた開口窓部11には、AV機器9が円筒状突起81、82によって回動自在に内設されているため、図5に示すように、AV機器9を回動して反転させれば、分離された各部屋に必要に応じてAV機器9を配設した面を向けることが可能となり、1台のAV機器を二つの部屋で共用することができる。
【0024】
一方、本実施形態においては、パネル本体1も回動可能とされている。すなわち、図6に示すように、パネル本体1をスライドランナー4と下ガイドピン5とから形成される軸を回転軸として回動することができる。ここで、パネル本体1は、断面略円形の円筒体である下スライドピン5上で矢印の方向に容易に回動し、スプリングによりクッション性を付与されたボールキャスター71、72は下間仕切りレール3のエッジ部に引っ掛かることなく下間仕切りレール3から床面に容易に移動することができる。
【0025】
また、図2に示すように、パネル本体1の上部に内設されスリーブ6はスライドランナー4のガイドピン42に沿ってせり上がり、このように上記した距離dが伸縮することにより、ボールキャスター71、72は下間仕切りレール3から容易に床面に移動し、スムースに床面上を回転することができる。
【0026】
例えば、二つの部屋を連結して使用したいとき、パネル本体1を図6に示すように壁面と略平行となるように直角に回動し、そのまま白抜き矢印の方向にスライド移動して上間仕切りレール2から略直角に屈曲し壁面に沿う上延設レール2a、および上記下間仕切りレール3から略直角に屈曲し壁面に沿う下延設レール3aに沿ってスライド移動させることができる。ここで、スライドランナー4のガイドピン42と下ガイドピン5とは円筒状に形成されているため、上間仕切りレール2と上延設レール2aとの屈曲部、および上記下間仕切りレール3と下延設レール3aとの屈曲部においてもスムースに曲がることが可能であり、かくして、パネル本体1を壁面に沿う右側の収納位置に移動させることができる。
【0027】
図7は、上記のようにしてパネル本体1を右側の収納位置に、またパネル本体1aを壁面に沿う左側の収納位置に移動させ、納めた状態を示す説明図である。上記したように、パネル本体1、1aを室内空間の間仕切り位置から壁面に沿う収納位置に移動することにより、二つの部屋をひとつの部屋として使用することができるとともに、パネル本体1の開口窓部11に回動自在に内設されたAV機器9、例えば、薄型テレビを楽しむことができる。
【0028】
上記実施形態においては、薄型テレビを例にして説明したが、薄型テレビに限られず、CD兼用DVDドライブ、カセットデッキやチューナ、MDデッキ等、いわゆるAV機器と呼ばれる電器製品であれば特に限定されることなく適用することができる。このように、本願発明は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明に係る可動間仕切りパネルを示す外観斜視図。
【図2】本願発明に係るスライドランナーを示す部分断面側面図。
【図3】本願発明に係るパネル本体の下部を示す部分断面側面図。
【図4】本願発明に係る可動間仕切りパネルを室内空間の間仕切り位置に配設した状態を示す説明図。
【図5】AV機器を回動して反転し、間仕切りされた各部屋に必要に応じてAV機器を配設する状態を示す説明図。
【図6】本願発明に係るパネル本体をスライドランナーと下ガイドピンとから形成される軸を回転軸として回動する状態を示す説明図。
【図7】本願発明に係るパネル本体を壁面に沿う収納位置に移動させ、納めた状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
A 本発明にかかる可動間仕切りパネル
F 床面
S 天井面
1 パネル本体
1a パネル本体
11 開口窓部
2 上間仕切りレール
21 リップ
2a 上延設レール
3 下間仕切りレール
3a 下延設レール
4 スライドランナー
41 ガイドローラ
42 ガイドピン
5 下ガイドピン
6 スリーブ
71 ボールキャスター
72 ボールキャスター
81 円筒状突起
82 円筒状突起
9 AV機器
d 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに支持され室内を移動可能とされた可動間仕切りパネルであって、パネル本体は間仕切り位置に配設される間仕切りレールと、該間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される延設レールとにガイド手段を介してスライド自在に保持され、該パネル本体は本体自体が間仕切りレールに対して回動自在とされるとともに、上記パネル本体に設けられた開口窓部にはAV機器が回動自在に内設され、室内空間の間仕切り位置と壁面に沿う収納位置とを移動自在とされた可動間仕切りパネル。
【請求項2】
上記レールが間仕切り位置に配設される上間仕切りレールと、該上間仕切りレールから略直角に屈曲して壁面に沿って延設される上延設レールとからなり、上ガイド手段を介してスライド自在に保持されてなる請求項1に記載の可動間仕切りパネル。
【請求項3】
上記上間仕切りレールと上延設レールとが天井面に配設されたリップ付き溝形鋼から構成され、上ガイド手段が上記リップ付き溝形鋼に保持されるスライドランナーとされた請求項1に記載の可動間仕切りパネル。
【請求項4】
上記上間仕切りレールと上延設レールとに対をなすよう床面に下間仕切りレールと下延設レールとを配設し、パネル本体をスライド自在に支持する下ガイド手段が断面略円形のスライドピンである請求項3に記載の可動間仕切りパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−228355(P2009−228355A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77198(P2008−77198)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】