説明

可塑化軟毛パルプの製造方法

【課題】柔軟性と弾性とを有する可塑化軟毛パルプを製造するための方法を提供する。
【解決手段】セルロース軟毛パルプに適用する可塑化組成物は、好ましくは水溶液であり、第1の可塑化剤および第2の可塑化剤を含んでいる。好ましくは、この第1の可塑化剤は、1,4-シクロヘキサンジメタノールであり、そして第2の可塑化剤は、トリアセチンである。この可塑化組成物を、セルロース軟毛パルプに作用させると、柔軟で弾性を有する可塑化軟毛パルプが生成される。可塑化されていないベースのセルロース軟毛パルプと比較して、この結果として生じた可塑化軟毛パルプは、カーマス・エネルギー、ミューレン強度、および繊維ノットとニット含有物、が減少している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の複数の実施例は、部分的に剥離し、柔軟性を有し、かつ弾力性を有する可塑化した軟毛パルプを製造する組成物と製造法に関する。他の実施例は、例えば使い捨てのおむつ、女性の衛生製品および大人用失禁製品、等の吸水用品の吸水コアーとして使われるそのような可塑化軟毛パルプから製造される吸水材に関する。より詳しくは、本発明の実施例は、柔軟性を有し、フレクシブルで、さらに弾力性を有し、かつ硬点の無い吸水コアー材を製造するのに有用な可塑化軟毛パルプに関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性軟毛パルプを含む製品は、多種多様な個人看護製品で広く用いられている。これ等の吸水性物品は、個人衛生製品から、例えば医学および食品処理アプリケーションで使用する拭き取り用品またはパッドにまで広範囲に用いられている。個人衛生製品を目的とする吸水性物品へ高吸水性材料を使用すると、軟毛パルプの使用量を大幅に減少させることが可能となるが、女性の衛生用品市場および失禁用品市場では、引き続き吸水性軟毛パルプの大きなニーズが確実に存在している。
【0003】
個々の吸水性物品の設計は、使用目的によって変化するが、この種の物品に共通する特定の要素または構成要素が存在する。概して個人看護、例えば成人用失禁パッド、女性看護製品および小児おむつ等を目的とする吸水性物品は、少なくとも表面シート、背面シート、表面シートおよび背面シートの間に位置する吸水コアー、そして、表面シートおよび吸水コアーの間に位置するオプションとしての捕獲/拡散層、により構成されている。この吸水コアーの機能は、上記表面シート層を通して吸水性物品に吸水した体液を吸収し保水することである。この体液の発生箇所は特定の限定箇所であるので、吸水用品を最大限に有効使用するために、この吸水コアーの広い表面全体に渡って流体を拡散するための手段を提供することが望ましい。これは典型的には、表面シートおよび吸水コアーの間に位置する捕獲/拡散部材を設けたり、及び/又は当然なこととして吸水コアーの組成物を変質させたりすることにより、達成することが可能である。
【0004】
この捕獲/拡散層は、概して液体のより良好な拡散、液吸収率向上、ゲル・ブロッキング低下、表面乾燥度の向上、等を得るために吸水性物品に取り入れられている。例えば、捕獲/拡散層は普通、僅かな量の流体を保水した捕獲繊維または他の材料で構成されている。多種多様な捕獲繊維が、従来技術において周知である。例えば、合成繊維、セルロース繊維および合成繊維の複合体、および架橋セルロース繊維が、これらの中に含まれる。
【0005】
上記吸水コアーは、大量の流体を吸収して、かつ少量の流体を保水することができる木質軟毛パルプから、典型的に構成されている。吸水コアーは、液体吸収性と保水特性を強化するために、さまざまな方法で設計することができる。例えば、吸水コアーの液体保水力特性は、高吸水性材料を木質軟毛パルプ繊維間に拡散配置することによって、非常に強化することができる。高吸水性材料またはポリマー(SAP)は、それ等自体の重量の最高100倍の量の水を吸収することができる実質的に水不溶性かつ水膨潤性材料として、公知技術でよく知られている。衛生製品、特におむつ及び成人失禁製品用の吸水コアーは、木質軟毛パルプがロール形状(普通、湿式の湿潤積層プロセスで製造される)に製造される連続製造ライン上で製造され、機械的手段、例えばハンマーミル、によって脱繊維化される。この脱繊維化された軟毛パルプは、それから、空気積層された(air laid)吸水コアーを形成するために所定の割合で、SAPの小片と空気積層される処理領域に送られる。この空気積層された吸水コアーは、吸水性物品に挿入されるか、または吸水性物品の製造過程で後から用いるためにロール状に巻かれる。
【0006】
概して吸水性物品は、より吸収力が高く、薄く、かつフレクシブルであるように設計されている。近年、安価で、かつかさ張らない吸水性製品の消費者ニーズが増加するにつれて、生産者は、その製品の使用中での液体拡散特性と構造的無欠性を犠牲にすることなく、その製品のサイズとコストを減少させる効果的な方法を求め続けてきた。特に、吸水性物品は、最近の10年にわたって、より薄くなっている。例えば、女性の生理パッドの厚みは、1980年代中頃は約15mm〜20mmから、現在は約2.5mm〜6mmまで減少している。しかしながら残念なことに、薄くまた非常に薄い製品への移行は、生産上の問題無くは行なわれなかった。例えば、その製品がより薄くなるにつれて、吸水コアーの無欠性が失われてしまう。これに対処するために、吸水性物品の設計者は、例えばその吸水コアーを高比重にするように圧縮して高度の無欠コアーを生産したり、繊維と繊維の接着や繊維とSAP小片の接着を得るために接着剤を使用した。しかしながら、これ等の生産における密度とSAP使用の増加により、液体吸収率と液体排水率に関する課題が生じた。さらに、高比重に吸水コアーを圧縮すると、コアーに、消費者には望ましくない硬質点(非常に高密度のクラスタ状のSAPと繊維)が生じてしまう。
【0007】
これらの課題を解決しようとして、米国特許第3,554,862号、3,677,886号、3,809,604号、4,144,122号および4,432,833号において開示された剥離剤が使用された。剥離剤は、普通、繊維を軟化させ、潤滑させる一つ以上の脂肪性グループを含んでいる第四級アンモニウム化合物である。1枚の木質パルプ繊維に適用されると、その脂肪性グループが、内部繊維水素結合(つまり繊維と繊維の結合)を分裂させ、その結果、複数の空隙が繊維中に生成される。これらの空隙は、繊維を更にかさ張らせ、木質パルプのシートを柔軟で弱いシートとなってしまう。同様に、米国特許第3,554,862号、3,677,886号、3,809,604号、4,144,122号、そして4,432,833号において開示されているカチオン材料や、そしてBEROCELL 587(Eka Chemicals社から入手可能な)のような非イオン剤も、木質パルプに使用されてきた。カチオン維持剤に関連して、非イオン薬、例えば脂肪酸エステル等の使用は、例えば米国特許第4,303,471号において開示されており、木質パルプの良好な壊変特性を生じさせることは公知である。残念なことに、これらの柔軟材および剥離剤の長い疎水アルカン鎖は、パルプに望ましくない疎水効果を有する傾向がある。例えば、それらはパルプの吸水性と湿潤性を減少させ、高吸水性と高排水性が必要な吸水性物品のような利用分野で、それ等のパルプの利用価値を低下させてしまう。さらに、SAP粒子によって光沢仕上げされるときに、その軟化かつ非接着性の軟毛パルプは、従来の無処置の軟毛パルプより多くの硬点を形成する傾向がある。
【0008】
高密度吸水コアーの柔軟性を改良するための他の提唱された解決手段は、シルケット加工された繊維を使用することである。吸水コアーの柔軟性を強化させるシルケット加工された繊維の使用は、米国特許第5,866,242号において開示されている。しかしながらこれらの繊維は、非シルケット加工の繊維と比較して高価である。
【0009】
添加物またはシルケット加工された繊維の使用に代わるものとして、米国特許第4,098,996号、5,547,541号、そして4,731,269号において開示されているような可塑化剤も、木質パルプの軟化剤として使われている。概して可塑化剤は、湿式積層(wet-laid)シート形成工程の前に、パルプ液状物に加えられる。この可塑化剤は、パルプの少なくとも10重量%以上を多量に添加される。その結果として形成されるパルプシートは、普通硬くなく、不織布のパッドに空気積層された時に、その密度を高めるのが容易である。一般の可塑化剤は、例えばグリセリンのようなポリヒドロキシ化合物や、例えばポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのような低分子量ポリグリコール、そして他のポリヒドロキシ化合物を含有する。またアンモニア、尿素およびアルキルアミンは、木質パルプを可塑化することも公知である(A.J.シュタム著FOREST PRODUCTS
JOURNAL 5(6);413,1955参照)。これらの可塑化剤に対する1つの欠点は、それらが多量にパルプ液状物に加える必要があることであり、それは吸水コアーの湿潤強度に副作用をもたらす点である。さらに、パルプに有益な特性を与えるためには、これらの添加物は、湿式積層工程中にパルプに添加しなければならない。
【0010】
周知のセルロース繊維、処理組成物およびそれらの調合方法に関する特定の効果および不利益についての本願明細書での説明は、本発明の範囲を制限することを目的としない。実際には、本願発明は、上述の不利益を受けずに、上記の方法、繊維および組成物のいくつか又は全てを含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,554,862号
【特許文献2】米国特許第3,677,886号
【特許文献3】米国特許第3,809,604号
【特許文献4】米国特許第4,144,122号
【特許文献5】米国特許第4,432,833号
【特許文献6】米国特許第4,303,471号
【特許文献7】米国特許第5,866,242号
【特許文献8】米国特許第4,098,996号
【特許文献9】米国特許第5,547,541号
【特許文献10】米国特許第4,731,269号
【非特許文献1】A.J.シュタム著FOREST PRODUCTSJOURNAL 5(6);413,1955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
セルロース化合物パルプを軟化させ、剥離させることによる諸問題点からみて、軟毛パルプの吸水性と浸透特性を犠牲にすることなく、柔軟性を有し、しなやかなセルロース軟毛パルプを製造するのに適した、簡単な比較的廉価な可塑化組成物のニーズが、この技術分野には存在している。更にまた、吸水性、液体浸透性、そして構造的安定性を犠牲にすることのない、柔軟性を有しフレクシブルな、そして薄い吸水材セルロース軟毛パルプのニーズが存在している。この結果として生じる可塑化されたセルロース軟毛パルプも、好ましくは硬点を有しないのが望ましい。またパルプ製造者および吸水性物品の製造者が製造時間とコストを削減できる、可塑化軟毛パルプをシート状に製造するプロセスに対するニーズも存在する。本発明はこれらのニーズを満たし、更に関連の効果を提供することが可能である。但し本発明は、単に組成物、方法およびこれらの需要または他のニーズを満たす組成物、方法そして材料だけに、限定されることはない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って本願発明の実施例における特徴は、水溶性で、非イオン性で、非重合体である第1の可塑化剤であり、そしてセルロース繊維のための可塑材および剥離剤として機能する第1の可塑材で構成した可塑化組成物を提供することである。
また本発明の実施例の特徴は、第1の可塑化剤、第2の可塑化剤および抗菌剤で構成する抗菌性可塑化組成物を提供することでもある
【0014】
また更に本発明の実施例の特徴は、可塑化軟毛パルプを製造する方法を提供することであり、この製造方法は、セルロース軟毛パルプをベースとする繊維を準備し、可塑化組成物を準備し、そのセルロース軟毛パルプをベースとする繊維に、その可塑化組成物を施すステップで構成されている。この製造方法で形成された可塑化軟毛パルプは、セルローズベースの繊維に比べて、カーマス・エネルギーが低く、そして結節およびニット量が低い。更にこの方法によって形成される可塑化軟毛パルプは、セルローズベースの繊維に比べて、吸水容量、負荷吸水性、そして対遠心力保水容量が、大幅に低下することはない。また可塑化軟毛パルプを含有する吸水コアーや吸水性物品を提供するのも、本願発明の実施例の特徴でもある。
【0015】
本願発明の上記あるいは他の目的、特徴および利点は、以下の本発明の好ましい実施例の詳細な説明および添付の図面で、より完全に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例4にて説明した可塑化軟毛パルプと従来の軟毛パルプの水平方向への液体排水率を示す図面である。
【図2】実施例5にて説明した可塑化軟毛パルプと従来の軟毛パルプを使用して作られた吸水コアーサンプルの復元力を示す図面である。
【図3a】乾式積層された吸水コアーの平面図であり、そしてサンプルがどのように、実施例6で示されたカップ・クラッシュ試験用に準備がされたかを示している。
【図3b】サンプルがどのように、実施例6で示されたカップ・クラッシュ試験用に準備がされたかを示している。
【図3c】圧縮力がどのように、実施例6で示されたカップ・クラッシュ試験用の試験サンプルに加えられるかについて示している。
【図4】実施例6で示された従来の軟毛パルプサンプルのカップ・クラッシュ試験の結果を示している図面である。
【図5】実施例6で示された可塑化軟毛パルプサンプルのカップ・クラッシュ試験の結果を示している図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の複数の実施例は、吸水性物品に使用するのに適した可塑化軟毛パルプと、そしてその可塑化軟毛パルプを製造する方法に関する。この方法は好ましくは、セルロース軟毛パルプ繊維を可塑化組成物の水溶液で処理するステップで構成されている。
【0018】
ここで使用するように、用語と表現としての「吸水性の衣服」「吸水性物品」または単に「物品」または「衣服」とは、体液および他の身体滲出物を吸収し含有する機構をいう。より詳しくは、これらの用語および表現は、身体から放出されるさまざまな浸出物を吸収して、含有するために着用者の身体に対して直接接し、又は近接して配置される衣類をいう。吸水性の衣類の実施例の非限定的なリストには、おむつ、おむつカバー、使い捨てのおむつ、トレーニング・パンツ、女性の衛生製品および成人失禁製品が含まれる。この種の衣類は、一回の使用後に、捨てられるか、或いは部分的に捨てられるものである(「使い捨ての」衣類)。廃棄されるか又は使用された後、部分的に廃棄されることを目的とすることができる。この種の衣類は、基本的に単一の分離できない構造で構成されるか(単一性衣類)、又はそれらは、交換可能なインサート部または他の可換可能なパーツで構成されている。
【0019】
使い捨て商品または使い捨て商品でなくとも、これに限定されずに、本発明の実施例は、吸水性の衣類の前述の種類の全てで使用することが出来る。本願明細書において記載されているいくつかの実施例は、例示的な構造として小児用のおむつについて記載するが、これは本発明を制限することを目的としない。本発明は、限定無しで、本願明細書において記載されているものを含む吸水性衣類の全ての種類およびタイプが含まれる。
【0020】
用語としての「構成部位」は、限定無しで、指定され選択された部位、例えば端、角、側等、或いは構造部材、例えば弾性ストリップ、吸水性パッド、伸張可能な層または材料のパネルや層、等をいう。
【0021】
本願明細書の全体にわたって、用語としての「配置した」、そして表現としての「何々の上方に配置された」、「何々の下に配置された」、「何々の上に配置された」、「何々の中に配置された」、「何々の間に配置された」、そしてこれ等の変形は、ある1つの要素が他の要素とともに一体的であるか、又はその1つの要素が別の構造体であり、それが他の要素と、接着され、或いは配置され、或いは近くに配置されていることを意味する。このように吸水性衣服のある1つの構成要素上に配置されたある1つの構成部位は、その構成要素の表面に直接あるいは間接に、形成され或いは適用されているか、複数層で構成される構成要素の層の間に、形成され或いは適用されているか、その構成要素と共に或いは近くに配置された基質に、形成され或いは適用されているか、構成要素のある1つの層または他の基質の中に、或いはこれ等の変形や組み合わせに、形成され或いは適用されている。
【0022】
本願明細書の全体にわたって、用語としての「表面シート」および「背面シート」は、吸水コアーに対するこれらの材料または層の関係を意味する。なお追加層が、吸水コアーと、表面シートおよび背面シートとの間にあってもよいものと理解され、そしてその追加層と他の材料は、表面シート又は背面シートから吸水コアーの反対側に別にあってもよい。
【0023】
本願明細書の全体にわたって、上記吸水用品に含まれる各種構成部位に関連する用語としての「上層」、「下層」、「上に」そして「下に」は、それぞれの構成部位の空間的関係を記載するために用いられる。他の構成部位より「上」の上層または構成部位は、吸水コアーまたは構成成分より垂直上に必ずしも残存する必要はないし、同様に、他の構成部位より「下」の下層または構成部位は、吸水コアーまたは構成部位より垂直下に必ずしも残存する必要はない。他の構成も、本願発明の範囲内であると考察される。
【0024】
本願明細書の全体にわたって、用語としての「滲み込ませた」は、繊維に滲み込ませた可塑化組成物との関連については、その可塑化組成物とセルロース軟毛パルプ繊維の親密な混和状態を意味し、それによって、その可塑化組成物が、繊維に接着しているか、その繊維の表面上に吸着しているか、或いはその可塑化組成物が、その繊維に化学的結合、水素結合またはその他の結合により連結されることを意味する。本願発明における「滲み込ませた」は、可塑化組成物が繊維の表面下で物理的に露出していることを必ずしも意味するという訳ではない。
【0025】
本願明細書の全体にわたって、用語としての「ニップ密度(挟み込み密度)」は、一定のニップ隙間(挟み込み隙間)を有する押圧シートに圧縮された吸水コアーの密度を記載するために用いられる。吸水コアーのこのニップ密度は、その押圧シートのニット間隙で、吸水コアーの基礎重量を割り算することによって決定される。
【0026】
本願明細書の全体にわたって、用語としての「最終密度」は、一定のニップ間隙を有する押圧シートに圧縮され、その後に平衡状態密度に達するまで約10分間放置された吸水コアーの密度を記載するために用いる。この吸水コアーの最終密度は、吸水コアーの基礎重量を、吸水コアーの最終的な(平衡状態にある)厚みで割り算することにより決定される。
【0027】
この説明の全体にわたって、用語としての「硬点」は、復元力を有しないSAPおよび繊維のクラスタ(集団)を記載するために用いる。複数個の硬点は、コアが密度に圧縮される従来の吸水コアーにおいて形成される傾向がある。
【0028】
この説明の全体にわたって、用語としての「可塑化軟毛パルプ」は、可塑化剤組成物で処理され、そして硬点の無い吸水コアーを生産するのに有用な軟毛パルプを記載するために用いる。
【0029】
この説明の全体にわたって、用語としての「復元力」は、一般の方法によって圧縮された後に、厚みが回復又は復元する軟毛パルプの性能に関連するために用いられ、このように吸水コアーの構造的復元力を云う。
【0030】
本願明細書において記載されている実施例は、吸水性物品、特にその吸水性物品の吸水コアーを形成することに有用なシート形状または軟毛形状の可塑化軟毛パルプに関する。吸水性物品の特定の構造自体は、本発明においては特に重要ではなく、いかなる吸水性物品においても本発明の利益を得ることができる。適切な吸水性の衣類については、例えば米国特許番号5,281,207および6,068,620に記載されており、それぞれの開示は、それらのそれぞれの図面を含み全部において本願明細書において引用したものとする。当業者であれば、本願明細書において設けられている指針を使用して、吸水性の衣類、コア、捕獲層などに、本願発明の可塑化軟毛パルプを利用することができる。
【0031】
【特許文献11】米国特許第5,281,207号
【特許文献12】米国特許第6,068,620号
【0032】
可塑化軟毛パルプを製造するのに有用な可塑化組成物の実施例は、好ましくは第1の可塑化剤、または第1の可塑化剤と第2の可塑化剤の組み合わせ又は混合により構成されている。この可塑化組成物は、いかなる適切で便利な手順によっても準備することができる。好ましくは、この可塑化組成物は、水溶液中に存在し、そして予め定められた濃度に希釈されているのが好ましい。
【0033】
上述の可塑化組成物に有用な第1の可塑化剤は、水溶性(例えば10%を超える)で、非イオン性である材料を含有し、軟毛パルプのための剥離剤および可塑化剤として機能することができる。これらの特性を有するいかなる第1の可塑化剤も、実施例において用いられることができるが、適切な第1の可塑化剤には、例えば、ポリヒドロキシ化合物の疎水アルキル基およびエーテルおよびエステル類誘導体を含んでいるポリヒドロキシ化合物がある。なお、この疎水アルキル基は、3つ以上の炭素原子を有するアルキル基である。
このアルキル基には、飽和、不飽和(例えばアルケニル、アルキニル、アリル)化合物を含み、置換または非置換、分枝または非分枝、環式または非環式の化合物、等が含まれる。かかる第1の可塑化剤の例は限定されるものではないが、以下を包含する。すなわち、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)グリセリンジアセタート、トリ(プロピレングリコール)ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ペンタエリスリトール・エトキシレート、ペンタエリスリトール・プロポキシレート、2-フェノキシエタノール、フェネチルアルコールおよびこれ等の組み合わせとこれ等の混合物である。好ましくはこの第1の可塑化剤は、トリアセチンではない。
【0034】
第2の可塑化剤は、いかなる可塑化剤であってもよくて、好ましくはセルロース軟毛パルプの脱繊維化エネルギーを減らすことができる当該技術において公知の可塑化剤である。この第2の可塑化剤は、水(例えば10%未満)に比較的溶解し難いが、第1の可塑化剤の水溶液(溶液が、第1の可塑化剤の約1%から約99重量%まで含有する)において溶解性あるものが好ましい。可塑化組成物の実施例で使用される適切な第2の可塑化剤の例としては、疎水アルキル基を含んでいるポリヒドロキシ化合物のエーテル-およびエステル誘導体が挙げられる。なおここで、その疎水アルキル基は、3つ以上の炭素原子を有するアルキル基である。このアルキル基には、飽和、不飽和(例えばアルケニル、アルキニル、アリル)化合物を含み、置換または非置換、分枝または非分枝、環式または非環式の化合物、等が含まれる。かかる第2の可塑化剤の例には、限定されるものではないが、以下を包含する。すなわちトリアセチン、炭酸プロピレン、トリ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、プロピレングリコール・ジアセタート、酢酸フェネチル、そしてこれ等の組み合わせ及び混合物、等が含まれる。
【0035】
好ましくは、上述の可塑化組成物は、以下を有する。すなわち1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)である第1の可塑化剤、またより好ましくは、第1の可塑化剤として1,4-CHDMと、第2の可塑化剤としてトリアセチンとの混合物により構成された可塑化組成物である。
【0036】
本発明者は1,4-CHDMがセルロース軟毛パルプを軟化する際に使用する効果的な可塑化剤であることを偶然に発見した(すなわちSAPを混合し、吸水コアーを形成するために光沢仕上されるときに、硬点を形成しない)。更に発明者は、1,4-CHDMが、従来の工業的実施および知識を否定するような事実、すなわちセルロース軟毛パルプの吸水性と湿潤性での副作用を有しないことを発見した。
【0037】
1,4-CHDMは、約460Cの融解点を有する水溶性の有機材である。それは、生物分解性で、樹脂と粉末塗装における可塑化剤として、そして化粧品および個人看護製品の溶剤として有用と考えられている。更に1,4-CHDMは、インター繊維およびイントラ-繊維水素結合を減らすことによってセルロース軟毛パルプ繊維の軟毛特性を強化すると考えられている。特定の理論に限られずに、1,4-CHDM分子は、繊維とセルロース・チェーンの中のインター-またはイントラ-繊維水素結合を分裂させる「楔」として作用するようである。(JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCEのうち第27巻、pp.4599-4610(1982)、K.D.Sears共著を参照)。このように、1,4-CHDMが、セルロース・チェーンまたは繊維上の水素結合位置に存在すると、それによって、繊維の空隙率および復元力を増加させることが出来る。高吸水性粒子がある場合に光沢仕上げされると、この繊維の復元力は、セルロース軟毛パルプの圧壊と硬点の形成を防止することが出来る。
【0038】
【非特許文献2】JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCEのうち第27巻、pp.4599-4610(1982)、K.D.Sears共著
【0039】
可塑化組成物には、他の添加物、例えば光沢剤、匂い吸収剤、及び/または難燃剤、等を含有することができる。適切な難燃剤添加剤の例には、例えば、リン酸ナトリウム、アンモニウム・リン酸水素、ホウ酸、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム十水化物、ナトリウム・リン酸水素および炭酸アンモニウムが含まれる。この難燃剤添加物は、可塑化溶液と共に繊維に添加することができる。代案として、可塑化溶液のセルロース繊維への添加前に、又はその後に、この難燃剤は、別々に繊維に添加することができる。
【0040】
適切な匂い吸収剤の実施例には、重曹、タルク粉、シクロデキストリン、エチレンジアミンテトラ酢酸または他のキレート化剤、ゼオライト、活性シリカ、活性炭顆粒および抗菌剤、等が含まれる。好ましくは、匂い制御剤は抗菌剤である。グラムネガティブ菌に対して効力のあるいかなる物質も、特に本発明による抗菌剤として適切である。グラムネガティブ菌の例としては、大腸菌、黄色ブドウ球菌および肺炎桿菌が挙げられる。本発明による活性物質には、例えば以下の物質が含まれる。すなわち、例えば商標HEALTHSHIELDで販売されている銀ロードしたゼオライト、キトサンまたはキチン誘導体、カプセル化された芳香剤、例えばラノリン緩和薬、ヨウ素/沃素担体、クロルヘキシジン、フェノール、リン脂質、4-クロロ-3,5-キシレノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、トリクロロカーボンアライド、ヘキサクロロフェン、クロルヘキシジン、o-フェニルフェノール、benzylquaternium塩類、4-ヒドロキシ安息香酸およびアルカリまたはアルカリ土類金属またはリニアか分枝C1-I0アルコール有するそのエステルを有するその塩類、N-(4-クロロフェニル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ・ジフェニル・エーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチル・フェノール、2,2.prime.-methylene-bis-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(l-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-chloropenoxy)-propane-l,2-ジオール、カルバミン酸3-ヨウ化-2-propinylブチル、chlorohexidine、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、piroctoneエタノールアミン塩、(商業的にはClariant社(ホリー(West)NJ州)からの商品名OCTOPIROXの下で入手可能)、テトラサイクリン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、例えばeugeniol、ゲラニオール、レモングラス、リモネン・チモールまたはメントールの油のような抗菌性の芳香剤、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセリン・モノ・カプラート(DMC)、例えば亜鉛グリシネイト、乳酸亜鉛または亜鉛フェノール・スルホナートのような亜鉛塩、フィトスフィンゴシン、ドデカン-1,2-ジオール、非デシレン酸、アルカリまたはアルカリ土類金属を有するその塩類またはリニアか分枝Ci-I0アルコールを有するそのエステル、アルキル基がリニアな又は分岐した1〜22の炭素原子を含有するサリチル酸-N-アルキル・アミド、およびそれらの混合物、等である。特に本発明による好適な抗菌剤は、サリチル酸-N-オクチル・アミド、及び/又はサリチル酸-N-デシル・アミド、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ・ジフェニル・エーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-キシレノール、OCTOPIROX、テトラサイクリン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、および抗菌的に作用する芳香剤である。
【0041】
好ましくは上述の可塑化組成物は、約0.25%から約50重量%まで抗菌剤を含み、より好ましくは、約1%〜約15%を含み、最も好ましくは約2%〜約12.5重量%の抗菌剤を含む。
【0042】
抗菌剤を含む可塑化組成物は、少量の水および第1の可塑化剤を含有することが好ましく、より好ましくは抗菌剤を含む可塑化組成物は、水を含有せず、かつ第1の可塑化剤をほとんど含まず、含むとしても非常に微量である。特定の理論に限定せず、この理由は、典型的な抗菌剤(例えばトリクロサン)が事実上疎液性であり、そして水および/又は第1の可塑化剤が存在する場合には、よく溶解しないためである。加えて、疎水溶液は、繊維上に抗菌剤をより均一に拡散させ、繊維の内部に、より良好に浸透する。特定の理論に限定せずに、これはトリアセチンのような疎水性材料は、例えば、繊維を膨張させず、その代わりに、それは孔の全体にわたって、そして繊維の中に浸透するためであると考えられ、それにより、繊維上に均一に拡散されることを可能にするためであると考えられる。従ってある実施例においては、抗菌剤を含有する可塑化組成物は、約1重量%から約10重量%の第1の可塑化剤、約5重量%から約95重量%の第2の可塑化剤、そして約0.25重量%から約50.0重量%の抗菌剤が含まれる。
【0043】
他の実施例は、本発明の可塑化組成物を使用した可塑化軟毛パルプを製造するための方法を提供する。この方法は、好ましくはセルロースの軟毛繊維に上述の可塑化組成物を作用させるステップが含まれている。好ましくは、上述の可塑化組成物は、約0.2重量%から約99重量%の可塑化組成物を含む水溶液(可塑化溶液)中に存在し、より好ましくは、約0.5重量%から約80重量%の可塑化組成物を含む水溶液、最も好ましくは約1重量%から約60重量%の可塑化組成物を含む水溶液がよい。この可塑化溶液は、どのような適切で便利な手順にもよっても準備することができる。この可塑化溶液は、所定量の可塑化組成物が繊維に作用するように、軟毛パルプに加えられることができる。換言すれば、軟毛パルプに加えられる可塑化溶液の量は、溶液中の可塑化組成物の濃縮と、繊維に対する可塑化組成物の所望の比率に依存させることが出来る。
【0044】
好ましい実施例では、上述の可塑化溶液は、第1の可塑化剤を含む。好ましくは、その第1の可塑化剤は、溶液の約5重量%から約99重量%だけ存在する。他の好ましい実施例では、上述の可塑化溶液は、第1の可塑化剤とおよび第2の可塑化剤の組み合わせが含まれる。好ましくは、第1と第2の可塑化剤は、約1.0対4.0から約4.0対1.0の重量比で混合され、そして可塑化溶液を生成するために、予め定められた濃度になるように水で希釈される。好ましくはこの可塑化溶液は、約5重量%から約60重量%の第1の可塑化剤と、約5重量%から約60重量%の第2の可塑化剤で構成されている。より好ましくはこの可塑化溶液は、約30重量%から約60重量%の第1の可塑化剤と、約30重量%から約60重量%の第2の可塑化剤で構成されている。
【0045】
好ましくは、可塑化溶液は、第1の可塑化剤として1,4-CHDM、および第2の可塑化剤としてクエン酸のトリアセチンまたはアルキル酸性エステルの混合により構成されている。より好ましくは上述の可塑化溶液は、1,4-CHDMおよびトリアセチンを含む。1,4-CHDMおよびトリアセチンを含む可塑化溶液を吹付けによって軟毛シートへ作用させると、そのシートはミューレン強度およびカーマス・エネルギーが約10%から30%減少することが分かっている。加えて、それにより作られた可塑化軟毛パルプにより形成された吸水コアーは、硬点の徴候を示さなかった。
【0046】
好ましい実施例において、上述の可塑化溶液は、さらに匂い制御剤、例えば抗菌剤を含有している。この匂い制御剤は、好ましくは有効量だけ含まれる。本願明細書において用語としての「有効量」とは、例えば吸水性物品、例えばおむつの匂いを防止したり、または所定時間、尿に存在する微生物の成長を防止するような一定量を意味する。匂い制御剤の好適なレベルは、繊維の合計量を基礎として、約0.001%から約0.5%まで、より好ましくは約0.002%から約0.1%まで、最も好ましくは約0.003%から約0.06%までである。
【0047】
オプションとして、上述の軟毛パルプは、抗菌剤によって前処置されてもよい。好ましくは、この抗菌剤は、非水溶溶剤中に溶解されて、その後に軟毛パルプに作用される。特に好適な溶剤は、公知の軟毛パルプを軟化させるもので、例えばトリアセチン、グリセリンジアセタート、炭酸プロピレン、などである。好ましくは、上述の抗菌剤は、可塑化溶液で軟毛パルプ上へ作用される。
【0048】
ここで使用している用語としてのは「軟毛パルプ」そして「軟毛パルプ繊維」とは、例えば吸水性物品の吸水性網目(吸水体)を形成するために通常使用されるセルロース軟毛パルプを指称する。上記の繊維の物理的特徴を有する限り、いかなるセルロース軟毛パルプも本発明で使用することができる。本発明の可塑化軟毛パルプを形成するのに用いられる好適なセルロース軟毛パルプには、主に木質パルプから得られたものが含まれる。好適な木質パルプは、いかなる従来の化学的プロセス、例えばクラフトおよび亜硫酸法で製造される。好適な繊維は、さまざまな柔軟性を有した木質パルプにより製造できる。それらは例えば、南部マツ(パイン)、ホワイトパイン、カリブ海パイン、西洋米つが、さまざまなエゾマツ(例えばSitka Spruce)、米松モミ材、またはこれ等の混合又は組み合わせである。広葉樹から得られる繊維は、例えばゴム、カエデ、ナラ属、ユーカリノキ、ポプラ、ブナノキおよびポプラ、またはこれ等の混合又は組み合わせにより得られる。またコットンリンター、バガス、ケンプ、アマおよび草も同様に、使用可能である。この軟毛パルプ繊維は、上述のセルロースパルプ製品の複数個の混合物で構成してもよい。本発明の可塑化軟毛パルプに用いられる特に好適な繊維は、クラフトおよび亜硫酸のパルプ化工程により準備される木質パルプで得られるものである。
【0049】
また、本願明細書において記載されている実施例において使用するセルロース軟毛パルプは、使用の前に前処置されることができる。この前処理には、繊維をスティーム処理、腐食処理、化学処理またはCTMP処理(化学-熱機械パルプ処理)のような物理的処理が含まれる。例えば、この軟毛パルプ繊維は、種々のクロスリンク剤、例えばジメチル・ジヒドロキシ・エチレン尿素およびアルカン・ポリ酸のような種々のクロスリンク剤を使用して、クロスリンク処理してもよい。本発明の実施例ための適切な市販の腐食性抽出パルプには、例えばRayonier Performance Fibers Division(Jesup、GA州)から入手可能なPorosanier-J-HP、およびBuckeye Technologies(Perry、FL州)から入手可能なBuckeye’s HPZ製品、等が含まれる。この軟毛パルプ繊維は、必要に応じて湾曲または圧着してもよい。
【0050】
本願明細書において記載されている実施例に用いる適切なセルロース軟毛パルプは、様々な形態の何れの形態であってもよい。例えば、本発明の態様では、シート、ロールまたは軟毛の、何れのパルプをも使用することを考慮している。本発明の他の態様では、軟毛パルプは、不織生地のマットであってもよく、例えばそれは樹脂接着または熱接着の不織マットを安定化したものでもよい。マット形状の軟毛パルプは、必ずしも巻き形状に巻かれている必要はなく、そして概してシート形の繊維より低い密度を有する。本発明の実施例のさらにもう一つの特徴は、上述の軟毛パルプは、湿気または乾燥状態において使用することができる。軟毛パルプは、乾燥状態で使用されることが好ましい。
【0051】
本明細書で用いられる用語としての「パルプシート」は、湿式積層プロセスを使用して形成されるセルロース繊維シートをいう。シートは、概して約200〜約800gsmの基礎ウエイトおよび約0.3g/cc〜約1.0g/ccの密度を有する。パルプシートは、吸水性の製品で使われる前に、それらを軟毛パルプに変換するために、ハンマーミルでその後脱繊維化される。パルプシートは、それ等の基礎ウエイトによってティッシュペーパーまたは紙シートと区別されることができる。概してティッシュペーパーは、約5から約50gsm基礎ウエイトを有し、そして紙シートは約47から約103gsm基礎ウエイトを有し、両方ともパルプシートのそれよりも低い。
【0052】
セルロース軟毛パルプ繊維へ可塑化溶剤を施す方法は、多くの方法で実行することができる。一実施例として、可塑化溶液を施す方法には、シートまたは軟毛の形態の軟毛パルプを、可塑化溶液に浸漬し、その可塑化されたパルプを押圧し、それを乾燥させるステップが含まれる。他の実施例には、軟毛パルプ液状物へ可塑化溶液を添加するステップで構成されている。本発明の他の実施例は、吹付け、ローリング、印刷によって、湿式積層または乾性積層された軟毛パルプに可塑化溶液を施すステップを含むことが出来る。さらに別の実施例では、可塑化溶液を、軟毛パルプの湿式積層製造工程中の適当な時点で軟毛パルプに施すことも可能である。更に他の実施例では、吸水コアーを生産する工程中に、脱繊維化軟毛パルプ上へ上記可塑化溶液を噴霧するステップも含まれる。好ましくは、その可塑化溶液は、シート形の部分的に乾燥した又は完全に乾燥した軟毛パルプ上へ噴霧される。なお軟毛パルプへ可塑化組成物を施す方法は、溶液中に施す方法に限らず、原液中に施してもよいし、又は乳剤、懸濁液またはその散布液中へ施すこともできる点に留意する必要がある。
【0053】
繊維へ可塑化溶液を施した後に、その可塑化組成物は、繊維重量に対して約0.05重量%から約5重量%の量だけその繊維上に残存するのが好ましい。より好ましくは、その可塑化組成物は、約0.2重量%から約3重量%の量だけ残存し、最も好ましくは繊維重量に対し約0.5重量%から2重量%の量だけ残存するのが好ましい。ある1つの好ましい実施例では、その繊維に対して可塑化溶液を施した後には、結果として生成された繊維には、約0.05重量%から約3重量%の可塑化組成物、そして約0.003の重量%から約0.06の重量%の抗菌剤が含まれている。
【0054】
繊維へ可塑化溶液を施した後に、繊維の合計量に対して、第1の可塑化剤が約0.1重量%から約5.0重量%まで量だけ残存しているのが好ましい。また繊維の合計量に対して、第2の可塑化剤が約0.05重量%から約3.0重量%まで量だけ残存しているのが好ましい。好ましい実施例では、繊維へ可塑化溶液を施した後には、結果として生じる繊維は、約0.1重量%から約5重量%の1,4-CHDM、約0.05重量%から約3.0重量%のトリアセチン、そして約0.003重量%から約0.06重量%の抗菌剤を含有する。他の好ましい例として、繊維へ可塑化溶液を施した後に、結果として生じる繊維は、約0.05重量%から約3.0重量%のトリアセチン、そして約0.003重量%から約0.06重量%の抗菌剤を含有する。
【0055】
本願明細書において記載されている複数の実施例の1つの利点は、上述の可塑化軟毛パルプは、非可塑化セルロース軟毛パルプに比較して柔軟性が改良されるという特性を有することである。好ましくは、セルロース軟毛パルプに対して可塑化組成物を施すと、そのパルプのカーマス・エネルギーおよびミューレン強度を減少させ、その一方で負荷吸水性と吸水容量へはごくわずかな影響を及ぼすに過ぎない。セルロース軟毛パルプに対して上述のように可塑化組成物を施すと、好ましくは繊維の液体排水性および流体保水力を改善することが可能である。
【0056】
例えば、上述の実施例に従って準備された可塑化軟毛パルプは、可塑化されなかった同じセルロース軟毛パルプより低いカーマス・エネルギーを有することが分かっている。好ましくは上述の可塑化軟毛パルプのカーマス・エネルギーは、従来の非可塑化されたセルロース軟毛パルプのカーマス・エネルギーと比較して、5%、より好ましくは、10%、そして、最も好ましくは15%だけ減少する。換言すると、上述の可塑化軟毛パルプのカーマス・エネルギーは、従来の非可塑化軟毛パルプのカーマス・エネルギーより少なくとも約2Wh/kg少なく、またより好ましくは従来の非可塑化軟毛パルプのカーマス・エネルギーより、少なくとも約5Wh/kg少なく、最も好ましくは少なくとも約10Wh/kg少ない。しかしながら当業者であれば、本願明細書において記載されている実施例の可塑化軟毛パルプは、他の先に述べた有利な特性を有することができるが、カーマス・エネルギーはほとんど変化ないか、又はカーマス・エネルギーは増加する場合もあることは理解することが出来る。
【0057】
更に、本願発明の複数個の実施例に従って準備された可塑化軟毛パルプは、非可塑化軟毛パルプより低いミューレン強度を有することが分かっている。本発明の可塑化軟毛パルプのミューレン強度は、従来の非可塑化軟毛パルプのミューレン強度より、好ましくは少なくとも約25kPa小さく、より好ましくは少なくとも約50kPa小さく、最も好ましくは少なくとも約100kPa以上小さい。すなわち上述の可塑化軟毛パルプのミューレン強度は、可塑化されたセルロース軟毛パルプのミューレン強度と比較して、好ましくは2%、より好ましくは5%、最も好ましくは10%以上減少する。そして上述と同様に、当業者であれば、本願明細書において記載されている実施例に係る可塑化軟毛パルプが、他の先に述べた有利な特性を有することができるが、ミューレン強度についてはほとんど変化ない又はミューレン強度は増加することがあり得ることも理解することが出来る。
【0058】
従来の軟化または剥離剤で処理された繊維とは対照的に、本願発明の実施例に従って準備された可塑化軟毛パルプは、生の繊維と比較したとき、液体排水性を改良することによって特徴づけられる液体流動特性を改良することが可能となった。液体排水性は、液体が単位時間に1枚の軟毛パルプ中を浸透進行する距離として定義される。本発明の可塑化軟毛パルプの液体排水性は、従来の非接着の軟毛パルプの液体排水性に比べて、好ましくは0.25cm/分以上増加し、より好ましくは0.5cm/分以上増加し、最も好ましくは1.0cm/分以上増加する。
【0059】
さらに、本願発明の実施例にも従って準備される可塑化軟毛パルプの対遠心力保水性は、非可塑化セルロース軟毛パルプと比較して増加させることができる。具体的には上述の可塑化軟毛パルプの対遠心力保水性は、従来の非可塑化セルロース軟毛パルプの対遠心力保水性に比較して、パルプ1g当たりの保水量をグラムで測定した場合(g/g)、好ましくは0.10g/g以上増加し、より好ましくは0.2g/g以上増加する。なお当業者であれば、本願明細書において記載されている実施例に係る可塑化軟毛パルプが、他の先に述べた有利な特性を有することができるが、対遠心力保水性または液体排水性についてはほとんど変化ないことも理解することが出来る。
【0060】
本願発明の実施例のある態様においては、上述の可塑化組成物を、軟毛パルプの吸水性効果に関係なく、たとえあるとしても、軟毛パルプを軟化するためにセルロース軟毛パルプに加えることができる。
【0061】
本願明細書において記載されている実施例に従って準備された可塑化軟毛パルプは、消費製品、例えばおむつ、女性の衛生製品または失禁製品等、を生産するのに用いる吸水コアーを製造するために、特に有用である。本明細書で用いられる用語としての「吸水コアー」とは、大量の液体を吸収することができるセルロースパルプ繊維の基質に関連する。吸水コアーは、液体吸収性および保水特性を強化するために、さまざまな方法で設計されることができる。例えば、吸水コアーの液体保水性特性は、セルロースパルプの繊維の間に高吸水性材料を施すことによって、大幅に強化されることができる。
【0062】
用語としての「高吸水性ポリマー」(「SAP」)および本明細書で用いられる「高吸水性材料」は、水化ゲルを形成することによって大量の液体を吸収することができるいかなる高分子材料をも指称する。高吸水性ポリマーは、それ等の重量に対して大量の液体(例えば塩水濃度0.9%の溶液または血液)を吸収して、この吸収により水化ゲルを形成することができる、実質的に水不溶性の吸水性高分子組成物として、当業者にはよく知られている。また高吸水性ポリマーは、適度の圧力下で大量の液体を保水することができる。高吸水性ポリマーは、一般に3つのクラス、すなわち、スターチ・グラフト共重合体、架橋カルボキシメチル・セルロース誘導体および改質親水ポリアクリラート、に分類される。この種の吸水性ポリマーの例は、加水分解されたスターチアクリロニトリル・グラフト共重合体; 中和スターチアクリル酸グラフト共重合体、けん化アクリル酸エステル-酢酸ビニル・コポリマー、加水分解アクリロニトリルコポリマーまたはアクリルアミド・コポリマー、改質架橋ポリビニルアルコール、中和自己架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリラート塩、カルボキシ化されたセルロース、そして中和架橋イソブチレン-無水マレイン酸コポリマー、等である。本発明の吸水用品には、いかなる一般的に周知なSAPや、後日開発されたSAPをも含まれる。SAPは、粉粒体、フレーク、繊維などの形状であってもよい。典型的な粒状形態には、顆粒、微粉砕された粒子、球体、凝集体および集塊が含まれる。典型的な好適なSAPは、例えばポリアクリル酸ナトリウムのような架橋ポリアクリル酸の塩類が含まれる。
【0063】
本願発明の実施例では、上述の可塑化軟毛パルプは、吸水コアーの合計重量に対して、約20の重量%から約100の重量%の量だけ吸水コアー中に存在することが好ましい。より好ましくは、その可塑化軟毛パルプは、約60の重量%から約100の重量%まで吸水コアーに存在するのが好ましい。また上述の吸水コアーは、好ましくは約0重量%から約80重量%のSAPを含有し、より好ましくは約10重量%から約80重量%までSAPを含有するのが好ましい。この高吸水性ポリマーは、繊維の空隙の中で、吸水コアーの全体にわたって拡散配置するのがよい。他の実施例では、この高吸水性ポリマーは、例えば水素結合を経てSAPを繊維に接着することができる材料のような結合剤を使用して、上述の可塑化軟毛パルプに接着することができる(例えば、米国特許第5,614,570号を参照。なお当該特許の明細書は本願明細書に全て引用されたものとする)。
【0064】
【特許文献13】米国特許第5,614,570号
【0065】
上述の吸水コアーまたは複合体は、可塑化軟毛パルプを含む一つ以上の層を含むことができる。ある実施例においては、吸水コアーの一つ以上の層は、従来のセルロース繊維およびSAPと、可塑化軟毛パルプの混合により構成することが出来る。好ましくは、層の合計重量に対して、上述の可塑化軟毛パルプは、一つ以上の層の約10重量%から約80重量%を含み、より好ましくは、一つ以上の層の約20重量%から約60重量%を含むのが好ましい。好ましくは、上述の可塑化軟毛パルプは、繊維混合の合計重量に対して、約1%から約70重量%の量が繊維混合中に存在するのが好ましく、より好ましくは、約10%から約40重量%の量が存在するのが好ましい。なおいかなる従来のセルロース繊維も、上述の可塑化軟毛パルプと結合して用いることができ、その好適な従来のセルロース繊維には、腐食性処理済みの繊維、レーヨン、リンター、それ等の混合物と組み合わせが含まれる。
【0066】
ある実施例では、上述の吸水コアーは、可塑化軟毛から成る上層と、従来のセルロース繊維および高吸水性ポリマーの複合体を含んでいる下層を有している。本実施例において、その上層は、約40gsmから約400gsmの基礎重量を有する。上述の吸水コアーの上層および下層は、同じ全長および/または同じ全体幅を有することができる。あるいは、上層は、下層の長さより長いか、又はより短くてもよい。好ましくは、上層の長さは、下層の120%〜300%の長さである。また上層は、下層の幅より広いか、又はより狭い幅を有することができる。好ましくは、上層の幅は、下層の幅の80%である。
【0067】
上述の吸水コアーの各層は、可塑化軟毛パルプが、層の全体にわたって一様に分散するように、均質な組成物を含むことができる。あるいは、上述の可塑化軟毛パルプは、吸水コアー層の一つ以上の領域に集中していてもよい。ある実施例では、単一の吸水コアーが、上述の可塑化軟毛パルプを表層に豊富に含有してもよい。好ましくは、その可塑化軟毛パルプを表層に豊富に含有する層は、約40gsmから約400gsmの基礎重量を有する。好ましくは、その可塑化軟毛パルプを表層に豊富に含有する層は、吸水コアーの総面積の約30%から約70%の領域に存在するのが好ましい。
【0068】
吸水コアーを製造するいかなる方法も使用されるが、好ましくは、上述の吸水コアーは、乾式積層(空気積層air laid)工程により形成されるのが好ましい。乾式積層手段による吸水コアー材料の生産は、公知技術である。概して乾式積層工程では、セルロース繊維シート(例えば上述の可塑化軟毛パルプ)は、繊維を個々にバラバラにするために、ハンマーミルを使用して繊維を脱繊維化させる。このバラバラにされた繊維は、混合システム中で、SAP粒子と予め定められた比率で混合され、一連の形成室へ空気搬送される。吸水材の上述の混合および搬送は、各形成室のために別々に制御してもよい。各室中で、空気の循環および翼のあるアジテータを制御して、パルプとSAPを均一に混合し、搬送を行なう。上述のSAPは、完全に、そして均一に、吸水性網目全体にわたって混合することができ、又はそれを選択された形成室に搬送することによって、特定の層だけに含ませることも出来る。各形成室からの繊維とSAPは、形成スクリーン上へ真空搬送によって取り出され、このようにして吸水性網目を形成する。この吸水性網目は、それから形成スクリーンから搬送用の層または運搬装置システムへ移され、予め定められた密度を得るために光沢仕上げで、その後に圧縮される。この密度を高められた吸水性網目は、それから、従来のロール装置を使用して、ロール状態に巻かれる。他の実施例では、上述の形成スクリーンは、材料の損失を減らすために搬送用の層として、ティッシュペーパーでオプション的に覆うことも出来る。このティッシュペーパー層は、光沢仕上げ加工の前に取り除かれることができ、或いは形成された吸水コアー材料に組み込んでもよい。
【0069】
可塑化セルロース軟毛パルプを有する吸水コアーは、従来の軟毛パルプ繊維を使用して上記の通り吸水コアーを生産し、その後に可塑化組成物を後工程で生産された吸水コアーに付加することによって得ることも可能であることは、本願明細書において考察されるものとする。本実施例においては、上述の可塑化組成物の付加は、吸水コアー材料の網で準備された個別的な吸水コアー上へ上述の可塑化組成物を、例えば、吹付け、ローリング、印刷工程によって実行することができる。
【0070】
上述の可塑化軟毛パルプおよび高吸水性ポリマーを含んでいる吸水コアーは、好ましくは約0.10g/cm3から0.50g/cm3間の乾燥密度、より好ましくは約0.15g/cm3から0.45g/cm3の乾燥密度を備えるのが好ましい。この吸水コアーは、種々の吸水性物品、好ましくは例えばおむつ、トレーニング・パンツ、成人失禁製品、女性の看護製品のような体内老廃物管理用品、およびタオル地(湿式と乾式)、等に組み込まれることができる。
【0071】
上述の可塑化軟毛パルプを含む吸水コアーの1つの利点は、実質的にそれが硬点が無いということである。この種の吸水コアーで作られた吸水性物品は、現在消費者に提供されている吸水性の製品の中で、独自に柔軟性を有し、快適である。加えて、上述の可塑化軟毛パルプ繊維によって作られた吸水コアーは、従来のセルロース繊維から作られる従来の吸水コアーより弾力性を有していることが判明している。本明細書中で使用する「復元力」という用語は、一般の方法によって圧縮された後に、回復または再び膨張する軟毛パルプの性能を意味し、従って吸水コアーの構造的一体性を示している。好ましくは、可塑化軟毛パルプ繊維によって作られる吸水コアーが圧縮されたとき(例えば光沢仕上げローラーを用いて)、それは、ニップ密度(挟み込み密度)の50%以下の密度に再び膨張するのが好ましい。
【0072】
本願発明の各種実施例を、より完全に理解するために、以下の実施例によって本発明が、限定的ではなく例示的に示されている。従って、本明細書の如何なる開示事項も、添付の請求の範囲に示されている事項を除き、本願発明の制限事項として理解してはならない。
【0073】
種々の試験方法:
吸水試験
この吸水試験方法は、本願発明の実施例に係る吸水特性(負荷吸水性、吸水容量、対遠心力保水性)を決定するために用いた。可塑化軟毛パルプのサンプルは、ハンマーミルに通すことによって脱繊維化され、それから以下の通りにテストされた。この試験は、シリンダの基部に接着された100-メッシュ金属スクリーンを有する1インチの内径をしたプラスチック・シリンダを使用して実行された。0.995インチの直径で重さ約4.4gのプラスチック製スペーサ・ディスクが、シリンダへ挿入された。このシリンダ組立体の重量は、精度0.001g(W0)まで測定され、そして上述のスペーサが、シリンダから取り出され、可塑化軟毛パルプ約0.35g(乾燥重量基準)がそのシリンダに空気積層された。上述のスペーサ・ディスクが、それから再びその繊維上に載置されシリンダに挿入され、そしてこのシリンダ組立体は精度0.001g(W)まで計測された。このシリンダのセル内にある軟毛パルプは、60秒間、4.0psiで圧縮され、その負荷はそれから取り除かれ、そして繊維パッドは、60秒間安定化のため放置された。それからこのパッド厚が測定され、そして、その結果は、改質軟毛パルプの乾燥容量を算出するために用いた。
【0074】
負荷0.3psiが、それからその軟毛パルプパッド上のスペーサに載置され、そしてそのパッドは60秒間安定化のため放置された。その後、パッド厚が測定され、その結果は、改質軟毛パルプのロード下の乾燥容量を算出するために用いた。そのセルおよびその内容物は、それからセルの一番下に接触させるために食塩溶液(0.9重量%のNaCl)の充分な量を含むペトリ皿中に懸下され、そしてその繊維は、10分間の食塩溶液と接触し続けられた。それから、このセルは、取り除かれて、他の空のペトリ皿において懸下されて、1分間排水のために放置された。そして上述の負荷が、取り除かれ、そしてセルおよび内容物の重量が測定された(W2)。それから軟毛パルプのグラム当たり吸収される食塩溶液の重量が、以下の式に示すように算出され、そしてその結果は「負荷吸水性」(g/g)として表された。
【0075】
(W2−W1)/(W1−W0
【0076】
上述の可塑化軟毛パルプの吸水容量は、実験が負荷ゼロの下で実施されたことを除いては同様に測定された。その結果は、軟毛パルプ1グラム当たり吸水された食塩溶液の重量を測定するために用いられ、「吸水容量」(g/g)として表される。
【0077】
上述のセルは、それから2400回転数/分(遠心機モデルHN、ニーダムHTS、米国のInternational Equipment社)で3分間遠心分離され、そしてセルおよび内容の重量が報告された(W3)。対遠心力保水性が、それから遠心分離後の繊維の重量(W3−W0)を乾燥繊維の重量(W1−Wo)で除算することによって算出された。その結果は、「対遠心力保水性」(g/g)として表される。
【0078】
繊維品質
この試験繊維の結節(ノットknots)含有量では、Fluff
Fiberization Measuring Instrument(モデル9010、アップルトン、WI、米国のジョンソン製造会社)を使用して、ニットとファインが、測定される。このテストでは、軟毛繊維の試料が、連続して空気流中に拡散される。拡散の間、遊離した繊維が、16-メッシュスクリーン(1.18mm)を通過し、その後、42-メッシュ(0.36mm)スクリーンを通過する。拡散室に残留したパルプ束(「結節」と呼ばれる)、および42-メッシュスクリーン上に捕捉されたもの(「アクセプト」と呼ばれる)の両方が、取り出されて、重量が量られる。これらの2つの合計重量は、0.36mmのスクリーンを通過した繊維(「ファイン」と呼ばれる)の重量を測定するために、軟毛サンプルの元の重量から減算される。
【0079】
カーマス・エネルギー
「カーマス・エネルギー」は、パルプまたはパルプ製品の所与の量を、ある軟毛材料に変換するのに必要とするエネルギーをいい、キログラム当たりのワット時(Wh/kg)で測定される。Kamas Labハンマーミル(スウェーデンのKamas Industri社)が、いくつかのパルプシート・サンプルを脱繊維化するために用いられた。縦横11インチと2インチのディメンションを有するパルプシートの細片が、4200回転数/分のモータ速度、4.0cm/秒のフィーダ速度、および8mmのスクリーンを使用してハンマーミルに入れられた。このパルプシートを脱繊維化するのに必要とするエネルギーが記録されて、脱繊維化のエネルギーであるWh/軟毛kgとして報告した。
【0080】
具体的な実施例:
例1
この例は、本願発明の実施例に係るロール形状の可塑化軟毛パルプを製造する代表的な方法を例示する。
【0081】
水中に60重量%の1,4-CHDM(Kingsport、TN州のイーストマン化学会社から入手)を含む可塑化溶液が、まず準備される。この可塑化溶液は、商標Rayfloc-JLDのロール(ベース重量640g/m2、Jesup、GA州のRayonier社から市販されている)に、pilot
scale K&Mスプレー・システムを使用してスプレー工程が施される。この可塑化溶液は、パルプ重量に対して約0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%および2重量%の1,4-CHDMとなる可塑化軟毛パルプのサンプルを製造するために、各種レベルでシートに施される。この可塑化溶液で処理されたパルプサンプルは、少なくとも4時間、湿度制御された部屋に置かれ、そして吸水性と脱繊維化エネルギー(カーマス・エネルギー)が評価される。吸水性に関する結果は、以下の表1にまとめられている。
【0082】
【表1】

【0083】
例2
この例は、本願発明の実施例に係るロール形状の可塑化軟毛パルプを製造する代表的な方法を例示する。
【0084】
水中に、1,4-CHDM(40重量%)とトリアセチン(40重量%、バークレーハイツ、NJのVitusa Product社から入手可能)の同一重量を含む可塑化溶液が、まず準備される。この可塑化溶液は、商標Rayfloc-JLDのロールに、例1の方法を使用してスプレーされる。この可塑化溶液は、可塑化組成物(1,4-CHDMとトリアセチン)がパルプ重量に対して約0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%および2重量%となるように、各レベルでスプレーされる。この可塑化溶液で処理されたパルプサンプルは、少なくとも4時間、湿度制御された部屋に置かれ、そして吸水性と脱繊維化エネルギー(カーマス・エネルギー)が評価される。吸水性に関する結果は、以下の表2にまとめられている。
【表2】

【0085】
例3
この例では、繊維品質および脱繊維化エネルギーが、例1および例2で先に述べた通りに準備された可塑化軟毛パルプの選択されたサンプルに対して評価された。
結果は、下記の表3にまとめられている。
【表3】

【0086】
例4
この実施例では、例1と例2で上述したように準備された可塑化軟毛パルプの選択されたサンプルに対して、液体排水率が測定された。
【0087】
以下の吸水性網目サンプルが、テストのために製造された。
[プロトタイプ3.1]:
1,4-CHDM(0.8重量%)およびトリアセチン(0.8重量%)で処理された例2に従って製造された可塑化木質軟毛パルプサンプル。
[プロトタイプ4.1]:
1,4-CHDM(0.8重量%)で処理された例2に従って製造された可塑化木質軟毛パルプサンプル。
[Rayfloc-TLDE-T(商標)]:
非可塑化木質軟毛パルプサンプル(Jesup、ジョージア州のRayonier社から市販されている)。
[Rayfloc−TLD(商標)]:
非可塑化木質軟毛パルプサンプル(Jesup、ジョージア州のRayonier社から市販されている)。
[Rayfloc−TMX(商標)]:
非接着性の軟毛パルプサンプル(Jesup、ジョージア州のRayonier社から市販されている)。
【0088】
縦横約12インチx12インチのハンドシート・サンプルが、可塑化軟毛パルプサンプルと非可塑化軟毛パルプサンプルから得られた。各ハンドシート・サンプルは、Kamasミル(スウェーデンのKamas
Industri社)を使用して、軟毛パルプに改質されている。この軟毛パルプのサンプルは、縦横16インチx約16インチのサイズを有するハンド吸水性網目に空気積層され、そしてそれから約0.2g/ccの密度に圧縮された。複数個のテスト・サンプル片が、上記の空気積層された吸水性網目から、縦横少なくとも2インチx約9インチのサイズに切断された。各サンプル片は、サンプルの周辺的影響を回避するために、手シートの端から少なくとも約1インチ離れて切断された。そのサンプルは、それから、液体排水率を測定する水平方向液体排水性試験、すなわち水が吸水用品の一片によって水平方向に引水される率を測定する水平方向液体排水性試験が行なわれた。この液体排水率は、以下のように測定された。まず試験サンプルが、2つのポリエステル支持網間に挟まれ、約0.15g/ccの密度を有するテスト・サンプルを得るために、クランプで圧迫された。このサンプルは、それから、10”内径を有する負荷容器を有したボード上に置かれた。液体吸上げ容量が、特別なコンピュータ・ソフトウェア・プログラムを使用して、約5分間、毎秒測定された。毎秒の液体吸上げ容量(生理的食塩水のグラム単位)のデータが、各サンプル毎に記録され、図1に示すようにプロットされた。
【0089】
図1は、この可塑化軟毛パルプの水平方向液体排水性と、従来の無処置軟毛パルプ、そして非結合軟毛パルプとを対比させたものである。図1に示すように、この軟毛パルプの液体搬送特性は、本発明の可塑化組成物による処理の影響を受けない。すなわちこの結果は、可塑化軟毛パルプが従来の軟毛パルプと同程度の水平方向液体排水性を有し、そして非接着性の軟毛パルプに対して水平方向液体排水性が30%増加したことを証明している。
【0090】
例5
この例は、吸水コアーの柔軟性と復元力に関する可塑化軟毛パルプの効果を評価するために設計されている。復元力という用語は、圧迫力からの解放の後に元の密度に膨張拡大する吸水コアーの性能を指称する。吸水コアーの復元力は、硬点のない吸水コアーを製造する能力に関連する。
【0091】
さまざまな吸水コアーサンプルが、上記の軟毛パルプ(可塑化および非可塑化されたものの両方)およびSAP粒子の混合物を使用して製作された。この吸水コアーは、ベンチスケール乾式形成システムを使用して製作された。このベンチスケール乾式形成システムは、縦横14インチx16-インチのハンドシートを製造するために用いられる。このシステムは、層の数、高吸水性ポリマー(SAP)の量、パルプ・タイプ、および形成されるべき吸水コアーの内容、基礎ウエイトおよび密度、等を変化させることができる。このベンチスケール乾式形成システムは、乾式積層ハンドシートを製造するために用いられ、大規模な乾式積層パイロットプラントを真似る。このシステムは、パルプを脱繊維化するカーマス・ミル、100-メッシュ、真空発生ヘッド中の14インチのフォーミングワイヤ、SAP投入システム、吸水性網目の初期高密度化のための緊密化ロール、および最終高密度化のためプレス機、により構成されている。
【0092】
ベース重量850g/m2の一連の吸水コアーサンプルが、下記のさまざまな可塑化軟毛パルプと非可塑化軟毛パルプを使用して上記手順に従って準備された。
[プロトタイプ3.1]:
1,4-CHDM(0.8重量%)およびトリアセチン(0.8重量%)で処理された例2に従って作られた可塑化木質軟毛パルプ(商標Rayfloc-JLD)を含む吸水コアーサンプル。
[プロトタイプ4.1]:
1,4-CHDM(0.8重量%)で処理された例1に従って作られた木質軟毛パルプ(商標Rayfloc-JLD)を含む吸水コアーサンプル。
[プロトタイプ5.1]:
水溶液中にトリアセチン(2.0重量%)をスプレー処理した木質軟毛パルプ(商標Rayfloc-JLD)を含む吸水コアーサンプル。
[Rayfloc-TLD(商標)]:
非可塑化木軟毛パルプサンプル(Jesup、ジョージア州のRayonier社から市販されている)。
【0093】
コアーサンプルの全体的な組成は、60重量%の軟毛パルプと、40重量%の高吸水性材料(BASF 2600)であった。それから、結果として生じた吸水性網目は、M/Kシート・プレス(Motor Master 20000-シリーズ、グレンデール、CA州のM/Kシステム社より入手可能)に通すことによって、押圧された(100psiで)。そのシート・プレスは、ニップ・ロール間や、空気ピストン間、およびニップ・ロールへのベアリング間に適当な間隙片を配置することによって、さまざまなニップ間隙に固定するために設定変更された。このニップ間隙は、押圧された吸水性網目のニップ密度を決定するために用いた。押圧された後に、吸水性網目は平衡状態になるまで約10分間放置され、そして最終厚さが測定された。この最終厚さは、それから吸水性網目の最終密度を測定するために用いた。結果として生じた吸水性網目は、硬点、および例えば復元力および柔軟性等のさまざまな特性を評価された。
【0094】
スプリングバック試験は、上の3つの可塑化軟毛パルプサンプルのそれぞれ、およびコントロール試料(非可塑化Rayfloc-JLDE(商標))に対して行なわれた。それ等のサンプルは、さまざまなニップ間隙で圧迫された後に、ニップ密度および最終密度が測定された。最終密度は、図2のニップ密度の関数として、プロットされている。図2から判るように、例えばRayfloc-JLDE(商標)のような従来の繊維およびトリアセチンで処理され繊維で形成した乾式積層された吸水性網目は、最終密度とニップ密度間にリニアな関係がある。これと比較して、可塑化軟毛パルプ(プロトタイプ3.1および4.1)で形成された吸水性網目は、約1.2g/ccのニップ密度まではリニアな関係があるが、それを越えると最終密度は横ばいになる。これらの結果は、可塑化軟毛パルプで形成した乾式積層された吸水性網目が、従来の繊維で形成された吸水性網目より、さらに柔軟性を有し、高いスプリングバックを有することを証明している。
【0095】
例6
この例は、カップ・クラッシュ試験法で測定される吸水コアーの強度に関する可塑化軟毛パルプの効果を例示する。
【0096】
上述のカップ・クラッシュ試験法は、Instron Mode l122 Universal Test Instrumentを使用して実行された。この試験は、直径4.5cmの半球状に形成された足部が、乾式積層された吸水性網目で、60mmの周径を有する円筒状形状に丸められた18.5cm×9.0cmの吸水コアーサンプルを圧壊するのに必要とするピーク負荷を測定することによって、吸水コアーの強度を評価する。図3aに示すように、試験サンプル102が、乾式積層されたコア100の縦横約18.5cmx9.0cmのサイズをしたスリップ片を切り取ることによって準備された。この試験サンプル102は、それから約60mmの周径を有する円筒状サンプル(図3bを参照)に丸められた。この円筒状サンプルは、サンプルの約4.4cmがカップの上部エッジを越えて延在して60mmの直径を有するプラスチック製カップの中に置かれた。このカップは、このコアーサンプルを固定し、このコアーサンプルが均一に変形するのを維持するサポート構造として使われる。図3cに図示するように、圧縮力104は、半球状に形成された足部によって、試験サンプル102に加えられた。約45ニュートンの最大圧迫負荷で、ほぼ40.0mmの目標高さで達するまで、上述の足部が約10.0mm/分の割合で下降する間に、ピーク負荷が測定された。圧迫力(N)対圧迫距離(mm)が、集計され分析された。
【0097】
以下に記載された軟毛パルプを使用して、吸水コアーサンプルが、上記手順に従って準備された。
[プロトタイプ3.1]:
1,4-CHDM(0.8重量%)およびトリアセチン(0.8重量%)で処理され、例2に従って製造された木質軟毛パルプ(Rayfloc-JLD(商標))を含んだ吸水コアーサンプル。
[Rayfloc-TLD(商標)]:
非可塑化された従来の木質軟毛パルプサンプル(Jesup、ジョージア州のRayonier社から市販されている)。
【0098】
複数個の吸水コアーサンプルが、カップ・クラッシュ試験法で先に述べた通りにテストされた。Rayfloc-JLD(商標)に対するカップ・クラッシュ試験法カップの結果は、図4に示され、そしてパルプが試料採取する可塑化軟毛パルプのサンプルの結果は、図5に示されている。各図は、各サンプルの4つ試験結果を示している。
【0099】
図4の結果を参照して、Rayfloc-JLD(商標)を含んでいる吸水コアーサンプルのうちの2つは、高いクラッシュ力を呈している。これは、硬点を多く含有することを示している。対照的に、図5に示される結果は、可塑化軟毛パルプを含んでいる吸水コアーサンプルは、クラッシュするのに実質的に低いクラッシュ力を有し(約7N)、これは換言すると、ほとんど硬点を無いことを示している。従って、本発明の実施例の目的として、吸水コアーが柔軟性を有するとすると、低いクラッシュ力を有することが、柔軟な吸水コアーのためには好適な特性である。
【0100】
本発明は、特に好ましい実施例および例に関して記載されるが、当業者であれば、その技術的思想および範囲から逸脱することなく、さまざまな改変が本発明に対して行なうことが出来ると認識することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の方法で可塑化された柔軟で弾力性を有する可塑化軟毛パルプは、使い捨てのおむつ、大人用失禁製品、女性の衛生製品の吸水コアーとして利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
100 コアー
102 試験サンプル
104 圧縮力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化軟毛パルプを製造する方法において、
セルロース軟毛パルプのベース繊維を準備するステップと;
水溶性、非イオン性かつ非重合体である第1の可塑化剤と第2の可塑化剤の混合物から成る可塑化組成物を準備するステップと;そして
可塑化軟毛パルプを得るために前記セルロース軟毛パルプのベース繊維に対して、前記可塑化組成物を作用させるステップと、で構成され、
前記第1の可塑化剤は前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が他のセルロース軟毛パルプ繊維または高吸水性ポリマーと結合するのを阻止し、
それぞれの軟毛パルプがばらばらにされて高吸水性ポリマーと混合され、高度に圧縮された後に解放されたときの前記可塑化された軟毛パルプは、可塑化されないセルロースの軟毛パルプのベース繊維よりも最終的に低い密度を有しており、そして
前記第1の可塑化剤が、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、またはそれらの混合物あるいは結合物である可塑化軟毛パルプの製造方法。
【請求項2】
前記可塑化組成物が、水溶液中にあることを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項3】
前記塑化組成物が、0.25重量%から50重量%の抗菌剤を含有することを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項4】
前記抗菌剤は、グラムネガティブ菌に対してアクティブな物質であることを特徴とする請求項3記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項5】
前記抗菌剤が、サリチル酸-N-オクチル・アミド、サリチル酸-N-デシル・アミド、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ・ジフェニル・エーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、ピロクトンエタノールアミン塩、テトラサイクリン、3,4,4'-トリクロロバニリド、及び抗菌的に作用する芳香剤、そしてこれ等の混合物及び組み合わせから選択されて構成されたことを特徴とする請求項3記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項6】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で約0.001重量%から約0.5重量%の抗菌剤を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項3記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項7】
前記繊維の全重量に対して0.05重量%から3重量%の割合になるように前記可塑化組成物がセルロース軟毛パルプのベース繊維に対して作用され、前記繊維の全重量に対して0.003重量%から0.06重量%の割合になるように前記抗菌剤が作用されることを特徴とする請求項3記載の可塑化軟毛パルプの製造方法。
【請求項8】
前記可塑化組成物を作用させるステップが、吹付け、浸漬、ローリング、又はパドルプレス、サイズプレス、ブレードコータを行なうことにより、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項9】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で約0.05重量%から約3重量%の前記可塑化組成物を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項10】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、シート形状で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項11】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、軟毛状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項12】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、安定化した樹脂接着または熱接着の不織マットの状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項13】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、従来のセルロース繊維で構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項14】
前記従来のセルロース繊維が、クラフトまたは亜硫酸の化学プロセスから得られる木質パルプ繊維で構成されたことを特徴とする請求項13記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項15】
前記木質パルプ繊維が、硬材セルロースパルプ、軟材セルロースパルプ、またはこれ等の組み合わせ又はこれ等の混合で構成されたことを特徴とする請求項14記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項16】
前記硬材セルロースパルプが、ゴム、カエデ、ナラ材、ユーカリノキ、ポプラ、ブナノキ、ポプラ、そしてこれ等の組み合わせ及びこれ等の混合物、から選択されたもので構成されたことを特徴とする請求項15記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項17】
前記軟材セルロースパルプが、南部マツ(パイン)、ホワイトパイン、カリブ海パイン、西洋米つが、エゾマツ、米松モミ材、そしてこれ等の混合物及び組み合わせから選択されたもので構成されたことを特徴とする請求項15記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項18】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、綿リンター、バガス、ケンプ、アマ、草、CTMP、架橋繊維、またはこれ等の組み合わせ又はこれ等の混合物で構成されたことを特徴とする請求項13記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項19】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、腐食処理された繊維で構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項20】
可塑化軟毛パルプを製造する方法において:
セルロース軟毛パルプのベース繊維を準備するステップと;
水溶性、非イオン性かつ非重合体である第1の可塑化剤と第2の可塑化剤の混合物から成る可塑化組成物を準備するステップと;そして
可塑化軟毛パルプを得るために前記セルロース軟毛パルプのベース繊維に対して、前記可塑化組成物を作用させるステップと、で構成され、
前記第1の可塑化剤は前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が他のセルロース軟毛パルプ繊維または高吸水性ポリマーと結合するのを阻止し、
それぞれの軟毛パルプがばらばらにされて高吸水性ポリと混合され、高度に圧縮された後に解放されたときの前記可塑化された軟毛パルプは、可塑化されないセルロースの軟毛パルプのベース繊維よりも最終的に低い密度を有しており、そして
前記可塑化組成物は、5重量%〜49重量%の第1の可塑化剤と51〜95重量%の第2の可塑化剤とを有している可塑化軟毛パルプの製造方法。
【請求項21】
前記第2の可塑化剤が、ポリヒドロキシ化合物;ポリヒドロキシ化合物のエーテル誘導体;ポリヒドロキシ化合物のエステル誘導体;あるいはこれ等の混合物または組み合わせから構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑化組成物。
【請求項22】
前記第1の可塑化剤が、シクロヘキサンジメタノールであり、前記第2の可塑化剤が、トリアセチン、ジアセチン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ペンタエリトロールエソクサイト、ペンタエリトロールプロポキシレート、ジフェノキシエタノール、あるいはこれ等の混合物または組合わせから構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑性軟毛パルプの製造方法。
【請求項23】
前記可塑化組成物が、30重量%〜60重量%のシクロヘキサンジメタノールと、30重量%〜60重量%の前記第2の可塑化剤と、0.25重量%〜50重量%の抗菌剤から成る請求項1記載の可塑性軟毛パルプの製造方法。
【請求項24】
可塑化軟毛パルプを製造する方法において:
セルロース軟毛パルプのベース繊維を準備するステップと;
水溶性、非イオン性かつ非重合体である第1の可塑化剤と第2の可塑化剤の混合物から成る可塑化組成物を準備するステップと;そして
可塑化軟毛パルプを得るために前記セルロース軟毛パルプのベース繊維に対して、前記可塑化組成物を作用させるステップと、で構成され、
前記第1の可塑化剤は前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が他のセルロース軟毛パルプ繊維または高吸水性ポリマーと結合するのを阻止し、
それぞれの軟毛パルプがばらばらにされて高吸水性ポリマーと混合され、高度に圧縮された後に解放されたときの前記可塑化された軟毛パルプは、可塑化されないセルロースの軟毛パルプのベース繊維よりも最終的に低い密度を有しており、そして
前記可塑化組成物が、5重量%〜10重量%の前記第1の可塑剤と、5重量%〜95重量%の前記第2の可塑化剤と、0.25重量%〜50重量%の抗菌剤から成ることを特徴とする可塑性軟毛パルプの製造方法。
【請求項25】
前記第2の可塑剤が、トリアセチン、ジアセチン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ペンタエリトロールエソクサイト、ペンタエリトロールプロポキシレート、ジフェノキシエタノール、あるいはこれ等の混合物または組合わせから構成されたことを特徴とする請求項1記載の可塑性軟毛パルプの製造方法。
【請求項26】
前記可塑化組成物が、水溶液中にあることを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項27】
前記塑化組成物が、約0.25重量%から約50重量%を抗菌剤で構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項28】
前記抗菌剤は、グラムネガティブ菌に対してアクティブな物質あるように構成されたことを特徴とする請求項27記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項29】
前記抗菌剤が、サリチル酸-N-オクチル・アミド、サリチル酸-N-デシル・アミド、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ・ジフェニル・エーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、ピロクトンエタノールアミン塩、テトラサイクリン、3,4,4'-トリクロロバニリド、及び抗菌的に作用する芳香剤、そしてこれ等の混合物及び組み合わせから選択されて構成されたことを特徴とする請求項27記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項30】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で0.001重量%から0.5重量%の抗菌剤を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項27記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項31】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で0.001重量%から0.5重量%の抗菌剤を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項27記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項32】
前記可塑化組成物を作用させるステップが、吹付け、浸漬、ローリング、又はパドルプレス、サイズプレス、ブレードコータを行なうことにより、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項33】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で0.05重量%から3重量%の前記可塑化組成物を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項34】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、シート形状で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項35】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、軟毛状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項36】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、安定化した樹脂接着または熱接着の不織マットの状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項37】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、従来のセルロース繊維で構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項38】
前記従来のセルロース繊維が、クラフトまたは亜硫酸の化学プロセスから得られる木質パルプ繊維で構成されたことを特徴とする請求項37記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項39】
前記木質パルプ繊維が、硬材セルロースパルプ、軟材セルロースパルプ、またはこれ等の組み合わせ又はこれ等の混合で構成されたことを特徴とする請求項38記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項40】
前記硬材セルロースパルプが、ゴム、カエデ、ナラ材、ユーカリノキ、ポプラ、ブナノキ、ポプラ、そしてこれ等の組み合わせ及びこれ等の混合物、から選択されたもので構成されたことを特徴とする請求項39記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項41】
前記軟材セルロースパルプが、南部マツ(パイン)、ホワイトパイン、カリブ海パイン、西洋米つが、エゾマツ、米松モミ材、そしてこれ等の組み合わせ及びこれ等の混合物、から選択されたもので構成されたことを特徴とする請求項39記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項42】
前記セルロースのベース繊維が、綿リンター、バガス、ケンプ、アマ、草、CTMP、架橋繊維、またはこれ等の組み合わせ又はこれ等の混合物で構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項43】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、腐食処理された繊維で構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項44】
前記第1の可塑化剤が、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、あるいはこれ等の混合物または組み合わせから選択されて構成されたことを特徴とする請求項20記載の可塑化組成物。
【請求項45】
前記抗菌剤が、サリチル酸-N-オクチル・アミド、サリチル酸-N-デシル・アミド、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ・ジフェニル・エーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、ピロクトンエタノールアミン塩、テトラサイクリン、3,4,4'-トリクロロバニリド、及び抗菌的に作用する芳香剤、そしてこれ等の混合物及び組み合わせから選択されて構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化組成物。
【請求項46】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で0.001重量%から0.05重量%の抗菌剤を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項47】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維へ、前記繊維の総重量に対して、繊維上で0.05重量%から3重量%の前記可塑化組成物を施すために、前記可塑化組成物を作用させるように構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項48】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、シート形状で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項49】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、軟毛状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項50】
前記セルロース軟毛パルプのベース繊維が、安定化した樹脂接着または熱接着の不織マットの状態で提供されるように構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化軟毛パルプを製造する方法。
【請求項51】
前記第1の可塑化剤が、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、あるいはこれ等の混合物または組み合わせから選択されて構成されたことを特徴とする請求項24記載の可塑化組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−140747(P2012−140747A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45399(P2012−45399)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2007−544386(P2007−544386)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(306024908)レイヨニア ティーアールエス ホールディングス インク. (3)
【Fターム(参考)】