説明

可変なライトガイド厚を有するガンマ線検出モジュール

【課題】シンチレータで発生された光を効率よく検出すること。
【解決手段】本実施形態に係るガンマ線検出モジュールは、平面状に配列されたシンチレータ素子201と、シンチレータ素子を覆うように配列されシンチレータ素子から放射された光を受光する複数の光センサ203と、シンチレータ素子と複数の光センサとの間に配置されシンチレータ素子に光学的に接続されたライトガイド202とを具備し、ライトガイドは薄い部分を有し、薄い部分により複数の光センサのうちの第1の光センサPMT2は、複数の光センサのうちの第1の光センサ以外の他の複数の光センサに比べてシンチレータ素子に近いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガンマ線検出モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージングの分野では、陽電子放出コンピュータ断層撮影(Positron Emission Computed Tomography:以下PETと呼ぶ)の使用が増えている。PETイメージングでは、放射性薬剤が、注入、吸入または食物摂取によって、被検体に導入される。薬剤の物理的特性と生体分子的特性とによって、放射性薬剤は、被検体内の特定の場所に集中する。放射性薬剤の実際の空間分布と、放射性薬剤の蓄積領域の濃度と、薬剤が被検体に投与されてから最終的に排出されるまでの動態とは、臨床的に重要である。投与から排泄までの間に、放射性薬剤に付加された陽電子エミッタ−は、半減期および分岐比などの同位体の物理的特性にしたがって陽電子を放出する。
【0003】
特定の放射性核種は陽電子を放出する。放出された陽電子が電子と衝突すると、消滅イベントが発生する。そこでは、陽電子と電子とは崩壊する。ほとんどの場合、消滅イベントは、実質的に180度異なる方向に伝播する2つのガンマ線(511KeV)を生じさせる。
【0004】
2つのガンマ線を検出した位置の間を結ぶレスポンスライン(line−of−response:以下LORと呼ぶ)によって、上記2つのガンマ線の発生の元になった放射性核種の崩壊のおおよその位置を特定することができる。この処理は起こりうる相互作用に関するLORを識別することができるだけだが、多数のそれらのLORの蓄積と断層撮影の再構成処理とによって、元の放射性核種の分布を推定することができる。また、2つのシンチレーションの発生位置に加えて、正確な時間調整(数百ピコ秒以内)が利用可能ならば、ガンマ線の飛行時間(time−of−flight:以下TOFと呼ぶ)の計算によって、上記LORに沿った消滅イベントの位置まで特定できる。スキャナの時間分解能の限界は、このLORに沿った消滅イベントの位置決めの正確さを決定する。上記2つのシンチレーションの発生位置の限界により、スキャナの最終的な空間分解能が決まる。しかし、同位体の明確な特性(例えば、陽電子のエネルギー)は、特定の薬剤の空間分解能を向上させる(2つのガンマ線それぞれの線形性と陽電子の方向とにより)。
【0005】
多数のシンチレーションを収集することで、断層像の再構成に必要な情報が生成される。対応する検出素子で実質的に同時に2つのシンチレーションの発生を検出することにより生成されるLORにより、撮影やサイノグラムを再構成するための頻度分布が得られる。検出素子の幾何学的属性は、再構成されたサイノグラムもしくは投影像を定義する。シンチレーションの発生が生じるごとに、消滅イベントのカウントが画像に順次加算されていく。
【0006】
以上のことからデータ収集と画像再構成にとって重要なのは、LORである。LORは、システムと被検体とを結びつける。なお、消滅イベントの位置に関する情報を取得してもよい。第1に、サンプリングと再構成とによって、システムの再構成または位置付けの処理は、撮像視野全体にわたって空間的に一定ではない。この処理は、撮像視野の中心の方が高く、撮像視野の周囲になるほど徐々に低下する。この挙動を特徴付けるために、一般に、点拡がり関数(Point−Spread−function:以下PSFと呼ぶ)が使用される。PSFを再構成過程に組み込むツールが開発されてきた。第2に、飛行時間、または1対の検出に関与する各検出器にガンマ線が到達する時間の間の時間差は、LORに沿ってイベントが生じた可能性の高い位置を決定するために用いられることができる。
【0007】
前述の検出プロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返されなければならない。過去のイメージング事例を解析すると、どのくらい多くのカウント(すなわち、対のイベント)がイメージング作業に必要なのかが決定される。現在の慣例では、典型的な長さ100cmに対してFDG(フルオロデオキシグルコース)を用いた検査には数億カウントを蓄積することが必要とされる。このカウント数を蓄積するのに要する時間は、薬剤の投与量とスキャナの感度と計数性能によって決まる。
【0008】
PETイメージング・システムは、対象から放出されるガンマ線を検出するために互いに向かい合って配置された検出器を用いる。一般に、検出器のリングは、各角度から来るガンマ線を検出するために使用される。したがって、PETスキャナは、一般に、できるだけ多数のガンマ線の放射を獲得できるように実質的に円筒状であり、当然のことながら等方性を有しなければならない。また、欠落している角度の放射を獲得するために検出器の回転と部分的なリングとの使用もまた可能であるが、これらの取り組みは、スキャナの全体的な感度に関して厳しい結果を有する。平面内に含まれる全てのガンマ線が検出器と相互作用する可能性を有する円筒形状においては、軸方向寸法を長くすることは、放射を獲得するための能力または感度を向上するには効果的である。したがって、全てのガンマ線を検出することができる球体が最良である。当然ながら、人間に応用するためには、球状の設計は、きわめて大きくならざるを得ず、したがってきわめて高価になる。したがって、現実的には、検出器の軸方向範囲が変数である円筒形状が、現在のPETスキャナの設計の原点である。
【0009】
PETスキャナの全体的な形状が理解されたら、もう1つの課題は、できるだけ多数のシンチレーション素子(シンチレーションを発生させる結晶素子)をガンマ線経路内に配置し、できるだけ多くのガンマ線を光に変換することである。断層撮影の再構成原理によって放射性同位元素の時空間分布を再構成できるようにするために、それぞれ検出されたシンチレーションの発生イベントは、シンチレーションの発生イベントのエネルギー(すなわち、生成された光の量)とシンチレーションの発生イベントの場所とシンチレーションの発生イベントの時間調整とに関して特徴付けられる必要がある。ほとんどの最新のPETスキャナは、数千個の個別のシンチレーション素子で構成される。これらの素子は、モジュールで配列される。これらの素子は、シンチレーションの発生位置を識別するために使用される。一般に、シンチレーション素子は、約4mm×4mmの断面積を有する。なお、より小さな寸法や正方形でない断面も可能である。素子の長さまたは深さは、どのくらいガンマ線が獲得されるのかという見込みにより決定され、その範囲は、一般に10〜30mmの範囲である。検出器モジュールは、スキャナの主構成要素である。
【0010】
PETイメージングは、シンチレーション素子によってガンマ線を光に変換する感度に依存する。シンチレーション素子内の相互作用の位置と個々のシンチレーションの発生に関して対になっている時間とを決定した後で、消滅プロセスの発生位置を、再現することができる。これらの操作には、きわめて高感度な構成要素(すなわち、検出器と電子回路)を必要とする。また、これらの操作には、高い信号対雑音比も必要とする。高品質な電子回路により、信号対雑音比は、主に、検出プロセスに必然的に含まれる固有のポアソン統計によって決定される。検出される光子が増えると、信号対雑音比が改善され、したがって空間および時間分解能が向上する。検出器の設計と電子回路を改善しても、検出プロセスでの著しい光損失を補償することはできない。(シンチレーション素子内で生成された量に対する)収集された光の総量の比率を基準に設定される。したがって、収集される光の量を最大にするために、光センサをシンチレーション素子にできるだけ近づけさせ、反射や他のエッジ効果を回避させることに注力されている。したがって、このことは、配列を、シンチレーション素子と光センサとの距離が短い大きなアレイ検出器にさせる。
【0011】
前述のように、PETイメージング・システムは、カウンタそのものである。加えて、PETイメージング・システムは、シンチレーションの発生の存在を検出し、シンチレーションの発生の位置を識別しなければならない。光が複数の光センサにどのように割り当てられるかを適切に記録することによって、任意の所定の組の光センサの応答に関する消滅イベントの位置を指定することができる。したがって、光は、複数の光センサで受光されなければならない。十分な光センサがわずかな光を検出するための適切な光の受光を達成するために、ライトガイドの厚さまたはシンチレータ素子とセンサとの間の隙間を増加させる必要がある。そのような形状は、光の受光に直接影響を及ぼすが、全体の光の収集にも悪影響を及ぼす。
【0012】
光センサ(例えば、光電子増倍管)の技術は、この数年間、より高感度でより均一の応答を提供するように発達してきている。飛行時間スキャナ(time−of−flight scanner)に対するピコ秒の要求により、光電子増倍管の設計に対する1つの改良は、湾曲光電陰極の組み込みである。図1は、湾曲光電陰極を有する光電子増倍管の2つの例を示す。湾曲光電陰極は、電子が陰極から第1のダイノードまで進むのにかかる時間を釣り合わせる効果を有する。電子の移動時間は、ガラスの追加長を通る光量子の移動時間より長い。したがって、全体的な結果として、光電陰極上の電子の発生場所に関係なく、すべての電子がダイノードに到達する厳密な時刻が得られる。従来のPET検出器は、一般に、1つの組立体にすべて同じサイズの光電子増倍管を利用している。この組立体は、光電子増倍管と規則的なパターン(例えば、正方形または六角形がぎっしり並んで)で配列された平らなシンチレーション素子(以下、シンチレータアレイと呼ぶ)とライトガイドとの組み合わせから成る。
【0013】
したがって、従来のPET検出器は、検出器に対して、平均的な状況と幾何学との最適な組み合わせを求めている。しかし従来のPET検出器は、エッジ効果と反射とを含む局所的に変化する光の分布を補償しない。更に、図1に示したTOF(飛行時間)対応の光電子増倍管の断面形状から、光が側方から来るときに平坦なライトガイドがすべての光電陰極面を適切に使用できないことは明らかにすべきである。
【0014】
さらに、従来のPET検出器の設計は、光センサの均一な配置がシンチレータアレイの均一な配置にのみ適切であるという認識を欠いている。全ての光センサを同条件でしようできる唯一の幾何学的条件は、完全な4π、つまり球である。しかしながら、エッジ、またはモジュール、または他のタイプの非対称の原因(例えば、シンチレータアレイ上の様々なタイプの光センサ)が導入されると、全体の検出プロセスに対する各光センサの寄与は、分析されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
目的は、シンチレータで発生された光を効率よく検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本実施形態に係るガンマ線検出器モジュールは、平面状に配列されたシンチレータ素子と、前記シンチレータ素子を覆うように配列され、前記シンチレータ素子から放射された光を受光する複数の光センサと、前記シンチレータ素子と前記複数の光センサとの間に配置され、前記シンチレータ素子に光学的に接続されたライトガイドとを具備し、前記ライトガイドは、薄い部分を有し、前記薄い部分により、前記複数の光センサのうちの第1の光センサは、前記複数の光センサのうちの第1の光センサ以外の他の複数の光センサに比べて前記シンチレータ素子に近いこと、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】異なる湾曲光電陰極を有する2種の光電子増倍管を示す図である。
【図2A】実施形態における複数のガンマ線検出モジュールを有するPET検出器リングの一例を示す図である。
【図2B】実施形態における複数のガンマ線検出モジュールを有するPET検出器リングの一例を示す図である。
【図2C】実施形態において、ライトガイド上に配列された複数の光電子増倍管を有する検出モジュールの一例を示す図である。
【図3A】実施形態において、シンチレータアレイとライトガイドと光電子増倍管との位置関係を示すガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図3B】実施形態において、結晶アレイと厚さの異なるライトガイドと光電子増倍管との位置関係を示すガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図4A】実施形態において、シンチレータアレイとライトガイドと光電子増倍管との位置関係を示すガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図4B】実施形態において、シンチレータアレイと厚さの異なるライトガイドと傾斜された光電子増倍管との位置関係を示すガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図5】実施形態において、サイズと湾曲とが異なる2種の光電子増倍管を示す図である。
【図6】実施形態において、シンチレータアレイとライトガイドと光電子増倍管との位置関係が異なる2種のガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図7】実施形態において、シンチレータアレイとライトガイドと光電子増倍管との位置関係が異なる2種のガンマ線検出モジュールの断面の一例を示す図である。
【図8】実施形態において、ライトガイド上に配置されたサイズの異なる2種の光電子倍増管のうちサイズの小さい光電子倍増管の傾斜方向と、ライトガイド上に配置された1種の光電子倍増管の傾斜方向とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照するとき、いくつかの図面にわたる同じ参照数字は、同一または対応する部分を示す。図2Aと図2Bは、実施形態によるPETスキャナを示す。図2Aと図2Bに示されたように、検出器リングは、複数の長方形のガンマ線検出モジュールからなる。例えば、検出器リングは、40個のガンマ線検出モジュールを具備する。また、スキャナの口径サイズを大きくするために48個のガンマ線検出モジュールが使用されてもよい。
【0019】
図2Cに示されたように、各ガンマ線検出モジュールは、2次元状に配列された、分離された複数のシンチレーション素子201を有する。複数のシンチレーション素子201は、ガンマ線を吸収しシンチレーション光子を放出する。放出されたシンチレーション光子は、光電子増倍管(PhotoMultiPlier以下PMTと呼ぶ)203によって検出される。なお、一般に単光子放出断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography:以下SPECTと呼ぶ)で使用されるような、シンチレーションを発生させる連続的なシンチレーション素子を使用してもよい。ライトガイド202は、シンチレーション素子を配列させたシンチレーションアレイと複数のPMTとの間に配置される。図2Cに示されたように、検出器モジュールそれぞれは、様々なサイズの多数の光電子増倍管を有する。それぞれの光電子増倍管は、複数のシンチレーション素子201をカバーする。それぞれのPMTは、アナログ信号を生成する。生成されたアナログ信号は、シンチレーションが生じるときに急激に増大し、そのすぐ後に指数関数的に減少する。なお、1つの検出用の結晶から放出された光子は、複数のPMTによって検出されてもよい。しかしながら、それぞれのPMTで発生されたアナログ信号に基づいて、消滅イベントに対応する検出用の結晶は特定される。
【0020】
図2Cに示されたガンマ線検出モジュールは細長い。典型的には、長軸は、短軸の3乃至4倍の長さである。この設計は、内側のシンチレーション素子に対する端側のシンチレーション素子の比率を最小にする。さらにこの設計は、十分な計数能力を保証するためにガンマ線検出モジュールの多様性を拡大する。光学的に分離されたとき、シンチレーションアレイ全体を別個に較正されてもよい。なお、ライトガイドの一定でない厚さと傾斜された複数のPMTは、他の寸法を有するガンマ線検出モジュールにも適用可能である。
【0021】
本実施形態は、光センサ(例えば、光電子倍増管)とシンチレーションアレイとの組み合わせの設計において2つの新しい変数を導入する。第1の変数は、深さである。PMT面と光電陰極との間の距離を変化させることにより、PMTを望む全体的な立体角を変化させることができる。
【0022】
図3Aに示したように、注目しているシンチレーション素子から標準的な平面のライトガイド上のPMT1とPMT2へ放射された光は、PMT2上にきわめて弱い信号を生成する。図3Bでは、PMT2の位置をライトガイドで下げることによって、PMT2の信号を増大させることができる。より適切な立体角と湾曲光電陰極との組み合わせは、PMT2により検出される光を増大させる。注目しているシンチレーション素子がPMT2の下にある場合、状況は逆になり、PMT1は、PMT2が受け取る光より少ない光を受け取る。
【0023】
本実施形態に導入された第2の変数は傾斜角である。図4Aと図4Bに示したように、PMT1とPMT2とを傾けることによって、PMT1とPMT2が受け取る信号は、シンチレーションを起こしたシンチレーション素子がシンチレーションアレイの一方の側にあるときと、シンチレーションアレイの反対側にあるときとで、等価にする。したがって、データ分析を行うために全体的によりよい信号セットが提供される。
【0024】
この例から明らかなように、エッジの存在は、傾斜がPMTによる光の収集に対するより均一な応答を提供するという理由による。例えば、シンチレーション素子がPMT1の左側および/またはPMT2の右側から光を放射できるように、同じ2つのPMTがより大きなシンチレーションアレイ上に配置された場合は、PMTの傾きは不要になる。
【0025】
光の収集を非対称にする別の条件は、異なるサイズのPMTを使用することである。図5に示したように、直径1インチと直径1.5インチのPMTが使用される場合、注目しているシンチレーション素子が1.5インチのPMTの下にあるときに、1インチのPMTの応答を高めることができる。
【0026】
図6において、2種類のPMTとその光電陰極の配置とに関してさらに詳細な説明が提供される。検出される光の量を最適化するために、光電陰極の表面全体は、常に露出されていなければならない。したがって、図5に示したように、PMT1は、距離d=D1−D2だけシンチレーション素子の平面に近づける必要がある。そうでない場合、PMT2は、光源がシンチレーションアレイの右側にあるときに光を遮る。ひとたびPMT1がシンチレーションアレイからの適切な距離に配置されれば、図6に示したように、PMT2を傾けることは、PMT1に対する立体角(すなわち、光の総量)を減少させることなく、PMT2に対する立体角(すなわち光の総量)を増加させることができる。好ましい実施形態では、D1は典型的には8.2mmであり、D2は典型的には5.5mmである。なお、これらの値は、PMTのサイズにより変化させてもよい。
【0027】
この概念を使用する様々な実施形態は、以下の形状で試験される。この形状は、PMTの深さと角度の調整の前後で計算される。シンチレーションアレイの右側に光源がある図6に示した例では、PMT1に対する角度は22度から31度に増加する。同時にPMT2に対する角度は64度から74度に増加する。シンチレーションアレイの左側に光源がある図7に示した例では、PMT1に対する角度は、68度から83度に増加する。同時に、PMT2に対する角度は、24度から28度に増加する。
【0028】
これらの例では、光電陰極からシンチレーションアレイの平面までの距離と同じシンチレーションアレイの平面に対して光電陰極の表面板がなす角度との組み合わせにより、光電陰極をよりよく利用することができ、信号品質が向上する。
【0029】
図6と図7に示した傾斜角は、隣接したガンマ線検出モジュール間の角度によって制限される。例えば、好ましい実施形態では、36〜40個のガンマ線検出モジュールは、傾斜角の制限が9〜10度になるように、環状に配列される。なお、代替設計は、他の対応する傾斜角の制限を有する。
【0030】
図8は、第1の例では、長方形のシンチレーションアレイ上に2つのサイズのPMTが配列された例示的な構成を示す。図に示したように、小さい方のサイズのPMTは、5度傾けられるが、この例では最大10度まで傾けることができる。さらに、図8に示したように、長方形のシンチレーションアレイの角端にある小さい方のサイズのPMTを対角線方向に傾けることができる。図8に示した第2の例では、ガンマ線検出モジュールは、正方形のシンチレーションアレイ上に配列された同じサイズの4つのPMTを有し、各PMTは対角線方向に傾けられる。
【0031】
なお、使用されるPMTの明確な種類、特定のシンチレーション素子の配置、ライトガイドの厚さ、位置決めアルゴリズムなどにより、PMTの深さと傾斜角とに関して、種々の代替実施形態が可能である。
【0032】
実施形態は、光センサ(PMT)がシンチレーションアレイから受け取る光の総量を最適化するための、2種の変数を提供する。次に、種々のPMTに対する光の分配をよりよく制御するための能力は、構成全体の固有の非対称性(例えば、エッジと、PMTのサイズまたはタイプの変更)に関するよりよい補正を含む。更に、これらの変数により、湾曲光電陰極をより効率的に使用することができ、これにより全検出光量を最大限活用できる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
12…12ピン式JEDECNo.B12−43、201…シンチレータ素子、202…ライトガイド、203…光電子増倍管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状に配列されたシンチレータ素子と、
前記シンチレータ素子を覆うように配列され、前記シンチレータ素子から放射された光を受光する複数の光センサと、
前記結シンチレータ素子と複数の光センサとの間に配置され、前記シンチレータ素子に光学的に接続されたライトガイドとを具備し、
前記ライトガイドは、薄い部分を有し、
前記薄い部分により、前記複数の光センサのうちの第1の光センサは、前記複数の光センサのうちの第1の光センサ以外の他の光センサに比べて、前記シンチレータ素子に近いこと、
を特徴とするガンマ線検出モジュール。
【請求項2】
前記第1の光センサは第1のサイズを有し、
前記第1の光センサに隣接した第2の光センサは、前記第1のサイズより小さい第2のサイズを有し、
前記第1のセンサと第2の光センサとは、前記シンチレータ素子の異なる範囲の部分を覆うこと、
を特徴とする請求項1記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項3】
前記ライトガイドは、斜めのはめ込み部分を有し、
前記第2の光センサは、前記第1の光センサと前記シンチレータ素子の前記平面とに対して斜めの傾斜角で、前記はめ込み部分に配置されること、
を特徴とする請求項2記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項4】
前記第1の光センサは第1のサイズを有し、
前記第1の光センサに隣接した第2の光センサは第2のサイズを有し、
前記第1の光センサは、前記第1のサイズと前記第2のサイズとの差に基づいた距離だけ、前記第2の光センサより前記シンチレータ素子の前記平面に近いこと、
を特徴とする請求項1記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項5】
前記シンチレータ素子は、複数の光学的に分離されていること、
を特徴とする請求項1記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項6】
平面状に配列されたシンチレータ素子と、
前記シンチレータ素子を覆うように配列され、前記シンチレータ素子から放射された光を受光する複数の光センサと、
前記シンチレータ素子と前記複数の光センサとの間に配置され、前記シンチレータ素子に光学的に接続されたライトガイドとを具備し、
前記ライトガイドは、第1の斜めのはめ込み部分を有し、
前記複数の光センサのうちの第1の光センサは、前記シンチレータ素子の前記平面に関して第1の斜めの傾斜角で、前記第1のはめ込み部分に配置されること、
を特徴とするガンマ線検出モジュール。
【請求項7】
前記ライトガイドは、第2の斜めのはめ込み部分を有し、
前記第1の光センサに隣接した第2の光センサは、前記シンチレータ素子の前記平面に関して第2の斜めの傾斜角で、前記第2のはめ込み部分に配置されること、
を特徴とする請求項6記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項8】
前記第1の光センサは第1のサイズを有し、
前記第2の光センサは前記第1のサイズより大きい第2のサイズを有し、
前記第1の光センサと前記第2の光センサとは、前記シンチレータ素子に関して異なる範囲の部分を覆うこと、
を特徴とする請求項7記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項9】
前記第1の光センサは第1のサイズを有し、
前記第1の光センサに隣接した第2の光センサは、前記第1のサイズより大きい第2のサイズを有し、
前記第1のセンサと第2の光センサとは、前記シンチレータ素子の異なる範囲の部分を覆うこと、
を特徴とする請求項6記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項10】
前記シンチレータ素子は、複数の光学的に分離されていること、
を特徴とする請求項6記載のガンマ線検出モジュール。
【請求項11】
円筒状検出器リングを形成するために互いに隣接して配列された複数の長方形の検出モジュールを具備し、
前記検出モジュールそれぞれは、
平面状に配列されたシンチレータ素子と、
前記シンチレータ素子を覆うように配列され、前記シンチレータ素子から放射された光を受光する複数の光センサと、
前記シンチレータ素子と前記複数の光センサとの間に配置され、前記シンチレータ素子に光学的に接続されたライトガイドとを有し、
前記ライトガイドは、薄い部分を有し、
前記薄い部分により、前記複数の光センサのうちの第1の光センサは、前記複数の光センサのうちの第1の光センサ以外の他の光センサに比べて、前記シンチレータ素子により近いこと、
を特徴とするガンマ線スキャナ・システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−107122(P2011−107122A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165075(P2010−165075)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】