説明

可変容量型バラストチャンバを有するアナライザ及び分析方法

【解決手段】燃焼炉と、燃焼検出器を含む燃焼副生成物のガス流路と、導入された燃焼副生成物に呼応して移動する可動ピストンを有する、燃焼副生成物を受け取るための可変容量型バラストチャンバとから成るアナライザ。次に、前記チャンバから排出されたサンプルの一部を検出器へ導入し、元素を検出する。本発明に係る分析方法は、燃焼の完了が検出されるまで燃焼副生成物を可変容量型バラストチャンバに充填することと、次いで、前記可変容量型バラストチャンバから排出された燃焼副生成物中のサンプルの少なくとも一部を、対象元素の検出器を含む流路へ導入することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との関係]
本願は、米国特許法第119条(e)の規定に基づき、ジョエル C.ミッチェル(Joel C. Mitchell)らによる2003年2月28日出願の米国仮出願第60/450,635号(発明の名称:元素アナライザ)の優先権を主張するものであり、該仮出願の開示内容全てを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、元素アナライザと分析方法とに関し、より詳細には、可変容量型バラストチャンバを用いたアナライザと、アナライト(分析対象物)の回収及びその後のアナライト分析のための該バラストチャンバの使用とに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの理由により、有機物中の元素(炭素や水素、窒素等)を測定することが望まれている。レコ社(ミシガン州セントジョーゼフ)より商業的に入手可能なCHN2000等の元素アナライザが様々な用途に用いられている。近年、食品業界では、窒素含有量によってサンプル中のタンパク質の量を決定することに関心が集まっている。よって、窒素含有量の測定は、栄養食品業界にこのための情報を提供する上で重要である。石炭サンプルやコークスサンプルの特性化には炭素/水素比が望まれるが、また一方、他の様々な有機物においては炭素、水素及び窒素の比率を測定することが望まれる。こうして、元素アナライザは、かねてからこれらを始めとする各種用途に用いられている。
【0004】
一般に、単体の炭素や水素、窒素の分析についてはよく知られており、数種の文献、例えば、「微量分析方法」 Vol.1、ミッラ オシポヴナ コーシュン(Mirra Osipovna Korshun)(1964年)や、「有機元素の機器分析」、R.ベルチャー(R. Belcher)(1977年)、「有機元素分析−超微量、微量及びトレース量分析方法」、ヴォルフガング J.カーステン(Wolfgang J. Kirsten)(1983年)に記載されている。米国特許第4,525,328号には、約4.5Lのチャンバにアナライトを集めその後に分析を行う固定容量型バラストチャンバを用いたアナライザが開示されている。このシステムにおいては、チャンバ内にサンプルを集め、その後に収集サンプルの一部を検出することによって、該システムで用いる各種還元剤や吸収剤の急速な汚染を排除している。固定容量型バラストチャンバに装入する燃焼用酸素の量はかなり多いため、分析は、燃焼やバラストチャンバ充填のために相当な時間がかかる場合がある。また、燃焼副生成物(即ち、アナライトガス)は、比較的大容量のバラストチャンバ内で多少希釈されてしまう。従って、特に比較的少量のサンプルを分析する際に有用な元素アナライザとして、使用する酸素が少なく、より迅速で、且つより感度の高い元素アナライザが必要とされている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,525,328号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の固定バラストシステムの改良に関するものであり、この改良は、可変容量型のバラストチャンバに可動ピストンと燃焼検出器とを設け、サンプルを燃焼させる際、燃焼検出器によって燃焼の完了が確認されるまで該チャンバが燃焼副生成物のみで満たされるようにするものである。典型的には、固定容量型バラストチャンバの容量と比べかなり少量のアナライトをより濃縮した形で捕集した後、可動ピストンを制御し可変容量型バラストチャンバからアナライトを放出する。該バラストチャンバからサンプルの一部を抽出し、炭素検出器及び水素検出器を通過させ、ドーザーバルブ(doser valve)に導いた後、窒素の検出を行う。可変容量型バラストチャンバを用い、且つ燃焼の完了を検出することによって燃焼副生成物の濃度を高めることができ、この濃度上昇によってより正確な結果をより迅速に得ることができる。好ましい一実施形態においては、可変容量型バラストチャンバの圧力を検出することに加え、該チャンバの位置も検出し、アナライザの可変バラスト充填低下補正係数及び圧力低下補正係数(variable ballast fill dilution and pressure dilution correction factors)を得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシステムはアナライザを含むものであるが、このアナライザは、燃焼炉と、燃焼検出器を含む、前記燃焼炉から排出される燃焼副生成物のガス流路と、可動ピストンを備えたチャンバを含む可変容量型バラストチャンバとからなり、該ピストンは燃焼の完了が検出されるまで、導入された燃焼副生成物に呼応して前記容器内のある位置まで移動する。次に、前記バラストチャンバの入口を閉じ、出口を開く。次に、ピストンを移動させてサンプルの一部を検出器へ導入し、元素を検出する。
【0008】
本発明に係る分析方法は、燃焼の完了が検出されるまで燃焼副生成物を可変容量型バラストチャンバに充填することと、次いで、前記可変容量型バラストチャンバから排出された燃焼副生成物中の少なくとも一種のサンプルを、対象元素の検出器を含む流路へ導入することとを含む。
【0009】
このようなシステム及び方法を用いることによって、より少量の燃焼副生成物が収集されるので、より迅速な分析が可能となり、サンプルを燃焼させたり燃焼副生成物を可変容量型バラストチャンバへ輸送するためにシステムで用いる酸素量を少なくすることができ、また、集められた副生成物はより濃縮されるので、より正確な分析が行える。本発明の上述の及び他の特徴、目的及び利点については、添付図面及び以下の記載によって明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の分析方法には二種の段階が関与する。第一の段階とは、燃焼炉へ供給する燃焼用・キャリア用ガスとして酸素を用い、燃焼副生成物をろ過し、燃焼検出器を経由させて輸送し、可変容量型バラストチャンバ内へ回収する、燃焼及び回収段階である。燃焼段階の後に分析段階を行うが、この段階では、回収した燃焼副生成物を可変容量型バラストチャンバから放出し、流路内の検出器、例えば、赤外線検出器を用いた炭素及び水素を検出するための第一の検出器と、熱伝導度セルを用いた窒素を検出するための第二の検出器とに導入する。
【0011】
図1はシステム全体を最もよく示すものであって、アナライザ10に本発明が具体化されている。このアナライザは抵抗燃焼炉30を含み、該燃焼炉は、燃焼脚部31とアフターバーナ脚部33とを有するほぼU字型の燃焼管32を含む。燃焼炉30は、全体として米国特許第4,525,328号に開示のタイプであり、秤12で計量され、ゼロブランクローディングヘッド14によって燃焼炉30、特にその燃焼脚部31の注入口35に導入されるサンプルを加熱する。ローディングヘッドは米国特許第6,291,802号に開示のタイプであってもよく、このローディングヘッドによって、米国特許第6,270,727号に開示されたタイプのセラミック燃焼坩堝36の開口部にサンプルが重力落下により導入される。坩堝36は、ガス透過性の多孔質支持プラグ37によって燃焼管脚部31内に保持されている。燃焼管32のアフターバーナ脚部33には、アルミナや酸化カルシウム等の試薬が含まれているが、これらの試薬は、石英ウールプラグによって該脚部内に保持されており、燃焼を促進し、硫黄酸化物等の望ましくない燃焼副生成物を除去するようになっている。当業者によく知られているように、他の物質を除去したい場合には、別の試薬を用いることができる。
【0012】
ほぼU字型の燃焼管32の脚部31及び33の周囲に設置された抵抗ヒータ34によって、燃焼炉30を約1000℃まで加熱する。通常、燃焼させるサンプルの量は1グラムであり、サンプルとしては、機器の較正及び試験用の標準品か、或いは実際の有機物サンプル(例えば、食料品や石炭、コークス、他の有機物等)を用いる。しかし、本発明のアナライザ10においては、後述する独自の可変容量型バラストチャンバ100を用いているため、サンプルの使用量をより少なくすることができる。
【0013】
また、燃焼炉30の注入口35では、酸素供給源15から燃焼用ガス(O)を受け取るが、Oの流量は、酸素供給源から燃焼炉の注入口35に続く導管16内の並列流量制御バルブ11、13及び17を選択的に作動させることによって、0.5L/分、1L/分、3L/分、5L/分及び6L/分の間で調整する。O圧は圧力センサ18によってモニタリングする。酸素は、酸素ランス38を経由させてサンプル保持坩堝36の開口部内へ噴出させ、サンプルを燃焼させる。燃焼副生成物(即ち、アナライト)は、脚部33内の試薬を通過し、燃焼チャンバ30の排出ポート39から排出される。燃焼副生成物は導管41によって移送され、第一のスクラバ40を通過する。スクラバ40はスチールウール或いはアンヒドロン材料から成り、ガス流から微粒子をろ過することができる。
【0014】
水素サンプリングの有無に応じて、プレクーラ43とドレーンバルブ45を有する熱電クーラ44とを含むクーラ42を用いて、水分をシステムから除去する。ドレーンバルブ45は、燃焼時には通常閉じており、回収された水分やバルブ内に移送された不純物を排出する場合にのみ開けられる。しかし、水素を検出したい場合には、クーラ42を迂回してスクラバ40を第二のスクラバ48に直接連結する。スクラバ48は、ガス流から約10〜100ミクロンの微粒状物をろ過するための微細ろ過媒体を有する第二の微粒子フィルタである。ろ過された燃焼副生成物は導管49を流れた後、COIRセルを有する燃焼検出器50を通過する。燃焼検出器50は、坩堝36内でのサンプル燃焼によって生じたガス流中のCOをモニタリングする。
【0015】
燃焼検出器50は図3に示すCPU220に連結されており、CO濃度のピークが現われ、そのピークが約90%〜約99.9%(好ましくは、約99%)減少したことを検出器50によってモニタリングし、燃焼ガスを全て可変容量型バラストチャンバ100内に回収できるようになっている。水素を分析する場合には、前記CO燃焼モニター検出器の代わりにHO検出器を用いて燃焼プロセスをモニタリングする。燃焼時には、導管51内のアナライトを可変容量型バラストチャンバ100に導入できるようチャンバ100の注入口バルブ102を開く。この時、排気バルブ104、排出バルブ106及びパージバルブ108は閉じておく。Oキャリアガスと共に、燃焼副生成物がチャンバ100内に流れる。燃焼の完了が検出されると、後述のようにCPU220によって各種バルブが制御され、アナライト回収段階が終了し、次に、アナライザ10の操作によるガス分析段階に入る。
【0016】
可変容量型バラストチャンバ100を図2に示す。チャンバ100は、ベース112とシールカバー114とにシール可能に連結されたほぼ円筒状の容器110と、シールキャップ136とを含む。該容器は、ねじ棒113とキャップナット115によって、カバー114とベース112との間に固定されている。円筒状容器110はパイレックス(登録商標)等の精密無孔材料(precision bore clear material)から成るのが好ましい。円筒状容器110は、上下に間隔を置いて設置された一対のOリング121及び123を有する可動ピストン120を収容しており、円筒状容器110の内壁とピストン120との間はシールされている。図1に示す注入口バルブ102は、チャンバ100のベース112に延在する注入ポート103に連結されている。燃焼時には、検出器50によって燃焼の完了が検出され、CPU220(図3に示す)によって注入口バルブ102と酸素フローバルブ11、13及び17とが閉じられるまで、加圧された燃焼副生成物(約1.7PSI)によって、図2の矢印Aで示す方向へピストン120が押し上げられる。ピストン120は、ピストンの頂部に連結されカバー114の開口部134を通して延在するケーブル125によってロータリー・エンコーダ130に連結されている。ケーブル125は好適な部品127によってピストン120に連結されている。部品127は、ケーブル125端上のスペードラグ128と、部品127上のファスナ受入ポスト129とを有する。ケーブル125に連結されているロータリー・エンコーダ130は、Celesco Transducer Products(カリフォルニア州チャッツワース)より入手可能なモデルPTX150とすることができ、或いはそれに相当するものであってもよい。ケーブル125の下端131はピストンに連結されており、上端132はロータリー・エンコーダ130に連結されている。また、ロータリー・エンコーダ130は、好適な接続用ケーブル117によって図3のCPU220に電気的に連結されている。エンコーダ130によって燃焼後のピストン120の位置を示すデータが得られるが、後述のように、このデータを用いて充填体積低下補正係数(fill volume dilution correction factor)が得られる。
【0017】
円筒状容器110の既知の直径とベース112からのピストン120の下面124の高さとによって、燃焼後に可変容量型バラストチャンバ100内に含まれているガスの体積を求めることができる。制御バルブ102〜108、可変容量型バラストチャンバ100、及びドーザーバルブ160は、図1に点線で示した加熱チャンバ140によって一定温度(約50℃)に保たれており、一般の気体法則PV=nRTで表わされるガス体積と濃度との関係からこの式の変数としての温度を除くようになっている。ガスの濃度、即ち、ガスのモル数(n)は、回収したガスの体積とその圧力の一次関数(direct function)である。一方、ガス体積はピストン120の変位に直接関連しており、チャンバ110内でピストン120の下方に回収されたアナライトの濃度をピストン変位の関数として直接求められるようになっている。よって、ピストン120がベース112の表面からの距離の1/4移動すると、その距離の1/2移動する場合とは異なり、回収されたガスの濃度は、ピストンがチャンバの末端へ向かって半分移動するような回収の場合の2倍になる。このようなピストンの位置の検出はCPU220を用いて行われ、次式:VCF=Vd/Vs(式中、Vdはピストンの移動に基づき燃焼後に検出される体積であり、Vsは既知の標準条件下での体積である)によって標準条件(STP)と比較して、ガス濃度を補正するための体積低下補正係数(volume dilution correction factor)(VCF)が得られる。
【0018】
ガスの濃度は、バラストチャンバ100内の圧力の一次関数でもある。この圧力は、熱伝導度モジュール170のポート177と三方バルブ109とに連結された導管107を経由して、チャンバ100の出口105(図2)に連結された圧力センサ111(図1)によっても測定される。バルブ109はまた、もう一方の位置にある場合には、ヘリウムキャリアガス圧力のモニタリングに用いる。燃焼完了時に得られたこの圧力測定値を用いて、次式:PCF=Pd/Ps(式中、Pdは燃焼後に検出される圧力であり、Psは既知の標準条件下での圧力である)によって、アナライトの最終計算用の標準圧力に対する圧力低下補正係数(pressure dilution correction factor)(PCF)が得られる。
【0019】
これらの補正係数(VCF及びPCF)をCPU220のプログラムで用いて、上述のアナライザで用いられる各種検出器で検出した元素の最終濃度が得られる。
【0020】
一旦ガスが回収されると、システム内を最もゆっくりと移動するアナライトの燃焼の完了を燃焼検出器50によって確認した後、バルブ102を閉じ、チャンバ100内のガスが平衡となるよう約20秒間経過させる。ピストンの位置はエンコーダ130によって確認され、CPU220内のメモリに供給されるが、これによってピストン位置がVdに変換される。同様に、センサ111によって得られた圧力PdはCPUメモリに保存される。ガスが平衡となった後、バルブ106を開き、チャンバ100内に回収された燃焼副生成物の一部を空気圧の印加によって外部に排出するが、その際、12psiの加圧流体供給源(例えば空気供給源142(図1))から供給される空気をCPU220で制御されるバルブ144を経由させ、更にチャンバ100(図2)の頂部壁114の開口部134に連通しているシールキャップ136の空気注入部135を経由させてチャンバ内に導入する。
【0021】
図1に示すように、燃焼副生成物は、導管151と、H測定用IRセル150と、C測定用IRセル152とを含む流路内を通過させた後、この段階で開いているバルブ154を通過させ、ドーザーバルブ160のポートEに導入する。ドーザーバルブ160も加熱チャンバ140内に含まれている。次いで、サンプルガスはポートCに移動し、ドーザーループ161を経由してポートFに移動し、更に、ポートDに連結された排気管163を通過する。サンプルガスは、ピストン120の移動によってこの流路内に約15秒間押し込められる。同時に、Heバルブ168の作動によって、Heキャリアガスが供給源162から導管166内のフィルタ164を経由し、熱伝導度モジュール170の注入ポート167へ流れる。Heガスはポート169を経由してモジュール170を出て、12psi圧力レギュレータ172及びスクラバ174を通過し、熱伝導度モジュール170のポート176へ移動する。次に、このHeはフロー測定デバイス178を経由してTジャンクション180へ流れる。次に、Heの一部は熱伝導度モジュール170を出て、ポート186及びバルブ188を通過する。次に、Heはドーザーバルブ160のポートGへ流れる。そこから、ポートHを出てポートAへ迂回し、ポートBからドーザーバルブを出ることによって、Heはループ状に通過する。
【0022】
このようなループ状の通過を15秒間行った後、CPU220によってバルブ106及び154を閉じ、ドーザーループ161内の分割量約3mLのサンプルガスが平衡となるよう約2秒間経過させる。次に、CPUによってHO検出器及びCOIR検出器を読み取り、CPUによってドーザーバルブ160を作動させる。この段階で、Heキャリアガスは、ドーザーバルブ160において(点線で示すように)ポートGからポートFへ一掃され、更にループ161を経由してポートCからポートBへ一掃され、サンプルガスが導管190内へ運ばれる。次に、サンプルガスとHeは、約750℃に加熱した銅(Cu)が充填された還元管192内を流れ、残存している酸素が除去され、NOが遊離窒素(N)に転化された後、スクラバ194内を流れる。スクラバ194には、COを除去するためのケイ酸ナトリウム水和物(sodium hydrate silicate)とガス流から水分を除去するアンヒドロンとが含まれている。
【0023】
ここで、導管196内の遊離窒素とヘリウムキャリアガスは、300cc/分フローコントローラ198を経由して熱伝導度モジュール170の窒素サンプル注入ポート200に流れ、更に熱伝導度測定デバイス202を通過する。デバイス202はCPU220に連結されており、検出された窒素濃度に関するデータが得られるようになっている。測定終了後、ガスを排気口バルブ204から排気する。セル202による窒素濃度の測定時には、Tジャンクション180におけるHeキャリアガスは、フロー制限器182を経由して熱伝導度参照セル184にも流れる一方、第二のヘリウム流路がポート186で熱伝導度モジュールを出ていく。
【0024】
分析流路によって、可変容量型バラストチャンバ100より排出されたガスから回収ガスの一部を得ることができる。この回収ガスは比較的濃度が高く、ピストン120の位置を検出することによって、ある基準に対しノーマライズすることができる。各種バルブや燃焼炉の制御の他、ガスの体積ひいては濃度の測定及び検出は図3に示すCPU220によって行う。CPUは秤12からサンプルサイズに関する入力シグナルを受信し、ローディングヘッド14を制御してサンプルを燃焼チャンバ内に落下させる。また、CPUは、好適なパワー制御モジュールによって炉30へのパワーの供給も制御する。更に、CPUは、バルブ11、13、17、45、102、104、106、108、109、144、154、160、168、188及び204の操作を上述の順序で制御するようにプログラムされている。燃焼完了検出器50からCPUへ入力シグナルが送信され、CPUによって燃焼の完了を確認し、バルブ102を閉じるが、その際、CPUは、可変容量型バラストチャンバ100のピストン位置センサ130からデータを受信する。検出された水素濃度に関する入力シグナルがHO検出器150によってCPUへ送信される一方、検出された炭素量に関するシグナルがCO検出器152によってCPUへ送信される。最後に、CPUに連結された熱伝導度検出器202によって、サンプル内で検出された窒素レベルを示すシグナルがCPUへ送信される。CPUをプリンタ222に連結して、検出された濃度の結果を印刷することができる。CPUは従来通りにプログラムし、図1に示す赤外線検出器や熱伝導度検出器から得たデータを用い、標準ASTM規格に基づいてサンプルを分析する。
【0025】
また、CPUは、ロータリー・エンコーダ130からのシグナルやセンサ111によって検出された圧力を用いて、回収ガスの相対体積に基づく検出サンプルガス濃度に対して補正係数(VCF及びPCF)を適用するようにもプログラムされている。このようなシグナルは、回収ガスの体積及び容器110内の回収ガスの濃度に対して直線性を示す。これによって、比較的少量のアナライトガスをより濃縮した形でより迅速に回収することができ、更に、燃焼や容器110に回収されたガスの体積測定に用いる酸素を少なくすることができる。よく知られているように、一分析サイクル終了後には、アナライザをパージして次の分析サイクルに備えて調整を行う。供給源15から供給されるOは燃焼ループのパージに用い、バルブ104を開いて排気し、一方、供給源162から供給されるHeはドーザーループのパージに用い、バルブ204を開いて排気する。可変容量型バラストチャンバと燃焼検出器を用いることにより、燃焼アナライト分析のための改良型アナライザであって、より正確でより迅速な、且つ分析時の酸素使用量が少ないアナライザが提供される。
【0026】
添付クレームによって規定された本発明の精神や範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の本発明の好ましい実施形態に対して様々な修正を行うことができることは、当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の可変容量型バラストチャンバを組み入れたアナライザのフロー図(一部ブロック図や概略図を含む)である。
【図2】本発明の可変容量型バラストチャンバの斜視図である。
【図3】本発明のアナライザの制御システムの電気回路ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用サンプルを受け取るための燃焼炉と、
燃焼の完了を確認するための、前記燃焼炉から排出された燃焼副生成物の流路に連結された燃焼検出器と、
燃焼が完了するまで燃焼副生成物を受け取るための、燃焼副生成物の流路に連結された可変容量型バラストチャンバであって、可動ピストンと前記ピストンの位置を検出するためのセンサとを有する可変容量型バラストチャンバと、
前記ピストンの位置を検出するための前記センサに連結されており、前記ピストンの位置に基づいて燃焼副生成物のガス濃度のための体積補正係数を計算する制御装置とを有するアナライザ。
【請求項2】
前記燃焼検出器はCOを検出する、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項3】
前記燃焼検出器はHOを検出する、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項4】
前記可変容量型バラストチャンバは円筒状容器を有し、前記センサは、前記ピストンにケーブルによって連結されているロータリー・エンコーダである、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項5】
前記円筒状容器は、その一端に設置されたサンプルガス注入口及びサンプルガス排出口と、前記注入口に連結された第一の制御バルブと、前記排出口に連結された第二の制御バルブとを有し、前記可変容量型バラストチャンバへのサンプルガスの入出を制御するようになっている、請求項4に記載のアナライザ。
【請求項6】
前記円筒状容器は、前記一端の反対側の端において前記ガス注入口と反対側の前記ピストンの一側面上に設置された流体注入口と、加圧流体の供給源に連結された流体制御バルブとを有し、前記ピストンを選択的に移動させて、サンプルガスを前記可変容量型バラストチャンバから前記サンプルガス排出口を経由して排出させるようになっている、請求項5に記載のアナライザ。
【請求項7】
前記第一の制御バルブ、第二の制御バルブ及び流体制御バルブはそれぞれ、前記各バルブを順次作動させてサンプルガスを前記可変容量型バラストチャンバ内に導入する前記制御装置に連結されており、これによって、前記サンプルガスが前記可変容量型バラストチャンバ内で平衡となった後、前記可変容量型バラストチャンバからサンプルガスが排出される、請求項6に記載のアナライザ。
【請求項8】
前記可変容量型バラストチャンバの前記ガス排出口にHOセンサが連結されており、分析時にHの濃度を検出する、請求項7に記載のアナライザ。
【請求項9】
前記可変容量型バラストチャンバの前記ガス排出口にCOセンサが連結されており、分析時にCの濃度を検出する、請求項7に記載のアナライザ。
【請求項10】
サンプル中の元素の濃度を測定する方法であって、
サンプルを燃焼する工程と、
燃焼副生成物ガスを可変容量型バラストチャンバ内に回収する工程と、
燃焼の完了を検出する工程と、
燃焼完了時に前記可変容量型バラストチャンバによって回収されたガスの体積を測定する工程とを含む、方法。
【請求項11】
前記回収工程は、可動ピストンを有する容器のサンプルガス注入口に燃焼副生成物ガスを導入し、前記検出工程によって燃焼の完了が確認されるまで前記ピストンが燃焼副生成物ガスの導入に呼応して移動するようにすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回収工程は更に、前記サンプルガス注入口に連結された注入口バルブと前記容器のサンプルガス排出口に連結された排出口バルブとを順次作動させて、燃焼副生成物ガスの導入及び捕獲を行うことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記回収工程は更に、前記容器の前記サンプルガス排出口と反対側の前記ピストンの一側面に設置された流体注入口に連結された制御バルブを作動させて、前記ピストンへ加圧流体を供給し、燃焼副生成物ガスを前記容器から排出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回収工程は更に、前記燃焼副生成物ガスを前記容器から排出する前に、前記燃焼副生成物ガスが平衡となるのに十分な時間を経過させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出工程は、前記容器への導入前に前記燃焼副生成物ガスの流れ(stream)中のCOを検出することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定工程は、前記ピストンの位置を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記検出工程は、前記ピストンをケーブルによってエンコーダに連結して、前記ピストンが移動する際に、回収された燃焼副生成物ガスの体積に直接対応するピストン位置に関する情報が前記エンコーダによって得られるようにすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
更に、次式:VCF=Vd/Vs(式中、Vdはピストンの移動に基づき燃焼後に検出される体積であり、Vsは既知の標準条件下での体積である)によって、元素の濃度を測定するための体積補正係数を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
更に、前記可変容量型バラストチャンバ内に回収された燃焼副生成物の圧力を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
更に、次式:PCF=Pd/Ps(式中、Pdは燃焼後に検出される圧力であり、Psは既知の標準条件下での圧力である)によって、元素の濃度を測定するための圧力補正係数を提供する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
可変容量型バラストチャンバであって、
内壁と前記内壁に対しシール係合されるように前記容器に設置された可動ピストンとを有する容器と、
前記ピストンの位置を検出するために前記ピストンに連結されたセンサとを有する該バラストチャンバにおいて、
前記容器は前記ピストンの一側面にサンプルガス注入口を有し、前記注入口は注入口バルブに連結されており、また、前記容器は前記ピストンの前記一側面にサンプルガス排出口を有し、前記サンプルガス排出口は排出口制御バルブに連結されており、更に前記容器は、前記ピストンの反対側面に設置された、前記ピストンを移動させるための加圧流体を受ける注入口を有し、前記ピストンの前記反対側面が加圧された際に前記サンプルガス排出口を経由して回収ガスが放出されるようになっている、燃焼副生成物を回収するための可変容量型バラストチャンバ。
【請求項22】
前記容器は円筒状であって、その両端にシール板を有し、前記サンプルガス注入口及び前記サンプルガス排出口はそれぞれ、前記シール板の一方に形成されている、請求項21に記載の可変容量型バラストチャンバ。
【請求項23】
前記センサは、前記ピストンにケーブルによって連結されたロータリー・エンコーダである、請求項22に記載の可変容量型バラストチャンバ。
【請求項24】
前記ロータリー・エンコーダは前記シール板の他方に設置されている、請求項23に記載の可変容量型バラストチャンバ。
【請求項25】
前記ロータリー・エンコーダは、前記ピストンに向かい合う前記シール板の前記他方の一側面に設置されており、前記シール板の前記他方は、前記ケーブルを前記ロータリー・エンコーダに連結させるための開口部を有し、更に、前記ロータリー・エンコーダ上にシール可能に設置されたシールキャップを有しており、前記加圧流体用の前記注入口は前記シールキャップに延在している、請求項24に記載の可変容量型バラストチャンバ。
【請求項26】
元素アナライザであって、
燃焼用有機サンプルを受け取るための燃焼炉と、
前記燃焼炉から排出される燃焼副生成物を受け、燃焼の完了を確認するための、前記炉に連結された燃焼検出器と、
燃焼副生成物を受け取るための、可動ピストンを有し前記燃焼炉に連結された可変容量型バラストチャンバと、
燃焼の完了を検出し、燃焼完了の際に前記可変容量型バラストチャンバに燃焼副生成物を封じ込めるための、前記燃焼検出器に連結された制御装置とを有する、少なくとも炭素及び窒素の濃度を測定するための元素アナライザ。
【請求項27】
前記可変容量型バラストチャンバは、前記ピストンの一側面にサンプルガス注入口とサンプルガス排出口とを有し、前記制御装置は、前記可変容量型バラストチャンバに燃焼副生成物を選択的に捕獲するための、前記注入口及び前記排出口に連結されたバルブを有する、請求項26に記載のアナライザ。
【請求項28】
前記燃焼検出器はCOを検出する、請求項26に記載のアナライザ。
【請求項29】
前記燃焼検出器はHOを検出する、請求項26に記載のアナライザ。
【請求項30】
前記ピストンの位置を検出するためのセンサを更に有し、前記制御装置は、前記ピストンの位置に基づいて燃焼副生成物のガス濃度のための体積補正係数を計算するためのCPUを有する、請求項26に記載のアナライザ。
【請求項31】
前記可変容量型バラストチャンバは、前記ピストンの一側面に設置されたサンプルガス注入口及びサンプルガス排出口と、前記注入口に連結された注入口バルブと、前記排出口に連結された排出口バルブとを有する円筒状容器から成る、請求項30に記載のアナライザ。
【請求項32】
前記円筒状容器は、前記ピストンの反対側面に設置された流体注入口と、前記ピストンを選択的に移動させ、サンプルガスを前記可変容量型バラストチャンバから前記サンプルガス排出口を経由させて排出するための加圧流体の供給源に連結された流体制御バルブとを有する、請求項31に記載のアナライザ。
【請求項33】
前記バルブはそれぞれ、前記各バルブを順次作動させてサンプルガスを前記可変容量型バラストチャンバ内に導入するための前記CPUに連結されており、これによって、前記サンプルガスが前記可変容量型バラストチャンバ内で平衡となった後、前記可変容量型バラストチャンバからサンプルガスが排出される、請求項32に記載のアナライザ。
【請求項34】
前記可変容量型バラストチャンバの前記ガス排出口にHOセンサが連結されており、分析時にHの濃度を検出する、請求項33に記載のアナライザ。
【請求項35】
前記可変容量型バラストチャンバの前記ガス排出口にCOセンサが連結されており、分析時にCの濃度を検出する、請求項33に記載のアナライザ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−519392(P2006−519392A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508761(P2006−508761)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004764
【国際公開番号】WO2004/079336
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(592071853)レコ コーポレイション (19)
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION