説明

可変速型乗客コンベヤのパレット構造

【課題】 パレット間のクシ歯の異物の噛み込みを防止する。
【解決手段】 パレットA上面に形成されたクシ歯21、22と該クシ歯21、22と対向して形成された隣接パレットBのクシ歯31、32の接近面が、パレットA,Bの幅方向で異なる位置で形成されていることを特徴とする可変速型乗客コンベヤのパレット構造である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動く歩道、エスカレータ等に使用される乗客コンベヤのパレットに関し、特に、乗り口と降り口との間でパレットの移動速度が変化する可変速型乗客コンベヤのパレット構造に関する。
【0002】
【従来の技術】乗り口、降り口およびその中間部でパレットの移動速度が変化する可変速型乗客コンベヤは、各種の公開公報で公知である。
【0003】一例として、当出願人の先願にかかる特願平7ー336389号は、図3(平面図)に示すごとく、搬送路間にわたりピッチPがP1 からP2 に変化したネジ軸100、および101が両側部に設けられ、該ネジ軸100、101のネジ溝に複数のパレットA,B・・の側部の突起が嵌合し、ネジ軸100、101が回転することによりパレットA,B・・が搬送方向に移動し、前記ピッチPの変化によりパレットA,Bが離間、接近して可変速としたものである。
【0004】即ち、乗り口から中間部にかけてピッチPが増大しパレットA,B・・は加速され、中間の高速域では別途の高速チーエンで高速となり、降り口にかけては、再び、ネジ軸101のピッチPの減少により減速される。
【0005】パレットA,Bの転回部は、図4(図3のA−A断面図)に示すように駆動チエーン200により駆動されるスプロケット300,301で行われる。尚、400は高速駆動チエーンである。
【0006】図5および図6は、パレットA,Bの側面図で、図5は、パレットA,Bが低速域で接近している状態を示し、図6はパレットA,Bが高速域で離間している状態を示す。1は各パレットの端部に軸支a,b・・された張出クシ歯であり、2は各パレットの固定クシ歯、500,600はガイドローラ、700は前記転回部でスプロケット300、301と凹部701で係合する係合体である。
【0007】図7(a)(b)は、前記図3〜図6で述べた特願平7ー336389号における技術のパレット間のクシ歯の噛み合い状況を示した図で、図7(a)は、パレットAとパレットBが離反した高速状態を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のハーハ断面図である。
【0008】図7(a)(b)において、1はパレットAに一端を軸支した張出クシ歯であり、パレットAとパレットBの固定クシ歯2、3の端部2′、3′は、パレットAおよびBの幅方向に一線上に形成されており、該一線上の端部2′、3′の状態で離反状態にある。
【0009】図8(a)は、パレットAとパレットBが接近した乗降口の低速状態を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)のニーニ断面図である。
【0010】図8(a)(b)において、パレットA,Bの接近状態では、パレットAとパレットBの固定クシ歯2、3の端部2′、3′は、パレットAおよびBの幅方向に一線上の状態である。尚、5は乗降口側に設けられた固定クシ歯であり、先端は前記固定クシ歯の溝内に位置している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の図7(a)(b)の高速状態のようにパレットA,Bが高速区間で離間し、張出しクシ歯1上に異物4が存在した場合、図8(a)(b)の乗降口の低速状態に至り固定クシ歯2、3の端部2′および3′が接近すると、前記異物4は、乗降口側の固定クシ歯5の下部に噛み込まれ、コンベヤを停止させる恐れがある。
【0012】本発明は、前記乗降口の固定クシ歯に異物が噛み込みことを防止することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の課題は、パレットの接近、離間によりコンベヤの速度が変化する可変速型乗客コンベヤのパレット構造において、パレット上面に形成されたクシ歯と該クシ歯と対向して形成された隣接パレットのクシ歯の接近面が、パレット幅方向で異なる位置で形成されていることを特徴とする可変速型乗客コンベヤのパレット構造により解決される。
【0014】前述の手段によれば、張出クシ歯上に異物があっても、パレットが互いに接近するとき隣接する凸状のパレットのクシ歯と共同し、先に異物に当接するので、異物は上方へ跳ねだされ乗降口の固定クシ歯の噛み込みが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】図1(a)は、本発明の可変速型乗客コンベヤのパレットが高速域で離反した状態の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のイーイ矢視断面図である。
【0016】図1(a)(b)において、1はパレットAに一端を軸支した張出しクシ歯であり、21はパレットAの固定クシ歯、22は同じパレットAの固定クシ歯である。
【0017】固定クシ歯21の端部21aは、幅方向に隣接した他の固定クシ歯21の端部21aと一線上にあり、また、パレットAの他の固定クシ歯22の端部22aは、前記固定クシ歯21の端部21aより、凹んだ位置に端部が配置されている。
【0018】さらに、パレットAに隣接して配置された隣接パレットBの固定クシ歯31の端部31aは前記パレットAの固定クシ歯21の端部21aとパレットA,Bが互いに接近したとき(低速域)接近面となるごとく、他の幅方向の固定クシ歯31の端部31aと一線上に配置されている。
【0019】また、隣接パレットBの固定クシ歯32の端部32aは前記パレットAの固定クシ歯22の端部22aとパレットA,Bが互いに接近したとき(低速走行)接近面となるごとく凸型配置となって端部32aが幅方向に一線上配置となっている。
【0020】図2(a)は、本発明の可変速型乗客コンベヤのパレットが降り口の低速域で接近した状態の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のローロ矢視断面図である。
【0021】図1(a)(b)に示すように、パレットA,Bが離間した状態にあるとき、異物4が固定クシ歯21、31、22、32間に入り、図2(a)(b)に示すように、パレットA,Bが降り口で互いに接近すると、固定クシ歯21、31が接近する前に、凸型配置の固定クシ歯32が前記固定クシ歯21と共同して、異物4を固定クシ歯32、21の斜面32b,21bに沿って上方へ移動し、降り口の固定クシ歯5の上面5’でさらに跳ね上げる。よって、降り口の固定クシ歯5でさらに上方へ跳ね出されるので、降り口の固定クシ歯5の下方に噛み込むことがない。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上であるから、パレットが離反、接近を繰り返し、異物がクシ歯の接近面に存在してもパレット固定クシ歯の斜面で上方へ跳ね出されるので、降り口での固定クシ歯に噛み込むことがなく、コンベアを停止に至らしめることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明にかかる可変速型乗客コンベヤのパレットが離反した高速状態の平面図。
(b)図1(a)のイーイ矢視断面図。
【図2】(a)本発明の可変速型乗客コンベヤのパレットが接近した低速状態の平面図。
(b)図2(a)のローロ矢視断面図。
【図3】従来技術にかかる可変速型乗客コンベヤ機構の平面図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】従来技術にかかる可変速型乗客コンベヤのパレット接近状態の側面図。
【図6】従来技術にかかる可変速型乗客コンベヤのパレット離間状態の側面図。
【図7】(a)従来技術にかかるパレットAとパレットBが離反した高速状態の平面図。
(b)図3(a)のハーハ断面図である。
【図8】(a)従来技術にかかるパレットAとパレットBが接近した低速状態の平面図。
(b)図4(a)のニーニ断面図である。
【符号の説明】
A パレット
B パレット
1 張出しクシ歯
2 固定クシ歯
2′固定クシ歯端部
3 固定クシ歯
3′固定クシ歯端部
4 異物
5 乗降口固定クシ歯
21 本発明のパレットAの固定クシ歯
21a 本発明のパレットAの固定クシ歯21の端部
21b 本発明のパレットAの固定クシ歯21の斜面
22 本発明のパレットAの固定クシ歯
22a 本発明のパレットAの固定クシ歯22の端部
31 本発明の隣接パレットBの固定クシ歯
31a 本発明の隣接パレットBの固定クシ歯31の端部
32 本発明の隣接パレットBの固定クシ歯
32a 本発明の隣接パレットBの固定クシ歯32の端部
32b 本発明の隣接パレットBの固定クシ歯32の斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パレットの接近、離間によりコンベヤの速度が変化する可変速型乗客コンベヤのパレット構造において、パレット上面に形成されたクシ歯と該クシ歯と対向して形成された隣接パレットのクシ歯の接近面が、パレット幅方向で異なる位置で形成されていることを特徴とする可変速型乗客コンベヤのパレット構造。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平9−323881
【公開日】平成9年(1997)12月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−143132
【出願日】平成8年(1996)6月5日
【出願人】(000004123)日本鋼管株式会社 (1,044)