説明

可変遅延装置

【課題】組み立て後の調整が不要な可変遅延装置を提供すること。
【解決手段】同心円状に円弧状の伝送線路パターンが形成された2枚のプリント基板を互いの伝送線路パターンが接触するように重ね合わせ、一方のプリント基板を回転させて伝送線路長を調整するように構成された可変遅延装置において、前記各プリント基板の円弧状の伝送線路パターンが形成された面の外周にはリング状のグラウンドパターンが形成されて他方の面全体にはグラウンドパターンが形成され、これら両面のグラウンドパターンは多数のスルーホールにより電気的に接続されていることを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変遅延装置に関し、詳しくは、マイクロ波領域で用いられる回転型の可変遅延装置の改善に関するものである。
【0002】
従来から、マイクロ波領域で用いられる可変遅延装置として、図20に示すように、円周方向に伝送線路パターンが形成された低誘電率を有する2枚のプリント基板を互いの伝送線路パターンが接触するように重ね合わせ、一方のプリント基板を回転させて伝送線路長を調整するように構成されたものがある。
【0003】
図20において、第1のプリント基板10は円形に形成されていて、コネクタ部となる突出部11と12が形成されるとともに、一方の面には一端が突出部11と12に位置するようにして円弧状の伝送線路パターン13と14が形成されている。他方の面には全面にグラウンドパターンが形成されている。
【0004】
第2のプリント基板20も円形に形成されていて、一方の面には全面にグラウンドパターンが形成されている。他方の面には、その面を第1のプリント基板10の伝送線路パターン13,14が形成された面と重ね合わせたときにそれらの伝送線路パターン13,14と重なり合うように、円弧状の伝送線路パターン22,23が形成されている。これら伝送線路パターン22,23の一端は開放され、他端はパターン22,23が連続するように連結パターン24で接続されている。
【0005】
これら第1のプリント基板10と第2のプリント基板20を、図20に示すようにそれぞれの伝送線路パターン13,14と22,23が対向するように重ね合わせて、第2のプリント基板20を第1のプリント基板10に対して時計方向または反時計方向に回転させることにより、伝送線路パターン13,14と伝送線路パターン22,23は電気的に接続されるとともに連結パターン24の位置が変化し、突出部11と12の間の伝送線路長は長くなったり短くなって、所望の遅延時間を設定できる。
【0006】
特許文献1には、図20のような可変遅延装置の構成例が記載されている。
【0007】
【特許文献1】実開平2−103905号公報
【0008】
ところで、このような従来の可変遅延装置では、第1のプリント基板10と第2のプリント基板20を重ね合わせて一体化するのにあたり、伝送線路パターン13,14と伝送線路パターン22,23が安定した状態で電気的に接続されるとともに、第1のプリント基板10のグラウンドパターンと第2のプリント基板20の第2のプリント基板20のグラウンドパターンが安定した状態で電気的に接続されるようにするために、第1の誘電体基板10が収められている下部金属ケースと第2の誘電体基板20が収められている上部金属ケースの間に複数枚の金属スペーサを挟み込むことが行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらスペーサと第1のプリント基板10と第2のプリント基板20を重ね合わせて、伝送線路パターン13,14と伝送線路パターン22,23が安定した状態で電気的に接続されるとともに、第1のプリント基板10のグラウンドパターンと第2のプリント基板20の第2のプリント基板20のグラウンドパターンが安定した状態で電気的に接続されるようにするためには、第1の誘電体基板10が収められている下部金属ケースと第2の誘電体基板20が収められている上部金属ケースの間に挟みこむ金属スペーサの枚数を調整が必要であった。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するものであり、広い周波数範囲で優れた周波数特性が得られ、組み立て時の調整が不要な可変遅延装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
同心円状に円弧状の伝送線路パターンが形成された2枚のプリント基板を互いの伝送線路パターンが接触するように重ね合わせ、一方のプリント基板を回転させて伝送線路長を調整するように構成された可変遅延装置において、
前記各プリント基板の円弧状の伝送線路パターンが形成された面の外周にはリング状のグラウンドパターンが形成されて他方の面全体にはグラウンドパターンが形成され、これら両面のグラウンドパターンは多数のスルーホールにより電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の可変遅延装置において、
前記各プリント基板の円弧状の伝送線路パターンが形成された面の中心近傍にも同心円状にリング状のグラウンドパターンが形成されてこれらリング状のグラウンドパターンも他方の面のグラウンドパターンと多数のスルーホールにより電気的に接続されることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の可変遅延装置において、
前記各プリント基板の同心円状に形成された円弧状の伝送線路パターンの間にもリング状のグラウンドパターンが形成され、これらリング状のグラウンドパターンも他方の面のグラウンドパターンと多数のスルーホールにより電気的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の可変遅延装置において、
前記各プリント基板の同心円状に形成された円弧状の伝送線路パターンが折り返されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の可変遅延装置において、
前記円弧状の伝送線路パターンの端部にコネクタを接続するのにあたり、コネクタからコプレーナ・ウェーブガイドを介してコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドに変換することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の可変遅延装置において、
前記リング状のグラウンドパターンの線幅が、リング状のグラウンドパターン近傍に伝送線路パターンあるかどうかに応じて異なることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の可変遅延装置において、
前記プリント基板の少なくともいずれかにスリットを設けて不要共振モードを抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、広い周波数範囲で周波数特性が良く、組み立て時の調整が不要な可変遅延装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す組立説明図である。本発明に係る可変遅延装置は、下部ケース30と、固定プリント基板40と、回転プリント基板50と、スペーサ60と、バネ70と、上部ケース80と、ネジ90とで構成されている。
【0020】
下部ケース30は、金属ブロックが切削加工されたものであって、固定プリント基板40の主平面41が嵌め合わされるほぼ円形に切削された収納部31、固定プリント基板40の入出力用突出辺42,43が嵌め合わされる収納部31に連通するように切削された切欠部32,33、回転プリント基板50に設けられた回転軸52の端部を支持する軸穴34、固定ネジ91〜94が螺合されるネジ穴35〜38が設けられている。また、収納部31の内周の一部は、回転プリント基板50の回転範囲を規制するストッパを構成するように、段付の大径部39として形成されている。
【0021】
固定プリント基板40は、フッ素樹脂基板のような低誘電率を有するものであり、下部ケース30の収納部31に嵌め合うように形成された円形の主平面41と、主平面41から直径方向に突出するとともに互いに直交するように形成されたほぼ矩形の入出力用突出辺42,43とで構成されている。
【0022】
主平面41の一方の面の外周にはリング状のグラウンドパターン44が形成されるとともに、このグラウンドパターン44の一部は入出力用突出辺42,43にも延長するように形成されている。これら主平面41および入出力用突出辺42,43に形成されているグラウンドパターン44は、他方の面の全面に形成されている図示しないグラウンドパターンと図示しない多数のスルーホールを介して電気的に接続されている。
【0023】
また、主平面41の一方の面には、一端が入出力用突出辺42,43に位置するようにして円弧状の伝送線路パターン45,46が形成されている。入出力用突出辺42,43には、図示しないケーブルを接続するためのコネクタ47,48が設けられている。そして主平面41の中央部分には下部ケース30の軸穴34と一致するように回転プリント基板50に設けられた回転軸51の端部を支持する軸穴49が設けられている。
【0024】
回転プリント基板50も、フッ素樹脂基板のような低誘電率を有するものであり、下部ケース30の収納部31に回転可能に嵌め合うように形成された円形の主平面51と、主平面51の中央部分に挿入固着された回転軸52とで構成されている。
【0025】
主平面51の固定プリント基板40と対向する面の外周には固定プリント基板40のリング状のグラウンドパターン44と重なり合うようにリング状のグラウンドパターン53が形成されている。
【0026】
また、主平面51の固定プリント基板40と対向する面には、固定プリント基板40の円弧状の伝送線路パターン45,46と重なり合うように、円弧状の伝送線路パターン54,55が形成されている。これら伝送線路パターン54,55の一端は開放され、他端はパターン54,55が連続するように連結パターン56で接続されている。
【0027】
そして、主平面51の一部には、下部ケース30の段付大径部39に嵌め合って回転プリント基板50の回転範囲を規制するストッパを構成するように、突出部57が形成されている。
【0028】
主平面51の他方の面には全面グラウンドパターン58が形成され、このグラウンドパターン58と一方の面のグラウンドパターン53は多数のスルーホールthを介して電気的に接続されている(図3および図5参照)。
【0029】
スペーサ60も、下部ケース30の収納部31に嵌め合うように金属ブロックが円形に切削加工されたものである。スペーサ60の回転プリント基板50と対向する底面は回転プリント基板50が円滑に回転できるように平滑な平坦面として形成され、上面には円周方向に沿って等しい角度間隔(本実施例では60度)でコイルバネ71〜76が嵌装される取付穴61〜66が設けられている。そしてスペーサ60の中央部分には回転プリント基板50に設けられた回転軸51の操作端部が貫通するように挿入される軸穴67が設けられている。
【0030】
バネ70は、下部ケース30に固定プリント基板40と回転プリント基板50とスペーサ60とバネ70を収納して、下部ケース30に上部ケース80をネジ90で固定した状態で、互いのリング状のグラウンドパターン44と53および円弧状の伝送線路パターン45,46と54,55が接触するように重ね合わせて下部ケース30の収納部31に収納される固定プリント基板40と回転プリント基板50を、回転プリント基板50が回転可能な半固定状態で押圧するものである。本実施例では、バネ70としてコイルバネ71〜76を用いる例を示している。
【0031】
上部ケース80も、金属ブロックが切削加工されたものであって、固定プリント基板40と回転プリント基板50とスペーサ60とバネ70が収納された下部ケース30に、ネジ90で固定される。上部ケース80の4隅には下部ケース30に上部ケース80をネジ90で固定するためのネジ穴81〜84が設けられ、中央部分には回転プリント基板50に設けられた回転軸51の操作端部が貫通するように挿入される軸穴85が設けられている。そして、スペーサ60との対向面には、コイルバネ71〜76の他端が嵌装される取付穴や固定プリント基板40に設けられたコネクタ47,48が嵌め合う切欠部(たとえば86)が形成されている。
【0032】
ネジ90は、固定プリント基板40と回転プリント基板50とスペーサ60とバネ70が収納された下部ケース30に上部ケース80を重ね合わせてネジ止めするものであり、上部ケース80の4隅に設けられたネジ穴81〜84にネジ91〜94をそれぞれ螺合して締結固定する。
【0033】
このような構成によれば、固定プリント基板40と回転プリント基板50とスペーサ60とコイルバネ71〜76が収納された下部ケース30に上部ケース80を重ね合わせてネジ91〜94をあらかじめ設定した所定のトルクで締結固定したときに所望の押圧力が得られるように、コイルバネ71〜76の弾性力をコイルバネ71〜76の材質や機械的な寸法などであらかじめ選定しておくことができ、組み立て時の調整を不要にできる。
【0034】
図2は図1のように構成される可変遅延装置に組み込まれている回転プリント基板50の回転範囲を所定の角度範囲に規制するストッパの構成説明図であり、(A)は上部ケースを外して透視した状態を示し、(B)は(A)のA−A断面図を示している。
【0035】
図2において、下部ケース30の収納部31の大径部39は、回転プリント基板50の回転角度範囲を100度に規制するように、中心に対して100度の角度範囲で形成されている。この大径部39には、回転プリント基板50の主平面51の一部に形成された突出部57が嵌め合わされていて、実線は回転プリント基板50を反時計方向に回しきった状態を示し、破線は回転プリント基板50を時計方向に回しきった状態を示している。
【0036】
コネクタ47,48間に形成された伝送線路パターン45,46および54〜56の伝送線路長に着目すると、実線で示す反時計方向に回しきった状態が最短になって破線で示反時計方向に回しきった状態が最長になり、これら最短と最長の間で伝送線路長に応じた所望の遅延時間を設定することができる。
【0037】
なお、上記実施例では、下部ケース40、スペーサ70および上部ケース90を、金属ブロックを切削加工して製作する例について説明したが、これに限るものではなく、鋳造などで成型加工することもできる。また、下部ケース40、スペーサ70および上部ケース90の材質は金属としたが、これに限るものではなく、たとえば樹脂などであってもよい。
【0038】
また、上記実施例では、バネ70として6個のコイルバネ71〜76を用いる例を説明したが、これに限るものではなく、たとえば板バネであってもよい。
【0039】
図3は本発明で用いる固定プリント基板40と回転プリント基板50の斜視図、図4は固定プリント基板40の具体的な構成説明図、図5は回転プリント基板50の具体的な構成説明図である。
【0040】
固定プリント基板40は、図4に示すように、第1の基板sub1の一方の面に形成された第1層40aと第1の基板sub1の他方の面に形成された第2層40bと第2の基板sub2の一方の面に形成された第3層40cが積層され、層間のグラウンドパターンや伝送線路パターンを接続するためのスルーホールthやビアホール(via-hole)vhが必要に応じて設けられている。
【0041】
第1層40aにおいて、突出辺42aにはコネクタ47の中心導体と接続される伝送線路パターンcn1が形成され、突出辺43aにはコネクタ48の中心導体と接続される伝送線路パターンcn2が形成されている。伝送線路パターンcn1の端部にはビアホールvh1が形成され、伝送線路パターンcn2の端部にはビアホールvh4が形成されている。円弧状の伝送線路パターン45のリング状のグラウンドパターン44と対向する端部にはビアホールvh2が形成され、円弧状の伝送線路パターン46のリング状のグラウンドパターン44と対向する端部にはビアホールvh3が形成されている。
【0042】
これらビアホールvh1〜vh4はリング状のグラウンドパターン44を立体的に横断して電気的に接続するためのものであり、ビアホールvh1とvh2は第2層40bに形成された伝送線路パターンb12を介して接続され、ビアホールvh3とvh4は第2層40bに形成された伝送線路パターンb34を介して接続される。なお、これら伝送線路パターンb12およびb34の線幅は、特性インピーダンスを合わせるために長さ方向に沿って適宜部分的に調整される。
【0043】
リング状のグラウンドパターン44の一部分は突出辺42a,43aにも延長して形成されていて、これら延長部分を含むグラウンドパターン44には第3層40cとして第2の基板sub2の一方の面に全面形成されたグラウンドパターンと電気的に接続するための多数のスルーホールthが形成されている。
【0044】
第1層40aの伝送線路パターンcn1と第3層40cの全面グラウンドパターンと第1層40aの突出辺42aに形成されたグラウンドパターン44はコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドを形成し、第1層40aの伝送線路パターンcn2と第3層40cの全面グラウンドパターンと第1層40aの突出辺43aに形成されたグラウンドパターン44もコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドを形成している。
【0045】
回転プリント基板50は、図5に示すように、第3の基板sub3の一方の面の全面に第1層50aとしてグラウンドパターン58が形成され、他方の面に第2層50bとしてリング状のグラウンドパターン53と円弧状の伝送線路パターン54,55と連結パターン56が形成されている。そして、第1層50aのグラウンドパターン58と第2層50bのリング状のグラウンドパターン53を電気的に接続するために多数のスルーホールthが設けられている。
【0046】
これら固定プリント基板40と回転プリント基板50を、図2に示すように、互いのリング状のグラウンドパターン44と53および円弧状の伝送線路パターン45,46と54,55が接触するように積層して組み立てる。これにより、回転プリント基板50を回転させると伝送線路パターンの全長が変化し、遅延量を所望の値に設定できる。
【0047】
なお、ストリップ線路のグラウンドとして機能する固定プリント基板40の第3層40cのグラウンドパターンと回転プリント基板50の第1層50aのグラウンドパターンの電気的接続は、固定プリント基板40の第3層40cのグラウンドパターン⇔スルーホール⇔固定プリント基板40の第1層40cのリング状のグラウンドパターン44⇔回転プリント基板50の第2層50bのリング状のグラウンドパターン53⇔スルーホール⇔回転プリント基板50の第1層50aのグラウンドパターンの経路で行われる。ここで、固定プリント基板40と回転プリント基板50のグラウンド接続は、対向接触している固定プリント基板40の第1層40cのリング状のグラウンドパターン44と回転プリント基板50の第2層50bのリング状のグラウンドパターン53の全円周で行われるので、遅延設定値に応じた回転プリント基板50の回転角度によってグラウンド接続状態が変化することはない。
【0048】
基板sub1,sub2と伝送線路パターンb12あるいはb34と第1層グラウンドパターン44と第3層40cのグラウンドパターンで構成される内層ストリップ線路から固定誘電体基板と回転誘電体基板を接触させることで構成されるストリップ線路への変換においても、グラウンドが基板の全円周で取られていることにより、遅延設定値に応じた回転誘電体基板50の回転角度が変わっても良好な特性を保ち続ける。
【0049】
このような高周波回路において良好な特性を得るには、グラウンド導体は信号導体に沿った形状とし、急激な変化や切れ目がないようにしなければならないが、円周上に配置されているスルーホールの長さや間隔が電気信号の波長の1/10〜1/20程度と十分短く設定されていれば、円周上に配置されているスルーホール群は1枚の金属板とみなすことができ、その周波数帯域において良好なグラウンドとして動作する。さらに、スルーホール群は1枚の金属板とみなせるため、スルーホール群の内側と外側は遮蔽されることになり、電気特性は固定プリント基板40および回転プリント基板50を構成する低誘電体基板のみで完結することになる。
【0050】
したがって、従来のような組み立て時の調整が不要となり、安価に実現できる。さらにいえば、回転プリント基板を固定プリント基板に対して半固定する保持機構さえあれば、下部ケースや上部ケースは可変遅延器を実現する上で必ずしも必要ではなくなる。
【0051】
ところで、図1〜図5に示す構成において、遅延時間を大きくするためには伝送線路パターンの全長を長くしなければならず、それに伴い,リング状のグラウンドパターン44と53も大きくなるが、グラウンドパターン44と53の半径が大きくなると、これらグラウンドパターン44と53で囲われた部分の寸法で決まる空洞共振周波数が低くなってしまうため、使用可能な周波数が低くなってしまう。
【0052】
このような不都合は、固定プリント基板40および回転プリント基板50を図6および図7に示すようにことにより解決できる。
【0053】
図6において、固定プリント基板40の第1の基板sub1における一方の面の第1層40aには、図4の構成に加えて、中心部近傍にリング状のグラウンドパターン44と同心円状にグラウンドパターンR41が形成されるとともに、このグラウンドパターンR41はスルーホールthを介してそれぞれ第3層40cの全面グラウンドパターンと電気的に接続されている。
【0054】
図7において、回転プリント基板50の基板sub3における一方の面の第2層50bには、図5の構成に加えて、中心部近傍にリング状のグラウンドパターン53と同心円状にグラウンドパターンR51が形成されるとともに、このグラウンドパターンR51はスルーホールthを介してそれぞれ第1層50aの全面グラウンドパターンと電気的に接続されている。
【0055】
これら図6および図7のように構成し、グラウンドパターンR41,R51の半径を適当な値に設定することにより、遅延量可変範囲を大きくすることが可能となる。
【0056】
なお、図6,図7に示す構成において、周波数帯域を拡大するためには外周のリング状グラウンドパターン44,53と中心部近傍のリング状グラウンドパターンR41,R51で囲われた部分の寸法を小さくしなければならないが、そのようにすると伝送線路パターン45,55と伝送線路パターン46,54の間の電磁界結合が増加し、特性が劣化してしまう。
【0057】
図8および図9は、図6および図7の変形例であり、固定プリント基板40の伝送線路パターン45,46および回転プリント基板50の円弧状の伝送線路パターン54,55の間にもリング状のグラウンドパターンを形成し、これらリング状のグラウンドパターンも他方の面のグラウンドパターンと多数のスルーホールにより電気的に接続したものである。
【0058】
図8において、固定プリント基板40の第1の基板sub1における一方の面の第1層40aには、図6の構成に加えて、伝送線路パターン45,46の間にリング状のグラウンドパターン44およびR41と同心円状にグラウンドパターンR42が形成されるとともに、ビアホールvh3とvh4が対向する位置で幅広の接続パターンRC1でグラウンドパターン44と接続されている。これらグラウンドパターンR42および接続パターンRC1もスルーホールthを介してそれぞれ第3層40cの全面グラウンドパターンと電気的に接続されている。なお、グラウンドパターンR42の線幅は、伝送線路パターン45,46と並行する部分は並行しない部分よりもやや広く形成されている。
【0059】
図9において、回転プリント基板50の基板sub5における一方の面の第3層50bには、図7における第2層50bの構成に加えて、伝送線路パターン54と55の端部間を連結する連結パターン56は削除されてビアホールvh5とvh6が形成されるとともに、伝送線路パターン54,55の間にリング状のグラウンドパターン53およびR51と同心円状にグラウンドパターンR52が形成されている。グラウンドパターンR52の線幅は、伝送線路パターン54,55と並行する部分は並行しない部分よりもやや広く形成されている。このグラウンドパターンR52も、他のリング状のグラウンドパターン53およびR51と同様に、基板sub5およびsub4に形成されたスルーホールthを介して、基板sub4の一方の面に形成された第1層50aの全面グラウンドパターンと電気的に接続される。
【0060】
ビアホールvh5とvh6は、リング状のグラウンドパターンR52を立体的に横断して伝送線路パターン54と55を電気的に接続するためのものであり、基板sub5における他方の面の第2層50cに形成された伝送線路パターンc56を介して接続される。
【0061】
これら図8および図9のように伝送線路パターン45,46および54,55間にグラウンドが配置されることで、同一基板サイズの図6および図7の構成に比べて、グラウンド導体で囲われた部分の寸法が約半分となるため、空洞共振周波数は約2倍となり、より高周波および広帯域で良好な特性が得られるようになる。また、伝送線路パターン45,46および54,55間にグラウンドが配置されることで、伝送線路パターン間の電磁界結合も抑えられる。
【0062】
図10(A)は本発明の可変遅延装置による遅延特性を示すグラフ、図10(B)は図6および図7の構成の可変遅延装置による遅延特性を示すグラフである。これらのグラフに示すように図6および図7の構成の可変遅延装置では空洞共振により遅延時間が急激に変化する周波数が周波数帯域内に存在するが、本発明の可変遅延装置では空洞共振が抑えられて全周波数帯域にわたって安定した遅延特性を得ることができる。
【0063】
なお、円弧状の伝送線路パターン45,46および54,55は、図11および図12に示すように複数回折り返すことにより、高周波および広帯域特性を保ったままで伝送線路長の可変範囲を長くすることができ、遅延時間変化量を拡大できる。
【0064】
図11および図12は、図8および図9の変形例であり、図8および図9と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0065】
図11において、固定プリント基板40の第1の基板sub1における一方の面の第1層40aには、図8の構成に加えて、伝送線路パターン45,46はそれぞれ折り返しパターンを含む円弧状の2個の伝送線路パターン45aと45bおよび46aと46bで形成され、これら伝送線路パターン45aと45bおよび46aと46bの間にはそれぞれ同心円状にリング状のグラウンドパターンR42,R43,R45が形成されている。伝送線路パターン45bの一端にはビアホールvh7が形成され、伝送線路パターン46aの一端にはビアホールvh8が形成されている。リング状のグラウンドパターンR42,R43,R45は、ビアホールvh3とvh4が対向する位置で幅広の接続パターンRC1でグラウンドパターン44と接続されている。これらリング状のグラウンドパターンRR43,R45も多数のスルーホールthを介してそれぞれ第3層40cの全面グラウンドパターンと電気的に接続されている。
【0066】
なお、ビアホールvh7とvh8は、リング状のグラウンドパターンR42を立体的に横断して伝送線路パターン45bと46aを電気的に接続するためのものであり、基板sub1における他方の面の第2層40bに形成された伝送線路パターンb78を介して接続される。
【0067】
図12において、回転プリント基板50の基板sub5における一方の面の第3層50bには、図9における第2層50bの構成に加えて、伝送線路パターン54,55はそれぞれ折り返しパターンを含む円弧状の2個の伝送線路パターン54aと54bおよび55aと55bで形成され、これら伝送線路パターン54aと54bおよび55aと55bの間にはそれぞれ同心円状にリング状のグラウンドパターンR52,R53,R55が形成されている。伝送線路パターン54aの一端にはビアホールvh9が形成され、伝送線路パターン54bの一端にはビアホールvh10が形成され、伝送線路パターン55aの一端にはビアホールvh11が形成され、伝送線路パターン55bの一端にはビアホールvh12が形成されている。
【0068】
ビアホールvh9とvh10はリング状のグラウンドパターンR55を立体的に横断して伝送線路パターン54aと54bを電気的に接続し、ビアホールvh11とvh12はリング状のグラウンドパターンR54を立体的に横断して伝送線路パターン55aと55bを電気的に接続するためのものである。これらビアホールvh9とvh10は基板sub5における他方の面の第2層50cに形成された伝送線路パターンc910を介して接続され、ビアホールvh11とvh12は伝送線路パターンc1112を介して接続される。
【0069】
これら図11および図12のように構成することにより、図8および図9の効果に加えて、高周波および広帯域特性を保ったままで遅延時間可変量を大きくすることができる。遅延時間可変量が大きくなった分サイズは大きくなってしまうが、同一周波数帯域で同一遅延時間可変量の同タイプ可変遅延器と比較すると小型化が図れる。
【0070】
図13は図4に示す固定プリント基板40の伝送線路パターン端部への通称エッジマウントコネクタと呼ばれる表面実装コネクタの改善実装説明図であり、(A)は第1層パターン40aの突出辺42の拡大図、(B)は第3層パターン40cの突出辺42の拡大図、(C)は(A)におけるA−A断面図、(D)は(A)におけるB−B断面図、(E)は(A)におけるC−C断面図である。
【0071】
(C)のA−A断面図は基板sub1,sub2と伝送線路パターンcn1とグラウンドパターン44とで構成されるコプレーナ・ウェーブガイドを示し、(D)のB−B断面図は基板sub1,sub2と伝送線路パターンcn1とグラウンドパターン44と第3層の全面グラウンドパターン40cとで構成されるコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドを示している。
【0072】
図13に示す実装構成では、コネクタ47からコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドに直接変換しないで、一旦(C)のコプレーナ・ウェーブガイドに変換し,ある程度の距離をコプレーナ・ウェーブガイドで伝送した後に(D)のコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドに変換している。すなわち、コネクタ47のグラウンド導体とコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドの裏面グラウンド導体との距離を大きく取って容量結合を小さくすることで、高周波特性の劣化を防止している。
【0073】
図14は図13の変形実装説明図であり、(A)は第1層パターン40aの突出辺42の拡大図、(B)は第3層パターン40cの突出辺42の拡大図、(C)は(A)におけるA−A断面図、(D)は(A)におけるB−B断面図、(E)は(A)におけるC−C断面図、(F)は(A)におけるD−D断面図であって、図13と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0074】
図14に示す実装構成では、(D)のB−B断面図に示すように、コプレーナ・ウェーブガイドとコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドの間に、コプレーナ・ウェーブガイドのグラウンド導体44とほぼ同じ形状のビアホールvhで接続した内層グラウンド導体40bを設けている。
【0075】
図14に示す実装構成では、コプレーナ・ウェーブガイドとコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドの間に、コプレーナ・ウェーブガイドのグラウンド導体とスルーホールで接続した内層グラウンド導体を設置することで、コプレーナ・ウェーブガイドとコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドの構造変換が図13の構成よりも緩やかとなり、構造変換部分での特性劣化が軽減される。
【0076】
本実施例で用いた表面実装コネクタ(エッジマウントコネクタ)は、コプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドなど基板表面に信号導体とグラウンド導体が存在し、かつ、基板裏面あるいは内層が全面グラウンドとなっている伝送線路上に実装されることが一般的である。
【0077】
しかし、エッジマウントコネクタをコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンド上に実装すると、コネクタのグラウンド導体とコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドの裏面グラウンド導体の距離が非常に近くなるため容量結合が起こり、それによって高周波特性が劣化するという問題点があった。ところが、このような問題は、図13や図14の実装構造にすることにより、大幅に改善できる。
【0078】
本発明では、固定プリント基板40のリング状グラウンドパターン44と回転プリント基板50のリング状グラウンドパターン53を重ね合わせることでグラウンドを取っているが、固定プリント基板40のリング状グラウンドパターン44と回転プリント基板50のリング状グラウンドパターン53の幅が同じだと、固定プリント基板40と回転プリント基板50の組み付け精度によって、伝送線路パターンとリング状グラウンドパターンの距離、つまり伝送線路パターンとリング状グラウンドパターン間の静電容量が変わってしまう。そうなると、伝送線路の特性インピーダンスが変化し、可変遅延装置の特性が劣化してしまう。
【0079】
図15はこのような組み付け精度に関連した対策の概念説明図であり、(A)は上部ケースを外して透視した状態を示し、(B)は(A)のA−A断面図を示している。伝送線路パターンが存在する基板側のリング状グラウンド導体幅aに対し、伝送線路パターンが存在しない基板側のリング状グラウンドパターン幅bを、組み付け精度分小さくする。これにより、固定プリント基板40と回転プリント基板50の組み付けがばらついても、伝送線路パターンとリング状グラウンドパターン間の距離を維持でき、距離変化による特性劣化が防止できる。
【0080】
本発明の可変遅延装置は、固定プリント基板40の伝送線路パターンと回転プリント基板50の伝送線路パターンを重ね合わせる構造であるため、全ての伝送線路パターンに関して上記構造が適用できるわけではない。図5の例では、最もリング状グラウンドパターンに近接している伝送線路パターンA,B,C,D部(寸法c,d部)に対して適用しており、最も上記構造の効果が得られる部分である。
【0081】
図16は図15の概念に基づく具体的な適用例の説明図であり、(A)は固定プリント基板40における適用例であって図8の(A)に示した第1層40aを示し、(B)は回転プリント基板50における適用例であって図9の(C)に示した第3層50bを示している。図16のA部〜F部が適用した部分であって、寸法aは幅が広くなっている部分を示し、寸法bは幅が狭くなっている部分を示している。
【0082】
このような可変遅延装置は、単純な機能を簡単に実現するため、機械的な構造を用いることも可能であるが、微妙な位相調整や操作性を考慮すると、適度な大きさが要求され、同時に伝送線路を形成する基板サイズも大きくなる。しかしながら、これは高周波になるに従って、不要共振モードを発生するなど、不利な条件として働くことにもなる。
【0083】
また、伝送線路として図8,図9に示すように同一基板内で折り返すパターンを採用すると、信号伝播方向の異なる伝送線路同士が近接することを避けられず、電磁界結合や不要共振モードを引き起こすことになる。
【0084】
図17はこのような不要共振モードの発生を抑制できる構成説明図であり、(A)は上部ケースを外して透視した状態を示し、(B)は(A)のストリップ線路部分の断面図を示している。
【0085】
図17(A)において、スリットst41〜st43は固定プリント基板40の一部を伝送線路パターン45,46と同心円状に円周方向に沿って除去することにより形成されたものであり、スリットst51,st52は回転プリント基板50の一部を伝送線路パターン54,55と同心円状に円周方向に沿って除去することにより形成されたものであり、スリットst44,st53は固定プリント基板40および回転プリント基板50の一部を所定の中心角の扇形に除去することにより形成されたものである。
【0086】
図17(B)は、スリットst43部分を示す拡大断面である。スリットst43は、ストリップ線路を構成している固定プリント基板40の伝送線路パターン45と46に挟まれた一部を同心円状に円周方向に沿って除去することにより形成されている。
【0087】
基板サイズに起因した不要共振モードに対しては、スリットst41,st42,st51を用いることにより、実質的に基板サイズを小さくしたことと同じ抑制効果が得られる。
【0088】
伝送線路間に起因した不要共振モードに対しては、スリットst43,st52を用いることで、物理的に基板を分離したことと同じ抑制効果が得られる。
【0089】
基板の円周方向に発生する不要共振モードに対しては、固定プリント基板40および回転プリント基板50を中心から円周に至る扇形あるいは長方形に除去したスリットst44,st53を用いることにより、物理的にリングを切断したことと同じ抑制効果が得られる。
【0090】
これらスリットを設けるのにあたっては、基板の誘電体のみではなく、接地導体を含めて除去することも、不要発振モードの抑制に対し同様の効果をもたらす。
【0091】
なお、上記各実施例では、コネクタとして通称エッジマウントコネクタと呼ばれる表面実装コネクタを用いる例を説明したが、異なるタイプのコネクタも使用できる。図18の例では、固定プリント基板40の主平面の伝送線路パターン45,46の端部に対向する位置にコネクタCN1,CN2を取り付けて、スルーホールthを介して伝送線路パターン45,46の端部に接続している。
【0092】
このように構成することにより、基板の形状が簡単で小さくでき、安価になる。また、用途によっては、基板の主平面上にコネクタを配置した方が外部との接続がしやすくなる場合もある。
【0093】
さらに、上記各実施例では、固定プリント基板40と回転プリント基板50を重ね合わせてバネ70で押圧固定するものとして説明したが、図19に示すようにこれらの基板40,50を重ね合わせて両面を基板押さえ101,102で挟み、ネジ103とナット104で止める構造にしてもよい。
【0094】
このように構成することにより、構造が非常に簡単になり、電気特性は基板のみで完結しているため実質的に問題なく動作する。
【0095】
また、上記実施例では可変遅延装置として説明したが、可変移相器としても使用できるものである。
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、組み立て後の調整が不要な可変遅延装置を実現でき、マイクロ波領域の可変遅延装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施例を示す組立説明図である。
【図2】図1の回転プリント基板50の回転範囲を所定の角度範囲に規制するストッパの構成説明図である。
【図3】本発明で用いる固定プリント基板40と回転プリント基板50の斜視図である。
【図4】固定プリント基板40の具体的な構成説明図である。
【図5】回転プリント基板50の具体的な構成説明図である。
【図6】固定プリント基板40の他の具体的な構成説明図である。
【図7】回転プリント基板50の他の具体的な構成説明図である。
【図8】固定プリント基板40の他の具体的な構成説明図である。
【図9】回転プリント基板50の他の具体的な構成説明図である。
【図10】本発明の可変遅延装置による遅延特性を示すグラフである。
【図11】固定プリント基板40の他の具体的な構成説明図である。
【図12】回転プリント基板50の他の具体的な構成説明図である。
【図13】表面実装コネクタの改善実装説明図である。
【図14】表面実装コネクタの他の改善実装説明図である。
【図15】組み付け精度に関連した対策の概念説明図である。
【図16】図15の概念に基づく具体的な適用例の説明図である。
【図17】不要共振モードの発生を抑制できる構成説明図である。
【図18】コネクタの他の実装説明図である。
【図19】固定プリント基板40と回転プリント基板50のネジによる組立固定説明図である。
【図20】従来の可変遅延装置の一例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0098】
30 下部ケース
31 収納部
39 大径部
40 固定プリント基板
50 回転プリント基板
51 主平面
57 突出部
60 スペーサ
70 バネ
71〜76 コイルバネ
80 上部ケース
90 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状に円弧状の伝送線路パターンが形成された2枚のプリント基板を互いの伝送線路パターンが接触するように重ね合わせ、一方のプリント基板を回転させて伝送線路長を調整するように構成された可変遅延装置において、
前記各プリント基板の円弧状の伝送線路パターンが形成された面の外周にはリング状のグラウンドパターンが形成されて他方の面全体にはグラウンドパターンが形成され、これら両面のグラウンドパターンは多数のスルーホールにより電気的に接続されていることを特徴とする可変遅延装置。
【請求項2】
前記各プリント基板の円弧状の伝送線路パターンが形成された面の中心近傍にも同心円状にリング状のグラウンドパターンが形成されてこれらリング状のグラウンドパターンも他方の面のグラウンドパターンと多数のスルーホールにより電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の可変遅延装置。
【請求項3】
前記各プリント基板の同心円状に形成された円弧状の伝送線路パターンの間にもリング状のグラウンドパターンが形成され、これらリング状のグラウンドパターンも他方の面のグラウンドパターンと多数のスルーホールにより電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変遅延装置。
【請求項4】
前記各プリント基板の同心円状に形成された円弧状の伝送線路パターンが折り返されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の可変遅延装置。
【請求項5】
前記円弧状の伝送線路パターンの端部にコネクタを接続するのにあたり、コネクタからコプレーナ・ウェーブガイドを介してコプレーナ・ウェーブガイド・ウィズ・グラウンドに変換することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の可変遅延装置。
【請求項6】
前記リング状のグラウンドパターンの線幅が、リング状のグラウンドパターン近傍に伝送線路パターンあるかどうかに応じて異なることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の可変遅延装置。
【請求項7】
前記プリント基板の少なくともいずれかにスリットを設けて不要共振モードを抑制することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の可変遅延装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−302689(P2009−302689A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152333(P2008−152333)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】