説明

可変長コンベヤ素子

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、加速トレベレータ(可変速型移動歩道)のような機械的コンベヤにおいて、少なくとも所定帯域で一方向のみ曲がるハンドレール(手すり)に必要な素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来技術としては、曲げに対向するロックを装着したチェーンを使用するものがある。この従来技術としては、フランス国特許第2274523 号及び同第2431075号に記載のものがある。
【0003】これら特許の目的であるハンドレールは、可撓性リンクによって互いにリンク連結したハンドルによって形成した加速トラベレータを意図するものである。各ハンドルは、可動フロアの対応ポイントで同期しなければならず、ハンドルは加速帯域では互いに離れ、減速帯域では互いに接近し、一定速度帯域では互いに等距離を維持しなければならない。この効果は、各ハンドルを小さいキャリッジに取り付けることによって達成することができる。2個の順次のキャリッジは可撓性リンクによって連結し、この可撓性リンクは一方向のみ曲がり、2個のハンドル間にハンドレスト領域を生ずる。可撓性リンク素子は、プーリの周りでハンドレールに対して直角に曲げ、締付けキャリッジ又はハンドルを装着するキャリッジのトラックに接近したり離れたりすることができるトラックを有するランナに固定し、速度変化を確実にすることができるようにする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら特許によれば、可撓性素子は複雑に設計した形状のブロックを装着したチェーンにより構成し、簡単な支持ビームとして機能する即ち、曲げモーメント及び剪断力を受けるリンク素子は加重が加わっても変形しないようにする。2個のハンドレールハンドル間の可撓性素子自体は、例えば、「ジョストリング(jostling) 」の場合にハンドレールとして使用する。このシステムの主な欠点は、構成が複雑でコストが比較的高い点である。
【0005】本発明の目的は、上述の欠点を解決し、例えば、ベルト、ケーブル、又はベルト若しくはケーブルのセットのような一定断面の連続可撓性リンクであって、チェーンとは異なって剪断力に抵抗する特性を有し、互いに嵌合する簡単な形状の圧縮ブロックに関連させた可撓性リンクを得るにある。このような装置をハンドレールに適用する実施例を以下に説明する。同様の装置を人又は物のためのコンベヤ素子にも使用できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、特に、可変速度で人を運搬する装置のハンドレールに適用することができる可変長コンベヤ素子において、2個の取付ポイント間に張り渡し、互いに離れた2個の案内プーリに巻き掛け、2個の取付ポイントとともにコンベヤの速度に従って変形する四辺形をなす可撓性リンクを備え、前記リンクには、一連の互いに隣接したブロックを設け、各ブロックは、コンベヤの進行方向にほぼ平行な2個の面であって前記リンクに固着する下面及び人の手を乗せることができる上面と、前記コンベヤの進行方向に直交する2個の面であって前記コンベヤの進行方向に面する側の前面及びコンベヤの進行方向とは逆方向に面する後面とを有するものとして構成し、前記2個のプーリ間に張り渡した前記リンクの直線部分における前記ブロックの前面及び後面を、全高にわたり隣接ブロックの対応する後面及び前面に接触する形状にし、前記リンクの前記プーリにおいて転向する凸状湾曲部分におけるブロックを互いに角度をなして離れることができる構成とした可変長コンベヤ素子で、前記各ブロックの前面及び後面は、前記リンクの方向に平行に互いに補完し合う山形輪郭を有し、前記各ブロックの各前面には少なくとも1個の前記突起を設け、各後面には前記突起に補完し合う輪郭の少なくとも1個の窪みを設け、前記リンクの2個のプーリ間の直線部分では、前記ブロックの前面の前記突起が隣接ブロックの対向後面の前記窪みに嵌合することによって、コンベヤの進行方向に直交して前記リンクに加わる剪断力に耐えることができる凹凸部嵌合ジョイントを形成し、前記リンクの湾曲部分では前記突起は前記窪みから離脱可能な構成としたことを特徴とする。
【0007】本発明の好適な実施例においては、可撓性リンクをノッチ付きベルトによって構成する。
【0008】
【実施例】次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。
【0009】図1に、- 所定帯域において2、3センチメートルのオーダーの半径で下方に湾曲することができる下方湾曲可能帯域4と、- 回転軸9によって支持した小さいキャリッジに一体で堅固な堅固帯域5と、- 1メートルのオーダーの半径で上方に湾曲することができる上方湾曲可能帯域6とがあるハンドレール(手すり)素子を示す。
【0010】このハンドレールは、ブロック11を固着したノッチ付きベルト10により構成し、このブロック11は、2個の連続するブロック間の突起12及び窪み13により反復相互ロックを生ずる形状にする。ブロックは、ブロック11a、11bにおけるように接着剤14によるか、又はブロック11c、11dにおけるようにインサート15に対するボルト16のいずれかによりベルトの背部に固着する。この固着は、常に、ベルトの剛性が最大の位置にあるノッチに対して直角をなすようにする。ベルトの背部に平行に測った任意ポイントにおけるブロックの厚さは常に一定にし、また歯のピッチに等しくする。
【0011】このようなシステムは、以下のように動作する。簡単に支持したビームのように動作するハンドレールに加わるすべての加重は、このビームとみなせるブロック連鎖体に対して曲げモーメント及び剪断力を生ずる。この曲げモーメントにより生ずる湾曲の内側におけるブロック連鎖方向の圧縮は、ブロックの固定されていないフリー上面により吸収し、湾曲の外側のブロック連鎖方向の引張力はブロック下面を固着したベルトによって吸収する。ブロック連鎖体上面に作用する剪断力は1個のブロックから他のブロックに突起−窪みの対によって伝達され、ブロック連鎖体下面のブロック−ベルトインターフェースにおける上記引張力によりビームに加わる破断力は、接着剤14及びボルト16によって吸収する。
【0012】堅固帯域5においては、ベルトの内面をキャリッジ8にやはり接着剤又はボルトによって固着する。
【0013】ハンドレールを上方に曲げることができるようにするため、帯域6におけるブロック11の厚さを、底部から頂部に向かって僅かに規則的に減少し、ブロックを他の帯域と同じ方法で固着する。
【0014】図2には、所定の動作対称性を持たせ、幾つかの利点を与えることができる異なる構成を示す。各ブロック17は、ノッチ付きベルト10の軸線に直交する各表面に、先ず、突起18及び窪み19を設け、次に突起18及び窪み19に対向する窪み20及び突起21を設ける。装置は上述の装置と同様に機能する。異なる形状も本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0015】図3及び図4は、加速トラベレータ(可変速型移動歩道)に本発明によるハンドレールを使用した実施例を示す。2個のハンドレールのハンドル24a、24bを、案内プーリ7a、7bを通過するハンドレール素子23によって互いに連結し、このハンドレール素子23を可変速度トロリ25a、25bに係止する。ハンドル24a、24bにはプーリ7a、7bのスピンドル26a、26bに担持したローラを有する。キャリッジ8a、8bの回転軸9a、9bも同様のローラを有し、他の全てのローラと同様に2個のレール27、28間を移動する。
【0016】ベルトの端部を係止する可変速度トロリ25a、25bをレール27、28からの可変距離Dにレール30によって維持し、このことによりハンドルの間隔及び従ってハンドルの速度を変化させることができ、1秒あたり通過するハンドル個数の割合を一定にすることができる。
【0017】図3は、加速体における水平ハンドレールを有する加速トラベレータ帯域の素子の説明図である。
【0018】図4は、水平部分から傾斜部分にハンドレールが移行する帯域における図3の組立体の説明図である。帯域6で湾曲し、この曲率半径rは、これに連続する曲率半径Rよりも相当小さく、低速帯域4、5は直線状のままである。
【図面の簡単な説明】
【図1】1個の帯域では下方にのみ小さい半径で折れ曲がり、他の帯域では相当大きい半径で上方にも折れ曲がることができるハンドレールの第1の実施例の縦断面図である。
【図2】本発明によるハンドレールの第2の実施例の縦断面図である。
【図3】加速トラベレータに適用したハンドレールの一使用形態での線図的説明図である。
【図4】図3と同様のハンドレールの他の使用形態の線図的説明図である。
【符号の説明】
4 下方湾曲帯域
5 堅固帯域
6 上方湾曲可能帯域
7a,7b プーリ
8 キャリッジ
9a,9b 回転軸
10 ノッチ付きベルト
11,17 ブロック
12,18,21 突起
13,19,20 窪み
14 接着剤
15 インサート
16 ボルト
23 ハンドレール素子
24a,24b ハンドル
25a,25b 可変速度トロリ
26a,26b スピンドル
27,28,30 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】 特に、可変速度で人を運搬する装置のハンドレールに適用することができる可変長コンベヤ素子において、2個の取付ポイント間に張り渡し、互いに離れた2個の案内プーリに巻き掛け、2個の取付ポイントとともにコンベヤの速度に従って変形する四辺形をなす可撓性リンクを備え、前記リンクには、一連の互いに隣接したブロックを設け、各ブロックは、コンベヤの進行方向にほぼ平行な2個の面であって前記リンクに固着する下面及び人の手を乗せることができる上面と、前記コンベヤの進行方向に直交する2個の面であって前記コンベヤの進行方向に面する側の前面及びコンベヤの進行方向とは逆方向に面する後面とを有するものとして構成し、前記2個のプーリ間に張り渡した前記リンクの直線部分における前記ブロックの前面及び後面を、全高にわたり隣接ブロックの対応する後面及び前面に接触する形状にし、前記リンクの前記プーリにおいて転向する凸状湾曲部分におけるブロックを互いに角度をなして離れることができる構成とした可変長コンベヤ素子で、前記各ブロックの前面及び後面は、前記リンクの方向に平行に互いに補完し合う山形輪郭を有し、前記各ブロックの各前面には少なくとも1個の前記突起を設け、各後面には前記突起に補完し合う輪郭の少なくとも1個の窪みを設け、前記リンクの2個のプーリ間の直線部分では、前記ブロックの前面の前記突起が隣接ブロックの対向後面の前記窪みに嵌合することによって、コンベヤの進行方向に直交して前記リンクに加わる剪断力に耐えることができる凹凸部嵌合ジョイントを形成し、前記リンクの湾曲部分では前記突起は前記窪みから離脱可能な構成としたことを特徴とする可変長コンベヤ素子。
【請求項2】 前記各突起に、前記ンベヤの進行方向に向かって互いに収斂する下方支持面及び上方支持面2個の支持面を設け、前記各窪みには、前記コンベヤの進行方向とは逆方向に向かって拡開する下方支持面及び上方支持面の2個の支持面を設け、前記リンクの前記部分から前記直線部分にまたその逆に移行する間に前記突起が徐々に嵌合できる構成とした請求項1記載の可変長コンベヤ素子。
【請求項3】 前記各ブロックの前面及び後面の各々に、前記突起及び窪みを設けた請求項1又は2記載の可変長コンベヤ素子。
【請求項4】 前記可撓性リンクをノッチ付きベルトとし、ベルトの内面には窪み部分によって互いに分離した突起部分を設け、前記ブロックを前記ベルトの外面に固着し、互いに隣接する2個のブロックのベース間の接合平面が前記ベルトの窪み部分に対応する構成とした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可変長コンベヤ素子。
【請求項5】 コンベヤ速度に従う前記四辺形の変形によって前記2個の案内プーリが、一定距離離れた2個の支持ローラの両側に多少離れ、前記リンクの前記直線部分を、前記2個の支持ローラ間の固定長中心帯域と、1個の支持ローラとそれに対する前記案内プーリとの間に延在する2個の側方帯域とを有するものとして構成し、前記中心固定長帯域における前記各ブロックの前記上面を、前記ブロックを前記リンクに固着する前記下面よりも僅かに小さくし、前記2個の支持ローラ間において前記ハンドレール上面が僅かに凹面状になる構成とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可変長コンベヤ素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】特許第3415651号(P3415651)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−153502
【出願日】平成5年6月24日(1993.6.24)
【公開番号】特開平6−156962
【公開日】平成6年6月3日(1994.6.3)
【審査請求日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(500189920)コンストラクションズ インダストリエル ドゥ ラ メディテラニー シーエヌアイエム (1)
【参考文献】
【文献】特開 昭55−40190(JP,A)