説明

可搬式スクリーン装置

【課題】 小型軽量、取り扱いが容易で、かつ簡易な構成の可搬式スクリーン装置を提供すること。
【解決手段】 ケーシングの背面中央部に一端が起伏可能に軸支され、起立時には巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置に関する。支柱を入れ子状に構成され相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体で構成する一方、最下段の筒体にスライド伸縮させたその上段の筒体を係合させ、支柱を所定高さに保持する第1の支柱ロック機構を設けた。さらに、ペダルの踏み込みに連動して最下段の筒体とその上段の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ等の投影装置による表示像を拡大投影するスクリーンに関し、持ち運びが容易で、床あるいはテーブル等任意の場所に設置することのできる可搬式スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタからの画像は、一般に反射型スクリーンに拡大投影されて表示される。このようなスクリーンのうち、天井あるいは壁面に取り付けて使用されるものは、一般に収納ケースに収容されたスクリーンを、必要に応じ、電動あるいは手動により引き下げて使用していた。また、掛図式スクリーン装置あるいは三脚スタンド式スクリーン装置は、所定の場所に吊り下げるか床置きにして使用していた。
【0003】
近年、会社あるいは事務所等における会議の増加に伴い、プロジェクタとともに容易に持ち運ぶことができ、会議室の床、会議用机或いはテーブル上に設置してプロジェクタからの画像を投影することのできる簡易な構成の可搬式スクリーン装置に対する要望が増加している。これに対し、スプリングロールに巻回されたスクリーンを収納ケースに収納した可搬式スクリーンも提案されている。この可搬式スクリーン装置としては、任意の場所に収納ケースを設置し、例えばパンタグラフによりスプリング等の弾性力を利用してスクリーンを引き上げたりするタイプや、収納ケースに取り付けた支柱にスクリーンを係止するタイプ(例えば、特許文献1)が提案されている。
一方、家庭においても、テレビ画像投影用のプロジェクタの普及に伴い、家庭用の可搬式スクリーン装置に対する要望が増加している。
【特許文献1】実開平6−36048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、家庭用の可搬式スクリーン装置には、女性や子供でも持ち運べるようにするため、より小型軽量であることが要求される。また、従来、可搬式スクリーン装置を収納する場合、例えば、スクリーンを最初に巻取り、その後で支柱を短縮する、あるいはスクリーンを係止した状態で支柱を短縮し、その後でスクリーンを支柱から外して巻取る方法が用いられる。前者の場合、例えば、手で支柱の先端からスクリーンを外して巻取った後、支柱を構成する各筒体の係合を解除して筒体を押し込んで短縮する。また、後者の場合、例えば、スクリーンの裏側に回り込んで支柱を短縮してからスクリーンを支柱の先端から外して巻取る。しかし、前者の方法では、スクリーンが80インチや100インチへと大型化する中、大人でも支柱の先端に手が届かず、容易にスクリーンを支柱から外すことができず収納が容易でないという問題がある。また、後者の方法では、スクリーンの裏側に回り込まなければならず、壁に近接させスクリーン装置を設置している場合、スクリーン装置を移動させたり、あるいは狭い裏側のスペースで操作する必要があり、スクリーン装置の収納が容易でない等の問題がある。そのため、スクリーンの収納ケースへの収納や支柱の短縮等の収納操作を容易に行うことのできる簡易な構成も必要とされている。
【0005】
本発明は、このような要望及び問題に鑑みてなされたものであり、小型軽量かつ簡易な構成で、取り扱いの容易な可搬式スクリーン装置を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の可搬式スクリーン装置は、長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、該ケーシングの背面中央部に一端が起伏可能に軸支され、起立時には巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置であって、上記支柱を相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体で構成し、最下段の筒体には、引き出した次段の筒体を係合し上記支柱を所定高さに保持する第1の支柱ロック機構を設ける一方、ペダルの踏み込みに連動して最下段の筒体とその次段の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を設けてなることを特徴とする。
【0007】
また、上記第1の支柱ロック機構を、最下段の第1の筒体の上端部に設けられた貫通孔からなる係合受部と、その上段の第2の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の凹部に配置され上記係合受部と係合する係合部とを有し、かつ該係合部が、上記貫通孔と係合する係合突部と、該係合突部を付勢するロック用バネ体と、から構成することができる。
【0008】
また、上記支柱ロック解除機構を、ペダル機構と、上記最下段の筒体の側面に配置され、上記筒体の長手方向に沿って固定位置から解除位置に前進あるいは解除位置から固定位置に後退し、解除位置において上記の上段の係合を解除する解除部と、ペダル機構からの操作力を伝達し解除部を上記筒体の長手方向に沿って進退移動させる連結部と、から構成することができる。
【0009】
また、上記ペダル機構は、ケーシングの底面にケーシングの軸周りに揺動可能に軸支され正面に突出するペダルを有し、そのペダルを踏み込んで上記支柱ロック機構を解除する構成とすることができる。また、上記連結部は、バネ体を介して上記最下段の筒体の基部に支持された支持部と、上記解除部の一端と係合する押上げ部とを有する伝達部材を有し、かつ上記バネ体は解除部を固定位置に戻す方向に上記押上げ部を付勢しており、上記バネ体の付勢力に抗して上記ペダルを踏み込むことにより解除部を固定位置の方向に押し出すことができる。また、上記解除部は、上記最下段の筒体の側面に該筒体の長手方向に移動可能に配設された解除バーであって、その先端は断面テーパ状であり、解除部を解除位置に前進させると、先端が上記係合突部に当接し、該係合突部を上記の摺動部材の凹部に押し込んで、第1の支柱ロック機構を解除する構成とすることができる。
【0010】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、支柱は3本の筒体からなり、最上段の第3の筒体を中段の第2の筒体に係合する第2の支柱ロック機構を有しており、該第2の支柱ロック機構は第2の筒体の上端部に設けられた貫通孔からなる係合受部と、その上段の第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の凹部に配置され上記係合受部と係合する係合部とを有し、かつ該係合部が、上記貫通孔と係合する係合突部と、該係合突部を付勢するロック用バネ体と、から構成し、上記フットペダルの踏み込みにより第1の支柱ロック機構が解除され第1の筒体は下降すると、第3の筒体の係合突部が上記解除部の先端に当接し、該係合突部を上記の摺動部材の凹部に押し込んで、第2の支柱ロック機構を解除するようにすることができる。
【0011】
また、第2の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の下部に第1の筒体内を摺動可能なピストン部を配設する一方、第1の筒体の基部に第1の排気部を設け、第1の筒体と第2の筒体とで第1のエアダンパーを構成せしめ、第2の筒体を下降させ第1の筒体に押し込むと、第1の筒体内の空気圧が一時的に昇圧しエアクッションとなり、そのエアクッションにより第2の筒体の降下を減速させて停止させることができる。さらに、第2の筒体の摺動部材の上部に第2の排気部を設ける一方、第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の底部に第1の筒体内を摺動可能なピストン部を配設して第2の筒体と第3の筒体とで第2のエアダンパーを構成し第2の筒体内部の空気を排気することもできる。

【0012】
また、本発明の可搬式スクリーン装置には、ガススプリングからなる昇降機構を設けることもできる。この昇降機構は、長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、該ケーシングの背面中央部に一端が起伏可能に軸支され、起立時には巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有し、上記支柱が相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体で構成された可搬式スクリーン装置に使用可能なものであり、上記支柱に、下段側の筒体内に配設され該下段側の筒体の上段の筒体を昇降させるガススプリングからなる昇降機構を設けたものである。
【0013】
ここで、上記ガススプリングには、上段の筒体と上下方向に一体的に移動可能なシリンダとそのシリンダ内を軸方向に摺動可能なピストンロッドとを備えたものを用いることができる。上記昇降機構は、さらに、シリンダの上端部に軸支された1個のプーリーと、そのプーリーに掛け渡されたワイヤとを有し、そのワイヤの一端をピストンロッドの下端部に固定する一方、他端を上段の筒体の下端部の内周面に配設された摺動部材に固定してワイヤを張設するようにすることもできる。また、上記支柱を3本の筒体で構成し、中段の第2の筒体の摺動部材の上部にピストンロッドの下端部を固定する一方、最上段の第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材にシリンダの下端部を係合させ、シリンダの上下移動に伴い第3の筒体が昇降するようにすることもできる。
【0014】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、トップバーの中央部に引掛け部材を固着する一方、支柱の上端部にフック部を設け、そのフック部に引掛け部を掛止する構成を用いることができる。また、トップバー上であって、倒伏支柱の延在方向に引掛け部材と離間して持運び用のハンドルを設けることもできる。また、引掛け部材が持運び用のハンドルを兼ねる構成とすることもできる。また、フック部を支柱の上端部に水平回動可能に取付け、支柱の倒伏時にはフック部を回動させてケーシングに密着させるようにすることもできる。
【0015】
また、本発明の可搬式スクリーン装置においては、収納時にトップバーをケーシングに固定するロック機構を設けることができる。また、ロック機構を、スライド式のロック機構とし、先端に爪部を有し、後端は遊動軸運動をする遊動軸を介して回動軸に連結された蓋体と、その爪部と係合する係合部とからなり、蓋体と係合部がケーシングの開口部を挟んで配設され構成とすることもできる。また、蓋体を開放状態に保持するバネ体を設けることもできる。バネ体は、遊動軸と回動軸にS字状に巻回され、一端はケーシングに当接し、他端は蓋体に当接する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、支柱を相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体で構成し、最下段の筒体に引き出した次段の筒体を係合し支柱を所定高さに保持する第1の支柱ロック機構を設け、かつペダルの踏み込みに連動して上記最下段の筒体とその次段の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を設けるようにしたので、ペダルを踏み込むという単一操作により支柱を短縮することができ、スクリーン装置の収納操作を容易に行うことができる。特に、ペダルをケーシングの正面に突出するように配置することにより、スクリーンの正面から支柱の短縮を行うことができるので、スクリーンの裏面に回り込む必要もなく、スクリーン装置の収納操作が極めて容易である。
【0017】
また、トップバーがケーシングの蓋体を兼ねているので、蓋体が不要となり、スクリーン装置をより軽量化することができる。また、支柱をケーシングと一体化するとともに支柱を起伏可能としたので、収納時に支柱を倒伏することによりスクリーン装置をより小型化することができる。これにより持運びが容易となる。また、使用時には支柱を起立させ、支柱を所望の高さに伸長させてスクリーンを展張すればよく、収納時には支柱を短縮して倒伏させる一方、スクリーンを巻戻してトップバーで開口部に蓋をすればよいので取り扱いが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置の使用時の状態の一例を示している。可搬式スクリーン装置S1は、両端に一対のキャップ1dを有するケーシング1と、ケーシング内に取付けられたスプリングロール(不図示)と、開口部1cから巻き出されトップバー5とスプリングロールとの間に展張されたスクリーン4と、ケーシング1の背面の概ね中央に立設されスクリーン4を所定高さに保持する支柱6と、を備えている。支柱6は、ケーシング1の概ね中央に取着された支柱取り付け部材12により支持されたスライド伸縮可能な3段の筒体6a,6b,6cからなり、第1の支柱ロック機構8と第2の支柱ロック機構9により所定高さに保持されている。また、支柱6はその先端に水平回動可能なフック部7を有しており、トップバー5の概ね中央に配設された、掛止部材を兼ねる持運び用のハンドル11をフック部7に掛止してスクリーン4を吊下げている。また、10はトップバー5をケーシング1に固定するロック機構であり、収納時、ケーシング1に配設された被係合部(不図示)と係合する。また、スクリーン装置S1は、ケーシング1の底部から引出された一対の脚部3により直立するように支持されている。
なお、本発明においては、スクリーンの映写面をスクリーンの正面とし、ケーシングについては、スクリーンの映写面側をケーシングの正面、スクリーンの裏面側をケーシングの背面とする。
【0019】
図2は、収納のため、スクリーン4を巻戻した状態の可搬式スクリーンS1の構造の一例を示している。フック部7との掛止を解除されたスクリーン4は巻戻されてケーシング1に収容されている。トップバー5は、蓋体となりケーシング1の開口部を塞いでいる。図3は、収納時の可搬式スクリーンS1の構造の一例を示している。支柱6を支柱取り付け部材12に軸支された下端を中心に回動させて倒伏する。これにより、支柱6は支柱全体をケーシング1に平行にした状態で収納されている。トップバー5は、ロック機構10がケーシング1に配設された被係合部(不図示)と係合することにより、ケーシングに固定される。また、ケーシングの正面中央部には、支柱ロック解除機構の一部であるペダル17aが突き出すように配置されている。
【0020】
図4は、図3のIV−IV線に沿った縦断面図である。ケーシング1は、長手方向に延在する第1のケース部材1aと第2のケース部材1bで構成されている。その2つのケース部材の長手方向の一端は片側ヒンジ機構により開閉可能に連結され、他端は互いに離間しスクリーンを巻き出す開口部1cを形成している。ここで、ケーシングの正面側の第1のケース部材1aはプロジェクタ側に膨出する湾曲構造を有し、背面側の第2のケース部材1bは断面L字構造を有する。これにより、ケーシング1の中にスクリーン4が巻回されたスプリングロール2を収容し、かつ開口部1cの幅を狭くしてケーシング1の小型化を図ることができる。なお、ケース部材にはアルミ押し出し材を用いることができる。また、ケーシングは、別体の第1のケース部材と第2のケース部材とを連結して用いることに限定されるものではなく、一体形成されたケーシングを用いることもできる。
【0021】
図4は、第1のケース部材1aの長手方向の縁部の一端を円形状に湾曲させて嵌合凹部130とする一方、第2のケース部材1bの長手方向の縁部の一端を断面が概ねD型形状の嵌合突部131とし、嵌合凹部130に嵌合突部131を押し込んで嵌合することにより片側ヒンジ構造を形成した例を示している。これに対し、嵌合突部131を断面円形状とし、第1のケース部材1a又は第2のケース部材1bの長手方向から嵌合凹部130に嵌合突部131をスライド嵌合させて片側ヒンジ構造を形成することもできる。しかし、D型形状の嵌合突部131を用いる方が、押し込み操作で簡単に第1のケース部材1aと第2のケース部材1bとを一体化することができるので好ましい。
【0022】
ケーシング1の背面には、支柱6を軸支する支柱取付け部材12が取着されている。支柱取付け部材12は、ケーシング1の底部にリベット14,15により締着されて固定されている。ケーシングの底面には、ケーシングの軸周りに揺動可能に軸支され、ペダル17aがケーシングの正面側に突き出したペダル機構17が配設されている。図5の模式平面図に示すように、ペダル機構17は、一端にペダル17aと、他端には幅狭の突片からなり上下方向に揺動する揺動部17cと、ペダル17aと揺動部17cとを連動させる軸部17bとを有している。さらに、揺動部17cは、後述の解除部を動作させる押上げ部17dと、ペダルに復帰力を付与する戻りバネ17fの一端を係止する第1のバネ係止部17eを有している。収納時においては、支柱取付け部材に設けられた第2のバネ係止部(不図示)に戻りバネの他端が係止され、その戻りバネの付勢力によりペダルは待機位置に復帰する。
【0023】
トップバーをケーシングに固定するロック機構には、例えば、スライド式のロック機構を用いることができる。ロック機構10は、一端に爪部101aを有する蓋体10aと、その爪部101aと係合する係合部12aとからなり、蓋体10aと係合部12aはケーシングの開口部を挟んで配設されている。係合部12aは、ケーシングの開口部を挟んで蓋体と対向配置されていれば良く、例えば、ケーシングの背面側の支柱取付部材の縁部に設けた突条を用いることができる。蓋体10aは、その先端に爪部101aを有し、後端は遊動軸運動をする遊動軸10bを介して回動軸10cに連結されている。回動軸10cはケーシングにリベット16により固定されている。ロック機構を解除する場合、蓋体10aの後端を押して前進させ爪部101aと係合部12aとの係合を解除し、回動軸10cを支点にして回動させて蓋体10aを後退させる。例えば、図4では、蓋体10aを反時計回りに回動させる。この時、蓋体10aは、遊動軸運動をする遊動軸10bにより、スライド移動しながら後退して待機位置に戻る。一方、蓋体をロックする場合には、待機位置から蓋体を押し出し、蓋体が係合部に被さるまで前進させ、次いで、蓋体をロック位置まで後退させ、爪部と係合部を係合させる。
【0024】
ここで、ロック機構に、蓋体を開放状態に保持するバネ体を設けることもできる。図6は、そのバネ体を設けたロック機構の動作を示す模式断面図であり、(a)は固定状態、すなわち蓋体が固定された状態、(b)は解除状態、すなわち蓋体が解放された状態を示す。バネ体10dは、遊動軸10bと回動軸10cにS字状に巻回され、一端は第1のケース部材1aに当接し、他端は蓋体10aに当接する。固定状態では、爪部101aと係合部12aとの係合により、蓋体10aの押圧力により、バネ体10dの他端は弾性変形した状態で蓋体10aに当接する。一方、爪部101aと係合部12aとの係合を解除すると、バネ体10dの他端は弾性変形が解除されて遊動軸10bを支点として蓋体10aは回動するが、当接するバネ体10dの付勢力により蓋体10aの開放状態が保持される。したがって、ロック機構を解除時において、蓋体がトップバーに被さることがないので、ハンドルを容易に掴むことができる。
なお、ロック機構は上記のスライド式のロック機構に限定されるものではなく、ケーシングの開口部を挟んで係合部材同士を係合させるものであれば種々の形態のロック機構を適用することができる。
【0025】
図7は、図2のVI−VI線に沿った模式縦断面図に相当するものであり、支柱を起立させ、かつペダルを踏み込んだ状態を示している。また、図8は、図2における支柱の模式断面図である。また、図9は、ピストン部の模式拡大断面図である。第1の筒体6aの底部には支持部材18が嵌合されており、その支持部材18は、第1の筒体6aに嵌合される頂部18aと、底部とを有し、底部は支柱取付部材に回動可能に軸支される軸部18cと、軸部を支持する基部18bとを有している。
【0026】
一方、第1の支柱ロック機構8は、第2の筒体6bの下端部の内周面に摺動部材22が取着され、その摺動部材22の凹部8bには係合部材81aと、一端を凹部8bに係着され他端を係合部材81aに係着され、係合部材81aを付勢するバネ体82aとからなる筒体係合部8aが配置されている。これに対し、第1の筒体6aの上端部には、長手方向に貫通孔62aが形成され、この貫通孔は上記筒体係合部8aと係合する筒体係合受部を構成している。係合部材81aはその先端にボール状突部を有しており、バネ部材82aにより押圧されてボール状突部が貫通孔62aに係合して、第2の筒体6bが固定される。係合を解除するには、ボール状突部をバネ部材82aの付勢力に抗して直接押圧する、あるいは第2の筒体6bを押し下げて間接的にボール状突部を凹部8bに押し込む方法を用いることができる。ここで、ボール状突部には金属性あるいは樹脂製のものを用いることができるが、樹脂製のものを用いることが好ましい。さらに、貫通孔の縁部に丸みを設け、あるいは第2の筒体6b側に拡がるテーパを設ける。これにより、貫通孔と係合部材との摩擦力を小さくすることができる。そのため、ボール状突部を直接押圧しなくても、第2の筒体6bを第1の筒体6aから引き出すあるいは押し込むことにより容易に係合を解除することができる。なお、摺動部材22には外周溝が形成されており、その外周溝にはパッキンを兼ねる摺動リング30が配置されている。
【0027】
支柱ロック解除機構13は、ペダル機構17と、第1の筒体6aの側面に筒体の長手方向に移動可能に配設された解除部20と、ペダル機構17の操作力を解除部20に伝達する連結部19で構成され、例えば、解除部には長尺の解除バーを用いることができる。一方、連結部は、解除バー20の下端部の被係合部20aと係合する係合端部19bと、係合端部19bを支持する支持部材19aを有する連結部材19から構成されている。例えば、連結部は、L字形状の連結部材で構成され、その一端には、係合する解除バーを筒体の底部方向に付勢する解除バネ19cの一端が係着されている。解除バネ19cは支柱支持部材18の基部18bに設けられた凹部18dに収容され、その他端も凹部内に係着されている。ペダル17aを踏み込むと、戻りバネ17fの付勢力に抗して押上げ部が連結部材19の支持部材19aに当接し、支持部材19aを解除バネ19cの付勢力に抗して上方に押圧する。これにより、連結部材19と係合する解除バー20も上方に押され、第1の筒体の側面に沿って長手方向に前進する。解除バー20は、断面テーパー形状の上端部20bを有しており、上端部20bが第1の支柱ロック機構8のボール状突部に当接する解除位置まで解除バー20を前進させると、上端部20bによりボール状突部が凹部8bに押し込まれ、第1の支柱ロック機構が解除される。図7はスクリーンが収容された状態を示すが、使用時にはスクリーンは支柱のフック部に係止された状態であり、第1の支柱ロック機構の解除により、スクリーンの荷重により第2の筒体6bは下降して第1の筒体6aの中に収容される。
【0028】
なお、第2の筒体6bが下降する場合、第2の筒体6bと第1の筒体6aとによりエアダンパーを構成することにより、第2の筒体6bを減速させ徐々に下降させることができる。すなわち、図7に示すように、第2の筒体6bの下端部に配設した摺動部材22の下部に第1の筒体内を気密状態で摺動可能なピストン部21を配設する一方、第1の筒体の底部の支持部材18に第1の排気部28を設け、第1の筒体6a内部の空気をピストン部21で閉じこめて第1のエアダンパーを構成する。第1の排気部28は、支持部材18の頂部18aに軸方向に沿って形成され第1の筒体6aの内部に向かって開口する排気孔181aと、連通孔182aを介して排気孔181aと連通するリーク溝183aと、そのリーク溝に螺合するリークバルブ184aとから構成される。リークバルブ184aには、リーク穴が(不図示)が形成されており、リークバルブのねじ込み量を変化させることにより、排気される空気の量を変化させることができる。また、ピストン部21は、摺動部材22の底部に取着され、第1の筒体側が小径である逆テーパ形状のロッド21aと、ロッド21aの下端部に取着され、第1の筒体6aの内周面に摺接するピストンパッキン21bと、ロッド21aに形成された一対の環状突部21dの間に上下移動可能に保持された1以上のクッションリング21cとで構成される。図9に示すように、ピストンパッキン21bは、中心に軸孔211bを有する円錐台形状の可撓性材料からなり、回動自在及び軸方向に移動可能に遊び間隙を設けて支持部材21dによりロッド21aに軸支されている。軸孔211bの周囲には複数の突起部212bが立設されており、この突起部212bがピストンパッキン21bの支持部材21dに対する当接を防止する。第2の筒体が下降する時は、ピストンパッキンは軸方向を上方に移動してロッドと密着して、第1の筒体内の空気を押圧する。一方、第2の筒体を引き出す時は、ピストンパッキンは軸方向を下方に移動してロッドとの密着を開放する。この時、突起部が支持部材との当接を防止するので、軸孔を通して第1の筒体内の空気が移動し、第1の筒体内の空気圧を低下させ第2の筒体を楽に引き出すことができる。
【0029】
また、クッションリング21cは、第1の筒体の内周面と摺動し、ピストン部の制動力を増大させるもので、例えばo−リングを用いることができる。クッションリング21cは、ロッド21aに形成された一対の環状突部21dの間に上下移動可能に保持されており、第2の筒体を押し込む時は、逆テーパ形状のロッドの大径部に密着保持されて第1の筒体の内周面との摩擦力を増大させる。一方、第2の筒体を引き出す時は、クッションリングはロッドの小径部に移動しロッドとの密着を解除され、第1の筒体の内周面との摩擦力を減少させる。これにより、収納時には第2の筒体はゆっくりと下降し、使用時には楽に第2の筒体を引き出すことができる。なお、制動効果を高めるため、複数のクッションリングを用いることもできる。その場合には、3以上の環状突部を設ければ良い。
【0030】
また、摺動部材22の下部には、油やグリース等の潤滑剤を塗布することが好ましい。潤滑剤は摺動部材と第1の筒体との摩擦を低減するので、支柱の伸縮をより軽快に行うことができる。
【0031】
ここで、第2の筒体6bを下降させ第1の筒体6aに押し込むと、第1の筒体内の空気圧が一時的に昇圧し空気バネとなり、その空気バネが第2の筒体6bの降下に対して制動力として作用し、第2の筒体6bを徐々に下降させる。そのため、第1の支柱ロック機構が解除されても、第2の筒体が急下降し第1の筒体の底部に衝突して衝撃音を発することもない。また、リークバルブのねじ込み量を変化させることにより、所望の下降速度を得ることができる。一方、第2の筒体6bを第1の筒体6aから引き出す時は、空気がリーク溝から流入するので、第2の筒体6bの引き出しを妨げることはない。
【0032】
また、図8に示すように、摺動部材22の上部に第2の排気部29を設け、さらに第3の筒体の下部に第2の筒体内を気密状態で摺動可能なピストン部(不図示)を配設して第2のエアダンパーを構成する。第2のエアダンパーのピストン部には、排気部を有しない以外は第1のエアダンパーに用いたと同様の構造を有するピストン部を用いることができる。第2の排気部29は、摺動部材22の上部に軸方向に沿って形成され第2の筒体6bの内部に向かって開口する排気孔22aと、連通孔22cを介して排気孔22aと連通するリーク溝22b、リーク溝22bに螺合するリークバルブ22dとから構成される。第2の排気部は、第2の筒体6bの摺動部材22と第3の筒体6cとの間に閉じこめられた空気を第1の筒体6aと第2の筒体との空隙から排気する役割を有する。第2の筒体の下降に伴い、第1の筒体とピストン部との間に閉じこめられた空気量が少なくなると、第2の筒体の下降速度が途中から速くなり不快な摩擦音を発生させる場合もある。しかし、第2の排気部から、第2の筒体6bの摺動部材22と第3の筒体6cとの間に閉じこめられた空気を排気することにより、下降速度が途中から速くなる現象を抑制し、概ね一定の速度で第2の筒体を降下させることができるので、不快な摩擦音が発生することもない。なお、リークバルブ22dには、リーク穴が(不図示)が形成されており、リークバルブのねじ込み量を変化させることにより、排気される空気の量を変化させることができる。
【0033】
図10は、フック部7の構成の一例を示す模式分解斜視図である。フック部7は、ハンドル11を掛止する掛止部71aを側部に有するフック部材71と、掛止部71a内に配設され第2の筒体の上端部と係合する揺動部材24と、フック部材71に同心的に嵌挿されフック部材71を水平回動可能に支持する支持部72と、支持部72とフック部材71とを連結する連結キャップ25とを有している。支持部72は、その内周面に対向する一対の突条72cを有しており、その突条は上面72bに摺動突部72aを有している。第2の筒体6bの上端部には係合孔61cが形成されており、支持部72を第2の筒体6bの上端部に外嵌して突条72cを係合孔61cに係合させる。これにより、支持部72が第2の筒体6bの上端部に固定される。一方、支持部72はその摺動突部72aがフック部材71の天井部71cの周方向に設けたガイド溝71b内に位置するように支持部72に外嵌される。摺動突部72aがガイド溝71b内を往復移動することにより、フック部材71を使用位置と収納位置との間で回動させる。
【0034】
図11は、支柱を伸ばして最長にした状態の支柱の模式断面図である。
第2の支柱ロック機構9は、第3の筒体6cの下端部の内周面に摺動部材27が取着され、その摺動部材27の凹部9bには係合部材91aと、一端を凹部9bに係着され他端を係合部材91aに係着され、係合部材91aを付勢するバネ部材92aとからなる筒体係合部9aが配置されている。これに対し、第2の筒体6bの上端部には、長手方向に貫通孔62bが形成され、この貫通孔は上記筒体係合部9aと係合する筒体係合受部62bを構成している。係合部材91aはその先端にボール状突部を有しており、バネ体92aにより押圧されてボール状突部が貫通孔62bに係合して、第3の筒体6cが固定される。係合を解除するには、ボール状突部をバネ体92aの付勢力に抗して押圧する方法を用いることができる。ここで、ボール状突部には金属性あるいは樹脂製のものを用いることができるが、樹脂製のものを用いることが好ましい。さらに、貫通孔62bの縁部に丸みを設け、あるいは第3の筒体6c側に拡がるテーパを設ける。これにより、貫通孔と係合部材との摩擦力を小さくすることができる。そのため、ボール状突部を直接押圧しなくても、第3の筒体6cを第2の筒体6bから引き出すあるいは押し込むことにより容易に係合を解除することができる。
【0035】
一方、図12は、第3の筒体が第2の筒体に係合固定された状態を示す模式縦断面図である。第3の支柱ロック機構23は、フック部材の掛止部71a内に上下方向に揺動可能に支持された揺動部材24と第3の筒体6cに嵌着されたスペーサ部材61bにより構成される。揺動部材24は、一端にスペーサ部材61bの先端の環状突部611bと係合する爪部24cと、他端に解除レバー24aと、爪部24cと解除レバー24aとを連動可能に支持する軸部24bを有している。さらに、軸部24bには、一端が掛止部に係着された解除バネ24dの他端が係着されている。第3の支柱ロック機構が作動状態にあると、揺動部材と連結キャップを介して、フック部材と第2及び第3の筒体とを一体的に移動させることができる。すなわち、支柱を伸長させる場合、第2の筒体を第1の筒体から引き出すが、フック部を掴んで引き上げれば、第2の筒体と第3の筒体を同時に引き出すことができる。第2の筒体を第1の支柱ロック機構によりロックした後、解除レバーを押し込んで爪部とスペーサ部材の環状突部との係合を解除する。次いで、フック部を掴んで第3の筒体を引き出して、第2の支柱ロック機構によりロックして第3の筒体を固定する。
【0036】
解除レバーを押し込むには、直接手で押し込むこともできるが、別体の解除用アーム26を用いることもできる。図13に、解除用アームの模式平面図(a)と、模式側面図(b)を示す。解除用アーム26は、アーム部26bとその先端に形成されたV字形状の解除部26aとを有しており、解除部の凹部に設けられた突起部26cを解除バーに押しつけて、爪部とスペーサ部材の環状突部との係合を解除することができる。なお、解除用アームは、例えばケーシング背面の支柱収納部以外の場所に着脱自在に取り付けることができる。
【0037】
以下に、本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置の動作を説明する。
非使用時においては、図3に示すように、支柱は倒されてケーシングに概ね平行になるように収納されている。トップバーはケーシングの蓋体としてケーシングに固定されており、収納及び持運びが極めて容易である。また、支柱の先端のフック部は回動可能に支柱に支持されている。
【0038】
使用時には、図2に示すように支柱を起立させる。次いで、第2及び第3の筒体を第1の筒体から引き出すが、フック部を掴んで引き上げることにより、第2及び第3の筒体を一度に引き出すことができる。第1の支柱ロック機構をロックして第2の筒体を第1の筒体に係合させた後、フック部の第3の支柱ロック機構を解除して、第3の筒体を第2の筒体から引き出し、第2の支柱ロック機構をロックして第3の筒体を第2の筒体に係合させる。これにより支柱の伸長が終了する。
次いで、トップバーのロック機構を解除し、ハンドルを掴んでトップバーを上方に引出すと、スプリングロールに取付けられたスプリングの弾性力と重力に抗してスクリーンがスプリングロールから巻出される。次いで、トップバーに配設されたハンドルを支柱のフック部に掛止することにより、スクリーンを展張状態に保持する。
【0039】
一方、収納する場合には、ハンドルをフック部に掛けた状態で、ペダルを踏み込むと、第1の支柱ロック機構が解除されて、第2の筒体が下降するが、第1の筒体と第2の筒体がエアダンパーを構成しているので、第2の筒体はゆっくりと下降する。さらに、第3の筒体は、その係合突部が解除部の先端に当接し、その係合突部は摺動部材の凹部に押し込まれて第2の支柱ロック機構が解除され、第3の筒体が下降して第2の筒体の中に収容されて支柱の短縮が完了する。第2の筒体が下降してから、スクリーンをフック部から外し、トップバーをそのまま開口部の上に下ろすことにより収納する。次いで、トップバーをスライド式のロック機構を用いてケーシングに固定する。支柱は、フック部が周囲に突き出さないようにフック部を回動させた後、倒してケーシングに平行となるように収納する。
【0040】
また、本発明の可搬式スクリーン装置には、以下に示す構成部材の変形例を含む装置も含まれる。
図14は、図8の摺動部材22の変形例1を示している。本変形例は、クッションリングに代えて制動機構31を用いるようにしたものである。制動機構31は、摺動部材22の下部に設けた凹部に収容された円柱状の可撓性部材31dと、その可撓性部材を押圧し第1の筒体の内面に当接させる揺動片31cと、一端をその揺動片に係着され可撓性部材を押圧するように付勢するバネ体31bと、バネ体の他端が係着され凹部に螺合されたネジ部材31aとから構成されている。ネジ部材をねじ込むとバネ体により押圧された揺動片が可撓性部材を第1の筒体の内面に当接させる。これにより、可撓性部材と第1の筒体との摩擦力が増大して、ピストン部の制動力を増大させることができる。本変形例では、ネジ部材のねじ込み量を変化させることにより、ピストン部の制動力の調整が可能であるという特徴を有する。
【0041】
図15は、図8の摺動部材22の別の変形例2を示している。本変形例は、クッションリングに代えて、摺動部材22と別体の制動機構32を用いるようにしたものである。制動機構32は、第1の筒体の上端外周部に嵌着され外周面に雌ネジを有するキャップ部材32cと、キャップ部材の外側に配置されキャップ部材と螺合するネジ部材32dと、ネジ部材と係合しキャップ部材を保護するカバー部材32aと、キャップ部材とカバー部材との間の空隙に、第2の筒体を介して対向配置された円柱状の一対の可撓性部材32bとから構成されている。ネジ部材をねじ込むと、一対の可撓性部材は第2の筒体の外周面に当接し、可撓性部材と第2の筒体との摩擦力が増大して、ピストン部の制動力を増大させることができる。本変形例では、ネジ部材のねじ込み量を変化させることにより、ピストン部の制動力の調整が可能であるという特徴を有する。
【0042】
図16は、図6のロック機構の変形例1を示している。本変形例では、一端がケーシング1の一方の側面に固着され、トップバー5を跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシング1の他方の側面に固定されたベルト部材を有している。図15に示すように、トップバーの概ね中央にハンドル40が固着されており、ベルト部材44の自由端はトップバーを跨いでケーシングの側面に固着された固定部材45により着脱自在に固定されている。本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とすることができるので、より低コストの可搬式スクリーン装置を提供することができる。
【0043】
図17は、ロック機構の別の変形例2を示している。本変形例では、ロック機構に一対のベルト部材を用いた例を示している。本変形例は、一端がケーシング1の一方の側面に固着され、トップバー5を跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシング1の他方の側面に固定された一対のベルト部材46,47を有している。ベルト部材46,47の自由端はケーシング1の他方の側面に固着された固定部材48,49に着脱自在に固定されている。ハンドル41はケーシング1の概ね中央であって、固定部材48,49の間に固着され、トップバー5の中央には掛止用の引掛け部材43が固着されている。本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とするとともに、一対のベルト部材を用いることにより、より確実にトップバーをケーシングに固定することができる。
【0044】
図18は、ロック機構の別の変形例3を示している。本変形例では、ロック機構にハンドルと一体化した一対のベルト部材を用いた例を示している。本変形例は、一端がケーシング1の一方の側面に固着され、トップバー5を跨ぐようにして他端が着脱自在にケーシング1の他方の側面に固定された一対のベルト部材50,51を有している。ベルト部材50,51の自由端はケーシング1の他方の側面に固着された固定部材52,53に着脱自在に固定されている。ハンドル42は一対のベルト部材50,51に両端が回動可能に軸支されている。また、トップバー5の中央には掛止用の引掛け部材43が固着されている。本変形例によれば、ロック機構を簡単な構成とするとともに、一対のベルト部材を用いることにより、より確実にトップバーをケーシングに固定することができる。
【0045】
実施の形態2.
本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置は、実施の形態1の可搬式スクリーン装置と同様に、第1の筒体と第2の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を有する点は共通するが、実施の形態1で用いた第2のエアダンパーに代えてガススプリングを第2の筒体内に配設するとともに、トップバーに引掛け部材とハンドルを設けている。実施の形態1の可搬式スクリーン装置との差違を中心に説明する。
図19と図20は、それぞれ本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置S2の使用時の状態の一例を示す模式正面図と模式背面斜視図である。映写面4aを有するスクリーン4は、ケーシング1の背面に支柱取付部材112を介して立設され先端に水平回動可能なフック部7を有する支柱6により展張状態に保持されている。トップバー5の概ね中央には取付け部材111を介して引掛け部材110が配設されており、その引掛け部材110をフック部7に掛止してスクリーン4を吊下げている。また、ケーシング1の中央から離間した位置には、持運び用のハンドル114と、トップバー5をケーシング1に固定するロック機構113とそのロック機構113と係合する被係合部115と、支柱ロック解除機構の一部であるペダル116aが配設されている。
【0046】
図21は、収納時の可搬式スクリーンS2の構造の一例を示している。支柱6は支柱取り付け部材112に軸支された下端を中心に回動させて倒伏する。これにより、支柱6は支柱全体をケーシング1に平行にした状態で収納されている。トップバー5には、その中央から倒伏した支柱6の延在方向に引掛け部材110と離間して持運び用のハンドル114が配設されている。トップバー5は、ロック機構113がケーシング1に接して配設された被係合部115と係合することにより、ケーシング1に固定される。また、ペダル116aは、被係合部115の下方から突き出すようにケーシング1の底部に配設されている。一般に、ハンドルをトップバーの中央に設けると、倒伏支柱の重さによりスクリーン装置の水平バランスが崩れてスクリーン装置が前方あるいは後方に傾斜するため、収納したスクリーン装置を持ち運ぶ際には余分な力を要する。しかし、ハンドルをスクリーン装置の重心の上部近傍に設けると水平バランスが維持されるため、スクリーン装置の持ち運びを楽に行うことができる。
【0047】
図22は、図21のXXII−XXII線に沿った縦断面図である。ケーシング1の背面には、支柱6を軸支する支柱取付け部材112が取着されている。支柱取付け部材112は、ケーシング1の底部にリベット14,15により締着されて固定されている。ケーシングの底面には、ケーシングの軸周りに回動可能に軸支され、ペダル116aがケーシングの正面側に突き出したペダル機構116が配設されている。図23の模式斜視図に示すように、ペダル機構116は、一端にペダル116aと、他端には幅狭の突片からなり上下方向に揺動する揺動部116cと、ペダル116aと揺動部116cとを連動させる軸部116bとを有している。さらに、揺動部116cは、後述の解除部を動作させる押上げ部116dと、ペダルに復帰力を付与する戻りバネ(不図示)の一端を係止する第1のバネ係止部116eを有している。収納時においては、支柱取付け部材に設けられた第2のバネ係止部(不図示)に戻りバネの他端が係止され、その戻りバネの付勢力によりペダルは待機位置に復帰する。
【0048】
トップバーをケーシングに固定するロック機構113は、その一端が回動可能にケーシングに軸支され、他端は自由端を構成している。作動時には、自由端は、開口部を挟んで対向する被係合部115と係合してロック機構113をロックする。被係合部115は、第1のケース部材1aの表面に配設され、その一端はケーシング1の底部にリベット14により締着され、他端はリベット(不図示)により第1のケース部材1aに締着されて固定されている。なお、ロック機構はロック機構に限定されるものではなく、実施の形態1のスライドロック機構あるいはケーシングの開口部を挟んで係合部材同士を係合させるものであれば種々の形態のロック機構を適用することができる。
【0049】
図24は、昇降機構を用いたスクリーン装置の一例を示す模式縦断面図であり、支柱を起立させ、第3の筒体6cを第2の筒体6bから引き出す前の状態を示している。昇降機構は、シリンダ120aとシリンダ内を軸方向に摺動可能なピストンロッド120bとを備えたガススプリング120と、シリンダ120aの上端部に軸支されたプーリーを有するプーリー部121と、プーリーに掛け渡されたワイヤ122とから構成されている。ガススプリング120は、シリンダ120aが上側となるように第2の筒体6b内に配置され、ピストンロッド120bの外側端部は第2の筒体6bの下端部の内周面に取着された摺動部材124に固定され、シリンダ120aが上下に移動可能である。プーリー部121は、シリンダ120aの上端部に軸支された1個のプーリー121aとそのプーリーを保護するプーリーカバー120bとから構成されている。プーリーに掛け渡されたワイヤ122の一端は、ピストンロッド120bの外側端部を固定する摺動部材124に固定され、他端は、第3の筒体の下端部に取着された摺動部材123に固定されて張設されている。ここで、プーリー部はシリンダの上端部に設けたブラケットに取り付けることが好ましい。
【0050】
ガススプリングには、高圧ガスがオリフィスを有するピストンを介してシリンダ内部に封入されており、ピストンロッドの伸縮に伴うシリンダ内の体積変化を、オイルを介して間接的に或いは直接的にガスの圧力変化により調整している。図24の状態では、後述するように第3の筒体が第2の筒体に係合して固定された状態にあり、ワイヤの他端が下方に引っ張られることで、その引張力が、シリンダ内のガス圧力による反発力に抗してピストンロッドをシリンダ内に押し込む圧縮力として作用している。一方、第3の筒体と第2の筒体との係合を解除すると、シリンダ内のガス圧力による反発力によりワイヤの他端が上方に引っ張られることで第3の筒体はシリンダと一体的に上昇して第2の筒体から引き出される。また、第3の筒体を収納する場合には、第3の筒体を押し込むとワイヤの他端が下方に引っ張られてシリンダが下降するが、シリンダ内のガス圧力による反発力が発生し、第3の筒体を緩やかにかつ円滑に降下させることができる。
ここで、1個のプーリーにワイヤを掛け渡すことにより、ガススプリングの伸縮ストロークの2倍の昇降ストロークを得ることができる。これにより、ガススプリングの伸縮ストロークに制限されることなく、第3の筒体の昇降ストロークを大きくすることができるので、100インチ等の大型のスクリーンに好適に用いることができる。
【0051】
一方、第2の筒体6bと第3の筒体6cとを一体的に移動させる第3の支柱ロック機構は、フック部7内に配設された揺動部材117と、第3の筒体6cの上端部の内側に配設されたロック部材118とで構成される。ここで、フック部7は、フック部材71と、第2の筒体6bと第3の筒体6cとの係合を解除する第1の揺動部材117と、フック部材71に同心的に嵌挿されフック部材71を水平回動可能に支持する支持部72と、支持部72とフック部材71とを連結する連結キャップ25とを有している。
【0052】
揺動部材117は、フック部材71の内側に上下方向に揺動可能に支持され、一端に当接突部117bと、他端に解除レバー117aと、当接突部117bと解除レバー117aとを連動可能に支持する軸部117cを有している。さらに、軸部117cには、一端がフック部材71に係着された付勢バネ117dの他端が係着されている。また、軸部117cは、係合突部117eを有しており、スクリーン非使用時には、図25に示す、掛止部71aに設けた係合孔71dと係合して揺動部材117をフック部材71に固定する。この状態では、解除レバー117aはフック部材71内に収容されており、解除レバー117aを操作することはできない。この係合を解除するには、引掛け部材110をフック部材71の掛止部71aに引掛ければ良い。引掛け部材110下部の突部110aが係合突部117eを押し下げ、係合突部117eと係合孔71dとの係合が解除される。そうすると、揺動部材117が下方に揺動して、解除レバー117aがフック部材71の下方に突き出るので解除レバー117aを指押し操作により押し下げることが可能となる。
【0053】
また、ロック部材118は、第2の筒体6bと第3の筒体6cとを係合する係合突部を有し、第3の筒体6cの上端部の内側に、第3の筒体の径方向に揺動可能に軸支されている。すなわち、ロック部材118は、その一面の上下方向に直線状に形成された上方の第1係合突部118aと下方の第2係合突部118bを有している。第3の筒体の上下方向には直線状に上方の第1係合孔62cと下方の第2係合孔63cとが形成されており、第1係合突部118aは第1係合孔62cと係合し、第2係合突部118bは第2係合孔63cと係合する。さらに、第2の揺動部材の一端には、一端が第3の筒体の内面に係着され第2係合突部118bを第2係合孔63cと係合するように付勢する付勢バネ118cの他端が係着されている。なお、第3の筒体の第2係合孔63cは、第3の筒体を第2の筒体に押し込んで収納した状態で位置合わせされ、第2の筒体とスペーサ部材61bと第3の筒体6cを貫通する係合孔132の一部をなす。
【0054】
第3の支柱ロック機構が作動状態にあると、揺動部材117と連結キャップ25を介して、フック部材71と第2及び第3の筒体6b,6cとを一体的に移動させることができる。すなわち、支柱を伸長させる場合、第2の筒体6bを第1の筒体6aから引き出すが、フック部7を掴んで引き上げれば、第2の筒体6bと第3の筒体6cを同時に引き出すことができる。次に、第3の筒体6cを第2の筒体6bから引き出すには、揺動部材117の解除レバー117aを押し下げれば良い。すなわち、前述のように引掛け部材110をフック部材71の掛止部71aに引掛けた状態では、解除レバー117aがフック部材71の下方に突き出ているので、解除レバー117aを指押し操作で容易に押し下げることができる。解除レバー117aを押し下げると、揺動部材117の当接突部117bがロック部材118の第1係合突部118aに当接し第3の筒体6cの内側に押し込むが、この時、ロック部材118はバネ部材118cの付勢力に抗して第3の筒体6cの内側に揺動し第2係合突部118bと係合孔132との係合が解除される。これにより、ガススプリングのシリンダ内のガス圧力による反発力によりワイヤの他端が上方に引っ張られることで第3の筒体はシリンダと一体的に上昇して第2の筒体から引き出される。ここで、第3の筒体6cを第2の筒体6bから引き出すに際し、スクリーンをフック部に掛けておけば、解除レバーを押し下げると、第3の筒体の上昇とともにスクリーンは自動的に展張される。なお、ガススプリングのシリンダ内のガス圧力による反発力により、第3の筒体の下降が抑制されるので、本実施の形態においては、第3の筒体を第2の筒体に固定する第2の支柱ロック機構を省略することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るスクリーン装置においても、実施の形態1の場合と同様、第2の筒体6bを減速させ徐々に下降させる第1のエアダンパーを有する。すなわち、図24に示すように、第2の筒体6bの下端部に配設した摺動部材124の下部に第1の筒体内を気密状態で摺動可能なピストン部125を配設する一方、第1の筒体の底部の支持部材に第1の排気部(不図示)を設け、第1の筒体6a内部の空気をピストン部125で閉じこめて第1のエアダンパーを構成する。ピストン部21は、摺動部材124の底部に取着された逆テーパ形状のロッド125aと、そのロッド125aに形成された環状突部125bと、ロッド125aの下端部に取着され、第1の筒体6aの内周面に摺接するピストンパッキン21bとで構成されている。第1の排気部の構造と、第1のエアダンパーの動作機構は、実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0056】
以下に、本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置の動作を説明する。
使用時には、まず支柱を起立させる。次いで、第2及び第3の筒体を第1の筒体から引き出すが、フック部を掴んで引き上げることにより、第2及び第3の筒体を一度に引き出し、第1の支柱ロック機構をロックして第2の筒体を第1の筒体に係合させる。次いで、トップバーに設けた引掛け部材をフック部に掛けてフック部の解除レバーを押し下げると、第2の筒体と第3の筒体の係合が解除され、ガススプリングのシリンダ内のガス圧力による反発力により、第3の筒体が自動的に上昇して第2の筒体から引き出され、これに伴いスプリングロールから巻出されたスクリーンが展張される。ガス圧力による反発力により第3の筒体の下降が抑制されるので、スクリーンの展張状態が保持される。
【0057】
一方、収納する場合には、引掛け部材をフック部に掛けた状態で、ペダルを踏み込むと、第1の支柱ロック機構が解除されて、第2の筒体が下降するが、第1の筒体と第2の筒体がエアダンパーを構成しているので、第2の筒体はゆっくりと下降する。次いで、引掛け部材をフック部から外し、トップバーをそのまま開口部の上に下ろすことによりスクリーンをケーシング内に収納する。次いで、第3の筒体を第2の筒体に押し込むが、シリンダ内のガス圧力による反発力が第3の筒体の下降に対する制動力として作用して第3の筒体は徐々に下降し、ロック部材により第3の筒体が第2の筒体に固定され支柱の短縮が終了する。次いで、ロック機構によりトップバーをケーシングに固定する。支柱は、フック部が周囲に突き出さないようにフック部を回動させた後、倒してケーシングに平行となるように収納する。
【0058】
以上のように、本実施の形態に係る可搬式スクリーン装置は、第2の筒体内にガススプリングからなる昇降機構を設けたので、使用時にはフック部に設けた解除レバーを押し下げるだけで第3の筒体を自動的に上昇させることができるので、100インチ等の大型スクリーンであっても、スクリーンの展張が容易である。一方、収納時には第3の筒体を緩やかに下降させて第2の筒体内に収納することができるので、スムーズな収納が可能である。また、ハンドルをスクリーン装置の重心の上部近傍に設けるようにしたのでスクリーン装置の水平バランスが維持されるため、収納時のスクリーン装置の持ち運びを楽に行うことができる。なお、支柱ロック解除機構を有しているので実施の形態1と同様に、ペダルを踏み込むという単一操作により支柱を短縮することができ、スクリーン装置の収納操作を容易に行うことができるという効果も有する。
【0059】
なお、本実施の形態においては、シリンダ側に1個のプーリーを用いた例を示したが、2個以上のプーリーを用いることもできる。すなわち、ガススプリングのシリンダとピストンロッドの各端部に同数軸支された2以上のプーリーを固定し、一端を上段の筒体の下端部の内周面に配設された摺動部材に固定したワイヤを2以上のプーリーに交互に掛け渡し、他端をピストンロッドの端部に固定する構成とすることもできる。この場合、掛け渡されたワイヤの往復数に比例して、第3の筒体の昇降ストロークを増加させることができ、例えば、2往復では、ガススプリングの伸縮ストロークの4倍の昇降ストロークを得ることができ、4往復では8倍の昇降ストロークを得ることができる。しかし、支柱を小型化や軽量化するためには、1個のプーリーを用いることが好ましい。
【0060】
また、本実施の形態では、シリンダが上方に位置するように第2の筒体内にガススプリングを配置したが、ピストンヘッドが上方に位置するようにガススプリングを配置することもできる。この場合、ピストンヘッドの下端部に1個のプーリーを軸支し、プーリーに掛け渡すワイヤの一端をシリンダの上端部に固定し、他端を上段の筒体の下端部の内周面に配設された摺動部材に固定してワイヤを張設する。さらにシリンダの上端部を第2の筒体の摺動部材の上部に固定し、第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材にピストンロッドの上部を係合させる。
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、ペダルの踏み込みに連動して最下段の筒体とその上段の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を設けるようにしたので、ペダルを踏み込むという単一操作により支柱を短縮することができ、スクリーン装置の収納操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る可搬式スクリーン装置の一例であり、使用時の構造を示す模式斜視図である。
【図2】図1の可搬式スクリーン装置において、スクリーンを巻戻した状態の構造を示す模式斜視図である。
【図3】図1の可搬式スクリーン装置の収納時の構造を示す模式斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った模式縦断面図である。
【図5】図1の可搬式スクリーン装置に用いるペダル機構の一例を示す模式平面図である。
【図6】トップバーを固定するロック機構の動作の一例を示す模式断面図であり、(a)は使用状態、(b)は解除状態を示す。
【図7】図2のVI−VI線に沿った模式縦断面図である。
【図8】図2の支柱の模式断面図である。
【図9】図8のピストン部の模式拡大断面図である。
【図10】図1の可搬式スクリーン装置に用いるフック部の構造を示す模式分解斜視図である。
【図11】図1の可搬式スクリーン装置に用いるフック部及び第2の支柱ロック機構の構造を示す模式断面図である。
【図12】図1の可搬式スクリーン装置に用いるフック部及び第3の支柱ロック機構の構造を示す模式断面図である。
【図13】本発明に用いた解除用アームの構造の一例を示す模式平面図(a)と、模式側面図(b)である。
【図14】摺動部材の変形例1の構造を示す模式断面図である。
【図15】摺動部材の変形例2の構造を示す模式断面図である。
【図16】ロック機構の変形例1の構造を示す模式斜視図である。
【図17】ロック機構の変形例2の構造を示す模式斜視図である。
【図18】ロック機構の変形例3の構造を示す模式斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る可搬式スクリーン装置の一例であり、使用時の構造を示す正面側の模式斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る可搬式スクリーン装置の一例であり、使用時の構造を示す背面側の模式斜視図である。
【図21】図19の可搬式スクリーン装置の収納時の構造を示す模式斜視図である。
【図22】図21のXXII−XXII線に沿った模式縦断面図である
【図23】図19の可搬式スクリーン装置に用いるペダル機構の一例を示す模式平面図である。
【図24】図19の可搬式スクリーン装置に用いるフック部及び昇降機構の構造を示す模式断面図である。
【図25】図19の可搬式スクリーン装置に用いるフック部の構造を示す模式斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ケーシング、1a 第1のケース部材、1b 第2のケース部材、1c 開口部、1d キャップ、2 スプリングロール、3 脚部、4 スクリーン、5 トップバー、5a 支持バー、5b 保護カバー、6 支柱、6a 第1の筒体、61a スペーサ、62a 貫通孔、6b 第2の筒体、62b 貫通孔、6c 第3の筒体、61c 、61b スペーサ、611b 係合孔、62c 第1係合孔、63c 第2係合孔、7 フック部、71 フック部材、71a 掛止部、71b ガイド溝、71c 天井部、71d 係合孔、72 支持部、72a 摺動突部、72b 上面、72c 係合突部、8 第1の支柱ロック機構、8a 筒体係合部、81a 係合部材、82a バネ体、8b 凹部、9 第2の支柱ロック機構、9a 筒体係合部、91a 係合部材、92a バネ体、9b 凹部、10 ロック機構、10a 蓋体、10b 遊動軸、10c 回動軸、11 ハンドル、11a ハンドル取付部材、12 支柱取付部材、13 支柱ロック解除機構、14,15,16 リベット、17 ペダル機構、17a ペダル、17b 軸部、17c 揺動部、17d 押上げ部、17e 第1のバネ係止部、17f 戻りバネ、18 支持部材、18a 頂部、18b 基部、18c 軸部、18d 凹部、19 連結部、19a 支持部材、19b 係合端部、19c 解除バネ、20 解除部、20a 被係合部、20b 上端部、21 ピストン部、21a ロッド、21b ピストンパッキン、21c クッションリング、21d 環状突部、22 摺動部材、22a 排気孔、22b リーク溝、22c 連通孔、22d リークバルブ、27 摺動部材、23 第3の支柱ロック機構、24 揺動部材、24a解除レバー、24b 軸部、24c 爪部、24d 解除バネ、25 連結キャップ、26 解除用アーム、26a アーム、26b 解除部、26c 突起部、27 摺動部材、28 第1の排気部、29 第2の排気部、30 摺動リング、31,32 制動機構、31a ネジ部材、31b バネ体、31c 揺動片、31d 可撓性部材、32a カバー部材、32b 可撓性部材、32c キャップ部材、32d ネジ部材、40,41,42 ハンドル、43 引掛け部材、44,46,47,50,51 ベルト部材、45,48,49,52,53 固定部材、110 引掛け部材、110a 引掛け部材の突部、111 引掛け部材用取付け部材、112 支柱取付部材、113 ロック機構、114 ハンドル、115 被係合部、116 ペダル機構、116a ペダル、116b 軸部、116c 揺動部、116d 押上げ部、116e 第1のバネ係止部、117 揺動部材、117a 解除レバー、117b 当接突部、117c 軸部、117d 付勢バネ、117e 係合突部、118 ロック部材、118a 第1係合突部、118b 第2係合突部、118c 付勢バネ、120 ガススプリング、120a シリンダ、120b ピストンロッド、121 プーリー部、121a プーリー、122 ワイヤ、123,124 摺動部材、125 ピストン部、125a ロッド、125b 環状突部、125c ピストンパッキン、132 係合孔、S1,S2 可搬式スクリーン装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する開口部を上面に有するケーシングと、該ケーシングに回動自在に取り付けられたスプリングロールと、収納時には上記スプリングロールに巻回され、使用時には上記開口部から巻き出されるスクリーンと、該スクリーンの一端が固着され、収納時には上記開口部を塞ぐ蓋体を兼ねるトップバーと、該ケーシングの背面中央部に一端が起伏可能に軸支され、起立時には巻き出したスクリーンを展張状態に保持する伸縮可能な支柱と、を有する可搬式スクリーン装置であって、
上記支柱を相互に摺動してスライド伸縮可能な複数の筒体で構成し、最下段の筒体には、引き出した次段の筒体を係合し上記支柱を所定高さに保持する第1の支柱ロック機構を設ける一方、ペダルの踏み込みに連動して最下段の筒体とその次段の筒体との係合を解除する支柱ロック解除機構を設けてなる可搬式スクリーン装置。
【請求項2】
上記第1の支柱ロック機構は、最下段の第1の筒体の上端部に設けられた貫通孔からなる係合受部と、その次段の第2の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の凹部に配置され上記係合受部と係合する係合部とを有し、かつ該係合部が、上記貫通孔と係合する係合突部と、該係合突部を付勢するバネ体と、から成る請求項1記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項3】
上記支柱ロック解除機構は、ペダル機構と、上記最下段の筒体の側面に配置され、上記筒体の長手方向に沿って固定位置から解除位置に前進あるいは解除位置から固定位置に後退し、解除位置において次段の係合を解除する解除部と、ペダル機構からの操作力を伝達し解除部を上記筒体の長手方向に沿って進退移動させる連結部と、からなる請求項1又は2に記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項4】
上記ペダル機構は、上記ケーシングの底面にケーシングの軸周りに揺動可能に軸支され正面に突出するペダルを有する請求項3記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項5】
上記連結部は、バネ体を介して上記最下段の筒体の基部に支持された支持部と、上記解除部の一端と係合する押上げ部とを有する伝達部材を有し、かつ上記バネ体は解除部を固定位置に戻す方向に上記押上げ部を付勢しており、上記バネ体の付勢力に抗して上記ペダルを踏み込むことにより解除部を固定位置の方向に押し出すようにした請求項4記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項6】
上記解除部は、上記最下段の筒体の側面に該筒体の長手方向に移動可能に配設された解除バーであって、その先端は断面テーパ形状であり、解除部を解除位置に前進させると、先端が上記係合突部に当接し、該係合突部を上記の摺動部材の凹部に押し込んで、第1の支柱ロック機構を解除するようにした請求項3から5のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項7】
上記支柱は3本の筒体からなり、最上段の第3の筒体を中段の第2の筒体に係合する第2の支柱ロック機構を有しており、該第2の支柱ロック機構は第2の筒体の上端部に設けられた貫通孔からなる係合受部と、その上段の第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の凹部に配置され上記係合受部と係合する係合部とを有し、かつ該係合部が、上記貫通孔と係合する係合突部と、該係合突部を付勢するバネ体と、から成り、上記フットペダルの踏み込みにより第1の支柱ロック機構が解除され第2の筒体が下降すると、第3の筒体の係合突部が上記解除部の先端に当接し、該係合突部を上記の摺動部材の凹部に押し込んで、第2の支柱ロック機構を解除するようにした請求項6記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項8】
第2の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の底部に第1の筒体内を摺動可能なピストン部を配設する一方、第1の筒体の基部に第1の排気部を設け、第1の筒体と第2の筒体とで第1のエアダンパーを構成するようにした請求項1から7のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項9】
上記第2の筒体の摺動部材の上部に第2の排気部を設ける一方、第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材の底部に第1の筒体内を摺動可能なピストン部を配設し、第2の筒体と第3の筒体とで第2のエアダンパーを構成するようにした請求項8記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項10】
上記ピストン部は、上記摺動部材の底部に取着されたロッド部と、該ロッド部の先端に取着され、第1の筒体の内周面と摺接するピストンパッキンと、該ロッド部の中間部に取着された1以上のクッションリングとからなる請求項8又は9記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項11】
上記ロッド部は、第1の筒体側が小径となる逆テーパ形状を有する請求項10記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項12】
上記支柱は、下段側の筒体内に配設され該下段側の筒体の上段の筒体を昇降させるガススプリングからなる昇降機構を有する請求項1から6のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項13】
上記ガススプリングは、上記上段の筒体と上下方向に一体的に移動可能なシリンダと該シリンダ内を軸方向に摺動可能なピストンロッドとを備えてなる請求項12記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項14】
上記昇降機構は、さらに、上記シリンダの上端部に軸支された1個のプーリーと、該プーリーに掛け渡されたワイヤとを有し、該ワイヤの一端をピストンロッドの下端部に固定する一方、他端を上段の筒体の下端部の内周面に配設された摺動部材に固定して該ワイヤを張設するようにした請求項13記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項15】
上記支柱は3本の筒体からなり、中段の第2の筒体の摺動部材の上部に上記ピストンロッドの下端部を固定する一方、最上段の第3の筒体の下端部の内周面に取着した摺動部材に上記シリンダの下端部を係合させ、上記シリンダの上下移動に伴い第3の筒体が昇降するようにした請求項14記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項16】
上記トップバーの中央部に引掛け部材を固着する一方、上記支柱の上端部にフック部を設け、該フック部に上記引掛け部を掛止するようにした請求項1から15のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項17】
上記トップバー上であって、中央から倒伏支柱の延在方向に上記引掛け部材と離間して持運び用のハンドルを設けてなる請求項16記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項18】
上記引掛け部材は持運び用のハンドルを兼ねる請求項16記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項19】
上記フック部を上記支柱の上端部に水平回動可能に取付け、上記支柱の倒伏時にはフック部を回動させて上記ケーシングに密着させるようにした請求項16から18のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項20】
上記フック部は、引掛け部を掛止する掛止部を側部に有するフック部材と、該掛止部内に配設され第2の筒体の上端部と係合する揺動部材と、フック部材に同心的に嵌挿されフック部材を水平回動可能に支持する支持部と、支持部とフック部材とを連結する連結キャップとを有する請求項16から19のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項21】
上記揺動部材は一端に爪部を有しており、該爪部を第2の筒体に嵌着させたスペーサ部材の先端の環状突部に解除可能に係合させ、フック部と第2及び第3の筒体を一体的に第1の筒体から引き出せるようにした請求項20記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項22】
第3の筒体の上端部の内側に第2の筒体と第3の筒体とを係合するロック部材を設けてなる請求項20記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項23】
上記揺動部材は、一端に上記ロック部材に当接可能な当接突部と、他端に解除レバー部を有しており、解除レバー部の押し下げ操作により当接突部をロック部材に当接させ、ロック部材を第3の筒体の内側に押し込んで第2の筒体と第3の筒体との係合を解除する請求項22記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項24】
上記揺動部材は、上記フック部材の掛止部に形成された係合孔と係合する係合突部を有しており、スクリーン非使用時には、上記係合孔と上記係合突部が係合して、上記解除レバー部をフック部材内に収容する一方、スクリーン使用時には上記引掛け部材により上記係合突部が押し下げられて上記係合孔との係合が解除され、上記解除レバー部が上記フック部材の下方に突出する請求項23記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項25】
収納時にトップバーをケーシングに固定するスライド式ロック機構を有しており、該ロック機構は、先端に爪部を有し、後端には遊動軸運動をする遊動軸を介して回動軸に連結された蓋体と、その爪部と係合する係合部とからなり、蓋体と該係合部がケーシングの開口部を挟んで配設されてなる請求項1から24のいずれか一つに記載の可搬式スクリーン装置。
【請求項26】
上記ロック機構は、蓋体を開放状態に保持するバネ体を有しており、該バネ体は、遊動軸と回動軸にS字状に巻回され、一端はケーシングに当接し、他端は蓋体に当接する請求項25記載の可搬式スクリーン装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−72291(P2006−72291A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354390(P2004−354390)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000200666)泉株式会社 (24)
【Fターム(参考)】