説明

可搬式遊技機プレゼンテーション装置

【課題】 顧客の視界を遮ることなく、容易な操作によって遊技機のプレゼンテーションを実施できる様にする。
【解決手段】 可搬式遊技機プレゼンテーション装置1には、キャスター付きの筐体11の内部にパチンコ機の各種制御基板41〜46を収納し、周壁に取り付けたスペーサ21等を介して設置された金物25〜27に遊技盤Cを取り付け、前方から蓋体12で開閉可能に覆うと共に、メイン制御基板42に対して指令を送信する有線式のコントローラ50を備えさせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球機、メダルを用いたスロットマシン、球を用いたスロットマシン等の遊技機のプレゼンテーションを行う際に使用する可搬式遊技機プレゼンテーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の販売活動においては、実際の遊技機を使って商品説明をするのが好ましい。しかし、顧客店舗に出向いて販売活動を行う場合には、重くて大きく、携帯に適しているとは言い難い遊技機を持参することは営業マンにとって酷である。
【0003】
そこで、遊技機中で最も顧客が関心を寄せる遊技盤およびその遊技盤を制御する回路部分のみを取り出して携帯に適したパッケージとする技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
この特許文献1に記載された装置は、底面に車輪と脚部とを備えた筐体内に遊技機の各種制御基板及び遊技盤を収納して持ち運ぶ様にしたものである。また、特許文献1は、遊技盤の図柄表示装置の表示内容を選択するスイッチ等を備えた操作部を筐体の開口部下側に設けることも提案している。
【特許文献1】特開2001−104631号公報(要約,0046,図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で提案されたスイッチを営業マンが操作してプレゼンテーションを行う際、スイッチが開口部の下側に固定されていることから、営業マンは屈み込んで操作をしなければならなず、操作し難いという問題がある。また、スイッチ操作をする際に、遊技盤のサイドランプ等が営業マンの体で遮られてしまい、顧客は遊技盤全体の様子を見ることができないという問題もある。
【0006】
そこで、本願は、表示内容を変更するための操作が容易であり、かつ、その様な操作をすることによって遊技盤に対する顧客の視界を遮ることがない様にして、最適なプレゼンテーションを実施できる様にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置は、筐体の内部に遊技機の制御基板を収納し、前記筐体前面の開口部に前記制御基板によって制御される遊技盤を遊技領域を前方に向けて装着し、前記筐体を前方から蓋体で開閉可能に覆うと共に、前記制御基板に対して指令を送信することにより、遊技時における前記遊技機の図柄表示装置やランプ類の表示状態及び音声をデモンストレーションするための遊技機用の可搬式のプレゼンテーション装置であって、以下の構成を備えることを特徴とする。
(1)前記制御基板に対して、前記デモンストレーションの指令を送信するコントローラを、前記筐体とは別体に備えたこと。
【0008】
デモンストレーションの指令を行うコントローラを筐体と別体に設けることで、営業マンが顧客の視界を遮ることなく、筐体から少し離れた位置からの操作によって遊技機のデモンストレーションを実施することができる。従って、営業マンは楽な姿勢でデモンストレーションを実施することができ、顧客は、遊技盤の全体における遊技演出の状態を視界を遮られずに確認することができる。
【0009】
なお、コントローラからの指令の送信方法としては、有線及び無線のいずれとすることもできる。有線とする場合、例えば、制御基板の入出力端子にコントローラから延ばした信号ケーブルを接続する様にすればよい。また、無線とする場合は、例えば、筐体の適所に赤外線通信機を設置し、当該赤外線通信機を制御基板の入出力端子に接続し、コントローラ側にも赤外線通信機を内蔵させる様にすればよい。
【0010】
また、コントローラには、デモンストレーションによって図柄表示装置に表示する演出パターンの選択機能、音量調節機能、パターン変更機能、一旦停止機能、紹介モード選択機能、ランダム紹介機能などを実現するための操作キー群を備えさせておくとよい。
【0011】
また、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2)前記筐体又は蓋体には、前記コントローラを収納するためのコントローラ収納部を備えていること。
【0012】
(2)の構成に示した様に、コントローラ収納部を、筐体又は蓋体に設ける構成を採用することで、搬送時にコントローラを別に持ち歩く必要がない。また、コントローラの置き忘れや紛失といった問題もなくすことができる。ここで、コントローラ収納部は、蓋体を閉じたときに内部側になる位置に設置しておくと、搬送時に邪魔になったり、誤って落としたりすることがなく、破損防止等の効果が発揮される。なお、有線の場合は特に、筐体側にコントローラ収納部を設けることが望ましい。これは、蓋体側に設けた場合に、蓋体を取り外すときにコントローラと制御基板とを接続するケーブルが引っ張られて抜けるおそれがないからである。
【0013】
さらに、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(3a)前記筐体の周壁に、遊技盤を着脱可能に取り付けるための遊技盤取付用金物を設置したこと。
(3b)前記遊技盤取付金物の設置位置は、前記遊技盤を該金物に取り付けた際に、該遊技盤の裏面側に前記制御基板の収納スペースを確保できる位置とされていること。
【0014】
(3a),(3b)の構成を備えることで、遊技盤の全体を正面から視認することができ、しかも、各種制御基板は遊技盤の裏側に収納して隠すことができるので、プレゼンテーションを受ける顧客は、ホールに設置された遊技機を見ているのとイメージ的に相違がなく、違和感を与えない。ここで、プレゼンテーションにおける音声を出力するためのスピーカ装置もこの収納スペースに納める様にするとよい。また、蓋体にスピーカ装置を備えさせてもよい。
【0015】
なお、遊技盤取付金物は、遊技盤を取り付けたときに、遊技盤の表面と蓋体の内面とが所定間隔を保つことができる様にしておく。この所定間隔は、具体的には、完成体である遊技機における遊技盤の表面とガラス板の裏面との間隔を保つことを意識して決定するとよい。この間隔を保つことができれば、遊技盤の表面側に配される障害釘や役物と蓋体の裏面との干渉を防ぐことができるからである。
【0016】
上述の観点からは、蓋体の裏面には、仮に障害釘等が接触しても損傷しない様にクッション部材(スポンジシートなど)を内張しておくとよい。
【0017】
また、上述した本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(4a)前記遊技盤に、その裏面を保護するリアカバーを取り付けること。
(4b)前記制御基板は、一部を前記筐体の内壁に、その他のを前記リアカバーに固定することにより、前記収納スペース内に納められていること。
【0018】
例えば、電源制御基板は、筐体の周壁に固定し、遊技内容に関する制御を行う制御基板(メイン制御基板、統括制御基板、サブ制御基板)はリアカバー側に固定する。メイン制御基板等は、遊技機の機種特有の抽選処理や演出パターンの実施に関わるものであるから遊技盤側と一体にしておく方が望ましいのである。一方、電源制御基板は、100V電源を24Vに変換すると共に、24Vをさらに5V、12V等、遊技機の演算回路やモータ等の駆動用電源を確保するためのものであるから、遊技機毎に取り替える必要がない。よって、筐体側に固定しておく方がより適している。この様に、(4a),(4b)の構成をも採用し、制御基板の取付位置を分けることで、遊技盤の裏面側の筐体内の空間を有効利用することができる。なお、スピーカ等も筐体の周壁に固定する様にするとよい。
【0019】
ここで、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(5)前記筐体の周壁には、スペーサ部材が取り付けられ、前記制御基板の内の一部や前記遊技盤取付用金物は、該スペーサ部材に対して固定されていること。
【0020】
筐体の周壁には、遊技盤取付金物や制御基板の一部を取り付ける。機種の変更等により、金物の取付位置等を変更する必要が生じることがある。従って、筐体に直接金物等を取り付けるのではなく、スペーサを介して取り付けることにより、機種変更時にはスペーサの交換で対応することができる。なお、スペーサには、1機種だけでなく、複数の機種に対応できる様な取付孔を設けておき、交換の回数を減らす様にすることもできる。ここで、スペーサは、軽量化の観点等から、ABS樹脂板を用いることが望ましい。もちろん、アクリル板や金属板(アルミ板等)でも構わない。この構成をも採用することで、機種変更時にも、筐体や蓋体といった主要な部材はそのまま使用することができる。
【0021】
ここで、顧客ニーズに合った効率のよいプレゼンテーションを行う等の観点から、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに以下の構成をも備える様にするとよい。
(11a)前記デモンストレーション用に複数の紹介モードが設定されていること。
(11b)前記制御基板に対して、前記複数の紹介モードの内のいずれかを選択して実施させるための指令を送信するコントローラを備えたこと。
【0022】
この複数の紹介モードとしては、例えば、始動口に入賞したときの全ての変動状態を紹介する「全変動紹介モード」、リーチ時の変動状態を紹介する「リーチ紹介モード」、プレミアムリーチにおける変動状態を紹介する「プレミアム紹介モード」、変動状態をランダムに紹介する「ランダム紹介モード」等を備えておくとよい。
【0023】
この場合、さらに、リーチやプレミアムリーチの様に変動時間の長い図柄変動状態に関しては、時間通りに全ての経過を表示する「通常モード」と、リーチ時の図柄変動状態の一部を省略してエッセンス部分のみを表示する「ダイジェストモード」を選択できる様にしておくとよい。ダイジェストモードは、例えば、既に「はずれリーチ」を紹介した後で「当たりリーチ」を紹介する様な場合に、「当たりリーチ」の紹介では最後の大当たりに至る部分のみのダイジェスト表示をするといった具合に利用することができ、短時間で多数のバリエーションを紹介する際に有効である。
【0024】
そこで、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(11c)前記紹介モードには、図柄の変動時間を実機と同じにした通常モードと図柄の変動時間を短縮したダイジェストモードとが設定されていること。
(11d)前記コントローラが、前記指令において、前記通常モードとダイジェストモードの選択も行い得る様に構成されていること。
【0025】
また、大当たりの際のラウンドの進行状況を紹介する「大当たりラウンド紹介モード」を備えておくのも有効である。この場合、ラウンド指定によって特定のラウンドの状態を表示する「ラウンド特定モード」を備えるとよい。また、大当たりの際のラウンドの進行状況の紹介について、ラウンド消化時間を短縮した「短縮モード」でデモンストレーションしたり、ラウンド消化時間を最大とした「最長モード」でデモンストレーションすることを選択可能にしてもよい。
【0026】
そこで、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(11e)前記紹介モードには、大当たり状態における図柄変動状態を紹介する大当たりラウンド紹介モードが設定されていること。
【0027】
そして、さらに、以下の構成を備えるとよい。
(11f)前記大当たりラウンド紹介モードには、大当たりの際のラウンド消化時間を短縮した短縮モードが選択可能に設定されていること。
【0028】
この様に、プレゼンテーション用の紹介モードを複数備え、コントローラの指示によってモードを選択してデモンストレーションを行うことができる結果、短時間で、顧客の希望に応じた図柄表示、図柄表示の変動状態等を効率よく紹介することができる。
【0029】
ここで、遊技機に使用される制御基板としては、例えば、一般的なパチンコ機の場合だと、メイン制御基板、統括制御基板、サブ制御基板、電源制御基板等を挙げることができる。メイン制御基板は、始動口に遊技球が入賞した際に、大当りか否かを判定し、当該判定の結果に対する遊技の演出パターンを決定すると共に、停止図柄の決定等を行う。統括制御基板は、メイン制御基板が決定した演出パターン及び停止図柄に基づき、大当りの遊技演出を行うか否か、大当たりの場合に確率変動状態が付与されるか否か、確率変動状態付与に際して昇格演出(通常図柄で当たった後に確変図柄に昇格する演出。従来の再抽選演出と同様。)を行うか否か等の具体的な演出内容を特定するための演出内容パターンを決定する。サブ制御基板は、図柄表示装置を制御する表示制御基板、ランプ類を制御するランプ制御基板及びスピーカを制御する音声制御基板に分かれており、統括制御基板からのコマンドに基づいて、各サブ制御基板が、演出内容パターンに応じた遊技演出を実行する。従って、実際の遊技の際には、「始動口への入賞」、「大当たり抽選」、「演出パターン決定」、「停止図柄決定」、「演出内容パターン決定」、「遊技演出の実行」と、複数の制御基板による複数の処理を経て実際の遊技機における演出が実行されている。
【0030】
そこで、上述の複数の紹介モードを選択実施するためのデモンストレーション用制御プログラムを書き込んだデモンストレーション用ROMを、制御基板側(メイン制御基板)に取り付けておき、コントローラからのモード選択指令に基づいて上記プログラムを実施して任意の紹介モードによるデモンストレーションを実施できる様にしておくとよい。
【0031】
なお、制御基板側ではなく、コントローラ側にデモンストレーション用制御プログラムを書き込んだROMを備えさせておいてもよい。この場合、メイン制御基板における処理が完了した状態の信号を統括制御基板に与える様に構成してもよいし、メイン制御基板による抽選結果等から統括基板が決定する演出パターンをサブ制御基板に与える様に構成してもよい。これらの場合、例えば、メイン制御基板は、コントローラから受信した信号をそのままスルーして統括制御基板に出力する様にするとか、あるいは、さらに、統括制御基板もコントローラからの信号をそのままスルーしてサブ制御基板に出力する様に構成すればよい。なお、信号をスルーさせるのではなく、コントローラからサブ制御基板での制御に必要な信号を出力する様にしておき、この信号を直接サブ制御基板に入力する様にしてもよい。
【0032】
デモンストレーション用制御プログラムは、実機における制御プログラムとは別のものとし、上述の「全変動紹介モード」、「リーチ紹介モード」、「プレミアム紹介モード」、「ランダム紹介モード」等を選択実施できる様にしておくとよい。また、これらの各紹介モードについて、「通常モード」と「ダイジェストモード」とを選択できる様にしておくとよい。さらに、全変動パターンの中から特定の変動パターンを任意に指定して実施できる「特定変動パターン紹介モード」をも備えたプログラムとしておくとよい。加えて、「大当たりラウンド紹介モード」も備え、特に、大当たりラウンドの「短縮モード」や特定のラウンドを指定して再現する「特定ラウンド指定モード」等を備える様にしておくとより一層好適である。
【0033】
また、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(12)前記デモンストレーションの実施方法を変更するデモ実施方法変更手段を備えていること。
【0034】
デモ実施方法変更手段を備えることにより、例えば、「リーチ紹介モード」において予め準備した紹介順序に従ってリーチ時の図柄変動状態を順次紹介する実施方法と、特定のリーチパターンを選択して任意の順序で紹介したり、あるいは指定した特定のリーチパターンのみを紹介するといった具合に実施方法を変更することで、より効果的なプレゼンテーションが可能になる。また、このデモ実施方法変更手段は、「通常モード」に対してだけ機能する様にしておき、「ダイジェストモード」の場合は、予め準備した紹介順序で自動的にデモンストレーションが進行する様にしておくという構成にしてもよい。なお、特に、手動で任意の図柄変動パターンを選択してデモンストレーションできる様にしておくと、顧客の見たいパターンを随時紹介することができてより便利である。
【0035】
そこで、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置においては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(13)前記コントローラには、図柄表示装置に表示すべき内容を手動で任意に指定するための手動選択手段を備えていること。
【0036】
この手動選択手段としては、例えば、次の図柄変動状態に移行させるためのアップボタン、前の図柄変動状態に戻すためのダウンボタン、現在の図柄変動状態を強制的に終了させるためのスキップボタンなどを備える様にすることができる。この様な手動選択手段を備えることで、例えば、全変動紹介モードやリーチ紹介モード等を選択した後、ダウンボタンを押下して前の図柄変動状態をもう一度紹介して見せたり、スキップボタンを押して図柄変動状態を強制的に終了させたり、アップボタンをn回押下することでn番後の図柄変動状態を紹介するといった具合に、各紹介モードの中で任意のデモンストレーションが実施可能になる。また、コントローラに手動選択手段として各種ボタン等を備えることで、操作性が向上する。
【0037】
また、本発明の可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(14)前記デモンストレーションにおいて図柄表示装置に表示される内容に関する情報を利用者に説明するための内容説明手段を備えていること。
【0038】
内容説明手段としては、例えば、遊技盤の備えている図柄表示装置を使用したり、あるいは、コントローラに備える液晶表示装置やLED表示装置等を使用することができる。また、スピーカを使用して音声にて説明する構成にしてもよい。内容説明手段を備えることにより、営業マンが顧客にプレゼンテーションを行う際に、紹介する図柄変動状態がどの様なパターンに関するものであるかを容易に解説することができ、ベテラン営業マンでなくても顧客への最適な商品説明が可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、表示内容を変更するための操作が容易であり、かつ、その様な操作をすることによって遊技盤に対する顧客の視界を遮ることがない。この結果、最適なプレゼンテーションを実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。実施形態は、図1に示す様なパチンコ機1の営業活動において使用するプレゼンテーション装置である。
【0041】
まず、パチンコ機1について簡単に説明する。パチンコ機1は、外郭をなす外枠Aと、外枠Aの前面側に着脱可能に組み付けられる中枠(図では見えない)と、中枠に組み付けられる遊技盤Cと、中枠Bの前面側に開閉可能に組み付けられ、遊技盤Cの透視保護窓となる前枠Dとからなる。また、前枠Dの下には、上の球受け皿Eが前枠Dと同様に開閉可能な様に組み付けられ、中枠Bの下部には、下の球受け皿F及び打球発射装置G等がセットされている。なお、図1の符号Jは、球貸しシステムに利用されるカードユニットを示している。この他に、遊技盤Cの裏面側に、各種制御基板等が取り付けられている。このため、パチンコ機1の重量は、約25kgにもなる。従って、営業マンがパチンコ機1を携帯して顧客を訪問するのは困難である。
【0042】
本実施形態は、上述のパチンコ機1の遊技盤Cの部分のみを持ち運ぶことにより、顧客に対して有効なプレゼンテーションを行うための装置である。その詳細を図2〜図13に基づいて説明する。
【0043】
実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10は、図2に示す様に、前面開口を有する筐体11と、この筐体11の前面開口を覆う蓋体12とを備え、内部にパチンコ機1の遊技盤Cを収納することができるものである。筐体11には、その上面に持ち運びの際に使用する起倒式の手提げ用把手13が取り付けられている。また、筐体11には、その底面に4個のキャスター14が取り付けられると共に、背面に伸縮可能な手押し用の把手15も取り付けられている。また、蓋体12の内面及び筐体11の内面には、図4に示す様に、スポンジシート18が貼り付けてある。
【0044】
筐体11と蓋体12とは、左右各2ヶ所(計4ヶ所)のバックル状の留め具16によって脱着可能に構成されている。留め具16を解放することにより、図3に示す様に、筐体11と蓋体12を別々に分離し、筐体11をフルオープンの状態にすることができる。こうして分離することによって、内部に収納した遊技盤Cを顧客に見せ易くなっている。
【0045】
筐体11内には、図4に示す様に、その周壁に沿って、スペーサ21〜24が取り付けられている。このスペーサ21〜24は、ABS樹脂製の厚板によって構成されている。スペーサ21〜23には、遊技盤Cを取り付けるための遊技盤取付用金物25〜27が取り付けられている。本実施形態では、正面視において、上、左及び下の3ヶ所に遊技盤取付用金物25〜27が取り付けられている。これらの遊技盤取付用金物25〜27は、その前面が面一になると共に、金物25〜27に取り付けた遊技盤Cの裏面側に制御基板41等の収納スペースを確保できる位置に設置されている。
【0046】
上側の金物25には、押さえ金具28が取り付けられている。この押さえ金具28にて、遊技盤Cの右上角の部分を、金物25との間に挟み付けて固定する。その他の金物26,27は、遊技盤Cの裏面側に設けられた突起等と嵌合等することによって位置決めをする。
【0047】
また、上側のスペーサ21には、スピーカ31,32が取り付けられている。スピーカ31,32の取付位置は、金物25の裏面側である。金物25は、前述の様に、裏面側に十分なスペースを確保できる位置に設置されているので、本実施形態では、スピーカ31,32を当該スペースに収納することとした。また、下側のスペーサ23には、電源トランス33が取り付けられている。電源トランス33は、重量が大きいので、直立時に底になる部分に取り付けることで、重心の安定に寄与する。また、左側のスペーサ22には、電源制御基板41が取り付けられる。電源制御基板41は、電源トランス33で24Vに変換した電源に基づいて、5V、12V等、パチンコ機1の演算回路やモータ等への駆動用電源の供給を制御するためのものである。これらスピーカ31,32や、電源関係のトランス33及び電源制御基板41等は、遊技盤Cが変わっても同じものを使用することができる。なお、電源との接続に際しては、筐体11の背面下部の開閉蓋17を開けて、トランス33から伸びる電源コード34を引っ張り出して使用する。
【0048】
遊技盤Cは、上述の様に、筐体11の周壁に設置されたスペーサ21〜24に固定されている金物25〜27を介して筐体11に取り付けられる。なお、筐体11は、遊技盤Cを前面側から挿入することができる開口サイズを有するものとして設計されている。
【0049】
遊技盤Cには、裏面を保護するリアカバー40が取り付けられている。そして、各種制御基板41〜46の内、電源制御基板41以外のメイン制御基板42、統括制御基板43、サブ制御基板44〜46は、いずれもリアカバー40に固定されている。
【0050】
ここで、メイン制御基板42は、始動口に遊技球が入賞した際に、大当りか否かを判定し、当該判定の結果に対する遊技の演出パターンを決定すると共に、停止図柄の決定等を行う。統括制御基板43は、メイン制御基板42が決定した演出パターン及び停止図柄に基づき、大当りの遊技演出を行うか否か、大当たりの場合に確率変動状態が付与されるか否か、確率変動状態付与に際して昇格演出を行うか否か等の具体的な演出内容を特定するための演出内容パターンを決定する。サブ制御基板44〜46は、図柄表示装置を制御する表示制御基板44、ランプ類を制御するランプ制御基板45及びスピーカを制御する音声制御基板46に分かれており、統括制御基板43からのコマンドに基づいて、各サブ制御基板44〜46が、演出内容パターンに応じた遊技演出を実行する。従って、実際の遊技の際には、「始動口への入賞」、「大当たり抽選」、「演出パターン決定」、「停止図柄決定」、「演出内容パターン決定」、「遊技演出の実行」と、複数の制御基板42〜46による複数の処理を経て実際のパチンコ機における演出が実行されている。
【0051】
本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10では、実際のパチンコ機1の様にパチンコ球を打球して遊技をすることはできない。そこで、このプレゼンテーション装置10には、メイン制御基板42に対して指令を送信することにより、遊技時におけるパチンコ機1の図柄表示装置やランプ類の表示状態及び音声をデモンストレーションを実施するためのコントローラ50が備えられている。
【0052】
このコントローラ50は、図2,図5に示す様に、信号線51を介してメイン制御基板42に対して指令を送信するもので、信号線51は、メイン制御基板42の入出力端子に接続されている。また、筐体11には、運搬時等にコントローラ50を収納しておくための収納ポケット61が設けられている。この収納ポケット61は、コントローラ50の両サイドを挟持することによって筐体11内でガタつかない様に収納することができる。
【0053】
コントローラ50には、デモンストレーションによって図柄表示装置に表示する演出パターンの選択機能、音量調節機能、パターン変更機能、一旦停止機能、紹介モード選択機能、ランダム紹介機能などを実現するための操作キー群52と、7セグメント液晶によって構成された表示装置53とが備えられている。
【0054】
本実施形態のプレゼンテーション装置10では、メイン制御基板42に、デモンストレーション用に複数の紹介モードを選択実施するためのデモンストレーション用制御プログラムを書き込んだデモンストレーション用ROMを取り付けてある。コントローラ50は、このデモンストレーション用制御プログラムによって実演可能な複数の紹介モードの中からいずれかを選択して実施させるための指令を送信する機能を備えている。
【0055】
ここで、上述のデモンストレーション用制御プログラムには、複数の紹介モードとして、
(1)始動口に入賞したときの全ての変動状態を紹介する「全変動紹介モード」、
(2)リーチ時の変動状態を紹介する「リーチ紹介モード」、
(3)プレミアムリーチにおける変動状態を紹介する「プレミアム紹介モード」、
(4)変動状態をランダムに紹介する「ランダム紹介モード」
等が選択的に実施することができる様に用意されている。
【0056】
次に、本実施形態のプレゼンテーション装置10に備えられたデモンストレーション用制御プログラムによって紹介可能な図柄変動状態について説明する。
【0057】
実施形態においてプレゼンテーションしようとしているパチンコ機1は、図柄表示装置に表示される背景に3パターン(例えば、海、山、川等)があり、さらに、登場するキャラクタもA〜Cの3種類となった確変デジタルタイプのパチンコ機である。また、背景やキャラクタ以外に、イベント(例えば、虹や竜巻など)が発生する演出もなされるものである。このため、パチンコ機1における変動パターンの一覧を例示すると、図6の様になる。
【0058】
図示の様に、本実施形態においてプレゼンテーションを予定しているパチンコ機1の実機には、「通常変動(No.1)」、「短縮変動(No.2)」、「ノーマルリーチ(No.3〜No.42)」、「背景系リーチ(No.43〜No.53)」、「イベントリーチ(No.54〜No.64)」、「キャラクタAリーチ(No.65〜No.76)」、「キャラクタBリーチ(No.77〜No.90)及び「キャラクタCリーチ(No.91〜No.96)」が変動パターンとして備えられている。
【0059】
前述の「全変動紹介モード」は、図6に示した一覧表に掲載された全ての変動パターンを紹介することができるモードである。また、「リーチ紹介モード」として、図7〜図9の一覧表に示す様に、「リーチ紹介モード1」、「リーチ紹介モード2」及び「リーチ紹介モード3」が選択できる様に設定されている。ここで、「リーチ紹介モード1」は、図7に示す様に、全変動パターンの内から、ノーマルリーチに関する変動パターン(No.3〜No.42)だけを抽出したものである。また、「リーチ紹介モード2」は、いわゆるスーパーリーチに関する変動パターン(No.43〜No.90)を抽出したものである。そして、「リーチ紹介モード3」は、いわゆるプレミアムリーチを抽出したものである。本実施形態のパチンコ機1では、キャラクタA〜Cの内、キャラクタCの出現率は低く設定されており、出現したときは大当たり確定とされているのである。
【0060】
本実施形態では、「全変動紹介モード」及び各種の「リーチ紹介モード」のそれぞれについて、その選択の後、さらに、「全自動モード」と「手動モード」のいずれの紹介方法でモードを実行するかを選択する構成となっている。ここで、「全自動モード」は、選択された紹介モードにリストアップされている変動パターンを所定の順序に従って順番に実行させるモードである。一方、「手動モード」は、選択された紹介モードにリストアップされている変動パターンの中から任意に指定した変動パターンを実行させるモードである。
【0061】
本実施形態では、「全自動モード」又は「手動モード」を選択した後に、さらに、「通常モード」と「ダイジェストモード」のいずれの紹介方法でモードを実行するかを選択する構成となっている。ここで、「通常モード」は、変動パターンをそのまま実機におけるのと同じ時間で実行するモードである。一方、「ダイジェストモード」は、変動パターンをそのまま実行するのではなく、当該変動パターンの一部を飛ばすなどして実機におけるよりも短い時間で実行するモードであって、例えば、「ノーマルリーチ復活当たり」の変動パターンにおいて、「ノーマルリーチはずれ」と共通なはずれまでの部分を省略し、その後の復活以降の部分のみを紹介する等の実行方法を採用したものである。
【0062】
この様に、本実施形態では、紹介モードの選択は、
(1)「全変動紹介モード」及び各種「リーチ紹介モード」の中からいずれかを選択
(2)「全自動モード」及び「手動モード」のいずれかを選択
(3)「通常モード」及び「ダイジェストモード」のいずれかを選択
の様に選択操作を実行することで、例えば、「全変動紹介・全自動・ダイジェストモード(全変動パターンを所定の順序に従ってダイジェスト版で紹介するモード)」を選択することができる。
【0063】
なお、この変動パターン紹介方法の選択に当たっては、上述の順序に限るものではなく、最初に「通常モード・ダイジェストモード」の選択をしてから「紹介モード」を選択し、続いて「全自動・手動」の選択する様にしてもよいし、最初に「全自動・手動」の選択をしてから「通常モード・ダイジェストモード」の選択をし、最後に「紹介モード」を選択する様にしてもよく、制御プログラムにおける実施方法決定の際の条件選択の順序を変更しても構わない。
【0064】
この他に、本実施形態のデモンストレーション用制御プログラムには、変動状態をランダムに紹介する「ランダム紹介モード」も備えられている。「ランダム紹介モード」は、図6の一覧表に示した変動パターンの中からランダムに変動パターンを紹介するモードで、例えば、プレゼンテーション装置10による「リーチ紹介モード」等を実演した後の商談中に、BGM代わりに流したりするときに使うことができる。
【0065】
また、デモンストレーション用制御プログラムには、上述の変動パターンに関する紹介モードの他に、大当たりラウンドの進行状況を紹介する「大当たりラウンド紹介モード」も備えられている。この「大当たりラウンド紹介モード」においても、変動パターン紹介に際しての全自動と手動の選択と同様に、1ラウンド目から最終ラウンド目までを順次紹介する「全自動モード」と、手動によるラウンド指定によって特定のラウンドを紹介する「ラウンド特定モード」が選択可能になっている。さらに、ラウンド消化時間を短縮した「短縮モード」と、ラウンド消化時間を最大とした「最長モード」のいずれかを選択することができる様にも構成されている。
【0066】
この様な各種の紹介モードは、コントローラ50からの指令によって実行される様になっている。このコントローラ50からの指令による制御処理について説明する。
【0067】
デモンストレーション用制御プログラムは、コントローラ50のパワースイッチをONにすることによって起動される。そして、図9に示す様に、コントローラ50に対して、メイン制御基板42が選択可能なモードのデフォルト値を送信する(S10)。本実施形態では、デフォルト値として「全変動紹介モード」の「全自動モード」が設定されている。
【0068】
従って、コントローラ50の表示装置53には、メイン制御基板42のデフォルト値として設定されている「全変動紹介:全自動モード」に対応するコード番号「−01−」が表示される。営業マンは、この表示装置53に表示されたコード番号「−01−」から、現在の設定が「全変動紹介:全自動モード」であるということを読みとることができる。この様に、コントローラ50側の表示装置53は、メイン制御基板42から出力された信号に基づいて制御されている。
【0069】
デモンストレーション用制御プログラムの次のステップは、コントローラ50からの指令待ちである(S20)。このステップでは、コントローラ50からの指令として、「アップ」、「ダウン」、「決定」のいずれかを待っている。
【0070】
コントローラ50からの指令が「アップ」の場合は、次の紹介モードに設定を切り替え(S30)、S10へ戻って新たに設定した紹介モードに対応するコード番号をコントローラ50に送信してS20の待機状態に復帰する。一方、コントローラ50からの指令が「ダウン」の場合は、一つ前の紹介モードに設定を切り替え(S40)、S10に戻って新たに設定した紹介モードに対応するコード番号をコントローラ50に送信した後にS20の待機へ戻る。
【0071】
ここで、本実施形態では、「アップ」の指令に対しては、以下の様に紹介モードが変更される構成となっている。
【0072】
即ち、「全変動紹介モード(−001−)」→「ノーマルリーチ紹介モード(−002−)」→「スーパーリーチ紹介モード(−003−)」→「プレミアムリーチ紹介モード(−004−)」→「ランダム紹介モード(−005−)」→「大当たりラウンド紹介(−006−)」→「全変動紹介モード(−001−)」→・・・といった具合に昇り順でモードが切り替わり、最後である6番目のモードからさらにアップすると再び最初の設定のモードに戻る様に切り替わる構成となっている。
【0073】
また、「ダウン」の指令に対しては、以下の様に紹介モードが変更される構成となっている。上述の順番とは逆順に、「全変動紹介モード(−001−)」→「大当たりラウンド紹介モード(−006−)」→「ランダム紹介モード(−005−)」→・・・といった具合に、降り順でモードが切り替わる様に構成されている。
【0074】
こうして、営業マンは、コントローラ50を操作しながら、これからプレゼンテーションとしてデモンストレーションする紹介モードを選択したら、「決定」ボタンを押下する。これにより、紹介モードが決定する(S50)。
【0075】
次のステップでは、決定した紹介モードが「ランダム紹介モード(−005−)」か否かを判定する(S60)。ランダム紹介モード以外の場合は、全自動モードと手動モードのいずれかの選択を待つ(S70)。このS70では、例えば、コントローラ50の表示装置に表示されているモード選択番号「−001−」の内の十の位の「0」を点滅表示して営業マンに選択を促す。そして、営業マンがアップ又はダウンを押すと、「−011−」に表示を変更し、さらにもう一度アップ又はダウンを押すと「−001−」に表示を変更する(S75)。この間も十の位の数字を点滅表示させている。
【0076】
このS70,S75のルーチンでの自動・手動の選択は、営業マンが決定キーを押すことによって決定する(S80)。ここで、例えば、十の位が「0」の場合が全自動であり、「1」の場合が手動である。なお、「大当たりラウンド紹介モード」については、「手動モード」は「ラウンド特定モード」を意味する。
【0077】
次のステップでは、営業マンに対して「通常モード」と「ダイジェストモード」のいずれとするかの選択を促した状態で待機する(S90)。この際、例えば、コントローラ50の表示装置に表示されているモード選択番号「−001−」や「−011−」等の百の位の「0」を点滅表示して営業マンに選択を促す。そして、営業マンがアップ又はダウンを押すと、「−101−」や「−111−」に表示を変更し、さらにもう一度アップ又はダウンを押すと「−001−」や「−011−」に表示を変更する(S95)。この間も百の位の数字を点滅表示させている。
【0078】
このS90,S95のルーチンでの通常・ダイジェストの選択は、営業マンが決定キーを押すことによって決定する(S100)。ここで、例えば、百の位が「0」の場合が通常モードであり、「1」の場合がダイジェストモードである。なお、「大当たりラウンド紹介モード」については、「ダイジェストモード」がラウンド消化時間を短縮した「短縮モード」、「通常モード」がラウンド消化時間を最大とした「最長モード」になっている。
【0079】
なお、ランダム紹介モードが選択されているときは(S60:YES)、S70〜S100の処理をパスする。ランダム紹介モードは、全自動・通常モードだけだからである。
【0080】
以上の選択処理により、紹介モードが、以下のいずれかに決定する。
(−001−)「全変動紹介:全自動:通常モード」
(−101−)「全変動紹介:全自動:ダイジェストモード」
(−011−)「全変動紹介:手動:通常モード」
(−111−)「全変動紹介:手動:ダイジェストモード」
(−002−)「ノーマルリーチ:全自動:通常モード」
(−012−)「ノーマルリーチ:全自動:ダイジェストモード」
(−102−)「ノーマルリーチ:手動:通常モード」
(−112−)「ノーマルリーチ:手動:ダイジェストモード」
(−003−)「スーパーリーチ:全自動:通常モード」
(−013−)「スーパーリーチ:全自動:ダイジェストモード」
(−103−)「スーパーリーチ:手動:通常モード」
(−113−)「スーパーリーチ:手動:ダイジェストモード」
(−004−)「プレミアムリーチ:全自動:通常モード」
(−014−)「プレミアムリーチ:全自動:ダイジェストモード」
(−104−)「プレミアムリーチ:手動:通常モード」
(−114−)「プレミアムリーチ:手動:ダイジェストモード」
(−005−)「ランダム紹介モード」
(−006−)「大当たりラウンド:全自動:最長モード」
(−106−)「大当たりラウンド:全自動:最短モード」
(−016−)「大当たりラウンド:ラウンド特定:最長モード」
(−116−)「大当たりラウンド:ラウンド特定:最短モード」
【0081】
こうして、紹介モードとその実施方法(全自動か手動か及び通常版かダイジェスト版か)が決定したら、図11に示す様に、手動モード(ラウンド特定モード)に決定されているか否かを判定する(S110)。手動モードではないという場合は(S110:NO)、設定されているモードに従って処理を開始する(S120)。例えば、「ノーマルリーチ紹介:全自動:通常モード(−002−)」であるならば、図7に示した変動パターンを、実機における変動時間と同じ時間で順次実行するための処理を開始する。この全自動モードでの処理の実行中も、コントローラ50から「スキップ」又は「ストップ」が指令されたか否かを判定している(S130,S140)。「スキップ」が指令された場合は(S130:YES)、現在実行中の変動パターンの処理を途中終了し(S150)、次の変動パターンの処理を開始する(S155)。これにより、全自動モード中であっても、営業マンの説明の仕方や、顧客の興味の示し方に応じて変動パターンの見せ方を変えることができる。また、「ストップ」が指令された場合は(S140:YES)、実行中の紹介モードを終了し(S160)、S10へ戻る。スキップ、ストップのいずれも指令されないときは、現在の紹介モードにおける変動パターン紹介が終了したか否かを判定する(S170)。終了している場合はS10へ、終了していない場合はS130へ戻る。
【0082】
これに対し、手動モードに決定されているときは(S110:YES)、メイン制御基板42は、決定された紹介モードにおける最初に表示する変動パターンの番号(図6の一覧表のNo.)をコントローラ50に送信する(図12参照。S210)。
【0083】
例えば、「プレミアムリーチ:手動:通常モード(−014−)」の場合、コントローラ50の表示装置53には、図9の表の最初に記載されている「キャラクタCリーチ当たり」の番号「91」が表示される。営業マンは、この表示装置53に表示されたコード番号「91」から、「今、決定ボタンを押下すると「キャラクタCリーチ当たり」の変動パターンを紹介することができる」ということを知る。
【0084】
デモンストレーション用制御プログラムの次のステップは、S20と同じく、コントローラ50からの指令待ちである(S220)。このステップでは、「アップ」、「ダウン」、「決定」のいずれかを待っている。
【0085】
コントローラ50からの指令が「アップ」の場合は、メイン制御基板42は、実行対象を当該紹介モード中の次の変動パターンに切り替え(S230)、S210へ戻ってその番号をコントローラ50に送信した後、S220の待機へ復帰する。一方、コントローラ50からの指令が「ダウン」の場合は、メイン制御基板42は、実行対象を当該紹介モード中の一つ前の変動パターンに切り替え(S240)、S210へ戻ってその番号をコントローラ50に送信した後にS220の待機へ復帰する。
【0086】
ここで、本実施形態では、「プレミアムリーチ:手動:通常モード(−014−)」の場合、「アップ」の押下に対しては、「キャラクタCリーチ当たり(91)」→「キャラクタCリーチ当たり昇格(92)」→「キャラクタC発展リーチ当たり(93)」→「キャラクタC発展リーチ当たり昇格(94)」→・・・といった具合に、昇り順で変動パターンが切り替わり、最後の変動パターンからさらにアップすると再び最初の変動パターンに戻る様に切り替わる構成となっている。「ダウン」の場合は、これとは逆に、降り順に変動パターンが切り替わる様に構成されている。
【0087】
こうして、営業マンは、コントローラ50を操作しながら、これから実演したい変動パターンを手動で選択したら、「決定」ボタンを押下する。これにより、制御プログラムのステップS220が、次のステップへと進み、実行対象となっている変動パターンを実行する(S250)。
【0088】
そして、手動選択された変動パターンを実行しながら、コントローラ50から「スキップ」又は「ストップ」が指令されたか否かを判定している(S270,S280)。「スキップ」が指令された場合は(S270:YES)、現在実行中の変動パターンの処理を途中終了し、S210へ戻る(S290)。これにより、手動による次の変動パターンの選択が可能になる。また、「ストップ」が指令された場合は(S280:YES)、実行中の紹介モードを終了し、S10へ戻る(S300)。なお、「スキップ」も「ストップ」も指令されなかったときは、当該変動パターンの処理を終了した後に(S310:YES)、S210へ戻る。
【0089】
この様に、メイン制御基板42は、コントローラ50の出力する指令信号を入力して、メイン制御基板42内の紹介モードの設定を変更したり、統括制御基板43を経由してサブ制御基板44〜46を制御する。そして、以上の様に構成した結果、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10によれば、以下の様な作用・効果が発揮される。
【0090】
デモンストレーションの指令を行う有線式のコントローラ50を採用したので、営業マンが顧客の視界を遮ることなく、筐体11から少し離れた位置からの操作によってパチンコ機1に関するデモンストレーションを実施することができる。従って、営業マンは楽な姿勢でデモンストレーションを実施することができ、顧客は、遊技盤Cの全体における遊技演出の状態を視界を遮られずに確認することができる。
【0091】
また、筐体11にコントローラ50を収納するためのコントローラ収納部61を備えたので、搬送時にコントローラ50を別に持ち歩く必要がなく、コントローラ50の置き忘れや紛失といった問題がない。また、コントローラ収納部61を筐体11の底部に設けたので、付属帯同するコントローラ50が搬送時に邪魔になったり、誤って落としたりすることがなく、破損防止の効果が発揮される。加えて、筐体11側にコントローラ収納部61を設けたので、蓋体12を取り外すときにコントローラ50の信号線51が引っ張られて抜けるといったおそれもない。
【0092】
さらに、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10においては、筐体11の周壁に、ABS樹脂製のスペーサ21等を介して遊技盤取付用金物25等を設置し、しかも、遊技盤Cを金物25等に取り付けた際に、遊技盤Cの裏面側に制御基板41等の収納スペースを確保できる様に構成したので、遊技盤Cの全体を正面から視認することができ、しかも、各種制御基板41等は遊技盤Cの裏側に収納して隠すことができるので、プレゼンテーションを受ける顧客は、ホールに設置されたパチンコ機1を見ているのとイメージ的に相違がなく、違和感を与えない。
【0093】
また、蓋体12の裏面には、、スポンジシートが貼り付けてあるので、遊技盤Cの表面の障害釘や役物等が傷ついたりしない。
【0094】
さらに、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10においては、遊技盤Cに、リアカバーを取り付け、メイン制御基板42、統括制御基板43、サブ制御基板44〜46はリアカバー側に固定した状態で筐体11に収納できる様に構成したので、パチンコ機1の実機における実装状態とほぼ同じ状態で使用することができる。メイン制御基板等は、機種特有の抽選処理や演出パターンの実施に関わるものであるから遊技盤Cと一体に取り扱われることで、取り違いをなくす効果がある。一方、電源制御基板41は、逆に、遊技機毎に取り替える必要がないことから、本実施形態の様に、筐体11側に固定しておく方がより適していると共に、遊技盤Cの裏面側の筐体11内の空間を有効利用するのに役立つという効果も発揮している。
【0095】
加えて、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10においては、金物25〜27を、筐体11の周壁に取り付けたABS樹脂製のスペーサ21等に対して固定する構成としたので、持ち運ぶ遊技盤の変更によって、金物の取付位置や金物の種類などを変更する必要が生じたときに、スペーサの交換で対応できるという効果がある。従って、筐体11は、何度でも使用することができて経済的である。
【0096】
また、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10においては、デモンストレーション用制御プログラムとして複数の紹介モードを用意すると共に、コントローラ50からの指令によってモード選択等を可能に構成し、しかも、図柄の変動時間を実機と同じにした通常モードと図柄の変動時間を短縮したダイジェストモードとを選択できる様にも構成したので、顧客に対する効果的なプレゼンテーションを効率よく実施することができる。
【0097】
また、本実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置10においては、大当たりラウンド紹介モードが設定され、しかも、そのラウンド消化時間を短縮した短縮モードを選択可能に構成したこと、デモンストレーションの実施方法を「全自動」と「手動」に切り替えることを可能にしたこと、デモンストレーションの実施中に変動パターンを飛ばすスキップ機能を備えたりしたことにより、短時間で効果的なプレゼンテーションを実施するのに適するものとなっている。
【0098】
特に、手動モードは、顧客の見たいパターンを随時紹介することができて便利である。
【0099】
また、デモンストレーション用制御プログラムは、現在のモード設定状態、変動パターン番号等の情報をコントローラ50の表示装置53に表示する機能を備えているので、営業マンが顧客にプレゼンテーションを行う際に、紹介する図柄変動状態がどの様なパターンに関するものであるか等を容易に解説することができ、ベテラン営業マンでなくても顧客への最適な商品説明が可能となる。
【0100】
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0101】
例えば、図13に示す様に、コントローラ150として赤外線送受信機能を有する無線式のものを採用し、筐体111の左下隅部分に、メイン制御基板の入出力端子に接続された筐体側赤外線送受信機155を備えた構成とすることもできる。この場合、コントローラ150の収納ポケット161は、筐体111ではなく、蓋体112に設けて置く様にしてもよい。
【0102】
また、コントローラ50,150を、単なる信号発信器としてではなく、CPU等を備えた電子機器として構成し、デモンストレーション用制御プログラムを書き込んだメモリカード等をコントローラ側にセットする様にしてもよい。この場合、コントローラからの信号をメイン制御基板ではなく、統括制御基板に与える様に構成してもよいし、メイン制御基板をスルーさせて統括制御基板に与える様にしてもよい。また、デモンストレーション用制御プログラムとして、実機において統括制御基板がサブ制御基板に対して与える信号を出力するものとしておき、サブ制御基板に直接信号入力してプレゼンテーション用のデモンストレーションを実行できる様にしてもよい。
【0103】
さらに、メイン制御基板又はコントローラにセットされるデモンストレーション用制御プログラムは、デモンストレーション用として多数の紹介モードを備えなくてもよい。
【0104】
また、手動モードのみを備える様にしても構わない。
【0105】
加えて、コントローラには、7セグメント液晶の様な単純なものではなく、フルカラー表示が可能な液晶ディスプレイや、LEDにより情報を表示する装置を備えさせる様にしてもよい。また、デモンストレーションにおいて選択されたモードや変動パターンに関する情報は、スピーカ31,32から音声で報知する様にしてもよいし、遊技盤Cの図柄表示装置に表示する様にしても構わない。もちろん、表示と音声とを併用しても構わない。
【0106】
また、コントローラには、さらに、音量調節用の操作スイッチを備える様にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】実施形態によって顧客に紹介しようとするパチンコ機の全体を示す正面図である。
【図2】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置を示し、(A)は左側面図、(B)は背面図である。
【図3】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、蓋体を開けた状態を示す正面図(蓋体は背面図)である。
【図4】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置の筐体の構造を示し、(A)は断面図、(B)は蓋体を開けた状態の正面図である。
【図5】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置の使用状態を示す正面図である。
【図6】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実演可能な全変動パターンの一覧を示す説明図である。
【図7】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実演可能なノーマルリーチ紹介モードにおける変動パターンの一覧を示す説明図である。
【図8】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実演可能なスーパーリーチ紹介モードにおける変動パターンの一覧を示す説明図である。
【図9】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実演可能なプレミアムリーチ紹介モードにおける変動パターンの一覧を示す説明図である。
【図10】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】実施形態の可搬式遊技機プレゼンテーション装置のメイン制御基板にセットされたデモンストレーション用制御プログラムによって実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】変形例としての可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、蓋体を開けた状態を示す正面図(蓋体は背面図)である。
【符号の説明】
【0108】
1・・・パチンコ機、A・・・外枠、C・・・遊技盤、D・・・前枠、E・・・上の球受け皿、F・・・下の球受け皿、G・・・打球発射装置、J・・・カードユニット
10・・・可搬式遊技機プレゼンテーション装置
11・・・筐体
12・・・蓋体
13・・・手提げ用把手
14・・・キャスター
15・・・手押し用の把手
16・・・バックル状の留め具
17・・・開閉蓋
18・・・スポンジシート
21〜24・・・ABS樹脂製のスペーサ
25〜27・・・遊技盤取付用金物
28・・・押さえ金具
31,32・・・スピーカ
33・・・電源トランス
34・・・電源コード
40・・・リアカバー
41・・・電源制御基板
42・・・メイン制御基板
43・・・統括制御基板
44・・・サブ制御基板(表示制御基板)
45・・・サブ制御基板(ランプ制御基板)
46・・・サブ制御基板(音声制御基板)
50・・・コントローラ
51・・・信号線
61・・・収納ポケット
52・・・操作キー群
53・・・表示装置
111・・・筐体
112・・・蓋体
150・・・コントローラ
155・・・筐体側赤外線送受信機
161・・・収納ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に遊技機の各種制御基板を収納し、前記筐体前面の開口部に前記制御基板によって制御される遊技盤を遊技領域を前方に向けて装着し、前記筐体を前方から蓋体で開閉可能に覆うと共に、前記制御基板に対して指令を送信することにより、遊技時における前記遊技機の図柄表示装置やランプ類の表示状態及び音声をデモンストレーションするための遊技機用の可搬式のプレゼンテーション装置であって、以下の構成を備えることを特徴とする可搬式遊技機プレゼンテーション装置。
(1)前記制御基板に対して、前記デモンストレーションの指令を送信するコントローラを、前記筐体とは別体に備えたこと。
【請求項2】
請求項1記載の可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする可搬式遊技機プレゼンテーション装置。
(2)前記筐体又は蓋体には、前記コントローラを収納するためのコントローラ収納部を備えていること。
【請求項3】
請求項1又は2記載の可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする可搬式遊技機プレゼンテーション装置。
(3a)前記筐体の周壁に、遊技盤を着脱可能に取り付けるための遊技盤取付用金物を設置したこと。
(3b)前記遊技盤取付金物の設置位置は、前記遊技盤を該金物に取り付けた際に、該遊技盤の裏面側に前記制御基板の収納スペースを確保できる位置とされていること。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の可搬式遊技機プレゼンテーション装置において、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする可搬式遊技機プレゼンテーション装置。
(4a)前記遊技盤に、その裏面を保護するリアカバーを取り付けること。
(4b)前記制御基板は、一部を前記筐体の内壁に、その他のを前記リアカバーに固定することにより、前記収納スペース内に納められていること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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