説明

可搬装置

【課題】電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入されている状態においては運搬をし難い状態にすることができる可搬装置を提供する。
【解決手段】可搬装置100は、筐体110、取手130、圧縮バネ140、ロック爪150、レバー部160およびリンク部170を備える。筐体110は、電源プラグ114を挿入するための電源プラグ挿入口112を有する。取手130は、筐体110の内部と外部との間を移動可能である。圧縮バネ140は、取手130を筐体110の外部へ移動させる方向に付勢する。ロック爪150は、圧縮バネ140の付勢力によって取手130が筐体110の外部へ移動しないように取手130を係止するためのものである。レバー部160は、電源プラグ挿入口112において電源プラグ114の挿入方向または引き抜き方向に移動可能である。リンク部170は、ロック爪150とレバー部160とを連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給を受けて動作する可搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可搬型のパーソナルコンピュータやワードプロセッサなどが普及し、それに伴って、容易に運搬することができるポータブルプリンタも普及し始めている。
【0003】
従来、中型以上の大きさの画像形成装置(プリンタ)を複数人で運搬する場合は、運搬作業を確実に行うために、画像形成装置本体の持ちやすい位置に把手部が設けられる。この把手部にはいくつかのタイプが存在する。代表的なものとして、画像形成装置本体の両側面下部にそれぞれ設けられたへこみあるいは突起状の把手部であって画像形成装置の筐体に対して一体化されたタイプの把手部や、画像形成装置の底部に出没自在に支持されており、画像形成装置の運搬時にだけ手動で外部に引き出されて使用される引き出し型の把手部がある。
【0004】
画像形成装置の運搬性を向上させるためには、単純に画像形成装置のサイズを小型軽量化するだけでは不十分であり、画像形成装置の運搬に適した把手部を備える必要がある。また、画像形成装置が小型軽量であるための気軽さから招きやすい誤った運搬方法による落下事故等のユーザの作業ミスを未然に防止できるような安全上の配慮も必要である。
【0005】
そこで、画像形成装置の使用時には把手部がカバー部材によって覆われた状態にあり、画像形成装置の非使用時、すなわち、運搬時に画像形成装置本体からのケーブル類の離脱操作に伴って、把手部を覆っていたカバー部材が退避位置へ移動し、把手部が露出した状態となって運搬が可能となる画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−188031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された画像形成装置は、主装置および副装置から構成されており、主装置においてのみ把手部を覆うことが可能なカバー部材が設けられており、副装置においての把手部にはそのようなカバー部材が設けられていない。したがって、副装置に電源コードが装着されている場合においても副装置の運搬が可能な状態にあるため、副装置に電源コードが装着されている状態においてユーザが誤って副装置を運搬しようとした際に危険性が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入されている状態においては運搬をし難い状態にすることができる可搬装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の可搬装置は、筐体、把手部、付勢部、係止部、レバー部およびリンク部を備える。筐体は、電源プラグを挿入するための電源プラグ挿入口を有する。把手部は、筐体の内部と外部との間を移動可能である。付勢部は、把手部を筐体の外部へ移動させる方向に付勢する。係止部は、付勢部の付勢力によって把手部が筐体の外部へ移動しないように把手部を係止するためのものである。レバー部は、電源プラグ挿入口において電源プラグの挿入方向または引き抜き方向に移動可能であって、電源プラグ挿入口に電源プラグが挿入されると電源プラグの挿入方向へ移動する一方で、電源プラグが引き抜かれると電源プラグの引き抜き方向へ移動する。リンク部は、係止部とレバー部とを連結する。
【0010】
また、係止部は、電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入されている状態においてレバー部が電源プラグの挿入方向へ移動している場合には把手部を係止する一方で、電源プラグが電源プラグ挿入口から引き抜かれた際にレバー部が電源プラグの引き抜き方向へ移動することに伴ってリンク部によって把手部への係止が解除される。把手部は、電源プラグが電源プラグ挿入口から引き抜かれて係止部による係止が解除されると付勢部からの付勢力によって筐体の外部へ移動する。
【0011】
この構成では、電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入された状態では把手部が筐体の内部に格納されたままであり、電源プラグが電源プラグ挿入口から引き抜かれない限り、把手部が筐体の外部に移動することがない。すなわち、ユーザが把手部を把持して可搬装置を運搬する際には、電源プラグが電源プラグ挿入口から引き抜かれた状態にある。
【0012】
したがって、電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入されたままの状態でユーザが把手部を把持して可搬装置を運搬する事態が生じないため、電源コードに負荷がかかることによる電源コードへのダメージが発生することを回避できる。また、電源コードからの張力が可搬装置にかかることがないため、当該張力によってユーザが把手部から手をすべらせて可搬装置を落下させる危険性を回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明における可搬装置は、電源プラグが電源プラグ挿入口に挿入されている状態においては運搬をし難い状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る可搬装置を運搬する際に関係する構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る可搬装置を運搬する際に関係する構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る可搬装置の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る可搬装置の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る可搬装置の外観を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る可搬装置の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る可搬装置の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る可搬装置の制御機構を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る可搬装置のCPUの制御内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る可搬装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る可搬装置100を運搬する際に関係する構成を示す図である。
【0018】
可搬装置100は、筐体110、取手130、圧縮バネ140、ロック爪150、レバー部160、リンク部170を備える。可搬装置100は、ユーザが運搬可能な装置、例えば、スキャナ、パーソナルコンピュータまたは画像形成装置が該当する。取手130は、本発明の把手部に相当する。圧縮バネ140は、本発明の付勢部に相当する。ロック爪150は、本発明の係止部に相当する。
【0019】
筐体110は、電源プラグ114を挿入するための電源プラグ挿入口112を有する。取手130は、筐体110の内部と外部との間を移動可能である。圧縮バネ140は、取手130を筐体110の外部へ移動させる方向に付勢する。ロック爪150は、圧縮バネ140の付勢力によって取手130が筐体110の外部へ移動しないように取手130を係止するためのものである。
【0020】
レバー部160は、電源プラグ挿入口112において電源プラグ114の挿入方向または引き抜き方向に移動可能であって、電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入されると電源プラグ114の挿入方向へ移動する一方で、電源プラグ114が引き抜かれると電源プラグ114の引き抜き方向へ移動する。
【0021】
すなわち、レバー部160は、圧縮バネ162によって電源プラグ114の引き抜き方向に付勢されているため、電源プラグ挿入口112から電源プラグ114が引き抜かれると、電源プラグ114の引き抜き方向へ移動する。また、一方で、レバー部160は、電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入されると、電源プラグ114の押圧によって電源プラグ114の挿入方向に移動する。リンク部170は、ロック爪150とレバー部160とを連結する。
【0022】
ロック爪150は、図1において示すように、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されている状態においてレバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動している場合には取手130を係止する。一方で、ロック爪150は、図2において示すように、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112から引き抜かれた際にレバー部160が電源プラグ114の引き抜き方向へ移動することに伴ってリンク部170によって取手130への係止が解除される。
【0023】
取手130は、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112から引き抜かれてロック爪150による係止が解除されると圧縮バネ140からの付勢力によって筐体110の外部へ移動する。
【0024】
この構成では、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入された状態では取手130が筐体の内部に格納されたままであり、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112から引き抜かれない限り、取手130が筐体110の外部に移動することがない。すなわち、ユーザが取手130を把持して可搬装置100を運搬する際には、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112から引き抜かれた状態にある。
【0025】
したがって、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されたままの状態でユーザが取手130を把持して可搬装置100を運搬する事態が生じないため、電源コードに負荷がかかることによる電源コードへのダメージが発生することを回避できる。また、電源コードからの張力が可搬装置100にかかることがないため、当該張力によってユーザが取手130から手をすべらせて可搬装置100を落下させる危険性を回避できる。
【0026】
図3および図4は、本発明の第1実施形態に係る可搬装置100の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【0027】
図3および図4では、説明の便宜上、取手130を筐体110の外部へ移動させるための構成を省略している。可搬装置100は、スイッチ181、ピニオンギア182およびラックギア183をさらに備える。スイッチ181、ピニオンギア182およびラックギア183は、本発明の格納機構に相当する。ラックギア183は、取手130の一部を構成する。
【0028】
スイッチ181、ピニオンギア182およびラックギア183は、レバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動することに連動して取手130を筐体110の内部へ移動させるための機構である。
【0029】
取手130は、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されてレバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動することに連動してスイッチ181、ピニオンギア182およびラックギア183によって筐体110の内部へ移動する。
【0030】
取手130が筐体110の内部へ移動するときの各部の動作について説明する。図3の状態は、取手130が筐体110の内部へ移動する前の状態である。ここで、電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入されると、レバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動する。電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に完全に挿入された状態において、レバー部160は、スイッチ181を押下する位置まで移動する。
【0031】
スイッチ181がレバー部160によって押下されると、図示しないモータに電力が供給されて当該モータが回転し、それに伴ってピニオンギア182が矢印方向に回転する。そうすると、ピニオンギア182と噛合しているラックギア183が筐体110の内部に向かって移動するため、取手130が筐体110の内部に向かって移動する。
【0032】
電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入されると、ロック爪150とレバー部160とを連結するリンク部170によって、ロック爪150は、取手130を係止する位置に移動する。ロック爪150が取手130を係止する位置に移動し終えた状態において、レバー部160がスイッチ181を押下するため、取手130が筐体110の内部へ移動する前にロック爪150が取手130を係止する位置に移動し終えていることになる。
【0033】
しかしながら、ロック爪150が取手130の筐体110の内部への移動に際して障害となることはない。なぜならば、ロック爪150は、弾性部材で構成されており、また、爪の先端部に所定の角度が形成されていることから、取手130が筐体110の内部へ移動する際には、ロック爪150は取手130に押されて弾性変形するからである。
【0034】
このように、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されることに伴って取手130が自動的に筐体110の内部へ移動するため、ユーザが取手130を筐体110の内部へ移動し忘れる事態が生じることがない。また、可搬装置100を使用する際には、取手130は筐体110の内部へ移動し終えている(格納状態にある)ため、取手130が邪魔になることがない。
【0035】
図5は、本発明の第1実施形態に係る可搬装置100の外観を示す図である。
【0036】
図5に示すように、可搬装置100の筐体110は、ユーザが把手可能な部分が存在しないと好ましい。筐体110に把手可能な部分が存在しないことにより、ユーザは、取手130を把持して可搬装置100を運搬しようとするからである。すなわち、本実施形態では、電源プラグ挿入口112から電源プラグ114が引き抜かれない限り、取手130が筐体の外部へ移動することがないため、電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入された状態で可搬装置100が運搬される虞を回避することができる。
【0037】
したがって、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されたままの状態でユーザが可搬装置100を無理やり運搬する事態が生じ難いため、電源コードに負荷がかかることによる電源コードへのダメージが発生することを回避できる。また、電源コードからの張力が可搬装置100にかかることがないため、当該張力によってユーザが可搬装置100から手をすべらせて可搬装置100を落下させる危険性を回避できる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0039】
図6および図7は、本発明の第2実施形態に係る可搬装置100の運搬をし終えた際に関係する構成を示す図である。
【0040】
第2実施形態以降の各実施形態では、第1実施形態において説明した内容と重複する内容については省略する。
【0041】
図6および図7では、説明の便宜上、取手130を筐体110の外部へ移動させるための構成を省略している。可搬装置100は、ラックギア184、ラックギア185、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188をさらに備える。ラックギア184、ラックギア185、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188は、本発明の格納機構に相当する。ラックギア184は、取手130に連結している。また、ラックギア185は、レバー部160に連結している。
【0042】
ラックギア184、ラックギア185、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188は、レバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動することに連動して取手130を筐体110の内部へ移動させるための機構である。
【0043】
取手130は、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されてレバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動することに連動してラックギア184、ラックギア185、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188によって筐体110の内部へ移動する。
【0044】
取手130が筐体110の内部へ移動するときの各部の動作について説明する。図6の状態は、取手130が筐体110の内部へ移動する前の状態である。ここで、電源プラグ挿入口112に電源プラグ114が挿入されると、レバー部160が電源プラグ114の挿入方向へ移動する。それに伴って、ラックギア185も電源プラグ114の挿入方向へ移動する。
【0045】
そうすると、ラックギア185と噛合しているピニオンギア186が、矢印186A方向に回転する。それに伴い、ピニオンギア186と噛合しているギア187が矢印187A方向に回転する。さらに、ギア187と噛合しているピニオンギア188が矢印188A方向に回転する。ピニオンギア188が矢印188A方向に回転すると、ピニオンギア188と噛合しているラックギア184が筐体110の内部に移動するため、ラックギア184と連結している取手130が筐体110の内部に移動する。図7は、取手130が筐体110の内部に移動し終えた状態を示している。
【0046】
本実施形態では、ラックギア184とラックギア185との間には、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188の3つのギアがあるが、これは、ラックギア185の移動によって、取手130が筐体110の内部に移動し終えるために必要な移動量を確保するためである。すなわち、ピニオンギア186、ギア187およびピニオンギア188は、ラックギア185の移動量(レバー部160の移動量)と取手130の移動量の調整機構である。
【0047】
このように、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されることに伴って取手130が自動的に筐体110の内部へ移動するため、ユーザが取手130を筐体110の内部へ移動し忘れる事態が生じることがない。また、可搬装置100を使用する際には、取手130は筐体110の内部へ移動し終えている(格納状態にある)ため、取手130が邪魔になることがない。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0049】
取手130は、手動で筐体110の内部へ移動する構成としてもよい。この構成は、可搬装置100を使用するときには、ユーザが取手130を筐体110の内部へ押し込むものである。この構成は、仮に、第1実施形態または第2実施形態において示した格納機構が故障した場合等に有効である。また、ユーザ自身が取手130を筐体110の内部へ押し込むため、取手130が強制的に筐体110の内部へ移動するわけではないので、ユーザが取手130において手を挟む虞がない。
【0050】
最後に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0051】
図8は、本発明の第4実施形態に係る可搬装置100の制御機構を示す図である。
【0052】
可搬装置100は、CPU200、ROM210、RAM220、検知部230および入力部240をさらに備える。CPU200は、本発明の制御部に相当する。
【0053】
CPU200は、ROM210から制御プログラムを読み込んで実行し、可搬装置100の各部を総括的に制御する。RAM220は、CPU200のワーキングエリアとして活用される。検知部230は、取手130が筐体110の内部に位置している状態(格納状態)を検知する。入力部240は、検知部230からの検知信号を、CPU200に対して、可搬装置100の動作を有効にする信号として入力する。そして、CPU200は、入力部240から信号が入力されていると判断すると、可搬装置100の動作を有効にする。
【0054】
この構成では、取手130が筐体110の内部に位置している場合(格納状態にある場合)に限り、可搬装置100の動作が有効になる(可搬装置100が使用可能となる)ものである。この構成により、可搬装置100を動作させるためには、取手130が筐体110の内部に位置している必要があるため、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入された状態では、可搬装置100は、ユーザによって運搬され難い状態にある。
【0055】
したがって、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されたままの状態、すなわち、可搬装置100の動作が有効である状態において、ユーザが取手130を把持して可搬装置100を運搬する事態が生じないため、電源コードに負荷がかかることによる電源コードへのダメージが発生することを回避できる。また、電源コードからの張力が可搬装置100にかかることがないため、当該張力によってユーザが取手130から手をすべらせて可搬装置100を落下させる危険性を回避できる。
【0056】
図9は、本発明の第4実施形態に係る可搬装置100のCPU200の制御内容を示す図である。
【0057】
CPU200は、入力部240から信号が入力されているか否かを判断する(S10)。CPU200は、入力部240から信号が入力されていないと判断すると(S10のN)、可搬装置100の動作を無効にするように制御する(S20)。CPU200は、入力部240から信号が入力されていると判断すると(S10のY)、可搬装置100の動作を有効にするように制御する(S30)。その後、CPU200は、入力部240から信号が入力されていると判断する限りにおいて(S40のN)、可搬装置100の動作の有効を維持する(S30)。
【0058】
CPU200は、入力部240から信号が入力されなくなったと判断すると(S40のY)、可搬装置100の動作を無効にするように制御する(S20)。その後、CPU200は、入力部240から信号が入力されていないと判断する限りにおいて(S10のN)、可搬装置100の動作の無効を維持する(S20)。
【0059】
この構成では、取手130が筐体110の内部に位置している場合(格納状態にある場合)に限り、検知部230によって取手130が検知されるため、検知部230からの検知信号が入力部240に伝達されることにより、入力部240がCPU200に信号を入力するので、可搬装置100の動作が有効になる(可搬装置100が使用可能となる)ものである。この構成により、可搬装置100を動作させるためには、取手130が筐体110の内部に位置している必要があるため、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入された状態では、可搬装置100は、ユーザによって運搬され難い状態にある。
【0060】
したがって、電源プラグ114が電源プラグ挿入口112に挿入されたままの状態、すなわち、可搬装置100の動作が有効である状態において、ユーザが取手130を把持して可搬装置100を運搬する事態が生じないため、電源コードに負荷がかかることによる電源コードへのダメージが発生することを回避できる。また、電源コードからの張力が可搬装置100にかかることがないため、当該張力によってユーザが取手130から手をすべらせて可搬装置100を落下させる危険性を回避できる。
【0061】
また、本実施形態は、第1実施形態または第2実施形態において示した格納機構が故障した場合に、第3実施形態において示したように、ユーザが手動で取手130を筐体110の内部へ移動させる必要がある場合に、取手130を筐体110の内部に確実に移動し終える(格納状態にする)ことができるため、上述の効果を確実に奏することができる。
【0062】
なお、「発明を実施するための形態」において、第1実施形態〜第4実施形態について説明したが、これらの実施形態は、それぞれ任意に組み合わせることが可能である。
【0063】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
100−可搬装置
110−筐体
112−電源プラグ挿入口
114−電源プラグ
130−取手
140−圧縮バネ
150−ロック爪
160−レバー部
170−リンク部
181−スイッチ
182−ピニオンギア
183−ラックギア
184−ラックギア
185−ラックギア
186−ピニオンギア
187−ギア
188−ピニオンギア
200−CPU
230−検知部
240−入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源プラグを挿入するための電源プラグ挿入口を有する筐体と、
前記筐体の内部と外部との間を移動可能な把手部と、
前記把手部を前記筐体の外部へ移動させる方向に付勢する付勢部と、
前記付勢部の付勢力によって前記把手部が前記筐体の外部へ移動しないように前記把手部を係止するための係止部と、
前記電源プラグ挿入口において前記電源プラグの挿入方向または引き抜き方向に移動可能なレバー部であって、前記電源プラグ挿入口に前記電源プラグが挿入されると前記電源プラグの挿入方向へ移動する一方で、前記電源プラグが引き抜かれると前記電源プラグの引き抜き方向へ移動するレバー部と、
前記係止部と前記レバー部とを連結するリンク部と、
を備え、
前記係止部は、前記電源プラグが前記電源プラグ挿入口に挿入されている状態において前記レバー部が前記電源プラグの挿入方向へ移動している場合には前記把手部を係止する一方で、前記電源プラグが前記電源プラグ挿入口から引き抜かれた際に前記レバー部が前記電源プラグの引き抜き方向へ移動することに伴って前記リンク部によって前記把手部への係止が解除され、
前記把手部は、前記電源プラグが前記電源プラグ挿入口から引き抜かれて前記係止部による係止が解除されると前記付勢部からの付勢力によって前記筐体の外部へ移動する可搬装置。
【請求項2】
前記レバー部が前記電源プラグの挿入方向へ移動することに連動して前記把手部を前記筐体の内部へ移動させるための格納機構
を備え、
前記把手部は、前記電源プラグが前記電源プラグ挿入口に挿入されて前記レバー部が前記電源プラグの挿入方向へ移動することに連動して前記格納機構によって前記筐体の内部へ移動する請求項1に記載の可搬装置。
【請求項3】
前記把手部は、手動で前記筐体の内部へ移動する請求項1に記載の可搬装置。
【請求項4】
前記筐体は、把手可能な部分が存在しない請求項1〜3のいずれか1項に記載の可搬装置。
【請求項5】
前記把手部が前記筐体の内部に位置している状態を検知する検知部と、
可搬装置本体の動作を制御する制御部と、
前記検知部からの検知信号を、前記制御部に対して、可搬装置本体の動作を有効にする信号として入力する入力部と、
を備え、
前記制御部は、前記入力部から信号が入力されていると判断すると、可搬装置本体の動作を有効にする請求項1〜4のいずれか1項に記載の可搬装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−42025(P2012−42025A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185737(P2010−185737)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】