説明

可撓性を有する芳香/消臭棒

【課題】様々な用途に効果的かつ迅速に使用でき、状況により可変可能で、収納や持ち運びなどの汎用性に優れた脱臭・加臭物品を提供する。
【解決手段】芳香/消臭棒は、人間の手の力で自由自在に変形可能で且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有し、特定の用途に使用後元の形に戻す事ができる心棒と、この心棒の周囲に設けられた芳香/消臭剤と、この芳香/消臭剤を挟んで前記心棒の周囲に巻き付けるようにして、前記芳香/消臭剤を保持する包装材とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は芳香/消臭物品に関し、特に可塑性を有し、汎用性と実用性に優れた芳香/消臭棒に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活を快適に過ごす上で、時により悪臭対策は重要な要件となっている。悪臭対策としては、脱臭、消臭及び加臭が考えられる。脱臭と消臭を区別することもあるが、ここでは悪臭を無臭にすることをすべて脱臭と表現することとする。また、加臭は、芳香剤などを使用して、悪臭を目立たなくすることであるが、ここではこういった悪臭マスキングとしての加臭だけではなく、心身をリラックスさせるといった消臭目的以外も含めて加臭と表現することとする。
【0003】
脱臭剤や加臭剤を用いる場合、それらを液体としてスプレーしたり、または容器に収容し、適当な場所に置いておいたり吊り下げたりして、徐々に放散させるという方法を用いることが多い。また、特許文献1に記載されているように、袋に脱臭剤や加臭剤を収容し、ペット用クッションの下敷き等に使用して、ペット臭の消臭効果を期待したものもある。
【特許文献1】特開平4−149681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こういった従来の脱臭・加臭物品は、適当な使用方法に準じて用いれば効果があるものの、それ以外の用途には用いることができない。例えば、スポーツの汗に起因する悪臭対策などに利用するといった場合には不便であり、汎用性に乏しい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な用途に効果的に使用できる汎用性に優れた脱臭・加臭物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の芳香/消臭棒は、人間の手の力で変形可能で且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有する心棒と、この心棒の周囲に設けられた芳香/消臭剤と、この芳香/消臭剤を挟んで前記心棒の周囲に巻き付けるようにして、前記芳香/消臭剤を保持する包装材とからなることを特徴とする。
【0007】
このような構成とすることにより、使用者が、この芳香/消臭棒を素手で適宜変形を行い、その用途に合わせた形状とすることにより、様々な状況に対応して悪臭対策や、脱臭効果、または加臭効果を実現することができる。
【0008】
一つの好適な実施形態では、前記心棒は、フレキシブルワイヤーであり、前記芳香/消臭剤は、脱臭炭であり、また、前記芳香/消臭棒の直径は3mm〜10mmであり、前記脱臭炭は、粒径1〜2mmに粉砕された粒状とした竹炭である。
【0009】
別の好適な実施形態では、前記包装材は、前記芳香/消臭棒の一定長さ毎に絞りが形成されており、前記芳香/消臭剤を分離して保持している。
【0010】
別の様相による本発明の芳香/消臭棒は、内部に香/消臭剤を保持すると共に、全体が棒状に形成され、人間の手の力で変形可能で且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有する包装材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々な用途に効果的に使用可能な汎用性に優れた芳香/消臭棒を提供することができる。特に、日常的な用途に合わせて変形し、それぞれの工夫によって、気軽に便利に使用できる芳香/消臭用の物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒の全体図である。
【図2】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒の拡大断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る芳香/消臭棒の拡大断面図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態に係る芳香/消臭棒の全体図である。
【図5】本発明の更に別の実施形態に係る芳香/消臭棒の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を野球のグローブに設置した場合を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を剣道のお面や小手に設置した場合を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を靴に設置した場合を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を洋服掛けに用いるハンガーに設置した場合を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を洋服掛けに用いるハンガーとして利用した場合を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒をバックに設置した場合を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒を屑入れに設置した場合を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒をペットの首輪に巻いた場合を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒をペットの首輪として利用した場合を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒をストラップとして使用した場合を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の実施形態に係る芳香/消臭棒としての脱臭物品1の全体図および拡大部分断面図である。出願人はこの脱臭物品を「におい棒」と呼んでいる。これは、持ち主の意に従い自在に伸縮する、孫悟空の如意棒から命名したものである。
【0014】
におい棒1は、心棒としてのフレキシブルワイヤー11と、このフレキシブルワイヤー11の周囲に配された脱臭剤13と、全体を通気性のある包装材15で覆ったものである。そして、全体として細長い円筒状(紐状)に形成され、後に詳細に説明するように自由に折り曲げて所望の形状に変形できる。変形した後は、フレキシブルワイヤー11が心棒となって、その形状が維持される。
【0015】
におい棒の具体的な寸法は、例えば日常的な用途を考慮し、直径3mm〜10mm、長さ30cm〜5mとする。保存には一般的な金属ワイヤーと同じように巻き取っておく。また、実際の販売では、例えば直径3mm、5mm、10mm、長さ30cm、60cm、1m、2mのものを取り揃えておき様々な用途に供する。
フレキシブルワイヤー11としては、金属でできたものが、形状保持の観点からは優れている。しかし、コストや製造工程の観点から、ナイロン製のフレキシブルワイヤーとしても良い。いずれにせよ、人間の手の力で容易に変形可能で、且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有する材料が用いられる。
【0016】
ここでは、一般に入手可能な直径0.2mm〜0.7mm、例えば直径0.5mmの軟質合金製フレキシブルワイヤーを用いる。細めのフレキシブルワイヤーを用いた場合は、柔軟性が高くなるので、手袋の中など、人体の動きのある部分に対応して用いる際に適当である。太めのフレキシブルワイヤーを用いた場合は、形状を保持できるので、柔軟性の不要な部分に用いる際に適当である。
【0017】
脱臭剤13としては、物理的な脱臭剤を用いる。物理的な脱臭剤とは、悪臭の元となる成分を吸着、包摂するものである。これに対して、化学的な脱臭剤というものもある。化学的脱臭剤は、悪臭の元となる成分を脱臭剤の成分と化学反応させ、無臭の成分にしてしまうものである。化学的な脱臭剤を、脱臭剤13として用いることも可能であるが、悪臭の種類によっては効果が期待できず汎用性は低くなる。また、再利用という点でも難がある。
【0018】
ここでは、具体的に脱臭炭、特に鹿児島産孟宗竹を原材料として粒状とした竹炭を脱臭剤13として用いる。孟宗竹の竹炭には様々な用途があるが、特に、空気の脱臭・浄化・調湿に優れていることで知られている。そして、その粒径はにおい棒1の半径の1/3から1/6程度とすると、取り扱いに利便性がある。この例では、におい棒1の直径は5mmなので、粒径1〜2mm程度に粉砕された孟宗竹を用いる。このように粉砕された孟宗竹は、使用に伴い脱臭力が低下した場合でも、水洗いによって脱臭力が回復するので、何度でも使用可能である。
【0019】
包装材15としては、通気性に優れ且つ十分な強度を持った多孔質合成樹脂フィルムを用いる。前記フレキシブルワイヤー11と脱臭炭をフィルムの上におき、このフィルムで巻き込み、表面で接合してにおい棒1として製造する。この多孔質合成樹脂フィルムは伸縮性が無いので、脱臭剤13が内部で移動し偏ってしまうことがない。
【0020】
この場合、多孔質合成樹脂フィルムは、水分も透過するので、悪臭成分の吸着が弱くなったら、適宜におい棒1をそのまま水洗いすることによって、効果を回復させることができる。また、実際の販売では、フィルムの色も赤、黒、白、青等、複数取り揃えておき様々な用途に供する。
【0021】
図3は、本発明の別の実施形態に係る芳香/消臭棒としての脱臭物品2の拡大部分断面図である。この実施形態は、上記実施形態とは異なり、心棒としてのフレキシブルワイヤーが設けられていない。フレキシブルワイヤーを設ける代わりに、包装材25が通気性を備えた変形形状保持樹脂からなっている。従って、上記実施形態と同様に、自由に折り曲げて所望の形状に変形でき、変形した後は、その形状が維持される。
【0022】
図4および図5は、本発明の更に別の実施形態に係る芳香/消臭棒としての脱臭物品3の全体図および部分拡大図である。上記実施形態では、伸縮性が無い多孔質合成樹脂フィルムを用いたことと、脱臭剤の粒径をにおい棒1の半径の1/3から1/6程度としたことにより、脱臭剤33が内部で移動し偏ってしまうことがない。この実施形態では、一定長さ、例えば、1〜2cm毎に絞り31を入れて脱臭剤33が内部で移動し偏ってしまうことを防止している。従って、脱臭剤の粒径を自由に決めることができる。
【0023】
次に、上記におい棒1の具体的な利用例を説明する。図6は、野球のグローブに、におい棒1を設置した場合を示す図である。すなわち、予め、におい棒1を図示の如く手形の形に変形しておき、グローブの中に設置する。
【0024】
図7は、剣道のお面や小手に、におい棒1を設置した場合を示す図である。すなわち、予め、におい棒1を図示の如くお面や小手に合わせた形に変形しておき、それらの中に設置する。お面の中に設置する場合には、柔軟性は不要なので、太めのにおい棒1を用いるとよい。
【0025】
図8は、靴に、におい棒1を設置した場合を示す図である。すなわち、予め、におい棒1を図示の如く靴に合わせた形に変形しておき、それらの中に設置する。靴の中に設置する場合には、柔軟性は不要なので、太めのにおい棒1を用いるとよい。
【0026】
図9は、洋服掛けに用いるハンガーに、におい棒1を設置した場合を示す図である。洋服タンスに入れておくと、他の衣類のその臭いも吸収してくれる。特に、ハンガーが、ランドリーなどから提供される金属製のハンガーであるような場合には、におい棒1を適当な形に緩く巻き付けておくと、全体的に厚みが出て、洋服の型崩れを防止するという効果もある。また、図10に示したように、におい棒1そのものをハンガー形状に変形して、ハンガーとして用いることも可能である。
【0027】
図11は、バックに、におい棒1を設置した場合を示す図である。すなわち、予め、バックの底の形状に合わせて変形しておいて敷いておくと、嫌な臭いが発生しない。
【0028】
図12は、屑入れに、におい棒1を設置した場合を示す図である。すなわち、予め、屑入れの底に螺旋状に巻いて敷いておくと、嫌な臭いが発生しない。
【0029】
図13は、ペットの首輪に巻いて、動物の臭気を吸収する場合を示す図である。室内で飼う場合などでは、図14に示したように首輪の代わりに用いてもよい。いずれにせよ、カラフルな色合いのものを、飼い主の趣味に合わせて成形して使用すると楽しみも増える。
【0030】
図15は、におい棒1をストラップとして使用した場合を示す図である。常時携帯する携帯電話に用いると、消臭効果が期待できる。この場合、心棒としてのフレキシブルワイヤーは細めにするか省略しても良い。
【0031】
上記実施形態では、におい棒には脱臭剤を収納していたが、脱臭剤の代わりに加臭剤として芳香剤を収納しても良い。芳香剤としては、ローズ、レモン、ペパーミント等の香りを取り揃える。その他の構成は、脱臭剤入りにおい棒と基本的に同一なので、重複する説明を省略する。
【0032】
芳香剤を収納したにおい棒も、悪臭対策として、脱臭剤を収納したにおい棒と同様に利用することが可能である。または、香りを楽しむ目的で利用する。その他に、ファッション性を高めることで、それらの目的に加え、アクセサリーを兼ねて首にかけるようにしても良い。
【0033】
なお、上記の通り、脱臭剤と芳香剤のいずれを用いても、本発明の技術的な思想は共通するので、特許請求の範囲および明細書において、これらを芳香/消臭剤として総称することとする。すなわち、脱臭剤と芳香剤のどちらも芳香/消臭剤の一例となる。
【0034】
以上、本発明を実施例により詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本願中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本願の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 芳香/消臭棒(におい棒)
11 フレキシブルワイヤー
13 脱臭剤
15 包装材
2 芳香/消臭棒(におい棒)
25 包装材
3 芳香/消臭棒(におい棒)
31 絞り
35 包装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の手の力で変形可能で且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有する心棒と、この心棒の周囲に設けられた芳香/消臭剤と、この芳香/消臭剤を挟んで前記心棒の周囲に巻き付けるようにして、前記芳香/消臭剤を保持する包装材とからなることを特徴とする芳香/消臭棒。
【請求項2】
前記心棒は、フレキシブルワイヤーであることを特徴とする請求項1記載の芳香/消臭棒。
【請求項3】
前記芳香/消臭剤は、脱臭炭であることを特徴とする請求項2記載の芳香/消臭棒。
【請求項4】
前記芳香/消臭棒の直径は3mm〜10mmであり、前記脱臭炭は、粒径1〜2mmに粉砕された粒状とした竹炭であることを特徴とする請求項2記載の芳香/消臭棒。
【請求項5】
前記包装材は、前記芳香/消臭棒の一定長さ毎に絞りが形成されており、前記芳香/消臭剤を分離して保持することを特徴とする請求項2記載の芳香/消臭棒。
【請求項6】
内部に香/消臭剤を保持すると共に、全体が棒状に形成され、人間の手の力で変形可能で且つ変形後の形状を保つ程度の可塑性を有する包装材からなることを特徴とする芳香/消臭棒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−284180(P2010−284180A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137786(P2009−137786)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(596177559)インターマン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】