説明

可撓性包装体詰め製品

【課題】より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供することである。
【解決手段】内容物が可撓性包装体100に詰められてなる可撓性包装体詰め製品であって、可撓性包装体100は、第1包装体部分110と、それに連通し、また分岐して続く第2包装体部分120と第3包装体部分130とを有し、第1包装体部分110には、開封位置から開封するように誘導する開封誘導部17a、17bが形成され、第1包装体部分110の前記開封位置と第2包装体部分120及び第3包装体部分130との分岐位置14との間の長さaが、第2包装体部分120の長さb及び第3包装体部分130の長さcのうちの少なくともいずれか一方よりも長く、かつ、それらの長さの和b+cより小さく設定された構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カレールー等の流動性食品をパウチ(可撓性包装体)に詰めて密封し、加熱・殺菌したレトルトパウチ食品(パウチ詰め製品)がある。このようなレトルトパウチ食品として、近年、具を除いたタレや汁等の調味液を詰めて密封したものが提案されている(特許文献1参照)。このレトルトパウチ食品では、パウチを開封して具を投入した後に、ジッパーによってパウチを再封し、電子レンジ等によってタレや汁とともに具の加熱調理がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1記載のレトルトパウチ食品は、パウチ内に具を投入した後に、開口部近傍に設けられているジッパーを閉めることによって密封されるため、調味液(タレや汁等)とともに具を電子レンジ等で加熱調理する際に発生する蒸気によって当該パウチ内の圧力が上昇する。そこで、このレトルトパウチ食品では、パウチに蒸気を放出するための蒸気孔が形成されている。これにより、加熱調理に際して発生する蒸気によってパウチ内の圧力が上昇しようとしても蒸気孔から蒸気が放出されるので、必要以上に当該パウチ内の圧力が高まることがない。
【0005】
しかしながら、前述した従来のレトルトパウチ食品は、パウチにジッパーや蒸気孔を設けなければならないためにその構造が複雑であり、製造が難しく、かつコストもかさむものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された具等の追加物をもともとの内容物ともに加熱調理することのできる可撓性包装体詰め製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、内容物が可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、前記可撓性包装体は、第1包装体部分と、該第1包装体部分と連通し、当該第1包装体部分から分岐して続く第2包装体部分と第3包装体部分とを有し、前記第1包装体部分には、予め定めた開封位置から幅方向に切断して開封するように誘導する開封誘導部が形成され、前記第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さが、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さのうちの少なくともいずれか一方よりも大きく、かつ、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さの和より小さく設定された構成となる。
【0008】
このような構成により、第1包装体部分が開封誘導部に従って切られて開封された状態で、第1包装体部分の切り口部分の開口から投入した追加物を当該第1包装体部分に連通する第2包装体部分及び第3包装体部分に詰めることができる。そして、第1包装体部分を前記第2包装体部分及び前記第3包装体部分のいずれか側に倒した状態で、好ましくは短い側に倒した状態で、これら第2包装体部分及び第3包装体部分に詰められた追加部をもともとある内容物とともに電子レンジ等で加熱調理することができる。この加熱調理に際して発生した蒸気は、第1包装体部分の倒れによってその切り口部分から放出され難くなるものの、その倒れた第1包装体部分を押し広げてその切り口部分から放出される。
【0009】
前記第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さが、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さのうちのいずれか一方よりも大きいので、第2包装体部分及び第3包装体部分それぞれが追加物を有効に詰めることのできる程度の長さであれば、第1包装体部分は、倒れるのに十分な長さになり得る。また、前記第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さが、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さの和より小さくなるように、第1包装体部分に連通する第2包装体部分の長さ及び第3包装体部分の長さが設定されるので、当該第2包装体部分及び第3包装体部分は、追加物を詰め込むために十分な大きさ(長さ)となり得る。
【0010】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記第2包装体部分の長さと前記第3包装体部分の長さとが等しく設定することも、また、前記第2包装体部分の長さが、前記第3包装体部分の長さより大きく設定することもできる。
【0011】
後者の場合、第1包装体部分に連通する第2包装体部分により多くの追加物が詰まり得るので、第1包装体部分は、第2包装体部分により多く詰まった追加物の影響にて、より短い第3包装体部分側に倒れやすく、加熱調理中に、第2包装体部分側に戻り難くなり得る。なお、前者の場合、第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さは、第2包装体部分の長さ及び第3包装体部分の長さの双方よりも大きく、また、後者の場合、第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さは、第2包装体部分の長さより大きくても、また、第2包装体部分の長さより小さくかつ第3包装体部分の長さより大きくてもよい。
【0012】
また、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記第1包装体部分は、表裏2枚のシートにて形成され、前記一方のシートをたるませて折り返した折り返し部を有する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、第2包装体部分及び第3包装体部分に追加物が詰められた状態で第1包装体部分を折り返し部が外側になるように倒すと、加熱調理の際に発生する蒸気によって倒れた第1包装体部分の外側の折り返し部が膨張し得る。この折り返し部の膨張によって、第1包装体部分は、加熱調理中に、膨張した折り返し部側に戻り難くなり得る。
【0014】
更に、本発明に係る可撓性包装体詰め製品において、前記第1包装体部分は、前記第2包装体部分に続く第1シートと、前記第3包装体部分に続く第2シートにて形成され、前記第1シートをたるませて折り返した折り返し部を有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、第3包装体部分より長い第2包装体部分に続く第1包装体部分の第1シートに折り返し部が形成されたので、加熱調理に際して、第2包装体部分により多く詰まった追加物の影響とともに、膨張する折り返し部によって、第3包装体部分側に倒された第1包装体部分が、第2包装体部分側に戻り難くなり得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る可撓性包装体詰め製品によれば、開封誘導部に従って切られて開封された第1包装体部分を前記第2包装体部分及び前記第3包装体部分のいずれか側に倒した状態で、これら第2包装体部分及び第3包装体部分に詰められた追加部をもともとある内容物とともに電子レンジ等で加熱調理することができるようになるので、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封された可撓性包装体に投入された追加物をもともとの内容物とともに加熱調理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すレトルトパウチ食品に用いられるパウチ(可撓性包装体)の断面構造を示す断面図である。
【図3】図1に示すレトルトパウチ食品の開封された状態を示す斜視図である。
【図4】開封されたレトルトパウチ食品に追加物が投入された状態を示す斜視図である。
【図5】開封されたレトルトパウチ食品に投入された追加物と内容物とが混ぜ合わせられた状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示すレトルトパウチ食品の第1パウチ部分を倒して追加物と内容物とを加熱調理している状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品に用いられるパウチの断面構造を示す断面図である。
【図8】図7に示すパウチを用いたレトルトパウチ食品を開封して追加部と内容物とが混ぜ合わされた状態を示す斜視図である。
【図9】第2パウチ部分及び第3パウチ部分内において内容物と追加物とが混ぜ合わされた状態で、第1パウチ部分が第3パウチ部分側に倒された状態のレトルトパウチ食品を示す側面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品に用いられるパウチの断面構造を示す断面図である。
【図11】図10に示すパウチを用いたレトルトパウチ食品を開封した状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示すレトルトパウチ食品の第1パウチ部分を倒して追加物と内容物とを加熱調理している状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品に用いられるパウチの断面構造を示す断面図である。
【図14】パウチの第1の変形例を示す図である。
【図15】パウチの第2の変形例を示す図である。
【図16】パウチの第3の変形例を示す図である。
【図17】パウチの第4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品は、図1に示すように構成される。この可撓性包装体詰め製品は、パウチ(可撓性包装体)にタレや汁等の調味液を詰めて密封したレトルト食品である。
【0020】
図1に示すレトルトパウチ食品10に用いられるパウチ100は、多層樹脂製で矩形形状の第1シート11、第2シート12及び第3シート13の周囲部分をヒートシール加工して袋状に形成されている。具体的には、図1とともに図2に示すように、第1シート11及び第2シート12の周囲部分をその一部を残してヒートシールして貼り付けるとともに、第1シート11の残り部分及び第2シート12の残り部分のそれぞれの周囲部分と第3シート13の周囲部分とをヒートシール加工して貼り付けることにより、第1パウチ部分110(第1包装体部分)と、第1パウチ部分110と連通し、該第1パウチ部分110から分岐して続く第2パウチ部分120(第2包装体部分)と第3パウチ部分130(第3包装体部分)とから構成されるパウチ100が形成される。
【0021】
前述した各シート11、12、13の周囲部分のヒートシール加工により、第1パウチ部分110の分岐部分14を除く三方の周囲部分には、第1シート11及び第2シート12の縦シール部154、155及び横シール部156が形成され、第2パウチ部分120の分岐部分14を除く三方の周囲部分には、第1シート11及び第3シート13の縦シール部152、153及び横シール部151が形成され、第3パウチ部分130の分岐部分14を除く三方の周囲部分には、第2シート12及び第3シート13の縦シール部158、159及び横シール部157が形成されている。更に、第2パウチ部分120には、縦シール部152の第1パウチ部分110の縦シール部154に続く端部と横シール部151の所定部位との間に斜めなる傾斜シール部161と、縦シール部153の第1パウチ部分110の縦シール部155に続く端部と横シール部151の所定部位との間に斜めになる傾斜シール部162が形成されている。なお、図示は省略するが、第3パウチ部分130にも、第2パウチ部分120と同様に、2つの傾斜シール部が形成されている。
【0022】
第1パウチ部分110の縦シール部154及び155それぞれの横シール部156に近い所定位置には切欠き部17a、17bが形成されている。これら切欠き部17a、17bは、この部分から第1パウチ部分110を横シール部156に沿った幅方向に開封するように誘導する開封誘導部であって、いずれかの切欠き部17a、17bから幅方向(破線A参照)に切り裂くことにより第1パウチ部分110(パウチ110)を開封することができる。
【0023】
このレトルトパウチ食品10は、第2パウチ部分120と第3パウチ部分130とを分岐部分14を境にして広げることにより、図3に示すように、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130が広がって第1パウチ部分110が起立した状態にすることができる。また、第1パウチ部分110の切欠き部17a、17bが形成された位置(開封位置:図1の破線A参照)と分岐位置14までの長さaは、第2パウチ部分120の長さb及び第3パウチ部分130の長さcのいずれよりも大きく(a>b、a>c)、第2パウチ部分120の長さbと第3パウチ部分130の長さcとの和よりも小さく(a<b+c)設定されている。なお、このパウチ100における第2パウチ部分の長さbと第3パウチ部分の長さcとは同じに設定されている。
【0024】
前述したパウチ100に調味液等の内容物Nを詰めて密封したレトルトパウチ食品10は、次のようにして利用される。
【0025】
第1パウチ部分110が、縦シール部154及び155に形成された切欠き部17a、17bのいずれかから幅方向に切り裂かれ、図3に示すように、開封される。これにより、レトルトパウチ食品10は、分岐部分14から左右に広がる第2パウチ部分120と第3パウチ部分130とに内容物Nが入り込み、切り裂き位置より上方部分が切り落とされて、先端縁部分に開口170の形成された第1パウチ部分110が起立した状態となる。この状態で、図4に示すように、第1パウチ部分110の開口170から肉塊等の具(追加物S)が投入される。そして、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130において、もともとあった調味液等の内容物Nと新たに投入された具等の追加物Sとが、例えば、第1パウチ部分110を持って振ることにより、図5に示すように、混ぜ合わされる。このとき、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130に傾斜シール部161、162(図1、図3参照)が形成されているので、調味液等の内容物Nは、塊となる追加物Sがいき難い第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の角部分にはまわらなくなるので、液状の内容物Nと塊となる追加物Sとが有効に絡み合うようになり得る。
【0026】
次いで、起立した第1パウチ部分110の切り口部分の第1シート11及び第2シート12を合わせて開口170を閉じた状態にして、第1パウチ部分110が図6に示すように、例えば、第3パウチ部分130側に倒される。この状態で、電子レンジ等によって第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130内で混ざった内容物N及び追加物Sが加熱調理される。このとき、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の内部で発生する蒸気は、第1シート11と第2シート12とが合わせられて倒された第1パウチ部分110内を通過し難く、また、下方を向いた開口170から出難い。しかし、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の内部の圧力がある程度高くなると、その内部で発生した蒸気は、倒された状態の第1パウチ部分110の第1シート11及び第2シート12を押し広げて通過して下方を向いた開口170から放出される。これにより、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の内部は適度な温度及び圧力に保持されて、混ざった状態の内容物Nと追加物Sとが有効に加熱調理される。
【0027】
このような本発明の第1の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品10によれば、第1パウチ部分110を切欠き部17a、17bのいずれかから切断して第1パウチ部分110を開封し、その第1パウチ部分110から追加物Sを投入した後に第1パウチ部分110を第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130のいずれか側に倒した状態で、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の内部で混ざった内容物N及び追加物Sを加熱調理することができるようになる。従って、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、簡素な構成で、開封されたパウチ100内に投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに電子レンジ等によって加熱調理することができるようになる。
【0028】
特に、第1パウチ部分110の切欠き部17a、17bが形成された位置(開封位置:図1の破線A参照)と分岐位置14までの長さaが、第2パウチ部分120の長さb及び第3パウチ部分130の長さcのいずれより大きく(a>b、a>c)設定されているので、第1パウチ部分110は、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130側に倒すのに十分な長さになる。そして、その第1パウチ部分110を倒すことによって、内容物Nと追加物Sとが混ざった状態で詰められた第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の密封性を比較的高く保持することができるようになる。また、第1パウチ部分110の切欠き部17a、17bが形成された位置(開封位置:図1の破線A参照)と分岐位置14までの長さaが、第2パウチ部分120の長さbと第3パウチ部分130の長さcとの和よりも小さく(a<b+c)設定されているので、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130は、追加物Sを詰め込むために十分な大きさ(長さ)となり得る。
【0029】
なお、前述した例では、第1パウチ部分110を第3パウチ部分130側に倒すようにしたが、第1パウチ部分110を第2パウチ部分120側に倒しても同様の作用、効果が得られることは勿論である。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品について図7〜図9を参照して説明する。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。図7〜図9において、図1に示す部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0031】
このレトルトパウチ食品に用いられるパウチは、図7に示すように構成される。図7において、このパウチ100では、本発明の第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合とは異なり、第2パウチ部分120Lと第3パウチ部分130Sとの長さが異なる。具体的には、第2パウチ部分120Lの長さが第3パウチ部分130Sの長さより大きい。ただし、第1パウチ部分110の切欠き部17a、17bが形成された位置(開封位置:図1の破線A参照)と分岐位置14までの長さaが、第2パウチ部分120Lの長さb及び第3パウチ部分130Sの長さcのいずれよりも大きく(a>b>c)、第2パウチ部分120Lの長さbと第3パウチ部分130Sの長さcとの和よりも小さい(a<b+c)という関係は維持されている。
【0032】
このような構造のパウチ100を用いたレトルトパウチ食品10では、第1パウチ部分110を開封して追加物Sを投入すると、図8に示すように、比較的長い第2パウチ部分120Lにより多くの追加物Sが詰め込まれるようになる。すると、第1パウチ部分110を、図9に示すように、第3パウチ部分130S側に倒すと、比較的大きな容積の第2パウチ部分120Lに詰め込まれたより多くの追加物Sによって倒された状態の第1パウチ部分110が起き上がり難くなる。このため、図9に示すように第1パウチ部分110を倒した状態で、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sに詰められた内容物N及び追加物Sを電子レンジ等で加熱調理すると、その際に、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sの内部で発生した蒸気が、倒された状態の第1パウチ部分110を益々押し広げ難くなるので、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sの内部を比較的高い温度及び圧力に保持することができる。その結果、混ざった内容物Nと追加物Sとを更に有効に加熱調理することができようになる。
【0033】
この本発明の第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10においても、第1の実施の形態の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになることは勿論である。
【0034】
本発明の第3の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品について図10〜図12を参照して説明する。この可撓性包装体詰め製品も、パウチ(可撓性包装体)に予め調味液等の内容物を詰めて密封してなるレトルトパウチ食品である。図10〜図12において、図1に示す部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0035】
このレトルトパウチ食品に用いられるパウチは、図10に示すように構成される。図10において、このパウチ100は、図2に示す第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10の場合と同様に、第1パウチ部分110(第1シート11及び第2シート12)と、第1パウチ部分110と連通し、該第1パウチ部分110から分岐して続く第2パウチ部分120(第1シート11及び第3シート13)と第3パウチ部分130(第2シート12及び第3シート13)とから構成されている。更に、第1パウチ部分110の第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130との分岐部分14に近い所定部位に、第1シート11をたるませて折り返した折り返し部111が形成されている。なお、この場合も、第1パウチ部分110の開封位置(図1に示す切欠き部17a、17b参照)と分岐位置14までの長さaは、第2パウチ部分120の長さb及び第3パウチ部分130の長さcのいずれよりも大きく(a>b、a>c)、かつ、第2パウチ部分120の長さbと第3パウチ部分130の長さcとの和よりも小さい(a<b+c)。
【0036】
このようなパウチ100を用いたレトルトパウチ食品10では、図11に示すように、第1パウチ部分110が開封された後に、その第1パウチ部分110の開口170から追加物Sが投入され、第1の実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130において内容物Nと追加物Sとが混ぜ合わされる。そして、第1パウチ部分110が、折り返し部111が外側になるように、第3パウチ部分130側に倒される。この状態で、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130に詰められた内容物N及び追加物Sが電子レンジ等で加熱調理される。その際、図12に示すように、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130内にて発生して第1パウチ部分110を通過する蒸気の圧力によって、倒れた第1パウチ部分110の根元付近にある折り返し部111が膨張して、倒れた第1パウチ部分110の外側のシート、即ち、第1シート11が大きく伸びる。
【0037】
このような本発明の第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10では、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130に詰められた内容物N及び追加物Sが加熱料理される際に、第3パウチ部分130側に倒れた第1パウチ部分110の外側のシートが大きく伸びて、倒された状態の第1パウチ部分110が起き上がり難くなるので、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130の内部を比較的高い温度及び圧力に保持することができる。その結果、第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130内において混ざった内容物Nと追加物Sとを更に有効に加熱調理することができようになる。
【0038】
なお、この本発明の第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10においても、第1の実施の形態の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになることは勿論である。
【0039】
本発明の第4の実施の形態に係る可撓性包装体詰め製品としてのレトルトパウチ食品に用いられるパウチ100は、図13に示すように構成される。
【0040】
このパウチ100は、図7〜図9に示す第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、第1パウチ部分110から分岐して連続する第2パウチ部分120Lの長さが第3パウチ部分130Sの長さより大きい。更に、このパウチ100は、図10〜図12に示す第3の実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、第1パウチ部分110の第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sとの分岐部分14に近い所定部位に、第1シート11をたるませて折り返した折り返し部111が形成されている。なお、この場合も、第1パウチ部分110の開封位置(図1に示す切欠き部17a、17b参照)と分岐位置14までの長さaは、第2パウチ部分120Lの長さb及び第3パウチ部分130Sの長さcのいずれよりも大きく(a>b>c)、かつ、第2パウチ部分120Lの長さbと第3パウチ部分130Sの長さcとの和よりも小さい(a<b+c)。
【0041】
このようなパウチ100を用いたレトルトパウチ食品10では、第1パウチ部分110を開封して追加物Sを投入した後に、第1パウチ部分110が、折り返し部111が外側になるように、第3パウチ部分130S側に倒される。この状態で、比較的大きな容量の第2パウチ部分120Lに詰め込まれたより多くの追加物Sによって、折り返し部111を外側にして倒された第1パウチ部分110が起き上がり難くなる。このように第1パウチ部分が倒れた状態で第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sに詰められた内容物N及び追加物Sが電子レンジで加熱調理されると、その際に、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130S内にて発生して第1パウチ部分110を通過する蒸気の圧力によって、倒れた第1パウチ部分110の根元付近にある折り返し部111が膨張して、倒れた第1パウチ部分110の外側のシート、即ち、第1シート11が大きく伸び、倒された状態の第1パウチ部分110が更に起き上がり難くなる。従って、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130Sの内部を比較的高い温度及び圧力に保持することができ、その結果、第2パウチ部分120L及び第3パウチ部分130S内において混ざった内容物Nと追加物Sとを更に有効に加熱調理することができようになる。
【0042】
なお、この本発明の第4の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10においても、第1の実施の形態の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになることは勿論である。
【0043】
第1パウチ部分110の根元付近に折り返し部11が形成された第3の実施の形態及び第4の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10において、折り返し部11は、加熱調理時の蒸気の圧力によって膨張し得るが、追加物Sを投入する際に押し広げるようにしてもよい。
【0044】
前述した第2の実施の形態及び第4の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10に用いられるパウチ100(図7、図13参照)では、第1パウチ部分110の開封位置と分岐位置14までの長さaは、第2パウチ部分120Lの長さb及び第3パウチ部分130Sの長さcのいずれよりも大きく(a>b>c)、かつ、第2パウチ部分120Lの長さbと第3パウチ部分130Sの長さcとの和よりも小さく(a<b+c)設定されたが、第1パウチ部分110の開封位置と前記分岐位置14までの長さaは、長い第2パウチ部分120の長さbより小さく(a<b)かつ短い第3パウチ部分130Sの長さcより大きく(a>c)、更に、第2パウチ部分120Lの長さbと第3パウチ部分130Sの長さcとの和よりも小さく(a<b+c)設定するようにしてもよい。
【0045】
また、前述した第2の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10では、加熱調理の際に、第1パウチ部分110は、短い第3パウチ部分130S側に倒すようにしたが、長い第2パウチ部分120L側に倒すようにしてもよい。
【0046】
前述した各レトルトパウチ食品10に用いることのできるパウチの変形例について説明する。
【0047】
図14に示すパウチ100aは、矩形形状の第1パウチ部分110から続いて分岐する第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130のそれぞれの外形形状が円形の一部となって、その円弧状の周囲部分がシールされた構造となることを特徴としている。図15に示すパウチ100bは、矩形形状の第1パウチ部分110から続いて分岐する第2パウチ部分120及び第3パウチ部分130のそれぞれが、矩形形状であって、その内側部分がシール部163によって円形の一部となるように構成されていることを特徴としている。図16に示すパウチ100cは、矩形形状の第1パウチ部分110から続いて分岐する第2パウチ部分120及び第3パウチ部分のそれぞれの外形形状が台形となって、その台形の周囲部分にシール部164、165、166が形成された構造となることを特徴とする。図17に示すパウチ100dは、矩形形状の第1パウチ部分110から続いて分岐する第2パウチ部分120及び第3パウチ部分のそれぞれが、矩形形状であって、その内側部分がシール部167、168、169によって台形になるように構成されていること特徴としている。
【0048】
前述したようなパウチの変形例のそれぞれを用いたレトルトパウチ食品によっても、前述した本発明の各実施の形態に係るレトルトパウチ食品の場合と同様に、従来のように、ジッパーや蒸気孔を設けることなく、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物Sをもともとの内容物Nとともに加熱調理することができるようになる。
【0049】
なお、レトルトパウチ食品10に用いることのできるパウチは、第1〜第4の実施の形態に係るレトルトパウチ食品10に用いられたものや前述した変形例に限られるものではなく、例えば、第2シート12と第3シート13とを1枚のシートで構成し、そのシートをたるませることにより第3パウチ部分を形成するようにしてもよいし、第1、第3、第2シートの全体を1枚のシートで構成して、断面視でW字状に折り曲げてパウチを形成するようにしてもよい。このようにシートを折り曲げてパウチ部分を形成した場合、パウチ部分の横シール部分は不要となるが、補強などの目的で横シール部を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上、説明したように、本発明に係る可撓性包装体詰め製品は、より簡素な構成で、開封されたパウチに投入された追加物をもともとの内容物とともに加熱調理することができるという効果を有し、パウチのような可撓性包装体に内容物を詰めて密封してなる可撓性包装体詰め製品として有用である。
【符号の説明】
【0051】
10 レトルトパウチ食品(可撓性包装体詰め製品)
11 第1シート
12 第2シート
13 第3シート
14 分岐部分
151、156、157 横シール部
152、153、154、155、158、159 縦シール部
17a、17b 切欠き部
100 パウチ
110 第1パウチ部分
111 折り返し部
120、120L 第2パウチ部分
130、130S 第3パウチ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が可撓性包装体に詰められて密封されてなる可撓性包装体詰め製品であって、
前記可撓性包装体は、第1包装体部分と、該第1包装体部分と連通し、当該第1包装体部分から分岐して続く第2包装体部分と第3包装体部分とを有し、
前記第1包装体部分には、予め定めた開封位置から幅方向に切断して開封するように誘導する開封誘導部が形成され、
前記第1包装体部分の前記開封位置と前記第2包装体部分及び第3包装体部分との分岐位置との間の長さが、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さのうちの少なくともいずれか一方よりも大きく、かつ、前記第2包装体部分の長さ及び前記第3包装体部分の長さの和より小さく設定された可撓性包装体詰め製品。
【請求項2】
前記第2包装体部分の長さと前記第3包装体部分の長さとが等しく設定された請求項1記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項3】
前記第2包装体部分の長さが、前記第3包装体部分の長さより大きく設定された請求項1記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項4】
前記第1包装体部分は、表裏2枚のシートにて形成され、一方のシートをたるませて折り返した折り返し部を有する請求項1または2記載の可撓性包装体詰め製品。
【請求項5】
前記第1包装体部分は、前記第2包装体部分に続く第1シートと、前記第3包装体部分に続く第2シートにて形成され、前記第1シートをたるませて折り返した折り返し部を有する請求項3記載の可撓性包装体詰め製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−143948(P2011−143948A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7351(P2010−7351)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】