説明

可燃性廃棄物の燃料化システム及び燃料化方法

【課題】廃スラッジ等の取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物を焼却処分することなく、該廃棄物からセメント焼成炉用燃料等の代替燃料として利用可能な燃料を得る。
【解決手段】廃スラッジ等を封入したドラム缶31等の容器を破砕する破砕装置7と、破砕装置7によって破砕された破砕物Gと液体燃料としての廃溶剤C、再生油Oとを混合する混合装置8と、混合装置8によって混合された混合物Mを篩い分けする篩分装置9と、篩分装置9によって篩い分けられた液状物L等を燃料として貯留する貯留装置25とを備える可燃性廃棄物の燃料化システム1。破砕装置7で廃スラッジ等を封入したドラム缶31を破砕し、混合装置8で破砕されたドラム缶31の破片とともに廃スラッジ等を廃溶剤C等と混合して廃スラッジ等の分散を促進し、篩分装置9によって混合物Mを篩い分けて燃料として利用可能な液状物Lを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性廃棄物の燃料化システム及び燃料化方法に関し、特に、引火点が低かったり、臭気を有していたり、スラッジあるいは高粘度の物質を含有するなどの理由により、取り扱いが難しく、容器ごと処理することが望ましい可燃性廃棄物を、セメント焼成炉等の燃焼炉用燃料として燃料化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため、単純焼却を止め、できるだけ効率的に可燃性廃棄物の熱量を回収する技術の開発が求められている。一方、石油や石炭の価格が高騰しているため、コスト低減のためにも可燃性廃棄物の利用拡大が求められている。これまで焼却処理されていた可燃性廃棄物の中には、(1)引火点が低い、(2)臭気を有する、(3)スラッジあるいは高粘度の物質を含有する、などの理由により、取り扱いが難しく、容器ごと処理することが望ましい可燃性廃棄物がある。廃塗料、廃溶剤、ケミカルスラッジ等がこれらに該当する。
【0003】
ところで、特許文献1には、廃塗料、廃溶剤等の化学系廃棄物、重金属を含む可燃性廃棄物、医療系廃棄物等の事業系産業廃棄物のように、取り扱いが困難で、これらの産業廃棄物が大気に曝されたり、作業者がこれらの産業廃棄物に接触する虞がない状態で処理できるようにするため、破砕された各種廃棄物をミキサーで混錬して高粘度廃棄物とし、焼却炉にポンプで圧送して燃焼させる装置等が提案されている。
【0004】
上記装置の一例として、図3に示す装置は、ホッパ41内に一般廃棄物Gを投入し、ホッパ41の下部に連設されたダクト43内に産業廃棄物Iをドラム缶に封入したまま直接投入し、これらを破砕機42で破砕し、次に、ミキサー46で混練して高粘度廃棄物Wとしてから、圧送ポンプ47で焼却炉49へ圧送して焼却処理する。尚、ミキサー46内の高粘度廃棄物Wの粘度が高過ぎる場合には、廃液供給装置45を運転して粘度調整剤タンク48内の廃液Lをミキサー46内に供給し、ミキサー46内で混練された高粘度廃棄物Wの粘度が低過ぎる場合には、スラッジ供給装置44を運転して粘度調整剤タンク48内のスラッジSをミキサー46内に供給する。
【0005】
また、特許文献1との関連で、特許文献2には、図3において、ミキサー46の負荷と、ミキサー46の内容物(高粘度廃棄物W)の重量とに基づいてミキサー46の内容物の粘度を検出し、検出された粘度に応じて、前記廃液供給装置45を運転して粘度調整剤タンク48内の廃液Lをミキサー46内に供給するか、スラッジ供給装置44を運転して粘度調整剤タンク48内のスラッジSをミキサー46内に供給するかを判断し、ミキサー46の内容物を焼却炉49へ安定して搬送することができ、円滑な運転を継続し得る廃棄物処理設備のミキサー内容物粘度検出方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3846254号公報
【特許文献2】特開2005−17267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載の装置は、ドラム缶に封入した状態で搬入された産業廃棄物Iを、ほとんど人手を介さずに完全密閉式の状態のままで焼却処理することができるため、作業者が産業廃棄物に曝される虞を排除し、産業廃棄物Iを取り出したドラム缶の後処理工程を不要にできるなどの利点があるが、この装置は、あくまでもドラム缶に封入した産業廃棄物Iを焼却処理するためのものであるため、このような装置を利用しても廃スラッジを含む、取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物を、セメント焼成炉用燃料等の代替燃料として利用可能な燃料を得ることはできない。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、廃スラッジ等の取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物を焼却処分することなく、該廃棄物からセメント焼成炉用燃料等の代替燃料として利用可能な燃料を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、可燃性廃棄物の燃料化システムであって、可燃性廃棄物を封入した容器を破砕する破砕装置と、該破砕装置によって破砕された破砕物と液体燃料とを混合する混合装置と、該混合装置によって混合された混合物を篩い分けする篩分装置と、該篩分装置によって篩い分けられた液状物を燃料として貯留する貯留装置とを備えることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明によれば、破砕装置で可燃性廃棄物を封入した容器を破砕し、混合装置で破砕された容器の破片とともに、可燃性廃棄物を液体燃料と混合して容器に封入されていた可燃性廃棄物の分散を促進し、その後、篩分装置によって混合物を篩い分けて燃料として利用可能な液状物を得ることができ、この液状物をセメント焼成炉等の燃焼炉用燃料等の代替燃料として利用することで、可燃性廃棄物を焼却処分することなく有効利用することができる。
【0011】
また、前記可燃性廃棄物の燃料化システムにおいて、前記混合装置を、水平方向に延設された回転軸と、該回転軸とともに回転する複数の撹拌羽根と、前記液体燃料を該混合装置内の前記破砕物に添加するための供給口を有する液体燃料添加装置とを備えるように構成することができる。供給口より液体燃料を破砕物に添加し、容器の破片に付着した高粘性物や、スラッジの塊に、最初は強いせん断力を与えて解砕し、最終的に可燃性廃棄物を均質で篩分けし易い粘度に調整することができる。
【0012】
さらに、前記可燃性廃棄物の燃料化システムにおいて、前記篩分装置を、回転スクリーンと、前記液体燃料を該回転スクリーン上の前記混合物に添加するための供給口を有する第2の液体燃料添加装置とを備えるように構成することができる。これにより、容器の破片等の固体にスラリー状の付着物が残る場合でも、固体表面全体を洗い流すことで、固体のリサイクルを容易にすることができる。さらに、液体添加装置では、廃溶剤やエマルジョン燃料等の液体燃料の他、界面活性剤を含む水を添加することができる。
【0013】
前記可燃性廃棄物の燃料化システムにおいて、前記篩分装置によって篩い分けされた塊状物に含まれる金属片を除去するための磁選機を備えることができ、篩分装置からの塊状物を鉄片等と、プラスチック、ゴム等とに分離し、後処理を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明は、可燃性廃棄物の燃料化方法であって、可燃性廃棄物を封入した容器を破砕し、該破砕によって得られた破砕物と液体燃料とを混合し、該混合によって得られた混合物を篩い分けして液状物と塊状物とに分離し、分離した液状物を燃料として貯留することを特徴とする。本発明によれば、上記発明と同様に、上記液状物をセメント焼成炉等の燃焼炉用燃料等の代替燃料として利用することで、可燃性廃棄物を焼却処分することなく有効利用することができる。
【0015】
前記可燃性廃棄物の燃料化方法において、前記混合物を篩い分けする際に、該混合物に第2の液体燃料を添加することができる。これにより、容器の破片等の固体にスラリー状の付着物が残る場合でも、固体表面全体を洗い流すことで、固体のリサイクルを容易にすることができる。液体添加装置により、液体燃料の他、界面活性剤を含む水を添加することにより、分離された固体からのガス発生量を抑制し、固体の取り扱いを容易にすることができ、さらには、容器に水が混入している場合に、可燃性廃棄物と水との分離を防ぐことができる。
【0016】
また、前記可燃性廃棄物の燃料化方法において、前記第1及び第2の液体燃料を、廃溶剤、廃油、廃塗料、エマルジョン燃料、有機物含有廃液及び再生油からなる群から選択される少なくとも一種以上とすることができる。これにより、廃スラッジ等の処理困難な可燃性廃棄物とともに、廃溶剤等の液状廃棄物についても同時に燃料化することができる。
【0017】
前記可燃性廃棄物の燃料化方法において、前記液状物を、セメントキルンの窯前部、窯尻部及び仮焼炉よりなる群から選択される一以上の箇所に導入することができる。これにより、取り扱い易い液状の燃料をセメント焼成炉で利用することができ、セメント焼成炉に導入した際にセメント焼成炉の燃焼状態への影響を最小限に抑えることができる。また、可燃性廃棄物を燃料代替として用いることで、セメントを製造する上で必要な高価な化石燃料の原単位を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、廃スラッジ等の取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物を焼却処分することなく、該廃棄物からセメント焼成炉用燃料等の代替燃料として利用可能な燃料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明にかかる可燃性廃棄物燃料化システム(以下、適宜「燃料化システム」と略称する)の一実施の形態を示し、この燃料化システム1は、大別して、ドラム缶(又はIBC容器)搬送装置2〜4と、破砕装置7と、混合装置8と、篩分装置9と、液体燃料タンク17(17A、17B)と、スラリータンク18(18A、18B)と、混合タンク19と、製品(燃料)タンク25等で構成される。尚、図1ではIBC容器を搬送する例を描いており、本発明では、IBC容器をそのまま取り扱うことも可能であるが、以下の説明においては、単にドラム缶31を取り扱うものとして説明する。また、ドラム缶31には、可燃性廃棄物の一例として廃塗料スラッジが封入されているものとする。一方、液体燃料タンク17Aには廃溶剤Cが、液体燃料タンク17Bには再生油Oが貯留され、液体燃料供給装置21からは液体燃料として廃溶剤Cが供給されるものとする。
【0021】
ドラム缶搬送装置2〜4は、ローラコンベア2と、エレベータ3と、供給機4とで構成され、リフト30等で供給された、廃塗料スラッジを封入したドラム缶31をそのままの状態で供給室5に投入するために備えられる。また、供給室5に隣接して、廃塗料スラッジを収容したフレコン32等を投入するための供給室6も設けられる。図示を省略するが、フレコン32等もドラム缶31と同様の搬送装置を用いて供給室6の上方まで搬送される。供給室5、6は、防爆のため窒素置換される。
【0022】
破砕装置7は、供給室5及び供給室6の下方に位置し、破砕装置7の内部には、爆発防止のために窒素ガスが供給される。この破砕装置7は、投入されたドラム缶31を破砕するための2軸の回転破砕機7bと、その上方に位置し、ドラム缶31を斜め上方から回転破砕機7bに押し付けるプッシャ7aと、回転破砕機7b等を駆動するためのモータ7cと、破砕不可能な物を外部に排出するための排出部7dが設けられる。尚、排出部7dから破砕不可能な物を排出する際には、破砕装置7の内壁を一部解放することができる。
【0023】
混合装置8は、破砕装置7からの破砕物Gと、液体燃料タンク17からポンプ33(33A、33B)を介して供給された廃溶剤C又は/及び再生油Oとを混合するために備えられ、モータ8cによって回転する回転軸8aに複数の撹拌羽根8bを備える。また、この混合装置8には、ポンプ33を介して供給された廃溶剤C等を混合装置8内の破砕物Gに添加するため、第1の液体燃料添加装置22が付設される。混合装置8によって混合された混合物Mは、シュート10を介して篩分装置9に供給される。
【0024】
上記混合装置8は、図2に示すように、円筒状の本体8d内に回転軸8aが水平方向に延設され、この回転軸8aに複数の撹拌羽根8bが取り付けられて矢印方向に回転する。本体8d内の内容物の粘度等に応じて内容物の滞留時間を調節可能なように、排出口に設けた堰(不図示)の高さを任意に変更することができ、滞留時間を長くしたい場合には、堰の頂部を回転軸8aと同レベルに配置することもできる。
【0025】
また、混合装置8には、振動粘度計8eが設けられ、振動粘度計8eによって混合装置8の内容物の粘度を測定し、測定された粘度に応じて液体燃料タンク17から廃溶剤C等を混合装置8に添加することにより、容器の破片や異物へのスラッジの付着量を少なく抑えることができる。
【0026】
尚、特許文献2においても、図3に示すように、ミキサー46の負荷と、ミキサー46の内容物(高粘度廃棄物W)の重量とに基づいてミキサー46の内容物の粘度を検出し、検出された粘度に応じて、廃液L又はスラッジSをミキサー46内に供給するが、この文献に記載の技術は、高粘度廃棄物Wを取り扱うため、ミキサー46の負荷に対して容器の破片による影響が小さい。そのため、ミキサー46の負荷等に基づいて検出される内容物の粘度についても、破片による影響が小さい。しかし、本発明は、燃料として利用可能な液状物を得ることを目的とするため、混合装置8の内容物の粘度が低く、容器の破片の影響で負荷が安定せず、混合装置8の負荷等に基づいて混合装置8内の内容物の粘度を精度よく検出することができない。そこで、図2に示すように、振動粘度計8eを用いるとともに、振動粘度計8eは、固体衝突の衝撃に弱く、破片等の固体は、混合装置8内において撹拌羽根8bが上昇する側8fに集まるため、撹拌羽根8bが下降する側8gに外側に突出する突出部8hを形成し、突出部8h内に振動粘度計8eのセンサ部を配置する。
【0027】
篩分装置9は、シュート10を介して供給された、混合装置8からの混合物Mを篩い分けるために備えられ、モータ9bによって回転する回転スクリーン9aを備えるトロンメル等が用いられる。この篩分装置9には、液体燃料供給装置21を介して供給された廃溶剤Cを回転スクリーン9a上の混合物Mに添加するため、第2の液体燃料添加装置23が付設される。篩分装置9によって篩い分けられた液状物Lは、スラリータンク18に搬送され、塊状物Sはコンベア12へ排出される。篩分装置9には、廃液Lをスラリータンク18に搬送するためのポンプ34が付設される。尚、篩分装置9として、トロンメルに代えて、ロールスクリーン装置又は振動篩分装置を使用することもできる。
【0028】
液体燃料タンク17は、廃溶剤C、再生油O等の液体燃料を貯留するために備えられる。液体燃料タンク17には、廃溶剤C等を混合タンク19に搬送するためのポンプ20(20A、20B)と、第1の液体燃料添加装置22に搬送するためのポンプ33(33A、33B)とが付設される。
【0029】
スラリータンク18(18A、18B)は、篩分装置9からポンプ34を介して搬送された液状物Lをバッチ毎に均質化するために備えられ、均質化した液状物LMは、品質に問題がない場合には、ポンプ26(26A、26B)によって直接製品タンク25に移送し、さらに調整が必要な場合には、液体燃料タンク17からの廃溶剤C等と混合するために混合タンク19に移送することができる。
【0030】
混合タンク19は、スラリータンク18からの混合液状物LMと、液体燃料タンク17に貯留された廃溶剤C等とを混合するために備えられる。混合タンク19には、これらの混合によって得られた製品(燃料)Pを製品タンク25に搬送するためのポンプ27と、バーナーを閉塞させる粒子を除去するためのストレーナ29が設けられる。
【0031】
製品タンク25は、スラリータンク18から直接移送された混合液状物LM、又は混合タンク19によって調合された製品(燃料)Pを貯留するために備えられ、製品Pを出荷又は次工程へ移送するためのポンプ28が付設される。
【0032】
磁選機13は、コンベア12によって搬送される塊状物Sに含まれる鉄片I等を除去するために備えられる。
【0033】
置場15は、磁選機13によって除去された鉄片I等を貯留するために備えられ、置場16は、磁選機13を通過したプラスチック、ゴム等の塊状物S’を貯留するために備えられる。
【0034】
次に、上記構成を有する燃料化システム1の動作について、図1を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、廃塗料スラッジを封入したドラム缶31を処理する場合を例にとって説明する。
【0035】
受け入れた廃塗料スラッジ入りドラム缶31をリフト30でローラコンベア2に供給すると、ドラム缶31は、ローラコンベア2、エレベータ3及び供給機4によって搬送され、そのまま供給室5に投入される。ドラム缶31は、窒素置換された供給室5を経由して破砕装置7に落下して破砕される。
【0036】
破砕装置7の内部で、プッシャ7a及び回転破砕機7bによって破砕されることにより、ドラム缶31が裂けて、内部の廃塗料スラッジが放出される。尚、プッシャ7a及び回転破砕機7bによっても細かく破砕されずに破砕装置7の出口を通過できない物が存在する場合には、回転破砕機7bを逆転させてさらに破砕する。これによっても破砕装置7の出口を通過しない物については、破砕装置7の内壁を一部解放し、排出部7dを介して外部に排出する。破砕装置7の内部には、窒素ガスが供給され、酸素濃度を低く抑えているため、ドラム缶31から廃塗料スラッジが放出されても爆発を防止することができる。
【0037】
次に、破砕装置7から排出された破砕物Gは、混合装置8に供給され、液体燃料タンク17からポンプ33及び第1の液体燃料添加装置22を介して供給された廃溶剤C等と混合される。ここで、混合装置8の排出口に設けた堰の高さを調節し、図2に示すように、混合装置8の内容物の表面のレベルを回転軸8aと同レベルに維持しているため、混合装置8内における内容物(破砕物G及び廃溶剤C等)の滞留時間を長く維持し、振動粘度計8eによって混合装置8の内容物の粘度を測定し、測定された粘度に応じて液体燃料タンク17から廃溶剤C等を混合装置8に添加することにより、ドラム缶31の破片に付着した高粘性物や、廃塗料スラッジの塊に、最初は強いせん断力を与えて解砕し、最終的に廃塗料スラッジを均質で篩分けし易い粘度に調整することができる。廃溶剤C等との混合により液状となった廃塗料スラッジは、破砕されたドラム缶31の破片等とともに、シュート10を介して篩分装置9に供給される。
【0038】
篩分装置9に供給された混合物Mは、篩分装置9内の回転スクリーン9aによって出口側に搬送されながら、液状物Lと、塊状物Sとに篩い分けられる。液状物Lは、篩分装置9の底部よりポンプ34によってスラリータンク18に搬送され、塊状物Sは、篩分装置9の出口部からコンベア12上へ落下する。ここで、ドラム缶31の破片等の塊状物Sに廃塗料スラッジのスラリー状の付着物が残る場合でも、塊状物Sの表面全体を第2の液体燃料添加装置23より添加された廃溶剤Cでスラリー状の付着物を洗い流すことで、処分費用のかからないリサイクル容易な性状の塊状物S(金属片等)を得ることができる。
【0039】
次に、スラリータンク18において、篩分装置9からの液状物Lをバッチ混合し、品質を確認する。スラリータンク18における混合でそのまま製品として出荷等可能なものについては、ポンプ26を介して製品タンク25に移送する。一方、スラリータンク18における混合でそのまま製品として出荷等できないものについては、混合タンク19に移送する。
【0040】
次に、混合タンク19において、篩分装置9から搬送された混合液状物LMと、液体燃料タンク17から供給された廃溶剤C等とを混合し、所定の品質の製品Pに調合する。製品Pは、ポンプ27によって、ストレーナ29を通過させた後、製品タンク25に搬送して貯留し、出荷に備える。この製品Pは、セメント焼成炉、その他の焼成炉用燃料の代替燃料として利用することができる。
【0041】
一方、篩分装置9からコンベア12に排出された塊状物Sは、コンベア12での搬送中に、磁選機13によって鉄片I等が除去され、除去された鉄片I等は、置場15に貯留され、再利用される。また、磁選機13を通過したプラスチック、ゴム等の塊状物S’は、置場16に貯留し、液だれを防止するため木屑等と混合し、例えばセメントキルンの窯尻部等に投入して燃料として利用することができる。
【0042】
尚、本実施の形態においては、可燃性廃棄物の一例として、廃塗料スラッジを燃料化する場合について説明したが、廃塗料スラッジと同様に、粘度の高い廃溶剤蒸留残渣、廃グリス、オイルスラッジ、廃インク、廃白土等の廃スラッジについても同様に燃料化することができる。また、粘度の高い可燃性廃棄物を処理する場合には、上述のように廃溶剤C等を添加して燃料化したが、廃溶剤等、粘度の低い可燃性廃棄物をドラム缶に封入した場合には、廃溶剤C等を添加する必要はない。
【0043】
また、上記実施の形態においては、取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物をドラム缶に封入したものを処理して燃料化したが、ドラム缶に限らず、一斗缶、ペイント缶に封入したものであってもよく、取り扱いの困難な各種可燃性廃棄物を密閉容器に封入したものであれば同様に処理することができ、可燃性廃棄物を封入したペイント缶等をさらにドラム缶に収容して上記システムで処理して燃料化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明にかかる可燃性廃棄物燃料化システムの一実施の形態を示す全体概略図である。
【図2】図1の可燃性廃棄物燃料化システムの混合装置を示す概略断面図である。
【図3】従来の廃棄物焼却装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 可燃性廃棄物燃料化システム
2 ローラコンベア
3 エレベータ
4 供給機
5 供給室
6 供給室
7 破砕装置
7a プッシャ
7b 回転破砕機
7c モータ
7d 排出部
8 混合装置
8a 回転軸
8b 撹拌羽根
8c モータ
8d 本体
8e 振動粘度計
8f 撹拌羽根上昇側
8g 撹拌羽根下降側
8h 突出部
9 篩分装置
9a 回転スクリーン
9b モータ
10 シュート
12 コンベア
13 磁選機
15 置場
16 置場
17(17A、17B) 液体燃料タンク
18(18A、18B) スラリータンク
19 混合タンク
20(20A、20B) ポンプ
21 液体燃料供給装置
22 第1の液体燃料添加装置
23 第2の液体燃料添加装置
25 製品タンク
26〜28 ポンプ
29 ストレーナ
30 リフト
31 ドラム缶
32 フレコン
33(33A、33B) ポンプ
34 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性廃棄物を封入した容器を破砕する破砕装置と、
該破砕装置によって破砕された破砕物と液体燃料とを混合する混合装置と、
該混合装置によって混合された混合物を篩い分けする篩分装置と、
該篩分装置によって篩い分けられた液状物を燃料として貯留する貯留装置とを備えることを特徴とする可燃性廃棄物の燃料化システム。
【請求項2】
前記混合装置は、水平方向に延設された回転軸と、該回転軸とともに回転する複数の撹拌羽根と、前記液体燃料を該混合装置内の前記破砕物に添加するための供給口を有する液体燃料添加装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載の可燃性廃棄物の燃料化システム。
【請求項3】
前記篩分装置は、回転スクリーンと、前記液体燃料を該回転スクリーン上の前記混合物に添加するための供給口を有する第2の液体燃料添加装置とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物の燃料化システム。
【請求項4】
前記篩分装置によって篩い分けされた塊状物に含まれる金属片を除去するための磁選機を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の可燃性廃棄物の燃料化システム。
【請求項5】
可燃性廃棄物を封入した容器を破砕し、
該破砕によって得られた破砕物と液体燃料とを混合し、
該混合によって得られた混合物を篩い分けして液状物と塊状物とに分離し、分離した液状物を燃料として貯留することを特徴とする可燃性廃棄物の燃料化方法。
【請求項6】
前記混合物を篩い分けする際に、該混合物に第2の液体燃料を添加することを特徴とする請求項5に記載の可燃性廃棄物の燃料化方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の液体燃料は、廃溶剤、廃油、廃塗料、エマルジョン燃料、有機物含有廃液及び再生油からなる群から選択される少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の可燃性廃棄物の燃料化方法。
【請求項8】
前記液状物を、セメントキルンの窯前部、窯尻部及び仮焼炉よりなる群から選択される一以上の箇所に導入することを特徴とする請求項5、6又は7に記載の可燃性廃棄物の燃料化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−222322(P2009−222322A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68620(P2008−68620)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】