説明

可逆性感熱記録媒体用洗浄方法

【課題】可逆性感熱記録媒体の油等の汚れを除去でき、可逆性感熱記録媒体の機能を損うことなく洗浄できる可逆性感熱記録媒体用洗浄液を提供することを目的とする。
【解決手段】電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を洗浄液によって洗浄する方法において、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を含む水溶液を洗浄液として可逆性感熱記録媒体を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆性感熱記録媒体の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内での工程管理、物流管理のタグ等に使用するデータキャリアは、製造番号等の物体を特徴付ける各種情報やその物体の位置情報等を記録し管理する目的で広く利用されているが、社会の情報化に伴いその必要性はさらに高くなってきている。しかしながら、これらデータキャリアの使用量が増加することは、それらが役目を果たし廃棄される際に大量の廃棄物を生み出すことになり、ゴミの総量を削減することが大きな社会的課題となってきている昨今では、無視できない問題となる。
【0003】
一方、電磁波で情報をやりとりする事のできる無線タグ、トランスポンダー、RFIDあるいはカード形状では非接触ICカード等と呼ばれるデータキャリアは、段ボール箱等の箱の中に収納されて直接見ることができない状態でもデータの読み書きができると共に、高いセキュリティーに対応できる等、光学的に情報を記録するバーコードに対して優れた特徴を持っている、ICチップ内の情報は人には読むことが出来ず、判読可能な目視情報を付加したいと言う要望が高い。ただし、この付加的な目視情報が書き換えられない場合、電気的に書き換え(リライト)可能なICチップの特徴を生かしたデータキャリアをリサイクルするメリットが失われてしまうことになる。そこで上記のような課題に対して、可逆性感熱記録材料を用いて光学的記録情報を書き換えることで、データキャリアをリサイクルすることが行われている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【0004】
上記の様な可逆性感熱記録材料付きデータキャリアをリサイクルする方法は、廃棄するデータキャリアの数量を削減し、かつコストダウンに効果的である反面、どうしても一度使用したデータキャリアを回収し、情報を書き換えると共に、表面の可逆性感熱記録材料による目視情報を熱的に書き換える作業が必要となり、余分な作業が加わることは避けられない。しかも、機械の組立工場等などの工程管理に使用する場合などは、どうしてもデータキャリア自身が作業環境中に存在するほこり、油などの汚れや、マジック、鉛筆などのマーキングで汚れてしまい、そのまま可逆性感熱記録材料の書き換えを行うと感熱ヘッド等に汚れがつき、印字品質の不良、印字装置の寿命の低下等の問題を引き起こすため、データキャリアを繰り返し使用するには、データキャリアの洗浄を行うことが必要となる場合が多く、このためさらに洗浄工程という余分な工程を導入する必要が生じる。
【0005】
このように、可逆性感熱記録材料付きデータキャリアのリサイクルは、原理的には環境に優しく経済的な解決策を提案するものの、実運用上では作業の効率性を低下させることになりかねず、それを回避するための解決策が強く求められて、洗剤を含めた加熱方式(特許文献3、4、9)、ブラシ方式(特許文献5、6、7)、浸漬方式(特許文献8)あらゆる洗浄方式が検討されてきた。特許文献3には可逆性感熱記録媒体を洗浄液で洗浄する方法が開示されているがこれは相変化による色の変化を利用するものであり、洗浄液が記録媒体の記録状態に悪影響を及ぼすことはない。しかしながら、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用いて加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体は、通常の洗浄液を用いるとその機能が損なわれたり、印字に使用するプリンタの印字ヘッドを腐食する問題がある。
また、上記取り扱いで、オレとか曲げが発生して、前記可逆性感熱記録媒体は、クラックやひび割れが生じ、その中を洗浄液で侵され、洗浄液により機能が損なわれる問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−68978号公報
【特許文献2】特開2002−170087号公報
【特許文献3】特開平6−210957号公報
【特許文献4】特開2004−223872号公報
【特許文献5】特開平6−127730号公報
【特許文献6】特開平6−203257号公報
【特許文献7】特開平7−282315号公報
【特許文献8】特開平7−112584号公報
【特許文献9】特開平9−58142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油等の汚れを除去でき、可逆性感熱記録媒体の機能を損なうことのない洗浄液を提供することを目的とする。また、より詳細には、汚れの付着した可逆性感熱記録媒体を洗浄液で洗浄しても、(1)リライトの印字濃度の低下、(2)リライトの地肌濃度の劣化、(3)サーマルヘッド異常、(4)クラックへの悪影響及び(5)汚れの残存等がない優れた洗浄液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を洗浄するに際し、特定のイオン界面活性剤を含有する水溶液を洗浄液として用いてることにより、可逆性感熱記録媒体のリライト機能を損なうことなく洗浄することが可能となることを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明は以下に記載するとおりの洗浄方法である。
(1)電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を洗浄液によって洗浄する方法において、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を含む水溶液を洗浄液として可逆性感熱記録媒体を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(2)界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩及びジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びアルキルポリグルコシドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(3)界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,C13)エーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(4)洗浄液の温度が5〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(5)可逆性感熱記録媒体と洗浄液との接触時間が10〜120秒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(6)洗浄液が、添加剤、増粘剤、消泡剤及びキレート剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(7)洗浄液が、沸点120℃を超えない揮発性の有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(8)洗浄後に、水又は水と沸点が120℃を超えない揮発性の溶剤の一種以上の溶剤との混合物によりすすぎ洗いする工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(9)洗浄工程の後に、洗浄して得られた可逆性感熱記録媒体に温度をかけて該可逆性感熱記録媒体の画像を消去する画像消去工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
(10)画像消去工程の後に、印字工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)のアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を含む水溶液を洗浄液として用いる洗浄方法によれば、可逆性感熱記録媒体の印字機能低下もなく500回以上の繰り返し使用ができる。これに対し、カチオン系、両性系の界面活性剤を用いると印字ヘッドの腐食が発生する。
上記(2)の洗浄方法によれば、使用する界面活性剤の親水性が大きいため、可逆性感熱記録媒体への洗浄液の浸透速度が遅いため、媒体が影響を受けにくい。
上記(3)の洗浄方法によれば、特に、可逆性感熱記録媒体への洗浄による影響を少なくできる。
上記(4)の洗浄方法によれば、洗浄液の温度が、5〜50℃であるため、洗浄能力の低下や、洗浄液の浸透が可逆性感熱記録媒体に浸透して印字消去機能を低下することがない。
上記(5)の洗浄方法によれば、洗浄時間が10〜180秒であるので、洗浄効果が十分発揮され、また、可逆性感熱記録媒体の表面劣化の心配もない。
上記(6)の洗浄方法によれば、洗浄液に、添加剤、増粘剤、消泡剤、キレート剤が含まれている洗浄液が含まれることにより、洗浄効果が向上する。
上記(7)の洗浄方法によれば、洗浄液に揮発性の溶剤が含まれているので、汚れの除去効果が優れている。
上記(8)の洗浄方法によれば、洗浄後にすすぎ工程を付加したため、可逆性感熱記録媒体表面に残存する洗浄液を除去することができ前記媒体の表面のベタ付をさらに低減することができる。
【0010】
上記(9)の洗浄方法によれば、ごみの付着がない状態で消去、印字を行うので、消去品質及び印字品質が共に高い可逆性乾熱記録媒体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<可逆性記録媒体>
以下、本発明の可逆性記録媒体について詳しく説明する。 本発明の可逆性記録媒体(A)を下記に示す。 第一に、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす材料である。目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の熱可逆記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものならばなんでも良いが、例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。特に第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが好適に用いられる。
【0012】
ロイコ染料として、この種の可逆感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。 長鎖アルキル顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平7−179043号公報、特開平10−95175号公報などに記載の記録層である。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例はたとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載に示され、1種または2種以上を混合して用いても良い。 可逆感熱記録層には、必要に応じて塗布特性や発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。
【0013】
可逆感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤、種々の添加剤をバインダー樹脂とともに形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂が1種または2種以上を混合して用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などがとくに好ましく用いられる。
しかし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0014】
可逆性感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤、種々の添加剤、バインダー樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を用いて形成する。塗液調製に用いられる溶媒の具体例としてはアルコ−ル類、ケトン類、エ−テル類、グリコ−ルエ−テル類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を例示することができるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0015】
塗液調製はペイントシェ−カ−、ボ−ルミル、アトライタ−、三本ロ−ルミル、ケディ−ミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行うことができる。又、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷または徐冷によって析出させても良い。
【0016】
塗工方法については特に制限はなく、ブレ−ド塗工、ワイヤ−バ−塗工、スプレ−塗工、エアナイフ塗工、ビ−ド塗工、カ−テン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバ−スロ−ル塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
【0017】
保護層(厚さ0.1〜10μm)の材料としては、熱や紫外線、電子線(特開平02−566号公報に記載)などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられる。その中でも紫外線により効果可能な樹脂を用いることが望ましい。紫外線や電子線にて硬化させる樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、紫外線を用いて架橋させる場合には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。また、熱によって架橋する場合ではイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。
【0018】
上記記載の分散装置、塗工方法を用いて塗膜を作製することができる。 記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく(特開平1−133781号公報に記載)、これによって発色画像の保存性が改善できる。また、記録層の上に設置される保護層、中間層には、酸素透過性の低い樹脂を用いることにより記録層中の発色剤および顕色剤の酸化を防止または低減することが可能になる。
【0019】
中間層は主に樹脂からなり、下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられ、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。また、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
【0020】
中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜3μmである。また、中間層中のフィラーの含有量は体積分率で1〜95%、より好ましくは5〜75%である。中間層中に前記保護層中に用いられた有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量はバインダー100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲が好ましい。 中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥・硬化方法等は、前記記録層、保護層で用いられた公知の方法を用いることができる。 また、発色感度の向上、接着性の向上のためにアンダー層を設けても良い。 また、レーザー記録が可能にするためレーザー光を吸収して光を熱に変換する光熱変換層を設けても良い。
【0021】
また、可逆性感熱記録フィルムは、カールの問題から記録層面とは反対の裏面にバック層を設けても良い。バック層は記録層面側の樹脂の収縮によるカールを抑えるために設けるもので、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられる。その中でも紫外線により効果可能な樹脂を用いることが望ましい。紫外線や電子線にて硬化させる樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、紫外線を用いて架橋させる場合には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。また、熱によって架橋する場合ではイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。
【0022】
また、バック層には上記樹脂の他に希釈溶剤、有機若しくは無機のフィラー、紫外線吸収剤、滑剤、着色顔料、帯電防止剤等を添加しても良い。 無機フィラーの具体例としては、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物等が挙げられ、有機フィラーの具体例としては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などを有する化合物が挙げられる。滑剤の具体例としては、合成ワックス類、植物性ワックス類、動物性ワックス類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類、アミド類などが挙げられる。 バック層はシートの記録層面の収縮を抑えるために設けるもので表面層とバック層面の収縮のバランスが取れるように塗布することが望ましく、表面層とバック層を塗布後にシートが平らになるように塗布されていることが望ましい。
【0023】
上記以外に、記録膜を加熱することにより液晶配向をランダムとし、それに伴って二色性色素をランダム配向させて加熱部分を着色し、一方、記録膜の両側から電位を加えると液晶が垂直配向(ホメオトロピック配向)して着色が消えて透明になるという原理を応用した液晶と二色性色素を含有するドロプレットが分散された高分子媒体膜を有する可逆記録媒体や(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める変色温度調節剤からなり、消色状態からの加熱により発色状態を呈し、発色状態からの降温により消色する、加熱発色型の可逆記録媒体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
<ICタグ>
本発明の洗浄方法の対象となる可逆性感熱記録媒体であるタグとして非接触ICタグラベルを例にとって説明する。
非接触ICタグラベルは、回路基板上に、IC回路とアンテナ回路を形成して設けられる。IC回路とアンテナ回路は電気的に導通される。回路基板用の基板材は、一般的な紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジット等のリジッドタイプ、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、紙、合成紙等のフレキシブルタイプ、および両者の複合タイプが使用できる。配線回路は金属導線をコイル状にしたものを前記基板材上に接着剤を用いて設置したり、加熱加圧してフィルムを変形させて設置して設ける方法、銅やアルミ等の金属を張った基板材の金属部分をエッチングして設ける方法、銀などの導電性の金属で形成された金属箔を基板上に転写して設ける方法、および導電ペースト塗料を用いてシルクスクリーン印刷で印刷、乾燥して基板上に設ける方法が挙げられる。
【0025】
非接触ICタグラベルは、上記により配線回路を形成した基板上にIC回路を実装し、アンテナ回路とIC回路を電気的に導通接続して形成される。基板へのIC回路の実装は、TAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)、COB(チップ・オン・ボード)やフリップチップ実装が用いられる。IC回路の実装やアンテナ回路との接続には、通常のはんだ付けや、導電性接着剤が使用できるが、加工の際、回路基板材が耐えうる温度条件のものを採用する必要がある。IC回路層は実装されたIC回路や配線回路の保護のために、エポキシ樹脂などで包埋(パッケージング)して用いることもできる。IC回路層の厚みは、エポキシ樹脂で包埋後150μm〜1mmである。 また、保護のために、IC回路露出面に、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等の保護フィルムで接着することもできる。
【0026】
非接触ICタグラベルを可逆性記録媒体に接着する、または、保護フィルムを接着する接着剤層は、本製造工程中の積層貼合時に接着力を保有するものが使用できる。通常は常温もしくは加熱した状態で加圧接着できるものである。EVA系接着剤など一般的なヒートシーラーが使用できる。一般には、接着層もしくは粘着層の主成分としては天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、S−I−S−ブロックポリマー系、EVA系の材料であることが好ましい。これらは、用途に応じて混合して使用したり、各種添加剤を加えてもよい。さらに、その接着強度も、必要に応じて設定することができ、基材表面の微細な襞の部分である程度の接着強度を確保し得るようにできるものであれば、非接触ICタグの脱着が容易で、繰り返し使用することができるようになる。また、接着強度が大で、取り付け後の剥離が困難なものであれば、半永久的に使用が可能となる。本発明の可逆性の情報の視認可能な非接触式ICシートは、必要に応じて粘着性もしくは接着性を有する面の上面に型紙等の剥離可能なシートを積層してもよい。
【0027】
また、接着面以外の面を易接着、撥水、撥油、帯電防止等、必要に応じて各種処理を施してもよい。 非接触ICタグラベルを可逆性記録媒体を粘着する粘着剤層の種類や厚さ(塗工層)は、被着体の種類や使用される環境、接着の強度等により種々選択が可能である。一般に用いられる水系もしくは溶剤系の粘着剤を塗工、乾燥して形成でき、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系等が使用でき、これらの合成高分子粘着剤は、有機溶媒溶液や、ディスパージョンやエマルジョンといった水に分散された形態で使用可能である。
IC回路の凹凸の影響を受けないようにする為、接着層もしくは粘着層は、IC回路側に設ける。 保護フィルムは、滑性を持たせるために、可逆性感熱記録の保護層を構成してもよい。また、付加機能として感熱層、可逆性感熱層、インクジェット層、印刷層を設けてもよい。
【0028】
ICタグラベルは、可逆性記録媒体に貼り付けて使用するため、シート形状であることが好ましい。特に、ヘッドの幅方向全幅にラベル加工していることが望ましく、さらに、マグネットまたは、粘着性を有したゴム加工したものでヘッド幅と同等以上であればその長さに限定されることはない。また、搬送に影響がなければ、部材の長さがサーマルヘッド長より10%短くてもよく、より好ましくは8%短くてもよく、更に好ましくは6%短くてもよく、もっと好ましくは4%短くても良い。
【0029】
また、アンテナ部とICチッブには突起物があったり、平滑でなくてもよいが、突起部が無く平滑面であることが望ましい。また、一般的なアンテナ部とICチッブからなるICタグを金属面に貼り合せて使用すると磁束が金属により遮断されてしまい、十分な起電力を確保できないということもあり、ICタグラベルが高透磁率コアとアンテナコイル、または高透磁率コア、アンテナコイルと導電性金属から構成されているタイプを用いても良い。このようなタイプでは、薄膜化が困難であるが金属面に使用しても十分な起電力を得ることが出来るためシートに用いる利点が大きい。 またに、同じ位置に設けるよりは、コシの異なるシートができ貼り付きが分散できる異なる位置にあることが望ましい。
【0030】
<洗浄液>
本発明の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法に用いる洗浄液は、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を含有してなる水溶液である。本発明で界面活性剤としてアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を使用するのは、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が金属を腐食しサーマルヘッドを壊すためである。洗浄液に対する界面活性剤の好ましい含有量は有効濃度で0.01〜30重量%の範囲である。多すぎると、増粘するためすすぎがしにくく、表面がべたつき前記媒体同士が張り付き、少ないと洗浄能力が低下する。 この洗浄液には増粘剤や消泡剤を共存させることができ、さらにキレート剤、有機溶媒などを必要に応じて適宜加えることもできる。特に、沸点120℃以下の揮発性有機溶媒が適している。高沸点だと、前記媒体の除去しにくくなる。
【0031】
さらに、PH調節剤を入れて、pHが、5〜9、特に6〜8である洗浄液を可逆性感熱記録媒体の洗浄液として使用することが好ましい。本発明の洗浄液を用いて可逆性感熱記録媒体を洗浄することにより、可逆性記録の印字と地肌機能の低下や表面劣化もなく、可逆性感熱記録媒体を500回以上繰り返して使用することが可能となる。
洗浄液を使用する際の温度は、5〜50℃であることが好ましい。5℃よりも低温であると洗浄能力が低下し、50℃を超えると可逆性記録媒体への洗浄液の浸透が促進され印字消去機能が低下する。
本発明において用いるアニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型のアニオン系界面活性剤を挙げることができる。 また、ノニオン系界面活性剤としては、エーテルエステル型、多価アルコール型、ポリエーテル変性シリコーン型、ブロックポリマー型、含窒素型のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0032】
アニオン界面活性剤としては、特に、前記媒体に浸透しにくい、アニオン系界面活性剤のαオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩およびジアルキルスルホコハク酸塩のいずれかであることが好ましい。具体的な化合物を挙げると、αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ラウリルリン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどである。これらの界面活性剤はその内の2種類以上を混合して用いてもよい。
【0033】
また、ノニオン系界面活性剤としては、エーテルエステル型(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸)、多価アルコール型(プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド)、ポリエーテル変性シリコーン型は、耐久性がよく、媒体のクラックでの劣化が少ないので好ましい。
【0034】
洗浄液への増粘剤の添加は、増粘剤に汚れの再汚染を防止する作用があることから、好ましい実施態様の一つと言える。そして、かかる増粘剤としては、架橋型アクリル酸系重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボオキシメチルセルロースなどを挙げることができる。これらの中でも架橋型アクリル酸系重合体は特に好ましい増粘剤である。洗浄液に対する増粘剤の含有量は0.02〜5重量%の範囲が好ましい。
【0035】
界面活性剤の泡立ちを抑制するため、洗浄剤への消泡剤の添加は好ましいことである。消泡剤としては、脂肪酸系、高級アルコール系、シリコーン系などを挙げることができる。洗浄液に対する消泡剤の含有量は0.0001〜5重量%の範囲が好ましい。
【0036】
洗浄液のPHは、それが酸性サイドであっても、またアルカリ性サイドであっても、感熱記録媒体に悪い影響を与えるようである。このPHの影響は記録画像が消えたり、薄くなったりするものではなく、表面が剥離したり、感熱記録媒体全体が黒ずむといったもので、表面の保護層の問題と思われる。したがって、原因はともかく、洗浄液のPHは中性付近の5〜9、特に6〜8に保たれるのが好ましく、酸性またはアルカリ性の界面活性剤の場合には、PH調整を行うのが好ましい。PH調節剤としては、酸性のものとしては、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、乳酸・グルコン酸などが挙げられ、アルカリ性のものとしては、ジイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプノパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0037】
キレート剤としては、ポリアミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、リン酸塩などを挙げることができ、好ましい添加量は0.1〜10.0重量%であり、添加量が多くなると価格が高くなり洗浄の効果もなくなる。また、添加量が少ないと、水中のアルカリ土類金属イオンを完全に捕捉することができずに、界面活性剤の洗浄効果を阻害する。
【0038】
有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどの沸点120℃以下のものが望ましく、好ましい添加量は0.1〜60.0重量%であり、グリースなどの高粘度の汚れを除去できる。多いと前記媒体を侵し、少ないと有機溶媒の効果はみられない。
【0039】
<洗浄機>
本発明の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法は、本発明の洗浄液を感熱記録媒体に展開することによって行われる。感熱記録媒体への洗浄液の展開は、洗浄液溜めなどへの感熱記録媒体の浸漬、ウオータージェット、ブラシによる洗浄液の吹付けによって行うことができる。さらに、繊維布、不織布および吸水性材料などで作られたベルトやブラシ、巻き取ったロール、ブロック、ブレードなどのクリーニング部材を用い、それに洗浄液を湿らせて感熱記録媒体の表面を拭いたり、洗浄液に浸かったクリーニング部材に感熱記録媒体を当接させることによっても行うことができる。洗浄後の感熱記録媒体は風を当てたり、50〜100℃の温風を当てたりすることによって乾燥もする。
洗浄時間は、洗浄液に接触する時間で10〜180秒が好ましく、短かいと洗浄効果がなく、長いと表面劣化が進行して耐久性に問題が出てくる。
【0040】
洗浄機としては、ジェーシーエム社製の洗浄機(2004.9発表)を用いることができる。(図1参照) 前記洗浄機に、水シャワーを洗浄液後にセットして洗浄すると、洗浄液が除去できる。(図2参照)
このように、洗浄後にすすぎ工程を付加して可逆性感熱記録媒体表面に残存する洗浄液を除去することにより記録媒体の表面のベタ付をさらに低減することができる。
更に、洗浄工程又はすすぎ工程の後に、風、温風、ふき取りロール、ふき取りスポンジなどの組み合わせによって洗浄液の除去や記録媒体の乾燥を行ってもよい。
また、前記洗浄機に、140〜180℃のヒートロールをセットして消去部をつけると乾燥と同時に前記媒体の画像が消去できる。(図3参照)
さらに、パナソニックコミュニケーションズ社製プリンター(2005.9発表)を洗浄機の出口に取り付けて、消去と印字を連続にすると、乾燥と同時に前記媒体の画像が消去でき、ごみの影響のない画像ができる。(図4)
【実施例】
【0041】
以下に実施例を示して本発明の構成及び効果を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
まず、実施例及び比較例における試験方法及び評価方法にいて述べる。
【0042】
<試験方法>
試験は、「汚し→洗浄→画像消去→画像印字」というサイクルを500回行なった。
(1)可逆性感熱記録媒体
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用いた。(これは電子供与性呈色性化合物としてフルオラン化合物からなるロイコ染料を、電子受容性化合物としてアミドのあるフェノール化合物からなる顕色剤を用いている。)
(2)汚れ
汚れとして、綿実油0.1ccと三菱鉛筆社製水性インキ赤との混合物を可逆性感熱記録媒体に付着させた。
但し、実施例19では汚れとしてシャーシーグリースを用いた。
(3)洗浄機
洗浄機として、ジェーシーエム社製洗浄機(洗浄液エリア長170mm、接触時間15±5sec、図1参照)及びこれにすすぎ手段、画像消去手段、印字手段を設けた改造機(図2〜4参照)を用いた。 洗浄液は、500パスで交換した。
(4)印字消去機
印字画像を消去するためにパナソニックソリューションズ社製RSP−2(速度48−52mm/sec)を用いた。
【0043】
<評価方法>
試験前と上記500サイクル試験後の印字濃度、地肌濃度、ヘッド異常、クラック変化、表面汚れを対比した。
(1)印字濃度、地肌濃度:マクベス濃度計を用いた。
(2)ヘッド異常:印字ヘッドの腐食の有無を観察した。
(3)クラック変化
クラックとは、シートを1mmφで折り曲げた表面をいい、クラック変化は、クラックの部分が、画像ヌケのレベルをいう。クラック変化は下記の基準により評価した。
小:0.1mm幅以下ヌケ
中:0.2mm幅前後ヌケ
大:0.3mm幅以上ヌケ
特大:全面ヌケ
(4)表面汚れ:目視で汚れの残存量を観察した。
【0044】
[実施例1]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%(イオン交換水で希釈)
成分 ノイゲンYX−400(ノニオン系ポリオキシエチレン(40)ラウリルエーテル、第一工業製薬製)
【0045】
[実施例2]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ノイゲンYX−400(ノニオン系ポリオキシエチレン(40)ラウリルエーテル、第一工業製薬製)
洗浄回数 12回(約180sec)
【0046】
[実施例3]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ノイゲンYX−400(ノニオン系ポリオキシエチレン(40)ラウリルエーテル、第一工業製薬製
洗浄回数 4回(約60sec)
【0047】
[実施例4]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ベグノールHC-20(ノニオン系ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、東邦化学工業製)
【0048】
[実施例5]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 0.01wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
【0049】
[実施例6]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 SYグリスターML750(ノニオン系デカグリセリンモノラウリル酸エステル、坂本薬品工業製)
【0050】
[実施例7]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
PH 6
温度 25℃
濃度 1wt%
成分ソルボンT−80(ノニオン系ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、東邦化学工業製)
【0051】
[実施例8]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ベグノールO−20(ノニオン系ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、東邦化学工業製)
【0052】
[実施例9]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 マイドール12(ノニオン系ラウリルグルコシド、花王製)
【0053】
[実施例10]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 アルスコープDA−330S(アニオン系ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,C13)エーテル硫酸ナトリウム、東邦化学工業製)
【0054】
[実施例11]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ニューレックスR(アニオン系ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、日本油脂製)
【0055】
[実施例12]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 50℃
濃度 1wt%
成分 ニューレックスR(アニオン系ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、日本油脂製)
【0056】
[実施例13]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 5℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
【0057】
[実施例14]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
【0058】
[実施例15]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
洗浄回数 12回(約180sec)
【0059】
[実施例16]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
洗浄回数 4回(約60sec)
【0060】
[実施例17]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 30wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
【0061】
[実施例18]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
増粘剤 架橋アクリル酸重合体(和光純薬工業製ハイビスワコー104)0.08wt%
中和剤 ジイソプロパノールアミン0.12wt%
【0062】
[実施例19]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、汚れとしてシャーシーグリース0.01mgつけて下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度25℃
濃度1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
イソプロピルアルコール 20wt%
【0063】
[実施例20]
三菱製紙製可逆性感熱記録媒体A5シートTRF135WA(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。(これは電子供与性呈色性化合物としてフルオラン化合物からなるロイコ染料を、電子受容性化合物としてヒドラジドのあるフェノール化合物からなる顕色剤を用いている。)
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 リポランLJ−441(アニオン系αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン製)
【0064】
[実施例21]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 ルノックスS−40T(アニオン系ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、東邦化学工業製)
【0065】
[実施例22]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 フォスファノールML−220(アニオン系ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル燐酸、東邦化学工業製)
【0066】
[実施例23]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を実施例14で用いた洗浄液を用いて下記洗浄機の条件で試験を行った。すすぎ液としてはイオン交換水を用いた。
洗浄機
図2のように改造したもの
【0067】
[実施例24]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を実施例14で用いた洗浄液を用いて下記洗浄機の条件で試験を行った。
洗浄機
図3のように改造したもの(消去ユニットは、リコー製イマジオPPC定着ユニット)
【0068】
[実施例25]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を実施例14で用いた洗浄液を用いて下記洗浄機の条件で試験を行った。
洗浄機
図4のように改造したもの(消去印字ユニットは、パナソニック製RSP−2印字消去ユニット)
【0069】
[実施例26]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 エアロールCT-1(アニオン系ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、東邦化学工業製)
【0070】
[比較例1]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
洗浄液 イオン交換水のみ
【0071】
[比較例2]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 カチナールAEAS(カチオン系ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、東邦化学工業製)
【0072】
[比較例3]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 カチナールMB−50A(カチオン系塩化ベンザルコニウム、東邦化学工業製)
【0073】
[比較例4]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 カチナールLTC−35A(カチオン系ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、東邦化学工業製)
【0074】
[比較例5]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 オバゾリンAHS−103(両性系ラウリルスルホベダイン、東邦化学工業製)
【0075】
[比較例6]
リコー製可逆性感熱記録媒体A5シート630BF(商品名)を用い、下記の条件及び洗浄液で試験を行った。
洗浄液
温度 25℃
濃度 1wt%
成分 オバゾリン516S(両性系ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、東邦化学工業製)
【0076】
上記の実施例及び比較例で用いた洗浄液の組成、洗浄条件及び評価結果を表1にまとめた。
表1に示されるように、試験後の実施例のものは試験後の比較例のものに比べて繰返し印字濃度、繰返し地肌濃度、ヘッド異常、クラック変化の総合評価において優れている。
なお、下記の試験結果は「汚し→洗浄→画像消去→画像印字」というサイクルを500回行なった際のものであるが、途中のサンプリング試験によると、同様の傾向は300回のサイクル時においても見られた。
【0077】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の洗浄方法によれば、油などの汚れや、マジック、鉛筆などのマーキングの汚れの付着した可逆性感熱記録媒体を印字機能低下もなく洗浄することができ可逆性感熱記録媒体を繰返し使用できるので、工場内での工程管理、物流管理のタグ等に使用するデータキャリアの洗浄方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例で用いた洗浄機の概略図である。
【図2】本発明の実施例で用いた洗浄機の概略図である。
【図3】本発明の実施例で用いた洗浄機の概略図である。
【図4】本発明の実施例で用いた洗浄機の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱記録媒体を洗浄液によって洗浄する方法において、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を含む水溶液を洗浄液として可逆性感熱記録媒体を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項2】
界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩及びジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びアルキルポリグルコシドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項3】
界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,C13)エーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項4】
洗浄液の温度が5〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項5】
可逆性感熱記録媒体と洗浄液との接触時間が10〜120秒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項6】
洗浄液が、添加剤、増粘剤、消泡剤及びキレート剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項7】
洗浄液が、沸点120℃超えない揮発性の有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項8】
洗浄後に、水又は水と沸点が120℃を超えない揮発性の溶剤の一種以上の溶剤との混合物によりすすぎ洗いする工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項9】
洗浄工程の後に、洗浄して得られた可逆性感熱記録媒体に温度をかけて該可逆性感熱記録媒体の画像を消去する画像消去工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。
【請求項10】
画像消去工程の後に、印字工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録媒体の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−261121(P2007−261121A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90063(P2006−90063)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(592246381)株式会社ミズホケミカル (7)
【Fターム(参考)】