説明

可逆的接着結合のためのポリウレタンポリマー

本発明は、(ポリウレタンがこれらの部位で熱安定性を有する)作用をもたらす立体障害尿素基有するポリウレタンポリマーに関する。本発明はさらに、このようなポリウレタンポリマーを調製するための組成物であって、前記組成物が、可逆的な接着結合、シールおよびコーティングの形成に好適である組成物に関する。本発明のポリウレタンポリマー、またはその製造のための対応する組成物は、特に自動車組立てに使用され、ここで、接着結合されたコンポーネントおよび窓枠を取り外す可能性は、修理目的あるいは中古および事故損傷自動車の利用および再生利用のための解体に重要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆的接着結合に好適であるポリウレタンポリマーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
かなりの間、接着結合の慎重な引き離し(剥離と称される)は、結合技術の中で特別の課題となってきた。本文脈で特定の関心は、通常ポリウレタン接着剤によって形成される弾性接着結合の剥離にある。これに対して、接着結合の迅速な剥離について記載された手法が多数ある。特に、接着コンポーネントの修理もしくは再生利用、またはこのようなコンポーネントからのエネルギー回収の意味において、接着結合の迅速な剥離のための可能性は、重要な関心事である。
【0003】
従来技術で記載された剥離技術は、本質的に2つのクラスに分けることができ、その第1において、剥離は、接着結合内で与えられず、その代わり、例えば、ワイヤ、ナイフまたはレーザを用いる切断などの機械的方法による、あるいは熱風、マイクロ波放射または電流を用いる、接着剤の熱分解によるような適当な方法によって、外部から引き起こされる。このような方法の1つの可能な実施形態は、例えば、米国特許第5,159,865号に記載されており、接着結合が電気的に加熱された振動刃によって裂き開かれる装置および対応する方法に基づく。
【0004】
剥離技術の第2のクラスは、剥離が、接着結合内の部分もしくは全体でまたはその基材との界面で与えられる「内部」系と呼ばれるものに基づく。
【0005】
国際公開第00/75254A1号に記載されたように、これは、例えば、接着剤内に配置され、温度の影響下で、接着結合を機械的に破壊する熱膨張性マイクロカプセルの形態を取り得る。それはまた、国際公開第00/73398A1号に記載されたように、接着剤内に配置され、電気的、磁気的または電磁的交代場からの補助によって、接着剤層の迅速かつ標的加熱を可能にし、したがって、接着結合の分離を可能にする導電性または磁気的粒子の形態を取り得る。さらなるこの種の補助は、例えば、欧州特許出願公開第1115770A1号に記載されており、例えば、エネルギー投入時に接着剤と反応し、少なくとも接着剤の部分的分解をもたらす有機アミンまたは有機酸などのブロック化成分を特徴とする。
【0006】
他の内部剥離系では、接着剤はそれ自体、不安定な化学結合の形態に弱点を有し、これは、エネルギー投入によって意図的に破壊され得る。この種の系の例は、米国特許第4,882,399号および米国特許第6,746,562号に記載されている。
【0007】
これらの内部剥離法が、接着剤中のポリマーの破壊をもたらすか否かに関わらず、それらは、可逆的に進行しないこと、および利用の際に、例えば、適用されるべき追加の中間層または接着剤中に導入される取り込みにくい添加剤成分の必要性を含めて、高コストおよび複雑性を伴うことという欠点を有し、これは、さらに、その耐用年数の間に接着結合の特性を受け入れ難いほど制限し得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,159,865号
【特許文献2】国際公開第00/75254A1号
【特許文献3】国際公開第00/73398A1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1115770A1号
【特許文献5】米国特許第4,882,399号
【特許文献6】米国特許第6,746,562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、不安定基を有し、温度の影響下で可逆的に分解するポリウレタンポリマーであって、莫大なコストおよび複雑性なしに簡単な成分から調製可能であり、種々に使用可能であり、目標とする迅速で信頼できる剥離を可能とするポリウレタンポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今回、驚くべきことに、請求項1に記載のポリウレタンポリマーがこの目的を達成し得ることを見いだした。ポリウレタンポリマーの主鎖にある立体障害尿素基は、温度の影響下で可逆的に元に戻すことができる。
【0011】
この種のポリウレタンポリマーは、接着剤、シーラント、またはコーティングを形成する組成物として顕著に適している組成物から調製され得る。
【0012】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立項に記載の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属項に記載の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、第1の態様において、少なくとも1個の尿素基を含むポリウレタンポリマーPであって、
A)該尿素基は二置換であり、該尿素基がイソシアネート基と第一級アミノ基とから構成される場合、該第一級アミノ基に由来する窒素原子は、第三級の炭素原子に直接結合しており、
および/または
B)該尿素基は、三置換であり、該尿素基がイソシアネート基と第二級アミノ基とから構成される場合、第二級アミノ基に由来する窒素原子は、少なくとも1個の第二級または第三級の炭素原子に直接結合している、ポリウレタンポリマーPが提供される。
【0014】
ポリイソシアネートのイソシアネート基と立体障害ジアミンの立体障害アミノ基との反応によるポリウレタンポリマー中へのこの種の立体障害尿素基の取り込みは、加熱時に、C-N結合の切断を伴って、イソシアネート基とアミノ基とに分解する熱不安定構造要素をポリマー主鎖においてポリウレタンポリマーに与える。驚くべきことに、この反応は可逆的であり、したがって、ポリウレタンポリマーが冷却される場合、このイソシアネート基とアミノ基とは再び互いに反応して、立体障害尿素基を形成する。次いで、この反応挙動は、一方で既存の接着結合を元に戻し、他方で新たな接着のために、その接着剤、または分離された接着結合の接着剤のビーズを用いるために利用することができる。
【0015】
この種の系の機能に重要なのは、窒素原子-尿素基がポリイソシアネートと立体障害アミンとから構成される場合にアミノ基に由来するもの-の1個が少なくとも1個の立体バルキー基に結合している立体障害尿素基を含む構造要素であり、ポリマー主鎖におけるこの基は、側鎖または主鎖の一部であることが可能である。
【0016】
立体障害尿素基のC-N結合の熱不安定は、その尿素基が他の窒素原子-尿素基がポリイソシアネートと立体障害アミンとから構成される場合、イソシアネート基に由来するもの-の側からさらに立体的に障害されている場合、さらに好ましい。
【0017】
本明細書では、「第一級炭素原子」は、1個の単一の他の炭素原子にのみ結合したC原子である。「第二級炭素原子」は、1つの分子内で、2個の他の炭素原子に結合しているC原子である。「第三級の炭素原子」は、1つの分子内で、3個の他の炭素原子に結合している炭素原子であり、「第四級炭素原子」は、1つの分子内で、4個の他の炭素原子に結合しているC原子である。
【0018】
本明細書での「第一級アミノ基」は、1個の有機基に結合しているNH2基を指し、「第二級アミノ基」は、一緒に環の一部であることもできる2個の有機基に結合しているNH基を指す。
【0019】
一方本明細書での「ポリマー」という用語は、重合反応(付加重合、重付加、重縮合)によって調製された、化学的に均一であるが、重合度、モル質量、および鎖長の点で異なる巨大分子の集合体を包含する。他方この用語は、このような重合反応由来の巨大分子の集合体の誘導体、すなわち、例えば、既存の巨大分子上の官能基の、付加または置換などの反応によって得られた化合物であって、化学的に均一または化学的に不均一であることができる化合物も包含する。さらに、この用語は、プレポリマーと呼ばれているものも包含し、これらは、その官能基が巨大分子の構成に関与した反応性オリゴマープレ付加体である。
【0020】
「ポリウレタンポリマー」という用語は、ジイソシアネート重付加法と呼ばれるものによって調製され、1分子当たり2個以上のウレタン基を含むポリマーを包含する。
【0021】
本明細書における式中の点線は、それぞれの場合に、置換基、または構造要素と、その関連分子部分との間の結合を表す。
【0022】
本発明は、より特定すると、少なくとも1つの式(I)
【0023】
【化1】

【0024】
の構造要素を含むポリウレタンポリマーPに基づく。
【0025】
ここで、NaおよびNbは、窒素原子である。
【0026】
基R1は選択的に、
第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、1から10個のC原子を有する一価炭化水素基であるか、
または
R2と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、この場合のAは、第二級または第三級のC原子を介してNbに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である (但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR2と一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子である(但し、Aは第三級のC原子を介してNaに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)。
【0027】
基R2は選択的に、
第二級または第三級のC原子を介してNbに結合している、1から10個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R1と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、この場合のAは、第二級または第三級のC原子を介してNaに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR1と一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子である(但し、この場合のAは、第三級のC原子を介してNbに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)。
【0028】
さらに、Aは選択的に、
それぞれの場合に第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合に、Naに結合したC原子は第三級であること、およびR2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1と一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子が第三級であることを条件とする)か、
または
R2と一緒になって、それぞれの場合に少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1およびR2と一緒になって、それぞれの場合に第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基である。
【0029】
A、R1、およびR2における炭化水素基は、NaまたはNbのいずれに対してもα位ではないヘテロ原子を場合によって含む。
【0030】
一例として、式(I)の構造要素は、式(Ia)から(Ie)に示され、それぞれの場合の基R1、R2、およびAは、点線で引かれ、標識されている。
【0031】
【化2A】

【0032】
【化2B】

【0033】
上記のとおりのポリウレタンPは好ましくは、少なくとも1つの、式(XII)および/または式(XVI)および/または式(XIII)の構造要素をさらに含む。
【0034】
【化3】

【0035】
ここで、基R27は、炭化水素基、より特定すると、1から4個のC原子を有する炭化水素基である。
【0036】
基R28は、水素原子であるか、または1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、またはR29もしくはR30と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、3から8個のC原子を有する二価の炭化水素基である。
【0037】
基R29は、水素原子であるか、または1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、またはR28と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基である。
【0038】
基R30は、1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、またはR31と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、またはR32と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、またはR28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子である。
【0039】
基R31は、1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、またはR30と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、またはR32と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、またはR28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子である。
【0040】
基R32は、1から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、またはR30と一緒になって、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基である。
【0041】
一例として、式(XII)、(XVI)、および(XIII)の構造要素は、そのポリマー主鎖への1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアナートまたはIPDI)、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート(2,4-TDIおよび2,6-TDI)、2,2'-および2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2'-MDIおよび2,4'-MDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン(TMDI)、およびm-テトラメチルキシリレンジイソシナネート(TMXDI)などのジイソシアネートの取り込みによって得られる。
【0042】
次いで、この種の構造要素は、例えば、式(XIX)および/または式(XX)および/または式(XXI)の構造要素を有する。
【0043】
【化4】

【0044】
第2の態様において、本発明では、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種の式(III)
【0045】
【化5】

【0046】
のジアミンおよび/または少なくとも1種の式(V)のジエナミンおよび/または式(VI)のジイミンおよび/または式(XVIII)のイミノエナミンとを含む、上記のとおりのポリウレタンPを調製するための組成物が提供される。
【0047】
【化6】

【0048】
ここで、Na、Nb、A、R1、およびR2は、上に記載された定義を有する。
【0049】
基R11およびR12ならびにまたR13およびR14ならびにR15およびR16ならびにまたR17およびR18は、互いに独立して、それぞれ、水素原子もしくは1から34個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、または対で、5から8個、より特定すると6個のC原子を有し、場合によって置換されており、および/もしくは少なくとも1個のヘテロ原子を含む環の一部である、それぞれ4から20個、より特定すると6から12個のC原子を有する二価の炭化水素基である。
【0050】
基R15およびR17は好ましくは、それぞれ水素原子である。
【0051】
さらに好ましくは、基R11、R12、R13、R14、R16、およびR18は、互いに独立して、それぞれ、1から20個、より特定すると1から6個のC原子を有する一価の炭化水素基である。
【0052】
特に好ましくは、基R16およびR18は、互いに独立して、それぞれ、式(VII)または(VIII)の基である。
【0053】
【化7】

【0054】
ここで基R19は、環状および/または芳香族部分を場合によって有し、少なくとも1個のヘテロ原子、より特定すると、エーテル基、エステル基またはアルデヒド基の形態の酸素を場合によって有する、1から31個のC原子を有する直鎖または分岐の炭化水素基である。
【0055】
基R20およびR21は、互いに独立して、1から12個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、または対で、それぞれ、5から8個、より特定すると6個のC原子を有する場合によって置換された環の一部である、それぞれ4から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である。基R20およびR21は好ましくは、それぞれメチル基である。
【0056】
基R22は、5から8個、好ましくは6個の原子の環の大きさを有する、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基であるか、または式(IX)の基である。
【0057】
【化8】

【0058】
ここで、基R23は、水素原子であるか、もしくは1から20個、より特定すると1から6個のC原子を有するアルコキシ基であるか、または6から20個、より特定すると6から12個のC原子を有する置換もしくは非置換のアルケニルもしくはアリールアルケニル基である。
【0059】
より特定すると、基R19は、それぞれの場合に、式(X)または(XI)の基である。
【0060】
【化9】

【0061】
ここで、基R24は、水素原子であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキルもしくはアリールアルキル基であり、より特定すると水素原子である。アルキル、シクロアルキルまたはアリールアルキル基は、より特定すると、1から12個のC原子を有する。
【0062】
基R25は、ヘテロ原子を場合によって含む、1から30個、より特定すると11から30個のC原子を有する炭化水素基である。
【0063】
基R26は、水素原子であるか、または場合によって環状部分と一緒におよび/もしくは場合によって少なくとも1個のヘテロ原子と一緒になって、1から29個、より特定すると11から29個のC原子を有する直鎖もしくは分岐の炭化水素基であるか、または5から29個のC原子を有する一価もしくは多価不飽和の直鎖もしくは分岐の炭化水素基であるか、または場合によって置換された、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5員もしくは6員環である。
【0064】
最も好ましくは、基R16およびR18は、互いに独立して、それぞれ式(VII)の基である。
【0065】
ポリウレタンポリマーPを調製するための組成物は、一成分または二成分の組成物の形態で用いられ得る。
【0066】
本明細書での「一成分組成物」は、その成分が同じ容器に混合形態で保存され、室温で比較的長期間保存安定であり、すなわち、保存の結果として、その適用特性または使用特性(service properties)において不変または実質的に不変であり、利用後に、湿気への曝露によって硬化する硬化性組成物を指す。
【0067】
本明細書での「二成分組成物」は、その成分が2つの異なる成分で存在し、別々の容器に保存され、それぞれそれ自体で保存安定である硬化性組成物を指す。その組成物の利用直前になってから、または利用の間に、2成分は互いに混合され、その結果、混合された組成物は硬化し、ある種の環境下での硬化は、湿気への曝露によってのみ、進行し、または完了する。
【0068】
一成分組成物は、それらが混合操作なしに適用され得る利点を有する一方、二成分組成物は、それらがより迅速に硬化すること、およびそれらの可能な成分には、イソシアネートと一緒に保存できない物質が含まれることという利点を有する。
【0069】
1つの好ましい実施形態において、ポリウレタンポリマーPを調製するための組成物は、
a)イソシアネート基を含み、
i)少なくとも1種のポリイソシアネートと、
ii)少なくとも1種のポリオールと、
iii)少なくとも1種の式(III)のジアミンと
から調製される、少なくとも1種のポリウレタンポリマーP1;
または
b)イソシアネート基を含み、
i')少なくとも1種のポリイソシアネートと、
ii')少なくとも1種のポリオールと、
ならびにまた、少なくとも1種の、式(V)のジエナミンおよび/または式(VI)のジイミンおよび/または式(XVIII)のイミノエナミンと
から調製される、少なくとも1種のポリウレタンポリマーP2
を含む一成分組成物である。
【0070】
別の好ましい実施形態において、ポリウレタンポリマーPを調製するための組成物は、
a')少なくとも1種のポリイソシアネートおよび/またはイソシアネート基を含み、
i'')少なくとも1種のポリイソシアネートと、
ii'')少なくとも1種のポリオールと
から調製される少なくとも1種のポリウレタンポリマーP2を含む第1の成分K1;
ならびに
b')少なくとも1種の式(III)のジアミンを含む第2の成分K2
を含む二成分組成物である。
【0071】
少なくとも1種の式(III)のジアミンに加えて、第2の成分K2は、少なくとも1種のポリオールを場合によってさらに含む。
【0072】
特に好ましい式(III)のジアミンは、脂肪族および脂環式ジアミン、より特定すると、N,N'-ジ-tert-ブチルヘキシル-1,6-ジアミン、N,N'-ジシクロヘキシルヘキシル-1,6-ジアミン、N,N'-ジイソプロピルヘキシル-1,6-ジアミン、N,N'-ビス(2-ニトロプロパン-2-イル)ヘキシル-1,6-ジアミン、1,8-メンタンジアミン、N-イソプロピル-3-((イソプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、N-(1,2-ジメチルプロピル)-3-((1,2-ジメチルプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-3-((1,3-ジメチルブチルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、2,2',6,6'-テトラメチル-4,4'-ビピペリジン、1,4-ジメチルシクロヘキシル-1,4-ジアミン、および2,4-ジメチル-4-メチルアミノピペリジンからなる群から選択されるものである。
【0073】
特に好ましい式(III)のジアミンは、1,8-メンタンジアミンおよびN-イソプロピル-3-((イソプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチル-シクロヘキシルアミンである。
【0074】
式(V)のジエナミンは、例えば、第一級または第二級アミノ基を含む、少なくとも1種の式(III)のジアミンと、少なくとも1種の式(XXII)または式(XXIII)のアルデヒドとの間の縮合反応によって調製され得、ジアミン対アルデヒドの好ましい化学量論比は1:2である。
【0075】
【化10】

【0076】
式(VI)のジイミンは、ジケチミンまたはジアルジミンであり、これは、例えば、この反応のために2個の第一級アミノ基を有する、少なくとも1種の式(III)のジアミンと、少なくとも1種の式(XXIV)または式(XXV)のケトンまたはアルデヒドとの間の縮合反応によって調製可能である。ジアミン対ケトンまたはアルデヒドの好ましい化学量論比は1:2である。
【0077】
【化11】

【0078】
式(XVIII)のイミノエナミンは、例えば、この反応のために少なくとも1個の第一級アミノ基を有する、少なくとも1種の式(III)のジアミンと、少なくとも1種の式(XXII)のアルデヒドと、および少なくとも1種の式(XXV)のケトンまたはアルデヒドとの縮合反応によって調製され得る。ジアミン対式(XXII)のアルデヒド対式(XXV)のケトンまたはアルデヒドの好ましい化学量論比は、1:1:1である。
【0079】
基R11、R12、R13、およびR14、ならびにまたR15、R16、R17、およびR18は、既に上に記載されている。
【0080】
式(XXII)および(XXIII)の好適なアルデヒドの例は、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、およびジフェニルアセトアルデヒドである。
【0081】
式(XXIV)および(XXV)の好適なケトンの例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびアセトフェノンである。
【0082】
式(XXIV)および(XXV)の好適なアルデヒドの例は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ならびに式(XXII)および(XXIII)のアルデヒドについて好適であると言われたアルデヒドである。
【0083】
式(XXIV)および(XXV)(基R16およびR18は、式(VIII)の基である)の好適なアルデヒドは、芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、2-および3-および4-トルアルデヒド、4-エチル-および4-プロピル-および4-イソプロピル-および4-ブチルベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、異性体ジ-およびトリアルコキシベンズアルデヒド、2-、3-、および4-ニトロベンズアルデヒド、2-および3-および4-ホルミルピリジン、2-フルフラールアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-および2-ナフチルアルデヒド、3-および4-フェニルオキシベンズアルデヒド;キノリン-2-カルバルデヒドならびにその3-、4-、5-、6-、7-、および8-位の異性体、ならびにまたアントラセン-9-カルバルデヒド;ならびにさらに、グリオサール、グリオキサル酸エステル、例えば、グリオキサル酸メチルなど、ならびにシンナムアルデヒドおよび置換シンナムアルデヒドなどである。
【0084】
式(XXIV)および(XXV)(基R16およびR18は、式(VII)の基である)のさらに好適なアルデヒドは、三級脂肪族アルデヒド、例えば、ピバルアルデヒド(=2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド; 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとアルコール(プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび2-エチルヘキサノールなど)とのエーテル; 2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸または3-ホルミル-3-メチル酪酸とアルコール(プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、および2-エチルヘキサノールなど)とのエステル; 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとカルボン酸(酪酸、イソ酪酸、および2-エチルヘキサン酸など)とのエステル、ならびにまた、特に好適であると以下に記載される、2,2-二置換3-ヒドロキシプロパナール、-ブタナールまたは類似のより高級なアルデヒド、より特定すると、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテルおよびエステルである。
【0085】
式(XXIV)および(XXV)(基R16およびR18は、式(VII)の基であり、基R19は式(X)の基である)の特に好適なアルデヒドは、例えば、脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式R25-OHのアルコールまたはフェノールとのエーテルであり、例は脂肪アルコールまたはフェノールである。そして次に、好適な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドは、アルドール反応、より特定すると、第一級または第二級脂肪族アルデヒド、より特定するとホルムアルデヒドと、第二級脂肪族、第二級脂環式または第二級アリール脂肪族アルデヒド、例えば、イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロアトロパアルデヒド)またはジフェニルアセトアルデヒドなどとの間の架橋アルドール反応から得られる。好適な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドの例は、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘクス-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、および3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールである。この種のアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-フェノキシプロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナール、および2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールで例示される。
【0086】
式(XXIV)および(XXV)(基R16およびR18は、式(VII)の基であり、基R19は、式(XI)の基である)の他の特に好適なアルデヒドは、例えば、前述の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシ-メチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘクス-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパノール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、および3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールなど)と、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、バレリアン酸、およびカプロン酸など)とのエステルである。このようなアルデヒドの例には、2,2-ジメチル-3-ホルミルオキシプロパナール、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-プロピオンオキシプロパナール、3-ブチロキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-イソブチロキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ペントイルオキシプロパナール、および2,2-ジメチル-3-ヘキソイルオキシプロパナールが含まれる。
【0087】
好ましいアルデヒドは、基(XXIV)および(XXV)(ここで、基R16およびR18は、式(VII)の基であり、基R19は式(X)の基であり、またはより特定すると、式(XI)の基である)のものである。
【0088】
式(V)のジエナミン、式(VI)のジイミンおよび式(XVIII)のイミノエナミンの縮合反応は、可逆的に進行し、したがって、水の影響下で対応する逆反応が起こり、その出発生成物を形成する。
【0089】
水に関するエナミノ基およびイミノ基の反応性、言い換えれば、加水分解反応の速度およびしたがって、一次硬化での、ポリウレタンポリマーPを調製するための湿気硬化性組成物の硬化の速度は、上記アルデヒドおよびケトンの置換基に依存している。後者が立体的にバルキーな置換基を有する場合、その加水分解反応は一般により遅い。結果として、それぞれの置換基R11、R12、R13、およびR14ならびにR15、R16、R17、およびR18の選択によって、最初の適用における組成物の硬化速度に影響させることができる。
【0090】
さらに、式(XXII)から(XXV)のアルデヒドおよびケトンを選択する場合、組成物の最初の硬化時に、これらの化合物が放出され得、望ましくない特性を有し得ることが想起されなければならない。したがって、例えば、組成物の使用の分野に依存して、硬化操作の前、間、および後だけではなく、接着剤が温度の影響によって元に戻される場合、無臭であるアルデヒドおよびケトンが好ましい。「無臭」物質は、臭気が非常に低くて、大多数の人間個人にとって臭いを嗅ぐことができない、すなわち、鼻で知覚され得ない物質である。この種の無臭のアルデヒドおよびケトンは、より特定すると、基R16およびR18が式(VII)の基であるものである。式(XXV)の無臭アルデヒドの例は、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。
【0091】
ポリウレタンポリマーP1は、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種の式(III)のジアミンとから調製される。
【0092】
ポリウレタンポリマーP2は、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとから調製される。
【0093】
好適なポリイソシアネートは、特に、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートである。
【0094】
好適なジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族ジイソシアネート、より特定すると、4,4'-、2,4'-、および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-、2,4'-、および2,2'-MDI)、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネート(2,4-および2,6-TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネート(H12MDI)、2,5-または2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン(TMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)など、およびまたそれらの二量体などの市販製品である。
【0095】
好適なトリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族ジイソシアネートの三量体、アロファネートまたはビューレット、より特定すると、前の段落で記載されたジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビューレットである。
【0096】
ジイソシアネートまたはトリイソシアネートの好適な混合物も用いることができることが理解される。
【0097】
特に好ましいポリイソシアネートは、少なくとも1種の、式(XIV)および/または式(XVII)および/または式(XV)の構造要素を有するジイソシアネートである。
【0098】
【化12】

【0099】
基R27からR32は、既に上で記載されている。
【0100】
少なくとも1種の、式(XIV)および/または式(XV)の構造要素を含むジイソシアネートは、例えば、2,2'-および2,4'-MDI、2,4-および2,6-TDI、IPDI、TMDXI、およびTMDIである。
【0101】
ポリマーPならびに/またはポリウレタンポリマーP1およびP2を調製するために好適なポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカーボネートポリオール、ならびにまたこれらのポリオールの混合物である。
【0102】
ポリオキシアルキレンポリオールまたはオリゴエーテルオールとも呼ばれる、好適なポリエーテルポリオールは特に、必要に応じて、2個以上の活性水素原子を有する出発分子、例えば、水、アンモニア、または2個以上のOHもしくはNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、ならびにまたこの記載された化合物の混合物の補助により重合された、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物の重合の生成物であるものである。用いられ得るポリオキシアルキレンポリオールには、例えば、二重金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)と呼ばれるものの補助で調製された、低い不飽和度(ASTM D-2849-69に従って測定して、1グラムのポリオール当たりの不飽和のミリ当量(meq/g)で報告された)を有するもの、およびアニオン性触媒、例えば、NaOH、KOH、CsOHまたはアルカリ金属アルコキシドの補助で調製された、より高い不飽和度を有するものの両方が含まれる。
【0103】
特に好適であるものは、ポリオキシエチレンポリオールおよびポリオキシプロピレンポリオール、特に、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。
【0104】
特に好適であるものは、0.02ミリ当量/g未満の不飽和度と、1000から30000g/モルの範囲の分子量とを有するポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、ならびにまた400から8000g/モルの分子量を有するポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。本明細書では、「分子量」は、常に分子量平均Mnを意味すると理解されるべきである。
【0105】
同様に特に好適であるものは、エチレンオキシド末端(「EO-末端封鎖」、エチレンオキシド-末端封鎖)ポリオキシプロピレンポリオールと呼ばれるものである。後者は、例えば、純粋のポリオキシプロピレンポリオール、より特定すると、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールに、ポリプロポシ化反応の終了後に、エチレンオキシドでさらにアルコキシ化を施し、結果として第一級ヒドロキシル基を含ませることによって得られる特別のポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。この場合、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンジオールおよびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレントリオールが好ましい。
【0106】
例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとを重合させ、またはポリブタジエンを酸化することによって調製されるポリオールなどの、ヒドロキシル基で末端化されたポリブタジエンポリオール、およびまたそれらの水添生成物はさらに好適である。
【0107】
例えば、Elastogran GmbH社、独国製のLupranol(登録商標)の商品名で市販されている種類の、スチレン-アクリロニトリルでグラフトされたポリエーテルポリオールも好適である。
【0108】
特に好適なポリエステルポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシル基をもち、公知の方法、より特定すると、ヒドロキシカルボン酸、または脂肪族および/もしくは芳香族ポリカルボン酸と、2個以上の水酸基(hydrocity)を有するアルコールとの重縮合によって調製されるポリエステルである。
【0109】
特に好適なものは、二価から三価のアルコール、例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは前述のアルコールの混合物などと、有機ジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはエステル、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸無水物または前述の酸の混合物などとから調製されるポリエステルポリール、およびまた、例えば、ε-カプロラクトンなどのラクトン由来のポリエステルポリオールである。
【0110】
特に好適なものは、ポリエステルジオール、特に、ジカルボン酸としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸、または例えば、ε-カプロラクトンなどのラクトンからと、二価アルコールとしてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールからとから調製されるものである。
【0111】
ポリカーボネートポリオールとして特に好適なものは、例えば、ポリエステルポリオールを合成するために用いられる前述のアルコールと、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネートなど)、ジアリールカーボネート(ジフェニルカーボネートなど)またはホスゲンとの反応によって得られる種類のものである。ポリカーボネートジオール、特に非晶質ポリカーボネートジオールは、特に好適である。
【0112】
さらに好適なポリオールは、ポリ(メタ)アクリレートポリオールである。
【0113】
さらに、同様に好適であるものは、オリゴヒドロカルボノールとも呼ばれるポリ炭化水素ポリオール(例は、例えば、Kraton Polymers社、米国により調製された種類の、ポリヒドロキシ-官能エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレンまたはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマーである)、またはジエン(1,3-ブタンジエンまたはジエン混合物など)と、ビニルモノマー(スチレン、アクリロニトリルまたはイソブチレンなど)とのポリヒドロキシ-官能コポリマー、またはポリヒドロキシ-官能ポリブタジエンポリオール(例は、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとを共重合させることによって調製され、および水素添加されていてもよいものである)である。
【0114】
さらに好適なものは、例えば、エポキシドまたはアミノアルコールと、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーとから調製され得る種類のポリヒドロキシ-官能アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Emerald Performance Materials社、LLC、米国からHycar(登録商標)CTBNの名称で市販されている)である。
【0115】
これらの記載されたポリオールは好ましくは、250から30000g/モル、より特定すると、1000から30000g/モルの平均分子量、および1.6から3の範囲の平均OH官能性を有する。
【0116】
特に好適なポリオールは、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオールおよびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、好ましくは、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンジオール、およびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレントリオールである。
【0117】
これらの記載されたポリオールに加えて、ポリウレタンポリマーP1およびP2を調製する場合、少量の低分子量の二価または多価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、二量体脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、糖アルコール(キシリトール、ソルビトールまたはマンニトールなど)、糖(スクロースなど)、他のより多価のアルコール、前述の二価および多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、およびまた前述のアルコールの混合物を同様に用いることが可能である。
【0118】
本組成物は好ましくは、充填剤をさらに含む。充填剤は、未硬化組成物のレオロジー特性だけではなく、硬化組成物の機械的特性および表面性にも影響を与える。好適な充填剤は無機および有機充填剤であり、例は、天然、粉砕または沈降炭酸アルシウム(必要に応じて、脂肪酸、より特定するとステアリン酸塩で被覆されている)、およびまた硫酸バリウム(BaSO4、バライトまたは重晶石とも呼ばれる)、焼成カオリン、微粉石英、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ(より特定すると、熱分解操作由来の高度分散シリカ)、カーボンブラック(より特定すると、工業的に製造されたカーボンブラック)、PVC粉末または中空ビーズである。好ましい充填剤は、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウム、カーボンブラック、ならびに難燃性充填剤(水酸化物または水和物、より特定すると、アルミニウムの水酸化物または水和物、好ましくは水酸化アルミニウムなど)である。好ましい充填剤は、カーボンブラックまたはチョークである。
【0119】
異なる充填剤の混合物を使用することは全く可能であり、さらに有利であり得る。
【0120】
充填剤の好適な量は、例えば、組成物全体に基づいて、10重量%から70重量%、好ましくは20重量%から60重量%の範囲にある。
【0121】
本組成物は、溶媒を含んでもよいし、あるいは含まなくてもよい。本組成物が溶媒を含む場合、この溶媒は、イソシアネート基と反応性である基、より特定すると、ヒドロキシル基、および活性水素を含む他の基を含まないことが確実にされなければならない。
【0122】
好適な溶媒は、より特定すると、ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、メシチルオキシド、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン;エステル(例は、酢酸エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、および酢酸ブチルなど)、ギ酸エステル、プロピオン酸エステルおよびマロン酸エステル(マロン酸ジエチルなど)である)、エーテル、例えば、ジアルキルエーテル、ケトンエーテルおよびエステルエーテルなど(例は、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、およびエチレングリコールジエチルエーテルである)、脂肪族および芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、および石油留分(ナフサ、ホワイトスピリット、石油エーテル、およびベンジンなど)、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレン;ならびにまた、N-アルキル化ラクタム、例えば、N-メチルピロリドンなどからなる群から選択される。
【0123】
好ましいものは、キシレン、トルエン、ホワイトスピリット、および100℃から200℃の沸点範囲の石油留分である。
【0124】
溶媒の好適な量は通常、組成物全体に基づいて1重量%から50重量%、より特定すると、1重量%から25重量%の範囲にある。
【0125】
本組成物において、存在するさらなる成分があってもよい。さらなる成分は、より特定すると、補助剤およびアジュバント、例えば:
- 可塑剤、例は、有機カルボン酸またはそれらの無水物のエステル、例えば、フタル酸エステル(フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルまたはフタル酸ジイソデシルなど)、アジピン酸エステル(アジピン酸ジオクチルなど)、アゼライン酸エステル、およびセバシン酸エステル;有機ホスホン酸エステルおよびスルホン酸エステル、ポリブテンおよびポリイソブテンである;
- ポリウレタン化学で慣用的な種類の触媒、より特定すると、スズ化合物およびビスマス化合物、第三級アミン、ならびに有機カルボン酸およびスルホン酸;
- 繊維(例えば、ポリエチレンの)、
- 顔料、例は、二酸化チタンまたは酸化鉄である;
- レオロジー調節剤、例えば、増粘剤またはチキソトロピー調整剤など、例は、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはヒュームドシリカである;
- 反応性希釈剤または架橋剤、例は、ジイソシアネートの低分子質量のオリゴマーおよび誘導体、例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネートまたはシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、IPDI、ペルヒドロ-2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびペルヒドロ-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-および1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、より特定すると、記載されたジイソシアネートのイソシアヌレート、カルボジイミド、ウレオンイミン、ビューレット、アロファネート、およびイミノオキサジアジンジオン、ジイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加物、アジピン酸ジヒドラジドおよび他のジヒドラジド、ならびにまた、ポリアルジミン、ポリケチミン、オキサゾリジンまたはポリオキサゾリジンの形態のブロック化アミンである;
- 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート(p-トシルイソシアネートなど)、オルトギ酸エステル、アルコキシシラン(テトラエトキシシランなど)、オルガノアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、およびシラン基に対してα位に官能基を有するオルガノアルコキシシランなど)など;
- 接着促進剤、より特定すると、以下に「シラン」と呼ばれる、オルガノアルコキシシラン、例えば、エポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリロシラン、イソシアナトシラン、カルバマトシラン、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン、およびアルドイミノシラン、これらのシランのオリゴマー形態、ならびにまたアミノシランおよび/またはメルカプトシランとポリイソシアネートとの付加物など;
- 非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマー、より特定すると、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニルまたはそれらのより高級なエステル、および(メタ)アクリレートを包含する群から選択される不飽和モノマーのホモポリマーまたはコポリマー、特に好適なものは、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、アタクチックポリ-α-オレフィン(APAO)、ポリプロピレン(PP)、およびポリエチレン(PP)である;
- 反応性熱可塑性ポリマー、より特定すると、ポリエステルポリオール、好ましくは、室温で固体であり、加温溶融接着剤としての組成物の適用温度、好ましくは40℃から80℃の領域の沸点を有するポリエステルポリオールを用いて調製された、末端イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー;
- 熱、光放射、およびUV放射に対する安定剤;
- 難燃剤;
- 表面活性物質、例えば、湿潤剤、流れ調節剤、空気遮断剤または消泡剤など;
- 殺生剤、例えば、殺藻剤、殺真菌剤、または真菌成長を阻害する物質など;
ならびにまた、ポリウレタン組成物に通常用いられるさらなる物質などである。
【0126】
さらに有利には、本組成物は、エナミノ基および/またはイミノ基の加水分解、ならびにまた、必要に応じて、イソシアネート基の反応を促進する少なくとも1種の触媒を含む。
【0127】
ジエナミン、およびジイミンまたはイミノエナミンの加水分解を促進する触媒の例は、有機カルボン酸(安息香酸またはサリチル酸など)、有機カルボン酸無水物(フタル酸無水物またはヘキサヒドロフタル酸無水物など)、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸(p-トルエンスルホン酸または4-ドデシルベンゼンスルホン酸など)、スルホン酸エステル、他の有機もしくは無機酸、または前述の酸および酸エステルの混合物である。
【0128】
イソシアネート基と水との反応を促進する触媒の例は、有機スズ化合物(ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、およびジブチルスズジアセテートなど)、有機ビスマス化合物もしくはビスマス錯体、または第三級アミン(例えば、2,2'-ジモルホリノ-ジエチルエーテルまたは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなど)、あるいはイソシアネート基の反応のための、ポリウレタン化学において通例の他の触媒である。
【0129】
ポリウレタン組成物にとって、2種以上の触媒の混合物、より特定すると、酸と有機金属化合物もしくは金属錯体との混合物、酸と第三級アミンとの混合物、または酸、有機金属化合物もしくは金属錯体と第三級アミンとの混合物を含むことが有利であり得る。
【0130】
通常の触媒含有量は、組成物全体に基づいて通例0.005重量%から2重量%であり、どの触媒のどれだけの量を用いることが合理的であるかは当業者に明らかである。
【0131】
本組成物中に存在し得る前記された成分、より特定すると充填剤および触媒の全てを、本組成物の保存安定性がこのような成分の存在によって悪影響されないように、言い換えれば、本組成物が、その特性、より特定すると、保存の過程での適用特性および硬化特性において変化を全くまたはほとんど受けないように選択することが有利である。これは、記載された本組成物の化学的硬化をもたらす反応、より特定すると、イソシアネート基の反応が、保存の過程でいかなる有意な程度にも起こらないことを意味する。結果として、より特定すると、記載された成分が、貯蔵時に、水を全くか、またはさもなければせいぜい痕跡の水しか含まないか、あるいは放出しないことが有利である。このために、ある種の成分の化学的または物理的乾燥を、組成物中にそれらを混合する前に行うことが合理的であり得る。
【0132】
記載された組成物は、水分の非存在下で調製および保存される。本組成物は保存安定であり、これは、水分の排除によって、例えば、その適用特性またはその硬化後の特性においていずれの使用関連程度にまでの変化なしに、数カ月から1年以上に至る範囲の期間にわたって、適切な包装または装置、例えば、ドラム、袋またはカートリッジに保存され得ることを意味する。この保存安定性は通常、粘度または押出力の測定によって決定される。
【0133】
一成分組成物は、水との接触によって硬化させる。硬化反応の進行は、本組成物がイソシアネート基を含むポリウレタンポリマーP1またはイソシアネート基を含むポリウレタンポリマーP2を含むかどうかによって異なる。
【0134】
少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールと、および少なくとも1種の式(III)のジアミンとから調製されるポリウレタンポリマーP1を含むポリウレタンポリマーPを調製するための一成分湿気硬化性組成物の場合、硬化は、イソシアネート基と水との反応によって起こり、二酸化炭素の排除とともに尿素基が形成される。
【0135】
少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールと、また少なくとも1種の、式(V)のジエナミンおよび/または式(VI)のジイミンおよび/または式(XVIII)のイミノエナミンの形態のいわゆる潜在性硬化剤とから調製されるポリウレタンポリマーP2を含むポリウレタンポリマーPを調製するための一成分湿気硬化性組成物の場合、その硬化は、イソシアネート基と水との反応に加えて、保護アミノ基の加水分解、およびその後の、再び尿素基の形成を伴う、イソシアネート基とのその反応によっても進行する。この加水分解の過程で、式(XXII)および/または(XXII)のケトンおよび/またはアルデヒドが放出される。イソシアネート基と、加水分解性ジエナミンおよび/またはジイミンおよび/またはイミノエナミンとの反応は、遊離のアミノ基によって必ずしも起こらない。当然、加水分解の間に現れる中間体の反応も可能である。例えば、式(VI)のジアルジミンの加水分解性アルジミノ基が、ヘミアミナール基の形態で、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0136】
硬化に必要とされる水は、空気(大気の湿気)に由来し得るか、あるいは上記組成物は、それとともに延展されることによって水含有成分と、またはそれとスプレーされることによって、例えば、平滑剤と接触させ得るか、あるいは水含有成分は、例えば、静的ミキサーによって混入される、例えば、加水ペーストの形態で、適用中に該組成物に添加され得る。大気の湿気によって硬化する場合、該組成物は外側から内側に硬化する。この場合の硬化速度は、様々な要因、例えば、水拡散速度、温度、周囲湿度、および接着形状などによって決定され;一般的に言えば、硬化が進行するにつれてより遅くなる。
【0137】
二成分組成物の硬化は、一方で、二成分K1およびK2が混合される場合に生じる反応、次いで、成分K1中にあるポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基と、成分K2中にある式(III)のジアミンの遊離のアミノ基との反応(この反応は、立体障害尿素基の形成を伴う)、およびまた成分K2中に場合によって存在する他のイソシアネート-反応性成分の官能基、詳細にはポリオールのOH基との反応によって起こる。他方で、ポリマーPを調製するための組成物の硬化も、二成分組成物の場合、一成分湿気硬化性組成物について記載されたように、ポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基と水との反応によって、ある程度まで進行する。特にこれが実際の例であるが、その理由は、ポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基が、式(III)のジアミンのアミノ基および場合によって存在する他の官能基、より特定するとOH基に対して過剰に存在するからである。
【0138】
さらなる態様において、本発明は、建築および産業用途のための接着剤、シーラントおよび/またはコーティング、より特定すると、接着剤、シーラントおよび床コーティング、好ましくは接着剤としての上記組成物の使用を包含する。
【0139】
さらなる態様において、本発明は、基材S1およびS2を接着結合させる方法であって、第1の実施形態において、
a1)上記組成物を基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b1)該基材S1および該基材S2を該適用した組成物を介して接触させるステップと、
C1)該適用した組成物を、より特定すると水によって硬化させるステップと
を含み、
該基材S1およびS2は、互いに同一または異なる、方法を包含する。
【0140】
第2の実施形態において、基材S1およびS2を接着結合させる方法は、
a2)上記組成物を基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b2)該適用した組成物を、より特定すると水によって硬化させるステップと、
c2)該基材S1および/または該基材S2上の該硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
d2)該基材S1およびS2を該適用した組成物を介して接触させるステップと、
e2)該適用した組成物を冷却および硬化させるステップと
を含み、
該基材S1およびS2は、互いに同一または異なる。
【0141】
本発明は、該基材S1とS2との間で上記のとおり形成された接着結合を剥離する方法であって、
a3)該硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b3)該基材S1とS2との間の該接着結合を分離させるステップと
を含む、方法をさらに包含する。
【0142】
記載された方法によって剥離された該基材S1およびS2は、分離された接着結合を再生させるためにか、新しい接着結合を異なる基材S3に形成するためにかにかわらず、同じ接着剤を再度用いて、言い換えれば、新しい接着剤の適用なしに、再度結合され得る。これは、該接着剤-基材S1およびS2に対する接着結合が分離されるときに残っている-を、100℃から200℃の温度に再度加熱し、それを所望の点で結合される基材と接触させることによって行われる。このさらなる加熱は、実際の冷却の間に、または冷却が終了して初めて、および必要に応じて、任意の保存後に行われ得る。該接着剤をその適用温度に再加熱することに代えて、接着剤がその上にあり、再結合される基材S1および/またはS2は、例えば、100℃から200℃の相当温度でオーブンまたは同様のものの中で保存することもできる。
【0143】
したがって、結果として、本発明は、結合される基材S1および/またはS2が上記と同様の方法に従って剥離された、上記のとおりの基材S1および/またはS2を繰り返して接着結合させる方法も包含する。
【0144】
より特定すると、これは、上記の剥離方法に従って剥離された基材S1および/またはS2を繰り返して接着結合させる方法であって、
a4)該基材S1および/または該基材S2上の該硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b4)該基材S1および/またはS2および/またはS3を該加熱された組成物を介して接触させるステップと、
c4)該組成物を冷却および硬化させるステップと
を含む方法である。
【0145】
ここで、該基材S3は、該基材S1および/またはS2と同一かまたな異なり、S1および/またはS2と基材S3との再結合の前に、後者の基材は、基材S1および/またはS2の第1の結合についてと同様に、接着剤組成物と一緒に供給されていてもよい。
【0146】
全く驚くべきことに、剥離する方法および再結合する方法は、次々に多数回繰り返すことができることが見いだされる。
【0147】
該基材S1およびS2の結合、もしくは剥離、または再結合のための硬化組成物の加熱は、赤外線源、電気熱素子と接触する(例えば、送風機による)高温空気の供給、オーブン中の保存、マイクロ波放射、誘導加熱などによって行われ得る。該硬化組成物は、加熱される結合された、シーリングされたまたは被覆された基材の少なくとも1つとともに、直接または間接に加熱され得る。
【0148】
誘導加熱による該組成物の直接加熱のために、該組成物は、導電性成分、より特定すると強磁性成分を含まなければならない。これらは、より特定すると、該組成物中の充填剤として存在し得る。この種の成分は、特に、導電性カーボンブラック、または金属もしくは金属酸化物の微粒子である。
【0149】
誘導加熱による該組成物の間接加熱のために、結合基材の少なくとも1つは、導電性であるか、または導電性成分、より特定すると強磁性成分を含まなければならない。
【0150】
上記のように形成された接着結合の剥離は、加熱される硬化組成物全体を必ずしも含む必要はなく;その代わりに、例えば、該組成物を通って引かれた高温ワイヤによって、所望の分離点で該組成物を加熱することが十分である。
【0151】
本発明は、基材S1およびS2をシーリングまたは被覆する方法であって、
a5)上記のとおりの組成物を基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b5)該適用した組成物を、より特定すると水によって硬化させるステップと
を含み、
該基材S1およびS2は、互いに同一または異なる、方法をさらに包含する。
【0152】
接着結合の場合に剥離する方法によって、本発明は、該基材S1および/またはS2上に上記のとおり形成されたシールまたはコーティングを引き離す方法であって、
a6)該硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b6)該シールまたはコーティングを該基材S1および/またはS2から分離させるステップと
を含む、方法を同様に包含する。
【0153】
この場合に、硬化組成物全体が加熱されることは絶対的に必要ではなく;代わりに、該組成物が所望の分離部位で加熱されることが十分である。
【0154】
水分による該組成物の化学的硬化のステップc1)、b2)、またはb5)に関して、当業者は、用いられる組成物、基材、温度、周囲湿度、および結合形状などの要因に依存する硬化反応は、該組成物の実際の適用の間に開始することさえできることを理解する。しかし、化学的硬化の主な部分は一般に、該組成物が適用された後で起こる。
【0155】
前に剥離された基材S1およびS2が再結合される場合、ステップe2)およびC4)のとおりの該組成物の硬化のために、もはや湿気は必要とされない。
【0156】
記載された方法の1つにおける上記組成物の使用は、特定の基材に限定されないが、代わりに、任意の所望の基材を接着結合、シーリングまたは被覆するために用いられ得る。
【0157】
好適な基材S1および/またはS2および/またはS3には、より特定すると、コンクリート、セメント、モルタル、レンガ、タイル、石膏、天然石、アスファルト、金属、金属合金、木、セラミック、ガラス、プラスチック、粉体コーティング、ペイント、およびワニスが含まれる。
【0158】
必要に応じて、基材S1および/またはS2および/またはS3は、上記組成物が適用される前に前処理され得る。このような前処理には、特に、物理的および/または化学的清浄法(例は、研摩、サンドブラスト、ブラッシングなど)、または清浄剤もしくは溶剤による処理、または火炎処理またはプラズマ処理(より特定すると、大気圧での空気プラズマ前処理)が含まれる。さらに、基材S1および/またはS2および/またはS3は、例えば、下塗りの形態の前処理を有してもよい。企図される下塗りの例には、接着促進剤組成物またはプライマーが含まれる。
【0159】
基材S1および/またはS2の接着結合および/またはシーリングのための記載された組成物は、通常、市販のカートリッジから適用され、これは比較的小規模の適用のために好ましく手動で操作される。圧搾空気によるカートリッジからの適用、または必要に応じて、適用ロボットを用いる、移送ポンプまたは押出機による、ドラムもしくはホボック(hobbock)からの適用も同様に可能である。この種の適用の様式は、より特定すると、工業生産における適用または大規模適用において好ましい。
【0160】
上記組成物の使用は、特に可逆的接着結合を形成する可能性の結果として、従来のポリウレタン接着剤を超える顕著な利点を有する。例えば、本発明の接着剤および接着結合方法は、より特定すると、ある一定の期間後に再び剥離可能であるように形成された接着結合に有用、または必須でさえあり得る場合の適用に好適である。例えば、自動車の接着部分の解体が、修理目的のために、あるいは廃棄および末梢された自動車の物理的再利用およびエネルギー回収のために果す重要な役割を有する、自動車工業において、これが実際の例である。
【0161】
接着剤としての本発明の組成物の有利な使用のさらなる可能性は、本発明の接着剤で結合される任意の所望の基材を与える可能性であり、前記基材は、例えば、接着が行われる時間および場所に関わらず、自動車の上または中に取り付けるためのモジュールコンポーネントまたは部品である。本発明の接着剤は、結合される基材に対して、例えば、ラウンドビーズ(round bead)もしくはトライアングルビーズ(triangular bead)の形態で、またはエッジラッピング(edge wrapping)として適用され、そこで最初に、特に大気の水分によって硬化する。任意の保存および任意の移送後に、該基材上の組成物は、上記方法によって、100℃から200℃の温度に加熱され得、結合される基材は想定どおりに結合され得る。この適用の利点は、接着剤を適用するステップならびに2つの基材S1およびS2の結合のステップが、場所および時間において互いに分離され得ることである。例えば、自動車生産において、風防シートは、既に適用および硬化された接着剤とともに供給業者から直接供給され、したがって、製造ライン上での自動車メーカーにとっての費用および複雑さを直接低減させ得る。この場合、自動車製造業者は、その場所要件および費用からも免れるが、その理由は、前記製造業者が、接着剤の適用または前処理のための装置の取得なしに少なくとも部分的に行うことができるからである。
【0162】
さらに、製造操作において、一部の場合には健康に悪影響を与える接着剤の使用を制限することができるので、安全上の改善もある。
【0163】
供給業者による結合のステップから分離された該接着剤の適用は、例えば、さらに、そして特に、該接着剤がその元の状態で基材表面に適用され得るので、該基材表面の状態が時間とともに変化する場合に、結合される基材の接着結合の品質に有利となる。例えば、金属表面の結合に関して、これが実際の例である。基材への接着剤の早期適用は同様に、基材の結合領域が、保存および/または移送の間に汚染されること、および接着剤が悪影響を受けないために清浄および/または前処理を要することを回避する。
【0164】
最後に、基材、より特定すると防風シート上での、粘着性ではなく、寸法的に安定である接着剤の適用および硬化されたビーズは、保存または移送のための積み重ねのための好適な保護およびスペーサになる。
【0165】
接着剤としての本発明の組成物の使用について記載された利点はまた、シーラントとして使用される場合、当然、およびコーティングとして使用される場合、ある程度生じる。
【0166】
本発明ではさらに、上記組成物で結合、剥離、シーリングおよび/または被覆され、および記載された方法の1つによって得られた物品が提供される。
【0167】
これらの物品は好ましくは、建築もしくは土木の建造物もしくは建造構造、または工業的に製造された製品もしくは消費者製品、より特定すると、窓、家庭用具または輸送手段、より特定すると、乗り物、または乗り物の中もしくは上に取り付けるための部品を構成する。
【0168】
問題の物品が、上記のとおりの組成物が円形または三角形のビーズの形態で適用されており、適用された組成物が、特に水によって、少なくとも部分的に硬化されている物品であることがさらに好ましい。この種の物品は、接着剤の適用ビーズの加熱、および結合される基材との接触によって接着され得る。この種の物品は、より特定すると、自動車の窓シートである。
【0169】
図1から図6は、それぞれ、上記のとおりの本発明の例示的な実施形態の図表示を与える。同一の要素または同一の作用を有する要素は、種々の図において同一の参照番号を付与する。これらの図は、本発明の直接の理解に本質的である要素のみを示す。
【0170】
本発明は、当然、示されおよび記載された例示的な実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1は、ガラスセラミック2でその外側端部に被覆されているガラスシート4で構成され、これに上記のとおりの組成物が三角形ビーズの形態で接着剤3として適用されている、自動車の防風シート1を図式的に示す。
【図2】図2は、線S-Sに沿った、図1由来の防風シート1の一部を通る断面を図式的に示す。 本接着剤の適用後に、防風シートは、所望の点に直接取り付けることができるか、または三角形のビーズとして適用された接着剤は、水分との反応の結果としてこの形態で完全に硬化し、防風シートは、この状態で保存または移送され得る。自動車上での防風シート1の組立てのために、本接着剤は、100℃から200℃に加熱される。加熱時に、ポリウレタンポリマーPは、特に立体障害尿素基で分裂して、立体障害ジアミンおよび、-場合によって立体障害された-イソシアネートを形成する。この状態で、次いで、防風シート1は、所望の点で接合される。接着剤の冷却直後に、ジアミンの立体障害アミノ基は、上記のとおり順次に、ポリイソシアネートの場合によって立体障害されたイソシアネート基と反応し、そこで接着剤は硬化し、安定な接着結合を形成する。
【図3】図3は、端部ラッピングとしてその端部に適用された接着剤3を有する防風シート1を通る断面を図式的に示す。この形態で適用された接着剤は、特に、そのシートが2つ以上の側面(したがって、その端部面を含む)から基材に結合される場合、および/またはその過剰の接着剤が防風シートと車体との間の接合用シーラントとして使用される場合の適用に特に好適である。この種の結合は、自動車のガラス製品のフラッシュグレージングに特に用いられる(図4参照)。図3に示されるように、この形態で硬化された接着剤はさらに、いまだ未結合の防風シートの良好な端部保護を与える。
【図4】図4は、図3に示されるように、防風シートの端部に適用された接着剤3が、接着だけではなく、防風シート1と車体6との間の接合のシーリングの機能も果す結合された防風シート1を図式的に示す。この種の結合は、「フラッシュグレージング」という用語によって当業者に非常によく知られている。
【図5】図5は、損傷ガラスシート5が新しいガラスシート4で置き換えられる修理方法を図式的に示す。この方法の第1のステップt1において、接着剤は熱放射7によって100℃から200℃の温度に加熱される。接着剤が、剥離に必要とされる温度に到達したときに、ステップt2においてガラスシート5は、車体6から取り外される。損傷ガラスシート5の取り外し直後に、言い換えれば、車体に残存している接着剤が再び冷えてしまう前に、ステップt3において新しいガラスシート4がこの接着剤の上に接合される。損傷ガラスシート5と一緒に除去された接着剤の量を補うために、結合前に、さらなる接着剤が新しいガラスシート4に適用することも可能である。ステップt4において、接着剤は再び冷え、そこで化学的に硬化する。
【図6】図6は、そのそれぞれの上で接着剤3の三角形ビーズが適用された防風シート8の積み重ねを図式的に示す。この接着剤3は、硬化され、積み重ねにおいてスペーサとして働き、その結果、個々のガラスシートは、互いに接触状態にならず、したがって、互いに傷つけない。
【実施例】
【0172】
測定方法の説明
赤外線スペクトルは、ZnSe結晶を有する水平ATR測定ユニット上の未希釈フィルムとして、Perkin-Elmer製FT-IR 1600装置で記録した;吸収バンドは、波長(cm-1)で報告する(測定枠: 4000〜650cm-1)、追加のshは、肩のある吸収として現れるバンドを示し、一方追加のbrは、ブロードバンドを示す。
【0173】
1H NMRスペクトルは、Bruker DPX-300分光計で300.13MHzにおいて記録した;化学シフトδは、テトラメチルシラン(TMS)に対するppmで表す;結合定数Jは、Hzで表す。真と擬結合パターンとの間の区別は行わなかった。
【0174】
粘度は、サーモスタット調節Physica UM円錐/平板粘度計(円錐直径20mm、円錐角1°、円錐先端と平板の距離0.05mm、せん断速度1から1000秒-1)で測定した。
【0175】
アミン含量は、調製された化合物中の遊離アミノ基およびブロック化アミノ基(アルジミノ基、エナミノ基)の総量であり、滴定法(クリスタルバイオレットに対して、氷酢酸中0.1N HClO4を用いる)で決定して、常にミリモルN/gで報告する。
【0176】
ブロック化アミンBAの調製
ジアルジミンBA-1
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で32.36g(0.114モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを入れた。激しく撹拌しながら、10.00g(0.110モルのN)の1,8-メンタンジアミン(Aldrich、工業銘柄;アミン含量11.05ミリモルN/g)を滴下ロートからゆっくり滴下し、混合物を加温すると、次第に曇った。その後、揮発性成分を減圧下(10ミリバール、80℃)で除去した。収量:アミン含量2.75ミリモルN/gおよび粘度20℃で93mPa・sを有する40.1gの透明、浅黄色油。
IR: 2956、2922、2852、1736(C=O)、1666(C=N)、1466、1418、1392、1374sh、1364、1310、1302、1248、1181sh、1158、1112、1072、1020、996、932、896、768、722。
1H NMR (CDCl3, 300K): δ 7.51, 7.49, 7.42および7.38 (4×s, 比が約5/1/1/5; 2H, CH=N), 4.03および4.02 (2×s, 2×2H, C(CH3)2-CH2-O), 2.28および2.27 (2×t, J≒7.5, 2×2H, OC(O)-CH2-CH2), 1.75 (d, J≒13.4, 1H, CCyH-C(CH3)2N), 1.60 (m, 6H, 2 Cy-HおよびOC(O)-CH2-CH2), 1.42-1.15 (m, 38H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-COおよび6 Cy-H), 1.07および1.06 (2×s, 2×6H, C(CH3)2-CH2-O), 1.00 (s, 6H, CCyH-C(CH3)2N), 0.97 (s, 3H, Cy-C(CH3)N), 0.88 (t, J≒6.7, 6H, CH3-(CH2)10-CO).
【0177】
ジエナミンBA-2
水分離器を備えた丸底フラスコに、50.0gのN-イソプロピル-3-((イソプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(Jefflink(登録商標)754、Huntsman;アミン含量7.54ミルモルN/g)、90.0gのイソブチルアルデヒド、および200mlのシクロヘキサンを窒素雰囲気下で入れ、この混合物を還流下で撹拌しながら96時間加熱した。この時間の間に、6.9mlの水を分離器に収集した。次いで、反応混合物の揮発性成分を減圧下(10ミリバール、70℃、2時間; 5・10-2ミリバール、90℃、2時間)で除去した。収量:アミン含量5.25ミリモルN/gを有する72.3gの黄色の透明液体。
IR: 2960、2922、2916、2904、2870、2849sh、2813sh、2730、2611、1736、1717、1670(C=N)、1622、1460、1378、1360、1344sh、1322、1312sh、1290、1216、1190、1166、1144、1137sh、1116、1096、1070、1056sh、1044sh、1024、1000、982、954、934、922、915、888、858、814、787sh、778、766sh、710。
【0178】
ポリウレタン組成物の調製
発明実施例1および比較実施例2
ネジ閉鎖のポリプロピレンビーカーにおいて、その調製は以下に記載されるポリマーP-1、およびポリマーP-2を、スズ触媒と遠心分離混合機(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.; 2500rpmで1分間)によって混合して、均一な材料を形成した。用いた量は、表1に記載する。
【0179】
ポリマーP-1を以下のとおり調製した:
ガラス装置において、撹拌しながら、窒素雰囲気下で、75.0gの脱水ポリオキシプロピレンジオール(Caradol(登録商標)56-11、Shell; OH価 56mg KOH/g)を13.5gのトリレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標)T80P、Bayer)と80℃で24時間反応させ、3.62重量%の遊離のイソシアネート基含量を有するプレポリマーを得た。このプレポリマーを室温に冷却し、次いで、4.4gのN-イソプロピル-3-((イソプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(Jefflink(登録商標)754、Huntsman)を撹拌しながら急速に添加し、取り込ませた。これは、1.86重量%の遊離のイソシアネート基含量および20℃で140Pa・sの粘度を有する浅黄色の透明蜜を生じた。
【0180】
ポリマーP-2を以下のとおり調製した:
ガラス装置において、撹拌しながら、窒素雰囲気下で、80.0gの脱水ポリオキシプロピレンジオール(Caradol(登録商標)56-11、Shell; OH価 56mg KOH/g)を10.5gのトリレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標)T80P、Bayer)と80℃で24時間反応させた。得られたプレポリマーは、1.78重量%の遊離のイソシアネート基含量および20℃で40Pa・sの粘度を有した。
【0181】
【表1】

【0182】
スキンオーバータイム(タックフリータイム)を決定するために、得られた材料の小部分をそれぞれの場合に用い、その材料を約2mmのフィルム厚さで厚紙に塗布し、これを標準条件(23±1℃、50±5%相対湿度)下で保存し、LDPEピペットによって材料の表面にそっと触れることがピペット上に残留物を最初に残さなくなるまで経過した時間の測定を行った。
【0183】
この材料の主要な部分は、約3mmの厚さのフィルムを作製するために用い、この材料を平らなPTFE型中に注入し、標準条件下で7日間硬化させた。これは透明で、タックフリーの、弾性ポリウレタンフィルムを生じ、これを10×10mmある切片に切断した。これらの切片のそれぞれを、厚紙ベース上に置き、規定時間の間ビュッヒガラスオーブン(Buchi glass oven)中で加熱し、次いで、空気中で再度冷却し、このポリウレタンフィルムの挙動をモニターした(例えば、ロッドで接触/移動することによって)。ある種の切片に対して、加熱および冷却段階を1回以上繰り返した。
【0184】
これらの調査の結果をTable 2(表2)に示す。
【0185】
【表2】

【0186】
実施例3から5(発明)および6から7(比較)
ネジ閉鎖のポリプロピレンビーカーにおいて、その調製は以下に記載されるポリマーP-3、およびポリマーP-4を、ジアルジミンBA-1、またはジエナミンBA-2と、およびまた触媒と遠心分離混合機((SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.; 2500rpmで1分間)を用いて混合し、均一な材料を得て、これを直ちに内部被覆アルミニウム管中に分注し、これを気密閉鎖した。触媒の用いた量および種類は、Table 3(表3)に記載する。
【0187】
ポリマーP-3を以下のとおり調製した:
ガラス装置において、撹拌しながら、窒素雰囲気下で、1400gの脱水ポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200N、Bayer; OH価28.5mg KOH/g)を135gのトリレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標)T80P、Bayer)と80℃で24時間反応させた。得られたプレポリマーは、2.25重量%の遊離イソシアネート基含量および20℃で11Pa・sの粘度を有した。
【0188】
ポリマーP-4を以下のとおり調製した:
ガラス装置において、撹拌しながら、窒素雰囲気下で、590gの脱水ポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200N、Bayer; OH価 28.5mg KOH/g)および1180gの脱水ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell; OH価35.0mg KOH/g)を、230gのイソホロンジイソシアネート(IPDI; Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa)と0.1gのジブチルスズジラウレートの存在下80℃で24時間反応させた。得られたプレポリマーは、2.15重量%の遊離のイソシアネート基含量および20℃で19Pa・sの粘度を有した。
【0189】
ポリマーP-3またはポリマーP-4のイソシアネート基と、ジアルジミンBA-1またはジエナミンBA-2の保護アミノ基との間の比は、実施例の全てについて1.0/0.7である。
【0190】
【表3】

【0191】
実施例1に記載されたように、スキンオーバータイムの決定のために、得られた材料の小部分をそれぞれの場合に用いた。実施例1に記載されたように、それぞれの材料の主要部分を硬化させて、ポリウレタンフィルムを形成した。30mmの中央断面長さおよび4mmの中央断面幅を有する、75mmの長さのダンベルをそのフィルムから打ち抜き、引張強度および破断点伸びをDIN EN53504に従って試験した(引張速度: 200mm/分)。管中の材料の残りを用いて、未硬化ポリウレタン組成物の保存安定性を、高温条件で保存中のそれらの粘度の変化によって決定した。このために、それぞれの場合に、閉じた管中の材料をオーブン中60℃で保存し、20℃におけるそれらの粘度を保存4時間後に1回目、および保存7日後に2回目の測定をした。保存安定性は、1回目に対する2回目の粘度数値の増加パーセントで示す。これらの試験の結果をTable 4(表4)に示す。
【0192】
【表4】

【0193】
発明実施例3から5について、実施例1に記載されたように、10mm×10mmある切片をポリウレタンフィルムから切断し、加熱および冷却時のそれらの挙動について調査した。これらの調査の結果をTable 5(表5)に示す。
【0194】
【表5】

【0195】
弾性ポリウレタン接着剤の調製
発明実施例8から9
Table 6(表6)に従って、実施例のそれぞれの成分を、水分の不存在下で真空混合機中、および示した量で処理し、均一なペーストを形成し、これを、内部被覆アルミニウムカートリッジ中に直ちに分注し、これを、気密閉鎖した。
【0196】
ポリウレタンポリマーP-5を、以下のとおり調製した:
ガラス装置において、撹拌しながら、窒素雰囲気下で、1780gの脱水ポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200N、Bayer; OH価28.5mg KOH/g)および500gのポリオキシプロピレントリオール(Acclaim(登録商標)6300、Bayer; OH価28.0mg KOH/g)を、220gのトリレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標)T80P、Bayer)と80℃で24時間反応させた。得られたプレポリマーは、2.13重量%の遊離のイソシアネート基含量および20℃で12Pa・sの粘度を有した。
【0197】
イソシアネート基(ポリマーP-4およびP-5の、ならびにまた乾燥剤として使用されたTDIの)イソシアネート基と、保護アミノ基(ジアルジミンBA-1の)との間の比は、両方の実施例について1.0/0.7である。
【0198】
【表6】

【0199】
得られた一成分弾性ポリウレタン接着剤を、硬化後に、適用特性、オープンタイム、硬化速度、および機械的特性について試験した。
【0200】
適用特性の指標として、サグレジスタンス(sag resistance)および糸曳き(Stringing)を用いた。サグレジスタンスの決定について、三角形ノズルを通してカートリッジガンによって、底部直径8mmおよび高さ(底部からの三角形先端の距離) 20mmを有する水平に延在する三角形ビーズを厚紙の垂直片に対してこの接着剤を適用した。5分後に、その先端が下がった距離、すなわち、三角形ビーズの中央で元の位置から離れた距離を測定した。先端が全くまたはほとんど変化しない位置にある場合、「非常に良好」、先端が底部の中央と端部の間にある場合、「良好」と評価した。糸曳きは、カートリッジガンを用いて、壁に固定した厚紙片に少量の接着剤を適用し、急速な後方への動きでその適用の終了時に、適用した接着剤からカートリッジガンを引き離し、切断点に残存する接着剤の糸の長さを測定することによって定性的に決定した。
【0201】
オープンタイムの測定として、スキンオーバータイム(タックフリー時間)を用いた。スキンオーバータイムは、実施例1について記載したとおりに決定した。
【0202】
硬化速度の指標として、接着剤の全硬化時間(through-cure time)を用いた。全硬化時間は、壁に取り付けた厚紙片に対して、カートリッジガンによって円形先端(口径10mm)を通して、接着剤を長さ約50mmおよび中央の厚さ30mmの水平な、自由に垂れ下がる円錐として適用し、これを標準条件下で7日間放置し、次いで、中央を垂直に切り開き、接着剤の硬化層の厚さを定規で測定することによって調べた。
【0203】
硬化後の機械的特性の測定について、ショアA硬度、引張強度、破断点伸び、および弾性率の測定を行った。ショアA硬度は、標準条件下で14日間硬化させた試験片に対してDIN 53505に従って測定した。他の機械的特性の試験については、接着剤を、その調製2時間後に、プレスで厚さ3mmのフィルムに加圧し、次いで、そのフィルムを標準条件下で14日間硬化させ、引張強度、破断点伸び、および弾性率についてDIN EN 53504に従って試験した(引張速度: 200mm/分)。
【0204】
両方の接着剤は、泡を含まずに完全に硬化した。
【0205】
試験の結果をTable7(表7)に示す。
【0206】
【表7】

【0207】
接着剤の加熱および再冷却時の挙動を調べるために、機械的試験のために作製した接着剤の硬化フィルムを10×10mmの切片に切断し、これを実施例1で記載したとおりに調べた。未切断フィルムの一片を、それが溶解し始めるまで、オーブン中テフロン(登録商標)底部の上で160℃で10分間加熱した。次いで、そのフィルムを再び室温に冷却し、機械的特性についてDIN EN 53504に従って上記のとおり試験し、未加熱フィルムで測定した値からの偏差を計算した。これらの調査の結果をTable 8(表8)に示す。
【0208】
【表8】

【符号の説明】
【0209】
1 防風シート
2 ガラスセラミック
3 接着剤
4 ガラスシート
5 損傷ガラスシート
6 車体
7 熱放射
8 防風シートの積み重ね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の尿素基を含むポリウレタンポリマーPであって、
A)前記尿素基が、二置換されており、かつ前記尿素基がイソシアネート基と第一級アミノ基とから構成される場合、前記第一級アミノ基に由来する窒素原子が第三級の炭素原子に直接結合していること;
および/または
B)前記尿素基が三置換されており、かつ前記尿素基がイソシアネート基と第二級アミノ基とから構成される場合、前記第二級アミノ基に由来する窒素原子が少なくとも1個の第二級または第三級の炭素原子に直接結合していること
を特徴とする、ポリウレタンポリマーP。
【請求項2】
少なくとも1つの式(I)
【化1】

[式中、NaおよびNbは窒素原子であり、
R1は、
第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、1から10個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R2と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、この場合のAは第二級または第三級のC原子を介してNbに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR2と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子であり(但し、Aは、第三級のC原子を介してNaに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)、
R2は、
第二級もしくは第三級のC原子を介してNbに結合している、1から10個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R1と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である (但し、この場合のAは、第二級または第三級のC原子を介してNaに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR1と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子であり(但し、Aは、第三級のC原子を介してNbに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)、
Aは、
それぞれ、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であること、およびR2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R2と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1およびR2と一緒になって、それぞれ、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であり、
ここで、A、R1、およびR2の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい(但し、これらの原子は、NaまたはNbのいずれに対してもα位ではないことを条件とする)]
の構造要素を含む、請求項1に記載のポリウレタンポリマーP。
【請求項3】
前記ポリウレタンポリマーPが、少なくとも1種の、式(XII)および/または式(XVI)および/または式(XIII)
【化2】

(式中、R27は、
炭化水素基、より特定すると、1から4個のC原子を有する炭化水素基であり、
R28は、
水素原子であるか、または
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R29もしくはR30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、3から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
R29は、
水素原子であるか、
または
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R28と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
R30は、
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R31と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R32と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、
または
R28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子であり、
R31は、
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R32と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、
または
R28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子であり、
R32は、
1から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基である)
の構造要素をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタンポリマーP。
【請求項4】
i)少なくとも1種のポリイソシアネートと;
ii)少なくとも1種のポリオールと;
iii)少なくとも1種の式(III)
【化3】

のジアミンおよび/または少なくとも1種の式(V)のジエナミンおよび/または式(VI)のジイミンおよび/または式(XVIII)のイミノエナミン
【化4】

[式中、NaおよびNbは窒素原子であり、
R1は、
第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、1から10個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R2と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、この場合のAは、第二級または第三級のC原子を介してNbに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である (但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR2と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子であり(但し、Aは、第三級のC原子を介してNaに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)、
R2は、
第二級または第三級のC原子を介してNbに結合している、1から10個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R1と一緒になって、第二級もしくは第三級のC原子を介してNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、この場合のAは、第二級または第三級のC原子を介してNaに結合していることを条件とする)か、
または
Aと一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
AおよびR1と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であるか、
または
水素原子であり(但し、この場合のAは、第三級のC原子を介してNbに結合している二価の炭化水素基であることを条件とする)、
Aは、
それぞれ、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、2から20個のC原子を有する二価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であること、およびR2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R2がHである場合、Nbに結合したC原子は第三級であることを条件とする)、
または
R2と一緒になって、それぞれ、少なくとも1個の第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、5から30個のC原子を有する三価の炭化水素基である(但し、R1がHである場合、Naに結合したC原子は第三級であることを条件とする)か、
または
R1およびR2と一緒になって、それぞれ、第二級もしくは第三級のC原子を介してNaおよびNbに結合している、8から30個のC原子を有する四価の炭化水素基であり、
R11およびR12ならびにまたR13およびR14ならびにまたR15およびR16、ならびにまたR17およびR18は、
互いに独立して、それぞれ、水素原子もしくは1から34個のC原子を有する一価の炭化水素基であり、
または
対で、それぞれ、(置換されていてもよい、および/もしくは少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい)5から8個のC原子を有する炭素環の一部である、4から20個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
かつ、ここで、A、R1、およびR2の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい(但し、これらの原子が、NaまたはNbのいずれに対してもα位ではないことを条件とする)]と
を含む、請求項1から3のいずれかに記載のポリウレタンポリマーPを調製するための組成物。
【請求項5】
a)イソシアネート基を含み、
i')少なくとも1種のポリイソシアネートと;
ii')少なくとも1種のポリオールと;
iii')少なくとも1種の前記式(III)のジアミンと
から調製される少なくとも1種のポリウレタンポリマーP1;
または
b)イソシアネート基を含み、
i'')少なくとも1種のポリイソシアネートと;
ii'')少なくとも1種のポリオールと;
ならびにまた少なくとも1種の、前記式(V)のジエナミンおよび/もしくは前記式(VI)のジイミンおよび/もしくは前記式(XVIII)のイミノエナミンと
から調製される少なくとも1種のポリウレタンポリマーP2
を含む一成分組成物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
a')少なくとも1種のポリイソシアネートおよび/または少なくとも1種のポリウレタンポリマーP2を含む第1の成分K1であって、前記ポリウレタンポリマーP2が、イソシアネート基を含み、
i''')少なくとも1種のポリイソシアネートと;
ii''')少なくとも1種のポリオールと
から調製される、第1の成分K1
ならびに
b')少なくとも1種の前記式(III)のジアミンを含む第2の成分K2
を含む二成分組成物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記基R15およびR17が、それぞれ水素原子であり、前記基R11、R12、R13、R14、R16、およびR18が、互いに独立してそれぞれ、1から20個、より特定すると1から6個のC原子を有する一価の炭化水素基であることを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項8】
前記基R16およびR18が、互いに独立してそれぞれ、前記式(VII)または(VIII)
【化5】

[式中、
R19は、
環状および/または芳香族部分を有していてもよく、ならびに/あるいは少なくとも1個のヘテロ原子、より特定すると、エーテル基、エステル基またはアルデヒド基の形態の酸素を有していてもよい、1から31個のC原子を有する直鎖または分岐の炭化水素基であり、
R20およびR21は、
互いに独立して、それぞれ、1から12個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
対で、それぞれ、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から20個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
R22は、
5から8個の原子からなる環の大きさを有する、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基である
または
式(IX)
【化6】

(式中、R23は、
水素原子であるか、もしくは1から20個のC原子を有するアルコキシ基であるか、
または6から20個のC原子を有する、置換もしくは非置換のアルケニルもしくはアリールアルケニル基である)
の基である]
の基であることを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項9】
前記基R19が、それぞれ、式(X)または(XI)
【化7】

(式中、R24は、
水素原子であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキルもしくはアリールアルキル基であり、より特定すると水素原子であり、
R25は、
ヘテロ原子を含んでいてもよい、1から30個、より特定すると11から30個のC原子を有する炭化水素基であり、
R26は、
水素原子であるか、
または
環状部分および/もしくは少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい、1から29個、より特定すると11から29個のC原子を有する直鎖もしくは分岐の炭化水素基であるか、
または
5から29個のC原子を有する一価もしくは多価不飽和の直鎖もしくは分岐の炭化水素基であるか、または
置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5員もしくは6員環である)
の基であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記基R20およびR21が、それぞれメチル基であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリイソシアネートが、少なくとも1種の式(XIV)および/または式(XV)
【化8】

(式中、R27は、
炭化水素基、より特定すると、1から4個のC原子を有する炭化水素基であり、
R28は、
水素原子であるか、または
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R29もしくはR30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、3から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
R29は、
水素原子であるか、
または
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R28と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
R30は、
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R31と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R32と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、
または
R28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子であり、
R31は、
1から4個のC原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
R30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R32と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基であるか、
または
R28およびR29が両方水素原子であることはない条件で、水素原子であり、
R32は、
1から8個のC原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または
R30と一緒になって、5から8個のC原子を有する置換されていてもよい環の一部である、4から12個のC原子を有する三価の炭化水素基である)
の構造要素を有することを特徴とする、請求項4から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリイソシアネートが、ジイソシアネート、より特定すると、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアナートまたはIPDI)、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4'-および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン(TMDI)、およびm-テトラメチルキシリレンジイソシナネート(TMXDI)からなる群から選択されるジイソシアネートであることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記式(III)のジアミンが、N,N'-ジ-tert-ブチルヘキサン-1,6-ジアミン、N,N'-ジシクロヘキシルヘキサン-1,6-ジアミン、N,N'-ジイソプロピルヘキサン-1,6-ジアミン、N,N'-ビス(2-ニトロプロパン-2-イル)ヘキサン-1,6-ジアミン、1,8-メンタンジアミン、N-イソプロピル-3-((イソプロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、N-(1,2-ジメチルプロピル)-3-((1,2-)ジメチル-プロピルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-3-((1,3-ジメチルブチルアミノ)メチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、2,2',6,6'-テトラメチル-4,4'-ビピペリジン、1,4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン、および2,4-ジメチル-4-メチルアミノピペリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも1種の充填剤を、より特定すると、組成物全体に基づいて10重量%から70重量%、好ましくは20重量%から60重量%の量で含むことを特徴とする、請求項4から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記充填剤が、カーボンブラックまたはチョークであることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
建築および工業用途のための接着剤、シーラントおよび/またはコーティングとしての、請求項4から15のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項17】
基材S1およびS2を接着結合させる方法であって、
a1)請求項4から15のいずれかに記載の組成物を、基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b1)前記基材S1およびS2を前記適用した組成物を介して接触させるステップと、
c1)前記適用した組成物を、より特定すると水によって、硬化させるステップと
を含み、
前記基剤S1およびS2は、互いに同一または異なる、方法。
【請求項18】
基材S1およびS2を接着結合させる方法であって、
a2)請求項4から15のいずれかに記載の組成物を基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b2)前記適用した組成物を、より特定すると水によって硬化させるステップと、
c2)前記基材S1および/または基材S2上の前記硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
d2)前記基材S1およびS2を前記適用した組成物を介して接触させるステップと、
e2)該適用組成物を冷却および硬化させるステップと
を含み、
前記基材S1およびS2は、互いに同一または異なる、方法。
【請求項19】
前記基材S1とS2との間に請求項17または18に従って形成された接着結合を剥離する方法であって、
a3)前記硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b3)前記基材S1とS2との間の前記接着結合を分離させるステップと
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の剥離する方法に従って剥離された前記基材S1および/またはS2を接着結合させる方法であって、
a4)前記基材S1および/または前記基材S2上の前記硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b4)前記基材S1および/またはS2および/またはS3を、前記加熱組成物を介して接触させるステップと、
c4)前記組成物を冷却および硬化させるステップと
を含み、
前記基材S1およびS2およびS3は、互いに同一または異なる、方法。
【請求項21】
a5)請求項4から15のいずれかに記載の組成物を基材S1および/または基材S2に適用するステップと、
b5)前記適用した組成物を、より特定すると水によって、硬化させるステップと
を含み、
前記基材S1およびS2は、互いに同一または異なる、シーリングまたは被覆する方法。
【請求項22】
前記基材S1および/またはS2上に請求項21に従って形成されたシールまたは被覆を引き離す方法であって、
a6)前記硬化組成物を100℃から200℃の温度に加熱するステップと、
b6)前記シールまたは被覆を前記基材S1および/またはS2から分離させるステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記基材S1および/またはS2および/またはS3が、コンクリート、セメント、モルタル、レンガ、タイル、石膏、天然石、アスファルト、金属、金属合金、木、セラミック、ガラス、プラスチック、粉体コーティング、ペイント、およびワニスからなる群から選択されることを特徴とする、請求項17から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項17から23のいずれかに記載の方法に従って接着結合、剥離、シーリングまたは被覆された物品。
【請求項25】
前記物品が、建築もしくは土木の建造物もしくは建造構造、または工業的に製造された製品もしくは消費者製品、より特定すると、窓、家庭用具または輸送手段、より特定すると、乗り物、または乗り物の中もしくは上に取り付けるための部品であることを特徴とする、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
請求項4から15のいずれかに記載の組成物が、ラウンドビーズもしくはトライアングルビーズとして、またはエッジラッピングとして適用された物品であって、前記適用組成物が、少なくとも部分的に、より特定すると、水によって硬化される、物品。
【請求項27】
自動車の窓シートであることを特徴とする、請求項26に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−504197(P2011−504197A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534480(P2010−534480)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065948
【国際公開番号】WO2009/065913
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】