説明

台所用具の傾斜保持方法とそれに使用される傾斜保持用の水切りフック

【課題】 流し台に向かって垂下支持されて水切りを行うための台所用具の垂れ水をすべて流し台の水流しエリアに落水させる台所用具の傾斜保持方法とそれに使用される傾斜保持用の水切りフックを提供する。
【解決手段】 台所用具5の1つである柄付ブラシ9は固定側に固定される水切りフック1の係着部2に係止して垂下支持されるが、この水切りフック1は係着部2の他に柄付ブラシ9を前方に傾斜させる拘束部3が設けられている。この拘束部の形状や位置を工夫することにより柄付ブラシ9の先端部のブラシ部12を水流しエリア15内に向けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄されて流し台上に垂下支持される台所用具の垂下端からの落水を常に流し台の水流しエリア内に落水させるための台所用具の傾斜保持方法とそれに使用される傾斜保持用の水切りフックに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄されて流し台上に垂下支持される用具(以下、台所用具と総称する)としては各種のものがあり、例えば、食器洗浄用のブラシを有する柄付きブラシ,そばやうどん等の水切りを行うためのメッシュカゴ,係止部のある各種のコップや食器や瓶等と極めて数多くのものがある。これ等を洗浄後において水切りのために保持する手段や方法としては各種のものがあるが、通常は流し台上に垂下支持されて垂れ水を重力により落水させて水切りするものが使用されている。
この水切り方法は、台所用具の基端側の係止部を流し台上に固定されているフックに係着して垂直方向に垂下支持して行うものが一般である。
以上の水切り方法を行う公知技術としては各種のものがあるが、例えば、「特許文献1」や「特許文献2」が挙げられる。
【特許文献1】登録実用新案第3051050号(図1)
【特許文献1】意匠登録第1278142号(正面図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
「特許文献1」の「登録実用新案第3051050号」の「台所用小道具立て」は、各種の用具の基端側に形成される係止部を支柱(2)のまわりに形成されている吊り下げ用フック(3)に係着するもので、すべての用具は垂下方法に垂下支持される構造のものからなる。
また、「特許文献2」の「意匠登録第1278142号」の「小物掛け用フック」は、その正面図にあるように図略の小物の係止部を係着する半弧状のフックからなる。この場合も前記半弧状のフックに係着する用具(台所用具を含む)は垂直方法に垂下保持されることになる。
【0004】
図6は、通常の流し台14とその上方に垂下保持されている台所用具5との主に位置関係を示す模式的側面図である。この場合、通常は台所用具5の係着するフック100は固定側の壁16に固着され台所用具5はこのフック100に係着した状態で垂下支持される。一方、流し台14と壁16と間には図示のように若干の隙間17が形成される場合が多い。そのためフック100に垂下保持されている台所用具5の垂下端からの垂れ水は流し台14内に落水しないで隙間17に落水する場合が多い。そのため、落水箇所に水たまりが生じ、種々の不具合の発生原因となる。また、仮りに隙間17が殆どない状態で流し台14が設置されたとしても台所用具5からの落水が流し台14の水流しエリア15内に落水しない場合も多く、前記のような不具合の原因となる。
以上の不具合を解消する方法や手段としては各種のものが考えられるが、最も効果的な方法としては台所用具を傾斜させて垂下端からの垂れ水を常に流し台の水流しエリアに落水するようにすればよく、そのための手段としてはフックの形状を工夫することが最も簡便であり、効果的のものであると思われる。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、最も簡便の方法及び手段により、台所用具からの垂れ水を必ず流し台の水流しエリア内に落水させるようにした台所用具の傾斜保持方法とそれに使用される傾斜保持用の水切りフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、洗浄されて流し台上にその基端側の係止部を介して垂下保持される単数又は複数の台所用具の垂下端からの垂れ水を前記流し台の水流しエリアに落水させるための台所用具の保持方法であって、該方法は、前記台所用具の垂下端が前記水流しエリア上に来るように前記係止部の係止姿勢を前記台所用具の自由姿勢である垂下方向(垂直方向)から傾斜した状態を保持すべく拘束することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、洗浄されて流し台上にその基端側の係止部を介して垂下保持される単数又は複数の台所用具の垂下端からの垂れ水を前記流し台の水流しエリアに落水させるために前記係止部の係着姿勢を傾斜させるべく固定側に固着されるフックであって、該フックは、前記台所用具の係止部の係止する係着部と、該係着部又はその近傍に配置され垂下支持される前記台所用具を自由状態の垂直方向(垂下方向)から前向きに傾斜保持すべく拘束するための拘束部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、前記拘束部が、前記係着部と別体又は一体に形成されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の「台所用具の傾斜保持方法」によれば、台所用具は係止部の係着姿勢が垂直方向に垂下されるものでなく、これから傾斜して常に垂下端が水流しエリアに向くようにするため、垂れ水は水流しエリア以外には落水せず前記の目的を確実に果すことができる。
【0010】
また、本発明の請求項2の「台所用具の傾斜保持用の水切りフック」によれば、通常の形成の係着部を有するフックに拘束部を形成する簡便の方法により、台所用具は垂直方向から前向きに安定状態で傾斜するため、垂れ水を水流しエリアに向けることが容易にできる。
【0011】
また、本発明の請求項3の「台所用具の傾斜保持用の水切りフック」によれば、拘束部は係着部そのものに形成される一体形状のものや係着部の近傍に配置される別体のものからなり、各所の形状のものを自由に設定でき、前記目的を完全に、かつ確実に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の台所用具の傾斜保持方法とそれに使用される傾斜保持用の水切りフックの実施の形態を図面を参照して詳述する。
【実施例1】
【0013】
実施例1は、台所用具5の1つとして図5に示すような食器洗浄用の柄付ブラシ9によるものを示す。また、この場合の水切りフックは別体の拘束部を有するものである。
食器洗浄用の柄付ブラシ9は、頂部に丸孔10の把持部11を有し、垂下端(先端)にブラシ部12を形成し、ブラシ部12と把持部11との間をワイヤ13で連結したものからなる。この柄付ブラシ9は、丸孔10が前記係止部に相当するものであり、この丸孔10を水切りフックの係着部に係着保持されるものからなる。
【0014】
この柄付ブラシ9が係着される水切りフック1の構造を図1(a),(b)に示す。図示のように水切りフック1は、これを固定側に固着するためのベース板4と、ベース板4の表面側の下方に突出して形成される略半弧の係着部2と、係着部2の下面に貼着される拘束部3とからなる。この拘束部3の形状は係着部2に係止される柄付ブラシ9が垂直方向に沿って垂下されることを拘束するものであればよく、その形状や材質は特に限定するものではない。但し、係着部2に係止された柄付ブラシ9の先端のブラシ部12が流し台14の水流しエリア15内に入るように傾斜させる形状のものであることが必要である。
図1(a),(b)は以上の構造の水切りフック1に図5で示した柄付ブラシ9を係止した状態を示す。柄付ブラシ9はその把持部11の丸孔10を係着部2に入れた状態で係着部2に係止されるが、把持部11が拘束部3に当接し、それ以上垂直方向に移動することを拘束される。そのため、柄付ブラシ9は図示のように角度θだけ傾斜した状態で係着部に係止して保持される。以上のように角度θを所望の値にするように拘束部3を形成することにより、柄付ブラシ9のブラシ部12は水流しエリア15内に位置付けされる。従って、ブラシ部12からの垂れ水はすべて水流しエリア15内に落水することになる。
【実施例2】
【0015】
図2は、実施例1の場合と同様に別体の拘束部を用いたものからなる。この拘束部3aはパイプ状のものからなる。即ち、別体のパイプ材3Aを水切りフック1aの係着部2aに嵌入せしめ、このパイプ材3bの前端で柄付ブラシ9の把持部11を受けるようにしたものである。これにより、柄付ブラシ9を傾斜保持することができる。
【実施例3】
【0016】
この実施例は図3に示すように水切りフック1bは、拘束部が係着部2bと一体化したものである。即ち、図示のようにベース板4bから係着部2bと拘束部3bが突出して形成されたものからなり、拘束部3bは係着部2bの下方に配置され、これより突出長の長いものからなる。そのため、係着部2bに係着した台所用具(柄付ブラシ9)は係着部2bに係止した場合には拘束部3bにより前記に傾斜されることになる。
以上の他に各種構造の水切りフックがあるが、これ等のものは前記の実施例1乃至3のものと同一技術的範疇にあるものであり、その説明を省略する。
【実施例4】
【0017】
以上の実施例1乃至3では台所用具として単一の柄付ブラシ9を係止する水切りフックについて説明したが、本実施例では複数個の台所用具を係止する場合について説明する。図4に示すように、例えば、壁側の流し台の上方に例えば細長のプレート6を固定し、このプレートに前記したような水切りフック1等を適宜の間隔で配置する。図4では前記した柄付ブラシ9やそば等の水切りを行うフィルタ容器7やたわし皿8等が台所用品として配列される場合を示すが、勿論これ等に限定するものではない。以上の各種の台所用具に対応してプレート6に水切りフック1等を配置することによりこれ等のすべての台所用具を流し台の水流しエリアに向けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明は各種の台所用具の垂れ水を流し台の水流れエリアに向けるようにしたものであるが、台所用具としては前記のように台所でのみしか使用しないものに限定するものではなく、洗浄して水洗いの必要な用具に対しても適用可能であり、その利用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の水切りフック及びこれに係止する台所用具の1つである柄付ブラシを示す斜視図(a)及び側面図。
【図2】本発明の水切りフックの他の実施例を示す側面図。
【図3】本発明の一体型の水切りフックを示す側面図。
【図4】複数個の台所用具を係止するフック群を示す模式的斜視図。
【図5】台所用具の1つとしてのブラシを示す正面図。
【図6】垂下支持される従来の台所用具と流し台との関係位置と問題点を説明するための模式的側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 水切りフック
1a 水切りフック
1b 水切りフック
2 係着部
2a 係着部
2b 係着部
3 拘束部
3a 拘束部
3b 拘束部
3A パイプ材
4 ベース板
4b ベース板
5 台所用具
6 プレート
7a フィルタ容器
8 たれ皿
9 柄付ブラシ
10 丸孔
11 把持部
12 ブラシ部
13 ワイヤ
14 流し台
15 水流しエリア
16 壁
17 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄されて流し台上にその基端側の係止部を介して垂下保持される単数又は複数の台所用具の垂下端からの垂れ水を前記流し台の水流しエリアに落水させるための台所用具の保持方法であって、該方法は、前記台所用具の垂下端が前記水流しエリア上に来るように前記係止部の係止姿勢を前記台所用具の自由姿勢である垂下方向(垂直方向)から傾斜した状態を保持すべく拘束することを特徴とする台所用具の傾斜保持方法。
【請求項2】
洗浄されて流し台上にその基端側の係止部を介して垂下保持される単数又は複数の台所用具の垂下端からの垂れ水を前記流し台の水流しエリアに落水させるために前記係止部の係着姿勢を傾斜させるべく固定側に固着されるフックであって、該フックは、前記台所用具の係止部の係止する係着部と、該係着部又はその近傍に配置され垂下支持される前記台所用具を自由状態の垂直方向(垂下方向)から前向きに傾斜保持すべく拘束するための拘束部とを有することを特徴とする大所用具の傾斜保持用の水切りフック。
【請求項3】
前記拘束部が、前記係着部と別体又は一体に形成されるものであることを特徴とする請求項1に記載の台所用具の傾斜保持用の水切りフック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−73154(P2008−73154A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254367(P2006−254367)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(502407598)
【Fターム(参考)】