台車横移動規制装置
【課題】脱線時に台車横移動規制装置が作動しているときにストッパに大きな衝撃が加わることを防止できる台車横移動規制装置を提供する。
【解決手段】レール51の内側に沿って脱線防止ガード52を設けるとともに、台車11の車輪15より内側位置に脱線防止ガードの内側面52aに摺接するストッパ25を設けた台車横移動規制装置において、ストッパに、脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部28と、摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が摺接面に連続したガイド斜面31aを有するガイド部31とを設ける。
【解決手段】レール51の内側に沿って脱線防止ガード52を設けるとともに、台車11の車輪15より内側位置に脱線防止ガードの内側面52aに摺接するストッパ25を設けた台車横移動規制装置において、ストッパに、脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部28と、摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が摺接面に連続したガイド斜面31aを有するガイド部31とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車横移動規制装置に関し、詳しくは、地震、突風等で鉄道車両が脱線したときの台車の横移動を規制することによって二次災害の発生防止を図る台車横移動規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や突風等の天災によって鉄道車両が横荷重を受けたときに脱線を防止する目的で、レールの内側に沿って脱線防止ガードが設けられている。しかし、不幸にしてこの脱線防止ガードを越えて脱線したときに、車両を枕木のある道床や路盤等の上を走行するように案内する装置として、レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、台車の車輪より内側位置に下方に向かって突出するストッパを設け、脱線時にストッパが脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/105672号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された台車横移動規制装置においても、脱線時に台車の横移動を規制することはできるが、脱線防止ガードの継目でストッパに大きな衝撃が加わることがあり、ストッパだけでなく、台車や車体などに大きな負荷が掛かるおそれがある。この脱線防止ガードの継目は、脱線防止ガードの保守の面から無くすことは難しいため、ストッパ側で対策をとることが必要である。
【0005】
そこで本発明は、脱線時に台車横移動規制装置が作動しているときにストッパに大きな衝撃が加わることを防止できる台車横移動規制装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の台車横移動規制装置は、左右一対のレール上を走行する車両が脱線したときの台車の横移動を規制するため、前記レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、前記台車の車輪より内側位置から下方に向かって突出し、脱線時に前記脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制するストッパを設けた台車横移動規制装置において、前記ストッパは、前記脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部と、該摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面に連続したガイド斜面を有するガイド部とを備えていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の台車横移動規制装置は、前記ストッパが、前記摺接部の上部両側に、前記摺接面が前記脱線防止ガードの内側面に摺接したときに、前記脱線防止ガードの上面に摺接して台車の下方への移動を規制する台車支持面を有する台車支持部を備えていることを特徴と、また、前記台車支持部が、該台車支持部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの上面から離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面に連続した下向きガイド斜面を有する下向きガイド部を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、前記ストッパが、前記摺接部及び前記ガイド部を有するストッパ本体と、該ストッパ本体の上部が上下位置調節可能に取り付けられるストッパ取付部材とで形成されていることを特徴としており、前記ストッパ取付部材の上部に、前記台車に設けられたストッパ取付部に取り付けられる台車取付部が設けられ、該台車取付部と前記ストッパ取付部とには、台車取付部をストッパ取付部に取り付けたときに互いに係合する凹凸係合部が設けられていることを特徴とし、特に、前記凹凸係合部が、前記ストッパ取付部と前記ストッパ取付部材の上部とのいずれか一方の両側面部に設けられた前後方向の凹溝と、いずれか他方の両側部から突出して前記凹溝に係合する凸部とであることを特徴としている。
【0009】
さらに、前記ストッパ本体の上部とストッパ取付部材とは、前記ストッパ取付部材の枕木方向のストッパ本体取付面とストッパ本体の上部に設けられた当接面とを面接触させてストッパ本体の上部とストッパ取付部材とを前後に重ねた状態で、ストッパ本体取付面とストッパ本体の当接面とを貫通するボルトにより固定され、前記当接面における前記ボルトの上下方向位置は、脱線時にストッパ本体の下部に加わる前後方向の荷重によってボルトに作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の台車横移動規制装置によれば、脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部の前部及び後部にそれぞれガイド斜面を有するガイド部を突出させているので、脱線防止ガードの継目で大きな衝撃を受けることがなくなり、台車や車体などを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の台車横移動規制装置の第1形態例を適用した台車の概略断面正面図である。
【図2】同じく概略断面側面図である。
【図3】同じく脱線時の状態を示す概略断面正面図である。
【図4】同じく脱線時の状態を示す要部の一部断面正面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】同じくストッパの斜視図である。
【図7】同じくストッパの要部側面図である。
【図8】本発明の台車横移動規制装置の第2形態例におけるストッパの斜視図である。
【図9】本発明の台車横移動規制装置の第3形態例におけるストッパの斜視図である。
【図10】同じく一部断面側面図である。
【図11】本発明の台車横移動規制装置の第4形態例におけるストッパの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本形態例に示す台車11は、電動車用ボルスタレス台車であって、台車枠12の横梁12aには主電動機13が固定されており、主電動機13の回転力は、たわみ継手及び歯車装置を介して輪軸14及び車輪15に伝達される。また、台車枠の側梁12bの両端部には、輪軸14の両端部を支持するための軸箱支持装置や軸箱が設けられるとともにブレーキ装置が設けられている。台車枠12の上には、まくらばねを介して車体16が載置された状態になっており、台車11と車体16とは、駆動力や制動力を伝達するためのけん引装置17により連結されている。
【0013】
前記けん引装置17は、車体16の台枠16a下部に設けられた車体側リンク受け18と、一方の横梁12aに設けられた台車側リンク受け19との間を1本のリンク20により連結した1本リンク式のものであって、リンク20の両端部はリング状に形成され、このリング状部に水平方向の軸部21を備えたゴムブッシュ22が嵌着され、ゴムブッシュ22の両側に突出した軸部21が両リンク受け18,19にボルト23によってそれぞれ固定されている。
【0014】
そして、台車側リンク受け19には、下方に向かって突出するストッパ25が取り付けられている。このストッパ25は、ストッパ取付部となる台車側リンク受け19に固定されるストッパ取付部材26と、このストッパ取付部材26の下部に取り付けられるストッパ本体27とで形成されている。ストッパ取付部材26は、水平方向の基部26aの両側に取付腕26bを立設したU字状に形成されており、両取付腕26b間の距離は前記ゴムブッシュ22の幅寸法より僅かに広く形成されている。
【0015】
また、台車取付部となる両取付腕26bの上部には、前記ボルト23を挿通するボルト孔26cが設けられるとともに、両取付腕26bの上部両側部には、台車側リンク受け19の両側面にそれぞれ設けられた前後方向の凹溝19bに係合する凸部26dが台車側リンク受け19の方向に突出した状態で設けられている。さらに、ストッパ取付部材26の基部26aの両側部分には、上下方向に長いボルト挿通用長孔26eが設けられるとともに、ストッパ本体取付側の面には、突出端面に凹凸係合部26fを有する角形のストッパ本体固定部26gが突設され、基部26a中央部のストッパ本体取付側の面には、上下方向の係合凹溝26hが設けられている。
【0016】
前記ストッパ本体27は、水平方向の基部27aの下部に、摺接部28と台車支持部29とを一体に設けたものであって、基部27a両端のストッパ取付部材26側の面には、前記凹凸係合部26fに係合する凹凸係合部27bが設けられ、前記ボルト挿通用長孔26eに対応した位置には、ストッパ本体27をストッパ取付部材26に取り付けるボルト30を挿通するためのボルト孔27cが設けられている。また、ストッパ本体27上部のストッパ取付部材26側の中央部には、前記係合凹溝26hに係合する上下方向の係合凸部27dが設けられている。
【0017】
ストッパ取付部材26の下部とストッパ本体27の上部とは、前記凹凸係合部26f,27bの凹凸面を所定の上下位置で当接させて係合させるとともに係合凹溝26hと係合凸部27dとを係合させ、ストッパ取付部材26の下部とストッパ本体27の上部とを前後に重ねた状態でボルト挿通用長孔26e及びボルト孔27cを貫通した前記ボルト30をナット30aに締結することによって固定される。
【0018】
このストッパ取付部材26とストッパ本体27との固定状態におけるボルト30の上下方向位置は、ストッパ本体27の下部に設けた前記摺接部28及び前記台車支持部29に加わる前後方向の荷重によってボルト30に作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されている。
【0019】
すなわち、図7において、車両が矢印A1方向に進行しているときに脱線した場合は、ストッパ本体27の下部(摺接部28及び台車支持部29)には、ストッパ本体27の前部から荷重P1が作用し、この荷重P1は、前記凹凸係合部26f,27bの当接面の下端B1を支点としてボルト30に引張荷重F1として作用する。一方、車両が矢印A2方向に進行しているときに脱線した場合は、ストッパ本体27の後部から荷重P2が作用し、この荷重P2は、前記凹凸係合部26f,27bの当接面の上端B2を支点としてボルト30に引張荷重F2として作用する。
【0020】
前部から荷重P1が作用したときにボルト30に作用する引張荷重F1と、後部から荷重P2が作用したときにボルト30に作用する引張荷重F2とは、F1=(P1×D1)/L1、及び、F2=(P2×D2)/L2という式でそれぞれ求められる。なお、式中におけるL1はボルト30の中心線Cと当接面の下端B1との距離、L2はボルト30の中心線Cと当接面の上端B2との距離、D1は荷重P1,P2の作用点と当接面の下端B1との距離(中心線Cに直交する方向の距離)、D2は荷重P1,P2の作用点と当接面の上端B2との距離(中心線Cに直交する方向の距離)である。
【0021】
前後からの荷重P1,P2を車両の走行速度などの条件から同一とすれば、ボルト30に作用する引張荷重F1,F2を同じ値にするためには、(P1×D1)/L1=(P2×D2)/L2であればよく、P1=P2であるから、D1/L1=D2/L2とすればよいことになる。このようにして凹凸係合部26f,27dの当接面に対するボルト30の上下方向位置を設定することにより、車両の進行方向に関係なくボルト30に作用する引張荷重F1,F2を同じ値にすることができる。
【0022】
これにより、ボルト30の引張強度を最適化できるとともに、リンク20の軸部21及びストッパ25を台車側リンク受け19に固定するためのボルト23が破断する前に、ストッパ取付部材26にストッパ本体27を固定するためのボルト30が破断するように、両ボルト23,28の強度を設定することが可能となるので、脱線時に、万一ストッパ本体27に過大な前後荷重が入力された場合においても、ボルト23が破断して軸部21が台車側リンク受け19から脱落し、台車11と車体16とが分離することを確実に防止することができる。
【0023】
前記摺接部28は、左右のレール51,51の内側に沿って設けられた脱線防止ガード52の内側面52aに摺接する上下方向の摺接面28aを両側面に有するとともに、該摺接部28の前部及び後部にそれぞれ突出したガイド部31を有している。このガイド部31は、先端が脱線防止ガード52の内側面52aから次第に離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面28aに連続した横向きのガイド斜面31aを両側面前後部にそれぞれ有している。
【0024】
また、前記台車支持部29は、前記摺接部28の上部両側部分に設けられるもので、前記摺接面28aが脱線防止ガード52の内側面52aに摺接したときに、脱線防止ガード52の上面52bに摺接して台車11の下方への移動を規制する台車支持面29aを有するとともに、該台車支持部29の前部及び後部にそれぞれ突出した下向きガイド部32を有している。この下向きガイド部32は、先端が脱線防止ガード52の上面52bから次第に離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面29aに連続した下向きガイド斜面32aを下面前後部にそれぞれ有している。
【0025】
このように形成されたストッパ25は、ストッパ取付部材26の凸部26dを台車側リンク受け19の凹溝19bに係合させた状態で、リンク20の軸部21と共にボルト23によって台車側リンク受け19に取り付けられ、台車11の車輪15より内側位置から下方に向かって突出した状態となる。
【0026】
一方、軌道側においては、左右のレール51,51の内側に沿って前記脱線防止ガード52が設けられている。この脱線防止ガード52は、スラブ軌道のコンクリート路盤あるいはバラスト軌道の枕木53に取り付けられる固定部材54と、該固定部材54の上部に取り付けられたT字状のガード部材55とで形成されており、ガード部材55の高さはレール51の上面と面一か僅かに高くなるように設定されている。
【0027】
ガード部材55のレール側部分55aは、地震等の揺れで車輪15が浮き上がり、一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越えようとしたときに、他方の車輪15の内側面がレール側部分55aに摺接することにより、該他方の車輪15が軌道内側に脱線することを防止するとともに、一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越えるのを防止し、これによって車両の走行を妨げずにレール51から車輪15が外れることを防止するようにしている。
【0028】
軌道内側に位置する脱線防止ガード52の内側面52aは、大きな揺れで一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越え、他方の車輪15が脱線防止ガード52を乗り越えて脱線してしまったときに、この内側面52aに前記摺接部28の摺接面28aが摺接することにより、車両の走行を妨げずに台車11が脱線方向にそれ以上移動することを規制する。また、台車支持部29の台車支持面29aが脱線防止ガード52の上面52bに摺接することにより、車輪15のフランジ15aが枕木53や固定部材54に激しく衝突することを抑制する。さらに、ガイド部31の先端が固定部材54に激しく衝突することを回避する。また、摺接部28の摺接面28aが内側面52aに摺接することでガード部材55には、レール51の方向に倒れようとする力が作用するが、台車支持面29aが上面52bに摺接し、台車支持面29aがガード部材55の内側面52a側を下方に押圧した状態になることにより、ガード部材55がレール方向に倒れることを防止することができる。
【0029】
また、ガイド斜面31aを有するガイド部31や下向きガイド斜面32aを有する下向きガイド部32を設けているので、ガード部材55の継目部分に目違いが生じていた場合でも、ガイド斜面31aや下向きガイド斜面32aによって摺接部28や台車支持部29が継目に衝突することを防止できるので、継目の目違い部分から大きな衝撃を受けることがなくなり、衝撃によってストッパ25が破損することを防止できるとともに、台車や車体などが破損することも防止することができる。
【0030】
さらに、摺接面28aが脱線防止ガード52の内側面52aに摺接することによってストッパ本体27には、水平方向の力や回転力が作用するが、係合凹溝26hと係合凸部27dとが係合し、凹凸係合部26f,27bが互いに係合した状態となっているので、ストッパ取付部材26とストッパ本体27とに位置ズレを生じたりすることがなく、ボルト30に剪断力が作用することもない。同様に、ストッパ25の上部では、凹溝19bと凸部26dとを係合させているので、台車側リンク受け19とストッパ取付部材26との位置ズレを防止することができ、ボルト23に剪断力が作用することがない。これにより、ボルト23,30を破断から保護することができる。
【0031】
また、ストッパ取付部材26にボルト挿通用長孔26eを設けているので、ストッパ本体27の上下位置調整を容易に行うことができ、車輪15の削正によって車輪径が小さくなったときには、ストッパ取付部材26に対するストッパ本体27の取付位置を上方に変更することにより、ストッパ本体27が車両限界Lを超えて下方に突出することがなくなる。
【0032】
したがって、脱線した台車11の横移動が規制されるので、軌道外への脱線や車両の転覆を未然に防止することができ、脱線に起因する二次災害を防止できるとともに、ストッパ25だけでなく、台車11や車体16が衝撃によって損傷することを防止することができる。
【0033】
なお、ガイド斜面31a,32aの寸法、傾斜角度は、ガード部材55の目違いの状態、車両の速度などの条件に応じて適宜設定することができ、傾斜面の一部又は全体を円弧面や球面とすることもできる。また、ストッパ25の大きさ、特に摺接部28の横幅や脱線防止ガード52の内側面52aの位置は、前記特許文献1に記載されているように、複線部分を走行する列車の車体16同士の間隔の1/2程度に設定することが望ましい。さらに、脱線したときに、台車11に設けられている主電動機13などの下面が脱線防止ガード52やレール51の上面に摺接して台車11の下方への移動を規制できる場合は、台車支持部29を省略することができる。
【0034】
図8はストッパの第2形態例を示している。なお、以下の説明において、各形態例に共通する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本形態例に示すストッパ41は、ストッパ本体42における摺接部28の上部両側に設けられる台車支持部29を、摺接部28から独立した状態で設けている。
【0035】
図9及び図10はストッパの第3形態例を示すもので、本形態例に示すストッパ43は、ストッパ取付部材44の取付腕44aと台車側リンク受け45との対向面に凹凸係合部44b,45aをそれぞれ設け、この凹凸係合部44b,45aを互いに係合させることにより、ボルト23に剪断力が加わることを防止している。
【0036】
図11はストッパの第3形態例を示すもので、本形態例に示すストッパ46は、前記第2形態例と同様に、ストッパ本体42における摺接部28の上部両側に設けられる台車支持部29を独立した状態で設けるとともに、前記第3形態例と同様に、ストッパ取付部材44の台車側リンク受け側の面に凹凸係合部44bをそれぞれ設けている。
【符号の説明】
【0037】
11…台車、12…台車枠、12a…横梁、12b…側梁、13…主電動機、14…輪軸、15…車輪、15a…フランジ、16…車体、16a…台枠、17…けん引装置、18…車体側リンク受け、19…台車側リンク受け、19a…雌ネジ孔、19b…凹溝、20…リンク、21…軸部、21a…ボルト孔、22…ゴムブッシュ、23…ボルト、25…ストッパ、26…ストッパ取付部材、26a…基部、26b…取付腕、26c…ボルト孔、26d…凸部、26e…ボルト挿通用長孔、26f…凹凸係合部、26g…ストッパ本体固定部、26h…係合凹溝、27…ストッパ本体、27a…基部、27b…凹凸係合部、27c…ボルト孔、27d…係合凸部、28…摺接部、28a…摺接面、29…台車支持部、29a…台車支持面、30…ボルト、30a…ナット、31…ガイド部、31a…ガイド斜面、32…下向きガイド部、32a…下向きガイド斜面、51…レール、52…脱線防止ガード、52a…内側面、52b…上面、53…枕木、54…固定部材、55…ガード部材、55a…レール側部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車横移動規制装置に関し、詳しくは、地震、突風等で鉄道車両が脱線したときの台車の横移動を規制することによって二次災害の発生防止を図る台車横移動規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や突風等の天災によって鉄道車両が横荷重を受けたときに脱線を防止する目的で、レールの内側に沿って脱線防止ガードが設けられている。しかし、不幸にしてこの脱線防止ガードを越えて脱線したときに、車両を枕木のある道床や路盤等の上を走行するように案内する装置として、レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、台車の車輪より内側位置に下方に向かって突出するストッパを設け、脱線時にストッパが脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/105672号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された台車横移動規制装置においても、脱線時に台車の横移動を規制することはできるが、脱線防止ガードの継目でストッパに大きな衝撃が加わることがあり、ストッパだけでなく、台車や車体などに大きな負荷が掛かるおそれがある。この脱線防止ガードの継目は、脱線防止ガードの保守の面から無くすことは難しいため、ストッパ側で対策をとることが必要である。
【0005】
そこで本発明は、脱線時に台車横移動規制装置が作動しているときにストッパに大きな衝撃が加わることを防止できる台車横移動規制装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の台車横移動規制装置は、左右一対のレール上を走行する車両が脱線したときの台車の横移動を規制するため、前記レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、前記台車の車輪より内側位置から下方に向かって突出し、脱線時に前記脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制するストッパを設けた台車横移動規制装置において、前記ストッパは、前記脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部と、該摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面に連続したガイド斜面を有するガイド部とを備えていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の台車横移動規制装置は、前記ストッパが、前記摺接部の上部両側に、前記摺接面が前記脱線防止ガードの内側面に摺接したときに、前記脱線防止ガードの上面に摺接して台車の下方への移動を規制する台車支持面を有する台車支持部を備えていることを特徴と、また、前記台車支持部が、該台車支持部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの上面から離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面に連続した下向きガイド斜面を有する下向きガイド部を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、前記ストッパが、前記摺接部及び前記ガイド部を有するストッパ本体と、該ストッパ本体の上部が上下位置調節可能に取り付けられるストッパ取付部材とで形成されていることを特徴としており、前記ストッパ取付部材の上部に、前記台車に設けられたストッパ取付部に取り付けられる台車取付部が設けられ、該台車取付部と前記ストッパ取付部とには、台車取付部をストッパ取付部に取り付けたときに互いに係合する凹凸係合部が設けられていることを特徴とし、特に、前記凹凸係合部が、前記ストッパ取付部と前記ストッパ取付部材の上部とのいずれか一方の両側面部に設けられた前後方向の凹溝と、いずれか他方の両側部から突出して前記凹溝に係合する凸部とであることを特徴としている。
【0009】
さらに、前記ストッパ本体の上部とストッパ取付部材とは、前記ストッパ取付部材の枕木方向のストッパ本体取付面とストッパ本体の上部に設けられた当接面とを面接触させてストッパ本体の上部とストッパ取付部材とを前後に重ねた状態で、ストッパ本体取付面とストッパ本体の当接面とを貫通するボルトにより固定され、前記当接面における前記ボルトの上下方向位置は、脱線時にストッパ本体の下部に加わる前後方向の荷重によってボルトに作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の台車横移動規制装置によれば、脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部の前部及び後部にそれぞれガイド斜面を有するガイド部を突出させているので、脱線防止ガードの継目で大きな衝撃を受けることがなくなり、台車や車体などを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の台車横移動規制装置の第1形態例を適用した台車の概略断面正面図である。
【図2】同じく概略断面側面図である。
【図3】同じく脱線時の状態を示す概略断面正面図である。
【図4】同じく脱線時の状態を示す要部の一部断面正面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】同じくストッパの斜視図である。
【図7】同じくストッパの要部側面図である。
【図8】本発明の台車横移動規制装置の第2形態例におけるストッパの斜視図である。
【図9】本発明の台車横移動規制装置の第3形態例におけるストッパの斜視図である。
【図10】同じく一部断面側面図である。
【図11】本発明の台車横移動規制装置の第4形態例におけるストッパの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本形態例に示す台車11は、電動車用ボルスタレス台車であって、台車枠12の横梁12aには主電動機13が固定されており、主電動機13の回転力は、たわみ継手及び歯車装置を介して輪軸14及び車輪15に伝達される。また、台車枠の側梁12bの両端部には、輪軸14の両端部を支持するための軸箱支持装置や軸箱が設けられるとともにブレーキ装置が設けられている。台車枠12の上には、まくらばねを介して車体16が載置された状態になっており、台車11と車体16とは、駆動力や制動力を伝達するためのけん引装置17により連結されている。
【0013】
前記けん引装置17は、車体16の台枠16a下部に設けられた車体側リンク受け18と、一方の横梁12aに設けられた台車側リンク受け19との間を1本のリンク20により連結した1本リンク式のものであって、リンク20の両端部はリング状に形成され、このリング状部に水平方向の軸部21を備えたゴムブッシュ22が嵌着され、ゴムブッシュ22の両側に突出した軸部21が両リンク受け18,19にボルト23によってそれぞれ固定されている。
【0014】
そして、台車側リンク受け19には、下方に向かって突出するストッパ25が取り付けられている。このストッパ25は、ストッパ取付部となる台車側リンク受け19に固定されるストッパ取付部材26と、このストッパ取付部材26の下部に取り付けられるストッパ本体27とで形成されている。ストッパ取付部材26は、水平方向の基部26aの両側に取付腕26bを立設したU字状に形成されており、両取付腕26b間の距離は前記ゴムブッシュ22の幅寸法より僅かに広く形成されている。
【0015】
また、台車取付部となる両取付腕26bの上部には、前記ボルト23を挿通するボルト孔26cが設けられるとともに、両取付腕26bの上部両側部には、台車側リンク受け19の両側面にそれぞれ設けられた前後方向の凹溝19bに係合する凸部26dが台車側リンク受け19の方向に突出した状態で設けられている。さらに、ストッパ取付部材26の基部26aの両側部分には、上下方向に長いボルト挿通用長孔26eが設けられるとともに、ストッパ本体取付側の面には、突出端面に凹凸係合部26fを有する角形のストッパ本体固定部26gが突設され、基部26a中央部のストッパ本体取付側の面には、上下方向の係合凹溝26hが設けられている。
【0016】
前記ストッパ本体27は、水平方向の基部27aの下部に、摺接部28と台車支持部29とを一体に設けたものであって、基部27a両端のストッパ取付部材26側の面には、前記凹凸係合部26fに係合する凹凸係合部27bが設けられ、前記ボルト挿通用長孔26eに対応した位置には、ストッパ本体27をストッパ取付部材26に取り付けるボルト30を挿通するためのボルト孔27cが設けられている。また、ストッパ本体27上部のストッパ取付部材26側の中央部には、前記係合凹溝26hに係合する上下方向の係合凸部27dが設けられている。
【0017】
ストッパ取付部材26の下部とストッパ本体27の上部とは、前記凹凸係合部26f,27bの凹凸面を所定の上下位置で当接させて係合させるとともに係合凹溝26hと係合凸部27dとを係合させ、ストッパ取付部材26の下部とストッパ本体27の上部とを前後に重ねた状態でボルト挿通用長孔26e及びボルト孔27cを貫通した前記ボルト30をナット30aに締結することによって固定される。
【0018】
このストッパ取付部材26とストッパ本体27との固定状態におけるボルト30の上下方向位置は、ストッパ本体27の下部に設けた前記摺接部28及び前記台車支持部29に加わる前後方向の荷重によってボルト30に作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されている。
【0019】
すなわち、図7において、車両が矢印A1方向に進行しているときに脱線した場合は、ストッパ本体27の下部(摺接部28及び台車支持部29)には、ストッパ本体27の前部から荷重P1が作用し、この荷重P1は、前記凹凸係合部26f,27bの当接面の下端B1を支点としてボルト30に引張荷重F1として作用する。一方、車両が矢印A2方向に進行しているときに脱線した場合は、ストッパ本体27の後部から荷重P2が作用し、この荷重P2は、前記凹凸係合部26f,27bの当接面の上端B2を支点としてボルト30に引張荷重F2として作用する。
【0020】
前部から荷重P1が作用したときにボルト30に作用する引張荷重F1と、後部から荷重P2が作用したときにボルト30に作用する引張荷重F2とは、F1=(P1×D1)/L1、及び、F2=(P2×D2)/L2という式でそれぞれ求められる。なお、式中におけるL1はボルト30の中心線Cと当接面の下端B1との距離、L2はボルト30の中心線Cと当接面の上端B2との距離、D1は荷重P1,P2の作用点と当接面の下端B1との距離(中心線Cに直交する方向の距離)、D2は荷重P1,P2の作用点と当接面の上端B2との距離(中心線Cに直交する方向の距離)である。
【0021】
前後からの荷重P1,P2を車両の走行速度などの条件から同一とすれば、ボルト30に作用する引張荷重F1,F2を同じ値にするためには、(P1×D1)/L1=(P2×D2)/L2であればよく、P1=P2であるから、D1/L1=D2/L2とすればよいことになる。このようにして凹凸係合部26f,27dの当接面に対するボルト30の上下方向位置を設定することにより、車両の進行方向に関係なくボルト30に作用する引張荷重F1,F2を同じ値にすることができる。
【0022】
これにより、ボルト30の引張強度を最適化できるとともに、リンク20の軸部21及びストッパ25を台車側リンク受け19に固定するためのボルト23が破断する前に、ストッパ取付部材26にストッパ本体27を固定するためのボルト30が破断するように、両ボルト23,28の強度を設定することが可能となるので、脱線時に、万一ストッパ本体27に過大な前後荷重が入力された場合においても、ボルト23が破断して軸部21が台車側リンク受け19から脱落し、台車11と車体16とが分離することを確実に防止することができる。
【0023】
前記摺接部28は、左右のレール51,51の内側に沿って設けられた脱線防止ガード52の内側面52aに摺接する上下方向の摺接面28aを両側面に有するとともに、該摺接部28の前部及び後部にそれぞれ突出したガイド部31を有している。このガイド部31は、先端が脱線防止ガード52の内側面52aから次第に離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面28aに連続した横向きのガイド斜面31aを両側面前後部にそれぞれ有している。
【0024】
また、前記台車支持部29は、前記摺接部28の上部両側部分に設けられるもので、前記摺接面28aが脱線防止ガード52の内側面52aに摺接したときに、脱線防止ガード52の上面52bに摺接して台車11の下方への移動を規制する台車支持面29aを有するとともに、該台車支持部29の前部及び後部にそれぞれ突出した下向きガイド部32を有している。この下向きガイド部32は、先端が脱線防止ガード52の上面52bから次第に離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面29aに連続した下向きガイド斜面32aを下面前後部にそれぞれ有している。
【0025】
このように形成されたストッパ25は、ストッパ取付部材26の凸部26dを台車側リンク受け19の凹溝19bに係合させた状態で、リンク20の軸部21と共にボルト23によって台車側リンク受け19に取り付けられ、台車11の車輪15より内側位置から下方に向かって突出した状態となる。
【0026】
一方、軌道側においては、左右のレール51,51の内側に沿って前記脱線防止ガード52が設けられている。この脱線防止ガード52は、スラブ軌道のコンクリート路盤あるいはバラスト軌道の枕木53に取り付けられる固定部材54と、該固定部材54の上部に取り付けられたT字状のガード部材55とで形成されており、ガード部材55の高さはレール51の上面と面一か僅かに高くなるように設定されている。
【0027】
ガード部材55のレール側部分55aは、地震等の揺れで車輪15が浮き上がり、一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越えようとしたときに、他方の車輪15の内側面がレール側部分55aに摺接することにより、該他方の車輪15が軌道内側に脱線することを防止するとともに、一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越えるのを防止し、これによって車両の走行を妨げずにレール51から車輪15が外れることを防止するようにしている。
【0028】
軌道内側に位置する脱線防止ガード52の内側面52aは、大きな揺れで一方の車輪15のフランジ15aがレール51を乗り越え、他方の車輪15が脱線防止ガード52を乗り越えて脱線してしまったときに、この内側面52aに前記摺接部28の摺接面28aが摺接することにより、車両の走行を妨げずに台車11が脱線方向にそれ以上移動することを規制する。また、台車支持部29の台車支持面29aが脱線防止ガード52の上面52bに摺接することにより、車輪15のフランジ15aが枕木53や固定部材54に激しく衝突することを抑制する。さらに、ガイド部31の先端が固定部材54に激しく衝突することを回避する。また、摺接部28の摺接面28aが内側面52aに摺接することでガード部材55には、レール51の方向に倒れようとする力が作用するが、台車支持面29aが上面52bに摺接し、台車支持面29aがガード部材55の内側面52a側を下方に押圧した状態になることにより、ガード部材55がレール方向に倒れることを防止することができる。
【0029】
また、ガイド斜面31aを有するガイド部31や下向きガイド斜面32aを有する下向きガイド部32を設けているので、ガード部材55の継目部分に目違いが生じていた場合でも、ガイド斜面31aや下向きガイド斜面32aによって摺接部28や台車支持部29が継目に衝突することを防止できるので、継目の目違い部分から大きな衝撃を受けることがなくなり、衝撃によってストッパ25が破損することを防止できるとともに、台車や車体などが破損することも防止することができる。
【0030】
さらに、摺接面28aが脱線防止ガード52の内側面52aに摺接することによってストッパ本体27には、水平方向の力や回転力が作用するが、係合凹溝26hと係合凸部27dとが係合し、凹凸係合部26f,27bが互いに係合した状態となっているので、ストッパ取付部材26とストッパ本体27とに位置ズレを生じたりすることがなく、ボルト30に剪断力が作用することもない。同様に、ストッパ25の上部では、凹溝19bと凸部26dとを係合させているので、台車側リンク受け19とストッパ取付部材26との位置ズレを防止することができ、ボルト23に剪断力が作用することがない。これにより、ボルト23,30を破断から保護することができる。
【0031】
また、ストッパ取付部材26にボルト挿通用長孔26eを設けているので、ストッパ本体27の上下位置調整を容易に行うことができ、車輪15の削正によって車輪径が小さくなったときには、ストッパ取付部材26に対するストッパ本体27の取付位置を上方に変更することにより、ストッパ本体27が車両限界Lを超えて下方に突出することがなくなる。
【0032】
したがって、脱線した台車11の横移動が規制されるので、軌道外への脱線や車両の転覆を未然に防止することができ、脱線に起因する二次災害を防止できるとともに、ストッパ25だけでなく、台車11や車体16が衝撃によって損傷することを防止することができる。
【0033】
なお、ガイド斜面31a,32aの寸法、傾斜角度は、ガード部材55の目違いの状態、車両の速度などの条件に応じて適宜設定することができ、傾斜面の一部又は全体を円弧面や球面とすることもできる。また、ストッパ25の大きさ、特に摺接部28の横幅や脱線防止ガード52の内側面52aの位置は、前記特許文献1に記載されているように、複線部分を走行する列車の車体16同士の間隔の1/2程度に設定することが望ましい。さらに、脱線したときに、台車11に設けられている主電動機13などの下面が脱線防止ガード52やレール51の上面に摺接して台車11の下方への移動を規制できる場合は、台車支持部29を省略することができる。
【0034】
図8はストッパの第2形態例を示している。なお、以下の説明において、各形態例に共通する構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本形態例に示すストッパ41は、ストッパ本体42における摺接部28の上部両側に設けられる台車支持部29を、摺接部28から独立した状態で設けている。
【0035】
図9及び図10はストッパの第3形態例を示すもので、本形態例に示すストッパ43は、ストッパ取付部材44の取付腕44aと台車側リンク受け45との対向面に凹凸係合部44b,45aをそれぞれ設け、この凹凸係合部44b,45aを互いに係合させることにより、ボルト23に剪断力が加わることを防止している。
【0036】
図11はストッパの第3形態例を示すもので、本形態例に示すストッパ46は、前記第2形態例と同様に、ストッパ本体42における摺接部28の上部両側に設けられる台車支持部29を独立した状態で設けるとともに、前記第3形態例と同様に、ストッパ取付部材44の台車側リンク受け側の面に凹凸係合部44bをそれぞれ設けている。
【符号の説明】
【0037】
11…台車、12…台車枠、12a…横梁、12b…側梁、13…主電動機、14…輪軸、15…車輪、15a…フランジ、16…車体、16a…台枠、17…けん引装置、18…車体側リンク受け、19…台車側リンク受け、19a…雌ネジ孔、19b…凹溝、20…リンク、21…軸部、21a…ボルト孔、22…ゴムブッシュ、23…ボルト、25…ストッパ、26…ストッパ取付部材、26a…基部、26b…取付腕、26c…ボルト孔、26d…凸部、26e…ボルト挿通用長孔、26f…凹凸係合部、26g…ストッパ本体固定部、26h…係合凹溝、27…ストッパ本体、27a…基部、27b…凹凸係合部、27c…ボルト孔、27d…係合凸部、28…摺接部、28a…摺接面、29…台車支持部、29a…台車支持面、30…ボルト、30a…ナット、31…ガイド部、31a…ガイド斜面、32…下向きガイド部、32a…下向きガイド斜面、51…レール、52…脱線防止ガード、52a…内側面、52b…上面、53…枕木、54…固定部材、55…ガード部材、55a…レール側部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のレール上を走行する車両が脱線したときの台車の横移動を規制するため、前記レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、前記台車の車輪より内側位置から下方に向かって突出し、脱線時に前記脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制するストッパを設けた台車横移動規制装置において、前記ストッパは、前記脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部と、該摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面に連続したガイド斜面を有するガイド部とを備えていることを特徴とする台車横移動規制装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記摺接部の上部両側に、前記摺接面が前記脱線防止ガードの内側面に摺接したときに、前記脱線防止ガードの上面に摺接して台車の下方への移動を規制する台車支持面を有する台車支持部を備えていることを特徴とする請求項1記載の台車横移動規制装置。
【請求項3】
前記台車支持部は、該台車支持部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの上面から離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面に連続した下向きガイド斜面を有する下向きガイド部を備えていることを特徴とする請求項2記載の台車横移動規制装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記摺接部及び前記ガイド部を有するストッパ本体と、該ストッパ本体の上部が上下位置調節可能に取り付けられるストッパ取付部材とで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の台車横移動規制装置。
【請求項5】
前記ストッパ取付部材の上部に、前記台車に設けられたストッパ取付部に取り付けられる台車取付部が設けられ、該台車取付部と前記ストッパ取付部とには、台車取付部をストッパ取付部に取り付けたときに互いに係合する凹凸係合部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の台車横移動規制装置。
【請求項6】
前記凹凸係合部は、前記ストッパ取付部と前記ストッパ取付部材の上部とのいずれか一方の両側面部に設けられた前後方向の凹溝と、いずれか他方の両側部から突出して前記凹溝に係合する凸部とであることを特徴とする請求項5記載の台車横移動規制装置。
【請求項7】
前記ストッパ本体の上部とストッパ取付部材とは、前記ストッパ取付部材の枕木方向のストッパ本体取付面とストッパ本体の上部に設けられた当接面とを面接触させてストッパ本体の上部とストッパ取付部材とを前後に重ねた状態で、ストッパ本体取付面とストッパ本体の当接面とを貫通するボルトにより固定され、前記当接面における前記ボルトの上下方向位置は、脱線時にストッパ本体の下部に加わる前後方向の荷重によってボルトに作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の台車横移動規制装置。
【請求項1】
左右一対のレール上を走行する車両が脱線したときの台車の横移動を規制するため、前記レールの内側に沿って脱線防止ガードを設けるとともに、前記台車の車輪より内側位置から下方に向かって突出し、脱線時に前記脱線防止ガードの内側面に摺接して台車の横移動を規制するストッパを設けた台車横移動規制装置において、前記ストッパは、前記脱線防止ガードの内側面に摺接する摺接面を有する摺接部と、該摺接部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの内側面から離れる方向に傾斜し、基部が前記摺接面に連続したガイド斜面を有するガイド部とを備えていることを特徴とする台車横移動規制装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記摺接部の上部両側に、前記摺接面が前記脱線防止ガードの内側面に摺接したときに、前記脱線防止ガードの上面に摺接して台車の下方への移動を規制する台車支持面を有する台車支持部を備えていることを特徴とする請求項1記載の台車横移動規制装置。
【請求項3】
前記台車支持部は、該台車支持部の前部及び後部にそれぞれ突出して先端が前記脱線防止ガードの上面から離れる方向に傾斜し、基部が前記台車支持面に連続した下向きガイド斜面を有する下向きガイド部を備えていることを特徴とする請求項2記載の台車横移動規制装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記摺接部及び前記ガイド部を有するストッパ本体と、該ストッパ本体の上部が上下位置調節可能に取り付けられるストッパ取付部材とで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の台車横移動規制装置。
【請求項5】
前記ストッパ取付部材の上部に、前記台車に設けられたストッパ取付部に取り付けられる台車取付部が設けられ、該台車取付部と前記ストッパ取付部とには、台車取付部をストッパ取付部に取り付けたときに互いに係合する凹凸係合部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の台車横移動規制装置。
【請求項6】
前記凹凸係合部は、前記ストッパ取付部と前記ストッパ取付部材の上部とのいずれか一方の両側面部に設けられた前後方向の凹溝と、いずれか他方の両側部から突出して前記凹溝に係合する凸部とであることを特徴とする請求項5記載の台車横移動規制装置。
【請求項7】
前記ストッパ本体の上部とストッパ取付部材とは、前記ストッパ取付部材の枕木方向のストッパ本体取付面とストッパ本体の上部に設けられた当接面とを面接触させてストッパ本体の上部とストッパ取付部材とを前後に重ねた状態で、ストッパ本体取付面とストッパ本体の当接面とを貫通するボルトにより固定され、前記当接面における前記ボルトの上下方向位置は、脱線時にストッパ本体の下部に加わる前後方向の荷重によってボルトに作用する引張荷重が、前方向の荷重及び後方向の荷重に対して同じ引張荷重になる位置に設定されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の台車横移動規制装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−260386(P2010−260386A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110619(P2009−110619)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
[ Back to top ]