説明

合成樹脂製加飾容器

【課題】 モアレ模様状の模様を簡単な工程で、かつ低コストで容易に本体と一体感を有しながら単一の成形品である容器本体に形成することを技術的課題とし、よって今までにない独特な加飾効果が付与された合成樹脂製容器を提供することを目的とする。
【解決手段】 合成樹脂製容器において、容器本体の外表面上に第1の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と、第2の規則性を有するパターンを印刷した第2印刷層とを有し、第1印刷層と第2印刷層のパターンによる光の干渉効果により3次元的な視覚効果による加飾を施す。また透明性の容器本体を有し、この容器本体の外表面上の所定部分に第1の規則性を有するパターンを金型加工により形成した凹凸形成部を有し、また、この容器本体の凹凸形成部に対向する外表面上の面に第2の規則性を有するパターンを印刷した印刷層を有し、透明性の容器本体を介し、前記前記凹凸形成部と印刷層のパターンによる光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に3次元的な視覚効果を与える加飾を施した合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の装飾が商品力の大きな部分を占める化粧料用等の容器においては、塗装、印刷等により装飾性を発揮させて高級感出して商品イメージを大きく向上させることが望まれている。たとえば特許文献1には蓋に覆われる部位の収納容器本体の表面に有色インクで大小のドットで模様を印刷し、蓋の外表面に成形あるいは透明なインクで印刷することによって形成された大小の凸のあるドットで模様を形成することによってモアレ模様効果を付加した全体模様を持つことを特徴とする化粧品収納容器ついての記載がある。
【0003】
また、特許文献2には透明性シートの両面に所定のピッチで繰り返された模様等を有するパターン部を形成することにより、シート両面の光学的な干渉によりシート上に3次元模様をつくり出す装飾性シートについての記載がある。
【特許文献1】特開2004−181037号公報
【特許文献2】特開平11−189000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1におけるモアレ模様、あるいは3次元模様(これもモアレ模様の範疇である。)を容器の形状に拠らず自在に外表面に表現することができれば非常に装飾効果の高いものとなるが、容器等の成形品では容器の外表面の所定部分に対向する内表面に模様を形成することは通常の加工法では困難であり、特許文献1のように収納容器本体と蓋の外表面に模様を形成する等、装飾可能な部位が限定されると共に、その装飾効果も限定されたものとなってしまう。また、収納容器本体と蓋といった複数の成形品に模様を形成する必要があるため、コスト高になってしまう。
【0005】
また、特許文献2で記載される3次元効果のある装飾シートをラベルのようにして容器に貼付する方法も考えられるが、外表面の形状によって貼付箇所に制限があり、またラベルは印刷等に比較して容器本体との一体感に劣るため、装飾性として今一歩の感がある。さらにラベルの場合はラベル製造工程とラベル貼着工程とが必要であるため、コスト高になってしまう。
【0006】
そこで本発明はモアレ模様状の模様を簡単な工程で、かつ低コストで容器本体と一体感を有しながら単一の成形品である容器本体に形成することを技術的課題とし、よって今までにない独特な加飾効果が付与された合成樹脂製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決する方法のうち、請求項1記載の発明の手段は、
合成樹脂製容器において、
容器本体の外表面上に第1の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と、第2の規則性を有するパターンを印刷した第2印刷層とを有すること、
第1印刷層と第2印刷層のパターンによる光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾を施すこと、
にある。
【0008】
請求項1記載の上記構成により、容器壁の外表面に、それぞれ所定の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と第2印刷層のパターンによる光の干渉により3次元的な視覚効果が発揮され、容器壁面上にモアレ模様が出現し、今までにない装飾性を有する容器を提供することができる。
【0009】
ここで、所定の規則性を有するパターンとしては、所定のピッチで平行線を並べたもの、正方格子状のもの、パンチメタル状にドットを一定の規則で配置したもの、同心円等様々な形態があり、また、これらの組み合わせによって発生するモアレ模様自体も規則性を有するパターンの一つである。
【0010】
化粧料等に使用する容器では、模様、図案、あるいは文字等を印刷することは一般的であり、請求項1記載の上記構成によれば、第1印刷層および第2印刷層の印刷はスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能である。
【0011】
上記のように、第1印刷層、第2印刷層は通常の印刷方式で容易に形成できるので、よほど複雑な形状をした部分以外のたとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく上記3次元的な視覚効果による装飾性を容易に、低コストで施すことができる。
【0012】
請求項2記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、第1印刷層を所定の厚さのクリアコート層で被覆し、このクリアコート層の上に第2印刷層を有する構成とすること、にある。
【0013】
請求項2載の上記構成により、容器壁の外表面に、それぞれ所定の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と第2印刷層が透明な所定厚さのクリアコート層を挟んで相対向するので、光の干渉により3次元的な視覚効果が発揮され容器壁面上にモアレ模様が出現する。
【0014】
ここで、クリアコート層の厚さはモアレ模様の発現態様に大きく係わるものであり、通常の印刷、塗装では数ミクロンから数十ミクロンであるが必要に応じて複数回重ね塗りして厚く形成することもできる。
【0015】
請求項2記載の上記構成によれば、第1印刷層および第2印刷層の印刷はスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能であり、また、クリアコート層は着色または無着色の透明な層であるが、第1印刷層および第2印刷層の印刷に使用される印刷インキと同系の透明インキを使用し、同様の印刷方式で形成することが可能であり、できるだけ厚く形成するにはスクリーン印刷方式によって形成するのが好ましい。また、クリアコート層はスプレー塗装、浸漬塗装、ロール塗装等の通常の塗装工程で形成することも可能である。
【0016】
第1印刷層および第2印刷層の印刷やクリアコート層に使用するインキや塗料は、紫外線または電子線硬化型、蒸発乾燥型、二液硬化型、酸化重合型等の通常のインキや塗料が使用できるが、紫外線または電子線硬化型のものを使用するのが生産性の面で好ましい。紫外線または電子線硬化型インキや塗料を使用する場合、紫外線または電子線硬化型インキや塗料により印刷、塗装を行い、次いで印刷面、塗装面に紫外線または電子線を照射することによりインキ、塗料を速く硬化させることができる。
【0017】
上記のように、第1印刷層、第2印刷層、およびクリアコート層は通常の印刷あるいは塗装方法で容易に形成できるので、よほど複雑な形状をした部分以外のたとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく上記3次元的な視覚効果による装飾性を容易に、低コストで施すことができる。
【0018】
請求項3記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、
容器本体を透明性とすること、
この容器本体の外表面上の所定部分に第1印刷層を有し、この容器本体の第1印刷層を印刷した部分と対向する外表面上に第2印刷層を有すること、
透明性の容器本体を介した第1印刷層と第2印刷層のパターンによる光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾を施すこと、
にある。
【0019】
請求項3記載の上記構成により、容器壁の外表面に、それぞれ所定の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と第2印刷層が透明な容器を挟んで相対向するので、容器本体を介した光の干渉により3次元的な視覚効果が発揮され容器壁面上にモアレ模様が出現し、容器本体の僅かな角度の変化で上記モアレ模様が大きく変化する。また、この容器本体に透明な内容液を収納することによって、内容液によるプリズム的な効果も相俟って今までにない加飾効果が発揮される。
不透明な内容液を収納する場合においても消費者が内容液を消費する度に、上記モアレ模様が断続的に出現することとなり、趣向性が付加される。
【0020】
なお、請求項3の上記構成にあっては、無色透明および有色透明の容器本体を使用することができ、また容器本体の断面形状は矩形、円形等、対向する面を有する形状であればよく、容器本体の全体形状としては、直方体型、太鼓型等、対向する互いの面が平行であることが好ましいが、円筒型、錐型等であってもよい。
また、第1印刷層および第2印刷層の印刷はスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能である。
【0021】
請求項4記載の発明の手段は、請求項1、2または3記載の発明において、第1印刷層と第2印刷層の少なくとも一方に、規則性を有するパターンに加えて、絵柄、図案、あるいは文字を印刷すること、にある。
【0022】
請求項4記載の上記構成により、モアレ模様を背面に絵柄、図案、あるいは文字等が浮かび上がる、あるいは沈み込むように表すことができ、より独特な装飾、あるいは表示効果を発揮させることができる。
【0023】
請求項5記載の発明の手段は、請求項1、2、3または4記載の発明において、第1印刷層あるいは第2印刷層にクリアコート層を介して、絵柄、図案、あるいは文字等を印刷した第3印刷層を積層して有すること、にある。
【0024】
請求項5記載の上記構成は、絵柄、図案、あるいは文字等を第1印刷層あるいは第2印刷層とは別の第3印刷層に形成するものである。より具体的には、たとえば第2印刷層を第2のクリアコート層(以下、第2クリアコート層と記す。 )で被覆し、この第2クリアコート層上に絵柄、図案、あるいは文字等を印刷した第3印刷層を形成する構成、あるいは容器の壁面に第3印刷層を形成し、この第3印刷層を第2クリアコート層で被覆し、この第2クリアコート層に、第1印刷層を印刷する構成等である。
【0025】
請求項5記載の上記構成によれば、第1印刷層、第2印刷層および第3印刷層の印刷はスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能である。また、クリアコート層および第2クリアコート層は着色または無着色の透明な層であるが、第1印刷層、第2印刷層および第3印刷層の印刷に使用される印刷インキと同系の透明インキを使用し、同様の印刷方式で形成することが可能であり、できるだけ厚く形成するにはスクリーン印刷方式によって形成するのが好ましい。また、クリアコート層および第2クリアコート層はスプレー塗装、浸漬塗装、ロール塗装等の通常の塗装工程で形成することも可能である。
【0026】
そして請求項5記載の上記構成は、請求項4記載の構成同様にモアレ模様を背面に絵柄、図案、あるいは文字等を浮かび上がる、あるいは沈み込むように表すことができるが、絵柄、図案、あるいは文字等を第3印刷層として第2クリアコート層を介して積層しているので、請求項4記載の構成の効果とはまた違った装飾効果が発揮される。さらに絵柄、図案、あるいは文字等を透明色で描くことによりモアレ模様と絵柄、図案、あるいは文字が融合したような効果が得られる。
【0027】
請求項6記載の発明の手段は、
合成樹脂製容器にあって、
透明性の容器本体を有すること、
この容器本体の外表面上の所定部分に第1の規則性を有するパターンを金型加工により形成した凹凸形成部を有すること、
またこの容器本体の凹凸形成部に対向する外表面上に第2の規則性を有するパターンを印刷した印刷層を有すること、
そして透明性の容器本体を介し、前記凹凸形成部と印刷層のパターンによる光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾を施すこと、
にある。
【0028】
請求項6記載の上記構成により、容器壁の外表面に、それぞれ所定の規則性を有するパターンの凹凸形成部と印刷層が透明な容器を挟んで相対向するので、光の干渉により3次元的な視覚効果が発揮され、容器壁面上にモアレ模様が出現し、容器本体の僅かな角度の変化で上記モアレ模様が大きく変化する。また、この容器に透明な内容液を収納することによって、内容液によるプリズム的な効果も相俟って今までにない加飾効果が発揮される。不透明な内容液を収納する場合においても消費者が内容液を消費する度に、上記モアレ模様が断続的に出現することとなり、趣向性が付加される。
【0029】
また、第1の規則性を有するパターンはブロー成形、あるいは射出成形等の容器本体の成形の際同時に形成でき、また第2の規則性を有するパターンはスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能であり、両パターン共、たとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく上記3次元的な視覚効果による装飾性を容易に、低コストで施すことができる。
【0030】
なお、凹凸形成部は、成形金型のキャビティ表面を所定の規則性を有するパターンを形成するように加工したり、ブラスト処理、シボ加工処理等の処理を施したりすることによって得られる。
【0031】
また、請求項6の上記構成にあっては、無色透明および有色透明の容器本体を使用することができ、容器本体の断面形状は矩形、円形等、対向する面を有する形状であればよく、容器本体の全体形状としては、直方体型、太鼓型等、対向する互いの面が平行であることが好ましいが、円筒型、錐型等であってもよい。
【0032】
請求項7記載の発明の手段は、請求項6記載の発明において、凹凸形成部と印刷層の少なくとも一方に、規則性を有するパターンに加えて、絵柄、図案、あるいは文字を、印刷すること、にある。
【0033】
請求項7記載の上記構成により、モアレ模様を背面に絵柄、図案、あるいは文字等を浮かび上がる、あるいは沈み込むように表すことができ、より独特な装飾、あるいは表示効果を発揮させることができる。
【0034】
ここで、請求項4および請求項7において所定の規則性を有するパターンに加えて、絵柄、図案、あるいは文字を印刷することとは、所定の規則性を有するパターンの上に重ねて、絵柄、図案、あるいは文字を印刷してもよいし、所定の規則性を有するパターンを印刷で形成する場合には、予め、絵柄、図案、あるいは文字を印刷してから所定の規則性を有するパターンを印刷してもよいし、所定の規則性を有するパターンと絵柄、図案、あるいは文字を同時に印刷してもよい。
【0035】
なお、本発明における合成樹脂製容器の材質としてはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなどが使用できる。また、合成樹脂製容器は、中空成形、二軸延伸ブロー成形、インジェクション成形、押出成形、サーモフォーミング成形等によって得ることができる。

【発明の効果】
【0036】
本発明は上記した構成であり、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、第1印刷層および第2印刷層は通常の印刷方法で容易に形成できるので、たとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく、容器に3次元的な視覚効果による装飾性を効果的に、容易に、そして低コストで施すことができる。
【0037】
請求項2記載の発明にあっては、クリアコート層の厚さによりモアレ模様の発現態様を変化させることができると共に、このクリアコート層は通常の印刷あるいは塗装方法で容易に形成できるので、印刷層と同様たとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく、容器に3次元的な視覚効果による装飾性を効果的に容易に、そして低コストで施すことができる。
【0038】
請求項3記載の発明にあっては、容器壁の外表面に、それぞれ所定の規則性を有するパターンを印刷した第1印刷層と第2印刷層が透明な容器を挟んで相対向するので、光の干渉により3次元的な視覚効果が発揮され容器壁面上にモアレ模様が出現し、容器本体の僅かな角度の変化で上記モアレ模様が大きく変化する。
また、この容器本体に透明な内容液を収納することによって、内容液によるプリズム的な効果も相俟って今までにない加飾効果が発揮される。不透明な内容液を収納する場合においても消費者が内容液を消費する度に、上記モアレ模様が断続的に出現することとなり、趣向性が付加される。
【0039】
請求項4および請求項5記載の発明にあっては、所定の規則性を有するパターンに加えて、絵柄、図案、あるいは文字を印刷することにより、モアレ模様を背面に絵柄、図案、あるいは文字等を、浮かび上がる、あるいは沈み込む等の効果と共に表すことができる。
【0040】
請求項6記載の発明にあっては、凹凸形成部は容器本体の成形の際同時に形成でき、また印刷層はスクリーン印刷方式やオフセット印刷方式等の通常使用される印刷方式が可能であり、たとえば湾曲状の部分にも容易に容器本体との一体感を確保しながら形成することができ、全体として特別な工程を付加することなく3次元的な視覚効果による装飾性を容易に、低コストで施すことができる。
【0041】
請求項7記載の発明にあっては、所定の規則性を有するパターンに加えて、絵柄、図案、あるいは文字を印刷することにより、モアレ模様を背面に絵柄、図案、あるいは文字等を、浮かび上がる、あるいは沈み込む等の効果と共に表すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図3は本発明の合成樹脂製加飾容器の第1実施例を示すものである。この容器はシャンプー、リンス等の用途に使用されるものであり、容器本体1はPET樹脂製の透明性を有する二軸延伸ブロー成形品で、円筒状の胴部3を有し、口筒部2に内容液を吸引するためのポンプを配設したキャップを螺合して使用する。
【0043】
胴部3には加飾領域4があり、モアレ模様の中に文字S(本実施例では図案化した”ABC”の文字)が浮かんでいるような3次元的な視覚効果が発揮されている。図2はこの加飾領域4を拡大して示したものであり、図3は図1中のA−A線に沿ってこの加飾領域4の断面を部分的に示したものである。
【0044】
図3から判るように、加飾領域4では胴壁3a上に第1印刷層5を形成し、この第1印刷層5を透明な第1クリアコート層8が被覆し、この第1クリアコート層8上に第2印刷層6を形成し、さらにこの第2印刷層6を透明な第2クリアコート層9が被覆し、そしてこの第2クリアコート層9上に第3印刷層7を形成している。
【0045】
この第1印刷層5では波状に湾曲した線分を所定のピッチで規則的に並べたパターンP1が形成され、第2印刷層では同様に波状に湾曲した線分を所定のピッチで規則的に並べたパターンP2が形成されている。パターンP2はパターンP1を左回りに若干回転させたようなパターンであり、この2つのパターンを透明な第1クリアコート層8を挟んで重ねることにより、加飾領域4にモアレ模様が出現する。
【0046】
また本実施例の容器本体1胴部2のように湾曲した部分では、見る角度によって急激に干渉縞が動くので、動的な面白い視覚効果も付与することができる。また本実施例では第3印刷層7で”ABC”なる図案化した文字Sを印刷しているが、このような構成とすることにより模様、図案あるいは文字等が3次元的な視覚効果を有するモアレ模様の中で、見る角度により浮いたような、あるいは沈んだような独特な視覚効果を付与することができる。
【0047】
各印刷層5、6、7及び各クリアコート層8、9はシルク印刷、オフセット印刷、インクジェットによる印刷等従来の印刷方法で容易に形成することができる。また各クリアコート層8、9は塗料をスプレー塗装、浸漬塗装、ロール塗装等の従来の塗装方法により形成することもできる。
【0048】
また、各印刷層5、6、7および各クリアコート層8、9に使用するインキや塗料は、紫外線または電子線硬化型、蒸発乾燥型、二液硬化型、酸化重合型等の通常のインキや塗料が使用できる。また、モアレ模様の出現の態様は第1パターンP1と第2パターンP2を重ねる間隔等によっても大きな影響を受けるが、複数回重ね塗りして第1クリアコート層8を通常の塗膜よりも厚くすることもできる。
【0049】
なお、上記第1実施例では第3印刷層7を追加してモアレ模様のなかに模様、図案あるいは文字等を付加したが、この第3印刷層を追加することなく第1印刷層5あるいは第2印刷層6に規則的なパターンP1、P2と共に上記のような模様、図案あるいは文字等を一緒に印刷することもできるし、第1印刷層5の上または下、あるいは第2印刷層6の上または下に上記のような模様、図案あるいは文字等を印刷することもできる。また容器本体1は必ずしも透明である必要はなく、有色不透明であっても、反射光により上記したような3次元的な装飾効果は発揮される。
【0050】
図4(a)は本発明の合成樹脂製加飾容器の第2実施例の容器本体1を示す斜視図である。この容器本体1は第1実施例同様PET樹脂製の透明二軸延伸ブロー成形品であり、長円筒状の胴部3を有し、化粧水等の用途に使用されるものであり、口筒部にキャップを螺合して使用する。
【0051】
容器本体1の胴部3の前部外表面には、ブロー成形時に金型により第1の規則性を有するパターンP1を有する凹凸形成部11が形成されている。図4(b)はこの部分の胴壁3aの縦断面図であり、一定のピッチで凸部12が並列している。また、凹凸形成部11が形成されている部分に対向する後部外表面部分には第2の規則性を有するパターンP2と共に前部から透明な容器本体を介して見て”ABC”なる図案化した文字Sを印刷した印刷層10が形成されている。
【0052】
凹凸形成部11は波状に湾曲した横条状の凸部12を所定のピッチで規則的に並べたパターンP1が形成され、印刷層10では同様に波状に湾曲した線分を所定のピッチで規則的に並べたパターンP2が形成されている。第1実施例同様、パターンP2はパターンP1を左回りに若干回転させたようなパターンである。
【0053】
これら2つのパターンP1、P2が透明な容器本体1を介して、相対向して位置し、容器の前部からパターンP1及び透明な容器を通してパターンP2及び文字Sを見ることにより、”ABC”なる図案化した文字Sが3次元的な視覚効果を有するモアレ模様の中で浮いたような、あるいは沈んだような独特な視覚効果を容器本体1に付与することができ、容器本体1の僅かな角度の変化で上記モアレ模様が大きく変化する。また充填する内容液が透明な場合はプリズム効果によりさらに独特な装飾効果が発揮され、内容液が不透明な場合においても消費者が内容液を消費する度に、上記モアレ模様が断続的に出現することとなり、趣向性が付加される。
【0054】
なお、上記第2実施例において後部外表面部分の印刷層10の上に印刷層10を隠蔽するベタ印刷を施してもよいし、さらにそのベタ印刷の上に絵柄、図案、あるいは文字等を印刷してもよい。また、パターンP1についてもパターンP2同様、印刷層10で形成することができ、凹凸形成部11とは異なる装飾効果が発揮される。
【0055】
以上第1実施例および第2実施例で本発明の実施の形態を説明したが、本発明の作用効果はこれら実施例に限定されるものでない。規則的なパターンの組み合わせは様々な組み合わせがあり、さらに配色方法も組み合わせて様々な視覚効果を出現させることができる。また使用する合成樹脂はPET樹脂の他に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなど特に限定することなく従来より使用されている樹脂から適宜選択することができ、また、合成樹脂製容器は二軸延伸ブロー成形の他にも中空成形、インジェクション成形、押出成形、サーモフォーミング成形等によって得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように本発明の合成樹脂製加飾容器は今までにない3次元的な視覚効果が、合成樹脂製容器の成形及び従来の印刷あるいは塗装工程により付与されたものであり、外観により差別化された容器を低コストで提供することができ、化粧料等の分野に限らず様々な分野でのより幅広い用途展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の合成樹脂製加飾容器の第1実施例を示す正面図である。
【図2】図1中の加飾部を拡大して示す正面図である。
【図3】図1中のA−A線に沿って加飾領域を部分的に示す断面図である。
【図4】(a)は本発明の合成樹脂製加飾容器の第2実施例の斜視図であり、(b)は容器本体の前部胴壁の凸形成部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ;容器本体
2 ;口筒部
3 ;胴部
3a;胴壁
4 ;加飾領域
5 ;第1印刷層
6 ;第2印刷層
7 ;第3印刷層
8 ;第1クリアコート層
9 ;第2クリアコート層
10;印刷層
11;凹凸形成部
12;凸部
P1、P2;パターン
S ;文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)の外表面上に第1の規則性を有するパターン(P1)を印刷した第1印刷層(5)と、第2の規則性を有するパターン(P2)を印刷した第2印刷層(6)を有し、前記第1印刷層(5)と第2印刷層(6)のパターン(P1、P2)による光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾が施された合成樹脂製加飾容器。
【請求項2】
第1印刷層(5)を所定の厚さのクリアコート層(8)で被覆し、該クリアコート層(8)の上に第2印刷層(6)を有する構成とした請求項1記載の合成樹脂製加飾容器。
【請求項3】
容器本体(1)を透明性とし、該容器本体(1)の外表面上の所定部分に第1印刷層(5)を有し、該容器本体(1)の第1印刷層(5)を印刷した部分と対向する外表面上に第2印刷層(6)を有し、前記透明性の容器本体(1)を介した前記第1印刷層(5)と第2印刷層(6)のパターン(P1、P2)による光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾が施された請求項1記載の合成樹脂製加飾容器。
【請求項4】
第1印刷層(5)と第2印刷層(6)の少なくとも一方に、規則性を有するパターン(P1、P2)に加えて、絵柄、図案、あるいは文字等を印刷したことを特徴とする請求項1、2または3記載の合成樹脂製加飾容器。
【請求項5】
第1印刷層(5)あるいは第2印刷層(6)に第2のクリアコート層(9)を介して、絵柄、図案、あるいは文字等を印刷した第3印刷層(7)を積層して有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の合成樹脂製加飾容器。
【請求項6】
透明性の容器本体(1)を有し、該容器本体(1)の外表面上の所定部分に第1の規則性を有するパターン(P1)を金型加工により形成した凹凸形成部(11)を有し、該容器本体(1)の凹凸形成部(11)に対向する外表面上に第2の規則性を有するパターン(P2)を印刷した印刷層(10)とを有し、透明性の容器本体(1)を介し、前記凹凸形成部(11)と印刷層(10)のパターン(P1、P2)による光の干渉効果により、3次元的な視覚効果による加飾が施された合成樹脂製加飾容器。
【請求項7】
凹凸形成部(11)と印刷層(10) の少なくとも一方に、規則性を有するパターン(P1、P2)に加えて、絵柄、図案、あるいは文字等を、印刷したことを特徴とする請求項6記載の合成樹脂製加飾容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−43920(P2006−43920A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224688(P2004−224688)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】