説明

合成皮革用二液硬化型水系接着剤

【課題】耐オレイン酸性に優れるとともに、粘度変化が少なく、ポットライフが比較的長く、さらには、二液の相溶性が良好である合成皮革用二液硬化型水系接着剤を提供すること。
【解決手段】水性ポリウレタン樹脂を含む主剤と、ビウレット結合を有するか、または、トリメチロールプロパンにより変性されているポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含む合成皮革用二液硬化型水系接着剤を調製する。この合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、耐オレイン酸性に優れるとともに、粘度変化が少なく、ポットライフが比較的長く、さらには、二液の相溶性が良好である。そのため、この合成皮革用二液硬化型水系接着剤によれば、耐オレイン酸性に優れる合成皮革を、作業性良く製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成皮革用二液硬化型水系接着剤に関し、詳しくは、合成皮革の製造に用いられる二液硬化型水系接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮革製品に使用される皮革材料として、繊維基材などの基布層と、ポリウレタン樹脂などの表皮層とを接着剤で貼り合わせることにより得られる合成皮革が、よく知られている。
このような合成皮革の製造に使用される接着剤としては、ポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネートを含む硬化剤とを組み合わせて使用する、いわゆる二液タイプのウレタン接着剤が、優れた接着性能を有することから、広く使用されている。
【0003】
このような二液タイプのウレタン接着剤としては、例えば、活性水素基を含有するポリウレタン樹脂、イソシアヌレート環を含有するポリイソシアネートを含む有機ポリイソシアネート、および、触媒からなる合成皮革用接着剤組成物が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−81275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の合成皮革用接着剤組成物を、例えば、人の肌と接触する皮革製品に用いると、人体から分泌される汗の成分であるオレイン酸により、合成皮革用接着剤組成物が膨潤するなどして、接着強度が低下する場合がある。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたもので、その目的とするところは、耐オレイン酸性に優れるとともに、粘度変化が少なく、ポットライフが比較的長く、さらには、二液の相溶性が良好である合成皮革用二液硬化型水系接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、水性ポリウレタン樹脂を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含み、前記ポリイソシアネート化合物が、ビウレット結合を有するか、または、トリメチロールプロパンにより変性されていることを特徴としている。
また、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤では、前記ポリイソシアネート化合物が、親水基によって変性されていないことが好適である。
【0007】
また、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤では、前記水性ポリウレタン樹脂が、活性水素化合物成分と、ポリイソシアネート成分との反応により得られ、前記活性水素化合物成分が、高分子量ポリオールを含み、前記高分子量ポリオールが、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを含有することが好適である。
また、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤では、前記高分子量ポリオールが、原料成分として2価アルコールを含み、前記2価アルコールが、炭素数が4以下の2価アルコールを50モル%以上含有することが好適である。
【0008】
また、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤では、前記ポリイソシアネート成分が、水添キシリレンジイソシアネートまたは水添ジフェニルメタンジイソシアネートであることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、耐オレイン酸性に優れるとともに、粘度変化が少なく、ポットライフが比較的長く、さらには、二液の相溶性が良好である。
そのため、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤によれば、耐オレイン酸性に優れる合成皮革を、作業性良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、主剤と硬化剤とを含んでいる。
本発明において、主剤は、水性ポリウレタン樹脂を含んでいる。
水性ポリウレタン樹脂は、活性水素化合物成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させることによって、得ることができ、イソシアネート基と反応する活性水素基を含有するため、硬化剤(後述)と反応することができる。
【0011】
本発明において、活性水素化合物成分としては、例えば、ポリオール(水酸基を2つ以上有する化合物)、ポリアミン(アミノ基を2つ以上有する化合物)、アルカノールモノアミンなどが挙げられる。
本発明において、ポリオールとしては、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
【0012】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
【0013】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレンオキサイド、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールまたは芳香族/脂肪族ポリアミン(後述)を開始剤とする、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む。)が挙げられる。
【0015】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
【0016】
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0017】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0018】
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0020】
また、ポリウレタンポリオールは、上記により得られたポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを、イソシアネート基(NCO)に対する水酸基(OH)の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
【0021】
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などのヒドロキシル基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオール、または、ひまし油脂肪酸とポリプロピレンポリオールとの反応により得られるエステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0022】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレートと、ヒドロキシル基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
【0023】
ヒドロキシル基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0024】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
【0025】
そして、アクリルポリオールは、これらヒドロキシル基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
【0026】
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
【0027】
ビニルモノマー変性ポリオールは、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマーとの反応により得ることができる。
また、ビニルモノマーとしては、例えば、上記したアルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニルまたはシアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物など)の存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを含有する。
【0029】
高分子量ポリオールが、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを含有すると、耐熱性、耐光性および耐オレイン酸性、とりわけ、耐オレイン酸性が良好となる。
また、高分子量ポリオールとして、好ましくは、原料成分として2価アルコールを含む高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールが、炭素数が4以下の2価アルコールを含有する高分子量ポリオールが挙げられる。
【0030】
このような高分子量ポリオールは、上記した高分子量ポリオールの合成において、低分子量ポリオールとして2価アルコールを配合する場合において、その2価アルコールを炭素数4以下の2価アルコールから選択することにより、得ることができる。
これによって高分子量ポリオールには、通常、炭素数4以下の2価アルコールに基づく繰り返し単位が導入される。
【0031】
より具体的には、このような高分子量ポリオールとしては、例えば、原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールの炭素数が4以下であるポリエステルポリオール、原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールの炭素数が4以下であるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールの炭素数が4以下であるポリエステルポリオールとしては、例えば、炭素数4以下の2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールから選択される2価アルコール)と上記した多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
【0032】
より具体的には、このようなポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコールとアジピン酸とを、公知の条件下、反応させて得られるエチレンアジペート、例えば、1,3−プロパンジオールとアジピン酸とを、公知の条件下、反応させて得られるプロピレンアジペート、例えば、1,4−ブチレングリコールとアジピン酸とを、公知の条件下、反応させて得られるブチレンアジペート、エチレングリコールおよび1,4−ブチレングリコールと、アジピン酸とを、公知の条件下、反応させて得られるエチレンブチレンアジペートなどのアジペート系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0033】
原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールの炭素数が4以下であるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭素数4以下の2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールから選択される2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、炭素数4以下の2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0034】
より具体的には、このようなポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物、1,3−プロパンジオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物、1,4−ブチレングリコールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物などが挙げられる。
また、このようなポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記したエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコールなどを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコールなどのいずれかとを共重合することもできる。
【0035】
また、エチレンカーボネートの開環重合においては、開始剤として、上記したエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールから選択される2価アルコールを、2種類以上混合して用いることもできる。
高分子量ポリオールが、これら原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールが、炭素数が4以下の2価アルコールを含有する場合において、炭素数が4以下の2価アルコールの含有割合(モル比)は、2価アルコールの総モルに対して、例えば、50モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、100モル%である。
【0036】
高分子量ポリオールが、原料成分として2価アルコールを含み、その2価アルコールが、炭素数が4以下の2価アルコールを50モル%以上含有する高分子量ポリオールであれば、耐オレイン酸性が良好となる。
ポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アルコール含有ポリアミンなどが挙げられる。
【0037】
芳香族ポリアミンとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物などが挙げられる。
脂環族ポリアミンとしては、例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびそれらの混合物などが挙げられる。
【0038】
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン(水和物を含む。)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
【0039】
アルコール含有ポリアミンとしては、例えば、N−(β−アミノエチル)エタノールアミンなどのアルコール含有ジアミンが挙げられる。
これらポリアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリアミンとして、好ましくは、アルコール含有ポリアミン、より好ましくは、アルコール含有ジアミンが挙げられる。
【0040】
アルカノールモノアミンとしては、例えば、アルカノール1級モノアミン、ジアルカノール2級モノアミンなどが挙げられる。
アルカノール1級モノアミンとしては、例えば、メタノール(モノ)アミン、エタノール(モノ)アミン、プロパノール(モノ)アミン、イソプロパノール(モノ)アミン、ブタノール(モノ)アミン、イソブタノール(モノ)アミン、sec−ブタノール(モノ)アミン、tert−ブタノール(モノ)アミンなどが挙げられる。
【0041】
ジアルカノール2級モノアミンとしては、例えば、ジメタノール(モノ)アミン、ジエタノール(モノ)アミン、ジプロパノール(モノ)アミン、ジイソプロパノール(モノ)アミン、ジブタノール(モノ)アミン、ジイソブタノール(モノ)アミン、ジsec−ブタノール(モノ)アミン、ジtert−ブタノール(モノ)アミンなどが挙げられる。
これらアルカノールモノアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0042】
アルカノールモノアミンとして、好ましくは、ジアルカノール2級モノアミンが挙げられる。
また、水性ポリウレタン樹脂の分子量を調整する場合には、活性水素化合物成分として、モノオールおよび/またはモノアミン(上記したアルカノールモノアミンを除く。)を併用することができる。
【0043】
モノオールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、その他のアルカノール(C5〜38)および脂肪族不飽和アルコール(9〜24)、アルケニルアルコール、2−プロペン−1−オール、アルカジエノール(C6〜8)、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールなどが挙げられる。
【0044】
モノアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン)、3−(ドデシルオキシ)プロピルアミン、モルホリンなどが挙げられる。
【0045】
また、本発明において、活性水素化合物成分は、好ましくは、内部乳化剤として、親水基を含有する活性水素化合物(以下、親水基含有活性水素化合物とする。)を含んでいる。
親水基含有活性水素化合物は、少なくとも1つの親水基と、1つ以上の活性水素基とを併有する化合物、好ましくは、少なくとも1つの親水基と、2つ以上の活性水素基とを併有する化合物であって、親水基としては、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられる。活性水素基としては、イソシアネート基と反応する基であって、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。親水基含有活性水素化合物として、より具体的には、カルボン酸基含有活性水素化合物、スルホン酸基含有活性水素化合物、親水基含有多塩基酸、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物などが挙げられる。
【0046】
カルボン酸基含有活性水素化合物としては、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸、または、それらの金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)が挙げられる。
【0047】
スルホン酸基含有活性水素化合物としては、例えば、エポキシ基含有化合物と酸性亜硫酸塩との合成反応から得られる、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸が挙げられる。また、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、ジアミノブタンスルホン酸、ジアミノプロパンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,4−ジアミノ−5−トルエンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、または、それらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。
【0048】
親水基含有多塩基酸としては、例えば、スルホン酸を含有する多塩基酸、より具体的には、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(p−スルホフェノキシ)イソフタル酸、5−(スルホプロポキシ)イソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホプロピルマロン酸、スルホコハク酸、2−スルホ安息香酸、2,3−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸、および、それらカルボン酸のアルキルエステル、さらには、それらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。好ましくは、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が挙げられる。
【0049】
ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物は、主鎖または側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物や、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールであって、ノニオン性内部乳化剤として配合される。
主鎖または側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、数平均分子量200〜6000、好ましくは、300〜3000)、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールが挙げられる。
【0050】
ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールは、側鎖にポリオキシエチレン基を含み、2つ以上の活性水素基を有する化合物であって、次のように合成することができる。
すなわち、まず、ポリイソシアネート(後述)と片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール(例えば、炭素数1〜20のアルキル基で片末端封止したアルコキシエチレングリコールであって、数平均分子量200〜6000、好ましくは、300〜3000)とを、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールの水酸基に対して、ポリイソシアネート(後述)のイソシアネート基が過剰となる割合でウレタン化反応させ、必要により未反応のポリイソシアネート(後述)を除去することにより、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得る。
【0051】
次いで、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートと、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミンなど)とを、ジアルカノールアミンの2級アミノ基に対して、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートのイソシアネート基がほぼ等量となる割合でウレア化反応させる。
ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールを得るためのポリイソシアネート(後述)として、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ポリイソシアネート(後述)が挙げられる。
【0052】
片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール(例えば、炭素数1〜20のアルキル基で片末端封止したアルコキシエチレングリコールであって、数平均分子量200〜6000、好ましくは、300〜3000)としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、イソプロポキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコール、イソブトキシポリエチレングリコール、s−ブトキシポリエチレングリコール、t−ブトキシポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0053】
ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物(固形分)に対する、ポリオキシエチレン基の含量は、例えば、50質量%以上、好ましくは、60〜90質量%であり、また、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物の数平均分子量は、例えば、300〜6000、好ましくは、600〜3000、さらに好ましくは、800〜2500である。
なお、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物が配合される場合には、ポリオキシエチレン基は、水性ポリウレタン樹脂(固形分)に対する含量が、例えば、0.9〜30質量%、好ましくは、2〜20質量%、さらに好ましくは、2〜15質量%である。
【0054】
なお、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物、水性ポリウレタン樹脂またはイソシアネート基末端プレポリマー(後述)中のポリオキシエチレン基の含量(濃度)は、例えば、内部標準物質を用いたNMR法などにより測定することができる。
これら親水基含有活性水素化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物が挙げられる。
【0055】
これら活性水素化合物成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
水性ポリウレタン樹脂の製造における活性水素化合物成分として、好ましくは、ポリオール、ポリアミン、アルカノールモノアミンおよび親水基含有活性水素化合物の併用が挙げられ、より好ましくは、高分子量ポリオール、アルコール含有ジアミン、ジアルカノール2級モノアミンおよびポリオキシエチレン基含有活性水素化合物の併用が挙げられる。
【0056】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0057】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0058】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート:IPDI)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添キシリレンジイソシアネート、HXDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(水添ジフェニルメタンジイソシアネート、H12MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0059】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
また、ポリイソシアネート成分としては、上記したポリイソシアネートの誘導体、より具体的には、上記したポリイソシアネートの多量体(例えば、二量体、三量体、五量体、七量体など)、ビウレット変性体(例えば、ポリイソシアネートと、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体(後述)など)、アロファネート変性体(例えば、ポリイソシアネートと、アルコール類との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ポリイソシアネートと上記低分子量ポリオールまたは上記高分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(例えば、トリメチロールプロパン変性体(後述)など)など)、ウレア変性体(例えば、ポリイソシアネートとジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン(例えば、ポリイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(ポリイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)などが挙げられる。
【0061】
これらポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
水性ポリウレタン樹脂の製造におけるポリイソシアネート成分として、好ましくは、脂環族ポリイソシアネート、より好ましくは、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)が挙げられる。
ポリイソシアネート成分が、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)であると、耐オレイン酸性が良好となる。
【0062】
そして、水性ポリウレタン樹脂は、活性水素化合物成分とイソシアネート成分とを、例えば、ワンショット法およびプレポリマー法などの公知の方法により反応させることによって、得ることができる。
ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と活性水素化合物成分(好ましくは、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物)とを、活性水素化合物成分中の活性水素基(水酸基、アミノ基)に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1未満となるように処方(混合)し、必要により、後述するように、ウレタン化触媒の存在下において、例えば、バルク重合、溶液重合などの公知の重合方法により重合反応させて、遊離(未反応)の活性水素基を含有する水性ポリウレタン樹脂を合成する。
【0063】
また、プレポリマー法では、例えば、まず、イソシアネート成分と、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物とを、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、ポリアミンおよびアルカノールモノアミンとを、ポリアミンおよびアルカノールモノアミン中の活性水素基(水酸基およびアミノ基の総量)に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1未満となる割合で反応させて、鎖伸長反応させるとともに、分子中に活性水素基を導入する。
【0064】
より具体的には、イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物とを、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物中の活性水素基(総量)に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1.01〜20、好ましくは、1.1〜10、さらに好ましくは、1.2〜6となるように処方(混合)する。イソシアネート基の当量比が、この範囲にあれば、水性ポリウレタン樹脂の分散安定性を向上させることができる。
【0065】
バルク重合を採用する場合には、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分を撹拌しつつ、これに、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物を加えて、例えば、50〜130℃、好ましくは、50〜100℃において、例えば、1〜15時間、好ましくは、3〜12時間反応させる。
溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下において、有機溶媒に、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールおよび親水基含有活性水素化合物とを加えて、例えば、50〜130℃、好ましくは、50〜80℃において、例えば、3〜15時間、好ましくは、5〜12時間反応させる。
【0066】
有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で、かつ、親水性に富む溶媒である、例えば、アセトン(AC)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
【0067】
さらに、上記重合反応においては、必要に応じて、例えば、アミン触媒や有機金属触媒などの公知のウレタン化触媒を添加してもよく、また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーから遊離の(未反応の)ポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。
アミン触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
【0068】
有機金属触媒としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
【0069】
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、上記重合反応においては、親水基含有活性水素化合物を、高分子量ポリオールの分子鎖中に含有させれば、その高分子量ポリオールと上記ポリイソシアネート成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得ることができる。
【0070】
例えば、上記したポリエステルポリオールの合成において、低分子量ポリオールとして、上記した親水基含有活性水素化合物を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることができる。
また、例えば、上記したポリエステルポリオールの合成において、多塩基酸として、親水基含有多塩基酸を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることもできる。
【0071】
また、例えば、開環重合により得られるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシポリオールの合成において、開始剤または共重合成分として、上記した親水基含有活性水素化合物を配合することにより、高分子量ポリオールの分子鎖中に、親水基含有活性水素化合物を含有させることもできる。
そして、得られるイソシアネート基末端プレポリマーにおいて、親水基として、アニオン性基またはカチオン性基が含まれている場合には、好ましくは、中和剤を添加して、アニオン性基またはカチオン性基の塩を形成させる。
【0072】
例えば、アニオン性基が含まれている場合には、中和剤としては、慣用の塩基、例えば、有機塩基[例えば、第3級アミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−4アルキルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの複素環式アミンなど)]、無機塩基[アンモニア、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)]が挙げられる。これらの塩基は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0073】
中和剤は、アニオン性基1当量あたり、0.4〜1.2当量、好ましくは、0.6〜1当量の割合で添加する。
このようにして得られるイソシアネート基末端プレポリマーは、その分子末端に、2つ以上の遊離のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、そのイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量、NCO%)が、例えば、0.3〜10質量%、好ましくは、0.5〜6質量%、さらに好ましくは、1.0〜5.0質量%である。また、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば、1.5〜3.0、好ましくは、1.9〜2.5である。また、その数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)が、例えば、1000〜30000、好ましくは、1500〜20000である。
【0074】
水性ポリウレタン樹脂を製造するには、次いで、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、ポリアミンおよびアルカノールモノアミンとを、ポリアミンおよびアルカノールモノアミン中の活性水素基(水酸基およびアミノ基の総量)に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、例えば、1未満となる割合で(すなわち、活性水素基がイソシアネート基に対して過剰となる割合で)、水中で反応させる。これによって、イソシアネート基末端プレポリマーが鎖伸長されるとともに、分子中に活性水素基が導入された水性ポリウレタン樹脂を、水分散液(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)として得ることができる。
【0075】
イソシアネート基末端プレポリマーとポリアミンおよびアルカノールモノアミンとを水中で反応させるには、例えば、まず、イソシアネート基末端プレポリマーを水に分散させ、次いで、これにポリアミンおよびアルカノールモノアミンを添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長する。
イソシアネート基末端プレポリマーを水に分散させるには、攪拌下、イソシアネート基末端プレポリマーに水を徐々に添加してもよく、また、水にイソシアネート基末端プレポリマーを徐々に添加してもよい。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーを水に分散させることができる。水の配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、好ましくは、60〜1000質量部である。
【0076】
そして、水中に分散したイソシアネート基末端プレポリマーにポリアミンおよびアルカノールモノアミンを、攪拌下、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基に対する、ポリアミンおよびアルカノールモノアミン中の活性水素基(総量)の当量比(活性水素基/NCO)が、例えば、1以上となるように、添加する。
好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基と、ポリアミンおよびアルカノールモノアミン中のアミノ基(総量)とが、ほぼ等量となるように、添加する。これにより、水性ポリウレタン樹脂の分子中に水酸基が導入される。
【0077】
また、ポリアミンおよびアルカノールモノアミンは、水溶液として配合することもできる。水溶液中のポリアミンおよびアルカノールモノアミンの濃度は、例えば、1〜50質量%、好ましくは、5〜20質量%である。また、ポリアミンおよびアルカノールモノアミンは、好ましくは、40℃以下の温度で添加し、添加終了後は、さらに撹拌しつつ、例えば、常温にて反応を完結させる。
【0078】
なお、イソシアネート基末端プレポリマーが溶液重合により得られている場合には、イソシアネート基末端プレポリマーの反応終了後に、有機溶媒を、例えば、減圧下において、適宜の温度で加熱することにより除去する。
なお、活性水素化合物成分として、親水基含有活性水素化合物を使用しない場合、すなわち、水性ポリウレタン樹脂として製造において、ポリウレタン樹脂を内部乳化させない場合には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン型界面活性剤などの外部乳化剤を用いて、外部乳化(転相乳化、強制乳化)することにより、外部乳化型の水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)を得ることができる。
【0079】
このようにして得られる水性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂の水系ディスパージョン)は、その固形分が、例えば、20〜60質量%、好ましくは、30〜50質量%となるように調製される。
また、この水性ポリウレタン樹脂は、その活性水素基濃度(固形分1gに対する活性水素基の含有量(モル数))が、例えば、0.1〜1mmol/g、好ましくは、0.2〜0.7mmol/gである。
【0080】
また、この水性ポリウレタン樹脂は、その重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による重量平均分子量)が、例えば、2000〜200000、好ましくは、5000〜80000である。
また、活性水素化合物成分として、ポリオキシエチレン基含有活性水素化合物が配合される場合には、ポリオキシエチレン基は、水性ポリウレタン樹脂(固形分)に対する含量が、上記の通り、例えば、0.9〜30質量%、好ましくは、2〜20質量%、さらに好ましくは、2〜15質量%である。
【0081】
本発明において、硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を含んでいる。
本発明において、ポリイソシアネート化合物は、ビウレット結合を有するか、または、トリメチロールプロパンにより変性されている。
ビウレット結合を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、上記したポリイソシアネート成分におけるポリイソシアネートと同様のポリイソシアネート(例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなど)のビウレット変性体(以下、単にビウレット変性体と称する場合がある。)などが挙げられる。
【0082】
ビウレット変性体は、例えば、上記ポリイソシアネートを、必要により金属系などのビウレット化触媒を用いて、水とともに反応させ、次いで、これを蒸留などして未反応のポリイソシアネートを除去することによって得ることができる。
このようなビウレット変性体のイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量、NCO%、固形分換算)は、例えば、14〜25質量%、好ましくは、23.3〜23.5質量%である。
【0083】
このようなビウレット変性体としては、例えば、市販されているものを用いてもよく、そのようなものとして、例えば、タケネートD−165N(三井化学ポリウレタン社製)、スミジュールN−3200(住友バイエルウレタン社製)、デュラネート24A(旭化成工業社製)などのへキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体などが挙げられる。
【0084】
トリメチロールプロパンにより変性されているポリイソシアネート化合物としては、例えば、上記したポリイソシアネート成分におけるポリイソシアネートと同様のポリイソシアネート(例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなど)のトリメチロールプロパン変性体(以下、単にトリメチロールプロパン変性体と称する場合がある。)などが挙げられる。
【0085】
トリメチロールプロパン変性体は、例えば、上記したポリイソシアネートと、トリメチロールプロパンとを、トリメチロールプロパンの活性水素基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、1を超える割合において、ウレタン化反応させ、次いで、これを蒸留などして未反応のポリイソシアネートを除去することによって得ることができる。
【0086】
より具体的には、トリメチロールプロパン変性体は、トリメチロールプロパン中の3つの水酸基のそれぞれと、ポリイソシアネート中におけるイソシアネート基の1つとがウレタン化反応することにより、トリメチロールプロパン1分子に対して、3分子のポリイソシアネートが付加した付加体(ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)として得られる。
【0087】
このようなトリメチロールプロパン変性体のイソシアネート基の含有量(イソシアネート基含量、NCO%、固形分換算)は、例えば、10〜20質量%、好ましくは、16.7〜16.8質量%である。
このようなトリメチロールプロパン変性体としては、例えば、市販されているものを用いても良く、そのようなものとして、例えば、タケネートD−160N(三井化学ポリウレタン社製)などのヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などが挙げられる。
【0088】
また、ポリイソシアネート化合物は、親水基によって変性されることもできる。
親水基によって変性されたポリイソシアネート化合物(以下、親水基変性ポリイソシアネート化合物という。)は、例えば、上記したポリイソシアネート化合物と、ポリエチレンオキサイドユニットおよびイソシアネート基と反応し得る活性水素基を併有するポリオキシエチレン含有化合物とを反応させることにより、得ることができる。
【0089】
ポリオキシエチレン含有化合物としては、特に制限されないが、例えば、活性水素基を含有するポリエチレングリコールの誘導体、活性水素基を含有するノニオン性乳化剤などが挙げられる。
活性水素基を含有するポリエチレングリコールの誘導体としては、例えば、ポリエチレングリコールモノメトキシエーテル(メトキシポリエチレングリコール)、ポリエチレングリコールモノエトキシエーテル、ポリエチレングリコールモノプロポキシエーテルなどのモノアルコキシエーテル、例えば、ポリエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレングリコールモノプロピオン酸エステルなどのモノアルコキシエステルなどが挙げられる。
【0090】
活性水素基を含有するノニオン性乳化剤としては、水酸基、メルカプト基などの活性水素基を含有し、ポリオキシエチレンユニットを有するポリオキシアルキレン系乳化剤が挙げられる。
これらポリオキシエチレン含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0091】
そして、親水基変性ポリイソシアネート化合物を得るには、ポリイソシアネート化合物とポリオキシエチレン含有化合物とを、ポリオキシエチレン含有化合物の活性水素基に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、1を超える割合において、窒素雰囲気下、反応温度が、例えば、10〜150℃、好ましくは、50〜100℃で、所定のイソシアネート基含量に到達するまで反応させる。
【0092】
これによって、イソシアネート基を分子末端に有し、ポリエチレンオキサイドユニットが導入されることにより、親水性が付与されたイソシアネート化合物(親水基変性ポリイソシアネート化合物)を、水分散性ポリイソシアネートとして得ることができる。
親水基変性ポリイソシアネート化合物中のポリオキシエチレン含有化合物の含有割合は、例えば、0.1〜50質量%、好ましくは、1〜30質量%である。
【0093】
これらポリイソシアネート化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリイソシアネート化合物として、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートのビウレット変性体、脂肪族ポリイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体が挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、上記した親水基変性ポリイソシアネート化合物も挙げられるが、好ましくは、親水基によって変性されていないポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0094】
ポリイソシアネート化合物が、親水基によって変性されていない場合には、ポットライフが長く、さらには、主剤と硬化剤の配合液の粘度変化が少なく、作業性が良好となる。
そのため、ポリイソシアネート化合物として、より好ましくは、親水基によって変性されていない脂肪族ポリイソシアネートのビウレット変性体、親水基によって変性されていない脂肪族ポリイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体が挙げられる。
【0095】
そして、ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート当量(アミン当量)から算出されるイソシアネート基含有量(NCO%)が、例えば、16〜24質量%である。
また、ポリイソシアネート化合物は、必要により、溶剤に溶解または分散され、溶液または分散液として調製される。
溶剤としては、例えば、上記した有機溶媒などが挙げられ、好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
【0096】
ポリイソシアネート化合物が、溶液および分散液として調製される場合には、その濃度は、例えば、10〜90質量%、好ましくは、30〜70量%である。
また、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤では、必要に応じて、主剤および硬化剤のいずれか一方またはその両方に、必要に応じて、例えば、リンの酸素酸またはその誘導体やシランカップリング剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤などの添加剤を適宜配合することができる。添加剤の配合量は、その目的および用途により適宜決定される。
【0097】
そして、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、使用時において、主剤と硬化剤とを配合して接着剤を調製し、それを被着体に塗布する。
主剤および硬化剤の配合割合は、例えば、主剤の活性水素基(主剤に含まれる水性ポリウレタン樹脂の活性水素基)に対する硬化剤のイソシアネート基(硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物のイソシアネート基)の当量比(NCO/活性水素基)として、例えば、0.1〜20、好ましくは、1〜5となる割合である。
【0098】
そして、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、例えば、基材層と表皮層とを貼り合わせ、合成皮革を作製するための接着剤として用いられる。
なお、合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、基材層または表皮層に対して、特に制限されず、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコーター、フローコーターなどの任意の塗装方法により、塗装することができる。
【0099】
また、基材層としては、特に制限されず、例えば、綿、麻、羊毛、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アラミド、炭素系などの繊維基材、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂などの樹脂基材、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー(加硫ゴム)などのフィルムまたはシートなどのゴム基材、木材などが挙げられる。
【0100】
また、表皮層としては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
このようにして得られた合成皮革は、例えば、いす、ソファ、オットマン、ベッド、机、テーブル、クッションなどの家具、例えば、手帳、アルバム、バッグ、などの文具、例えば、壁装飾材、天井装飾材、床装飾材などの建材、例えば、カメラ本体の一部、ハウジングの表皮材、マウスパッドなどの家電製品、例えば、ホース、パッキン、シートなどの工業製品、例えば、インストゥルメントパネル表皮、ドア表皮、天井表皮、コンソールボックス表皮、座席表皮、ヘッドレスト表皮、アームレスト表皮、レッグレスト表皮、ピラートリム表皮、サンバイザー表皮、トランクルームトリム表皮、トノカバー表皮、グローブボックス表皮、ステアリングホイール表皮、エアバッグカバー表皮、チェンジレバーノブ表皮、チェンジレバーブーツ、パーキングレバーノブ表皮、各種グリップなどの自動車部品、靴、手袋、衣服、おもちゃ、人形、時計バンドなどに用いることができる。
【0101】
そして、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤は、耐オレイン酸性に優れるとともに、粘度変化が少なく、ポットライフが比較的長く、さらには、二液の相溶性が良好である。
そのため、本発明の合成皮革用二液硬化型水系接着剤によれば、耐オレイン酸性に優れる合成皮革を、作業性良く製造することができる。
【実施例】
【0102】
以下に、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
<主剤>
合成例1(ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールの合成)
温度計、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた反応器中で、窒素ガスを導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(タケネートT−700、三井化学ポリウレタン社製)627.1部、50℃に加温した数平均分子量1000のメトキシポリエチレングリコール(MPEG−1000、東邦化学社製)372.9部を仕込み、80℃で6時間反応させた。所定のイソシアネート基含有量に到達した後、スミス式薄膜蒸留器にて未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを取り除き、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得た。このポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートの計算上の数平均分子量は、1168であった。
【0103】
次いで、温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器中で、室温下、窒素ガスを導入しながら、ジエタノールアミン83.9部を仕込んだ。冷却しながら、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネート916.1部を添加し、60℃で3時間反応させた。
赤外スペクトルにて尿素結合の生成を確認し、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールを得た。このポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールは、78.5質量%のポリオキシエチレン基を含有し、その計算上の数平均分子量は、1275であった。
【0104】
合成例2(主剤Aの合成)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、高粘度攪拌可能な攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に、ポリイソシアネートとして、HXDI(タケネートT−600、三井化学ポリウレタン社製)114.3部と、高分子量ポリオールとして、T4672(PCDL−T4672、ポリカーボネートジオール(炭素数4の繰り返し単位(C4)と、炭素数6の繰り返し単位(C6)とが、C4/C6=7/3のモル比で併存するポリカーボネートジオール)、数平均分子量(Mw)2000、旭化成社製)564.1部と、ノニオン系内部乳化剤として、合成例1により得られたポリオキシエチレン側鎖含有ポリオール71.7部と、有機溶媒として、メチルエチルケトン(MEK)250.0部とを仕込み、窒素雰囲気下で、反応液温度を75〜78℃に調整して、反応触媒としてオクチル酸第一錫(商品名:スタノクト、APIコーポレーション社製)を微量加え、所定のイソシアネート基含有量に到達するまで反応させた。次いで、これを50℃まで冷却し、アセトン(AC)363.6部を仕込み、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
【0105】
次いで、25℃の水1392.9部を、系内の温度を25℃〜30℃に保ちながら、30分かけて少しずつ添加し、イソシアネート基末端プレポリマーの水分散液を得た。
次いで、ジエタノールアミン(DEA)14.9部を20%水溶液に調整して加え、さらに、アミノアルコールEA(N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、AAEA、日本乳化剤社製)16.0部を20%水溶液に調整して加え、3時間攪拌した。
【0106】
その後、減圧下で、MEK、ACおよび水の一部を除去することにより、樹脂固形分濃度45%の水性ポリウレタン樹脂を調製し、これを主剤Aとした。
合成例3〜7(主剤B〜Fの製造)
表1に示す処方にて配合した以外は、合成例2と同様の方法により、合成例3〜7の主剤(主剤B〜F)を調製した。
【0107】
合成例2〜7の配合処方、主剤中の水性ポリウレタン樹脂(固形分)の水酸基含有量、および、水性ポリウレタン樹脂の固形分濃度を、表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
なお、表1中の略号および製品名を下記に示す。
XDI:タケネートT−600、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン社製
IPDI:イソホロンジイソシアネート、エボニック デグサ ジャパン社製
12MDI:デスモジュールW、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、バイエル社製
T4672:PCDL−T4672、ポリカーボネートジオール(炭素数4の繰り返し単位(C4)と、炭素数6の繰り返し単位(C6)とが、C4/C6=7/3のモル比で併存するポリカーボネートジオール)、数平均分子量(Mw)2000、旭化成社製
G3452:PCDL−G3452、ポリカーボネートジオール(炭素数3の繰り返し単位(C3)と、炭素数4の繰り返し単位(C4)とが、C3/C4=5/5のモル比で併存するポリカーボネートジオール)、数平均分子量(Mw)2000、旭化成社製
T4671:PCDL−T4671、ポリカーボネートジオール(炭素数4の繰り返し単位(C4)と、炭素数6の繰り返し単位(C6)とが、C4/C6=7/3のモル比で併存するポリカーボネートジオール)、数平均分子量(Mw)1000、旭化成社製
U2220:タケラックU−2220、アジペート系ポリエステルポリオール(アジピン酸/エチレングリコール)、数平均分子量(Mw)2000、三井化学ポリウレタン社製
ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオール:合成例1により得られたポリオキシエチレン側鎖含有ポリオール
AAEA:アミノアルコールEA、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、日本乳化剤社製
<硬化剤>
硬化剤a〜fを、表2の通り用意した。
【0110】
また、硬化剤cは、次の通り合成した。
合成例8(硬化剤cの合成)
温度計、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた反応器中で、窒素ガスを導入しながら、タケネートD−165N(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体、三井化学ポリウレタン社製)91.0部、50℃に加温した数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール(MPEG−400、東邦化学社製)9.0部を仕込み、80℃で所定のイソシアネート基含有量に到達するまで反応させ、D−165Nのメトキシポリエチレングリコール変性体(親水基により変性されたD−165N)を得て、これを硬化剤cとした。
【0111】
硬化剤a〜fのイソシアネート基含有率(NCO%)を、表2に示す。
【0112】
【表2】

【0113】
なお、表2中の略号および製品名を下記に示す。
D165N:タケネートD−165N、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体、固形分濃度100%、粘度(25℃)2300mPa・s、三井化学ポリウレタン社製
D165N:タケネートD−160N、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、固形分濃度75%(溶剤:酢酸エチル)、粘度(25℃)260mPa・s、三井化学ポリウレタン社製
D165N/MPEG:合成例8により得られたD−165Nのメトキシポリエチレングリコール変性体
D177N:タケネートD−177N、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(トリマー)、固形分濃度100%、粘度(25℃)250mPa・s、三井化学ポリウレタン社製
D178N:タケネートD−178N、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体、固形分濃度100%、粘度(25℃)120mPa・s、三井化学ポリウレタン社製
D170N:タケネートD−170N、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(トリマー)、固形分濃度100%、粘度(25℃)2000mPa・s、三井化学ポリウレタン社製
<合成皮革用二液硬化型水系接着剤>
実施例および比較例の調製
上記により得られた各主剤および各硬化剤を、表3に示す配合部数(質量部)で配合することにより、各実施例および各比較例の合成皮革用二液硬化型水系接着剤を用意した。
【0114】
なお、配合においては、主剤および硬化剤の配合比が、主剤の活性水素基/硬化剤のNCO(モル比)=1/1.82となるようにし、さらに、配合液粘度が、5000〜10000mPa・s(25℃B型60回転)程度になるように、会合型増粘剤(ウレタン系)を適宜添加した。
【0115】
【表3】

【0116】
<評価>
各実施例および各比較例の合成皮革用二液硬化型水系接着剤のそれぞれについて、耐オレイン酸性、粘度変化、ポットライフ、および、主剤と硬化剤の相溶性について、下記の通り評価した。その結果を表3に示す。
(耐オレイン酸性)
試験板(JIS G 3303(SPTE))の表面に、各実施例および各比較例の合成皮革用二液硬化型水系接着剤を、乾燥時の膜厚が80〜100μmとなるように塗布し、室温で2〜3時間乾燥させ、次いで、110℃で、3時間加熱し、硬化させた。
【0117】
その後、70℃で3日養生し、約20mm×60mmの大きさに切断し、これを試験片とした。
得られた試験片を、オレイン酸に、23℃で48時間浸漬させた後、取り出して、表面のオレイン酸を拭き取り、その後、90℃で1時間乾燥させた。
試験片のオレイン酸浸漬前後の重量変化により、オレイン酸による膨潤率を算出した。
【0118】
膨潤率の算出には、下記式(1)を用いた。
膨潤率(%)={(W2−W1)/W1}×100 (1)
(式中、W1は、浸漬前の空気中における試験片の質量(g)を、W2は、浸漬・乾燥後の空気中における試験片の質量(g)を、それぞれ示す。)
(粘度変化)
主剤、硬化剤および会合型増粘剤(ウレタン系)を配合した後、配合液の、5分後および2時間後の粘度を測定(25℃B型60回転)し、それら粘度の値から、粘度変化の度合いを算出した。
【0119】
粘度変化の度合いの算出には、下記式(2)を用いた。
粘度変化の度合い=各成分を配合した後、2時間後における粘度(mPa・s)/各成分を配合した後、5分後における粘度(mPa・s) (2)
粘度変化の評価の基準を下記に示す。
○:粘度変化の度合いの値が、0.9〜1.1
△:粘度変化の度合いの値が、0.7〜0.9、および、1.1〜1.3
×:粘度変化の度合いの値が、0.7未満、および、1.4以上
(ポットライフ)
主剤、硬化剤および会合型増粘剤(ウレタン系)を配合した後、配合液を、ポリプロピレン(PP)フィルムに塗布し、その後、窒素ガスを噴きかけて乾燥させた。
【0120】
ついで、透過IR測定を実施し、NCO由来の2260cm−1ピーク強度を測定することにより、イソシアネート基残存率を算出した。
イソシアネート基残存率が70%を切るまでの時間を測定し、ポットライフの評価とした。
ポットライフの評価の基準を下記に示す。
【0121】
○:イソシアネート基残存率が70%を切るまでの時間が5時間以上
△:イソシアネート基残存率が70%を切るまでの時間が3〜5時間
×:イソシアネート基残存率が70%を切るまでの時間が3時間未満
(相溶性)
試験板(JIS G 3303(SPTE))の表面に、各実施例および各比較例の合成皮革用二液硬化型水系接着剤を、乾燥時の膜厚が80〜100μmとなるように塗布し、室温で2〜3時間乾燥させ、次いで、110℃で、3時間加熱し、硬化させた。
【0122】
その後、70℃で3日養生した。
得られた塗膜の外観を観察し、主剤および硬化剤の相溶性の評価とした。
相溶性の評価の基準を下記に示す。
○:透明および平坦で均一な塗膜が形成された。
△:濁りがあり、不均一感のある塗膜が形成された。
【0123】
×:相溶せず、不均一な塗膜が形成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリウレタン樹脂を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを含み、
前記ポリイソシアネート化合物が、ビウレット結合を有するか、または、トリメチロールプロパンにより変性されていることを特徴とする、合成皮革用二液硬化型水系接着剤。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート化合物が、親水基によって変性されていないことを特徴とする、請求項1に記載の合成皮革用二液硬化型水系接着剤。
【請求項3】
前記水性ポリウレタン樹脂が、活性水素化合物成分と、ポリイソシアネート成分との反応により得られ、
前記活性水素化合物成分が、高分子量ポリオールを含み、
前記高分子量ポリオールが、ポリエステルポリオールおよび/またはポリカーボネートポリオールを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の合成皮革用二液硬化型水系接着剤。
【請求項4】
前記高分子量ポリオールが、原料成分として2価アルコールを含み、
前記2価アルコールが、炭素数が4以下の2価アルコールを50モル%以上含有することを特徴とする、請求項3に記載の合成皮革用二液硬化型水系接着剤。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート成分が、水添キシリレンジイソシアネートまたは水添ジフェニルメタンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項3または4に記載の合成皮革用二液硬化型水系接着剤。

【公開番号】特開2010−229267(P2010−229267A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77552(P2009−77552)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】